JP2020148068A - 座屈防止部材及び柱の補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 既存柱にも適用が可能であり、効率よく柱を補強することが可能な座屈防止部材及び柱の補強構造を提供する。【解決手段】 柱3の長手方向に沿って、柱3の外面には座屈防止部材10が配置される。座屈防止部材10は、柱3の全長にわたって配置される。補強縦部材15は、柱3の上下方向に沿って略全長にわたって配置される。補強縦部材15の長手方向の両端部近傍には固定部材11aが配置され、補強縦部材15の長手方向の中央部近傍には固定部材11bが配置される。補強縦部材15の長手方向の略中央部には、柱3とは逆側に向くように起立する起立部材19が配置される。補強縦部材15の上下方向の両端に配置された固定部材11aと起立部材19の端部とは、補強斜材17によって連結される。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば耐震補強のための座屈防止部材及び柱の補強構造に関するものである。
地震による構造体の倒壊等を防ぐため、柱等の構造体に対しては、所定以上の耐震強度が要求されている。しかし、現在の耐震基準となる前に建設された構造体には、現在のような厳しい耐震強度が要求されていなかったため、古い構造体は、現在の耐震基準を満たしていない場合がある。
しかし、柱等の構造体のすべてを新たに再構築するのは時間もコストもかかる。このため、既存の柱を補強する方法がとられる。
このような既存の柱を補強する方法としては、既存柱の柱脚部の周囲にコンクリートを打設して、鉄筋コンクリート根巻き部を構築する方法がある(例えば特許文献1)。
また、鋼材柱の外周を鋼板で覆い、鋼材柱と鋼板との間に鉄筋が配置されてグラウト材が充填された補強構造がある(例えば特許文献2)。
しかし、特許文献1のように、柱脚部の補強を行ったのみでは、柱の座屈を抑制することはできない。例えば、トラス柱やラチス柱などの組立柱では、柱脚部を補強しても、上下方向に強い荷重が付与されると、柱の座屈の恐れがあり、座屈に対しても補強が必要である。
しかし、特許文献2のように、全体を鋼板とグラウト材で覆う方法は、構造が大掛かりとなり、柱が大型化するため、周囲のスペースが狭くなる。また、例えば組立柱のような柱に適用すると、鋼板等によって完全に組立柱が埋設されるため、視界が遮られ、既存柱の向こう側を視認することができなくなる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、既存柱にも適用が可能であり、効率よく柱を補強することが可能な座屈防止部材及び柱の補強構造を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、第1の発明は、柱を補強するための座屈防止部材であって、柱の上下方向に沿って配置される補強縦部材と、少なくとも、前記補強縦部材の長手方向の両端部近傍及び中央部近傍において配置され、柱の外面に固定される固定部材と、前記補強縦部材の長手方向の略中央部に起立する起立部材と、前記補強縦部材の両端部近傍と前記起立部材の端部とを連結する補強斜材と、を具備することを特徴とする座屈防止部材である。
第1の発明によれば、補強縦部材の略中央部において起立する起立部材に補強斜材が配置されるため、補強縦部材が、起立部材側に変形することが抑制される。このため、補強縦部材を柱に沿って配置することで、柱の変形を効率よく抑制することができる。このため、柱に圧縮力が付与された際に、柱が座屈することを抑制することができる。
第2の発明は、第1の座屈防止部材を用いた柱の補強構造であって、前記起立部材が、前記柱とは逆側に向くように、前記柱の長手方向に沿って、前記柱の外面に座屈防止部材が配置されることを特徴とする柱の補強構造である。
前記柱は、縦材と、前記縦材同士を連結する斜材とを有する組立柱であり、前記固定部材の端部は、前記縦材に固定されてもよい。
前記柱の前記縦材と前記座屈防止部材の前記固定部材との固定部には、前記固定部材とは一体又は別体でスペーサが配置され、前記座屈防止部材と前記柱との間には隙間が形成されることが望ましい。
上下方向の両端の前記固定部材には孔が形成され、前記補強縦部材の両端部が前記孔に挿入され、上下方向の両端の前記固定部材と前記補強縦部材とが縁切りされていてもよい。
前記座屈防止部材が、前記柱の長手方向に、互いの一部が重なり合うように複数配置され、複数の前記座屈防止部材の前記起立部材の端部同士が接続されてもよい。
前記座屈防止部材が、前記柱の外周面の4面に配置されることが望ましい。
第2の発明によれば、柱を外周側から効率良く押さえることができ、柱が座屈することを抑制することができる。
また、柱が組立柱の場合にも適用が容易であり、この際、柱の外周をコンクリートや鋼板等で覆うことがないため、視界を遮ることもない。
また、スペーサによって、柱と座屈防止部材との間に隙間が形成されるため、柱の外周部に配管等が設置される場合でも、座屈防止部材と配管等とが干渉することがない。
また、上下方向の両端の固定部材と補強縦部材とが縁切りされていることで、柱にかかる圧縮力が補強縦部材に伝達されることがなく、補強縦部材が座屈することを抑制することができる。
また、複数の座屈防止部材を、座屈防止部材同士が長手方向に互いの一部が重なり合うように配置し、起立部材の端部同士を接続することで、座屈防止部材の全長を短くすることができる。
また、座屈防止部材を柱の外周面の4面に配置することで、柱の全ての方向に対する座屈による変形を防止することができる。
本発明によれば、既存柱にも適用が可能であり、効率よく柱を補強することが可能な座屈防止部材及び柱の補強構造を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態にかかる柱の補強構造1について説明する。図1は、柱の補強構造1を示す斜視図であり、図2は、柱の補強構造1の正面図、図3は、図2のA−A線断面図である。なお、図1〜図3においては、柱の一面のみを示し、他の面の図示を省略する。
柱の補強構造1は、柱3と座屈防止部材10等から構成される。柱3は、縦材5と、縦材5の間に斜めに配置される斜材7とを有する。柱3は、例えば複数のトラスによって構成される組立柱である。すなわち、柱3は、4本の縦材5(図では2本のみ示す)が配置され、それぞれの縦材5の間に、縦材5同士を連結するように複数の斜材7が配置される。
なお、柱3は、組立柱ではなく、角柱やH鋼柱であってもよい。柱3が組立柱である場合には、座屈防止部材10が取り付けられた柱3の背面側も視認することができる。また、柱の補強構造1は、既設の柱3に対する補強であってもよく、柱3を新設する際に適用されてもよい。
柱3の長手方向に沿って、柱3の外面には座屈防止部材10が配置される。座屈防止部材10は、柱3の全長にわたって配置される。
座屈防止部材10は、主に、補強縦部材15、固定部材11a、11b、起立部材19、補強斜材17等から構成される。補強縦部材15は、柱3の上下方向に沿って柱3の略全長にわたって配置される。補強縦部材15の長手方向の両端部近傍には固定部材11aが配置され、補強縦部材15の長手方向の中央部近傍には固定部材11bが配置される。固定部材11a、11bは、柱3の外面に固定される。より詳細には、固定部材11a、11bは、一対の縦材5にまたがるように柱3の幅方向に配置され、固定部材11a、11bの端部が縦材5に接合される。
ここで、図3に示すように、固定部材11a、11bと柱3(縦材5)との間には、スペーサ13が配置される。すなわち、柱3の縦材5と座屈防止部材10の固定部材11a、11bとの固定部にはスペーサ13が配置され、固定部材11a、11bは、スペーサ13を介して縦材5と接合される。なお、スペーサ13は、固定部材11a、11bと一体であってもよいし、別体であってもよい。
このように、柱3と座屈防止部材10の間にスペーサ13を配置することで、座屈防止部材10と柱3との間に、スペーサ13の厚みに応じた隙間9を形成することができる。柱3と座屈防止部材10との間に隙間9を形成することで、柱3の外周に配管等を配置する場合でも、配管等と座屈防止部材10とが干渉することがない。
なお、固定部材11a、11bとスペーサ13と縦材5とは、それぞれ溶接で接合されてもよく、または、ボルト等で接合されてもよい。
補強縦部材15の長手方向の略中央部には、柱3とは逆側に向くように起立する起立部材19が配置される。なお、固定部材11a、11b、補強縦部材15及び起立部材19は、例えばH形鋼などの鋼材である。
補強縦部材15の上下方向の両端部近傍と起立部材19の端部とは、補強斜材17によって連結される。すなわち、補強斜材17は、補強縦部材15に対して斜めに配置され、補強縦部材15の両端部近傍から起立部材19の頂部にわたって配置される。補強斜材17は、例えば鋼線(鋼棒)などの長尺体が使用される。なお、補強斜材17には、所定の張力が付与されてもよい。
図4は、図3のB部拡大図である。上下方向の両端の固定部材11aにはそれぞれ孔21が形成される。補強縦部材15の両端部には、他の部位よりも外径の小さな縮径部15aが形成される。縮径部15aは孔21に挿入される。なお、縮径部15aは、補強縦部材15の端部の一部を切り欠いて形成してもよく、または、鋼棒等を溶接してもよい。すなわち、補強縦部材15の上下方向の両端部に配置される固定部材11aは、補強縦部材15とは接合されない。なお、補強縦部材15は、長手方向中央部に位置する固定部材11bとのみと接合される。
補強縦部材15の縮径部15aを除く部位の長さは、柱3の上下の両端部近傍に配置された固定部材11aの間隔よりもわずかに短い。このように、補強縦部材15と固定部材11aとが縁切りされており、補強縦部材15と固定部材11aとの間にはクリアランスが形成されるため、柱3に圧縮力(固定部材11a同士が近づく方向の力)が付与された際にも、圧縮応力が補強縦部材15に伝達されることがない。このため、柱3にかかる圧縮力が補強縦部材15に伝達されることにより、補強縦部材15が座屈することを抑制することができる。
図5は、柱の補強構造1の平面図である。前述したように、柱3は、略矩形であり、図示した例では、柱3は、略正方形の断面形状である。この場合、座屈防止部材10は、柱3の外周面の4面にそれぞれ配置される。
柱3に圧縮力が付与され、柱3が座屈する際には、柱3は、少なくとも一方の方向に膨らむように変形する。しかし、柱3の外周部には座屈防止部材10が配置され、柱3は、補強縦部材15及び固定部材11a、11bによって外周側から押さえられる。また、補強斜材17によって補強縦部材15は、略中央部が外周側から押さえられているため、補強縦部材15の変形が抑制される。このように、柱3の各方向に座屈防止部材10が配置されることで、柱3は、いずれの方向に対しても変形が抑制される。このため、柱3の座屈が抑制される。
なお、柱3の4面の全てに座屈防止部材10を配置する例を示したが、本発明はこれには限られない。図6は、柱の補強構造1aを示す平面図である。柱の補強構造1aでは、柱3が、略正方形ではなく長方形となる。この場合には、柱3の長辺側の外周部に、一対の座屈防止部材10を配置してもよい。すなわち、短辺側の外周部には座屈防止部材10を配置せず、長辺側の互いに対向する位置にのみ座屈防止部材10を配置してもよい。
柱3が長方形である場合には、柱3の断面係数によって、柱3は長辺の中心を中立軸とした曲がりに対して、短辺の中心を中立軸とした方向へ曲がりやすい。このため、柱3の曲がりやすい方向に対してのみ座屈防止部材10を配置することで、効率よく柱3の変形を抑制し、座屈を抑制することができる。
以上、本実施の形態によれば、柱3の外周部に座屈防止部材10を配置することで、柱3が圧縮力を受けた際に、柱3が座屈することを効率よく抑制することができる。この際、補強縦部材15は、補強斜材17によって外方から押さえられているため、補強縦部材15自体が変形することを抑制することができる。
また、柱3と座屈防止部材10の間にスペーサ13を配置することで、座屈防止部材10と柱3との間に隙間9を形成することができる。このため、柱3の外周に配管等を配置する場合でも、配管等と座屈防止部材10とが干渉することがない。
また、補強縦部材15の両端部が固定部材11aと接合されずに、縁が切れているため、柱3に圧縮力が付与された際に、補強縦部材15に圧縮力が伝達されることがない。このため、柱3に対する圧縮力によって補強縦部材15が座屈することがない。
このように、本実施形態の座屈防止部材10は、既設の柱3に対しても容易に取り付けることが可能である。また、柱の全体を覆うものと比較して、施工が容易であり、柱3が組立柱の場合には、座屈防止部材10を配置しても、ほとんど視界を遮ることがない。
なお、柱3から座屈防止部材10への力は、固定部材11a、11bの位置のみで伝達されるが、固定部材11a、11bの間であって補強縦部材15の内側にスペーサ部材等を接合して、スペーサ部材等を柱3の縦材5又は斜材7に接触させてもよい。このようにすることで、柱3からの力を、固定部材11a、11bのみではなく、当該スペーサ部材の位置においても補強縦部材15へ伝達することができる。
また、座屈防止部材10は、柱3の全長にわたって配置する必要があるが、必ずしも補強縦部材15が柱3と同じ長さでなくてもよい。例えば、図7に示す柱の補強構造1bのように、複数の座屈防止部材10を柱3の全長にわたって配置してもよい。
この場合には、座屈防止部材10が、柱3の長手方向に、互いの一部が重なり合うように複数配置される。なお、座屈防止部材10のそれぞれの補強縦部材15は、互いが干渉しないように、柱3の幅方向に対してずらして配置される。また、複数の座屈防止部材10をちょうど長さの半分だけずらして配置することで、互いの固定部材を共有することができる。
例えば、最も上方に位置する固定部材11aは、上方の座屈防止部材10の固定部材としてのみ機能し、最も下方に位置する固定部材11aは、下方の座屈防止部材10の固定部材としてのみ機能する。一方、それぞれの座屈防止部材10の中央部には、固定部材11bに代えて、固定部材11cが配置される。
固定部材11cは、一方の座屈防止部材10の補強縦部材15と接合されるが、他方の座屈防止部材10の補強縦部材15とは接合されずに縁切りされる。例えば、上方の固定部材11c(図中上から2番目の固定部材)は、上方の座屈防止部材10の補強縦部材15と接合されるが、下方の座屈防止部材10の補強縦部材15の位置には、孔21が形成され、補強縦部材15の端部が孔21に挿入される。同様に、下方の固定部材11c(図中上から3番目の固定部材)は、下方の座屈防止部材10の補強縦部材15と接合されるが、上方の座屈防止部材10の補強縦部材15の位置には、孔21が形成され、補強縦部材15の端部が孔21に挿入される。
それぞれの座屈防止部材10の起立部材19の端部同士は、連結部材23で接続される。このようにすることで、座屈防止部材10同士の間で応力が伝達され、柱3の全長にわたって座屈を防止することができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a、1b………柱の補強構造
3………柱
5………縦材
7………斜材
9………隙間
10………座屈防止部材
11a、11b、11c………固定部材
13………スペーサ
15………補強縦部材
15a………縮径部
17………補強斜材
19………起立部材
21………孔
23………連結部材
3………柱
5………縦材
7………斜材
9………隙間
10………座屈防止部材
11a、11b、11c………固定部材
13………スペーサ
15………補強縦部材
15a………縮径部
17………補強斜材
19………起立部材
21………孔
23………連結部材
Claims (7)
- 柱を補強するための座屈防止部材であって、
柱の上下方向に沿って配置される補強縦部材と、
少なくとも、前記補強縦部材の長手方向の両端部近傍及び中央部近傍において配置され、柱の外面に固定される固定部材と、
前記補強縦部材の長手方向の略中央部に起立する起立部材と、
前記補強縦部材の両端部近傍と前記起立部材の端部とを連結する補強斜材と、
を具備することを特徴とする座屈防止部材。 - 請求項1記載の座屈防止部材を用いた柱の補強構造であって、
前記起立部材が、前記柱とは逆側に向くように、前記柱の長手方向に沿って、前記柱の外面に座屈防止部材が配置されることを特徴とする柱の補強構造。 - 前記柱は、縦材と、前記縦材同士を連結する斜材とを有する組立柱であり、
前記固定部材の端部は、前記縦材に固定されることを特徴とする請求項2記載の柱の補強構造。 - 前記柱の前記縦材と前記座屈防止部材の前記固定部材との固定部には、前記固定部材とは一体又は別体でスペーサが配置され、前記座屈防止部材と前記柱との間には隙間が形成されることを特徴とする請求項3記載の柱の補強構造。
- 上下方向の両端の前記固定部材には孔が形成され、前記補強縦部材の両端部が前記孔に挿入され、上下方向の両端の前記固定部材と前記補強縦部材とが縁切りされていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の柱の補強構造。
- 前記座屈防止部材が、前記柱の長手方向に、互いの一部が重なり合うように複数配置され、
複数の前記座屈防止部材の前記起立部材の端部同士が接続されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の柱の補強構造。 - 前記座屈防止部材が、前記柱の外周面の4面に配置されることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の柱の補強構造。
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Cited By (2)
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| KR102337874B1 (ko) * | 2020-11-26 | 2021-12-10 | 부산대학교 산학협력단 | 지진 피해를 입은 건축물에서 2차 피해를 막기 위한 h형강 기둥의 급속 보강 서포트 |
| KR102337872B1 (ko) * | 2020-11-26 | 2021-12-10 | 부산대학교 산학협력단 | 국부좌굴이 발생한 h형강의 2차 변형 방지를 위한 h형강 보강재 |
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| KR102337872B1 (ko) * | 2020-11-26 | 2021-12-10 | 부산대학교 산학협력단 | 국부좌굴이 발생한 h형강의 2차 변형 방지를 위한 h형강 보강재 |
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