JP2020172736A - シート状物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、シート状物中の織編物の経糸または緯糸にポリアミド系樹脂からなる繊維を用いることで、ライティング効果を持つ高密度なシート状物およびその製造方法を提供することにある。【解決手段】 平均単繊維直径が0.1μm以上10μm以下である極細繊維からなる不織布と、織編物と、高分子弾性体とからなるシート状物であって、前記シート状物の見掛け密度が0.35g/cm3以上0.70g/cm3以下であって、シート状物の少なくとも一方の面に立毛を有し、前記織編物が経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を使用し、前記シート状物に含まれる芳香族アルコールの合計含有率がシート状物全体の質量対比1質量ppm以上1000質量ppm以下である、シート状物。【選択図】なし
Description
本発明は、ライティング効果を持つ高密度なシート状物およびその製造方法に関するものである。
極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなるスエード調のシート状物は、天然皮革同様に毛並みを逆立たせた箇所が周囲との色調差により明瞭化する、いわゆるライティング効果を示す。また、スエード調のシート状物は、耐久性や均一性などの点において、天然皮革にはない優れた性質を有しており、これらの特徴を活かして、衣料、家具および自動車内装材等の幅広い用途に利用されている。このようなシート状物の更なる表面品位を向上させる手段としては、高密度化による緻密化が挙げられる。
例えば、特許文献1では、2種類の熱可塑性樹脂からなる複合体層から形成される積重体シートを厚み方向に熱プレスすることで高密度なシート状物を得る技術が提案されている。
また、繊維絡合体と高分子弾性体で構成される人工皮革に対して収縮処理を施すことで、高密度なシート状物を得る技術も提案されている。例えば、繊維絡合体と高分子弾性体と一体化した収縮性を有する織編物からなるシート状物を熱処理により収縮する方法(例えば、特許文献2を参照)や、人工皮革に対して片側に収縮性シートを接着した後、収縮処理を施し、次いで収縮性シートを除去する方法(例えば、特許文献3を参照)、およびポリアミド系極細繊維からなる繊維絡合体を適用した人工皮革基材を、ベンジルアルコールを含む処理液に浸漬すること方法(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、厚み方向に熱プレスすることで高密度なシート状物を得ることができるものの、熱によりシート表面が平滑にするものであるため、十分なライティング効果を得ることが困難である。
また、特許文献2に開示された技術では、収縮性を有する織編物に熱処理を加えることで高密度化しているが、製造工程中の熱履歴に留意する必要があり、繊維絡合体と高分子弾性体からなる人工皮革の製造工程が制限される。
一方、特許文献3に開示された技術では、有機溶剤を用いて収縮処理を施し、高密度化しているが、収縮性シートの接着・除去工程を含むため、収縮性シートとの貼り合わせを考慮して基材を選定する必要がある。
また、特許文献4に開示された技術においても同様に、有機溶剤を用いて収縮処理を施し、高密度化しているが、極細繊維がポリアミド系樹脂に限定されるため、用途が制限される。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の実状に鑑み、製造方法や人工皮革基材に制限ない高密度かつ緻密なシート状物であり、このシート状物がライティング効果を示すシート状物、およびその製造方法を提供せんとするものである。
本発明者らは、シート状物を形成する極細繊維に様々な繊維が適用でき、ライティング効果を示す高密度かつ緻密なシート状物を得ることを試みた。しかしながら、様々な繊維が適用できる極細繊維とライティング効果とを併せ持つシート状物を製造しようとしても、その製造方法が制限されるため、上記目的を達成するのは非常に困難であった。そこで、さらに上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねたところ、繊維絡合体と一体化した織編物の経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を適用することで、ライティング効果とともに高密度かつ緻密なシート状物を得られることを見出した。さらにこのシート状物が、既存の設備で簡便に製造することができるため様々な用途に展開できることも判明した。
本発明はこれら知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明は、平均単繊維直径が0.1μm以上10μm以下である極細繊維からなる不織布と、織編物と、高分子弾性体とからなるシート状物であって、前記シート状物の見掛け密度が0.35g/cm3以上0.70g/cm3以下であって、シート状物の少なくとも一方の面に立毛を有し、前記織編物が経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を使用し、前記シート状物に含まれる芳香族アルコールの合計含有率がシート状物全体の質量対比1質量ppm以上1000質量ppm以下である、シート状物である。
本発明のシート状物の好ましい様態によれば、前記芳香族アルコールがベンジルアルコール、および/または、フェネチルアルコールである。
本発明のシート状物の好ましい様態によれば、前記シート状物の密度が0.40g/cm3以上0.65g/cm3以下である。
本発明のシート状物の好ましい様態によれば、前記極細繊維がポリエステル系樹脂を含む極細繊維である。
本発明のシート状物の好ましい様態によれば、前記シート状物の剛軟度が50mm以上180mm以下である。
また本発明は、前述のシート状物を製造する方法であって、下記の工程(1)〜(4)を順に行い、かつ、下記の工程(5)が工程(4)の前、または、工程(4)の後に行う。工程(1):平均単繊維直径が0.1μm以上10μm以下の極細繊維発現型繊維からなる不織布と、経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を使用した織編物とからなる、繊維構造物を形成する工程、工程(2):前記繊維構造物に、水溶性樹脂を付与する工程、工程(3):前記繊維構造物に、高分子弾性体を付与する工程、工程(4):立毛層を形成する工程、工程(5):前記繊維構造物を芳香族アルコールに浸漬する、収縮工程
本発明のシート状物の製造方法の好ましい様態によれば、前記収縮工程における芳香族アルコールがベンジルアルコール、および/または、フェネチルアルコールである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい様態によれば、前記収縮工程における芳香族アルコールがベンジルアルコール、および/または、フェネチルアルコールである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい様態によれば、前記収縮工程において、シート状物の面積収縮率が5%以上45%以下である。
本発明によれば、極細繊維に特定の繊維を用いることなく、ライティング効果を示す高密度かつ緻密なシート状物を得ることができる。特に、本発明のシート状物は、前記の特徴から、家具、椅子および自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケットなどの衣料用資材として好適に用いることができる。
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.1μm以上10μm以下である極細繊維と、織編物と、高分子弾性体とからなり、シート状物の見掛け密度が0.35g/cm3以上0.70g/cm3以下であって、シート状物の少なくとも一方の面に立毛を有し、前記の織編物が経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を使用し、前記シート状物に含まれる芳香族アルコールの合計含有率がシート状物全体の質量対比1質量ppm以上1000質量ppm以下である。以下に、これらをその製造方法に従って詳述するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[繊維構造物を形成する工程]
本発明に係るシート状物の製造方法においては、まず、平均単繊維直径が0.1μm以上10μm以下の極細繊維発現型繊維からなる不織布と、経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を使用した織編物とからなる、繊維構造物を形成する工程を行う。以下において、さらに詳細を説明する。
本発明に係るシート状物の製造方法においては、まず、平均単繊維直径が0.1μm以上10μm以下の極細繊維発現型繊維からなる不織布と、経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を使用した織編物とからなる、繊維構造物を形成する工程を行う。以下において、さらに詳細を説明する。
まず、シート状物を構成する極細繊維を得るために極細繊維発現型繊維を紡糸する。
極細繊維発現型繊維としては、一般的に、海島型複合繊維、剥離分割型繊維等が挙げられる。海島型複合繊維を用いる場合、溶剤などへの溶解性の異なる熱可塑性高分子成分を海成分および島成分とし、後工程で海成分を溶剤などにより溶解除去することによって島成分を極細繊維とすることができる。また、極細繊維の単繊維直径を均一に制御でき、シート状物の表面外観を優美にできる。また、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができ、かつ、1本あたりの複合繊維から特に繊維径の小さな極細繊維を効率良く発現させることができる。これらの観点から、本発明においては、極細繊維発現型繊維として海島型複合繊維を用いる。
海島型複合繊維の形成には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができる。これらのうち、均一な繊度の極細繊維が得られる点で好ましいのは、高分子配列体方式による海島型複合繊維である。
前記の海島型複合繊維の島成分としては、例えば、「ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸」などのポリエステル系樹脂、「ポリアミド6やポリアミド66」などのポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂などが挙げられる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性および染色性の観点から、「ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート」などのポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。中でも、テレフタル酸またはその誘導体と、エチレングリコールまたはその誘導体とが共重合してなる構造を主成分とするポリエチレンテレフタレート系樹脂が、コスト面や耐候性の観点からより好ましく用いられる。なお、これらのポリマーから選ばれる少なくとも2種以上が組み合わされていてもよい。また、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維であってもよい。また、極細繊維は、異なる素材の繊維が混合され構成されることができる。
また、前記の島成分には、他の成分が共重合されていても良く、また、本発明の効果を損なわない範囲で、有機粒子、無機粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。
ここで、本発明でいうポリエステル系樹脂とは、ジカルボン酸類またはその誘導体とジオール類またはその誘導体とが共重合してなる構造を主成分としたものであり、ここでいう主成分とはポリエステル系樹脂全体の質量に対して50重量%より多いことをいう。また、ジカルボン酸類としては、例えば「イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸および5−イソフタル酸」などが挙げられ、ジオール類としては、例えば「エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール」などを挙げることができる。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてのヒンダードフェノール誘導体、および着色顔料などを添加してもよい。
前記の海島型複合繊維の海成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸、およびポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記の海島型複合繊維における、海成分と島成分の質量割合は、海成分:島成分=5:95〜80:20の範囲であることが好ましい。海成分の質量割合が5質量%以上(島成分の質量割合が95質量%以下)、より好ましくは10質量%以上(島成分の質量割合が90質量%以下)である場合、島成分の極細化を十分に行うことができる。一方、海成分の質量割合が80質量%以下(島成分の質量割合が20質量%以上)、より好ましくは60質量%以下(島成分の質量割合が40質量%以上)である場合、溶出成分の量が多すぎないことで、生産性よく加工することができる。
前記の海島型複合繊維断面における島部分の数、すなわち、1本の海島型複合繊維から極細繊維を発現させることにより生じる極細繊維束内の極細繊維数は、10本/束以上900本/束以下であることが好ましい。前記極細繊維数が10本/束以上であることによって、極細繊維の緻密性が向上し、例えば、摩耗等の機械物性が向上する傾向がある。一方、900本/束以下、より好ましくは、400本/束以下とすることによって、立毛時の開繊性を向上させ、立毛面の繊維分布を均一なものとすることができる。
極細繊維の密集性の観点からは、極細繊維束内の繊維密集度合いは30(本・μm)以上であることが好ましく、より好ましくは50(本・μm)以上である。一方、極細繊維束内の繊維密集度合いは1000(本・μm)以下であることが好ましく、より好ましくは700(本・μm)以下である。ここで、繊維密集度合いは、(極細繊維束内の繊維数)×(平均単繊維直径)で算出し、極細繊維の束の大きさの指標となる。このように、極細繊維束内の繊維密集度合いを30(本・μm)以上1000(本・μm)以下とすることにより、繊維絡合体とする際の加工操業性が良く、極細繊維束の緻密性が良くなる。
次に、延伸された極細繊維発現型繊維から構成される、繊維絡合体を形成する。本発明においてシート状物の基材層を構成する繊維絡合体には、不織布が用いられ、中でもシート状物の風合いや品位の観点から、短繊維不織布が用いられる。短繊維不織布の原綿を得るには、好ましくは捲縮加工を施した上で、所定長にカットする方法が採られる。なお、捲縮加工やカット加工は通常の方法を用いることができる。
このようにして得られた短繊維不織布の原綿をカード処理して薄いシート状の綿を経て、クロスラッパーで積層することで積層繊維ウェブを得る。
短繊維不織布における短繊維の繊維長は、25mm以上90mm以下であることが好ましい。繊維長を25mm以上、より好ましくは30mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。また、繊維長を90mm以下、より好ましくは80mm以下とすることにより、収縮特性や表面品位に優れたシート状物を得ることができる。
本発明のシート状物に用いられる短繊維不織布として、上記した短繊維をカードおよびクロスラッパーを用いて積層ウェブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータージェットパンチを施して得られるものの他にも、例えば、厚みが薄いシート状物を製造する場合には抄紙法で得られるものなどであってもよい。
その後、前記の極細繊維発現型繊維からなる不織布を得るために上記積層繊維ウェブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法および抄紙法などを採用することができる。中でも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、極細繊維発現型繊維からなる積層繊維ウェブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の不織布の見かけ密度は、0.15g/cm3以上0.40g/cm3以下であることが好ましい。見かけ密度を0.15g/cm3以上とすることにより、形態安定性と寸法安定性が優れた繊維絡合体にできる。一方、見かけ密度を0.40g/cm3以下、より好ましくは0.30g/cm3以下とすることにより、高分子弾性体を付与するための十分な空間を繊維間に維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発現型繊維からなる不織布は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱、またはその両者によって熱収縮処理させ、さらに高密度化させることが好ましい態様である。また、繊維絡合体はカレンダー処理等により、厚さ方向に圧縮させることもできる。
本発明のシート状物の織編物は、前記の極細繊維発生型繊維からなる不織布と積層一体化される。なお、本発明において「織編物」とは、織物と編物の総称をいう。
織編物を構成する糸条には、後述する収縮工程を行うため経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を用いる。ポリアミド系樹脂以外にはポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、またはポリプロピレン系樹脂、またはそれらの共重合体類などからなる合成繊維が好適に用いられる。
本発明に用いるポリアミド系樹脂には、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12などが挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、これらのポリアミド系樹脂に有機粒子、無機粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。ポリアミド系樹脂以外の樹脂を用いる場合においても、当然、同様に添加剤を含有させることができる。
また、織編物を構成する糸条としては、フィラメントヤーン、紡績糸、およびフィラメントと短繊維の混紡糸などを用いることができる。
本発明で用いられる織編物の繊維の平均単繊維直径は、0.1μm以上20μm以下程度であることがシート状物の風合いの観点から好ましい。
織編物を構成する糸条の総繊度は、シート状物の剛性を好適な範囲とし、目付を過度に高いものとしないなどの理由から、好ましくは50dtex以上150dtex以下である。
前記織編物の目付を20g/m2以上、より好ましくは30g/m2以上とすることで、織編物を不織布と不織布の間に挿入したとき、あるいは織編物を不織布の表面に重ねる際にシワの発生なく、均一に積層させることができる。一方、前記の織編物の目付を200g/m2以上、より好ましくは150g/m2以上とすることで、容易に不織布と織編物の絡合が可能となる。なお、本発明における目付とは、JIS L1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.3 単位面積当たりの質量」の「8.3.2 標準状態における単位面積当たりの質量 a) A法(JIS法)」に基づき、200mm×200mmの試験片を、試料の幅1m当たり2枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その算術平均値を小数点以下第二位で四捨五入して、1m2当たりの質量(g/m2)で表される値を指すこととする。
本発明において用いられる織物の基本組織は、ツイルやサテンを用いても良いが、目ずれなどが発生しにくい平組織が好ましく用いられる。
本発明のシート状物を製造するにあたっては、前記の織編物の見かけ密度を、0.10g/cm3以上、より好ましくは0.20g/cm3以上とすることで、シート状物の緻密感や機械物性が良好なものとすることができる。一方、織編物の見かけ密度を、0.80g/cm3以上、より好ましくは0.70g/cm3以上とすることで、シート状物の風合いが硬化してしまうことを抑制できる。
[水溶性樹脂を付与する工程]
本発明に係るシート状物の製造方法においては、続いて、前記工程で得られた繊維構造物に水溶性樹脂を付与する、水溶性樹脂を付与する工程を行う。この水溶性樹脂を付与する工程を行うことによって、シート状物における高分子弾性体の存在態様を大きく変えることができる。以下において、さらに詳細を説明する。
本発明に係るシート状物の製造方法においては、続いて、前記工程で得られた繊維構造物に水溶性樹脂を付与する、水溶性樹脂を付与する工程を行う。この水溶性樹脂を付与する工程を行うことによって、シート状物における高分子弾性体の存在態様を大きく変えることができる。以下において、さらに詳細を説明する。
まず、シート状物においては、繊維構造物を構成する極細繊維の束内に実質的に存在しないことが好ましい。極細繊維の束の内部にまで高分子弾性体が存在しないことによって、高分子弾性体が各極細繊維と接着して存在することを抑制し、後述する起毛工程の際に表面繊維が引きちぎられることを防ぐことができる。
この場合、高分子弾性体が前記の繊維構造物の内部に含有されてなるシート状物とすることが好ましい。高分子弾性体が「繊維構造物の内部に含有されてなる」とは、具体的には極細繊維の繊維束や織編物を構成する繊維の表面が水溶性樹脂により保護され、極細繊維の繊維束や織編物を構成する繊維の表面において、高分子弾性体と直接接合している箇所が連続的ではなく断続的に存在する状態のことを指す。このような状態にすることによって、高分子弾性体の接着面積を適度に抑えることができ、後述する収縮工程において有機溶剤による収縮が可能となる。
本工程に用いられる水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、糖類および澱粉などを用いることができる。その中でも、鹸化度80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
なお、このポリビニルアルコールの付与量としては、不織布に含まれる繊維質量に対して0.1質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
[極細繊維を発現させる工程(脱海処理工程)]
本発明においては、極細繊維発現型繊維である海島型複合繊維から、極細繊維を発現させる工程、すなわち、脱海処理工程を行う。この工程は、前記の水溶性樹脂を付与する工程の前、または水溶性樹脂を付与する工程の後、かつ、後述する高分子弾性体を付与する工程の前に行うことができる。特に、高分子弾性体を付与する工程の前に脱海処理を行うことで、極細繊維に直接高分子弾性体が密着する構造となりやすく、極細繊維を強く把持できる。
本発明においては、極細繊維発現型繊維である海島型複合繊維から、極細繊維を発現させる工程、すなわち、脱海処理工程を行う。この工程は、前記の水溶性樹脂を付与する工程の前、または水溶性樹脂を付与する工程の後、かつ、後述する高分子弾性体を付与する工程の前に行うことができる。特に、高分子弾性体を付与する工程の前に脱海処理を行うことで、極細繊維に直接高分子弾性体が密着する構造となりやすく、極細繊維を強く把持できる。
本工程においては、水溶性樹脂は実質的に溶解させずに、海島型複合繊維の海成分を選択的に溶解させる溶剤で除去し、次いで高分子弾性体の溶液を含浸し、水もしくは有機溶剤水溶液中で凝固させた後、水溶性樹脂を除去する方法が好ましく用いられる。
より具体的には、溶剤中に海島型複合繊維を浸漬し、搾液することによって行うことができる。海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いることができる。また、海成分が共重合ポリエステルまたはポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液や熱水を用いることができる。極細繊維を発現させる処理には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の装置を用いることができる。
本発明において、極細繊維発現型繊維から発現された極細繊維の平均単繊維直径は、シート状物の柔軟性や立毛品位の観点から0.1μm以上10.0μm以下であることが重要である。平均単繊維直径は小さい方が良好な表面品位と光沢感を有することから、好ましくは9.0μm以下、より好ましくは8.0μm以下である。一方、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の繊維の分散性、さばけ易さの観点からは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.5μm以上である。
なお、シート状物における極細繊維の平均単繊維直径は、シート状物の厚み方向にカットした断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定し、算術平均値(μm)を算出し、小数点以下第二位で四捨五入して得られる値とする。
[高分子弾性体を付与する工程]
本発明に係るシート状物の製造方法においては、続いて、前記工程で得られた水溶性樹脂を含む繊維構造物に対して、高分子弾性体を付与する工程を行う。以下において、さらに詳細を説明する。
本発明に係るシート状物の製造方法においては、続いて、前記工程で得られた水溶性樹脂を含む繊維構造物に対して、高分子弾性体を付与する工程を行う。以下において、さらに詳細を説明する。
本発明のシート状物が、シート状物全体の質量に対し5質量%以上、より好ましくは15質量%以上の多孔化した高分子弾性体を含有することにより、シート状物に適度な圧縮特性を付与することが可能である。一方、本発明のシート状物が、シート状物全体の質量に対し60質量%以下、より好ましくは55質量%以下の多孔化した高分子弾性体を含有することにより、立毛工程での繊維の開繊性を良くすることができる。また、シート状物が染色されて用いられる場合、染色後の繊維構造物の繊維と高分子弾性体の色調に差が出ず、表面品位の優れたものとなる。さらに、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維を用いた場合、再生回収や廃棄が容易となる。
ここで、シート状物から高分子弾性体の含有量、すなわち、シート状物全体の質量に対する含有割合(質量%)を測定する方法は、有機溶剤などを用いて高分子弾性体を抽出する方法が好ましく用いられる。上記有機溶剤としては、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)などのアミド系溶媒やDMSO(ジメチルスルホキシド)などのスルホキシド系溶媒などおよびこれらの二種以上の混合物を用いる方法がより好ましく用いられる。
上記の高分子弾性体には、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤および酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、撥水剤、粘度調整剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、および凝固調整剤、およびシリカや酸化チタン等の無機粒子等を含有させることができる。
本発明で用いられる高分子弾性体としては、ポリウレタン系エラストマー、ポリウレア、ポリアクリル酸、エチレン・酢酸ビニルエラストマーおよびアクリロニトリル・ブタジエンエラストマーおよびスチレン・ブタジエンエラストマー、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコール等が挙げられ、所望の特性に合わせて、これらを組み合わせて用いることもできる。耐久性と圧縮特性の観点からは、ポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。
本発明で特に好ましく用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリウレタンやポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどが挙げられる。
本発明で使用されるポリウレタン系エラストマーは、溶剤系、および/または、水分散系ポリウレタン系エラストマーを用いることができる。
本発明で用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。
上記のポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールを採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いることもできる。中でも、耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系ジオール、および/または、ポリエーテル系ジオールを用いることが好ましい態様である。
上記のポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
また、アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネート系ジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネート系ジオールのいずれも採用することができる。
また、ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールから選ばれる一種または二種以上を使用することができる。
また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
本発明で用いられるポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
ポリマージオールの数平均分子量は、ポリウレタン系エラトマーの分子量が一定の場合、500以上4000以下の範囲であることが好ましい。数平均分子量を好ましくは500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、シート状物が硬くなることを防ぐことができる。また、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタン系エラストマーとしての強度を維持することができる。
本発明で用いられる有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。
鎖伸長剤としては、好ましくはエチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、およびエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
本発明で用いられるポリウレタンは、耐水性、耐摩耗性および耐加水分解性等を向上させる目的で架橋剤を併用することができる。架橋剤は、ポリウレタン系エラストマーに対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、またポリウレタン分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤も用いることができる。ポリウレタン分子構造内により均一に架橋点を形成することができ、柔軟性の減少を軽減できるという観点から、内部架橋剤を用いることが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、メラミン樹脂、およびシラノール基などを有する化合物を用いることができる。
[立毛層を形成する工程]
本発明に係るシート状物の製造方法においては、繊維構造物を起毛させる工程、すなわち、立毛層を形成する工程を行う。
本発明に係るシート状物の製造方法においては、繊維構造物を起毛させる工程、すなわち、立毛層を形成する工程を行う。
本発明のシート状物は、シート状物の少なくとも一面に、立毛を有することが重要であり、起毛処理を施すことでシート状物がライティング効果を示すことができる。
本発明のシート状物の表面に極細繊維の立毛を形成するための起毛処理は、前記の繊維構造物に対し、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前に、シート状物にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与してもよい。
また、起毛処理の前、繊維構造物に帯電防止剤を付与することは、研削によって繊維構造物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなる傾向にあり好ましい態様である。
シート状物は、起毛処理を行う前に、繊維構造物の厚み方向に半裁ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。ただし、半裁ないし数枚に分割する場合は、分割されたそれぞれのシートが同様の構成のシートになるように行うことが、分割時の繊維構造物の質量を等しくし、平滑な分割面および各シート状物の厚みを等しくするために好ましく、特に半裁する場合には、平滑な分割面を得ることを目的に、繊維構造物として、繊維絡合体の厚み方向の上下に織編物を挟み込んだ繊維構造体を用いることが好ましい。
[収縮工程]
本発明に係るシート状物の製造方法においては、前記の繊維構造物を芳香族アルコールに浸漬する、収縮工程を行うことが重要である。前記の繊維構造物に対して、収縮工程を施すことで高密度なシート状物としたものである。なお、本工程は、前記の立毛層を形成する工程の前、または、前記の立毛層を形成する工程の後に行うものである。とりわけ、研削時の繊維屑が立毛層に残存することを防ぐため、本工程は、前記の立毛層を形成する工程の後に行うことが好ましい。
本発明に係るシート状物の製造方法においては、前記の繊維構造物を芳香族アルコールに浸漬する、収縮工程を行うことが重要である。前記の繊維構造物に対して、収縮工程を施すことで高密度なシート状物としたものである。なお、本工程は、前記の立毛層を形成する工程の前、または、前記の立毛層を形成する工程の後に行うものである。とりわけ、研削時の繊維屑が立毛層に残存することを防ぐため、本工程は、前記の立毛層を形成する工程の後に行うことが好ましい。
収縮方法としては、加熱やポリアミド膨潤剤を用いて収縮させることが挙げられる。加熱する場合は、熱風、熱水、スチームなどを用いることができる。加熱にて収縮する場合、収縮工程以前の加工において乾燥条件などが制限されるためポリアミド膨潤剤を用いることが好ましい。
ポリアミド膨潤剤を用いて収縮させる場合には、試料を加熱した乳化液中に浸漬する方法、または試料を乳化液中に浸漬し徐々に昇温して加熱する方法などを用いることができる。
なお、本発明において、ポリアミド膨潤剤とは、ポリアミド繊維または布帛を、溶媒に浸したとき、繊維を形成する非結晶高分子鎖を繊維全体が吸収して、その体積を著しく増大させる薬剤のことをいう。具体的には、ポリアミド繊維または布帛を薬剤に25℃、1時間浸した後に乾燥し、その前後の重量増加率が15%以上である薬剤のことを言う。なお、判断に用いるポリアミドの状態は取り扱い容易の状態が好ましく、一方、薬剤は純粋な溶媒、乳化された溶媒、希釈された溶媒などいずれの状態でもよい。
ポリアミド膨潤剤としては、具体的にはベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フルオロアルコール、フェニレングリコール、塩化カリウムのメタノール溶液、塩化カルシウムのメタノール溶液、フェノール類(フェノール、クレゾール、キシレノール) など特に限定しないが、ベンジルアルコール、および/または、フェネチルアルコールを用いることが好ましい。
ベンジルアルコール、および/または、フェネチルアルコールを用いる場合、それら芳香族アルコールのシート状物の合計含有率がシート状物全体の質量対比1質量ppm以上1000質量ppm以下であることが好ましい。芳香族アルコール含有量がシート状物全体の質量対比1000質量ppm以下であれば、臭気を気にせず多様な用途に展開できる。
収縮工程における面積収縮率は、5%以上45%以下であることが好ましい。面積収縮率を5%以上、より好ましくは10%以上であれば、高密度化することによる表面品位の向上効果を好ましく得ることができる。また、面積収縮率を45%以下、より好ましくは40%以下であれば、収縮差による形状変化なく、不織布と織編物が一体化したまま収縮することができる。
また、本発明のシート状物は、例えば、染料、顔料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、および耐候剤などの機能性薬剤を含有させることができる。
本発明のシート状物は、その立毛面に非連続な樹脂層を形成していても良い。なお、本発明において、「非連続な樹脂層」とは、樹脂層含有シート状物の上のほうから眺めたときに樹脂層含有シート状物の表面に、層状の樹脂が島状に点在しているような状態のことである。その島状に点在した樹脂部の間には、海のように立毛部が観察される状態となる。
図1は、本発明で得られたシート状物の表面形態を例示説明するための上からみた平面図である。図1のシート状物の表面形態において、立毛部1は樹脂部2の下で連続しており、上からの観察では樹脂部2が立毛部1に囲まれ、独立した形状となっている。
本発明における非連続な樹脂層の形成方法としては、布帛となる繊維構造物の表面に非連続状に塗布できる方法であれば特に限定はされない。塗布方法としては、例えば、フラットスクリーンやロータリースクリーン等のスクリーン法やグラビアコーティング法等での塗布後に乾燥して樹脂層を形成する方法や、離型紙等の支持基材上に非連続状の樹脂膜を形成した後、その樹脂膜の表面に接着剤を塗布し、基材となる表面に貼り合わせて接着し、離型紙を剥離することによって樹脂層を形成する方法等が挙げられる。
さらに、非連続な樹脂層を2層以上にするためには、上記の方法を繰り返すことにより形成することができる。また、上記の方法については、同じ方法を繰り返しても良く、2種類以上の異なる方法を組み合わせて用いることもできる。
本発明における非連続な樹脂層で用いられる樹脂とは、伸び縮みするゴム弾性を有している高分子化合物であり、例えば、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、風合いと物性のバランスが取れる点で、ポリウレタンを主成分としてなる樹脂、具体的には50質量%以上ポリウレタンを含んでなる樹脂が好ましく用いられる。
また、本発明において非連続な樹脂層は、その総厚みが0.001〜0.400mmであることが好ましい。総厚みが0.001未満の場合、耐摩耗性に劣る傾向があり、総厚みが0.400mmを超える場合は、風合いが硬いものとなる。総厚みは、より好ましくは0.01〜0.100mmの範囲である。
本発明のシート状物において、見掛け密度は0.35g/cm3以上0.70g/cm3以下であるシート状物であることが好ましい様態である。良好な表面品位を得ることができるため見掛け密度は0.35g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.40g/cm3以上である。シート状物を切断する等の加工性の観点から見掛け密度は0.70g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.65g/cm3以上である。
本発明のシート状物の剛軟度は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7 剛軟度(JIS法及びISO法)」の「6.7.3 41.5°カンチレバー法」により測定され、50mm以上180mm以下であることが好ましい。天然皮革調の風合いを得るために剛軟度は50mm以上が好ましく、より好ましくは60mm以上、さらに好ましくは65mm以上である。シート状物を切断する等の加工性の観点から剛軟度は180mm以下が好ましく、より好ましくは170mm以下、さらに好ましくは160mm以下であるである。
次に、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
次に、実施例で用いた評価法とその測定条件について説明する。
(1)ポリマーの固有粘度(IV)
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記することがある。)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
・固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はOCPの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0はOCPの落下時間(秒)、d0はOCPの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)。
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記することがある。)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
・固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はOCPの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0はOCPの落下時間(秒)、d0はOCPの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)。
(2)ポリマーのメルトフローレイト(MFR)
ISO 1133:2005「Plastics −Determination of the melt mass−flow rate(MFR) and the melt volume−flow rate(MVR) of thermoplastics」に規定されているMFR測定方法に準じ、10分間に押し出される樹脂の量(g)を測定した。同様の測定を3回繰り返し、その算術平均値をMFR(g/10分)とした。
ISO 1133:2005「Plastics −Determination of the melt mass−flow rate(MFR) and the melt volume−flow rate(MVR) of thermoplastics」に規定されているMFR測定方法に準じ、10分間に押し出される樹脂の量(g)を測定した。同様の測定を3回繰り返し、その算術平均値をMFR(g/10分)とした。
(3)平均単繊維直径
走査型電子顕微鏡として、株式会社キーエンス製「VW−9000型」を用いた。
走査型電子顕微鏡として、株式会社キーエンス製「VW−9000型」を用いた。
(4)見掛け密度
不織布またはシート状物からランダムに縦方向50cm×横方向50cmの試料を3個採取して、厚みを目付で割り返すことで見掛け密度を算出した。なお、厚みは、試料を採取した3箇所について、0.01mm目盛りの厚さ計(ディスク直径9mm以上)を用い、10kPa荷重下で、シート幅方向等間隔に5点測定し、平均値を算出した。また、目付は、試料を採取した3箇所について、各試料の質量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、平均値を算出した。
不織布またはシート状物からランダムに縦方向50cm×横方向50cmの試料を3個採取して、厚みを目付で割り返すことで見掛け密度を算出した。なお、厚みは、試料を採取した3箇所について、0.01mm目盛りの厚さ計(ディスク直径9mm以上)を用い、10kPa荷重下で、シート幅方向等間隔に5点測定し、平均値を算出した。また、目付は、試料を採取した3箇所について、各試料の質量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、平均値を算出した。
(5)剛軟度
前記のJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7 剛軟度(JIS法及びISO法)」の「6.7.3 41.5°カンチレバー法」により、剛軟度を測定した。
前記のJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7 剛軟度(JIS法及びISO法)」の「6.7.3 41.5°カンチレバー法」により、剛軟度を測定した。
(6)面積収縮率
収縮処理前のシート状物からランダムに縦方向50cm×横方向50cmの印を3カ所つけ、収縮処理後のシート状物の印を測定し、3カ所の平均値を面積収縮率とした。
収縮処理前のシート状物からランダムに縦方向50cm×横方向50cmの印を3カ所つけ、収縮処理後のシート状物の印を測定し、3カ所の平均値を面積収縮率とした。
(7)表面品位評価
得られたシート状物の表面品位は10人のパネラーによる評価で行い、下記の基準で評価して、最も人数の多かった評価結果を採用した。評価が同数となった場合は、より高い評価をそのシート状物の表面外観とすることとした。本発明において良好なレベル(目標値)は、3以上である。
得られたシート状物の表面品位は10人のパネラーによる評価で行い、下記の基準で評価して、最も人数の多かった評価結果を採用した。評価が同数となった場合は、より高い評価をそのシート状物の表面外観とすることとした。本発明において良好なレベル(目標値)は、3以上である。
4:非常に緻密である。
3:緻密である。
2:粗い。
1:非常に粗い。
[実施例1]
(繊維構造物)
島成分として固有粘度(IV)0.71からなるポリエチレンテレフタレート(表1においては、「PET1」と略称する。以下、同様である。)を用い、また海成分としてポリスチレンを用い、島数が16島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した後、延伸し捲縮加工し、その後、51mmの長さにカットして平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(繊維構造物)
島成分として固有粘度(IV)0.71からなるポリエチレンテレフタレート(表1においては、「PET1」と略称する。以下、同様である。)を用い、また海成分としてポリスチレンを用い、島数が16島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した後、延伸し捲縮加工し、その後、51mmの長さにカットして平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、織物貼り合わせ後の急激な幅変化による織物しわを抑えるために100本/cm2のパンチ本数でニードルパンチした。別に、MFRが58.3g/10分のポリアミド6単成分(表1においては、「PA6」と略称する。以下、同様である。)からなる単糸で撚数1400T/mからなるマルチフィラメント(78dtex、34フィラメント)を経糸に用い、固有粘度(IV)0.65のポリエチレンテレフタレート単成分(表1においては、「PET2」と略称する。以下、同様である。)からなる単糸で、撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を緯糸に用い、織密度が経99本/2.54cm、緯76本/2.54cmである平織物を製織した。得られた平織物を、前記の積層ウェブの上下に積層した。
その後、2500本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、極細繊維発生型繊維からなる繊維絡合体と、経糸にポリアミド6を用いた織物からなる繊維構造物を得た。
(シート状物)
前記工程で得られた積層シートを、96℃の温度の熱水で処理して収縮させた後、PVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、温度110℃の熱風で10分間乾燥することにより、積層シートの質量に対するPVA質量が12質量%の割合で、積層シートにPVAを付与した。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、シート状物全体の質量に対するポリウレタン質量が24質量%のシート状物を得た。
前記工程で得られた積層シートを、96℃の温度の熱水で処理して収縮させた後、PVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、温度110℃の熱風で10分間乾燥することにより、積層シートの質量に対するPVA質量が12質量%の割合で、積層シートにPVAを付与した。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、シート状物全体の質量に対するポリウレタン質量が24質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面を120メッシュのサンドペーパーを用い、研削し、起毛処理を施した。
このようにして得られたシート状物を、40g/Lのベンジルアルコール乳化分散液を含んだ常温のポリアミド膨潤剤(表1においては、「BA」と略称する。以下、同様である。)に浸漬させ、昇温し、110℃で30分間ポリアミド膨潤剤にて収縮処理を実施した。その後、80℃のお湯にてシート状物を洗浄した。次に、収縮したシート状物について液流染色機を用いて、110℃の温度条件下で染色し、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。得られたシート状物は、シート厚みが1.0mm、平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.43g/cm3、剛軟度が61mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して150質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、15%であった。なお、ベンジルアルコール含有量の測定には、上記シート状物からベンジルアルコールを抽出・単離した後、ガスクロマトグラフィーにて測定した。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
[実施例2]
(繊維構造物)
島/海質量比率を85/15とし、織物を変更したこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。織編物としては、経糸に固有粘度(IV)0.65のポリエチレンテレフタレート単成分(PET2)からなる単糸で、撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を、緯糸にMFRが58.3g/10分のポリアミド6単成分(PA6)からなる単糸で撚数1400T/mからなるマルチフィラメント(78dtex、34フィラメント)を用い、織密度が経97本/2.54cm、緯76本/2.54cmである平織物を使用した。
(繊維構造物)
島/海質量比率を85/15とし、織物を変更したこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。織編物としては、経糸に固有粘度(IV)0.65のポリエチレンテレフタレート単成分(PET2)からなる単糸で、撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を、緯糸にMFRが58.3g/10分のポリアミド6単成分(PA6)からなる単糸で撚数1400T/mからなるマルチフィラメント(78dtex、34フィラメント)を用い、織密度が経97本/2.54cm、緯76本/2.54cmである平織物を使用した。
(シート状物)
実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が5.5μm、見掛け密度が0.47g/cm3、剛軟度が72mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して150質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、18%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が5.5μm、見掛け密度が0.47g/cm3、剛軟度が72mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して150質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、18%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
[実施例3]
(繊維構造物)
島/海質量比率を55/45とし、織物を変更したこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。織編物としては、経糸・緯糸ともにMFRが58.3g/10分のポリアミド6単成分(PA6)からなる単糸で撚数1400T/mからなるマルチフィラメント(78dtex、34フィラメント)を用い、織密度が経99本/2.54cm、緯76本/2.54cmである平織物を使用した。
(繊維構造物)
島/海質量比率を55/45とし、織物を変更したこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。織編物としては、経糸・緯糸ともにMFRが58.3g/10分のポリアミド6単成分(PA6)からなる単糸で撚数1400T/mからなるマルチフィラメント(78dtex、34フィラメント)を用い、織密度が経99本/2.54cm、緯76本/2.54cmである平織物を使用した。
(シート状物)
実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が3.0μm、見掛け密度が0.55g/cm3、剛軟度が100mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して250質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、22%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が3.0μm、見掛け密度が0.55g/cm3、剛軟度が100mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して250質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、22%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
[実施例4]
(繊維構造物)
島/海質量比率を50/50としたこと以外は、実施例2と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。
(繊維構造物)
島/海質量比率を50/50としたこと以外は、実施例2と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。
(シート状物)
ベンジルアルコール乳化分散液を30g/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が2.0μm、見掛け密度が0.42g/cm3、剛軟度が70mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して100質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、16%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
ベンジルアルコール乳化分散液を30g/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が2.0μm、見掛け密度が0.42g/cm3、剛軟度が70mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して100質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、16%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
[実施例5]
(繊維構造物)
実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。
(繊維構造物)
実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。
(シート状物)
ポリアミド膨潤剤をフェネチルアルコール乳化分散液(表1においては、「FA」と略称する。以下、同様である。)とし、その含有量を35g/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.40g/cm3、剛軟度が58mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して80質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、10%であった。シート状物の表面品位評価は「3」となった。結果を表1に示す。
ポリアミド膨潤剤をフェネチルアルコール乳化分散液(表1においては、「FA」と略称する。以下、同様である。)とし、その含有量を35g/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.40g/cm3、剛軟度が58mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して80質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、10%であった。シート状物の表面品位評価は「3」となった。結果を表1に示す。
[実施例6]
(繊維構造物)
島成分としてMFRが58.3g/10分のポリアミド6を用い、また海成分としてMFRが300g/10分のアクリル酸2−エチルへキシルを22mol%共重合したポリスチレンを用い、島数が36島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率30/70で溶融紡糸した後、延伸、捲縮し、その後、51mmにカットし、単繊維繊度24μmの海島型複合繊維の原綿を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。
(繊維構造物)
島成分としてMFRが58.3g/10分のポリアミド6を用い、また海成分としてMFRが300g/10分のアクリル酸2−エチルへキシルを22mol%共重合したポリスチレンを用い、島数が36島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率30/70で溶融紡糸した後、延伸、捲縮し、その後、51mmにカットし、単繊維繊度24μmの海島型複合繊維の原綿を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。
(シート状物)
実施例4と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が1.5μm、見掛け密度が0.61g/cm3、剛軟度が130mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して400質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、32%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
実施例4と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が1.5μm、見掛け密度が0.61g/cm3、剛軟度が130mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して400質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、32%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
[実施例7]
(繊維構造物)
実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織物とからなる繊維構造物を得た。
(繊維構造物)
実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織物とからなる繊維構造物を得た。
(シート状物)
樹脂層の塗布以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。樹脂層の塗布は、収縮・染色工程後のシート状物の立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめた。また、表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが断続的に配置されており、樹脂部分の総厚みは0.2mmであった。得られたシート状物は、厚みが1.2mm、平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.50g/cm3、剛軟度が90mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して140質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、15%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
樹脂層の塗布以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。樹脂層の塗布は、収縮・染色工程後のシート状物の立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめた。また、表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが断続的に配置されており、樹脂部分の総厚みは0.2mmであった。得られたシート状物は、厚みが1.2mm、平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.50g/cm3、剛軟度が90mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して140質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、15%であった。シート状物の表面品位評価は「4」となった。結果を表1に示す。
[比較例1]
(繊維構造物)
織編物を変更したこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。織編物としては、経糸・緯糸ともに固有粘度(IV)0.65のポリエチレンテレフタレート単成分(PET2)からなる単糸で、撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を用い、織密度が経97本/2.54cm、緯76本/2.54cmである平織物を使用した。
(繊維構造物)
織編物を変更したこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織編物とからなる繊維構造物を得た。織編物としては、経糸・緯糸ともに固有粘度(IV)0.65のポリエチレンテレフタレート単成分(PET2)からなる単糸で、撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を用い、織密度が経97本/2.54cm、緯76本/2.54cmである平織物を使用した。
(シート状物)
実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.38g/cm3、剛軟度が48mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して150質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、0%であった。シート状物の表面品位評価は「2」となった。結果を表2に示す。
実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.38g/cm3、剛軟度が48mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して150質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、0%であった。シート状物の表面品位評価は「2」となった。結果を表2に示す。
[比較例2]
(繊維構造物)
実施例3と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織物とからなる繊維構造物を得た。
(繊維構造物)
実施例3と同様にして極細繊維発現型繊維からなる繊維絡合体と織物とからなる繊維構造物を得た。
(シート状物)
ベンジルアルコール乳化分散液を使用しないこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が3.0μm、見掛け密度が0.37g/cm3、剛軟度が45mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して0質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、0%であった。シート状物の表面品位評価は「2」となった。結果を表2に示す。
ベンジルアルコール乳化分散液を使用しないこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物は、厚みが1.0mm、平均単繊維直径が3.0μm、見掛け密度が0.37g/cm3、剛軟度が45mmであった。一方、染色後のシート状物のベンジルアルコールの含有率は、シート状物全体の質量に対して0質量ppmであり、収縮工程における面積収縮率は、0%であった。シート状物の表面品位評価は「2」となった。結果を表2に示す。
実施例のシート状物は、いずれも収縮処理により高密度化し、緻密な表面品位を示した。一方、比較例1のシート状物は、織編物の経糸・緯糸ともにポリエチレンテレフタレートを用いたため、収縮工程において収縮せず、緻密感が劣っていた。また、比較例2のシート状物は、ポリアミド膨潤剤であるベンジルアルコールを加えなかったため、収縮工程において収縮せず、緻密感が劣っていた。
1: 立毛部
2: 樹脂部
2: 樹脂部
Claims (8)
- 平均単繊維直径が0.1μm以上10.0μm以下である極細繊維からなる不織布と、織編物と、高分子弾性体とからなるシート状物であって、前記シート状物の見掛け密度が0.35g/cm3以上0.70g/cm3以下であって、シート状物の少なくとも一方の面に立毛を有し、前記織編物が経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を使用し、前記シート状物に含まれる芳香族アルコールの合計含有率がシート状物全体の質量対比1質量ppm以上1000質量ppm以下である、シート状物。
- 前記芳香族アルコールがベンジルアルコール、および/または、フェネチルアルコールである、請求項1記載のシート状物。
- 前記シート状物の密度が0.40g/cm3以上0.65g/cm3以下である、請求項1または2記載のシート状物。
- 前記極細繊維がポリエステル系樹脂を含む極細繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物。
- 前記シート状物の剛軟度が50mm以上180mm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のシート状物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載されたシート状物を製造する、シート状物の製造方法であって、下記の工程(1)〜(4)を順に行い、かつ、下記の工程(5)が工程(4)の前、または、工程(4)の後に行う、シート状物の製造方法。
工程(1):平均単繊維直径が0.1μm以上10.0μm以下の極細繊維発現型繊維からなる不織布と、経糸または緯糸の少なくとも一方にポリアミド系樹脂からなる繊維を使用した織編物とからなる、繊維構造物を形成する工程、
工程(2):前記繊維構造物に、水溶性樹脂を付与する工程、
工程(3):前記繊維構造物に、高分子弾性体を付与する工程、
工程(4):立毛層を形成する工程、
工程(5):前記繊維構造物を芳香族アルコールに浸漬する、収縮工程 - 前記芳香族アルコールがベンジルアルコール、および/または、フェネチルアルコールである、請求項6に記載のシート状物の製造方法。
- 前記収縮工程において、シート状物の面積収縮率が5%以上45%以下である、請求項6または7に記載のシート状物の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2019073445 | 2019-04-08 | ||
| JP2019073445 | 2019-04-08 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2020172736A true JP2020172736A (ja) | 2020-10-22 |
Family
ID=72830206
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2020057217A Pending JP2020172736A (ja) | 2019-04-08 | 2020-03-27 | シート状物およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2020172736A (ja) |
-
2020
- 2020-03-27 JP JP2020057217A patent/JP2020172736A/ja active Pending
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