JP2020143036A - リポソーム、およびそれを含有する抗マラリア薬 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規なリポソーム、およびそれを含有する抗マラリア薬を提供すること【解決手段】A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソームを作製し、妊婦へのマラリア感染の治療または予防するための抗マラリア薬とする。【選択図】なし
Description
本発明は、リポソーム、およびそれを含有する抗マラリア薬に関する。
コンドロイチン硫酸(CS)は、酸性多糖体のグリコサミノグリカンの一種である。構造上、CSは、グルクロン酸(GlcA)とN‐アセチルガラクトサミン(GalNAc)の二糖(GlcA‐GalNAc)が繰り返すコンドロイチン(CH)骨格を有し、かつ硫酸基が多様な糖ヒドロキシ基に修飾している。CSを構成するGlcA‐GalNAcは、硫酸基の修飾の仕方によって、以下のように分類されている(図1)。なお、A〜E構造を有するコンドロイチン硫酸を、本明細書では、それぞれA型コンドロイチン硫酸(CSA)〜E型コンドロイチン硫酸(CSE)と表記するものとする。
A構造:GalNAc残基4位が硫酸化;
B構造:GlcAがイズロン酸(GlcAのC5位におけるエピマー)に置換;
C構造:GalNAc残基6位が硫酸化;
D構造:GlcA残基2位とGalNAc残基6位の2カ所が硫酸化;
E構造:GalNAc残基4位と6位が硫酸化。
B構造:GlcAがイズロン酸(GlcAのC5位におけるエピマー)に置換;
C構造:GalNAc残基6位が硫酸化;
D構造:GlcA残基2位とGalNAc残基6位の2カ所が硫酸化;
E構造:GalNAc残基4位と6位が硫酸化。
CSは、動物種・臓器・成長段階や病変、およびコアタンパク質の種類によって、CSA〜CSEについて異なった構成を有する。また、CSは、主にコアタンパク質と結合したプロテオグリカンとしての形態で、生体内に広く存在しているが、ひとつのコアタンパク質に結合するCS糖鎖も、その構成は均一ではない。
生体内のCSプロテオグリカンは、発生過程における組織の形態形成・再生や細胞の分化などの重要な生命現象に関与している。たとえば、関節骨疾患・神経損傷・免疫疾患・病原体感染などの病変において重要な役割を担っている。それらの生理・薬理機能は、それぞれ特異的なCS結合分子、すなわちCS受容体やCS結合性サイトカインや病原体産生タンパク質、などとの相互作用によって発揮されている。
ところで、全世界で毎年5億人もの患者が発生するマラリア感染症において、特に妊婦への感染(妊娠マラリア症または胎盤マラリア症と呼ばれる)は重篤な症状を呈し、母体と胎児の安全が脅かされる。妊娠マラリアでは、マラリア感染赤血球にマラリア原虫由来の膜タンパク質VAR2CSAが発現して、絨毛内の胎盤血管のCSプロテオグリカンに結合する。結合した赤血球に存在する病原体は血流に抗して胎盤に潜伏することができるようになり、薬剤や生体防御機構から逃れ、悪性で難治性の病態となる。VAR2CSAはCS糖鎖のA構造特異的に相互作用を示し、糖が12個以上のCSAオリゴ糖は固相化CSAとVAR2CSAタンパク質との結合を阻害する活性を示した(非特許文献1参照)。
Sugiura et al. Glycoconj J (2016) 33、 985‐994
本発明は、新規なリポソーム、およびそれを含有する抗マラリア薬を提供することを目的とする。
これまで、in vitroでCSAオリゴ糖は固相化CSAとVAR2CSAタンパク質との結合を阻害する活性を有することが明らかになっている(非特許文献1)が、遊離糖鎖は体内で生理活性が発現しないか、きわめて低い生理活性しか有しないため、CSが体内で生理的に活性を有するためには、何らかの担体に結合した形態が必要である。そこで本発明者らは、VAR2CSAと強く結合するCSAオリゴ糖を用い、どのような担体を用いれば良いかを鋭意研究したところ、CSAを高い割合で有するCSオリゴ糖を導入したリポソームが、マラリア感染赤血球に著しく強固に結合することができることが明らかになり、胎盤CSプロテオグリカンと感染赤血球との結合を競合的に阻害することで、胎盤に蓄積する感染赤血球を遊離させて、抗マラリア薬として予防効果および治療効果が得られると考えられ、本発明の完成に至った。
本発明の一実施態様は、妊婦へのマラリア感染の治療または予防するための抗マラリア薬であって、A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソームを含有する抗マラリア薬である。前記リポソームが、リン脂質とコレステロールとを含有してもよい。前記リポソームの平均粒径が50〜500nmであってもよい。さらにマラリア治療薬を含有してもよい。
本発明の他の実施態様は、A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソームである。前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖にCSAが30%〜100%含まれてもよい。前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖が、海洋生物の軟骨由来であってもよい。前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖の平均分子量が1000〜100000であってもよい。前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖の平均糖鎖長が、4〜400であってもよい。前記いずれかのリポソームが、リン脂質とコレステロールとを含有してもよい。前記いずれかのリポソームの平均粒径が50〜500nmであってもよい。マラリア治療薬と同時に投与されてもよい。
本発明によって、新規なリポソーム、およびそれを含有する抗マラリア薬を提供することができるようになった。
本発明の目的、特徴、利点、およびそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態および具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示または説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==CS‐リポソーム==
本開示のリポソームは、A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソーム(以下、CS‐リポソームと称する)である。
本開示のリポソームは、A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソーム(以下、CS‐リポソームと称する)である。
コンドロイチン硫酸オリゴ糖に含まれるCSAの割合は特に限定されないが、CS総数に対するCSAの割合として、30%〜100%含まれることが好ましく、50%〜100%含まれていることがより好ましく、70%〜100%含まれていることがさらに好ましい。
コンドロイチン硫酸オリゴ糖の平均糖鎖長は特に限定されないが、4〜400であることが好ましく、10〜40であることがより好ましい。コンドロイチン硫酸オリゴ糖の平均分子量も特に限定されないが、1000〜100000であることが好ましく、2500〜10000であることがより好ましい。
コンドロイチン硫酸オリゴ糖は、CS合成酵素群を用いた公知の酵素化学的手法で合成してもよく、酵素化学的に合成されたCS糖鎖ライブラリー(Sugiura et al. J Biol Chem (2012) 287、 43390‐43400)から得てもよく、天然の動物組織から抽出した糖鎖を用いてもよい。例えば、酵素化学的手法によって、平均分子量5、000でA構造を約70%含むCSAを合成することができる。天然の動物組織として、例えばCSAを多量に含むことが知られている海洋生物の軟骨が例示できる。海洋生物の種類は特に限定されず、魚類でも哺乳類でも軟体動物でもよく、例えば、クジラやエイ、サメ、チョウザメ、サケ、イカでもよい。また、陸上生物の軟骨でもよく、例えば、哺乳類のウシ、ブタでもよい。糖鎖長の調節には、大腸菌K4株由来のコンドロイチンポリメラーゼ、あるいはその遺伝子改変酵素を用いて、酵素化学的に糖鎖長を調節する方法(Sugiura et al. Glycoconj J (2008)25、 521‐530)や、長鎖高分子CSを加水分解酵素である睾丸ヒアルロニダーゼを用いて部分分解する方法など、公知の方法を用いることができる。
一方、リポソームの製法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。材料はホスファチジルコリンなどのリン脂質を用いることが好ましく、リン脂質とコレステロールの両方を用いることがより好ましい。リン脂質としては、例えば、ジアシルホスファチジルエタノールアミンなどのアミノ基を有するリン脂質を用いてもよい。リポソームの大きさは特に限定されないが、生体内への適合性から粒子径が、50〜500nmであることが好ましく、80〜200nmであることがより好ましく、約100nmであることがさらに好ましい。リポソームの二重膜は多層でも一層でもよいが、一層であることが好ましい。
CS‐リポソームは、まずリポソームを調製し、次にCSをリポソームに結合させてもよい。例えば、リポソームを構成する脂質のアミノ基とCSの糖鎖還元末端のヘミアセタール基とを、還元アミノ化法で共有結合させることができる。あるいは、カルボジイミドなどの縮合剤を使って脂質のアミノ基をGlcAのカルボキシ基と結合させてもよい。
また、CSと疎水性分子をあらかじめ共有結合させ、そのCS‐疎水性分子結合体をリポソームに導入してもよい。リポソームを構成する脂質とCS−疎水性分子結合体と共に処理してCS−リポソームを調製してもよい。疎水性分子としては、脂肪酸やトリグリセリドなどを用いてもよいが、脂肪酸鎖を2本もち、官能基としてアミノ基を有するリン脂質のホスファチジルエタノールアミンが好ましい。
ホスファチジルエタノールアミンを用いる場合、その脂肪酸鎖は特に限定されず、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよいが、リポソームに導入しやすい炭素数14以上の高級脂肪酸が好ましく、例えばパルミチン酸やステアリン酸が挙げられる。またホスファチジルエタノールアミンとCS糖鎖との複合体(CS‐PE、 Sugiura and Kimata Methods Enzymol (1994) 247、 362‐373)は、GlcAのカルボキシ基との脂質アミノ基との縮合反応や、糖鎖還元末端のヘミアセタール基と脂質アミノ基との還元アミノ化法によって合成できる。あるいは、還元末端を酸化してラクトンを形成させ、脂質のアミノ基との酸アミド結合によって複合体を形成させてもよい。
CS‐疎水性分子結合体を用いたCS‐リポソームの調製方法は特に限定されないが、例えば、SUVリポソームとCS‐疎水性分子結合体とを混合して、37℃付近で数時間加温することにより、容易に疎水性分子がリポソームに取り込まれ、CS‐リポソームが製造できる。
==抗マラリア薬==
本開示の抗マラリア薬は、妊婦へのマラリア感染の治療または予防するための抗マラリア薬であって、A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソームを有効成分として含有する。すなわち、この抗マラリア薬は、有効量の当該リポソームを含有する。A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソームは、上述のCS‐リポソームを用いる。
本開示の抗マラリア薬は、妊婦へのマラリア感染の治療または予防するための抗マラリア薬であって、A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソームを有効成分として含有する。すなわち、この抗マラリア薬は、有効量の当該リポソームを含有する。A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソームは、上述のCS‐リポソームを用いる。
CS‐リポソームは、胎盤に蓄積する感染赤血球を競合的に遊離させる機能を有するので、妊娠マラリア症(胎盤マラリア症とも称する)の症状を緩和する。
本開示の薬剤の投与経路は、全身投与または局所投与のいずれも選択することができる。非経口経路であることが好ましく、特に静脈内投与、動脈内投与などの血管内投与が好ましい。従って、本開示の薬剤は注射用や点滴用であることが好ましい。
本開示の抗マラリア薬は、有効成分の他、必要に応じて、一般に用いられる添加剤をさらに含み得るものであり、注射用薬剤や点滴用薬剤の場合、例えば、1種以上の医薬的に許容され得るpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤、防腐剤などを含み得る。pH調節剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどを挙げることができる。安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、 エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオグリコール酸、チオ乳酸などを挙げることができる。局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどを挙げることができる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが例示できる。
薬剤に含有される有効成分の量は、有効用量範囲や投薬の回数などにより適宜決定できる。投与する用量は特に限定されず、予防用か治療用かの用途、投与形態、投与経路、疾患の種類、対象の性質(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)、および担当医師の判断など応じて適宜選択される。
治療薬としては、マラリア感染した妊婦に投与されるが、予防薬としては、マラリア感染していない妊婦に投与される。予防薬は、マラリア感染の恐れが強い環境にある妊婦に投与するのが効果的である。
本開示の抗マラリア薬は、CS‐リポソームの他に、さらにCS‐リポソーム以外の公知のマラリア治療薬を含有してもよい。CS‐リポソームは、胎盤に蓄積する感染赤血球を遊離させる機能を有するので、マラリア治療薬を同時に投与することにより、そのマラリア治療薬の効果を増強することができる。マラリア治療薬は特に限定されず、アトバコン・プログアニル合剤、プリマキン、アルテメテル・ルメファントリン合剤などが例示できる。ここで、「同時に投与する」というのは、時間的に全く同時である必要はなく、CS‐リポソームの効果が発現している間に効果が発現するように投与することを意味する。従って、マラリア治療薬は、CS‐リポソームの投与前に投与しても、投与後に投与してもよい。また、公知のマラリア治療薬は、CS‐リポソームと別個の剤形でもよく、CS‐リポソームに封入されていてもよい。
[実施例1]CS‐PEの製造
クジラ軟骨由来のCS(A構造69%,C構造25%含有)を睾丸由来ヒアルロニダーゼで平均分子量5、000に調製したCSの水溶液を準備した。これらのCS水溶液をDowex50 X8(H+形)陽イオン交換樹脂を充填したカラムに通し、溶出した脱塩CSを集め、直ちにテトラブチルアンモニウム(TBA)水溶液を加えCS・TBA塩を調製した。このCS・TBA塩溶液を凍結乾燥し、脱水メタノールに加えて溶解させた。CSに対し2倍モル量のジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PE)を加え、60℃で2時間撹拌後、CSに対し5倍モル量のナトリウムシアノボロヒドリド(NaBH3CN)を加え、密栓し60℃で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、0.2M酢酸ナトリウム水溶液を加え、不溶物を遠心分離により除去し、上清に3倍容の1.3%酢酸カリウム含有95%エタノールを加え、4℃で2時間静置後、生成した沈殿を遠心分離により採取した。得られた沈殿をメタノール:水(1:1)混液に溶解させ、ブチルセルロファインを添加し、その懸濁液を減圧濃縮してメタノールを除去し、0.2M食塩水を加えた後に、カラムに充填し、溶液を除去した後、30%メタノール水混液で溶出した。得られた溶出液に対し、減圧濃縮でメタノールを留去後、1.3%酢酸カリウム含有95%エタノールを加え、生成した沈殿を集めて、PE結合CS(CS‐PE)を得た。
クジラ軟骨由来のCS(A構造69%,C構造25%含有)を睾丸由来ヒアルロニダーゼで平均分子量5、000に調製したCSの水溶液を準備した。これらのCS水溶液をDowex50 X8(H+形)陽イオン交換樹脂を充填したカラムに通し、溶出した脱塩CSを集め、直ちにテトラブチルアンモニウム(TBA)水溶液を加えCS・TBA塩を調製した。このCS・TBA塩溶液を凍結乾燥し、脱水メタノールに加えて溶解させた。CSに対し2倍モル量のジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PE)を加え、60℃で2時間撹拌後、CSに対し5倍モル量のナトリウムシアノボロヒドリド(NaBH3CN)を加え、密栓し60℃で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、0.2M酢酸ナトリウム水溶液を加え、不溶物を遠心分離により除去し、上清に3倍容の1.3%酢酸カリウム含有95%エタノールを加え、4℃で2時間静置後、生成した沈殿を遠心分離により採取した。得られた沈殿をメタノール:水(1:1)混液に溶解させ、ブチルセルロファインを添加し、その懸濁液を減圧濃縮してメタノールを除去し、0.2M食塩水を加えた後に、カラムに充填し、溶液を除去した後、30%メタノール水混液で溶出した。得られた溶出液に対し、減圧濃縮でメタノールを留去後、1.3%酢酸カリウム含有95%エタノールを加え、生成した沈殿を集めて、PE結合CS(CS‐PE)を得た。
[実施例2]CS‐リポソームの製造
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC):コレステロール(モル比3:2)の微細粉末混合物(プレソーム、日本精化製)100mgを、70℃に加温したリン酸緩衝食塩水(PBS)5mLに懸濁し、エクストルーダー(アバンティー社製)を用いて0.1μmの多孔性膜を70℃で20回通過させて、粒径100nmの小型一枚膜(SUV)リポソームを作成した。
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC):コレステロール(モル比3:2)の微細粉末混合物(プレソーム、日本精化製)100mgを、70℃に加温したリン酸緩衝食塩水(PBS)5mLに懸濁し、エクストルーダー(アバンティー社製)を用いて0.1μmの多孔性膜を70℃で20回通過させて、粒径100nmの小型一枚膜(SUV)リポソームを作成した。
そのSUVリポソーム0.4mLとCS‐PEのPBS溶液(0.4mg/0.4mL)を混合し、37℃で2時間振盪させることにより、CS‐PEがSUVリポソーム表面に導入されたCS‐リポソームを作製した。
[実施例3]CS‐リポソームとマラリアタンパク質VAR2との相互作用解析
マラリア原虫産生タンパク質VAR2CSAのCS結合領域のV5‐タグを付けた組換えタンパク質VAR2(80μg/100μL)を実施例2のCS‐リポソーム(100μL)に添加し、37℃で2時間振盪後、Sephacryl S500(10mm x 300mm)と Superose 6 Increse(10mm x 30 mm)の直列につないだカラムに注入し、0.5mL/分の流速でPBSを送液して、ゲルろ過クロマトグラフィーを行った。溶出液を225nmの波長の紫外吸収を測定し、2分毎1mLずつ分取した。分取した溶出液を50μLずつ96穴のELISA用プレート(住友ベークライト製)に取り、パーオキシダーゼ標識抗V5抗体およびパーオキシダーゼ基質(SureBlue、KPL社製)を用いて、溶出液分画のVAR2定量を行った。溶出液の紫外線吸収パターンと、VAR2定量パターンを図2に示す。CSを導入していないSUVリポソームとVAR2との反応も行い、同様にゲルろ過クロマトグラフィーを行った。その結果を図3に示す。
マラリア原虫産生タンパク質VAR2CSAのCS結合領域のV5‐タグを付けた組換えタンパク質VAR2(80μg/100μL)を実施例2のCS‐リポソーム(100μL)に添加し、37℃で2時間振盪後、Sephacryl S500(10mm x 300mm)と Superose 6 Increse(10mm x 30 mm)の直列につないだカラムに注入し、0.5mL/分の流速でPBSを送液して、ゲルろ過クロマトグラフィーを行った。溶出液を225nmの波長の紫外吸収を測定し、2分毎1mLずつ分取した。分取した溶出液を50μLずつ96穴のELISA用プレート(住友ベークライト製)に取り、パーオキシダーゼ標識抗V5抗体およびパーオキシダーゼ基質(SureBlue、KPL社製)を用いて、溶出液分画のVAR2定量を行った。溶出液の紫外線吸収パターンと、VAR2定量パターンを図2に示す。CSを導入していないSUVリポソームとVAR2との反応も行い、同様にゲルろ過クロマトグラフィーを行った。その結果を図3に示す。
図2から、VAR2はCS‐リポソームと同時に超高分子画分(分子量1、000kDa以上)に溶出したのに対し、CSがないSUV‐リポソームとVAR2混液のクロマトグラフィーでは、VAR2タンパク質は遊離単体のVAR2タンパク質(分子量120kDa)と同じ画分に溶出した。
このように、リポソームはVAR2タンパク質と結合することはなく、一方、CS‐リポソームはマラリアタンパク質VAR2と特異的に結合し、VAR2CSA表出マラリア原虫感染赤血球に特異的に融合する。
[実施例4]CS‐リポソームによる固相化CSとVAR2との結合の阻害作用解析
還元末端をビオチン化したクジラ軟骨由来CS(CS‐Biotin)のTBS+(20mM Tris‐HCl、pH7.4、0.15M NaCl、2mM CaCl2、2mM MgCl2含有緩衝液)溶液(2μg/ml)を、ストレストアビジン塗布96穴ELISA用プレート(Thermo Fisher社製)に、1穴あたり50μLずつ添加して、室温で1時間振盪後、TBS+で3回洗浄して、CSコートプレートを作製した。そのCSコートプレートにV5標識VAR2タンパク質(50pmol/mL)と実施例2のCS‐リポソーム(0.1〜20μg/mL)あるいはその原料の遊離CS(平均分子量5、000)オリゴ糖(12.5〜5、000μg/mL)とのTBS+混液50μLを添加して室温で1時間振盪後、TBST+(0.05% Tween20含有TBS+溶液)で3回洗浄した。プレートに結合したVAR2タンパク質をパーオキシダーゼ標識抗V5抗体およびパーオキシダーゼ基質(SureBlue、KPL社製)を用いて定量することで、CS‐リポソームあるいは遊離CSによる、固相化CSとVAR2との結合阻害活性を測定した(図3)。その結果、遊離CSの50%阻害活性(IC50)値は3、000μg/mLであったのに対し、CS‐リポソームのIC50値は5.2μg/mLであった。すなわち、リポソームの形態にすることでCSは約600倍の高い結合阻害活性を示した。
還元末端をビオチン化したクジラ軟骨由来CS(CS‐Biotin)のTBS+(20mM Tris‐HCl、pH7.4、0.15M NaCl、2mM CaCl2、2mM MgCl2含有緩衝液)溶液(2μg/ml)を、ストレストアビジン塗布96穴ELISA用プレート(Thermo Fisher社製)に、1穴あたり50μLずつ添加して、室温で1時間振盪後、TBS+で3回洗浄して、CSコートプレートを作製した。そのCSコートプレートにV5標識VAR2タンパク質(50pmol/mL)と実施例2のCS‐リポソーム(0.1〜20μg/mL)あるいはその原料の遊離CS(平均分子量5、000)オリゴ糖(12.5〜5、000μg/mL)とのTBS+混液50μLを添加して室温で1時間振盪後、TBST+(0.05% Tween20含有TBS+溶液)で3回洗浄した。プレートに結合したVAR2タンパク質をパーオキシダーゼ標識抗V5抗体およびパーオキシダーゼ基質(SureBlue、KPL社製)を用いて定量することで、CS‐リポソームあるいは遊離CSによる、固相化CSとVAR2との結合阻害活性を測定した(図3)。その結果、遊離CSの50%阻害活性(IC50)値は3、000μg/mLであったのに対し、CS‐リポソームのIC50値は5.2μg/mLであった。すなわち、リポソームの形態にすることでCSは約600倍の高い結合阻害活性を示した。
このように、CS‐リポソームとVAR2CSAのCSA結合領域の組換えタンパク質VAR2とは、特異的に、かつ非常に強く結合する。
CS‐リポソームは、VAR2CSAを表層に持ち妊娠患者の胎盤に潜伏するマラリア感染赤血球に結合し、胎盤CSプロテオグリカンと感染赤血球との結合を競合的に阻害することで、胎盤に蓄積する感染赤血球を遊離させて、生体防御機構や投与マラリア剤の効果を促進する働きを有する、優れた抗マラリア薬となり得る。
Claims (12)
- 妊婦へのマラリア感染の治療または予防するための抗マラリア薬であって、
A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソームを有効成分として含有する抗マラリア薬。 - 前記リポソームが、リン脂質とコレステロールとを含有する、請求項1に記載の抗マラリア薬。
- 前記リポソームの平均粒径が50〜500nmである、請求項1または2に記載の抗マラリア薬。
- さらにマラリア治療薬を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗マラリア薬。
- A型コンドロイチン硫酸(CSA)を含むコンドロイチン硫酸オリゴ糖を導入したリポソーム。
- 前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖にCSAが30%〜100%含まれる、請求項5に記載のリポソーム。
- 前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖が、海洋生物の軟骨由来である、請求項5または6に記載のリポソーム。
- 前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖の平均分子量が1000〜100000である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のリポソーム。
- 前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖の平均糖鎖長が、4〜400である、請求項5〜8のいずれか1項に記載のリポソーム。
- リン脂質とコレステロールとを含有する、請求項5〜9のいずれか1項に記載のリポソーム。
- 平均粒径が50〜500nmである、請求項5〜10のいずれか1項に記載のリポソーム。
- マラリア治療薬と同時に投与される、請求項5〜11のいずれか1項に記載のリポソーム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2019043081A JP2020143036A (ja) | 2019-03-08 | 2019-03-08 | リポソーム、およびそれを含有する抗マラリア薬 |
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