JP2020162631A - カットパイルカーペットおよびその製造方法 - Google Patents

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規生 橋本
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和誉 片山
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Abstract

【課題】カットパイルカーペットの表面にパイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑が無く、落ち着きのある安定した雰囲気を演じ、快適と感じる高品位なカットパイルカーペットを提供する。
【解決手段】ポリアミド原着捲縮糸を用いたカットパイルカーペットであって、2.54cm×2.54cmの面積中に存在するパイルの高さの変動係数が0.06以下であることを特徴とするカットパイルカーペット。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド原着捲縮糸を用いたカーペットに関するものである。
オフィス、ショッピングモール、公共施設などの床材、また、自動車や新幹線などの乗り物の床材として、天然繊維や合成繊維を用いたタフテッドカーペットが人々の生活を豊かにする工業製品として身近に用いられている。
特に自動車用途においては、自動車を保有し乗車する最終顧客の嗜好を満足するために、更なる高品位が求められるようになった。具体的には、落ち着きのある安定した車内空間を演じ、乗員が快適と感じるための要因として、カーペットの表面に斑が無いこと、特には視覚的な色斑が無いことが求められている。視覚的な色斑はカーペットパイルに着色された色相そのものは勿論のこと、カーペットパイルの立毛状態によっても色斑として認識されるため、カーペット表面の斑はカーペット製品の品質管理項目として最も重要な事項の一つとなっている。
このような要求に対して、たとえば特許文献1〜4では、各種のカットパイルカーペットおよびカットパイルカーペット用捲縮糸の品質改善に関する技術が提案されている。
特許文献1には断面3個の突状部を備え、一部分欠円部のある円形状ノズルによって製造され、全デニ−ルが1000から2000d(デニ−ル)で、単繊維の太さ8〜20dの断面5個の突状部を備えた異形断面ポリアミドフイラメント糸が、流体捲縮加工によって得られた3次元ランダム捲縮糸の熱水捲縮堅牢度が11〜17%のパイル糸を用いることによる品位改善方法が提案されている。
また、特許文献2には3葉断面の葉部先端を広くし、且つ断面の変形度が2.5〜5.5であり、また、捲縮伸長率が10〜25%である単糸が全単糸数の70%以上にすることによる品位改善方法が提案されている。
これらの技術は、椅子のキャスター荷重や靴による踏みつけなど、カーペット表面方向からの力の入力に対して単糸を折れ曲がりにくくし、パイル倒れがないカーペットを得ることを目的として、カーペットを構成する捲縮糸の単糸断面に突起部を形成することや三葉形状とするものである。しかしながら、当該技術で得られる捲縮糸は、確かにパイル倒れがしにくくなるものの、複雑な断面形状のため全ての繊維を同じ断面に揃えることは困難であり、つまりは単繊維の断面形状にバラツキが生じることとなり、パイル倒れがし難いものとし易いものが混在したカーペットとなるため、結果、パイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑が生じるという問題があった。
特許文献3にはカーペットのパイルを構成するマルチフィラメントが2種以上の異なる単糸断面にすることによる品位改善方法が提案されている。この技術は、カーペットの外観上の欠点であるタテ筋、ゲージ、ステッチ段がないカーペットを得ることを目的として、カーペットを構成するマルチフィラメントが2種以上の異なる単糸断面のフィラメントの混在糸であり、かつ、該マルチフィラメントの繊度をTデシテックス、できあがったカーペットにおけるゲージをG、目付をWとするとき、下記算式を満足するものとするものである。
900≦T≦2500
−(T)1/2 +76≦34×S×G≦−(T)1/2 +86
375≦W≦575(g/m2
しかしながら、当該技術で得られるカーペットは1/10ゲージ規格でのタフトを前提としており、近年の自動車内装材の高級嗜好に対応した5/64ゲージ規格では上記技術は対応できないという問題点がある。
特許文献4には実質上撚りのない捲縮糸であって、該捲縮糸を構成する捲縮糸の単糸繊度が3〜10dtex、総繊度が300〜900dtexであり、フィラメント数が90〜150本、断面が三葉で、変形度が1.5〜3.0にすることによる品位改善方法が提案されている。この技術は、表面の審美性の良いカーペットを得ることを目的としているが、前述したような複雑な断面形状のため、全ての繊維を同じ断面に揃えることは困難であり、つまりは単繊維の断面形状にバラツキが生じることとなり、パイル倒れがし難いものとし易いものが混在したカーペットとなるため、結果、カーペット表面の均一性が得られないという問題点があった。また、単糸繊度が3〜10dtexのため、自動車での実使用においてオプションマットや靴などとの接触や圧迫によりヘタリや毛倒れがしやすいという問題点があった。
さらに、これら特許文献1〜4の技術はポリアミド白糸捲縮糸使いの後染色カットパイルカーペットを前提とした技術であり、後染色の場合は、染色時の湿熱処理により捲縮糸の捲縮発現が最大化かつ安定し、カーペット表面の均一性は安定する傾向である。しかし、染色工程を通らないポリアミド原着糸使いのカーペットに該技術を適用しても、捲縮発現の不安定さからカーペット表面の均一性が悪く、パイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑が生じてしまい、結果として、原着捲縮糸には実質上適用できない技術であった。
特開平4−328037号公報 特開平6−128805号公報 特開2003−64537号公報 特開2007−254927号公報
このような従来技術とそれに関わる背景を鑑み、カットパイルカーペットの表面にパイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑が無く、落ち着きのある安定した雰囲気を演じ、快適と感じる高品位なカットパイルカーペットを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、下記のような構成を有する。
(1)ポリアミド原着捲縮糸を用いたカットパイルカーペットにおいて、2.54cm×2.54cmの面積中に存在するパイルの高さの変動係数が0.06以下であることを特徴とするカットパイルカーペット
(2)カーペット製造工程において染色加工を施さず、且つ単一の色相からなる、前記(1)に記載のカットパイルカーペット。
(3)カットパイルカーペット用のポリアミド原着捲縮糸であって、
(I)繊度が400〜1600Dtex
(II)沸騰水処理前の捲縮伸長率が10〜18%
(III)沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率前の差が10%以下
(IV)沸騰水収縮率が2〜6%
(V)糸を構成する単繊維の断面形状が2種以上
(VI)糸の収束点数が2個/m以下
であることを特徴とするポリアミド原着捲縮糸。
(4)カットパイルカーペット用のポリアミド原着捲縮糸に捲縮付与するノズルにおいて、加熱流体と糸条が混在する流路が糸条の走行方向と平行、かつその長さが25mm以上であることを特徴とする前記(3)に記載のポリアミド原着捲縮糸の製造方法。
本発明によれば、以下に説明するとおり、ポリアミド原着糸により構成されるカットパイルカーペットの表面がパイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑が無く、落ち着きのある安定した雰囲気を演じ、快適と感じる高品位なカットパイルカーペットを提供することができる。
本発明のポリアミド原着捲縮糸に捲縮付与するノズルの例。 本発明のポリアミド原着捲縮糸を構成する単繊維の断面形状の例。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリアミド原着捲縮糸の原料]
本発明において原着捲縮糸のポリマ原料は、耐久性、耐摩耗性および染色時の発色性が良好であり、低価格である点から、熱可塑性ポリマであるポリアミドを用いるが、上記の繊度、捲縮伸長率特性、沸騰水収縮率(沸収)、単繊維断面の形状、捲縮糸の収束点数を満たし得る限りにおいて、ポリアミドの種類は限定されない。一例を挙げると、ポリカプロアミド(N6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(N66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(N610)、ポリペンタメチレンアジパミド(N56)等が例示される。これらの中でも、原着捲縮糸の原料は、ポリカプロアミド(N6)であることが好ましい。これらのポリアミドの混合物であってもよいし、製糸性や最終製品の品質を改善するために、共重合成分を含むコポリマであってもよい。また、その他のアミド結合を有するポリマやその共重合体が併用されてもよい。なお、プレコンシューマーまたはポストコンシューマーのリサイクル原料をその一部や全体に使用することも可能である。
また、ポリマには、酸化チタン等の艶消し剤、耐候剤、酸化防止剤、抗菌剤、殺菌剤、吸湿剤、防臭剤、消臭剤、芳香剤、光沢導入剤、蓄光物質、蛍光物質等が適宜配合されてもよい。ポリマへの配合の方法は、予め添加し練り込んだペレットを原料に使用しても良いし、溶融前にペレット原料に添加する、または溶融中のポリマに添加する、など適宜調整してよい。
[ポリアミド原着捲縮糸の着色剤]
本発明のポリアミド原着捲縮糸における着色剤としては特に限定されず、従来公知の着色剤を使用できるが、無機顔料、有機顔料、染料等が挙げられる。具体的には、鉛、クロムおよびカドミウムを除く酸化物系無機顔料、フェロシアン化物無機顔料、珪酸塩無機顔料、炭酸塩無機顔料、燐酸塩無機顔料、カ−ボンブラック、アルミニウム粉、ブロンズ粉およびチタン粉末被覆雲母等の無機顔料、フタロシアニン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、イソイントセリノン系有機顔料等の有機顔料、および複素環系染料、ヘリノン系染料、ペリレン系染料およびチオインジオ系染料等から選ばれる。例えば、無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタン・コバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−鉄系ブラック等の酸化物、紺青のようなフェロシアン化物、群青のような珪酸塩、炭酸カルシウムのような炭酸塩、マンガンバイオレットのような燐酸塩、カーボンブラック、アルミニウム粉やブロンズ粉、およびチタン粉末被覆雲母等が用いられる。環境に対する配慮等から、鉛、クロムおよびカドミウム等の重金属を含む無機顔料は用いないことが好ましい。有機顔料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーンおよび臭素化銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系、ペリレンスカーレット、ペリレンレァ、ペリレンマルーン等のペリレン系、イソインドリノン系等が用いられる。また、染料としては、アンスラキノン系、複素環系、ヘリノン系、ペリレン系、およびチオインジオ系が用いられる。また、着色剤は、上記無機顔料、有機顔料および染料から選ばれた2種以上を組み合わせて用いても良い。
[ポリアミド原着捲縮糸の総繊度]
本発明のポリアミド原着捲縮糸はマルチフィラメントであるが、その総繊度は、400dtex以上、1600dtex以下であることが好ましい。総繊度が400dtex以上である場合、得られる原着捲縮糸を用いてカーペットを作製する場合において、充分なボリュームおよび優れた風合いが得られ得る。また、総繊度が1600dtex以下である場合、製造工程での取り扱いが容易で製造コストが抑えられる。より好ましくは700dtex以上、1300dtex以下であり、緻密で風合いの良いカーペット表面を成し得る捲縮糸を高い生産性で製造することができる。
[ポリアミド原着捲縮糸の単繊維繊度]
本発明のポリアミド原着捲縮糸の単繊維繊度は、2dtex以上であることが好ましく、10dtex以上であることがより好ましい。また、原着捲縮糸の単繊維繊度は、35dtex以下であることが好ましく、30dtex以下であることがより好ましい。単繊維繊度が上記範囲内である場合、良好な手触り(風合い)や優れた嵩高性(捲縮性)を有するだけでなく、歩行やキャスターによる摩耗に耐え得る耐摩耗性、耐久性も向上し得る。また、得られる原着捲縮糸は、適度な剛性とソフト感を併せ持つ。
[沸騰水処理前の捲縮伸長率]
本発明のポリアミド原着捲縮糸は、沸騰水処理前の捲縮伸長率が10%以上であり、12%以上であることが好ましい。また、沸騰水処理前の捲縮伸長率は、18%以下であり、16%以下であることが好ましい。沸騰水処理前の捲縮伸長率が10〜18%である場合、捲縮の発現が充分であり、得られるカーペットのボリューム感が優れ、風合いがより向上し得る。また、得られるカーペットは、耐摩耗性が優れたものとなる。一方、沸騰水処理前の捲縮伸長率が10%未満である場合、ボリュームが不足し底つき感が生じることや、カーペット製造中に捲縮糸が基布から抜ける、いわゆるパイル抜けが生じるため品質のよいカーペット製品にならない。また、沸騰水処理前の捲縮伸長率が18%を超える捲縮糸は、カーペットに供される程度の総繊度の原着捲縮糸の製造において、一般的な生産速度での捲縮加工処理では実質達成不可能な値である。
沸騰水処理前の捲縮伸長率は、たとえば捲縮加工時の熱処理を変更することによって調整し得る。沸騰水処理前の捲縮伸長率が10〜18%に調整されるために必要な熱処理は、一般に過酷な条件でなくても実施可能である。そのため、上記沸騰水処理前の捲縮伸長率は容易に所望の範囲に制御できる。なお、本発明において、沸騰水処理前の捲縮伸長率は、たとえばタフト直後のカーペットにおけるボリューム、およびパイル形態を表す捲縮特性の指標である。
[沸騰水処理後の捲縮伸長率]
本発明のポリアミド原着捲縮糸は、沸騰水処理後の捲縮伸長率が12%〜28%であることが好ましい。沸騰水処理前の捲縮伸長率が12〜28%である場合、得られるカーペットのボリューム感が優れ、風合いがより向上し得る。一方、沸騰水処理後の捲縮伸長率が12%未満である場合には、パイルのボリュームが乏しく、パイルの根本が透けて見える地透け感が生じること、また、沸騰水処理後の捲縮伸長率が28%を超える捲縮糸はカーペット表面がフェルトライクとなり、カーペット表面の審美性が失われる。
これは、捲縮糸条がタフティングされカーペット製品となるにおいて、カーペットパイルの高さはタフティング条件のみならず、捲縮糸条の品質によっても変動するためであり、具体的にはカーペットを製造する際のパイル形態は、タフト工程以降のバッキング工程や裁断工程などでの熱的影響や物理的影響を受けパイル形態が変化するものである。このパイル形態の変化の程度は、次項に記載する沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差によって表され、つまりは、タフティング直後のパイル高さとカーペット製造工程を経て生産した最終のカーペット製品のパイル高さの差を示すものであり、沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差が小さければ、カーペット生産工程を経た際のパイル高さの変化は小さくなり、パイル高さの影響要因として捲縮糸の関わりが小さくなる。
[沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差]
本発明のポリアミド原着捲縮糸は、沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差が10%以下であり、8%以下であることが好ましい。沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差が10%以下である場合、カーペットを製造する際のタフト直後のパイル形態が、タフト工程以降のバッキング工程や裁断工程などでの熱的影響や物理的影響に左右されず、タフト直後のパイル形態を維持することができる。よって、カットパイルカーペットの表面に、パイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑が無いカーペットが得られる。
一方、沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差が10%を超える場合、カーペット製造工程を経るにしたがい、タフト直後のパイル形態が変化してパイル間でのパイル高さに差が生じ、カーペット表面に視覚的な色斑が認識されるようになることや、相対的に沸騰水処理前の捲縮伸長率が低い状態となるため、カーペット製造中に捲縮糸が基布から抜ける、いわゆるパイル抜けが生じるため品位のよいカーペット製品にならない。
沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差は、たとえば捲縮加工時の熱処理を変更することによって調整し得る。沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差が10%以下に調整されるために必要な熱処理は、一般に過酷な条件でなくても実施可能である。そのため、上記沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差は容易に所望の範囲に制御できる。なお、本発明において、沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率の差は、たとえばカーペット製造工程におけるカーペットパイルの形態変化の指標である。
[原着捲縮糸の沸騰水収縮率]
本発明のポリアミド原着捲縮糸は、沸騰水収縮率が2%以上であり、2.5%以上であることが好ましい。また、沸騰水収縮率は、6%以下であり、4.5%以下であることが好ましい。沸騰水収縮率が2〜6%である場合、カーペットを製造する工程での熱的影響や物理的影響によるパイル形態の変化が抑制され、パイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑が無いカーペットが得られる。一方、沸騰水収縮率が2%未満である場合、隣接するパイルとの間に隙間が生じてタフト基布が透けるため品位のよいカーペット製品にならない。また、沸騰水収縮率が6%を超える捲縮糸は、カーペット製造工程や実際にカーペットを使用する場面において、熱や水分の影響によりパイル形態が変化し、結果、パイル間でのパイル高さに差が生じ、カーペット表面に視覚的な色斑が認識されるようになる。
沸騰水収縮率は、たとえば捲縮加工時の熱処理を変更することによって調整し得る。沸騰水収縮率が2〜6%に調整されるために必要な熱処理は、一般に過酷な条件でなくても実施可能である。そのため、上記沸騰水収縮率は容易に所望の範囲に制御できる。なお、本発明において、沸騰水収縮率は、たとえばタフト直後のカーペットにおけるボリューム、およびパイル形態を表す捲縮特性の指標である。
[原着捲縮糸の断面形状]
本発明のポリアミド原着捲縮糸において、糸を構成する単繊維の断面形状が2種以上である。単繊維断面形状の一例を挙げると、丸断面、Y型、Y型中空、三角、四角、多葉、扁平等があり、公知のいずれの形状でも構わない。これらの中でも、単繊維の断面がシンプルな形状であるほどパイルを構成する単繊維の断面形状や太さ、更には捲縮形態のバラツキが抑制されるため、Y型断面であることが好ましい。
また、2種以上の断面の単繊維からなる捲縮糸によってカーペットパイルを構成する場合、パイルの空隙を埋めるように単繊維が存在するため、カーペット上のパイル空間の粗密の差が無く、視覚的な色斑が無いカーペットが得られる。
[原着捲縮糸の収束点数]
本発明のポリアミド原着捲縮糸において、糸の収束点数は2個/m以下であることが好ましい。糸の収束点数が2個/m以下である場合、パイル間におけるパイル先端の形状バラツキが小さく、視覚的な色斑が無いカーペットが得られる。一方、糸の開繊部分と収束点部分とではパイル先端部の形状が異なる形状となるため、糸の収束点数が2個/mを越えると結果的にパイル高さのバラツキを生じ、カーペット表面に視覚的な色斑が認識されるようになる。
糸の収束点は、たとえば捲縮ノズル内における加熱流体の旋回流によって、糸が撚られて収束する部分や、交絡処理によって糸を構成する単繊維の絡まりによって生じた収束部分をいう。これら糸の収束点数は、捲縮加工装置においては加熱流体と糸が混在する流路の形状や、交絡処理においては糸の走行張力、流体圧力を調整することによって、糸の収束点数が2個/m以下を容易に実現可能である。
なお、本発明において、糸の収束点数は、カーペットパイルの形態を示す指標である。
[ポリアミド原着捲縮糸の製造方法]
本発明のポリアミド原着捲縮糸は、一例を挙げると、溶融紡糸、冷却、給油、延伸および捲縮加工処理、交絡処理からなる工程によって製造され得る。
<溶融紡糸の一例>
溶融紡糸において使用される溶融紡糸装置は、エクストルーダー型紡糸機、プレッシャーメルター型紡糸機等が例示される。これらの中でも、得られる製品の均一性、製糸収率等が優れる点から、エクストルーダー型紡糸機が好適に使用される。なお、溶融段階において艶消し剤や着色剤、その他機能剤を添加する場合、機能材は、高濃度となるよう添加されたマスターチップを準備し、マスターチップとベースチップとをブレンドしてから、紡糸機に投入されてもよく、それぞれのチップを紡糸機の直上で計量しながら投入されてもよい。機能剤は、粉体または液体の状態で直接紡糸機に投入されてもよい。溶融紡糸の際、得られる糸が所望の総繊度、単繊維繊度および断面形状等を満足するように、原料(たとえば熱可塑性ポリマ)の粘度、紡糸温度、口金孔の形状、吐出量、冷却等の紡糸条件が適切に設定される。
なお、マスターチップの添加率は、ベースチップとマスターチップの添加量全体に対して、1〜20重量%であれば、紡糸機内におけるポリマ中での着色剤の分散性の低下を抑え、且つ、紡糸口金からポリマを吐出し繊維化した原着糸の長手方向の色斑の発生を防止出来る。更には、該範囲であれば、ベースチップの調整したポリマ特性を大きく損なわないため、特段の調整を不要として捲縮糸を製造出来る。
<冷却、給油の一例>
溶融紡糸された糸(糸条)は、冷風によって適宜冷却固化され、次いで給油ガイドや給油ローラーに糸条を接触させることで油剤が付与された後、引取ローラーに周回されて引き取られる。引取速度は、たとえば300〜1500m/分であればよい。
<延伸の一例>
得られた糸には、延伸、熱固定が施されてもよい。延伸方法は特に限定されない。一例を挙げると、延伸の際、1段または2段、さらにはそれ以上の多段熱延伸法が採用されてもよい。また、延伸点を固定する等の目的で、スチーム処理装置等が併用されてもよい。延伸倍率は特に限定されない。ある程度の配向と結晶化を行い得る点から、延伸倍率は2〜4倍であることが好ましい。延伸温度は原料ポリマの種類によるが、たとえばポリカプロアミドであれば160〜200℃であればよい。原料ポリマの種類により、適切な延伸温度を選択すればよい。
<捲縮加工処理の一例>
捲縮加工処理は、加熱流体方式の押込み加工によって行われることが好ましい。加熱流体方式の押込み加工によれば、他の方法と比べて、糸の物理的な座屈(屈曲)だけではなく、分子構造の熱固定が行われ得る。その結果、耐久性が高く、たとえばカーペットの用途に適した原着捲縮糸が得られやすい。また、流体を用いることにより、機械捲縮を行う場合と比べて細かな(サイズの小さい)捲縮の掛かった捲縮糸が得られ、意匠性が優れる。使用し得る捲縮加工装置としては、ジェットノズルタイプ、ジェットスタッファタイプ、ギヤ方式を採用したタイプ等が例示される。これらの中でも、高い捲縮を容易に付与し得る点から、捲縮加工装置は、ジェットノズル方式またはジェットスタッファ方式を採用した装置であることが好ましい。
捲縮加工において、捲縮加工装置の捲縮ノズルに導入される糸の速度は、通常500〜3500m/min程度である。糸の速度がこの範囲内である場合、原着捲縮糸は、効率的に生産され、かつ、ノズル通過後の捲縮の固定が容易であり、安定に走行し得る。
糸条に付与される加熱流体の温度(すなわち捲縮加工温度)は、これも原料ポリマの種類によるが、たとえばポリカプロアミドであれば190℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましい。また、加熱流体の温度は、250℃以下であることが好ましく、240℃以下であることがより好ましい。加熱流体の温度が190℃以上である場合、熱処理が充分となり、充分に捲縮が付与され得る。また、加熱流体の温度が250℃以下である場合、熱処理によりポリマの融着や劣化が起こりにくく、得られる原着捲縮糸は、各種原糸特性(引張強度、伸度、捲縮伸長率)や耐摩耗性が優れる。なお、捲縮処理において、上記加工温度のほか、加熱流体の流量、速度、加工滞留時間等を適宜変更されてもよい。これにより、得られる原着捲縮糸の捲縮性が、任意に調整され得る。
また、捲縮加工において、捲縮を固定するために、捲縮加工のスタッフィング時に冷却媒体により冷却する方法や、外気吸引部を円周に備えたロータリーフィルターを組み合わせる方法が採用されてもよい。捲縮加工において、延伸された糸は、巻き取られずに連続して捲縮が付与されてもよく、未延伸糸または延伸糸の段階で一旦巻き取り、その後、巻き取りを解除して、捲縮工程が行われてもよい。
具体的な捲縮ノズルの例として、図1を参照しながら説明する。本発明にかかる捲縮ノズルにおいて、糸導入口1から導入した糸1に対して、直接的に捲縮加工をする部材として噴射プレート3によって構成される。
すなわち、噴射プレート3は糸1に対して加熱流体を噴射するノズル部で、加熱流体の供給孔4と噴射オリフィス5とで構成され、糸1と加熱流体は合流部6で合流し、その後、糸1と加熱流体が混在した状態で流路7に対して平行に流れたのち、捲縮が付与される。
この糸1と加熱流体の混在流路が糸の走行方向に平行であり、かつ25mm以上の長さを有する流路である場合、加熱流体の旋回流が起こりにくく、糸が撚られて収束する部分が無い捲縮糸が得られる。
<交絡処理の一例>
捲縮加工された原着捲縮糸は、適度にストレッチが行われることにより捲縮が一部潜在化された後、ワインダーなどの巻取装置を用いてチーズ、ボビン、コーンなどに巻き取られる。なお、原着捲縮糸は、後続の工程を円滑に実施し得るように巻き取り前に交絡処理が行われてもよい。交絡処理により原着捲縮糸は集束性が付与され得る。交絡処理が行われる場合、捲縮加工処理による糸の収束も含めた収束点数は2個/m以下であることが好ましい。
[カットパイルカーペット]
本発明のカットパイルカーペットは、2.54cm(1インチ)×2.54cm(1インチ)の面積中に存在するパイルの高さの変動係数が0.06以下であることを特徴とする。まずはカットパイルカーペットの概要と2.54cm(1インチ)×2.54cm(1インチ)の面積中に存在するパイルの高さの変動係数について説明し、その他の特性については後述する。
[カットパイルカーペットの製造]
本発明のカットパイルカーペットは、本発明のポリアミド原着捲縮糸を用いたカーペットとすることが好ましい態様である。本発明のカーペットの製造方法は特に限定されないが、たとえば上記したポリアミド原着捲縮糸をフェースヤーンとし、従来公知のタフティングマシンを用いることにより製造され得る。
本発明のカットパイルカーペットの製造方法は特に限定されず、公知のカットパイルカーペットの製造方法で製造可能である。一例を挙げると、ゲージ規格5/64(5インチ=12.7cmの幅に64本の糸をタフティング、糸間隔約2mm)〜5/32(糸間隔約4mm)のタフティングマシンを用いて、カットパイルカーペットの仕様として、目付を300〜1200g/m、パイル高さを3.0〜8.0mmの範囲に設定し得る。この場合、タフティングが容易であり、得られるカーペットは、嵩高性(ボリュームおよび風合い)が優れる。また、カーペットは、静電気を抑制するために導電性繊維が混繊されてもよく、防汚性を高めるために防汚剤が塗布されてもよい。
なお、原着捲縮糸を用いているため、染色加工は不要である。
得られるカットパイルカーペットの用途は特に限定されない。本発明のカットパイルカーペットは、ロール型カーペット、タイルカーペット、自動車用ラインマットおよびオプションマット、家庭用ラグ、玄関マット等のいずれでもよい。
[パイルの高さの変動係数]
本発明のカットパイルカーペットは、2.54cm×2.54cmの面積中に存在するパイルの高さの変動係数が0.06以下であることが必須である。パイル高さの変動係数が0.06以下である場合、パイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑が無いものが得られる。なお、パイルの高さの変動係数とは、パイルの高さの変動係数=パイル高さの標準偏差÷パイル高さの平均値、として算出される値である。
一方、パイルの高さの変動係数が0.06以上である場合、パイル間の高さの差によってカーペット表面に陰影が生じるため、視覚的な色斑となり十分な品位のカーペット製品にならない。
パイル高さの調整は、カーペットを製造する際の基布に捲縮糸をタフティングする高さ(深さ)を変更することで、カーペット仕様としてのパイル高さを容易に調整することができる。また、カーペットのパイルの高さの変動については、前述のカーペット製造に用いるタフティング設備において、パイルを形成するのに必要なニードルやルーパ、およびナイフ等の部品が、タフト幅方向に同一形態・同一高さのパイルを形成するように整備することで、ある程度まではカーペット仕様としてのパイル高さの変動を調整することができる。さらに、本発明のポリアミド原着捲縮糸を用いる、すなわち、パイルとなる原着捲縮糸の沸騰水処理前の捲縮伸長率、沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率前の差、沸騰水収縮率、糸条を構成する単繊維の断面形状の数、糸条の収束点数を特定の範囲に調整することによって、パイル高さの変動係数0.06以下であるカットパイルカーペットを実現することができる。なお、本発明において、パイル高さの変動係数は、カットパイルカーペットの表面がパイルの立毛状態によって生じる視覚的な色斑の程度を表す指標でもあり、実施例の欄の記載された方法に基づいて算出し得る。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。なお、以下の実施例において、それぞれの特性値は、以下の方法により算出した。
[特性値の算出方法]
<硫酸相対粘度(ηr)>
硫酸相対粘度は、ポリマチップを試料として、試料0.25gを98%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定し、以下の式から算出した。
ηr=試料溶液の流下秒数/硫酸のみの流下秒数
<アミノ末端基量>
アミノ末端基量は、ポリマチップを試料として、試料0.2gを精秤し、フェノール・エタノール混合溶液(83.5:16.5、体積比)25ccに溶解後、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定することにより算出した。
<総繊度>
総繊度は、JIS L1013(2010) 8.3.1 正量繊度b)B法に従って、0.882mN/dtexの初荷重を掛けてサンプリングした試料の、絶乾にした際の質量を測定し、JIS L0105 3.1に規定する公定水分率を掛けた値とした(ポリアミドは4.5%を公定水分率とした)。
<フィラメント数>
フィラメント数は、JIS L1013(2010)8.4の方法に基づいて算出した。
<沸騰水処理前の捲縮伸長率>
捲縮糸パッケージから糸を取り出して糸綛を作成したのち、室温20℃、湿度65%の室内において20時間放置する。次いでこの糸綛から長さ100cmになるように1本の糸条を取り出し、これを試料糸とする。試料糸に0.0176mN/dtexの初荷重をかけ、30秒経過した後に試料長50cm(L1)にマーキング(2箇所)する。次いで同じ試料糸に0.882mN/dtexの定荷重をかけ、30秒経過後にマーキング間の長さ=伸びた試料長(L2)を測定する。下記式
R1(%)={(L2−L1)/L1}×100
に基づいて、沸騰水処理前の捲縮伸長率R1(%)を算出する。
<沸騰水処理後の捲縮伸長率>
捲縮糸パッケージを室温20℃、湿度65%の室内において20時間放置した後、この捲縮糸パッケージから糸を取り出して糸綛を作成する。得られた糸綛を室温20℃、湿度65%の室内において3時間放置する。次いで糸綛を沸騰水中に20分間浸す(沸騰水処理)。沸騰水処理した糸綛を室温20℃、湿度65%の室内に12時間放置して乾燥させる。この糸綛から長さ100cmになるように1本の糸条を取り出し、これを試料糸とする。試料糸に0.0176mN/dtexの初荷重をかけ、30秒経過した後の試料長50cm(L3)にマーキング(2箇所)する。次いで同じ試料糸に0.882mN/dtexの定荷重をかけ、30秒経過後にマーキング間の長さ=伸びた試料長(L4)を測定する。下記式
R2(%)={(L4−L3)/L3}×100
に基づいて、沸騰水処理後の捲縮伸長率R2(%)を算出する。
<沸騰水収縮率>
沸騰水収縮率は、JIS L1013(2010)8.18.1 B法に基づいて算出した。
<繊維断面の変形度>
繊維断面の変形度は、以下の方法により試料を調製して測定した。まず、レーヨンステープルで包んだ捲縮糸の糸端を、厚さ0.5mmのステンレス製プレパラートに設けた穴(穴径1.0mm)に通し、安全カミソリでプレパラートの両面に沿って平行にカットしたものを断面観察用の試料とした。この試料を(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープ「VHX−500」を用いて500倍で観察し、単繊維横断面の内接円の直径d1に対する外接円の直径d2の割合(d2/d1)を算出した。観察は、10サンプル行ない、得られた割合を平均し、変形度とした。
<原着捲縮糸の収束点数>
捲縮糸パッケージから取り出した糸条をLAWSON−HEMPHILL,Inc.製のEIB−E(Electronic Inspection Board for Entanglement)に仕掛け、糸の直径を連続して100m観測し、糸の収束点を計測する。具体的には糸条に1/10[mN/dtex]の張力を与えた状態で、糸条の直径を5mm間隔で長手方向に連続して100m測定する。こうして得られた20001点の糸直径の平均値から平均直径Y[mm]を求める。次に平均直径Yを求めるのに用いた100mの糸条に対して改めて1/10[mN/dtex]の張力を与えた状態で、糸条の直径を連続して測定し、直径が0.7Y[mm]以下の収束点をカウントする。捲縮糸条1mあたりの収束点数は、上記測定において1mごとに収束点の数を求め、得られた100個の1m当たりの収束点数を平均した値[個/m]として求めた。
<パイルの高さ、および、パイル高さの変動係数>
カットパイルカーペットにおいて、2.54cm×2.54cmの面積に含まれるパイル毎の高さを測定し、それら測定値を基に平均値と標準偏差を求める。さらに平均値と標準偏差から変動係数を算出し得る。パイル高さの測定は、カーペット側面の画像を(株)キーエンス社製デジタルマイクロスコープ「VHX−500」にて撮影し、基布表面からパイル先端までの高さを該デジタルマイクロスコープの計測機能を用いて測定した。全てのパイルの高さを測定し、その平均をパイルの高さとした。また標準偏差を算出し、パイル高さの変動係数を求めた。なお、試料中の全てのパイル高さを測定するには、5/64ゲージの場合にはパイルの数は13×13=169個のパイルが存在するので、この試料をタフティング方向に1列(13パイル)ずつ切り出してパイルの側面が見えるようにして、これを画像として撮影し高さを測定した。
<色斑>
色斑は、以下の判定基準に基づいて官能評価を行なった。具体的には、15人の評価者によりカーペット表面の視覚的な色斑を確認させた。判定後、最も判定数の多かった結果を、それぞれの色斑結果とした。なお、たとえば、○と△の2つが最も判定数の多く且つ判定数が同じである場合には△〜○と判定し、○と△と×の3つで判定数が同じであった場合には○と判定した。
・判定基準
◎:色斑が無くカーペット表面が均一に見える
○:パイルの畝感はあるものの色斑は無い
△:色斑が僅かに認められる
×:色斑がひどく認められる。
<ボリューム>
ボリュームは、以下の判定基準に基づいて官能評価を行なった。具体的には、15人の評価者によりカーペットの触感を確認させた。判定後、最も判定数の多かった結果を、それぞれのボリューム結果とした。なお、たとえば、○と△の2つが最も判定数の多く且つ判定数が同じである場合には△〜○と判定し、○と△と×の3つで判定数が同じであった場合には○と判定した。
・判定基準
◎:ボリューム感が非常にあり、弾力を感じる
○:ボリューム感があり、底突きが無い
△:ボリューム感が不足し、底突きがある
×:ボリューム感が乏しく、底突きをひどく感じる。
[ポリアミド原着捲縮糸の製造]
(実施例1)
ステンレス製オートクレーブ(重合反応装置)に、12.5%水入りε−カプロラクタム、および適量の粘度調整剤(酢酸)、耐候剤、更には水に分散させてスラリー化した酸化チタンを所望量追加し、均一な溶液にした。重合反応装置内を窒素シールした後、反応装置の内圧が0.98MPaになるまで1時間で昇温させ、この圧力を維持したまま、250℃で所望の時間重合反応を行った。その後オートクレーブ内の圧力を抜き、窒素気流中下でさらに所望の時間重合した後、ポリマをストランド状に押し出し、冷却/カッティングしてペレットを得た。
次いで、ペレット量に対して20倍量の熱水を備えた常圧容器に同ペレットを移し、水温98℃にて所望の時間滞留させ、未反応のモノマー、またはオリゴマー成分を抽出した後、脱水処理した。
さらに、タンブラー型の回転式真空乾燥機にて、170℃、5torr以下の状態で、所定の時間、固相重合を行い、80℃まで冷却して密閉容器に取り出し、融点225℃でアミノ末端基量5.4×10−5mol/gを有するポリカプロアミドチップ(硫酸相対粘度:2.80、酸化チタン含有量:0.15重量%)を得た。
これをベースチップとして、同チップにカーボンブラック(黒色顔料)を20重量%含有したチップをマスターチップとして準備し、マスターチップの割合が5重量%になるよう密閉型自動計量混合装置にてベースチップとマスターチップを計量混合した後、エクストルーダー型紡糸機で溶融し、紡糸温度270℃で、図2のような大小2種のY型断面を形成する紡糸用口金を用いて紡糸した。紡糸された糸条はユニフロー型チムニーによって冷却・固化された後、給油ロールによって油剤が付与された後に延伸され、一旦巻き取られることなく特開平9−143825号公報に記載の捲縮ノズルを用いて235℃、0.8MPaの過熱蒸気により捲縮を付与した。その後、ロータリーフィルターにて冷却固定し、交絡ノズルによって交絡を付与し、総繊度1000dtex、フィラメント数96本の原着捲縮糸を得た。得られた原着捲縮糸を構成する大小2種のY型の単繊維について、単繊維繊度15.6dtexのものがフィラメント数32本、また単繊維繊度7.8dtexのものがフィラメント数64本、単繊維の変形度は、いずれも変形度3.9であった。
なお、断面形状は、口金の形状を適宜選択すると共に、エクストルーダーに投入されるポリカプロアミドチップの硫酸相対粘度を調整することにより調整した。硫酸相対粘度は、液相重合時間または固相重合時間を調整することによって調整した。糸中の熱水に溶出するMO(モノマー、オリゴマー)の割合は、ベースチップの作製工程である抽出処理の時間を調整することによって調整した。また、沸騰水処理前の捲縮伸長率は、捲縮ノズルでの加熱温度を制御することにより調整した。得られた捲縮糸の原糸特性を表1に示す
この原着捲縮糸を使用し、5/64ゲージ、目付け350g/m、パイル高さ4.1mmとなるようにPET不織布にタフトして、裏面にバッキング剤を付着固化させ、熱セット処理を加えてタフテッドカーペットを作製した。
(実施例2〜4、比較例1〜3)
原着捲縮糸の収束点数、および、原糸特性を変更するため、延伸ロール温度、捲縮加工時の流体温度、流体流量を調整した以外は実施例1と同様の条件で製造し、得られた原着捲縮糸およびカーペットについて、実施例2〜4、比較例1〜3として表1に示す。実施例2のように捲縮加工時の熱処理の調整として流体温度を下げると捲縮糸の沸騰水処理後の捲縮伸長率が低下し、その結果カーペットのボリュームが低くなった。一方、実施例3、4のように捲縮加工時の熱処理の調整として流体流量を上げると捲縮糸の沸騰水処理後の捲縮伸長率が増加し、その結果カーペットのボリュームが高くなるが、捲縮ノズルないでの加熱流体の旋回流も増し、糸条が撚られ収束点数が増加し、カーペット表面に色斑を生じることとなった。
(比較例4)
捲縮加工ノズルを特許第4062015号公報に記載のものを用い、捲縮加工時の流体温度、流体流量を調整した以外は実施例1と同様の条件で製造し、得られた原着捲縮糸およびカーペットについて、比較例4として表1に示す。
(比較例5)
マスターチップを添加せずに紡糸することで着色を施さない捲縮糸とし、カーペット製造工程においてタフトした。その後、染浴容量90リットルの試験用ウインス染色機にて、染料として「イルガランブラックRBL」を用いた染料濃度3%o.w.f、pH5に調整した染浴において、染浴の温度を40分掛けて100℃まで昇温し、次いで、染浴の温度を維持したまま10分間染着させた。染色したカーペットは脱水・乾燥を行なった。これらの染色加工を施した以外は比較例4と同様の条件で製造し、得られた捲縮糸およびカーペットについて、比較例5として表1に示す。
1:糸
2:糸導入口
3:噴射プレート
4:加熱流体の供給孔
5:噴射オリフィス
6:糸と加熱流体の合流部
7:糸と加熱流体の混在流路
8:混在流路の長さ
A:Y断面(大)
B:Y断面(小)

Claims (4)

  1. ポリアミド原着捲縮糸を用いたカットパイルカーペットであって、2.54cm×2.54cmの面積中に存在するパイルの高さの変動係数が0.06以下であることを特徴とするカットパイルカーペット。
  2. カーペット製造工程において染色加工を施さず、且つ単一の色相からなることを特徴とする請求項1に記載のカットパイルカーペット。
  3. カットパイルカーペット用のポリアミド原着捲縮糸であって、
    1)繊度が400〜1600Dtex
    2)沸騰水処理前の捲縮伸長率が10〜18%
    3)沸騰水処理後の捲縮伸長率と沸騰水処理前の捲縮伸長率前の差が10%以下
    4)沸騰水収縮率が2〜6%
    5)糸を構成する単繊維の断面形状が2種以上
    6)糸の収束点数が2個/m以下
    であることを特徴とするポリアミド原着捲縮糸。
  4. カットパイルカーペット用のポリアミド原着捲縮糸に捲縮付与するノズルにおいて、加熱流体と糸条が混在する流路が糸条の走行方向と平行、かつその長さが25mm以上であることを特徴とする請求項3に記載のポリアミド原着捲縮糸の製造方法。
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