JP2020183565A - 電解銅箔、該電解銅箔を用いた表面処理銅箔、並びに該表面処理銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板 - Google Patents

電解銅箔、該電解銅箔を用いた表面処理銅箔、並びに該表面処理銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、キャリア付き銅箔ではなく、薄くて、ピンホールが少なく、平滑性に優れた電解銅箔、該電解銅箔を用いた表面処理銅箔、並びに該表面処理銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板を提供することを目的とする。【解決手段】キャリア付き銅箔を除く、厚さが9μm以下である電解銅箔であって、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、前記電解銅箔1m2あたり800個以下である、電解銅箔。【選択図】図2

Description

本発明は、電解銅箔、該電解銅箔を用いた表面処理銅箔、並びに該表面処理銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板に関する。
プリント配線板は一般的に次のような方法で製造される。まず、ガラスエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等から成る電気絶縁性の樹脂基板の表面に、表面回路形成用の薄い銅箔を置いた後、加熱・加圧して銅張積層板を製造する。次いで、その銅張積層板に、スルーホールの穿設、スルーホールめっきを順次行った後、該銅張積層板の銅箔にエッチング処理を行って所望する線幅と所望する線間ピッチを備えた配線パターンを形成する。最後に、ソルダーレジスト塗布、露光、スルーホールめっき又は電子部品の接続部のめっきを露出するため、苛性ソーダ等により、未硬化のソルダーレジストの除去やその他の仕上げ処理が行われる。
このようなプリント配線板の製造に用いられる銅箔は、一般に、図1に示される電解析出装置を使用してドラム102に析出した銅箔101を剥離することにより得られる電解銅箔が使用される。ドラム102から剥離された電解析出開始面(シャイニー面。以下、「S面」という。)は比較的平滑であり、逆の面である電解析出終了面(マット面。以下、「M面」という。)は一般的には凹凸を有している。通常はM面に粗化処理を施すことにより、樹脂基板との接着性を向上させている。
最近では、銅箔の粗化処理面に予めエポキシ樹脂のような接着用樹脂を貼着し、該接着用樹脂を半硬化状態(Bステージ)の絶縁樹脂層とした樹脂付き銅箔を表面回路形成用の銅箔として用い、その絶縁樹脂層の側を樹脂基板に熱圧着してプリント配線基板を製造することが行われている。特に、プリント配線板の一種であるビルドアップ配線基板では、各種電子部品を高度に集積化する要望がなされ、これに対応して、配線パターンも高密度化が要求され、微細な線幅や線間ピッチの配線パターン、いわゆるファインパターンのプリント配線基板が求められるようになってきている。例えば、サーバー、ルーター、通信基地局、車載搭載基板等に使用される多層基板やスマートフォン用多層基板では高密度極微細配線を有するプリント配線基板(以下、「高密度配線板」と称する。)が要求されている。
このような微細配線の実現の上では、ファインパターン形成のために高いエッチングファクター(Ef)が要求され、使用される銅箔が平滑であることが重要となる。また断線防止の観点からは、ピンホールの大きさ及び数を低減することも重要となる。
このようなピンホールの低減に関し、例えば、特許文献1では、キャリア上に亜鉛クロメート処理層のような、電気めっき形成の際の抵抗が小さい中間層を使用することでピンホールを低減する手法が提案されている。しかし、このようなキャリア付き銅箔では、銅層剥離の際にもピンホール発生の懸念があり、またキャリア及び中間層に使用される金属層形成のためにコストや手間がかかり、更にキャリア剥離のためにハンドリング性が悪いという懸念もある。
一方、特許文献2では、ドラム上の酸化膜除去のためのカソード還元工程を採用することで、電解銅箔表面に存在する長径30μm以上のピンホールを20個/m以下まで低減する技術が提案されている。このような技術によれば、比較的大きいピンホールを効果的に抑制することができる。
特開2015−47795号公報 国際公開第2018/181061号
しかし、近年、プリント配線板の製造では、更なる薄層化を実現すると共に、更なる平滑性の向上とピンホールの低減が望まれている。
上述のように、最近ではごく薄い箔としてキャリア付き銅箔が使用されてきたが、これらを使用するとキャリアから銅箔を剥離する工程が必要となり、それによりコストが増加し生産性が低下する。
また、プリント配線板の製造においては、配線パターンの更なる高密度化の要求があり、ファインパターン形成のための高いエッチングファクター(Ef)と、断線率の低下が求められている。そのため、このようなプリント配線板に用いる銅箔として、薄く、より平滑性に優れ、ピンホールの大きさ及び数を更に低減した電解銅箔の開発が求められている。
そこで本発明は、キャリア付き銅箔ではなく、薄くて、ピンホールが少なく、平滑性に優れた電解銅箔、該電解銅箔を用いた表面処理銅箔、並びに該表面処理銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討した結果、キャリア付き銅箔を除く、厚さが9μm以下である電解銅箔であって、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、前記電解銅箔1mあたり800個以下である、薄くて、ピンホールが少なく、平滑性に優れた電解銅箔が、特に高密度配線回路に好適であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] キャリア付き銅箔を除く、厚さが9μm以下である電解銅箔であって、
長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、前記電解銅箔1mあたり800個以下である、電解銅箔。
[2] 長手方向寸法が2〜30μmであるピンホールの存在密度が、前記電解銅箔1mあたり800個以下である、上記[1]に記載の電解銅箔。
[3] 長手方向寸法が30μm超であるピンホールが実質的に存在しない、上記[1]又は[2]に記載の電解銅箔。
[4] 長手方向寸法が10μm超であるピンホールが実質的に存在しない、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の電解銅箔。
[5] 白色干渉顕微鏡で測定された表面粗さRzが、光沢面(S面)において1.5〜3.0μmであり、粗面(M面)において2.0〜6.0μmである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の電解銅箔。
[6] 厚さが6μm以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の電解銅箔。
[7] 常態における引張強度が400〜650MPaであり、
300℃で1時間熱処理された後の常温における引張強度が300MPa以上であり、
常態における伸びが2.5%以上である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の電解銅箔。
[8] プリント配線板の製造に用いる、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の電解銅箔。
[9] 銅箔基体と、該銅箔基体の一方の面に粗化粒子を形成してなる粗化処理層を含む表面処理皮膜と、を有する表面処理銅箔であって、
前記銅箔基体が、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の電解銅箔であり、
長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、前記表面処理銅箔1mあたり800個以下である、表面処理銅箔。
[10] 前記表面処理皮膜とは反対側の面において、前記白色干渉顕微鏡で測定された表面粗さRzが1.5〜6.0μmである、上記[9]に記載の表面処理銅箔。
[11] 上記[9]又は[10]に記載の表面処理銅箔と、該表面処理銅箔の粗化処理面に積層された樹脂基板と、を備える銅張積層板。
[12] 上記[11]に記載の銅張積層板を備えるプリント配線板。
本発明によれば、薄くて、ピンホールが少なく、平滑性に優れた電解銅箔、該電解銅箔を用いた表面処理銅箔、並びに該表面処理銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板を提供することができる。
図1は、従来の電解銅箔の析出装置を示す概略図である。 図2は、カソード還元工程を有する電解銅箔の析出装置を示す概略図である。
本発明に従う電解銅箔、該電解銅箔を用いた表面処理銅箔、並びに該表面処理銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板の実施形態について、以下で詳細に説明する。
(電解銅箔)
本発明の電解銅箔は、キャリア付き銅箔を除く、厚さが9μm以下である電解銅箔であって、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、前記電解銅箔1mあたり800個以下であることを特徴とする。
このような電解銅箔は、薄くて、ピンホールが少なく、平滑性に優れており、高密度配線回路を形成するプリント配線板の製造に好適に用いることができる。
なお、本明細書において、「電解銅箔」は、電解処理によって作製された銅箔を指し、製箔後の、表面処理が施されていない未処理の銅箔を指す。したがって、後述するような、電解銅箔を銅箔基体とし、その一方の表面に表面処理を施して得られる「表面処理銅箔」とは、区別される。
また、本発明の電解銅箔は、キャリア付き銅箔を除く、電解銅箔である。
ここで、「キャリア付き銅箔」とは、支持体(キャリア箔)上に剥離層を形成し、その上に極薄銅箔を形成したような構成の銅箔である。
キャリア付き銅箔は、銅箔の薄層化の観点で優れているといえるが、このような銅箔をプリント配線板の製造に用いる場合には、キャリアから銅箔を剥離する工程が必要となり、それによりコストが増加し、生産性が低下する。また、銅箔の剥離の際にも、ピンホール発生の懸念があり、またキャリア及び中間層に使用される金属層形成のためにコストや手間もかかる。
そのため、本発明では、上記のようなキャリア付き銅箔ではない、通常の電解銅箔において、薄箔化と、平滑性の向上を実現することを目指している。
本発明の電解銅箔の箔厚は、9μm以下であり、好ましくは6μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。銅箔の薄箔化の要求の観点からは、電解銅箔の箔厚は、薄いほど好ましいが、実際的な実施及び作業性等の観点から、下限は、例えば4μmであってもよい。
本発明の電解銅箔は、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、電解銅箔1mあたり、800個以下であり、好ましくは600個以下であり、より好ましくは400個以下であり、更に好ましくは200個以下であり、一層好ましくは100個以下であり、より一層好ましくは50個以下であり、更に一層好ましくは20個以下である。長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度は、電解銅箔の表面における表面粗さと相関があるため、上記範囲に制御することにより、表面粗さが小さい、平滑性に優れた電解銅箔が得られる。
従来、電解銅箔のピンホールとしては、プリント配線板とした際に、配線の断線の原因となるような、大きなピンホール(例えば、長手方向寸法が30μmを超えるようなもの)が着目されてきたが、本発明者が検討を重ねた結果、例えばL&S=30/30μm以下の微細配線においては、長手方向寸法が30μm以下のピンホールも配線の断線の原因となる場合があることがわかった。
更に、研究の結果、電解銅箔の表面粗さを小さくする上では、電解銅箔の表面におけるピンホールの大きさと数を低減することが有効であること見出した。これは、ピンホールが多い銅箔では、その製造過程において、特に銅めっきの初期過程でチタンドラム表面に、銅がめっきされ難い部分が多く存在し、それが銅めっきの中・後期過程(以下、単に「その後の銅めっき過程」という。)で埋まったとしても、周囲よりも凹凸が大きな部分として銅箔表面に残存し、銅箔の表面粗さを増加させてしまうためである。このようなピンホールの名残による表面粗さの増加を防止する上では、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度を、電解銅箔1mあたり、800個以下とすることが有効であることを見出した。
また、このような電解銅箔では、長手方向寸法が2〜10μm程度の小さなピンホールの個数も少なく抑制しているため、例えば長手方向寸法が30μmを超えるような大きなピンホールについては、実質的に存在しないほどまで抑制できる。
なお、着目するピンホールの長手方向寸法の下限を2μmとしたのは、長手方向寸法が2μmより小さなピンホールは、表面の粗さに影響を与えないためである。
このような電解銅箔であれば、表面粗さを低減でき、該電解銅箔を用いてプリント配線板を作製する場合に、細配線化における断線を防止でき、エッチングファクターの向上によるファインパターンの形成を実現できる。また、このような電解銅箔は、銅箔自体の引張強度や伸びも優れ、耐熱性にも優れている。
一方、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、電解銅箔1mあたり、800個を超える場合は、電解銅箔の表面粗さが増加する傾向にある。このような電解銅箔は、製造過程において、銅めっきの初期過程でチタンドラム表面に銅めっきされ難い部分が多く存在していた傾向にあり、その後の銅めっき過程でその一部が埋まったとしても、長手方向寸法が2〜10μmのピンホールとして800個超は残っており、また埋まった部分については周囲と比較して凹凸が大きく、表面粗さが増加する傾向にある。そのため、このような電解銅箔を用いて作製されるプリント配線板では、エッチングファクターが低下する傾向にある。また、このような電解銅箔では、30μmを超えるような大きなピンホールも生じ易い傾向にあり、該電解銅箔を用いて作製されるプリント配線板では断線も生じ易くなる。
長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度は、小さいほど好ましいが、実施上の観点から、下限は、例えば電解銅箔1mあたり5個であってもよく、10個であってもよい。
なお、ピンホールの大きさ(寸法)及び存在密度は、後述する実施例に記載の方法により測定した値とする。以下のピンホールの大きさ及び存在密度についても同様である。
本発明の電解銅箔は、長手方向寸法が2〜30μmであるピンホールの存在密度が、電解銅箔1mあたり、好ましくは800個以下であり、より好ましくは600個以下であり、更に好ましくは400個以下であり、一層好ましくは200個以下であり、より一層好ましくは100個以下であり、更に一層好ましくは50個以下であり、より更に一層好ましくは20個以下である。上記範囲に制御することにより、電解銅箔の表面粗さを更に低減できる。
本発明の電解銅箔は、好ましくは、長手方向寸法が30μm超であるピンホールが実質的に存在しない。このような電解銅箔は、平滑性に優れ、プリント配線板の作製に用いる場合、断線率を効果的に低減できと共に、高いエッチングファクターを実現できる。
なお、ここで「長手方向寸法が30μm超であるピンホールが実質的に存在しない」とは、後述する実施例に記載の測定方法により、任意の200mm×200mmの領域を1か所観察した場合に、長手方向寸法が30μm超のピンホールが観察されない、という意味である。したがって、長手方向寸法が30μm超のピンホールが観察されるまで、観察領域を複数回変えて測定を繰り返す場合でも、長手方向寸法が30μm超のピンホールが観察されない、という意味ではない。
本発明の電解銅箔は、好ましくは、長手方向寸法が10μm超であるピンホールが実質的に存在しない。このような電解銅箔は、平滑性に更に優れ、プリント配線板の作製に用いる場合、断線率を効果的に低減できると共に、高いエッチングファクターを実現できる。
なお、「長手方向寸法が10μm超であるピンホールが実質的に存在しない」の意味は、上記長手方向寸法が30μm超であるピンホールの場合と同様である。
また、電解銅箔の表面における表面粗さは、電解銅箔のピンホールの個数及び大きさに相関があり、特に長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が小さいほど小さくなる。
本発明の電解銅箔は、白色干渉顕微鏡で測定された表面粗さRzが、光沢面(S面)において、好ましくは1.3〜3.0μmであり、より好ましくは1.5〜3.0μmであり、更に好ましくは1.5〜2.5μmであり、より更に好ましくは1.5〜2.0μmであり、また、粗面(M面)において、好ましくは2.0〜6.0μmであり、より好ましくは2.0〜4.0μmであり、更に好ましくは2.0〜3.0μmである。上記範囲とすることにより、電解銅箔を用いて表面処理銅箔を作製した場合の、非粗化処理面の平滑性を向上でき、更に該表面処理銅箔を用いてプリント配線板を作製した際に、高いエッチングファクターを実現し得る。これは、表面処理銅箔の非粗化処理面が、銅箔基体の表面状態を概ねそのまま反映されるものであり、また非粗化処理面の表面粗さが、エッチングファクターと相関があるためである。
本発明の電解銅箔は、常態における引張強度が、好ましくは400〜650MPaであり、より好ましくは400〜550MPaであり、更に好ましくは400〜500MPaである。上記範囲とすることにより、ハンドリング性及びエッチング性が良好となる。
ここで、「常態」とは、電解銅箔が、製造されたままの未加熱の状態にある他、60℃超の加熱を伴う熱履歴を持たない状態、例えば常温(15〜30℃、以下においても同じ。)に置かれたままの状態を指す(以下においても同じ)。
本発明の電解銅箔は、300℃で1時間熱処理された後の常温における引張強度が、好ましくは300MPa以上であり、より好ましくは320MPa以上であり、更に好ましくは350MPa以上である。上記範囲とすることにより、耐熱性に優れ、樹脂基板と積層して加熱した後も、銅箔の結晶粒が細かく、エッチング性が良好となる。
なお、300℃で1時間熱処理された後の常温における引張強度は、高いほど好ましいが、上限としては例えば400MPaとしてもよい。
ここで、「300℃で1時間熱処理された後の常温における引張強度」とは、銅箔が、300℃において1時間熱処理され、例えば常温まで、冷却された後の状態で、そのまま常温で測定された引張強度を指す(以下においても同じ)。
本発明の電解銅箔は、常態における伸びが、好ましくは2.5%以上であり、より好ましくは3.2%以上であり、更に好ましくは4.0%以上である。上記範囲とすることにより、ハンドリング性が良好となる。
なお、常態における伸びは、高いほど好ましいが、上限としては例えば5.0%としてもよい。
なお、上記各引張強度及び伸びは、それぞれ後述する実施例に記載の方法により測定した値とする。以下の引張強度及び伸びについても同様である。
<電解銅箔の製造方法>
次に、本発明の電解銅箔の好ましい製造方法について説明する。
本発明の電解銅箔は、例えば、硫酸−硫酸銅水溶液を電解液とし、白金族元素又はその酸化物元素で被覆したチタンからなる不溶性アノードと、該アノードに対向させて設けられたチタン製カソードドラムとの間に該電解液を供給し、カソードドラムを一定速度で回転させながら、両極間に直流電流を通電することによりカソードドラム表面上に銅を析出させ、析出した銅をカソードドラム表面から引き剥がし、連続的に巻き取る方法により製造される。なお、このような製造方法は一例である。
このような電解銅箔の製造に関し、本発明者が更に研究を重ねた結果、カソードドラム上に銅をめっきさせる際に、PR(Periodic Reverse)電解、及びカソード還元工程の少なくとも一方を行うことで、ピンホールの数及び大きさを低減できることを見出した。
一般にPR電解は、通常の定電流電解に比較して、めっきされる金属の核形成が緻密になることが知られている。これはカソード表面の金属析出と溶解が交互に発生することで、電極と電解液界面近傍に金属イオンが蓄積され、イオン欠乏が起き難くなるためだと考えられる。その結果、銅の初期層から緻密なめっきが可能となり、カソードドラム上に、ピンホールの原因になり得るめっき量の少ない部分が形成され難くなり、ピンホール名残による銅箔表面の凹凸を防ぐことができると考えられる。
このようなPR電解では、順電解と逆電解の電流密度を等しくすることが好ましい。ここで順電流は銅箔表面がめっきされるカソード反応であり、逆電流は溶解されるアノード反応となる。順電解で電極と電解液との界面近傍の銅イオンが欠乏しそうになるタイミングで、逆電解で銅箔の溶解及び電解液バルク層からの銅イオン供給が行われることで、銅イオン欠乏が起き難くなり、緻密な膜が形成されると推察される。
また、本発明の電解銅箔の製造においては、カソードドラムの表面において、銅の析出電位にバラつきがなく、均一となるように電解銅箔を製箔することが好ましい。そのためには、例えば、チタンドラム表面に酸化膜が存在しない状態で製箔する方法が挙げられる。
カソード上に厚い酸化膜が形成されている場合、その部分は析出金属の核形成の抵抗が高く、めっきされ難く、ドラム上で不均一なめっきとなる。その結果、製箔される銅箔では、銅の初期層にピンホールが発生し易くなり、その後のめっき過程で初期層のピンホールが埋まったとしても、周囲より凹凸の大きい部分が発生してしまうことが考えられる。
このような課題を解決するためには、チタンドラム上の酸化膜を少なくとも一部除去し、チタンドラムの表面を均一化するプロセスが必要となる。
従来の電解銅箔の製造方法では、例えば、図1に示されるように、カソードとなる電解ドラム102をバフ103により研磨することで、ドラム表面に生じる酸化膜を除去していた。
これに対し、本発明では、カソード還元工程を採用することが好ましい。カソード還元工程は、図2に示されるようなカソード還元装置105の電解液106により、酸化膜を除去する工程をいう。このようなカソード還元工程は、従来の電解銅箔の製造装置のバフ103に替えて、カソード還元装置105の電解液106により、酸化膜が除去されることにより、銅の初期析出が電解ドラム102の表面に均一に生じ、製箔される銅箔においてピンホールの大きさ及び数が減少することが期待される。
このようなカソード還元装置105の電解液106としては、硫酸、塩酸、及びシュウ酸等を混合することが好ましく、例えば、硫酸濃度が50〜70g/L、塩酸濃度が0〜5g/L、シュウ酸濃度が0〜10g/Lの混合溶液を好適に用いることができる。また、該電解液の温度は60〜70℃とすることが好ましく、電流密度は10〜15A/dmと比較的低くすることが好ましく、処理時間は5〜20分とすることが好ましい。このようなカソード還元工程を経ることで、電極表面の荒れを抑制しながら、効率的に酸化膜の除去ができ、2〜10μm程度の小さなピンホールが発生することを効果的に抑制できる。
製箔を行うための電解液104としては、例えば、銅濃度が50〜150g/L、硫酸濃度が20〜200g/Lの硫酸−硫酸銅水溶液を好適に用いることができる。
また、電解液104には、銅箔の高強度化の観点から、有機又は無機添加剤の少なくとも1種を添加してもよい。これらを添加することにより、常態における引張強度及び加熱後の引張強度を増加させることができ、強度自体の向上及び耐熱性の向上を図ることができる。
有機添加剤としては、例えば、エチレンチオ尿素、ポリエチレングリコール、膠等を用いることができる。
また、無機添加剤としては、塩化物イオンの供給源としてNaClやHCl等を用いることができる。
電解液104には、無機添加剤として塩化物イオン(塩素)を10〜30質量ppm添加することが好ましく、更に有機添加剤としてエチレンチオ尿素、ポリエチレングリコール及び膠をこれらの合計で3〜20質量ppm添加することが好ましい。
また、電解条件としては、以下の条件で電析が行われることが好ましい。
浴温・・・18〜67℃
<定電流電解>
電流密度・・・3〜67A/dm
<PRパルス電解>
正パルス(順電解)電流密度・・・3〜67A/dm
正パルス(順電解)通電時間・・・0.3〜10ミリ秒(ms)
負パルス(逆電解)電流密度・・・3〜67A/dm
負パルス(逆電解)通電時間・・・0.01〜1ミリ秒(ms)
なお、図2に示されるように、カソードドラム102の表面に析出した銅は、最後に矢印の方向に引き剥がされ、銅箔101として製箔される。
上記のような方法により製箔された電解銅箔では、ピンホールの数及び大きさが効果的に抑制されている。
(表面処理銅箔)
本発明の表面処理銅箔は、銅箔基体と、該銅箔基体の一方の面に粗化粒子を形成してなる粗化処理層を含む表面処理皮膜と、を有する。ここで、銅箔基体は、上記本発明の電解銅箔である。また、表面処理皮膜の表面は、銅箔基体の一方の面に形成された粗化粒子の形成状態及び粒子形状等が反映された微細な凹凸表面形状をもつ粗化処理面である。このような表面処理皮膜の表面(以下、「粗化処理面」という。)は、例えば、銅箔基体上に形成された粗化処理層の表面であってもよいし、この粗化処理層上に直接形成されたシランカップリング剤層の表面、又は、この粗化処理層上に、ニッケルを含有する下地層、亜鉛を含有する耐熱処理層及びクロムを含有する防錆処理層等の中間層を介して形成されたシランカップリング剤層の表面であってもよい。また、本発明の表面処理銅箔が、例えば、プリント配線板の導体回路に用いられる場合には、上記粗化処理面が、樹脂基板を貼着積層するための表面(貼着面)となる。
本発明の表面処理銅箔は、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、表面処理銅箔1mあたり、好ましくは800個以下であり、より好ましくは600個以下であり、更に好ましくは400個以下であり、一層好ましくは200個以下であり、より一層好ましくは100個以下であり、更に一層好ましくは50個以下であり、より更に一層好ましくは20個以下である。このような表面処理銅箔を用いて作製されるプリント配線板では、エッチングファクターの向上によるファインパターンの形成を実現できる。また、このような電解銅箔では、例えば長手方向寸法が30μmを超えるような大きなピンホールについては、実質的に存在しないほどまで抑制されるため、該表面処理銅箔を用いて作製されるプリント配線板では断線も効果的に抑制できる。
長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度は、小さいほど好ましいが、実施上の観点から、下限は、例えば電解銅箔1mあたり5個であってもよく、10個であってもよい。
本発明の表面処理銅箔は、表面処理皮膜とは反対側の面において、白色干渉顕微鏡で測定された表面粗さRzが、好ましくは1.5〜6.0μmであり、より好ましくは1.5〜4.5μmであり、更に好ましくは1.5〜3.0μmであり、より更に好ましくは1.5〜2.4μmである。上記範囲とすることにより、該表面処理銅箔を用いて作製されるプリント配線板において、高いエッチングファクターを実現することができる。
また、本発明の表面処理銅箔は、常態における引張強度及び伸びに優れ、耐熱性にも優れている。通常、表面処理皮膜はその厚みが非常に薄いため、銅箔基体の機械的物性にほとんど影響を与えない。そのため、上記のような物性は、概ね使用した銅箔基体の特性と同等であり、好適範囲も上述の電解銅箔の場合と同様である。
<表面処理銅箔の製造方法>
次に、本発明の表面処理銅箔の好ましい製造方法について、その一例を説明する。本発明では、銅箔基体の表面に、粗化粒子を形成する粗化処理を行うことが好ましい。粗化処理を行うことにより、銅張積層板を作製する際の樹脂基板との密着性を向上させることができる。
銅箔基体としては、本発明の電解銅箔を用いる。このような銅箔を用いることにより、ピンホールの数及び大きさを低減でき、常態における高い引張強度及び伸びと、優れた耐熱性とを有する表面処理銅箔が得られる。
(粗化処理)
粗化処理は、例えば下記に示すような粗化めっき処理を行うことが好ましい。また、必要に応じて固定めっき処理を組み合せてもよい。
めっき処理の方式は、例えば大量生産及び生産コストの観点で、ロール・ツー・ロール方式でのめっき処理が好ましい。
・粗化めっき処理
粗化めっき処理は、銅箔基体の一方の表面上に粗化粒子を形成する処理である。具体的には硫酸銅浴でめっき処理を行う。このような硫酸銅浴(粗化めっき液基本浴)には、プリント配線板を作製する際のエッチング性を高める観点で、モリブデン(Mo)やニッケル(Ni)を添加してもよい。
以下、粗化めっき処理用めっき液の組成及び電解条件の一例を示す。なお、下記条件は好ましい一例であり、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて添加剤の種類や量、電解条件を適宜変更、調整することができる。
<粗化めっき処理の条件>
硫酸銅五水和物・・・銅(原子)換算で、3〜72g/L
硫酸・・・26〜150g/L
(NHMo24・4HO・・・モリブデン(原子)換算で、1〜20g/L
NiCl・6HO・・・ニッケル(原子)換算で、1〜20g/L
電流密度・・・3〜67A/dm
処理時間・・・1秒〜1分55秒
浴温・・・25〜70℃
・固定めっき処理
固定めっき処理は、上記粗化めっき処理で表面処理をした銅箔基体に平滑なかぶせめっきを行う処理である。具体的には硫酸銅浴でめっき処理を行う。通常、この処理は、粗化粒子の脱落を防止するため、すなわち粗化粒子を固定化するために行われる。
なお、めっき液の組成及び電解条件は公知の条件で適宜調整すればよい。
更に、本発明の表面処理銅箔は、上記粗化処理層上に、直接又は、ニッケル(Ni)を含有する下地層、亜鉛(Zn)を含有する耐熱処理層、及びクロム(Cr)を含有する防錆処理層等の中間層を介して、シランカップリング剤層をさらに形成してもよい。
また、シランカップリング剤層を形成すると、表面処理銅箔の表面(樹脂基板との接合側の表面)には樹脂基板の親和力の強い官能基が付与されるので、該表面処理銅箔と樹脂基板との接合強度は一層向上し、銅箔の防錆性、吸湿耐熱性を更に向上するので好適である。
シランカップリング剤層の形成方法としては、例えば、表面処理銅箔の上記粗化処理層の凹凸表面上に、直接又は中間層を介して、シランカップリング剤溶液を塗布した後、風乾(自然乾燥)又は加熱乾燥して形成する方法が挙げられる。塗布されたカップリング剤溶液は、溶液中の水が蒸発すれば、シランカップリング剤層が形成されることで本発明の効果が十分に発揮される。50〜180℃で加熱乾燥すると、シランカップリング剤と銅箔の反応が促進される点で好適である。
シランカップリング剤としては、ビニル系シラン、エポキシ系シラン、スチリル系シラン、メタクリロキシ系シラン、アクリロキシ系シラン、アミノ系シラン、ウレイド系シラン、クロロプロピル系シラン、メルカプト系シラン、スルフィド系シラン、イソシアネート系シランから適宜選択することができる。これらのシランカップリング剤は、通常0.001〜5質量%の水溶液として用いることができる。
なお、シランカップリング剤に替えて、チタネート系、ジルコネート系等のカップリング剤を用いても同様の効果を得ることができる。
また、本発明の表面処理銅箔は、粗化処理層とシランカップリング剤層との間に、Niを含有する下地層、Znを含有する耐熱処理層及びCrを含有する防錆処理層の中から選択される少なくとも1層の中間層を有することが好ましい。
Niを含有する下地層は、例えば銅箔基体や粗化処理層中の銅(Cu)が、樹脂基板側に拡散し銅害が発生して密着性が低下することがある場合や、Znを含有する耐熱処理層を形成する場合に、銅箔と樹脂基板とを熱圧着する際に亜鉛が銅箔基体や粗化処理層側へ熱拡散する場合等に、粗化処理層とシランカップリング剤層との間に形成することが好ましい。Niを含有する下地層を形成することにより、銅や亜鉛の拡散を防止できる。Niを含有する下地層は、ニッケル(Ni)、ニッケル(Ni)−リン(P)、ニッケル(Ni)−亜鉛(Zn)の中から選択される少なくとも1種で形成することが好ましい。なお、Niを含有する下地層は、公知の電解めっき法や無電解めっき法を適用して形成することができる。
Znを含有する耐熱処理層は、耐熱性をさらに向上させる必要がある場合に形成することが好ましい。特に、薄い銅箔と樹脂基板とを熱圧着する際に、銅箔と樹脂基板との反応により、該樹脂基板が劣化したり、薄い銅箔の表面酸化が酸化したりすることを防止して、銅箔と樹脂基板との接合強度を高める働きをする。Znを含有する耐熱処理層は、例えば亜鉛、又は亜鉛を含有する合金、即ち、亜鉛(Zn)−錫(Sn)、亜鉛(Zn)−ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)−コバルト(Co)、亜鉛(Zn)−銅(Cu)、亜鉛(Zn)−クロム(Cr)及び亜鉛(Zn)−バナジウム(V)の中から選択される少なくとも1種の亜鉛を含有する合金で形成することが好ましい。なお、Znを含有する耐熱処理層は、公知の電解めっき法や無電解めっき法を適用して形成することができる。
Crを含有する防錆処理層(酸化防止層)は、耐食性を更に向上させる必要がある場合に形成することが好ましい。防錆処理層としては、例えばクロムめっきにより形成されるクロム層、クロメート処理により形成されるクロメート層が挙げられる。好適なクロメート処理としては、公知の方法に従えばよく、例えば、特開昭60−86894号公報に開示されている方法が挙げられる。具体的には、Cr量に換算して0.01〜0.3mg/dm程度のクロム酸化物とその水和物等を付着させることにより、銅箔に優れた防錆能を付与することができる。
上記の下地層、耐熱処理層及び防錆処理層は、これらの三層の全てを形成する場合には、粗化処理層上に、この順序で形成するのが好ましく、また、用途や目的とする特性に応じて、いずれか一層又は二層のみを形成してもよい。
〔表面処理銅箔の作製〕
以下に、本発明の表面処理銅箔の作製方法をまとめる。
本発明では、以下の形成工程(S1)〜(S5)に従い、表面処理銅箔を作製することが好ましい。
(S1)粗化処理層の形成工程
銅箔基体上に、粗化粒子の電析により、微細な凹凸表面をもつ粗化処理層を形成する。
(S2)下地層の形成工程
粗化処理層上に、必要によりNiを含有する下地層を形成する。
(S3)耐熱処理層の形成工程
粗化処理層上又は下地層上に、必要によりZnを含有する耐熱処理層を形成する。
(S4)防錆処理層の形成工程
粗化処理層上、又は必要により粗化処理層上に形成した下地層及び/又は耐熱処理層上に、必要によりCrを含有する防錆処理層を形成する。
(S5)シランカップリング剤層の形成工程
粗化処理層上に、直接シランカップリング剤層を形成するか、又は下地層、耐熱処理層及び防錆処理層の少なくとも1層を形成した中間層を介してシランカップリング剤層を形成する。
(銅張積層板及びプリント配線板)
本発明の電解銅箔を用いて作製された表面処理銅箔は、銅張積層板の製造に好適に用いることができる。このような銅張積層板は、高密度の微細配線を形成するようなプリント配線板として使用される場合に好適である。
銅張積層板は、本発明の表面処理銅箔と、該表面処理銅箔の粗化処理面に積層された樹脂基板と、を備えることが好ましい。このような銅張積層板は、本発明の銅箔を用いて、公知の方法により形成することができる。例えば、銅張積層板は、粗化処理面を有する表面処理銅箔と電気絶縁性の樹脂基板(絶縁基板)とを、該粗化処理面(貼着面)と樹脂基板とが向かい合うように、積層貼着することにより製造される。樹脂基板としては、例えば、フレキシブル樹脂基板又はリジット樹脂基板等が挙げられるが、本発明の銅箔は、リジット樹脂基板との組み合わせにおいて特に好適である。
また、銅張積層板を製造する場合には、シランカップリング剤層を有する表面処理銅箔と、樹脂基板とを加熱プレスによって貼り合わせることにより製造すればよい。なお、樹脂基板上にシランカップリング剤を塗布し、シランカップリング剤が塗布された樹脂基板と、最表面に防錆処理層を有する表面処理銅箔とを加熱プレスによって貼り合わせることにより作製された銅張積層板も、本発明と同等の効果を有する。
また、プリント配線板は、上記銅張積層板を備えることが好ましい。このようなプリント配線板は、上記銅張積層板を用いて、公知の方法により形成することができる。本発明の電解銅箔及び表面処理銅箔は、薄く、ピンホールが少なく、平滑性に優れているため、高密度の微細配線を形成するようなプリント配線板として使用される場合に好適である。
(その他の用途)
本発明の電解銅箔及び表面処理銅箔は、薄く、ピンホールが少なく、平滑性に優れている。このような電解銅箔及び表面処理銅箔は、例えばリチウムイオン二次電池等の負極集電体としても好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の一例に過ぎない。本発明は、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下に、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、以下は本発明の一例である。
(実施例1〜16及び比較例1〜5)
下記カソード及びアノードを用い、表1に示す組成の電解液と、電解条件で、ロール状の電解銅箔を作製した。なお、表1の箔厚は、後述する評価方法により測定された値である。
<カソード>
カソードには、チタン製の回転ドラムを使用した。
なお、カソード還元は、図2に示すようなカソード還元装置を用いて、表1に示す組成の電解液により、以下の条件で、チタン製の回転ドラムの表面の酸化膜を除去して行った。
・カソード還元の条件
浴温 :65℃
電流密度 :12A/dm
処理時間 :10分
なお、表1中、「−」は、カソード還元を行わなかったことを意味し、この場合は、従来のように、#1000〜#2000のバフ研磨により、チタン製の回転ドラムの表面を研磨して酸化膜を除去した。
<アノード>
また、アノードとしては、寸法安定性陽極DSA(登録商標)を使用した。
<電解液>
表1に示す電解液において、銅源は硫酸銅五水和物、塩素源は塩酸を用いた。
<電解条件>
銅の析出は、定電流電解又はPR電解により、表1に示す条件で行った。なお、表1中、「−」は、定電流電解又はPR電解を行わなかったことを意味する。
表1のPR電解において、例えば、電流密度(順電解0.5ms/逆電解0.05ms)が45/45(A/dm)と記載されている場合は、順電解を45A/dmで0.5ms実施した直後に、逆電解を45A/dmで0.05ms行い、そしてこの順電解と逆電解を交互に繰り返したことを意味する(表1中、PR電解が「45/45」以外の場合も、同様に解する)。
[評価(1)]
上記実施例及び比較例に係る電解銅箔について、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りであり、特に断らない限り、各測定は常温にて行った。結果を表2に示す。
[箔厚]
電解銅箔の厚みを、電子天秤により質量厚さとして測定した。結果を表1に示す。
[ピンホールの個数密度]
まず、電解銅箔を200mm×200mmの大きさに切断し、測定用サンプルを準備した。
次に、測定用サンプルを用いて、光透過法でピンホールをマーキングし、ピンホールの寸法毎に数をカウントした。カウントしたピンホールの数に基づいて、単位面積(1m)当たりのピンホールの数として、ピンホールの個数密度を算出した。
また、ピンホールの寸法の測定は、デジタルマイクロスコープ(VHX−100、株式会社キーエンス製)を使用し、電解銅箔のピンホール部の裏側からバックライトを照射し、ピンホールから透過した光をピンホール形状として、該形状の最も長い部分の寸法を計測し、これを長手方向寸法として見積もった。なお、照射したバックライトのLIGHTCONTROL値は、Maxとした。
[表面粗さRz]
表面粗さRzの測定は、常態の電解銅箔を測定対象として、白色光干渉型光学顕微鏡(Wyko ContourGT−K、BRUKER社製)を用いて表面形状の測定を行い、更に形状解析することにより行った。形状解析はVSI測定方式でハイレゾリューションCCDカメラを使用し、光源は白色光、測定倍率が10倍、測定範囲が477μm×357.8μm、LateralSamplingが0.38μm、speedが1、Backscanが10μm、Lengthが10μm、Thresholdが3%の条件により行い、TermsRemoval(Cylinderand Tilt)、DataRestore(Method:legacy、iterations 5)、StatisticFilter(FilterSize:3、FilterType:Median)のフィルタ処理をした後、データ処理して行なった。
測定は、電解銅箔のS面及びM面のそれぞれについて、任意の5箇所で行い、その測定値(それぞれN=5)から算出した平均値を、S面及びM面の表面粗さRzとした。
なお、本実施例では、S面の表面粗さRzが3.00μm以下であり、M面の表面粗さRzが6.00μm以下である場合を良好と評価した。
[引張強度及び伸び]
まず、電解銅箔を、12.7mm×130mmの大きさに切断し、測定用サンプルを各10本ずつ準備した。
次に、測定用サンプルのうち5本を、300℃で1時間加熱し、常温まで自然冷却して、300℃で1時間熱処理した状態の測定用サンプルとした。
熱処理を施していない常態の測定用サンプル5本と、300℃で1時間熱処理した後の状態の測定用サンプル5本のそれぞれについて、引張試験機試験装置(1122型、インストロン社製)を用いて、IPC−TM−650の規定に従って、引張試験を行った。
引張試験では、チャック間距離70mm、引張速度50mm/minとし、引張強度及び伸びを測定した。なお、伸びについては、常態における伸びを測定した。また、伸びは、試験片が破断した際の伸び率を指す。
得られた測定値(各々N=5)から算出した平均値を、各電解銅箔の引張強度及び伸びとした。
表2に示されるように、実施例1〜16で作製された電解銅箔は、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、電解銅箔1mあたり800個以下に制御されている。このような電解銅箔は、S面及びM面の両面において、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、電解銅箔1mあたり800個以下に制御されていない比較例1〜5の電解銅箔に比べて、表面粗さRzが小さく、非常に平滑であることが確認された。
更に、実施例1〜16の電解銅箔では、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、電解銅箔1mあたり800個以下に制御されているため、長手方向寸法が30μmを超えるようなピンホールについては観察されなかった。
また、実施例1〜16の電解銅箔は、比較例1〜16の電解銅箔に比べて常態における引張強度や伸びが優れており、また300℃で1時間熱処理した後においても引張強度が高く維持されており耐熱性にも優れていることが確認された。
(実施例21)
[1]粗化処理層の形成
実施例1にて作製した電解銅箔を銅箔基体とし、該銅箔基体のS面に、ロール・ツー・ロール方式で粗化めっき処理を施し、厚さ1μmの粗化処理層を形成した。粗化めっき処理は、表3に示す組成の電解液を用い、下記の電解条件で行った。
<電解液>
表3に示す電解液において、銅源は硫酸銅五水和物、モリブデン源は(NHMo24・4HO、ニッケル源はNiCl・6HOを用いた。
<粗化めっき処理の条件>
電流密度 :30A/dm
処理時間 :1分
浴温 :表3に示す。
[2]金属処理層の形成
続いて、上記[1]で形成した粗化処理層の表面に、下記の条件で、Ni、Zn、Crの順に金属めっきを施して金属処理層(中間層)を形成した。
<Niめっき条件>
硫酸ニッケル :Ni換算で、5.0g/L
過硫酸アンモニウム :25.0g/L
ほう酸 :30.5g/L
浴温 :28.5℃
pH :4.0
電流密度 :1.5A/dm
処理時間 :2秒
<Znめっき条件>
硫酸亜鉛7水和物 :Zn換算で、30g/L
水酸化ナトリウム :200g/L
浴温 :60℃
電流密度 :10A/dm
処理時間 :1分
<Crめっき条件>
無水クロム酸CrO :Cr換算で、2.5g/L
浴温 :45℃
pH :2.5
電流密度 :0.5A/dm
処理時間 :2分
[3]シランカップリング剤層の形成
更に、下記に示す処理を行い、クロメート処理層の上にシランカップリング剤層を形成した。すなわち、シランカップリング剤水溶液にメタノール又はエタノールを添加し、所定のpHに調整して、処理液を得た。この処理液を表面処理銅箔のクロメート処理層に塗布し、所定の時間保持してから温風で乾燥させることにより、シランカップリング剤層を形成した。シランカップリング剤は、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803、信越化学工業株式会社製)を用い、濃度1.0%、pH4.0の条件で、シランカップリング剤水溶液を調液した。
(実施例22〜39及び比較例21〜24)
実施例22〜39及び比較例21〜24は、粗化処理層の形成工程[1]において、粗化めっき処理の各条件を、上記表3記載の通りとした以外は、実施例21と同様の方法にて、表面処理銅箔を得た。
[評価(2)]
上記実施例及び比較例に係る表面処理銅箔について、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りであり、特に断らない限り、各測定は常温にて行った。結果を表4に示す。
ピンホールの個数密度、表面粗さRz、引張強度及び伸びの各測定は、上記評価(1)と同様の条件で行った。なお、表面粗さRzは、非粗化処理面として、表面処理銅箔の粗化処理層が形成されている側とは反対側の面の表面粗さRzを測定した。
[回路特性]
回路特性は、表面処理銅箔の粗化処理面上に、サブトラクティブ工法により、以下の手順で回路形成を行い、断線率及びエッチングファクターのそれぞれの測定を行った。
(回路形成)
まず、表面処理銅箔を、樹脂基板として絶縁樹脂(R−A550(W)、パナソニック株式会社製)に貼り付け、ドライレジストフィルムを使用してエッチングして、L&S=30μm/30μmの線幅/線間ピッチのレジストパターンを形成した。エッチング液としては、塩化銅と塩酸との混合溶液を使用した。
<断線率>
上記回路について、得られた配線パターンを100本観察し、断線が確認された配線パターンの本数をカウントした。観察は、デジタルマイクロスコープ(同上)を使用して行った。観察結果に基づき、観察した100本の配線パターンのうち断線していた配線パターンの数として、断線率(%)を見積もった。
本実施例では、断線率が0%である場合を合格と評価した。
<エッチングファクター(Ef)>
上記回路について、得られた配線パターンのエッチングファクター(Ef)を測定した。
エッチングファクターとは、銅箔の箔厚(μm)をH、形成された配線パターンのボトム幅(μm)をB、形成された配線パターンのトップ幅(μm)をTとするときに、次式で示される値である。なお、銅箔の箔厚Hは表面処理銅箔の厚さとした。また、ボトム幅B及びトップ幅Tの各寸法は、ジャストエッチ位置(レジストの端部の位置と配線パターンのボトムの位置が揃う)となったときの配線パターンについて、デジタルマイクロスコープ(同上)を用いて観察し、各寸法を測定した。測定は、任意の5本の配線パターンで測定し、その測定値(N=5)から算出した平均値を、その回路のエッチングファクターとした。
Ef=2H/(B−T)
本実施例では、上記Efの値が2.5以上である場合を合格と評価した。なお、Efの値が小さい場合は、配線パターンにおける側壁の垂直性が崩れて、線幅が狭い微細な配線パターンを形成する場合に、断線に結び付く危険性がある。
表4に示されるように、本発明の実施例の電解銅箔を銅箔基体として用いた表面処理銅箔(実施例21〜39)は、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度を、電解銅箔1mあたり800個以下とすることができる。そのため、このような表面処理銅箔を用いてプリント配線板を作製した場合、断線率を効果的に抑制できることが確認された。
また、このような表面処理銅箔は、銅箔基体の表面状態が反映され易い非粗化処理面において、優れた平滑性を実現し得ることが確認された。そのため、このような表面処理銅箔を用いてプリント配線板を作製した場合、高いエッチングファクターを実現できることが確認された。
更に、本発明の実施例の電解銅箔は、それ自体で既に高い引張強度及び伸び、並びに優れた耐熱性を有しているため、該電解銅箔を銅箔基体とする表面処理銅箔も高い引張強度及び伸び、並びに優れた耐熱性を実現できることが確認された。
これに対し、本発明の比較例の電解銅箔を銅箔基体として用いた表面処理銅箔(比較例21〜24)は、長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度を、電解銅箔1mあたり800個以下とすることができない。そのため、このような表面処理銅箔を用いてプリント配線板を作製した場合、断線が発生することが確認された。
また、このような表面処理銅箔は、銅箔基体の平滑性に劣るため、非粗化処理面において、優れた平滑性を実現できないことが確認された。そのため、このような表面処理銅箔を用いてプリント配線板を作製した場合、断線が発生しており、本発明の実施例の表面処理銅箔に比べて、エッチングファクターも低いことが確認された。
更に、本発明の比較例の電解銅箔は、それ自体の引張強度、伸び並びに耐熱性が、本発明の実施例の電解銅箔に比べて劣っているため、得られる表面処理銅箔の引張強度、伸び並びに耐熱性も、本発明の実施例の表面処理銅箔に比べて劣っていることが確認された。
101 析出銅箔
102 ドラム
103 バフ装置
104 電解液
105 カソード還元装置
106 電解液

Claims (12)

  1. キャリア付き銅箔を除く、厚さが9μm以下である電解銅箔であって、
    長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、前記電解銅箔1mあたり800個以下である、電解銅箔。
  2. 長手方向寸法が2〜30μmであるピンホールの存在密度が、前記電解銅箔1mあたり800個以下である、請求項1に記載の電解銅箔。
  3. 長手方向寸法が30μm超であるピンホールが実質的に存在しない、請求項1又は2に記載の電解銅箔。
  4. 長手方向寸法が10μm超であるピンホールが実質的に存在しない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  5. 白色干渉顕微鏡で測定された表面粗さRzが、光沢面(S面)において1.5〜3.0μmであり、粗面(M面)において2.0〜6.0μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  6. 厚さが6μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  7. 常態における引張強度が400〜650MPaであり、
    300℃で1時間熱処理された後の常温における引張強度が300MPa以上であり、
    常態における伸びが2.5%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  8. プリント配線板の製造に用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  9. 銅箔基体と、該銅箔基体の一方の面に粗化粒子を形成してなる粗化処理層を含む表面処理皮膜と、を有する表面処理銅箔であって、
    前記銅箔基体が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解銅箔であり、
    長手方向寸法が2〜10μmであるピンホールの存在密度が、前記表面処理銅箔1mあたり800個以下である、表面処理銅箔。
  10. 前記表面処理皮膜とは反対側の面において、前記白色干渉顕微鏡で測定された表面粗さRzが1.5〜6.0μmである、請求項9に記載の表面処理銅箔。
  11. 請求項9又は10に記載の表面処理銅箔と、該表面処理銅箔の粗化処理面に積層された樹脂基板と、を備える銅張積層板。
  12. 請求項11に記載の銅張積層板を備えるプリント配線板。
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