JP2020143579A - シリンダブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】気筒における上側ボア、中央ボア、及び下側ボアの内径の大小関係が変化することを抑制する。【解決手段】シリンダブロック50には、ピストン31が往復動する気筒70aが区画されている。気筒70aは、当該気筒70aの軸線方向において、シリンダヘッド10が固定される側から順に、上側ボア71a、中央ボア72a、下側ボア73aに大別できる。中央ボア72aの内径は、上側ボア71a及び下側ボア73aの内径よりも大きくなっている。また、シリンダブロック50には、上側ボア71aを取り囲む上側ウォータジャケットとして機能する上側凹部68が区画されている。さらに、シリンダブロック50には、下側ボア73aを取り囲む下側ウォータジャケットとして機能する下側凹部66が区画されている。上側凹部68及び下側凹部66は、スペーサ80を挟んで離間して区画されている。【選択図】図1

Description

本発明は、シリンダブロックに関する。
特許文献1の内燃機関におけるシリンダブロックには、ピストンが往復動する気筒が区画されている。この気筒は、当該気筒の軸線方向において、上側ボア、中央ボア、及び下側ボアに大別できる。中央ボアの内径は、上側ボア及び下側ボアの内径よりも大きくなっている。また、シリンダブロックの上面には、気筒の上側を覆うシリンダヘッドが固定されている。特許文献1の内燃機関では、シリンダブロックにおける気筒の内壁面、ピストンの上面、及びシリンダヘッドの下面で区画された燃焼室で燃料が燃焼する。
特開2017−198174号公報
特許文献1の内燃機関では、燃料が燃焼する内燃機関の実働時においてシリンダブロックの温度が箇所毎に不均一になる。そのため、シリンダブロックにおける気筒においても、当該気筒の箇所毎の膨張量にばらつきが生じ、当該気筒における上側ボア、中央ボア、及び下側ボアの内径の大小関係が変化してしまうおそれがある。
上記課題を解決するためのシリンダブロックは、ピストンが往復動する気筒、及び冷却水が流通するウォータジャケットが区画されたシリンダブロックであって、前記気筒は、前記気筒の軸線方向において、シリンダヘッドが固定される側から順に、上側ボアと、前記上側ボアに接続されるとともに前記上側ボアよりも内径が大きい中央ボアと、前記中央ボアに接続されるとともに前記中央ボアよりも内径が小さい下側ボアとを備え、前記ウォータジャケットは、前記上側ボアを前記気筒の径方向外側から取り囲む上側ウォータジャケットと、前記下側ボアを前記気筒の径方向外側から取り囲む下側ウォータジャケットとを備えており、前記上側ウォータジャケット及び前記下側ウォータジャケットは、前記気筒の軸線方向において前記ウォータジャケットが形成されていない非形成領域を挟んで離間して配置されている。
上記構成では、上側ウォータジャケットと下側ウォータジャケットとの間にウォータジャケットが形成されていない非形成領域が存在するため、その非形成領域に隣り合う中央ボアが冷却されにくい。したがって、内燃機関の実働時において中央ボアが膨張することで当該中央ボアの内径が大きくなりやすい。一方、上側ボア及び下側ボアは、ウォータジャケットを流通する冷却水によって冷却されやすい。そのため、内燃機関の実働時において上側ボア及び下側ボアが膨張しにくく、上側ボア及び下側ボアの内径が大きくなりにくい。これにより、上側ボア、中央ボア、及び下側ボアの内径の大小関係が変化することを抑制できる。
上記構成において、前記気筒の中心軸線を含む断面での断面視において、前記上側ウォータジャケットの流路断面積は、前記下側ウォータジャケットの流路断面積よりも大きくなっており、前記上側ウォータジャケットと前記気筒とを隔てる上側隔壁部の平均厚みは、前記下側ウォータジャケットと前記気筒とを隔てる下側隔壁部の平均厚みよりも小さくなっていてもよい。
上記構成によれば、上側ウォータジャケットが気筒に近い位置に配置されている上、当該上側ウォータジャケットの流路断面積が大きくて多くの冷却水が流通する。したがって、下側ボアに比べて高温になりやすい上側ボアを、より効率的に冷却できる。
上記構成において、前記シリンダヘッドが固定される側の端面においては、凹部が窪んでおり、前記凹部は、前記上側ボア、前記中央ボア、及び前記下側ボアを、前記気筒の径方向外側から取り囲んでおり、前記凹部には、前記非形成領域を構成するスペーサが配置されており、前記スペーサは、前記凹部の内部空間を、前記上側ウォータジャケット及び前記下側ウォータジャケットに区画していてもよい。
上記構成によれば、凹部内にスペーサを配置させるという簡便な構造で、互いに離間して配置される上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットを区画できる。したがって、上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットをそれぞれ独立して区画形成するのに比較して、簡便な工程で製造できる。
上記構成において、前記凹部は、前記シリンダヘッドが固定される側の端面から前記気筒の中心軸線に沿って窪むように延びており、前記凹部の溝幅は、前記シリンダヘッドが固定される側に向かうほど大きくなっていてもよい。
上記の構成によれば、凹部に対応する形状の金型を使用して凹部を備えたシリンダブロックを成形する際、金型が凹部の内壁に干渉することなく当該金型を離型させることができる。すなわち、上記構成のシリンダブロックは、金型を利用して簡便に製造が可能である。
上記構成において、前記凹部は、前記下側ボアを取り囲む第1凹部と、前記第1凹部から前記シリンダヘッドが固定される側の端面にまで延びる第2凹部とを備え、前記第2凹部における前記第1凹部側の端部の溝幅は、前記第1凹部における前記第2凹部側の端部の溝幅よりも大きくなっており、前記スペーサは、前記第1凹部と前記第2凹部との間の段差に当接していてもよい。
上記構成では、第1凹部と第2凹部との段差に当接することで、スペーサが凹部の内部で位置決めされている。これにより、凹部の内部でスペーサの位置が気筒の軸線方向にずれることに起因して、上側ウォータジャケットの形状や下側ウォータジャケットの形状が意図せず変化することを抑制できる。
上記構成において、円柱状の貫通孔が貫通しているブロック本体と、前記貫通孔の内周面に固定されて前記気筒の内壁面を構成する円筒形状のライナとを備えており、前記ライナの材質は、前記ブロック本体の材質よりも線膨張係数が小さくなっており、前記ライナにおいて前記上側ボアの内壁面を構成する部分の厚み及び前記ライナにおいて前記下側ボアの内壁面を構成する部分の厚みは、前記ライナにおいて前記中央ボアの内壁面を構成する部分の厚みよりも大きくなっていてもよい。
上記構成によれば、ライナにおける上側ボア及び下側ボアの内壁面を構成する部分の厚みが大きいため、上側ボア及び下側ボアの熱膨張は中央ボアに比べて、線膨張係数の小さいライナの影響を受けやすい。すなわち、上側ボア及び下側ボアは、熱膨張しにくいライナの材質を反映して熱膨張しにくくなっている。したがって、上側ボア及び下側ボアが膨張して、中央ボアに対する内径の大小関係が変わってしまうことは抑制できる。
内燃機関の断面図。 シリンダブロックの上面図。
以下、実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。本実施形態では、内燃機関100が車両に搭載されているものとし、車両の上下方向を内燃機関100の上下方向として説明する。
先ず、内燃機関100の全体構成について説明する。
図1に示すように、内燃機関100は、全体として直方体形状のシリンダブロック50を備えている。シリンダブロック50の内部には、略円柱形状の気筒70aが区画されている。気筒70aは、シリンダブロック50の上面から下面まで貫通している。図2に示すように、シリンダブロック50には、気筒70aが3つ区画されている。3つの気筒は、図示しないクランクシャフトの軸線方向に沿うように並列配置されている。
図1に示すように、各気筒70aには、全体として円柱形状のピストン31が収容されている。ピストン31は、気筒70aの内部を、当該気筒70aの軸線方向に往復運動する。ピストン31は、図示しないコネクティングロッドを介してクランクシャフトに連結されている。なお、図1では、ピストン31を二点鎖線で図示している。
シリンダブロック50の上面には、全体として直方体形状のシリンダヘッド10が固定されている。シリンダヘッド10の下面においては、上側に向かって下面凹部15が窪んでいる。下面凹部15は、気筒70aの軸線方向から視たときに、略円形になっている。下面凹部15は、気筒70aに向かい合うように配置されている。下面凹部15の内壁面、気筒70aの内壁面、及びピストン31の上面によって、燃焼室90が区画されている。
シリンダヘッド10の内部には、燃焼室90に吸気を導入するための吸気ポート11が区画されている。吸気ポート11は、気筒70aの並び方向及び上下方向のいずれに対しても直交する方向の一方側(図1における右側)に配置されている。吸気ポート11は、気筒70aの数に対応して3つ配置されている。また、シリンダヘッド10には、吸気ポート11における燃焼室90側の開口を開閉する吸気バルブ41が取り付けられている。吸気バルブ41は、図示しない動弁機構によって動作され、クランクシャフトの回転と連動して吸気ポート11における開口を開閉する。
シリンダヘッド10の内部には、燃焼室90から排気を排出するための排気ポート12が区画されている。排気ポート12は、気筒70aの中心軸線70bを挟んで吸気ポート11とは反対側(図1における左側)に配置されている。排気ポート12は、気筒70aの数に対応して3つ配置されている。また、シリンダヘッド10には、排気ポート12における燃焼室90側の開口を開閉する排気バルブ42が取り付けられている。排気バルブ42は、図示しない動弁機構によって動作され、クランクシャフトの回転と連動して排気ポート12における開口を開閉する。
シリンダヘッド10における吸気ポート11と排気ポート12との間には、燃料を点火するための点火プラグ43が取り付けられている。点火プラグ43は、気筒70a毎に取り付けられている。
シリンダヘッド10における吸気ポート11内には、図示しない燃料噴射弁から燃料が噴射される。噴射された燃料は、吸気と混ぜ合わされて燃焼室90に導入される。燃焼室90内に導入された燃料と吸気との混合気は、点火プラグ43によって点火され、燃焼される。燃焼室90内で燃焼した混合気は、排気として排気ポート12へ排出される。
また、シリンダブロック50の下面には、全体として箱形状のクランクケース20が固定されている。クランクケース20には、クランクシャフトが回転可能に支持されている。なお、クランクケース20の下側には、オイルを貯留するためのオイルパンが固定されている。
次に、シリンダブロック50の構成を具体的に説明する。
図1に示すように、シリンダブロック50におけるブロック本体60は、全体として直方体形状になっている。ブロック本体60には、上下方向に略円柱形状の貫通孔63が貫通している。貫通孔63は、ブロック本体60の上面から下面にまで至っている。貫通孔63の中心軸線は、気筒70aの中心軸線70bと同軸になっている。貫通孔63は、気筒70aの数に対応して3つ貫通している。本実施形態において、ブロック本体60の材質は、アルミニウム合金である。
ブロック本体60における貫通孔63の内周面には、略円筒形状のライナ70が固定されている。ライナ70の中心軸線は、気筒70aの中心軸線70bと同軸になっている。ライナ70の軸線方向の長さは、気筒70aの軸線方向の長さと同じになっている。本実施形態では、ライナ70によって、気筒70aの内壁面が構成されている。また、本実施形態において、ライナ70の材質は鋳鉄である。したがって、ライナ70の材質の線膨張係数は、ブロック本体60の材質の線膨張係数よりも小さくなっている。
ライナ70は、気筒70aの軸線方向において、上側から順に、上側壁71、中央壁72、及び下側壁73に大別できる。中央壁72の内径は、上側壁71及び下側壁73の内径よりも僅かに大きくなっている。また、中央壁72の外径は、上側壁71及び下側壁73の外径よりも小さくなっている。したがって、中央壁72の厚みは、上側壁71及び下側壁73の厚みよりも小さくなっている。本実施形態において、上側壁71及び下側壁73の内径は同じになっている。また、上側壁71及び下側壁73の外径は同じになっている。
上側壁71、中央壁72、及び下側壁73は、気筒70aにおける上側ボア71a、中央ボア72a、及び下側ボア73aの内壁面を構成している。したがって、中央ボア72aの内径は、上側ボア71a及び下側ボア73aの内径よりも大きくなっている。なお、図1では、中央ボア72aの内径と、上側ボア71a及び下側ボア73aの内径との差を、誇張して図示している。
ブロック本体60の上面においては、凹部65が窪んでいる。図1に示すように、ブロック本体60を気筒70aの中心軸線70bを含む断面で断面視した場合に、凹部65は、ブロック本体60の上面から気筒70aの中心軸線70bに沿って下側に向かって窪んでいる。凹部65の底面は、ブロック本体60の下端面近傍に位置している。換言すると、凹部65は、気筒70aの軸線方向においてブロック本体60の略全体に亘って窪んでいるが、ブロック本体60を貫通してはいない。図2に示すように、凹部65は、3つの気筒70a全体を外側から取り囲むように、略一定の溝幅で延びている。
図1に示すように、凹部65は、当該凹部65の底側から順に、下側凹部66、中央凹部67、及び上側凹部68に大別できる。下側凹部66は、気筒70aの軸線方向において、凹部65の底面から下側ボア73aの上端と同じ高さ位置にまで至っている。下側凹部66は、気筒70aの径方向外側から下側ボア73aを取り囲んでいる。下側凹部66の溝幅は、下側から上側に向かうほど大きくなっている。本実施形態では、下側凹部66が第1凹部である。
下側凹部66の上端からは、中央凹部67が上側に向かって延びている。中央凹部67は、気筒70aの軸線方向において、中央ボア72aの下端から中央ボア72aの上端と同じ高さ位置にまで至っている。中央凹部67は、気筒70aの径方向外側から中央ボア72aを取り囲んでいる。中央凹部67の溝幅は、下側から上側に向かうほど大きくなっている。また、中央凹部67における下端部の溝幅は、下側凹部66における上端部の溝幅よりも大きくなっている。したがって、下側凹部66の上端部と中央凹部67の下端部との間には、段差69が生じている。
中央凹部67の上端からは、上側凹部68が上側に向かって延びている。上側凹部68は、気筒70aの軸線方向において、上側ボア71aの下端からブロック本体60の上面にまで至っている。上側凹部68は、気筒70aの径方向外側から上側ボア71aを取り囲んでいる。上側凹部68の溝幅は、下側から上側に向かうほど大きくなっている。また、上側凹部68における下端部の溝幅は、中央凹部67における上端部の溝幅よりも大きくなっている。さらに、図1に示すように、気筒70aの中心軸線70bを含む断面での断面視で、上側凹部68の断面積は、下側凹部66の断面積よりも大きくなっている。本実施形態では、中央凹部67及び上側凹部68が第2凹部である。
中央凹部67には、当該中央凹部67の内部空間を埋めるためのスペーサ80が配置されている。スペーサ80は、中央凹部67の空間形状に対応した形状になっている。スペーサ80の下端部は、凹部65における段差69に当接している。したがって、凹部65の内部空間は、スペーサ80によって、上側凹部68及び下側凹部66に区画されている。本実施形態において、上側凹部68は、冷却水を流通させるための上側ウォータジャケットとして機能する。また、下側凹部66は、冷却水を流通させるための下側ウォータジャケットとして機能する。なお、上側凹部68及び下側凹部66を流通する冷却水は、図示しない導入水路を介して当該上側凹部68及び下側凹部66に導入される。また、上側凹部68及び下側凹部66を流通した冷却水は、図示しない排出水路を介して当該上側凹部68及び下側凹部66から排出される。
上述したように、気筒70aの中心軸線70bを含む断面において、上側凹部68の断面積は、下側凹部66の断面積よりも大きくなっている。したがって、気筒70aの中心軸線70bを含む断面において、上側ウォータジャケットの流路断面積は、下側ウォータジャケットの流路断面積よりも大きくなっている。また、本実施形態において、上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットは、気筒70aの軸線方向において、ウォータジャケットが形成されていない非形成領域を構成するスペーサ80を挟んで離間している。
上述したように、上側凹部68の溝幅は、下側凹部66の溝幅よりも大きくなっている。したがって、上側ウォータジャケットと気筒70aの上側ボア71aとを隔てる上側隔壁部86の平均厚みは、下側ウォータジャケットと気筒70aの下側ボア73aとを隔てる下側隔壁部87の平均厚みよりも小さくなっている。ここで、平均厚みとは、上側隔壁部86や下側隔壁部87が存在する全領域における厚みの平均値である。
次に、シリンダブロック50の製造方法について説明する。
シリンダブロック50のブロック本体60は、鋳造方法の一種であるダイカストによって製造される。この鋳造工程においては、ブロック本体60の上側に配置される第1金型と、ブロック本体60の下側に配置される第2金型とを用いる。第1金型には、ブロック本体60の上側形状に対応した形状になっている。具体的には、第1金型には、凹部65の形状に対応した凸部が形成されている。また、第2金型には、ブロック本体60の下側形状に対応した形状になっている。そして、第1金型及び第2金型の間の空間における所定の位置には、予め成形されたライナ70を配置する。次に、第1金型及び第2金型の間の空間に溶融したアルミニウム合金を高圧力で流し込む。その後、第1金型及び第2金型間の空間で固まった金属から第1金型及び第2金型を離型させて、固まった金属を取り出す。なお、この鋳造工程によって、ライナ70は、ブロック本体60と一体的に構成される。
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)本実施形態では、中央凹部67にスペーサ80が配置されており、中央凹部67がウォータジャケットとして機能しない。そのため、スペーサ80に隣り合っている気筒70aの中央ボア72aの内壁面は冷却されにくい。したがって、内燃機関100の実働時においては、中央ボア72aの温度が高くなって、当該中央ボア72aの内径の膨張量が比較的に大きくなる。
一方、上側凹部68及び下側凹部66は、冷却水を流通させるための上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットとして機能する。そのため、上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットに隣り合っている上側ボア71a及び下側ボア73aの内壁面は、上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットを流通する冷却水との熱交換によって冷却されやすい。したがって、内燃機関100の実働時においては、上側ボア71a及び下側ボア73aの内壁面の温度が、中央ボア72aの内壁面の温度ほどには高くなりにくい。その結果、当該上側ボア71a及び下側ボア73aの内径の膨張量も、中央ボア72aの内径の膨張量に比較して小さくなる。つまり、中央ボア72aの内径の膨張量はそれほど強く抑制されない一方で、上側ボア71a及び下側ボア73aの内径の膨張量は効果的に抑制される。これにより、内燃機関100の実働時においても、中央ボア72aの内径が、上側ボア71a及び下側ボア73aの内径よりも大きいという大小関係が変化することを抑制できる。
(2)内燃機関100の実働時においては、燃料の燃焼熱が、概ねシリンダブロック50の上側から下側に伝達される。そのため、上側ボア71aの内壁面の温度は、下側ボア73aの内壁面の温度に比べて高くなりやすい。
本実施形態では、気筒70aの中心軸線70bを含む断面において、上側ウォータジャケットの断面積は、下側ウォータジャケットの断面積よりも大きくなっている。そのため、上側ウォータジャケットを流通する冷却水量は、下側ウォータジャケットを流通する冷却水量よりも大きくなる。さらに、上側ウォータジャケットと気筒70aの上側ボア71aとを隔てる上側隔壁部86の平均厚みは、下側ウォータジャケットと気筒70aの下側ボア73aとを隔てる下側隔壁部87の平均厚みよりも小さくなっている。つまり、本実施形態では、全体として、上側ウォータジャケットの方が下側ウォータジャケットよりも気筒70aの近くに位置している。そのため、本実施形態では、燃料の燃焼熱によって温度が高くなりやすい上側ボア71aの内壁面を、より効率的に冷却できる。
(3)本実施形態では、上側凹部68は、気筒70aの軸線方向において、上側ボア71aの下端からブロック本体60の上面にまで至っている。すなわち、気筒70aの上側ボア71aは、当該上側ボア71aの軸線方向全域において、冷却水が流通する上側ウォータジャケットによって取り囲まれている。そのため、上側ボア71aの軸線方向全域において、当該上側ボア71aの内壁面は、上側ウォータジャケットを流通する冷却水によって冷却される。これにより、上側ボア71aの軸線方向全域において、当該上側ボア71aの内径の膨張を抑制できる。
(4)本実施形態において、アルミニウム合金製のブロック本体60には、鋳鉄製のライナ70が固定されている。そのため、気筒70aにおける上側ボア71a、中央ボア72a、及び下側ボア73aの内径の熱膨張量は、アルミニウム合金製のブロック本体60だけでなく、鋳鉄製のライナ70の影響を受ける。本実施形態では、ライナ70における上側壁71及び下側壁73の厚みは、ライナ70における中央壁72の厚みよりも大きくなっている。そのため、気筒70aにおける上側ボア71a及び下側ボア73aの内径の膨張量は、気筒70aにおける中央ボア72aに比べて、鋳鉄製のライナ70の影響を受けやすい。すなわち、気筒70aにおける上側ボア71a及び下側ボア73aの内径は、線膨張係数が小さい鋳鉄製のライナ70を反映して膨張しにくくなっている。一方、気筒70aにおける中央ボア72aの内径の膨張量は、気筒70aにおける上側ボア71a及び下側ボア73aに比べて、アルミニウム合金製のブロック本体60の影響を受けやすい。すなわち、気筒70aにおける中央ボア72aの内径は、線膨張係数が大きいアルミニウム合金製のブロック本体60を反映して膨張しやすくなっている。これにより、気筒70aにおける上側ボア71a及び下側ボア73aの内径の膨張量は、気筒70aにおける中央ボア72aの内径の膨張量に比べて小さくなりやすい。
(5)例えば、ブロック本体60に独立した上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットを鋳造によって形成する場合には、上側ウォータジャケットや下側ウォータジャケットを形成するために砂製の中子を成形する工程が増えたり、中子を配置するために鋳造工程が複雑化したりすることもある。
本実施形態では、凹部65における中央凹部67にスペーサ80を配置するという簡便な構造によって、凹部65の内部空間を、冷却水を流通させるための上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットに区画している。そのため、ブロック本体60に独立した上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットを形成するに際して、ブロック本体60を製造するための工程が増えたり、ブロック本体60を製造するための工程が複雑化したりすることを抑制できる。したがって、本実施形態では、ブロック本体60に独立した上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットを形成する場合に比べて、簡便な工程でシリンダブロック50を製造できる。
(6)本実施形態では、スペーサ80が、段差69に当接した状態で凹部65における中央凹部67に配置されている。つまり、スペーサ80は、段差69に当接することで、中央凹部67の内部において気筒70aの軸線方向の位置が決められている。そのため、シリンダブロック50の製造するときには、中央凹部67の内部の所定の位置にスペーサ80が確実に配置される。その結果、本実施形態では、スペーサ80が中央凹部67の内部の意図した位置に配置されないことに起因して、冷却水を流通させるための上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットの形状や断面積が変化することを抑制できる。
(7)ブロック本体60の鋳造工程において、第1金型及び第2金型の間の空間で固まった金属から第1金型を離型させるときには、ブロック本体60の凹部65から第1金型の凸部を取り出す。ここで、本実施形態では、凹部65における下側凹部66、中央凹部67、及び上側凹部68の溝幅が、下側から上側に向かうほど大きくなっている。そのため、ブロック本体60から第1金型を離型させるときには、気筒70aの中心軸線70bに沿って第1金型を離型させることで、ブロック本体60における凹部65の内壁面と第1金型の凸部の外壁面とが干渉しにくい。すなわち、シリンダブロック50は、金型を利用して簡便な製造が可能である。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態において、凹部65の形状は変更できる。例えば、気筒70aの中心軸線70bを含む断面において、上側凹部68の断面積は、下側凹部66の断面積と同じになっていたり、下側凹部66の断面積よりも小さくなっていたりしてもよい。
・また、例えば、気筒70aの軸線方向において、上側凹部68の下端は、上側ボア71aの下端よりも下側に位置していたり、上側ボア71aの下端よりも上側に位置していたりしてもよい。この場合にも、気筒70aの軸線方向において、冷却水が流通する上側凹部68及び下側凹部66が離間していれば、中央ボア72aは上側ボア71aよりも冷却されにくいので、中央ボア72aの内径は膨張しやすい。同様に、下側凹部66の上端は、下側ボア73aの上端よりも上側に位置していたり、下側ボア73aの上端よりも下側に位置していたりしてもよい。
・さらに、例えば、上側凹部68の溝幅は、気筒70aの軸線方向において、一定の幅になっていてもよい。同様に、中央凹部67、及び下側凹部66の溝幅は、気筒70aの軸線方向において、一定の幅になっていてもよい。
・また、例えば、中央凹部67における下端部の溝幅は、下側凹部66における上端部の溝幅と同じになっていてもよい。すなわち、下側凹部66の上端部と中央凹部67の下端部との間に段差69が生じていなくてもよい。
・上記実施形態において、スペーサ80の形状は変更できる。例えば、スペーサは、中央凹部67の空間形状に対応した形状の本体部と、本体部の下面から下側に突出した脚部とを備えていてもよい。そして、スペーサの脚部が下側凹部66の底面に当接していれば、スペーサの本体部を凹部65の中央凹部67に配置させることができる。なお、スペーサの脚部の大きさが下側凹部66の溝幅よりも小さくなっていれば、下側凹部66が下側ウォータジャケットとして機能する。
・上記実施形態において、気筒70aと凹部65とを隔てる壁部の厚みは変更できる。例えば、上側隔壁部86の平均厚みは、下側隔壁部87の平均厚みと同じになっていたり、下側隔壁部87の平均厚みよりも大きくなっていたりしてもよい。
・上記実施形態において、ライナ70の形状は変更できる。例えば、中央壁72の外径は、上側壁71及び下側壁73の外径と同じになっていたり、上側壁71及び下側壁73の外径よりも大きくなっていたりしてもよい。また、例えば、中央壁72の厚みは、上側壁71及び下側壁73の厚みと同じになっていたり、上側壁71及び下側壁73の厚みよりも大きくなっていたりしてもよい。
・さらに、例えば、上側壁71の内径は、下側壁73の内径よりも大きくなっていたり、下側壁73の内径よりも小さくなっていたりしてもよい。また、例えば、上側壁71の外径は、下側壁73の外径よりも大きくなっていたり、下側壁73の外径よりも小さくなっていたりしてもよい。
・上記実施形態において、ブロック本体60及びライナ70の材質は変更できる。例えば、ブロック本体60の材質が鋳鉄であったり、ライナ70の材質がアルミニウム合金であったりしてもよい。つまり、ライナ70の材質の線膨張係数は、ブロック本体60の材質の線膨張係数と同じであったり、ブロック本体60の材質の線膨張係数よりも大きくなっていたりしてもよい。また、ブロック本体60及びライナ70が同じ材質であってもよい。
・上記実施形態において、シリンダブロック50における気筒70aの数は変更できる。シリンダブロック50の内部には、2つ以下の気筒70aが区画されてもよいし、4つ以上の気筒70aが区画されていてもよい。
・上記実施形態において、シリンダブロック50の製造方法は変更できる。例えば、鋳造方法の一種である砂型鋳造によってシリンダブロック50を製造してもよい。
・上記実施形態において、ブロック本体60における上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットは、それぞれ独立して形成されていてもよい。例えば、ブロック本体60を鋳造するとき、予め成形された砂製の中子を、第1金型及び第2金型の間の空間に配置することで、独立した上側ウォータジャケット及び下側ウォータジャケットを形成してもよい。
10…シリンダヘッド、11…吸気ポート、12…排気ポート、15…下面凹部、20…クランクケース、31…ピストン、41…吸気バルブ、42…排気バルブ、43…点火プラグ、50…シリンダブロック、60…ブロック本体、63…貫通孔、65…凹部、66…下側凹部、67…中央凹部、68…上側凹部、69…段差、70…ライナ、70a…気筒、70b…中心軸線、71…上側壁、71a…上側ボア、72…中央壁、72a…中央ボア、73…下側壁、73a…下側ボア、80…スペーサ、86…上側隔壁部、87…下側隔壁部、90…燃焼室、100…内燃機関。

Claims (6)

  1. ピストンが往復動する気筒、及び冷却水が流通するウォータジャケットが区画されたシリンダブロックであって、
    前記気筒は、前記気筒の軸線方向において、シリンダヘッドが固定される側から順に、上側ボアと、前記上側ボアに接続されるとともに前記上側ボアよりも内径が大きい中央ボアと、前記中央ボアに接続されるとともに前記中央ボアよりも内径が小さい下側ボアとを備え、
    前記ウォータジャケットは、
    前記上側ボアを前記気筒の径方向外側から取り囲む上側ウォータジャケットと、前記下側ボアを前記気筒の径方向外側から取り囲む下側ウォータジャケットとを備えており、
    前記上側ウォータジャケット及び前記下側ウォータジャケットは、前記気筒の軸線方向において前記ウォータジャケットが形成されていない非形成領域を挟んで離間して配置されている
    シリンダブロック。
  2. 前記気筒の中心軸線を含む断面での断面視において、前記上側ウォータジャケットの流路断面積は、前記下側ウォータジャケットの流路断面積よりも大きくなっており、
    前記上側ウォータジャケットと前記気筒とを隔てる上側隔壁部の平均厚みは、前記下側ウォータジャケットと前記気筒とを隔てる下側隔壁部の平均厚みよりも小さい
    請求項1に記載のシリンダブロック。
  3. 前記シリンダヘッドが固定される側の端面においては、凹部が窪んでおり、
    前記凹部は、前記上側ボア、前記中央ボア、及び前記下側ボアを、前記気筒の径方向外側から取り囲んでおり、
    前記凹部には、前記非形成領域を構成するスペーサが配置されており、
    前記スペーサは、前記凹部の内部空間を、前記上側ウォータジャケット及び前記下側ウォータジャケットに区画している
    請求項1又は請求項2に記載のシリンダブロック。
  4. 前記凹部は、前記シリンダヘッドが固定される側の端面から前記気筒の中心軸線に沿って窪むように延びており、
    前記凹部の溝幅は、前記シリンダヘッドが固定される側に向かうほど大きくなっている
    請求項3に記載のシリンダブロック。
  5. 前記凹部は、
    前記下側ボアを取り囲む第1凹部と、前記第1凹部から前記シリンダヘッドが固定される側の端面にまで延びる第2凹部とを備え、
    前記第2凹部における前記第1凹部側の端部の溝幅は、前記第1凹部における前記第2凹部側の端部の溝幅よりも大きくなっており、
    前記スペーサは、前記第1凹部と前記第2凹部との間の段差に当接している
    請求項3又は請求項4に記載のシリンダブロック。
  6. 円柱状の貫通孔が貫通しているブロック本体と、前記貫通孔の内周面に固定されて前記気筒の内壁面を構成する円筒形状のライナとを備えており、
    前記ライナの材質は、前記ブロック本体の材質よりも線膨張係数が小さくなっており、
    前記ライナにおいて前記上側ボアの内壁面を構成する部分の厚み及び前記ライナにおいて前記下側ボアの内壁面を構成する部分の厚みは、前記ライナにおいて前記中央ボアの内壁面を構成する部分の厚みよりも大きい
    請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のシリンダブロック。
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