JP2020162479A - 目の不調を改善する組成物及びその利用 - Google Patents

目の不調を改善する組成物及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性の点で優れ、従来とは全く異なる作用機序によって目の不調の改善効果を発揮する組成物の提供。【解決手段】ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌又は当該菌の培養物を有効成分として含む、目の不調を改善する組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、菌又はその培養物を有効成分とする目の不調を改善する組成物に関し、また当該組成物を利用した飲食品やサプリメントに関する。
近年、排気ガスやPM2.5による大気汚染の蔓延化やパソコンの普及による目の酷使によって、角膜の損傷、過剰な炎症反応が招く、目の痛みや痒み、視力の低下、ドライアイなど、目の不調を抱える者が多く存在し、社会問題化している。このような患者に対して、人工涙液や炎症抑制剤をはじめとする合成化合物の点眼によって涙液を補充する治療又は角膜の炎症を抑制する治療がなされている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、これら合成化合物は、化学物質過敏症状をはじめとした重篤な副作用を引き起こすことが報告されていることから必ずしも安全であるとは言えないという問題があった。その中でも点眼剤にしばしば配合されるステロイド剤は副作用があることが知られており、実際に眼圧低下や緑内障を引き起こすことが報告されている(非特許文献1)。このような背景から、従来公知の合成化合物やステロイド剤に代わって安全性の高い目の保護効果を有する物質を開発することが望まれている。
ところで、目の保護機能を担う成分として、涙液中のイムノグロブリンA(IgA)が知られている。涙液に含まれるIgAは、外界から侵入する細菌、ウイルス、花粉、ハウスダストなどの異物に結合することで中和・不活化に導き、涙液とともに外界に排除する機能を有しており、目の保護において重要な役割を担うことが知られている。
例えば、特許文献3には、乳酸菌を有効成分として含んでなる、眼疲労の抑制又は改善に用いるための組成物が開示されている。具体的に、特許文献3には、ラクトバチラス・パラカゼイの死滅菌体によって、ブルーライト照射によるヒト網膜色素上皮細胞に対する細胞死滅効果を抑制したことが開示されている。しかしながら、特許文献3には乳酸菌としてラクトバチラス・パラカゼイを開示するにすぎず、ビフィズス菌など他の乳酸菌については眼疲労の抑制又は改善に有効か検討されていないし、VDT(Visual Display Terminal)作業に伴って起こる眼疲労の抑制又は改善に限定されている。
なお、ビフィズス菌については、ヒトや動物の腸管常在細菌であるとともに、整腸作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、免疫賦活作用など、宿主に対して保健効果をもたらす有益なプロバイオティクスの一種として広く知られている。また、ビフィズス菌は発酵乳などの乳製品の発酵に利用され、その長い食経験の期間からも、極めて高い安全性を有していることは周知の事実である。さらに、ビフィズス菌はIgA産生を誘導する報告がある(特許文献4)。しかしながら、これまでにビフィズス菌が目の保護効果を発揮することは全く知られていなかった。
特開2017−141243号公報 特開2017−95474号公報 特開2018−43986号公報 特開平6−234647号公報
U. Pleyer et al., Ophthalmol Ther, 2, 55−72,(2013)
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、従来とは全く異なる作用機序によって目の不調の改善効果を発揮することができ、かつ安全性の点でも優れている組成物及び当該組成物の用途を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した結果、全く意外なことにビフィズス菌であるビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌に従来とは全く異なる作用機序によって目の不調を改善する効果があることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌又は当該菌の培養物を有効成分として含む、目の不調を改善する組成物。
(2)上記ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、またはビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の菌であることを特徴とする(1)記載の組成物。
(3)上記ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌がビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)KMH001株(NITE P−02534)であることを特徴とする(1)記載の組成物。
(4)上記有効成分は、涙液中のイムノグロブリンA量を増加させることを特徴とする(1)記載の組成物。
(5)上記ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌を加熱処理したものを有効成分とすることを特徴とする(1)記載の組成物。
(6)上記加熱処理後の菌は、上記加熱処理前の菌と比較してイムノグロブリンA産生促進活性が高いことを特徴とする(5)記載の組成物。
(7)上記目の不調は、目の乾き、目やに、目の赤み、目の疲れ、目の異物感、目の痛み、目のかすみ、目の痒みからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の症状であることを特徴とする(1)記載の組成物。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか記載の組成物を含む飲食品又はサプリメント。
(9)上記(1)〜(7)のいずれか記載の組成物を含む飼料又は飼料添加物。
本発明に係る目の不調を改善する組成物は、合成化合物と異なる点で副作用の発症可能性が極めて低く、またビフィズス菌の一種として知られるビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌又は当該菌の培養物を有効成分とするため極めて安全性に優れたものとなる。
また、本発明に係る目の不調を改善する組成物を利用することによって、極めて安全性の高い飲食品、サプリメント、ペットフード、ペット用サプリメント、飼料及び飼料添加物等を提供することができる。
ビフィドバクテリウム属に属する菌の乾燥菌体及び加熱処理菌体によるIgA産生促進活性を評価した特性図である。 ビフィドバクテリウム・ロンガムKMH001株の加熱処理菌体を含む顆粒製剤による涙液中のIgA産生効果を示す特性図である。 ビフィドバクテリウム・ロンガムKMH001株の加熱処理菌体を含む顆粒製剤による目の不調の改善効果を示す特性図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<目の不調を改善する組成物>
本発明に係る目の不調を改善する組成物は、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌(以下、ビフィズス菌と称する場合もある)又は当該菌の培養物を有効成分としている。当該組成物は、細胞に対するIgA産生促進作用を有するため涙液中のIgA量を高めることができ、その結果、目の不調を改善することができる。当該組成物は、天然物を有効成分としているため、従来の合成化学物質と比較して、化学物質過敏症状をはじめとした重篤な副作用を生ずる可能性が極めて低い。
ここで、本発明に係る組成物に使用されるビフィズス菌としては、生菌体及び死菌体の何れも含む意味である。また、ビフィズス菌は、生菌体及び/又は死菌体を凍結乾燥などの乾燥処理した乾燥菌体であってもよく、培養液から単離した湿潤菌体でも良いし、生菌体及び/又は死菌体を破砕処理した菌体破砕物でも良いし、菌体成分でもよい。
一方、ビフィズス菌の「培養物」とは、当該菌を培養した培養液、当該培養液に対して所定の処理を施した培養液処理物等を含む意味である。培養液に対する処理としては、特に限定されないが、乾燥処理、加熱処理、菌体死滅化処理、酵素処理、破砕処理、濾過処理、成分抽出処理等を挙げることができる。したがって「培養物」としては、培養液そのもののみならず、培養液の凍結乾燥物、培養液の加熱処理物、培養液に対して放射線照射や抗生物質処理、化学物質処理した処理物、細胞壁を溶解する酵素を培養液に添加した処理物、超音波処理により細胞壁を破砕した処理物、界面活性剤により細胞壁を溶解処理した処理物等が含まれる。また、「培養物」は、菌体を培養した培養液から菌体を除去した培養液濾過液でも良いし、培養液から単離した菌体を懸濁した菌体懸濁液でも良い。また、培養物の形態としては、固形物、粉末状、顆粒状、ペースト状、液状などいずれの形態であってもよい。
また、ビフィズス菌としては、特に限定されず、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する従来公知の種を広く使用することができる。ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する微生物としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アクチノコロニフォルム(Bifidobacterium actinocoloniiforme)、ビフィドバクテリウム・アエロフィルム(Bifidobacterium aerophilum)、ビフィドバクテリウム・アエスクラピ(Bifidobacterium aesculapii)、ビフィドバクテリウム・アングラタム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・アクアフィリ(Bifidobacterium aquikefiri)、ビフィドバクテリウム・アステロイデス(Bifidobacterium asteroides)、ビフィドバクテリウム・アヴェサニ(Bifidobacterium avesanii)、ビフィドバクテリウム・ビアヴァティ(Bifidobacterium biavatii)、ビフィドバクテリウム・ボヘミカム(Bifidobacterium bohemicum)、ビフィドバクテリウム・ボムビ(Bifidobacterium bombi)、ビフィドバクテリウム・ボーム(Bifidobacterium boum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・コーリトリチョス(Bifidobacterium callitrichos)、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・チョエリナム(Bifidobacterium choerinum)、ビフィドバクテリウム・コミューン(Bifidobacterium commune)、ビフィドバクテリウム・コリネフォーム(Bifidobacterium coryneforme)、ビフィドバクテリウム・クルディラクティス(Bifidobacterium crudilactis)、ビフィドバクテリウム・クニクリ(Bifidobacterium cuniculi)、ビフィドバクテリウム・デンティコレンス(Bifidobacterium denticolens)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・エルムリス(Bifidobacterium eulemuris)、ビフィドバクテリウム・フィーカル(Bifidobacterium faecale)、ビフィドバクテリウム・ガリカム(Bifidobacterium gallicum)、ビフィドバクテリウム・ガリナルム(Bifidobacterium gallinarum)、ビフィドバクテリウム・ハパリ(Bifidobacterium hapali)、ビフィドバクテリウム・インディカム(Bifidobacterium indicum)、ビフィドバクテリウム・イントピナタム(Bifidobacterium intopinatum)、ビフィドバクテリウム・カシワノヘンス(Bifidobacterium kashiwanohense)、ビフィドバクテリウム・レムラム(Bifidobacterium lemurum)、ビフィドバクテリウム・マグナム(Bifidobacterium magnum)、ビフィドバクテリウム・メリーシカム(Bifidobacterium merycicum)、ビフィドバクテリウム・ミニマム(Bifidobacterium minimum)、ビフィドバクテリウム・モンゴリエンス(Bifidobacterium mongoliense)、ビフィドバクテリウム・ムカラベンス(Bifidobacterium moukalabense)、ビフィドバクテリウム・マイオソティス(Bifidobacterium myosotis)、ビフィドバクテリウム・パービュロラム(Bifidobacterium parvulorum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・サイキャラエロフィラム(Bifidobacterium psychraerophilum)、ビフィドバクテリウム・プローラム(Bifidobacterium pullorum)、ビフィドバクテリウム・ラマサム(Bifidobacterium ramosum)、ビフィドバクテリウム・ロイテリ(Bifidobacterium reuteri)、ビフィドバクテリウム・ルミナル(Bifidobacterium ruminale)、ビフィドバクテリウム・ルミナンティウム(Bifidobacterium ruminantium)、ビフィドバクテリウム・サーキュラー(Bifidobacterium saeculare)、ビフィドバクテリウム・サグイニ(Bifidobacterium saguini)、ビフィドバクテリウム・スカードビイ(Bifidobacterium scardovii)、ビフィドバクテリウム・シミアー(Bifidobacterium simiae)、ビフィドバクテリウム・ステレンドスチェンス(Bifidobacterium stellenboschense)、ビフィドバクテリウム・サブチル(Bifidobacterium subtile)、ビフィドバクテリウム・サーマシドフィラム(Bifidobacterium thermacidophilum)、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)、ビフィドバクテリウム・ティシーエリ(Bifidobacterium tissieri)及びビフィドバクテリウム・ツルミエンス(Bifidobacterium tsurumiense)を挙げることができる。
なかでも、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌としては、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)とすることが好ましい。さらに、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌としては、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)KMH001株とすることが更に好ましい。ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、なかでもKMH001株を使用することで、目の不調を改善する効果を顕著に奏することができる。
なお、ヒト由来ビフィズス菌であるビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託番号:NITE P−02534として寄託されている。当核菌株の性状は、以下に示している通りである。
(1)形態学的性状
MRS寒天培地(日本ベクトン・ディッキンソン)で37℃、48時間培養後の観察では、細胞の大きさが0.8×2.0〜4.0μmの桿菌であり、運動しない。胞子形成はなく、グラム染色は陽性である。
(2)培養学的性状
MRS寒天培地で37℃、48時間培養後のコロニーは直径2〜3mm、点形、全縁である。コロニーの色調は乳白色で、スムーズである。
(3)生理学的性状
ガス産生:陰性
カタラーゼ活性:陰性
インドール産生:陰性
酸素に対する態度:偏性嫌気性
至適生育温度:37〜39℃
至適生育pH:pH5.5〜5.8
上述した各種ビフィズス菌は、常法に従って任意の条件で培養することができる。培養方法については特に限定されず、従来公知の方法を適宜選択して使用することができる。培養温度は一般的に20〜43℃が望ましく、37〜39℃がより望ましいが、菌が生育する温度であれば他の温度条件でもよい。培養中の培地のpHは3.0〜8.0に維持することが望ましく、5.5〜5.8に維持することがより望ましいが、菌が生育するpHであれば他のpH条件でもよい。培養時間は通常12〜72時間が好ましいが、菌が生育することが出来る時間であれば他の培養時間でもかまわない。
ビフィズス菌を培養するための培地には、特に限定されないが、増殖促進のための炭素源、その他生育に必須な成分を含む組成の培地を使用することができる。ビフィズス菌を培養するための培地としては、例えば、MRS培地、BL培地、GAM培地を使用することができる。炭素源としては、グルコース、ラクトース、スクロース、フルクトース、デンプン加水分解物、廃糖蜜などが使用できる。窒素源としては、カゼインの加水分解物、大豆タンパク質の加水分解物、馬鈴薯の加水分解物などが使用できる。
特に、本発明に係る組成物は、上述した各種ビフィズス菌又はその培養物を加熱処理したものを有効成分とすることが好ましい。上述した各種ビフィズス菌又はその培養物を加熱処理することで、加熱処理する前と比較して、IgA産生促進作用を亢進することができ、目の不調を改善するより優れた効果を奏することができる。加熱処理としては、特に限定されないが、例えば処理温度を65〜121℃とすることができ、80〜100℃とすることが好ましい。また、加熱処理時間は、加熱温度や圧力等の条件によって異なるが、例えば0.1秒〜60分間が好ましく、5分間〜30分間がより好ましい。
<組成物の用途>
本発明に係る組成物は、上述のように安全性に優れ、IgA産生促進作用を亢進することで目の不調を改善するより優れた効果を奏する。よって、本発明に係る組成物は、目の不調改善効果を有するものとして様々なものに適用することができる。
<飲食品、サプリメント>
一例としては、本発明に係る組成物を飲食品又はサプリメント(ヒト用)に適用することができる。飲食品としては、特に限定されず、例えば、健康食品、機能性食品、栄養補助食品及び特定保健用食品などを挙げることができる。飲食品又はサプリメント(ヒト用)の具体例としては、ジュース、清涼飲料水、茶飲料、ドリンク剤、ゼリー状飲料及び機能性飲料等の各種飲料;蒸留酒、清酒及びビール等のアルコール飲料;米飯類、麺類、パン類及びパスタ類等の炭水化物含有食品;カマボコ及びチクワ等の水産練り製品;ハム及びソーセージ等の畜産加工品;カレー、あんかけ及び中華スープ等のレトルト製品;スープ類;牛乳、乳飲料、アイスクリーム、チーズ及びヨーグルト等の乳製品;みそ、納豆、乳酸菌発酵飲料及び漬け物等の発酵製品;豆製品、ビスケット及びクッキーなどの洋菓子類;饅頭及び羊羹等の和菓子類;キャンディー類;ガム類;グミ、ゼリー及びプリンなどの冷菓や氷菓などの菓子類;インスタントスープ及びインスタントみそ汁等のインスタント食品;電子レンジ対応食品;マヨネーズ、ドレッシング及び味付け調味液等の調味料を挙げることができる。
また、上述した組成物を含む飲食品において、組成物の飲食品への添加時期は、特に制限されるものではなく、飲食品の製造工程中に添加してもよく、製造された飲食品に添加してもよい。あるいは、当該組成物を含む飲食品としては、当該組成物を個別に包装し、摂食時に添加するようにしても良い。
一方、サプリメントとは、栄養補助食品や健康補助食品とも呼称され、所定の栄養成分の摂取を補助する飲食品である。本発明に係る組成物は、従来公知のサプリメントに対して添加しても良い。或いは、本発明に係る組成物上述した組成物を粉末、穎粒、錠剤、カプセル剤、液状、ペースト状又はゼリー状に調製してサプリメントとしてもよい。
本発明に係る組成物を含む飲食品又はサプリメントは、IgA産生促進効果を有するため、IgA産生に基づく免疫機能改善用、免疫回復用、或いは免疫機能低下抑制用との用途を表示することができる。また、本発明に係る組成物を含む飲食品又はサプリメントは、目の不調改善効果を有するため、目の不調改善用、目の不調回復用、或いは目の不調抑制用との用途を表示することができる。ここで、「目の不調」とは、眼球、視神経及び眼付属器における目の不調、違和感及び疾病の何れであってもよい。より具体的に「目の不調」としては、目の乾き、目やに、目の赤み、目の疲れ、目の異物感、目の痛み、目のかすみ、目の痒み、まぶたの重みの改善、目やまぶたの腫れ、目の充血、近視、乱視、近眼、老眼、角膜炎、結膜炎、ドライアイ、白内障、緑内障、涙欠乏症、眼瞼炎、マイボム腺機能不全、眼精疲労、瞼裂斑及びものもらい等を挙げることができる。
また、表示とは、これら用途を知らしめるための全ての行為を含む意味である。具体的には、本発明に係る組成物を含む飲食品又はサプリメントを、上記用途を記載した包装で提供すること、上記用途を記載した印刷物とともに提供することができる。表示としては、行政等によって許可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましい。例えば、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができ、その他、行政庁により認可される表示、例えば、特定保健用食品、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができる。さらに詳細には、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示等を例示することができる。
<飼料及び飼料添加物>
一方、本発明に係る組成物の用途としては、上述したヒト用の飲食品やサプリメントに限定されず、ヒトを除く動物に対して与える飼料又は飼料添加物を挙げることができる。ここで、飼料とはペットフードを含む意味であり、飼料添加物とはペット用サプリメントを含む意味である。上述した本発明に係る組成物を飼料又は飼料添加物に使用することで、IgA産生促進効果及び目の不調改善効果を有する飼料及び飼料添加物を製造することができる。
ここで飼料とは、ヒトを除く動物に供される食物を意味する。飼料を供する対象の動物とは、脊椎動物、具体的には、ヒトを除く哺乳動物、例えば、霊長類(サル、チンパンジーなど)、家畜動物(ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、家禽類など)、ペット動物(「愛がん動物」ともいう)(イヌ、ネコなど)、実験動物(マウス、ラットなど)、競技用動物(ウマなど)、その他、爬虫類、鳥類(ニワトリなど)などである。好ましくは哺乳動物、鳥類およびペット動物であり、より好ましくは家畜動物及びペット動物である。
また、飼料は、上述した本発明に係る組成物の他に、トウモロコシ粉、米粉、糠などの穀粉、粕類、糠類、魚粉、骨粉、油脂類、脱脂粉乳、ホエー、鉱物質飼料、酵母類、無機物、アミノ酸、タンパク質、ビタミン類、脂質などを含んでいても良い。具体的には、日本標準飼料成分表(2009年版、農業・食品産業技術総合研究機構編)に記載されるような成分が含まれていても良い。
さらに、飼料及び飼料添加物は、例えば、タブレット状や粉末状の剤形として動物用、特にペット動物用のサプリメントとしても良い。或いは、本発明に係る飼料は、青刈り作物や生の牧草等の飼料作物をサイロに詰め、上述したビフィズス菌(一例としてBifidobacterium longum KMH001株)により乳酸発酵させたサイレージであってもよい。
<医薬品>
本発明に係る組成物の用途としては、眼の不調を治療・改善・予防する医薬品をあげることができる。ここで医薬品とは、ヒトや動物の疾病の治療或いは予防を行うために与える薬品を意味する。本発明に係る医薬品の使用形態としては、特に限定されず、内服薬、外用薬、注射剤、点眼剤等の如何なる剤形であってもよい。また、本発明に係る医薬品は、医療用医薬品及び一般用医薬品の両方を含む意味である。
本発明に係る組成物は、生理学的に許容され得る担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混合することにより製剤化して使用することができる。具体的に、本発明に係る医薬品の剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、点眼剤、及び点鼻剤等を挙げることができる。製剤化にあたっては、製剤担体として通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、又は注射剤用溶剤等の添加剤を使用することができる。
特に、本発明に係る組成物は経口的又は非経口的に投与することができるが、経口的に投与することが好ましい。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。非経口剤としては、外用剤(例えば、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤)、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)が挙げられる。
本発明に係る組成物の1日当たりの摂取量は、年齢、症状、体重、用途等によって異なるため、一概に決めることはできないが、一応の目安として0.01〜1000mg/kg体重を摂取することが好ましい。
また、本発明に係る組成物を含む医薬品は、他の医薬、例えば免疫賦活剤等を併用してもよい。本発明に係る医薬品の投与時期は特に限定されず、対象となる疾患の治療方法に従って、適宜投与時期を選択することが可能である。また、予防的に投与してもよく、維持療法に用いてもよい。また、投与形態は製剤形態、患者の年齢、性別、その他の条件、患者の症状の程度等に応じて決定されることが好ましい。なお、本発明の医薬は、いずれの場合も1日1回又は複数回に分けて投与することができ、また、数日又は数週間に1回の投与としてもよい。
本発明に係る医薬品は、上述したビフィズス菌又はその培養物を有効成分として含有するものであり、涙液中のIgA量を高めることができる。これにより、上述した種々の眼の不調を改善・治療及び/又は予防することができる。したがって、本発明に係る医薬品は、IgAによる予防又は治療され得る疾患の予防又は治療に使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕各種ビフィズス菌によるIgAの産生誘導試験
ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株 (NITE P−02534)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、またはビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)の培養物によるIgA産生誘導能について以下に示す。
上記各種ビフィズス菌をMRS培地に接種し、37℃で48時間培養した。培養後、遠心分離(2000rpm、10分間)で菌体を回収し、精製水で2回遠心洗浄後、凍結乾燥させたものを乾燥菌体とした。また、洗浄後のビフィズス菌の菌体を凍結乾燥し、熱処理(65、90又は121℃で10分間)したものを加熱処理菌体とした。
次に、RPMI−1640培地(Wako社)に懸濁したマウス脾臓浮遊細胞を1ウェルあたり5×10個/mLになるように48ウェルプレートに播種し、そこに最終濃度が0又は1000μg/mLになるように滅菌0.15M塩化ナトリウム-0.01Mリン酸緩衝液(PBS、pH7.2)に懸濁した乾燥菌体又は加熱処理菌体を、それぞれ100μLずつ各ウェルに添加し、37℃、5%CO存在下で72時間培養した。コントロールとして、乾燥菌体及び加熱処理菌体いずれも含まないPBSのみを、対照にはステロイド剤であるプレドニゾロンを用いた。培養後、4℃、2000rpmで15分間遠心分離によって培養上清を回収し、培養上清中のIgA産生量を酵素免疫測定法(ELISA)によって測定した。
結果を図1に示した。図1は、ビフィズス菌の培養物または加熱処理培養物を添加した脾臓細胞でのIgA産生量を示したものである。全てのビフィズス菌の乾燥菌体及び加熱処理菌体は、PBSのみの場合と比較して、有意にIgA産生を促進した。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株(NITE P−02534)の培養物を添加した場合では、IgAの産生量が添加した培養物の中で最も増加したことから、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株(NITE P−02534)のIgA産生誘導能は、他のビフィズス菌よりも優れていることが示された。
さらに興味深いことに、全てのビフィズス菌に関して、乾燥菌体を使用した場合と加熱処理菌体を使用した場合とを比較すると、熱処理菌体を使用した場合の方がIgAの産生量が高いことが明らかとなった。特に、特に90℃/10分間の加熱処理を行った場合、IgA産生活性を最も増強させることが示された。
一方で、ステロイド剤であるプレドニゾロンを添加した場合、IgAの産生が、PBS添加よりも有意に減少した。ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株(NITE P−02534)を初めとするビフィズス菌はIgAの産生を促進するが、ステロイド剤はIgAの産生を促進しないことが示された。
〔実施例2〕加熱処理菌体のヒト摂取試験
ビフィズス菌による涙液成分および目の症状の改善効果を確認するために、実施例1で作製したビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株(NITE P−02534)の加熱処理菌体を10%濃度で含む顆粒製剤を作製し、目の不調を訴えている日本人を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を行った。
<摂取試験に用いた顆粒製剤の製造方法および摂取方法>
実施例1で作製した加熱処理菌体と、二酸化ケイ素及びデキストリンを混合し、流動層乾燥装置にて流動層造粒・乾燥することにより顆粒を製造し、アルミスティックに1gずつ充填した。表1は上述の顆粒製剤の組成を示したものである。
Figure 2020162479
試験への参加について同意を得たボランティアを摂取群と対照群とに分け(各群4名)、摂取群には表1の顆粒製剤を1日1包2週間経口投与した。対照群には、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株(NITE P−02534)の加熱処理菌体に代えてデキストリンを含むプラセボ顆粒製剤を同様に経口投与した。
<涙液中IgA測定方法>
摂取前及び2週間摂取後のボランティアの涙液は、シルメル試験紙(あゆみ製薬)により採取した。シルメル試験紙に、IgA ELISA Quantitation Set、Human(コスモバイオ)に付属の抽出液を加え抽出した。抽出液をゲルが充填されたカラムに流し遠心分離し、測定用サンプルとした。このサンプル中に含まれるIgAをELISAによって測定した。
<結果>
結果を図2に示した。図2は、摂取群及び対照群の涙液中のIgA量の変化を示したものである。摂取群は対照群に比べ涙液中のIgA産生量が摂取前と比較して有意に増加しており、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株(NITE P−02534)の加熱処理菌体は涙液中のIgAを増加させることが示された。
また、摂取群及び対照群のボランティアに対する目の不調改善効果は、目の乾き、目やに、目の赤み、目の疲れ、目の異物感、目の痛み、目のかすみ、目の痒みの頻度を視覚的評価スケール(VAS)で評価した。なお、VASとは「0」を「症状がない状態」、「10」を「いつも症状がある状態」として、現在の状態が0〜10cmの直線上のどの位置にあるかを示す方法である。
結果を図3に示した。図3の結果から、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株(NITE P−02534)の加熱処理菌体を摂取した場合、摂取後のVASスコアは摂取前と比較して減少したことから、加熱処理菌体の摂取は目の症状を改善に導くことが示された。また、図示しないが、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) KMH001株(NITE P−02534)の加熱処理菌体を摂取群には、ステロイド剤で認められる過敏症状などの副作用は全く認められず、安全性も確認された。

Claims (9)

  1. ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌又は当該菌の培養物を有効成分として含む、目の不調を改善する組成物。
  2. 上記ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、またはビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の菌であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 上記ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌がビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)KMH001株(NITE P−02534)であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  4. 上記有効成分は、涙液中のイムノグロブリンA量を増加させることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  5. 上記ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する菌を加熱処理したものを有効成分とすることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  6. 上記加熱処理後の菌は、上記加熱処理前の菌と比較してイムノグロブリンA産生促進活性が高いことを特徴とする請求項5記載の組成物。
  7. 上記目の不調は、目の乾き、目やに、目の赤み、目の疲れ、目の異物感、目の痛み、目のかすみ、目の痒みからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の症状であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物を含む飲食品又はサプリメント。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物を含む飼料又は飼料添加物。
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