JP2020143370A - 溶融Al−Zn−Mg−Si系めっき鋼板及びその製造方法、並びに、塗装鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、特許文献4には、質量%で、Mg:1〜15%、Si:2〜15%、Zn:11〜25%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる被覆層を形成し、めっき層中に存在するMg2Si相の大きさを規定することで、平板及び端面の耐食性の改善を図ったAl系めっき鋼板が開示されている。
そのため、例えば特許文献5には、溶融Al-Zn-Mg系めっき鋼板について、めっき層中にSrを含有させることによって、表面外観性の向上を図る技術が開示されている。
また、特許文献6には、溶融Al-Zn-Mg系めっき鋼板について、めっき層中にSrを含有させることによって、加工性の向上を図る技術が開示されている。
また、特許文献7には、Al-Zn-Si-Mg合金を含むめっき浴に少なくとも250ppmのSrを添加することによって、めっき層中のMg2Si粒子の含有量を低減させ、結果として表面外観の改善を図る技術が開示されている。
しかしながら、特許文献5〜7のSrを含有する溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板のようにめっき層中にSrを含有させた場合、該めっき層の表面近傍に存在するMg2Siの含有量が減少し、その結果として耐食性が低下するおそれがあった。
1.めっき層が、Al:45〜65質量%、Si:1.2〜4質量%、Mg:1〜6質量%及びSr:0.01〜0.2質量%を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有し、前記めっき層の表面において観察される各Mg2Si粒子の面積が、平均100μm2以下であることを特徴とする、溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板。
前記めっき浴の浴温が、以下の式(1)を満足することを特徴とする、溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の製造方法。
めっき浴温(℃)≦600−4.5MMg−5.5MSi ・・・(1)
MMg:めっき浴中のMgの含有量(質量%)、MSi:めっき浴中のSiの含有量(質量%)
本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板は、鋼板表面にめっき層を有する。なお、該めっき層は、下地鋼板との界面に存在する界面合金層と該合金層の上に存在する主層(以後、「めっき主層」又は「主層」ということもある。)とからなる。また、前記めっき層は、Al:45〜65質量%、Si:1.2〜4質量%、Mg:1〜6質量%及びSr:0.01〜0.2質量%を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有する。前記溶融めっき鋼板のめっき層が、上述した組成を有することによって、良好な表面外観性及び耐食性を確保できる。
ここで、前記めっき層のMg含有量を1質量%以上としたのは、前記めっき層が、上述した濃度範囲でSiを含有した場合、Mg濃度を1質量%以上とすることで、Mg2Siを生成できるようになり、腐食遅延効果を得ることができるからである。同様の観点から、前記めっき層のMg含有量は、2.5質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。一方、前記めっき層のMgの含有量を6質量%以下としたのは、前記めっき層のMgの含有量が6%を超える場合、耐食性の向上効果の飽和に加え、製造コストの上昇とめっき浴の組成管理が難しくなるためである。同様の観点から、前記めっき層のMg含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
一方、前記めっき層中にMgを含有した溶融Al-Zn系めっき鋼板を用いた塗装鋼板の場合、インターデンドライト中に析出するMg2Si相やMg-Zn化合物(MgZn2、Mg32(Al,Zn)49等)が腐食の初期段階で溶け出し、腐食生成物中にMgが取込まれる。Mgを含有した腐食生成物は非常に安定であり、これにより腐食が初期段階で抑制されるため、従来のAl−Zn系めっき鋼板を下地に用いた塗装鋼板の場合に問題となるZnリッチ相の選択腐食による大きな塗膜膨れを抑制できる。その結果、めっき層にMgを含有させた溶融Al−Zn系めっき鋼板は優れた塗装後耐食性を示す。前記めっき層中のMgが3質量%未満の場合には、腐食時に溶け出すMgの量が少なく、塗装後耐食性が向上しないおそれがある。なお、前記めっき層中のMg含有量が6質量%を超える場合には、効果が飽和するだけでなく、Mg化合物の腐食が激しく起こり、めっき層全体の溶解性が過度に上昇する結果、腐食生成物を安定化させても、その溶解速度が大きくなるため、大きな膨れ幅を生じ、塗装後耐食性が劣化するおそれがある。そのため、優れた塗装後耐食性を安定的に得るためには、前記めっき層中のMg含有量を6質量%以下とする。
前記シワ状欠陥とは、前記めっき層の表面に形成されたシワ状の凹凸になった欠陥であり、前記めっき層表面において白っぽい筋として観察される。このようなシワ状欠陥は、前記めっき層中にMgを多く添加した場合に、発生しやすくなる。そのため、前記溶融めっき鋼板では、前記めっき層中にSrを含有させることによって、前記めっき層表層においてSrをMgよりも優先的に酸化させ、Mgの酸化反応を抑制することで、前記シワ状欠陥の発生を抑えることが可能となる。
上記構成によって、表面外観性と耐食性とを、高いレベルで両立できる。
上述したように、前記めっき層中にMgを含有させることによる耐食性向上効果は、めっき層の腐食時、めっき層中に存在するMg2Siが優先的に溶解し、めっき層表面に生成される腐食生成物中に溶解したMgが濃化することによって発現するが、Mgは電気化学的に卑な金属であることから、表面近傍にあるMg2Si粒子が大きい場合には、腐食時にMgが過剰に溶出し、上述した腐食生成物の外へと流出するため、腐食生成物中のMgを濃化させることが困難になる。
そのため、本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板では、図1(a)に示すように、めっき層の表面近傍のMg2Si粒子を小さくする(前記めっき層の表面を観察した際の面積にして平均100μm2以下に抑える)ことによって、表面近傍のMg2SiからMgが過度に溶出することを抑え、前記腐食生成物中に含有されるMgを濃化させることが可能となる。その結果、優れた耐食性を実現できる。
一方、一般的なAl-Zn-Mg-Si系めっき層を用いた塗装鋼板では、図1(b)に示すように、腐食時にMgが過剰に溶出し、上述した腐食生成物の外へと流出する結果、腐食生成物中のMgを濃化させることができず、所望の耐食性を得ることができない。
さらに、前記めっき層の表面において観察される全てのMg2Si粒子の面積の合計(Mg2Si粒子の面積率)は、10%未満であることが好ましい。
また、上述したMg2Siの面積の平均については、前記めっき層の表面を観察し、図2(a)及び(b)に示すように、SEM-EDX によってMg2Siの各粒子の状態を得ることができる。そして、観察される全てのMg2Siの粒子についてそれぞれ面積を測定し、それらの面積の平均を算出することで導出することができる。前記めっき層の表面の観察については、各Mg2Si粒子の面積の平均をより精度よく算出する観点からは、少なくとも2000μm2以上の視野で行い、さらに、任意に選択した3視野以上の平均とすることが好ましい。
t/d≧1.5 ・・・(1)
t:めっき層の厚さ(μm)、d:平均デンドライトアーム間距離(μm)
上記(1)式を満足することで、上述したα-Al相からなるデンドライト部分のアームを相対的に小さくでき、優先的に腐食されるインターデンドライトの経路を長く確保することにより、耐食性をより向上させることができる。
本発明の塗装鋼板は、上述した本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板のめっき層上に、直接又は中間層を介して、塗膜が形成されたことを特徴とする。
本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板を用いることで、良好なめっき層の表面外観性を有するとともに、耐食性の向上を図ることができる。
次に、本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の製造方法について説明する。
本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の製造方法は、Al:45〜65質量%、Si:1.2〜4質量%、Mg:1〜6質量%及びSr:0.01〜0.2質量%を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有するめっき浴に、下地鋼板を浸漬させる工程を備え、
前記めっき浴の浴温が、以下の式(1)を満足することを特徴とする。
めっき浴温(℃)≦600−4.5MMg−5.5MSi ・・・(1)
上述した製造方法によって得られた溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板は、良好な耐食性を有するとともに、耐食性に優れる。
なお、本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板に用いられる下地鋼板の種類については、特に限定はされない。例えば、酸洗脱スケールした熱延鋼板若しくは鋼帯、又は、それらを冷間圧延して得られた冷延鋼板若しくは鋼帯を用いることができる。また、前記前処理工程及び焼鈍工程の条件についても特に限定はされず、任意の方法を採用することができる。
これによって、所望の組成の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板を得ることができる。なお、前記めっき浴中に含有される各元素の種類や、含有量、作用については、上述した本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の中で説明されている。
めっき浴温(℃)≦600−4.5MMg−5.5MSi ・・・(1)
さらに、本発明の製造方法では、めっき浴の浴面近傍の酸化物(トップドロス)及びめっき浴の浴中又は底部に偏在する鉄を含んだ金属間化合物(ボトムドロス)は、めっき浴の浴温が高い程発生しやすい傾向にあることから、めっき浴の浴音について上記式(1)を満足させることによって、前記トップドロス及び前記ボトムドロスの発生を抑えることが可能となり、これらのドロスに起因した欠陥の発生についても抑制が可能となり、外観表面性をより高めることができる。
めっき浴温(℃)≦580−4.5MMg−5.5MSi ・・・(2)
なお、前記めっき浴の浴温は、含有成分の融点に10℃加算した温度(めっき浴の融点+10℃)であることが好ましい。含有成分の溶融状態を確実に保持し、形成された溶融めっき層の表面外観性を高いレベルで維持するためである。
(塗装鋼板の製造方法)
本発明の塗装鋼板の製造方法は、上述した本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の製造方法によって得られた溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の上に、直接又は中間層を介して、塗膜を形成する工程を備えることを特徴とする。
本発明の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板を用いることで、良好なめっき層の表面外観性を有するとともに、耐食性を向上できる。
なお、前記塗膜を形成する方法については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。例えば、ロールコーター塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装等の形成方法が挙げられる。有機樹脂を含有する塗料を塗装した後、熱風乾燥、赤外線加熱、誘導加熱等の手段により加熱乾燥して塗膜を形成することが可能である。
常法で製造した板厚0.5mmの冷延鋼板を下地鋼板として用い、連続式溶融めっき設備において、溶融めっき鋼板のサンプル1〜48を製造した。なお、製造に用いためっき浴の組成については表1に示す各サンプルのめっき層の組成とほぼ同じであり、測定されためっき浴の浴温、算出された式(1)の右辺(600−4.5MMg−5.5MSi)の値、並びに、得られためっき層の表面において観察される各Mg2Si粒子の面積の平均値については表1に示す。
上記のように得られた溶融めっき鋼板及び塗装の各サンプルについて、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
得られた溶融めっき鋼板の各サンプルについて、日本自動車規格の複合サイクル試験(JASO-CCT)を行った。JASO-CCTについては、図4に示すように、特定の条件で、塩水噴霧、乾燥及び湿潤を1サイクルとした試験である。
各サンプルに赤錆が発生するまでのサイクル数を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:赤錆発生サイクル数≧600サイクル
○:赤錆発生サイクル数≧400サイクル
△:300サイクル≦赤錆発生サイクル数<400サイクル
×:赤錆発生サイクル数<300サイクル
得られた溶融めっき鋼板の各サンプル(長さ650mm×幅914mm)について、目視によって、めっき層の表面(各サンプルの両面)を観察した。
そして、観察結果を、以下の基準に従って評価した。
○:表面及び裏面のいずれについても、シワ状欠陥が全く観察されなかった
△:表面及び裏面のうちの少なくとも一方に、不明瞭なシワ状欠陥が観察された
×:表面及び裏面のうちの少なくとも一方に、明瞭なシワ状欠陥が観察された
Claims (6)
- めっき層が、Al:45〜65質量%、Si:1.2〜4質量%、Mg:1〜6質量%及びSr:0.01〜0.2質量%を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有し、
前記めっき層の表面において観察される各Mg2Si粒子の面積が、平均100μm2以下であることを特徴とする、溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板。 - 前記めっき層が、合計で0.01〜10質量%の、Cr、Mn、V、Mo、Ti、Ca、Ni、Co、Sb及びBのうちから選択される一種又は二種以上を、さらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板。
- 請求項1又は2に記載の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板のめっき層上に、直接又は中間層を介して、塗膜が形成されたことを特徴とする、塗装鋼板。
- Al:45〜65質量%、Si:1.2〜4質量%、Mg:1〜6質量%及びSr:0.01〜0.2質量%を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有するめっき浴に、下地鋼板を浸漬させる工程を備え、
前記めっき浴の浴温が、以下の式(1)を満足することを特徴とする、溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の製造方法。
めっき浴温(℃)≦600−4.5MMg−5.5MSi ・・・(1)
MMg:めっき浴中のMgの含有量(質量%)、MSi:めっき浴中のSiの含有量(質量%) - 前記めっき浴が、合計で0.01〜10質量%の、Cr、Mn、V、Mo、Ti、Ca、Ni、Co、Sb及びBのうちから選択される一種又は二種以上を、さらに含有することを特徴とする、請求項4に記載の溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の製造方法。
- 請求項4又は5に記載の製造方法によって得られた溶融Al-Zn-Mg-Si系めっき鋼板の上に、直接又は中間層を介して、塗膜を形成する工程を備えることを特徴とする、塗装鋼板の製造方法。
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