JP2020172635A - ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粘度平均分子量が18,500以上であるポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、流動性改質剤(B)5〜30質量部、リン系難燃剤(C)3〜20質量部、フルオロポリマー(D)0.05〜2質量部、及びタルク(E)を含む無機フィラー20〜45質量部を含有し、該無機フィラー中のタルク(E)以外のフィラー(F)の割合が20質量%以下であるポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
なかでも難燃化されたポリカーボネート樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等の情報・モバイル機器やプリンター、複写機等のOA機器等の部材として好適に使用されている。
また、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、マイカなどの強化材を配合して剛性を高めたポリカーボネート樹脂組成物も広く使用されている。
O=P(OH)n(OC18H37)3−n …(2A)
方法(I):型締力75トンの射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度60℃、成形サイクル48秒の条件で、該ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られた厚み3mmのISO多目的試験片を治具に固定し、歪みが1%となるように曲げ、その部分に防錆剤「バリアガードPartII」を塗布し、55℃に設定した熱風オーブンに入れて72時間保持した後、試験片を治具から取り外し、ISO527に準拠して引張破壊強度を測定し、その値を未処理の試験片の引張破壊強度の値で除した値を引張破壊強度の保持率とする。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、少なくとも、ポリカーボネート樹脂(A)と、流動性改質剤(B)と、リン系難燃剤(C)と、フルオロポリマー(D)と、タルク(E)を主体とする無機フィラーを特定の割合で含有してなる。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて更にその他の成分を含有していてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系難燃剤(C)とフルオロポリマー(D)を所定の割合で含むことで、優れた難燃性を得ることができ、更に流動性、成形性も優れたものとなる。このようなリン系難燃剤(C)やフルオロポリマー(D)を含むポリカーボネート樹脂組成物において、タルク(E)を主体とする無機フィラーを所定の割合で含むことで、剛性、寸法精度、耐衝撃性に加え、難燃性も優れたものとなる。また、流動性改質剤(B)を所定の割合で含むことで、難燃性を損なわずに流動性、成形性がより優れたものとなる。また、粘度平均分子量が所定値以上のポリカーボネート樹脂(A)を用い、流動性改質剤(B)、リン系難燃剤(C)、無機フィラーを適切に選定することで、耐薬品性に優れたものとなる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂(A)としては、従来公知の任意のポリカーボネート樹脂を使用できる。ポリカーボネート樹脂(A)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂である。
さらに、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量併用することもできる。
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物のなかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)としては、粘度平均分子量の異なる2種以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、粘度平均分子量が上記好適範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合して、上記分子量の範囲内としてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性、成形性の向上、得られる成形品の表面外観の向上のために、流動性改質剤(B)を含有する。流動性改質剤(B)は、ポリカーボネート樹脂(A)の流動性を向上させる成分であり、各種の低分子化合物あるいは高分子化合物が使用できる。本発明で用いる流動性改質剤(B)として特に好ましいのは、シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体、シアン化ビニル−ジエン−芳香族ビニル系共重合体、ポリカーボネートオリゴマー及びポリカプロラクトンから選ばれる1種、又は2種以上の組み合わせであり、中でもシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体、シアン化ビニル−ジエン−芳香族ビニル系共重合体、ポリカーボネートオリゴマーが好ましく、とりわけシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体を用いることが好ましい。
ポリカプロラクトンの製造法としては、特に限定されないが、アルコール、グリコール、水等の適当な開始剤及びチタニウムテトラブトキシド、塩化スズ等の触媒を用い、ε−カプロラクトンを開環重合する方法が用いられる。
本発明で用いるリン系難燃剤(C)は、分子中にリンを含む難燃性付与成分であればよく、特に制限はないが、好ましいリン系難燃剤(C)としては縮合リン酸エステル系難燃剤(C−1)、ホスファゼン化合物(C−2)が挙げられる。
縮合リン酸エステル系難燃剤(C−1)としては、下記式(3)で表される縮合リン酸エステル化合物が挙げられる。
本発明のホスファゼン化合物(C−2)は、分子中に−P=N−結合を有する有機化合物であり、ホスファゼン化合物(C−2)としては、好ましくは下記式(4A)で表される環状ホスファゼン化合物、下記式(4B)で表される鎖状ホスファゼン化合物、下記式(4A)及び下記式(4B)からなる群より選択される少なくとも一種のホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物が挙げられる。架橋ホスファゼン化合物としては、下記式(4C)で表される架橋基によって架橋されてなるものが難燃性の点から好ましい。
このようなホスファゼン化合物(C−2)の市販品としては、例えば、フェノキシホスファゼンである伏見製薬所社製の「ラビトルFP−110T」および大塚化学社製の「SPS100」等が挙げられる。
フルオロポリマー(D)は、通常ポリフルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体であり、具体例としては、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられるが、中でもテトラフルオロエチレン重合体が好ましい。
また、このフルオロポリマー(D)としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフルオロポリマー樹脂が挙げられる。このように、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
なお、フルオロポリマーの見掛け密度は、JIS K6820に基づく、見掛け密度測定装置を用いて行う。
本発明で用いる無機フィラーはタルク(E)を主体として、無機フィラー中に80質量%以上含む。ポリカーボネート樹脂組成物に配合する無機フィラー中のタルク(E)の割合が80質量%より少ないと、本発明で目的とする高い耐衝撃性を得ることができない。耐衝撃性の観点から、無機フィラー中のタルク(E)の含有割合は85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、特に無機フィラーの100質量%がタルク(E)であることが好ましい。
一方で、タルク(E)を配合することによる剛性や寸法精度等の向上効果を有効に得る上で、タルク(E)の平均粒子径は2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。
なお、ここで、タルク(E)の粒子径とはタルク(E)を2枚の平行な板で挟んだ場合、その平行板の間隔が最も広くなる部分の長さであり、板状のタルク(E)の板面の長径に該当する。タルク(E)の平均粒子径は、得られた成形品の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)観察し、任意に選択した50個の測定値の数平均値として求める、或いはマイクロトラックレーザー回折法により測定することもできるが、例えば、製品として供給されるタルク(E)であれば、製品規格としての平均粒子径を採用することもできる。
無機フィラーを表面処理剤で処理する方法には特に限定はなく、通常の方法で実施しうる。たとえば、タルクに表面処理剤を添加し、溶液中であるいは加熱しながら撹拌あるいは混合することで行なうことができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性、耐薬品性を高めるために、前述のリン系難燃剤(C)以外のリン化合物(G)を含有することが好ましい。リン化合物(G)としては、下記式(1)で表される亜リン酸エステル、下記式(2)で表されるリン酸エステル、下記式(5)又は下記式(6)で表されるリン酸エステル金属塩が好ましいものとして挙げられる。
前記式(1)中、R1がアルキル基である場合、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、特にステアリル基、ノニル基が好ましい。R1がアリール基である場合、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、特に置換基としてアルキル基を有するフェニル基が好ましい。
前記式(2)中、R2は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは炭素数2〜25のアルキル基、フェニル基、ノニルフェニル基、ステアリルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチル−メチルフェニル基、トリル基であり、特に好ましくは炭素数2〜25のアルキル基であり、アルキル基としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
nは1又は2であることが好ましい。
前記式(5),(6)中、R3は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは炭素数2〜25のアルキル基、フェニル基、ノニルフェニル基、ステアリルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチル−メチルフェニル基、トリル基であり、特に好ましくは炭素数2〜25のアルキル基である。アルキル基としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
O=P(OH)n(OC18H37)3−n …(2A)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリカーボネート樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。この場合、その種類及び配合量は、成形性、耐薬品性等の性能を向上させるなどの目的で、適宜選択できる。ポリカーボネート樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレンや耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)等のスチレン系樹脂、ポリアクリレートやポリメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。これらのポリカーボネート樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上の任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、所望の物性を得るため、必要に応じて各種の添加剤、例えば耐衝撃性改質剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、前述のリン化合物(G)以外の熱安定剤等の安定剤、顔料、染料、滑剤、リン系難燃剤(C)以外の難燃剤、離型剤、摺動性改良剤などを配合することができる。
耐衝撃性改質剤としては、コア/シェル型グラフト共重合体が挙げられ、ゴム成分をコア層とし、その周囲に、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、芳香族ビニル化合物、及び不飽和ニトリル化合物等から選ばれる少なくとも1種の単量体成分を共重合して形成されたシェル層からなるコア/シェル型グラフト共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;フェニルメタクリレート、ナフチルメタクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられるが、なかでもメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メチルメタクリレートがより好ましい。
なお、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物は1種または2種以上を使用することができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
紫外線吸収剤の具体例としては、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などの有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
染顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;亜鉛華、弁柄、酸化クロム、酸化チタン、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料が挙げられる。有機顔料及び有機染料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、熱安定性の点から、カーボンブラック、酸化チタン、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、従来から知られている方法で各成分を混合し、溶融混練することにより製造することができる。具体的な混合方法としては、熱可塑性樹脂(A)、流動性改質剤(B)、リン系難燃剤(C)、フルオロポリマー(D)、タルク(E)を含む無機フィラー及び必要に応じて配合されるリン化合物(G)やその他の添加成分を所定量秤量し、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて混合した後、バンバリーミキサー、ロール、プラペンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、好ましくは後述の実施例の項に記載されるUL94試験における厚み2mmでの難燃性が5VBを満たす優れた難燃性を有する。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、後述の実施例の項に記載されるISO179に準拠した厚み4mmでのノッチ無しシャルピー衝撃強度が35kJ/m2以上、特に40kJ/m2以上というような高い耐衝撃性を有する。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、後述の実施例の項に記載されるSO178に準拠した曲げ弾性率が5,000MPa以上というような高剛性を有する。
更に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は後述の実施例の項に記載される耐薬品性の評価において、引張破壊強度の保持率70%以上、特に80%以上、とりわけ90%以上というような優れた耐薬品性を有する。
本発明の成形品は、上述のような本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、剛性、難燃性、流動性、寸法精度、耐衝撃性、耐薬品性に優れるものであり、各種用途に好適に用いることができる。特に本発明の成形品は、特にOA機器のシャーシやフレーム材、光学ハウジング等に好適に用いることができる。
以下の実施例及び比較例で用いた使用原料は、下記表1,表2に示す通りである。
以下の実施例及び比較例における各種特性及び物性の評価方法は以下の通りである。
実施例及び比較例で得られたペレットを、100℃で6時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製NEX80III(型締力80トン)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度60℃、射出圧力100MPa、成形サイクル40秒の条件で、幅20mm、厚さ2mmのバーフロー成形品を射出成形し、その流動長(単位:mm)を評価した。
この値は200〜350mm程度が好ましい。
実施例及び比較例で得られたペレットを、100℃で6時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製NEX80III(型締力80トン)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出圧力90MPa、成形サイクル45秒の条件で、長さ80mm、幅40mm、厚さ3.2mmの試験片を射出成形した。得られた試験片の樹脂の流れ方向(MD)及び流れと直交方向(TD)の寸法を測定し、金型の寸法から収縮率を算出し、MDの値をTDの値で割った値から成形収縮率の異方性を評価した。
この方法で算出した値が1に近いほど、収縮率の異方性が小さく、寸法精度や低反り性に優れている。
実施例及び比較例で得られた厚み4mmのISO多目的試験片を用い、ISO178に準拠して曲げ弾性率と曲げ強度を測定して評価した。曲げ弾性率は5000MPa以上が好ましく、曲げ強度は110MPa以上が好ましい。
実施例及び比較例で得られた厚み4mmのISO多目的試験片を用い、ISO179に準拠してノッチ無しシャルピー衝撃強度を測定して評価した。この値は35kJ/m2以上で高い程好ましい。
実施例及び比較例で得られた厚み4mmのISO多目的試験片を用い、ISO75に準拠して1.8MPaの荷重たわみ温度を測定して評価した。荷重たわみ温度は高い程耐熱性に優れる。
実施例及び比較例で得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料燃焼試験)に準拠し、5Vのバーサンプル燃焼試験を行った。5Vのバーサンプル燃焼試験とは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片に、所定の炎の大きさ、バーナーの角度で、試験片の所定の位置に5秒間接炎、離して5秒間保持を4回繰り返し、更に5秒間接炎(5回目)した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法である。計5本の試験片で試験を行い、5VBを有するためには、5本の試験片全てで以下の表3に示す基準を満たすことが必要となる。
なお、後掲の表4〜14中、「NR」は5VBを満たさないことを示す。
実施例及び比較例で得られた厚み3mmのISO多目的試験片を治具に固定し、歪みが1%となるように曲げ、その部分に防錆剤「バリアガードPartII」(無色、山一化学工業社製)を塗布し、55℃に設定した熱風オーブンに入れて72時間保持した。その後、試験片を治具から取り外し、ISO527に準拠して引張破壊強度を測定し、その値を未処理の試験片の引張破壊強度の値で除し、引張破壊強度の保持率として評価した。この値は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上で高い程好ましい。
<樹脂ペレットの製造>
表4〜14に示す原料を用い、リン系難燃剤(C)以外を表4〜14に示す割合で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機「TEX30α」に上流のフィーダーより供給し、リン系難燃剤(C)を液注ポンプによりバレルの途中より供給しながら、回転数200rpm、吐出量30kg/h、バレル温度270℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて冷却し、ペレタイザーを用いてペレット化してポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、100℃で6時間乾燥させた後、東洋機械金属社製射出成形機「Si−80−6」(型締力80トン)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度60℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形し、厚み4mmのISO多目的試験片を成形した。
同様に、得られたペレットを、100℃で6時間乾燥させた後、東芝機械社製射出成形機「EC75SX」(型締力75トン)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度60℃、成形サイクル48秒の条件で射出成形し、厚み3mmのISO多目的試験片を成形した。
同様に、得られたペレットを、100℃で6時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機「SE100D」(型締力100トン)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度60℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚み2mmのUL試験用試験片を成形した。
これに対して、本発明の要件を満たさない比較例1〜20は、剛性、難燃性、流動性、寸法精度、耐衝撃性、耐薬品性のいずれかが劣る。
Claims (18)
- 粘度平均分子量が18,500以上であるポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、流動性改質剤(B)5〜30質量部、リン系難燃剤(C)3〜20質量部、フルオロポリマー(D)0.05〜2質量部、及びタルク(E)を含む無機フィラー20〜45質量部を含有し、該無機フィラー中のタルク(E)以外のフィラー(F)の割合が20質量%以下であるポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記流動性改質剤(B)がアクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネートオリゴマー及びポリカプロラクトンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記タルク(E)の平均粒子径が8.5μm以下である請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記流動性改質剤(B)に対する前記リン系難燃剤(C)の割合が20質量%以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記リン系難燃剤(C)が、縮合リン酸エステル系難燃剤(C−1)及び/又はホスファゼン化合物(C−2)である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 更に前記リン系難燃剤(C)以外のリン化合物(G)を、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.05〜1質量部含有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記リン化合物(G)が亜リン酸エステル、リン酸エステル及びリン酸エステル金属塩から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記式(1)中のR1が、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基であり、前記式(2)中のR2が、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基であり、前記式(5),(6)中のR3が、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基である請求項8に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記式(1)中のR1が、ステアリル基、ノニル基、又は置換基を有するフェニル基であり、前記(2)中のR2のアルキル基の炭素数が13、18又は24であり、前記式(5),(6)中のR3のアルキル基の炭素数が13、18又は24である請求項9に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記タルク(E)に対する前記リン化合物(G)の割合が0.2〜2.0質量%である請求項6ないし11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 下記方法(I)で測定した引張破壊強度の保持率が70%以上である請求項1ないし12のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
方法(I):型締力75トンの射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度60℃、成形サイクル48秒の条件で、該ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られた厚み3mmのISO多目的試験片を治具に固定し、歪みが1%となるように曲げ、その部分に防錆剤「バリアガードPartII」を塗布し、55℃に設定した熱風オーブンに入れて72時間保持した後、試験片を治具から取り外し、ISO527に準拠して引張破壊強度を測定し、その値を未処理の試験片の引張破壊強度の値で除した値を引張破壊強度の保持率とする。 - UL94試験における厚み2mmでの難燃性が5VBである請求項1ないし13のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ISO179に準拠した厚み4mmでのノッチ無しシャルピー衝撃強度が35kJ/m2以上である請求項1ないし14のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ISO178に準拠した曲げ弾性率が5,000MPa以上である請求項1ないし15のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1ないし16のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
- シャーシ又は光学ハウジングである請求項17に記載の成形品。
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