JP2020193401A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、優れたバリア性能を有する積層体を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順で有する積層体であって、水蒸気バリア層は、板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含み、ガスバリア層は、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする繊維状セルロースを含む、積層体に関する。【選択図】図1
Description
本発明は、積層体に関する。具体的に、本発明は、紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順で有する積層体に関する。
従来、紙を基材とする包装材料であって、水蒸気バリア性やガスバリア性(特に、酸素バリア性)を付与した包装材料が知られている。このような包装材料は、内容物の品質低下を防止するために、食品、医療品、電子部品等の包装材料として用いられている。
紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性を付与する方法としては、紙を支持体としてガスバリア性に優れた合成樹脂フィルムや金属箔を積層する方法が一般的である。しかし、紙基材に合成樹脂フィルム等を積層した材料は、使用後に紙や合成樹脂等をリサイクルすることが困難であり、環境面において課題を有するものであった。
そこで、合成樹脂フィルム等を使用せずに、紙を基材としたガスバリア性材料の開発が進められてきている。例えば、特許文献1には、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層がこの順で設けられた紙製バリア材料が開示されている。ここでは、水蒸気バリア層は、水蒸気バリア性樹脂及び撥水剤を含有し、且つガスバリア層は、水溶性高分子及び界面活性剤を含有している。
また、特許文献2には、紙基材上に水蒸気バリア層及びガスバリア層が設けられた紙製バリア包装材料が開示されている。ここでは、水蒸気バリア層は、平均粒子径5μm以上、アスペクト比10以上のカオリンを全顔料に対して50〜100重量%含有し、ガスバリア層のバインダー樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂である。
さらに、特許文献3には紙基材上に水蒸気バリア層、ガスバリア層を積層した紙製バリア包装材料が開示されている。ここでは、ガスバリア層はセルロースナノファイバーを含有しているが、水蒸気バリア層にカチオン性樹脂は含まれていない。
しかしながら、近年は、合成樹脂フィルム等を使用しない包装材料に対しても、より高いレベルのバリア性能が求められる場合があり、その改善が求められていた。
このため、本発明は、優れたバリア性能を有する積層体を提供することを課題とする。
このため、本発明は、優れたバリア性能を有する積層体を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順で有する積層体において、水蒸気バリア層に板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含有させ、さらに、ガスバリア層にリンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を有する微細繊維状セルロースを含有させることにより、優れたバリア性能を有する積層体が得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順で有する積層体であって、
水蒸気バリア層は、板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含み、
ガスバリア層は、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする繊維状セルロースを含む、積層体。
[2] 紙支持体と水蒸気バリア層からなる積層シートの水蒸気透過度が50g/m2・day以下であり、かつ王研式透気度が30000秒以上である[1]に記載の積層体
[3] 板状無機化合物のアスペクト比が100以上であり、かつ厚みが100nm以下である[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分質量に対して0.1〜30質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 板状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分質量に対して0.1〜50質量%である[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] カチオン性樹脂がポリアミン、変性ポリアミドアミン、ポリアミドエピクロロヒドリン及びポリエチレンイミンから選択される少なくとも1種であり、カチオン性樹脂の表面電荷が0.1〜5.0meq/gである[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 板状無機化合物がマイカ、ベイトナイト、カオリン及びタルクから選択される少なくとも1種である[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 積層体の少なくとも一方の最外層にラミネート層をさらに有する[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] ラミネート層はカルボキシ基を有するポリオレフィン系高分子又は生分解性樹脂を含む、[8]に記載の積層体。
[10] 包装用材料である[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
水蒸気バリア層は、板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含み、
ガスバリア層は、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする繊維状セルロースを含む、積層体。
[2] 紙支持体と水蒸気バリア層からなる積層シートの水蒸気透過度が50g/m2・day以下であり、かつ王研式透気度が30000秒以上である[1]に記載の積層体
[3] 板状無機化合物のアスペクト比が100以上であり、かつ厚みが100nm以下である[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分質量に対して0.1〜30質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 板状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分質量に対して0.1〜50質量%である[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] カチオン性樹脂がポリアミン、変性ポリアミドアミン、ポリアミドエピクロロヒドリン及びポリエチレンイミンから選択される少なくとも1種であり、カチオン性樹脂の表面電荷が0.1〜5.0meq/gである[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 板状無機化合物がマイカ、ベイトナイト、カオリン及びタルクから選択される少なくとも1種である[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 積層体の少なくとも一方の最外層にラミネート層をさらに有する[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] ラミネート層はカルボキシ基を有するポリオレフィン系高分子又は生分解性樹脂を含む、[8]に記載の積層体。
[10] 包装用材料である[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、優れたバリア性能を有する積層体が得られる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(積層体)
本発明は、紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順で有する積層体に関する。本発明の積層体において、水蒸気バリア層は、板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含む。また、ガスバリア層は、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする繊維状セルロースを含む。なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースもしくはCNFともいう。
本発明は、紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順で有する積層体に関する。本発明の積層体において、水蒸気バリア層は、板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含む。また、ガスバリア層は、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする繊維状セルロースを含む。なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースもしくはCNFともいう。
図1は、本発明の積層体の構成を説明する断面図である。図1に示されるように、本発明の積層体100は、紙支持体100の上に、水蒸気バリア層20を有しており、この水蒸気バリア層20の上には、さらにガスバリア層30を有している。このように、積層体100においては、紙支持体100、水蒸気バリア層20及びガスバリア層30がこの順で直接積層した構造を有している。
本実施形態の積層体100は、紙支持体10の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層20及びガスバリア層30をこの順に有している。本実施形態の積層体100においては、紙支持体10の片面のみに水蒸気バリア層20及びガスバリア層30を設けてもよいし、紙支持体10の両面に水蒸気バリア層20及びガスバリア層30を設けてもよい。
本発明の積層体100は、上記構成を有するため、バリア性能に優れている。本発明の積層体100においては、紙支持体100の上に、水蒸気バリア層20を設け、さらにその上にガスバリア層30を積層しており、このような所定順番の層構造を採用することで、優れたバリア性能が発揮される。また、ガスバリア層30は、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする微細繊維状セルロースを有しており、このような特定のアニオン性基を有する微細繊維状セルロースを含有させることで、積層体のバリア性能が一段と高められている。さらに、水蒸気バリア層20は板状無機化合物とアニオン性バインダーに加えて、カチオン性樹脂を含んでおり、このような水蒸気バリア層20を中間層として積層体100を構成することで、積層体100は高いレベルでバリア性能を発揮することができる。
本明細書において、バリア性能が良好であることは、水蒸気バリア性とガスバリア性が両立されていることを意味する。本発明の積層体は、優れた水蒸気バリア性とガスバリア性を有している。
積層体の水蒸気バリア性は、水蒸気透過度によって評価される。具体的には、水蒸気透過度は、JIS Z 0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90±2%)に準拠して、積層体の水蒸気バリア層が内側にくるように配置して測定される。積層体の水蒸気透過度は、50g/m2・24h以下であることが好ましく、40g/m2・24h以下であることがより好ましく、30g/m2・24h以下であることがさらに好ましい。なお、積層体の水蒸気透過度は、0g/m2・24hであってもよい。
積層体のガスバリア性は酸素透過度によって評価される。具体的には、酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/20)を使用して、23℃、相対湿度50%の条件で測定される。酸素透過度は10cc/m2・24h以下であることが好ましく、8cc/m2・24h以下であることがより好ましく、6cc/m2・24h以下であることがさらに好ましく、4cc/m2・24h以下であることが特に好ましい。
また、本発明の積層体は、ガスバリア層にパルプ由来の微細繊維状セルロースを含むため、廃棄処分する際に環境への負荷が低減される。
本発明においては、紙支持体と水蒸気バリア層からなる積層シートの水蒸気透過度は50g/m2・day以下であり、かつ王研式透気度は30000秒以上であることが好ましい。水蒸気バリア層の水蒸気透過度は40g/m2・day以下であることがより好ましく、35g/m2・day以下であることがさらに好ましい。積層シートの水蒸気透過度を上記範囲内とすることにより、積層体のバリア性能をより効果的に高めることができる。
また、紙支持体と水蒸気バリア層からなる積層シートの王研式透気度は30000秒以上であればよく、35000秒以上であることが好ましく、40000秒以上であることがより好ましく、45000秒以上であることがさらに好ましく、50000秒以上であることが特に好ましい。積層シートの王研式透気度を上記範囲内とすることにより、積層体のバリア性能をより効果的に高めることができる。
積層シートの水蒸気透過度は、JIS Z 0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90±2%)に準拠して、紙支持体と水蒸気バリア層からなる積層シートの水蒸気バリア層が内側にくるように配置して、水蒸気透過度を測定する。また、積層シートの王研式透気度は、紙支持体と水蒸気バリア層からなる積層シートについて、JIS P 8117:2009に準じて測定する。
[紙支持体]
本実施形態に用いられる紙支持体は、植物由来のパルプを主成分として一般的に用いられている紙であれば特に制限はない。具体的には、晒または未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等を挙げることができる。機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とする紙であることが好ましい。
本実施形態に用いられる紙支持体は、植物由来のパルプを主成分として一般的に用いられている紙であれば特に制限はない。具体的には、晒または未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等を挙げることができる。機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とする紙であることが好ましい。
紙支持体のJIS P8121:2012に準じて測定した離解フリーネス(濾水度)は、バリア性を向上させる観点から、800ml以下とすることが好ましく、500ml以下がより好ましい。ここで、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P8220−1に準拠して離解したパルプを、JIS P8121:2012に準拠して測定したカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness)のことである。離解フリーネスを調製するために、パルプを叩解する方法については、公知の方法を使用することができる。
紙支持体の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m2であることが好ましく、30〜320g/m2であることがより好ましい。
紙支持体のサイズ度は、特に限定されないが、バリア性を向上させる観点から、JIS P 8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度が1秒以上とすることが好ましい。紙支持体のサイズ度は、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等の内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。内添サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、紙支持体のパルプ100質量部に対して0〜3質量部程度の範囲が好ましい。
紙支持体にはさらに、公知の内添薬品を適宜添加することができる。内添薬品としては、例えば、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等の填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料等を挙げることができる。
[水蒸気バリア層]
水蒸気バリア層は、水蒸気の透過を阻止する機能を有する層であり、板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含有している。水蒸気バリア層の厚さは、1〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。また、水蒸気バリア層の塗工量は、固形分として、1〜30g/m2であることが好ましく、3〜20g/m2であることがより好ましい。
水蒸気バリア層は、水蒸気の透過を阻止する機能を有する層であり、板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含有している。水蒸気バリア層の厚さは、1〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。また、水蒸気バリア層の塗工量は、固形分として、1〜30g/m2であることが好ましく、3〜20g/m2であることがより好ましい。
−板状無機化合物−
板状無機化合物の形態は、平板状である。また、板状無機化合物は分子内に微細積層構造を有しているため、層状無機化合物と呼ぶこともある。
板状無機化合物の形態は、平板状である。また、板状無機化合物は分子内に微細積層構造を有しているため、層状無機化合物と呼ぶこともある。
板状無機化合物とバインダー成分等との混合溶液を作製し、紙支持体上に塗工すると、水蒸気バリア層が形成される。水蒸気バリア層内においては、平板状の板状無機化合物が紙支持体の平面(表面)とほぼ平行に積層した状態に配列する。そうすると、平面方向では板状無機化合物が存在していない面積が小さくなることから、水蒸気の透過が抑制される。また、厚さ方向では平板状の板状無機化合物が紙支持体平面に対して平行に配列して存在するため、層中の水蒸気は板状無機化合物を迂回しながら透過することとなり、水蒸気の透過が抑制される。その結果、水蒸気バリア層は優れた水蒸気バリア性を発現することができる。
板状無機化合物の長さは1μm〜100μmであることが好ましい。ここで、板状無機化合物の長さとは、水蒸気バリア層の断面の電子顕微鏡拡大写真を、撮影画像内に板状無機化合物が20〜30個程度含まれる倍率で撮ったときの、個々の無機化合物の長さの平均長さである。板状無機化合物の長さを上記下限値以上とすることにより、塗工層中における板状無機化合物の配向が紙支持体に対して平行になりやすいため好ましい。一方、板状無機化合物の長さを上記上限値以下とすることにより、板状無機化合物の一部が水蒸気バリア層から突出することなどを抑制できる。
板状無機化合物は、アスペクト比が50以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、150以上であることがさらに好ましく、300以上であることが一層好ましく、500以上であることが特に好ましい。なお、アスペクト比の上限は特に限定されず、塗工液の粘度の観点から10000以下程度が好ましい。板状無機化合物のアスペクト比を上記範囲内とすることにより、所定の水蒸気透過度を達成することが容易となる。なお、アスペクト比が大きいほど、水蒸気の透過が抑制され、水蒸気バリア性が向上する。また、アスペクト比が大きいほど、板状無機化合物の添加量を低減させることができる。ここで、アスペクト比とは、水蒸気バリア層の断面の顕微鏡拡大写真を撮ったときに、板状無機化合物の長さをその厚さで除した値の平均値である。
板状無機化合物の厚さは200nm以下であることが好ましい。ここで、板状無機化合物の厚さとは、水蒸気バリア層の断面の電子顕微鏡拡大写真を、撮影画像内に板状無機化合物が20〜30個程度含まれる倍率で撮ったときの、個々の無機化合物の厚さの平均厚さである。板状無機化合物の厚さは、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。板状無機化合物の平均厚さが小さい方が、水蒸気バリア層中における板状無機化合物の積層数が大きくなるため、高い水蒸気バリア性を発揮することができる。
板状無機化合物の具体例としては、雲母族、脆雲母族等のマイカ、ベントナイト、カオリナイト(カオリン鉱物)、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイトなどが挙げられる。
これらの中でも特に、バリア性を向上させる観点から板状無機化合物は、マイカ、ベイトナイト、カオリン及びタルクから選択される少なくとも1種であることが好ましく、マイカまたはベントナイトがより好ましい。マイカとしては、合成マイカ、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。また、ベントナイトとしては、モンモリロナイトが挙げられる。
板状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。一方、板状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。本実施形態では、板状無機化合物のアスペクト比を大きくし、厚さを小さくすることによって、板状無機化合物の含有量を低減することができる。また、水蒸気バリア層の強度を高めて、板状無機化合物の水蒸気バリア層からの脱落を抑えることができる。特に、アスペクト比が大きく且つ厚さの小さい特定の範囲の板状無機化合物を用いると、水蒸気バリア層の顕微鏡拡大写真を撮ったときに、従来とは明らかに異なり、空隙のない稠密な膜が形成されていることが確認できる。この水蒸気バリア層の空隙のない稠密な膜構造が、強靭な皮膜を形成して、折割れを効果的に抑えている。また、ガスバリア層の塗工液の浸透を抑えて、均一なガスバリア層の形成にも寄与している。
板状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層のアニオン性バインダー100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましく、1〜20質量部であることがさらに好ましい。板状無機化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、水蒸気バリア性をより効果的に高めることができる。また、板状無機化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、板状無機化合物の一部が層表面から露出して、水蒸気バリア性が低減することを抑制することができ、均一なガスバリア層を形成することができる。
−カチオン性樹脂−
水蒸気バリア層はカチオン性樹脂をさらに含む。本発明者らは、板状無機化合物を含有する水蒸気バリア層にカチオン性樹脂を添加し、さらに、ガスバリア層にリンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を有する微細繊維状セルロースを含有させることによって、水蒸気バリア性とガスバリア性の両方が大きく向上することを見出した。
水蒸気バリア層はカチオン性樹脂をさらに含む。本発明者らは、板状無機化合物を含有する水蒸気バリア層にカチオン性樹脂を添加し、さらに、ガスバリア層にリンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を有する微細繊維状セルロースを含有させることによって、水蒸気バリア性とガスバリア性の両方が大きく向上することを見出した。
カチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性が大きく向上する理由については、以下のように考えている。板状無機化合物は、平板状の形態の平面部分がアニオン性、エッジ部分がカチオン性に帯電し易いため、板状無機化合物が相互に立体的に凝集した、いわゆるカードハウス構造をとることが知られている。このカードハウス構造のために、板状無機化合物の水分散液は粘度が非常に高くなる。一方、カードハウス構造は攪拌などにより力を加えると簡単に壊れるため、板状無機化合物の水分散液はチキソトロピー性を示す。
ここに、適切なカチオン性樹脂を添加すると、板状無機化合物のアニオン性の平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊される。その結果、板状無機化合物が立体的に凝集することが抑制され、平板状の板状無機化合物が紙支持体平面に対して平行に積層し易くなり、水蒸気バリア性の向上につながるものと推定している。
ここに、適切なカチオン性樹脂を添加すると、板状無機化合物のアニオン性の平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊される。その結果、板状無機化合物が立体的に凝集することが抑制され、平板状の板状無機化合物が紙支持体平面に対して平行に積層し易くなり、水蒸気バリア性の向上につながるものと推定している。
カチオン性樹脂の具体例としては、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどを挙げることができる。中でも、カチオン性樹脂は、ポリアミン、変性ポリアミドアミン、ポリアミドエピクロロヒドリン及びポリエチレンイミンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
カチオン性樹脂は、表面電荷が0.1〜10meq/gであることが好ましく、0.1〜5.0meq/gであることがより好ましい。カチオン性樹脂の表面電荷が上記範囲内であると、カードハウス構造を破壊することが可能であり、後記するアニオン性バインダーとも適度に共存することができる。なお、カチオン性樹脂の表面電荷は、以下に記載する方法で測定する。
カチオン性樹脂の表面電荷を測定する際には、まず、試料となる重合体を水に溶解して、重合体濃度1ppmの溶液を得る。その溶液に対し、チャージアナライザーMutek PCD−04型(BTG社製)を用いて、0.001Nポリエチレンスルホン酸ナトリウムを滴下して電荷量を測定する。
カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層に使用される板状無機化合物とアニオン性バインダーの種類に応じて適宜選択すればよいが、水蒸気バリア層の全固形分質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。一方、カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。カチオン性樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、積層体のバリア性能をより向上させることができる。
なお、カチオン性樹脂の含有量は、板状無機化合物100質量部に対して、1〜300質量部が好ましく、1〜250質量部がより好ましく、10〜150質量部がさらに好ましく、20〜150質量部が特に好ましい。また、カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層のアニオン性バインダー100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.1〜15質量部であることがより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。
−アニオン性バインダー−
水蒸気バリア層はアニオン性バインダーをさらに含む。本発明者らは、さらに、バインダーがアニオン性を示す方が、水蒸気バリア性がより向上することも見出した。上述したように、板状無機化合物の平面部分はアニオン性であるが、カチオン性樹脂が吸着すると表面がカチオン性になる。そのため、アニオン性であるバインダーとの親和性が高まることとなる。
水蒸気バリア層はアニオン性バインダーをさらに含む。本発明者らは、さらに、バインダーがアニオン性を示す方が、水蒸気バリア性がより向上することも見出した。上述したように、板状無機化合物の平面部分はアニオン性であるが、カチオン性樹脂が吸着すると表面がカチオン性になる。そのため、アニオン性であるバインダーとの親和性が高まることとなる。
アニオン性のバインダーとしては、カルボン酸基を含む単量体で変性されたバインダーが好ましい。アニオン性バインダーの骨格となるポリマーとしては、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体、メタクリレート・ブタジエン系共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン系共重合体、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体、アクリルエステル系重合体などが挙げられる。これらの中では、耐水性が良好で、伸びがよく、折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいことから、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体及びオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
スチレン・ブタジエン系共重合体は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物と、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン化合物、及びこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。芳香族ビニル化合物としてはスチレン、また共役ジエン化合物としては1,3−ブタジエンが好適である。
スチレン・アクリル系共重合体は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステルなどの少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸単量体又はその塩、及びこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。芳香族ビニル化合物としてはスチレンなどが好適であり、また不飽和カルボン酸単量体、不飽和スルホン酸単量体又はその塩としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが好適である。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン、とりわけ、エチレン、プロピレン等のα-オレフィンとアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸単量体又はその塩、及びこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。オレフィンとしては、α-オレフィン、とりわけエチレンなどが好適であり、また不飽和カルボン酸単量体、不飽和スルホン酸単量体又はその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが好適である。オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体の具体例としては、例えばエチレン・アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液が、ザイクセン(登録商標)AC等(アクリル酸の共重合比率20%、住友精化株式会社製)として市販されており、容易に入手し利用することができる。
共重合可能なその他の化合物としては、具体的に、シアノ基含有エチレン性不飽和化合物、エチレン性不飽和酸のグリシジルエーテル、不飽和アルコールのグリシジルエーテル、(メタ)アクリルアミド系化合物などが挙げられる。
アニオン性バインダーは、上記の骨格となるポリマーにカルボン酸基を含む単量体を共重合して、変性させることにより得ることができる。カルボン酸基を含む単量体の共重合比率は、1〜50mol%であることが好ましい。
アニオン性バインダーの重量平均分子量は、塗工液粘度の観点から、1万〜1000万が好ましく、10万〜500万がより好ましい。
アニオン性バインダーの含有割合は、特に限定されないが、水蒸気バリア層の全固形分中50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
−任意成分−
水蒸気バリア層には、板状無機化合物、カチオン性樹脂及びアニオン性バインダー以外に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
水蒸気バリア層には、板状無機化合物、カチオン性樹脂及びアニオン性バインダー以外に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
[ガスバリア層]
ガスバリア層は、主として酸素ガスの透過を阻止する機能を有する層であり、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする繊維状セルロースを含有している。なお、本明細書中においては、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を、単にリンオキソ酸基とも言う。
ガスバリア層は、主として酸素ガスの透過を阻止する機能を有する層であり、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする繊維状セルロースを含有している。なお、本明細書中においては、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を、単にリンオキソ酸基とも言う。
−微細繊維状セルロース−
微細繊維状セルロースは、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースである。繊維状セルロースの繊維幅は100nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましい。
微細繊維状セルロースは、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースである。繊維状セルロースの繊維幅は100nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましい。
繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば電子顕微鏡観察などにより測定することが可能である。繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば1000nm以下である。繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば2nm以上1000nm以下であることが好ましく、2nm以上100nm以下であることがより好ましく、2nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、2nm以上10nm以下であることが特に好ましい。繊維状セルロースの平均繊維幅を2nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、繊維状セルロースによる強度や剛性、寸法安定性の向上という効果をより発現しやすくすることができる。なお、繊維状セルロースは、たとえば単繊維状のセルロースである。
繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば電子顕微鏡を用いて以下のようにして測定される。まず、濃度0.05質量%以上0.1質量%以下の繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、この懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。次いで、観察対象となる繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
繊維状セルロースの繊維長は、特に限定されないが、たとえば0.1μm以上1000μm以下であることが好ましく、0.1μm以上800μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上600μm以下であることがさらに好ましい。繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維状セルロースの結晶領域の破壊を抑制できる。また、繊維状セルロースの分散液粘度を適切な範囲とすることも可能となる。なお、繊維状セルロースの繊維長は、たとえばTEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
繊維状セルロースはI型結晶構造を有していることが好ましい。ここで、繊維状セルロースがI型結晶構造を有することは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて同定できる。具体的には、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は、たとえば30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。これにより、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
繊維状セルロースの軸比(繊維長/繊維幅)は、特に限定されないが、たとえば20以上10000以下であることが好ましく、50以上1000以下であることがより好ましい。軸比を上記下限値以上とすることにより、微細繊維状セルロースを含有するシートを形成しやすい。また、溶媒分散体を作製した際に十分な増粘性が得られやすい。軸比を上記上限値以下とすることにより、たとえば繊維状セルロースを水分散液として扱う際に、希釈等のハンドリングがしやすくなる点で好ましい。
本実施形態における繊維状セルロースは、たとえば結晶領域と非結晶領域をともに有している。特に、結晶領域と非結晶領域をともに有し、かつ軸比が高い微細繊維状セルロースは、後述する微細繊維状セルロースの製造方法により実現されるものである。
繊維状セルロースは、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を有する。リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基は、たとえば下記式(1)で表される置換基である。リンオキソ酸基は、たとえばリン酸からヒドロキシ基を取り除いたものにあたる、2価の官能基である。具体的には−PO3H2で表される基である。リンオキソ酸基に由来する置換基には、リンオキソ酸基の塩、リンオキソ酸エステル基などの置換基が含まれる。なお、リンオキソ酸基に由来する置換基は、リン酸基が縮合した基(たとえばピロリン酸基)として繊維状セルロースに含まれていてもよい。また、リンオキソ酸基は、たとえば、亜リン酸基(ホスホン酸基)であってもよく、リンオキソ酸基に由来する置換基は、亜リン酸基の塩などであってもよい。
式(1)中、a、b及びnは自然数であり、mは任意の数である(ただし、a=b×mである)。α1,α2,・・・,αn及びα’のうちa個がO−であり、残りはR,ORのいずれかである。なお、各αn及びα’の全てがO−であっても構わない。Rは、各々、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。また、式(1)においては、nは1であることが好ましい。
飽和−直鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はn−ブチル基等が挙げられるが、特に限定されない。飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロピル基、又はt−ブチル基等が挙げられるが、特に限定されない。飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−直鎖状炭化水素基としては、ビニル基、又はアリル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロペニル基、又は3−ブテニル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられるが、特に限定されない。芳香族基としては、フェニル基、又はナフチル基等が挙げられるが、特に限定されない。
また、Rにおける誘導基としては、上記各種炭化水素基の主鎖又は側鎖に対し、カルボキシ基、ヒドロキシ基、又はアミノ基などの官能基のうち、少なくとも1種類が付加又は置換した状態の官能基が挙げられるが、特に限定されない。また、Rの主鎖を構成する炭素原子数は特に限定されないが、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。Rの主鎖を構成する炭素原子数を上記範囲とすることにより、リンオキソ酸基の分子量を適切な範囲とすることができ、繊維原料への浸透を容易にし、微細セルロース繊維の収率を高めることもできる。
βb+は有機物又は無機物からなる1価以上の陽イオンである。有機物からなる1価以上の陽イオンとしては、脂肪族アンモニウム、又は芳香族アンモニウムが挙げられ、無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、若しくはリチウム等のアルカリ金属のイオンや、カルシウム、若しくはマグネシウム等の2価金属の陽イオン、又は水素イオン等が挙げられるが、特に限定されない。これらは1種又は2種類以上を組み合わせて適用することもできる。有機物又は無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、βを含む繊維原料を加熱した際に黄変しにくく、また工業的に利用し易いナトリウム、又はカリウムのイオンが好ましいが、特に限定されない。なお、βb+は有機オニウムイオンであってもよい。
繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、1.00mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば繊維状セルロース1g(質量)あたり5.20mmol/g以下であることが好ましく、3.65mmol/g以下であることがより好ましく、3.50mmol/g以下であることがさらに好ましく、3.00mmol/g以下であることが特に好ましい。リンオキソ酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易とすることができ、繊維状セルロースの安定性を高めることが可能となる。また、リンオキソ酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、ろ過処理工程におけるろ過効率を高めることができる。ここで、単位mmol/gにおける分母は、リンオキソ酸基の対イオンが水素イオン(H+)であるときの繊維状セルロースの質量を示す。
繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば中和滴定法により測定することができる。中和滴定法による測定では、得られた繊維状セルロースを含有する分散液に、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリを加えながらpHの変化を求めることにより、導入量を測定する。
図2は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロース含有分散液に対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば次のように測定される。
まず、繊維状セルロースを含有する分散液を強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図2の上側部に示すような滴定曲線を得る。図2の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図2の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用した分散液中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用した分散液中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用した分散液中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象分散液中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図2において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
まず、繊維状セルロースを含有する分散液を強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図2の上側部に示すような滴定曲線を得る。図2の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図2の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用した分散液中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用した分散液中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用した分散液中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象分散液中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図2において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
なお、上述のリンオキソ酸基導入量(mmol/g)は、分母が酸型の繊維状セルロースの質量を示すことから、酸型の繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量(以降、リンオキソ酸基量(酸型)と呼ぶ)を示している。一方で、リンオキソ酸基の対イオンが電荷当量となるように任意の陽イオンCに置換されている場合は、分母を当該陽イオンCが対イオンであるときの繊維状セルロースの質量に変換することで、陽イオンCが対イオンである繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量(以降、リンオキソ酸基量(C型))を求めることができる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
なお、滴定法によるリンオキソ酸基量の測定においては、水酸化ナトリウム水溶液1滴の滴下量が多すぎる場合や、滴定間隔が短すぎる場合、本来より低いリンオキソ酸基量となるなど正確な値が得られないことがある。適切な滴下量、滴定間隔としては、例えば、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を5〜30秒に10〜50μLずつ滴定するなどが望ましい。また、繊維状セルロース含有分散液に溶解した二酸化炭素の影響を排除するため、例えば、滴定開始の15分前から滴定終了まで、窒素ガスなどの不活性ガスを分散液に吹き込みながら測定するなどが望ましい。
ガスバリア層における繊維状セルロースの含有量は、ガスバリア層の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、繊維状セルロースの含有量は、ガスバリア層の全質量に対して、100質量%であってもよいが、ガスバリア層形成用塗工液に含まれ得る任意成分を適宜含んでいてもよい。
−微細繊維状セルロースの製造方法−
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、特に限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、及び脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)及び酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)及びケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)及びサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえばコットンリンター及びコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら及びバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプ及び脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、特に限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、及び脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)及び酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)及びケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)及びサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえばコットンリンター及びコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら及びバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプ及び脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。
セルロースを含む繊維原料としては、たとえばホヤ類に含まれるセルロースや、酢酸菌が生成するバクテリアセルロースを利用することもできる。また、セルロースを含む繊維原料に代えて、キチン、キトサンなどの直鎖型の含窒素多糖高分子が形成する繊維を用いることもできる。
<リンオキソ酸基導入工程>
微細繊維状セルロースの製造工程は、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を導入する工程を含む。本明細書において、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を導入する工程は、リンオキソ酸基導入工程ともいう。リンオキソ酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、リンオキソ酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、リンオキソ酸基導入繊維が得られることとなる。
微細繊維状セルロースの製造工程は、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を導入する工程を含む。本明細書において、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を導入する工程は、リンオキソ酸基導入工程ともいう。リンオキソ酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、リンオキソ酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、リンオキソ酸基導入繊維が得られることとなる。
本実施形態に係るリンオキソ酸基導入工程では、セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応を、尿素及びその誘導体から選択される少なくとも1種(以下、「化合物B」ともいう)の存在下で行ってもよい。一方で、化合物Bが存在しない状態において、セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応を行ってもよい。
化合物Aを化合物Bとの共存下で繊維原料に作用させる方法の一例としては、乾燥状態、湿潤状態またはスラリー状の繊維原料に対して、化合物Aと化合物Bを混合する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料を用いることが好ましく、特に乾燥状態の繊維原料を用いることが好ましい。繊維原料の形態は、特に限定されないが、たとえば綿状や薄いシート状であることが好ましい。化合物A及び化合物Bは、それぞれ粉末状または溶媒に溶解させた溶液状または融点以上まで加熱して溶融させた状態で繊維原料に添加する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、溶媒に溶解させた溶液状、特に水溶液の状態で添加することが好ましい。また、化合物Aと化合物Bは繊維原料に対して同時に添加してもよく、別々に添加してもよく、混合物として添加してもよい。化合物Aと化合物Bの添加方法としては、特に限定されないが、化合物Aと化合物Bが溶液状の場合は、繊維原料を溶液内に浸漬し吸液させたのちに取り出してもよいし、繊維原料に溶液を滴下してもよい。また、必要量の化合物Aと化合物Bを繊維原料に添加してもよいし、過剰量の化合物Aと化合物Bをそれぞれ繊維原料に添加した後に、圧搾やろ過によって余剰の化合物Aと化合物Bを除去してもよい。
本実施態様で使用する化合物Aとしては、リン原子を有し、セルロースとエステル結合を形成可能な化合物であればよく、リン酸もしくはその塩、亜リン酸もしくはその塩、脱水縮合リン酸もしくはその塩、無水リン酸(五酸化二リン)などが挙げられるが特に限定されない。リン酸としては、種々の純度のものを使用することができ、たとえば100%リン酸(正リン酸)や85%リン酸を使用することができる。亜リン酸としては、99%亜リン酸(ホスホン酸)が挙げられる。脱水縮合リン酸は、リン酸が脱水反応により2分子以上縮合したものであり、例えばピロリン酸、ポリリン酸等を挙げることができる。リン酸塩、亜リン酸塩、脱水縮合リン酸塩としては、リン酸、亜リン酸または脱水縮合リン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ、これらは種々の中和度とすることができる。これらのうち、リン酸基の導入効率が高く、後述する解繊工程で解繊効率がより向上しやすく、低コストであり、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、またはリン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはリン酸二水素アンモニウムがより好ましい。
繊維原料に対する化合物Aの添加量は、特に限定されないが、たとえば化合物Aの添加量をリン原子量に換算した場合において、繊維原料(絶乾質量)に対するリン原子の添加量が0.5質量%以上100質量%以下となることが好ましく、1質量%以上50質量%以下となることがより好ましく、2質量%以上30質量%以下となることがさらに好ましい。繊維原料に対するリン原子の添加量を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。一方で、繊維原料に対するリン原子の添加量を上記上限値以下とすることにより、収率向上の効果とコストのバランスをとることができる。
本実施態様で使用する化合物Bは、上述のとおり尿素及びその誘導体から選択される少なくとも1種である。化合物Bとしては、たとえば尿素、ビウレット、1−フェニル尿素、1−ベンジル尿素、1−メチル尿素、及び1−エチル尿素などが挙げられる。反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
繊維原料(絶乾質量)に対する化合物Bの添加量は、特に限定されないが、たとえば1質量%以上500質量%以下であることが好ましく、10質量%以上400質量%以下であることがより好ましく、100質量%以上350質量%以下であることがさらに好ましい。
セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応においては、化合物Bの他に、たとえばアミド類またはアミン類を反応系に含んでもよい。アミド類としては、たとえばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。アミン類としては、たとえばメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中でも、特にトリエチルアミンは良好な反応触媒として働くことが知られている。
リンオキソ酸基導入工程においては、繊維原料に化合物A等を添加又は混合した後、当該繊維原料に対して加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度としては、繊維の熱分解や加水分解反応を抑えながら、リンオキソ酸基を効率的に導入できる温度を選択することが好ましい。加熱処理温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱処理には、種々の熱媒体を有する機器を利用することができ、たとえば撹拌乾燥装置、回転乾燥装置、円盤乾燥装置、ロール型加熱装置、プレート型加熱装置、流動層乾燥装置、気流乾燥装置、減圧乾燥装置、赤外線加熱装置、遠赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置、高周波乾燥装置を用いることができる。
本実施形態に係る加熱処理においては、たとえば薄いシート状の繊維原料に化合物Aを含浸等の方法により添加した後、加熱する方法や、ニーダー等で繊維原料と化合物Aを混練又は撹拌しながら加熱する方法を採用することができる。これにより、繊維原料における化合物Aの濃度ムラを抑制して、繊維原料に含まれるセルロース繊維表面へより均一にリンオキソ酸基を導入することが可能となる。これは、乾燥に伴い水分子が繊維原料表面に移動する際、溶存する化合物Aが表面張力によって水分子に引き付けられ、同様に繊維原料表面に移動してしまう(すなわち、化合物Aの濃度ムラを生じてしまう)ことを抑制できることに起因するものと考えられる。
また、加熱処理に用いる加熱装置は、たとえばスラリーが保持する水分、及び化合物Aと繊維原料中のセルロース等が含む水酸基等との脱水縮合(リン酸エステル化)反応に伴って生じる水分、を常に装置系外に排出できる装置であることが好ましい。このような加熱装置としては、例えば送風方式のオーブン等が挙げられる。装置系内の水分を常に排出することにより、リン酸エステル化の逆反応であるリン酸エステル結合の加水分解反応を抑制できることに加えて、繊維中の糖鎖の酸加水分解を抑制することもできる。このため、軸比の高い微細繊維状セルロースを得ることが可能となる。
加熱処理の時間は、たとえば繊維原料から実質的に水分が除かれてから1秒以上300分以下であることが好ましく、1秒以上1000秒以下であることがより好ましく、10秒以上800秒以下であることがさらに好ましい。本実施形態では、加熱温度と加熱時間を適切な範囲とすることにより、リンオキソ酸基の導入量を好ましい範囲内とすることができる。
リンオキソ酸基導入工程は、少なくとも1回行えば良いが、2回以上繰り返して行うこともできる。2回以上のリンオキソ酸基導入工程を行うことにより、繊維原料に対して多くのリンオキソ酸基を導入することができる。
<洗浄工程>
微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じてリンオキソ酸基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりリンオキソ酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、特に限定されない。
微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じてリンオキソ酸基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりリンオキソ酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、特に限定されない。
<アルカリ処理工程>
微細繊維状セルロースの製造方法においては、リンオキソ酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、リンオキソ酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
微細繊維状セルロースの製造方法においては、リンオキソ酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、リンオキソ酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されず、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。本実施形態においては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムをアルカリ化合物として用いることが好ましい。また、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水または有機溶媒のいずれであってもよい。中でも、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水、またはアルコールに例示される極性有機溶媒などを含む極性溶媒であることが好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒であることがより好ましい。アルカリ溶液としては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の温度は、特に限定されないが、たとえば5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましい。アルカリ処理工程におけるリンオキソ酸基導入繊維のアルカリ溶液への浸漬時間は、特に限定されないが、たとえば5分以上30分以下であることが好ましく、10分以上20分以下であることがより好ましい。アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は、特に限定されないが、たとえばリンオキソ酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の使用量を減らすために、リンオキソ酸基導入工程の後であってアルカリ処理工程の前に、リンオキソ酸基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄してもよい。アルカリ処理工程の後であって解繊処理工程の前には、取り扱い性を向上させる観点から、アルカリ処理を行ったリンオキソ酸基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄することが好ましい。
<酸処理工程>
微細繊維状セルロースの製造方法においては、リンオキソ酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、リンオキソ酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
微細繊維状セルロースの製造方法においては、リンオキソ酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、リンオキソ酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
酸処理の方法としては、特に限定されないが、たとえば酸を含有する酸性液中に繊維原料を浸漬する方法が挙げられる。使用する酸性液の濃度は、特に限定されないが、たとえば10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、使用する酸性液のpHは、特に限定されないが、たとえば0以上4以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。酸性液に含まれる酸としては、たとえば無機酸、スルホン酸、カルボン酸等を用いることができる。無機酸としては、たとえば硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。スルホン酸としては、たとえばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、たとえばギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸等が挙げられる。これらの中でも、塩酸または硫酸を用いることが特に好ましい。
酸処理における酸溶液の温度は、特に限定されないが、たとえば5℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上90℃以下がより好ましい。酸処理における酸溶液への浸漬時間は、特に限定されないが、たとえば5分以上120分以下が好ましく、10分以上60分以下がより好ましい。酸処理における酸溶液の使用量は、特に限定されないが、たとえば繊維原料の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
<解繊処理>
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、解繊処理工程をさらに含む。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、解繊処理工程をさらに含む。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
解繊処理工程においては、たとえばリンオキソ酸基導入繊維を、分散媒により希釈してスラリー状としたものに解繊処理を施すことが好ましい。分散媒としては、水、及び極性有機溶媒などの有機溶媒から選択される1種または2種以上を使用することができる。極性有機溶媒としては、特に限定されないが、たとえばアルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、非プロトン性極性溶媒等が好ましい。アルコール類としては、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。エーテル類としては、たとえばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。エステル類としては、たとえば酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としてはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)等が挙げられる。
解繊処理時の微細繊維状セルロースの固形分濃度は適宜設定できる。また、リンオキソ酸基導入繊維を分散媒に分散させて得たスラリー中には、例えば水素結合性のある尿素などのリンオキソ酸基導入繊維以外の固形分が含まれていてもよい。
上記の方法で得られた微細繊維状セルロースを含む分散液に、後述するような任意成分等を添加することで、ガスバリア層形成用塗工液とすることができる。ガスバリア層形成用塗工液中に含まれる微細繊維状セルロースの含有量は、ガスバリア層形成用塗工液の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。また、微細繊維状セルロースの含有量は、ガスバリア層形成用塗工液の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
−任意成分−
ガスバリア層は、微細繊維状セルロースの他に任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、親水性高分子、親水性低分子、有機イオン等を挙げることができる。また、ガスバリア層は、任意成分として、界面活性剤、カップリング剤、無機層状化合物、無機化合物、レベリング剤、防腐剤、消泡剤、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線防御剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、分散剤、及び架橋剤から選択される一種または二種以上を含んでいてもよい。
ガスバリア層は、微細繊維状セルロースの他に任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、親水性高分子、親水性低分子、有機イオン等を挙げることができる。また、ガスバリア層は、任意成分として、界面活性剤、カップリング剤、無機層状化合物、無機化合物、レベリング剤、防腐剤、消泡剤、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線防御剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、分散剤、及び架橋剤から選択される一種または二種以上を含んでいてもよい。
親水性高分子は、親水性の含酸素有機化合物(但し、上記セルロース繊維は除く)であることが好ましく、含酸素有機化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、カゼイン、デキストリン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル化ポリビニルアルコール等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸塩類、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ウレタン系共重合体、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)等が挙げられる。
親水性低分子は、親水性の含酸素有機化合物であることが好ましく、多価アルコールであることがさらに好ましい。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール等が挙げられる。
有機イオンとしては、テトラアルキルアンモニウムイオンやテトラアルキルホスホニウムイオンを挙げることができる。テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、テトラヘプチルアンモニウムイオン、トリブチルメチルアンモニウムイオン、ラウリルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ステアリルトリメチルアンモニウムイオン、オクチルジメチルエチルアンモニウムイオン、ラウリルジメチルエチルアンモニウムイオン、ジデシルジメチルアンモニウムイオン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムイオン、トリブチルベンジルアンモニウムイオンが挙げられる。テトラアルキルホスホニウムイオンとしては、例えばテトラメチルホスホニウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラプロピルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、及びラウリルトリメチルホスホニウムイオンが挙げられる。また、テトラプロピルオニウムイオン、テトラブチルオニウムイオンとして、それぞれテトラn−プロピルオニウムイオン、テトラn−ブチルオニウムイオンなども挙げることができる。
ガスバリア層は、無機層状化合物などの無機化合物をさらに含んでいてもよい。これにより、積層体のガスバリア性をより効果的に向上させることができる。無機層状化合物としては、たとえばモンモリロナイト、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、パイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト族粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、テトラシリシックマイカなどのマイカ族粘土鉱物、およびカオリナイトなどに例示される粘土鉱物、ならびにハイドロタルサイトなどに例示される層状複水酸化物などが挙げられる。また、無機層状化合物としては、たとえば層状の形状を有する金属酸化物やグラファイトなどを用いることもできる。なお、ガスバリア層は、これらの無機層状化合物から選択される一種または二種以上を含むことができる。
−ガスバリア層の特性−
ガスバリア層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。また、ガスバリア層の塗工量は、固形分として、0.1〜10g/m2であることが好ましく、0.5〜5g/m2であることがより好ましい。
ガスバリア層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。また、ガスバリア層の塗工量は、固形分として、0.1〜10g/m2であることが好ましく、0.5〜5g/m2であることがより好ましい。
ガスバリア層のヘーズは、たとえば2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。一方で、ガスバリア層のヘーズの下限値は、とくに限定されず、たとえば0%であってもよい。ここで、ガスバリア層のヘーズは、JIS K 7136に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて測定される値である。
ガスバリア層の全光線透過率は、たとえば80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。一方で、ガスバリア層の全光線透過率の上限値は、とくに限定されず、たとえば100%であってもよい。ここで、ガスバリア層の全光線透過率は、JIS K 7361に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて測定される値である。
[ラミネート層]
積層体は、少なくとも一方の最外層にラミネート層をさらに有してもよい。積層体は、紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順に有しているが、さらに、該積層体の少なくとも一方の最外層にラミネート層を形成してもよい。すなわち、ラミネート層は、ガスバリア層の上に形成されるものであってもよく、紙支持体の上に形成されるものであってもよく、両方の上に形成してもよい。特に、ラミネート層は、少なくともガスバリア層の上に形成されるものであることが好ましい。
積層体は、少なくとも一方の最外層にラミネート層をさらに有してもよい。積層体は、紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順に有しているが、さらに、該積層体の少なくとも一方の最外層にラミネート層を形成してもよい。すなわち、ラミネート層は、ガスバリア層の上に形成されるものであってもよく、紙支持体の上に形成されるものであってもよく、両方の上に形成してもよい。特に、ラミネート層は、少なくともガスバリア層の上に形成されるものであることが好ましい。
ラミネート層は、加熱や超音波で溶融し接着する層であり、積層体同士をヒートシール等により相互に結合させることができる層であってもよい。
ラミネート層は、合成樹脂や生分解性樹脂を溶融押出ラミ法やドライラミ法によって積層することによって形成することができる。合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体などを挙げることができる。また、ラミネート層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体などの合成樹脂の乳化分散液を塗工することによって形成することもできる。合成樹脂としては、ポリオレフィン系高分子を用いることが好ましく、カルボキシ基を有するポリオレフィン系高分子を用いることがより好ましい。カルボキシ基を有するポリオレフィン系高分子としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体などを挙げることができる。
ラミネート層は、生分解性樹脂を含有することが好ましい。生分解性樹脂の具体例としては、特に限定されず、例えばポリ乳酸(PLA).ポリブチレンサクシネート(PBS)ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、3−ヒドロキシブタン酸・3−ヒドロキシヘキサン酸共重合体(PHBH)等が挙げられる。
ラミネート層の厚さは、1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。また、ラミネート層の形成量は、固形分として、1〜50g/m2であることが好ましく、3〜30g/m2であることがより好ましい。
[積層体の製造方法]
積層体は、紙支持体上に、まず水蒸気バリア層形成用塗工液を塗工して、水蒸気バリア層を形成した後、ガスバリア層形成用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成することにより、製造することができる。各層は、塗工液を逐次塗工及び乾燥させて形成してもよく、同時多層塗工した後に乾燥させて形成してもよい。
積層体は、紙支持体上に、まず水蒸気バリア層形成用塗工液を塗工して、水蒸気バリア層を形成した後、ガスバリア層形成用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成することにより、製造することができる。各層は、塗工液を逐次塗工及び乾燥させて形成してもよく、同時多層塗工した後に乾燥させて形成してもよい。
塗工液の溶媒としては、特に制限はなく、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンもしくはトルエンなどの有機溶媒を用いることができる。
塗工液を紙支持体に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いることができる。塗工設備としては、例えば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ゲートロールコーターなどが挙げられる。特に水蒸気バリア層の形成には、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーターなどの塗工表面をスクレイプするコーターが板状無機化合物の配向を促すという点で好ましい。
塗工層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、例えば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板などが挙げられる。
(用途)
本発明の積層体は、上述したとおり優れた水蒸気バリア性及びガスバリア性有しているため、食品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。また、本発明の積層体は、折割れに耐性を有することから、軟包装用材料としても好適に用いることができる。
本発明の積層体は、上述したとおり優れた水蒸気バリア性及びガスバリア性有しているため、食品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。また、本発明の積層体は、折割れに耐性を有することから、軟包装用材料としても好適に用いることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
<微細繊維状セルロースの作製>
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量208g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。この原料パルプに対してリンオキソ酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を添加して、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で200秒加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リンオキソ酸化パルプを得た。
<微細繊維状セルロースの作製>
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量208g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。この原料パルプに対してリンオキソ酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を添加して、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で200秒加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リンオキソ酸化パルプを得た。
次いで、得られたリンオキソ酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、リンオキソ酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
次いで、洗浄後のリンオキソ酸化パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のリンオキソ酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下のリンオキソ酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該リンオキソ酸化パルプスラリーを脱水して、中和処理が施されたリンオキソ酸化パルプを得た。
次いで、中和処理後のリンオキソ酸化パルプに対して、上記洗浄処理を行った。これにより得られたリンオキソ酸化パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1230cm−1付近にリン酸基に基づく吸収が観察され、パルプにリン酸基が付加されていることが確認された。また、得られたリン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られたリンオキソ酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて2回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た
X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。なお、後述する測定方法で測定されるリンオキソ酸基量(強酸性基量)は、1.45mmol/gだった。
<ガスバリア層用塗工液の作製>
上述した工程で得られたリンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース分散液の固形分濃度が0.5質量%となるように濃度を調整し、ガスバリア層用塗工液とした。
上述した工程で得られたリンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース分散液の固形分濃度が0.5質量%となるように濃度を調整し、ガスバリア層用塗工液とした。
<水蒸気バリア層用塗工液の作製>
板状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、平均粒子径6.3μm、アスペクト比約1000、厚さ約5nm、固形分7質量%、製品名:NTO−05、トピー工業社製)6質量部に、攪拌しながら酸変性SBRラテックス(固形分47.3質量%、製品名:LX407S12、日本ゼオン社製)100質量部を加え、さらに攪拌した。これに、変性ポリアミド系樹脂(固形分53質量%、製品名:SPI203(50)、田岡化学工業製)を5質量部加え、攪拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.3質量部加え攪拌した。次いで、希釈水を加え、固形分濃度32質量%とし、水蒸気バリア層用塗工液とした。なお、上記配合質量部数は固形分での相対量とする。
板状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、平均粒子径6.3μm、アスペクト比約1000、厚さ約5nm、固形分7質量%、製品名:NTO−05、トピー工業社製)6質量部に、攪拌しながら酸変性SBRラテックス(固形分47.3質量%、製品名:LX407S12、日本ゼオン社製)100質量部を加え、さらに攪拌した。これに、変性ポリアミド系樹脂(固形分53質量%、製品名:SPI203(50)、田岡化学工業製)を5質量部加え、攪拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.3質量部加え攪拌した。次いで、希釈水を加え、固形分濃度32質量%とし、水蒸気バリア層用塗工液とした。なお、上記配合質量部数は固形分での相対量とする。
<積層体の作製>
得られた水蒸気バリア層用塗工液を、水蒸気バリア層の塗工量が13g/m2となるように、晒クラフト紙(70g/m2、厚さ100μm)上にメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機を用いて120℃で、1分間乾燥し、水蒸気バリア層を形成した。水蒸気バリア層の水蒸気透過度は25g/m2・dayであり、王研式透気度は55880秒であった。さらに、水蒸気バリア層の上層に、ガスバリア層用塗工液をガスバリア層の塗工量が1.0g/m2となるように、メイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内を用いて120℃で、1分間乾燥し、ガスバリア層を形成した。このようにして、紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層がこの順で積層された積層体を得た。
得られた水蒸気バリア層用塗工液を、水蒸気バリア層の塗工量が13g/m2となるように、晒クラフト紙(70g/m2、厚さ100μm)上にメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機を用いて120℃で、1分間乾燥し、水蒸気バリア層を形成した。水蒸気バリア層の水蒸気透過度は25g/m2・dayであり、王研式透気度は55880秒であった。さらに、水蒸気バリア層の上層に、ガスバリア層用塗工液をガスバリア層の塗工量が1.0g/m2となるように、メイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内を用いて120℃で、1分間乾燥し、ガスバリア層を形成した。このようにして、紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層がこの順で積層された積層体を得た。
<実施例2>
実施例1のガスバリア層の塗工量を0.5g/m2とし、乾燥後にガスバリア層用塗工液をさらにもう1度塗布したこと以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
実施例1のガスバリア層の塗工量を0.5g/m2とし、乾燥後にガスバリア層用塗工液をさらにもう1度塗布したこと以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
<実施例3>
積層体の両面に低密度ポリエチレン(LDPE)(製品名:サンテックL4490、旭化成社製)を押出ラミネートにより積層し、ラミネート層を有する積層体とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
積層体の両面に低密度ポリエチレン(LDPE)(製品名:サンテックL4490、旭化成社製)を押出ラミネートにより積層し、ラミネート層を有する積層体とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
<実施例4>
実施例3におけるラミネート方法をポリ乳酸フィルム(製品名:エコロージュ、三菱ケミカル製)を使用したドライラミネートに変更し、ラミネート面をガスバリア層側のみに変更した以外は実施例3と同様にして、積層体を得た。
実施例3におけるラミネート方法をポリ乳酸フィルム(製品名:エコロージュ、三菱ケミカル製)を使用したドライラミネートに変更し、ラミネート面をガスバリア層側のみに変更した以外は実施例3と同様にして、積層体を得た。
<実施例5>
ラミネートに使用する樹脂をポリブチレンサクシネート(製品名:Bio PBS FZ71、三菱ケミカル製)とした以外は、実施例3と同様にして、積層体を得た。
ラミネートに使用する樹脂をポリブチレンサクシネート(製品名:Bio PBS FZ71、三菱ケミカル製)とした以外は、実施例3と同様にして、積層体を得た。
<比較例1>
板状無機化合物として大粒径エンジニアードカオリン(バリサーフHX、粒子径9.0μm、アスペクト比80〜100、イメリス社製)100質量部に対して、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを0.2質量部添加し、ミキサーで分散して固形分濃度55質量%のスラリーを調製した。得られたスラリー中の板状無機化合物100質量部に対して、スチレン・ブタジエン系ラテックス(PNT7868、日本ゼオン社製)を固形分量が100質量部となるように配合して、固形分濃度50質量%とし、水蒸気バリア層用塗工液とした。
板状無機化合物として大粒径エンジニアードカオリン(バリサーフHX、粒子径9.0μm、アスペクト比80〜100、イメリス社製)100質量部に対して、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを0.2質量部添加し、ミキサーで分散して固形分濃度55質量%のスラリーを調製した。得られたスラリー中の板状無機化合物100質量部に対して、スチレン・ブタジエン系ラテックス(PNT7868、日本ゼオン社製)を固形分量が100質量部となるように配合して、固形分濃度50質量%とし、水蒸気バリア層用塗工液とした。
上記で得られた水蒸気バリア層用塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。水蒸気バリア層の水蒸気透過度は230g/m2・dayであり、王研式透気度は7290秒であった。
<比較例2>
ガスバリア層用塗工液としてリンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース分散液の替わりにカルボキシ基を有する微細繊維状セルロース分散液(濃度0.5%、置換基量0.6mmol/g)を使用し、水蒸気バリア層を塗布せず、晒クラフト紙の上にガスバリア層を形成した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
ガスバリア層用塗工液としてリンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース分散液の替わりにカルボキシ基を有する微細繊維状セルロース分散液(濃度0.5%、置換基量0.6mmol/g)を使用し、水蒸気バリア層を塗布せず、晒クラフト紙の上にガスバリア層を形成した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<比較例3>
水蒸気バリア層を塗布せず、晒クラフト紙の上にガスバリア層を形成した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
水蒸気バリア層を塗布せず、晒クラフト紙の上にガスバリア層を形成した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<比較例4>
ガスバリア層用塗工液としてリンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース分散液の替わりにカルボキシ基を有する微細繊維状セルロース分散液(濃度0.5%、置換基量0.6mmol/g)を使用した以外は比較例1と同様にして積層体を得た。
ガスバリア層用塗工液としてリンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース分散液の替わりにカルボキシ基を有する微細繊維状セルロース分散液(濃度0.5%、置換基量0.6mmol/g)を使用した以外は比較例1と同様にして積層体を得た。
(リンオキソ酸基量の測定)
微細繊維状セルロースのリンオキソ酸基量(リンオキソ酸化パルプのリンオキソ酸基量と等しい)は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液にイオン交換水を添加して、含有量を0.2質量%とし、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図2)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値をリンオキソ酸基量(第1解離酸量)(mmol/g)とした。
微細繊維状セルロースのリンオキソ酸基量(リンオキソ酸化パルプのリンオキソ酸基量と等しい)は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液にイオン交換水を添加して、含有量を0.2質量%とし、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図2)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値をリンオキソ酸基量(第1解離酸量)(mmol/g)とした。
(評価方法)
(1)水蒸気バリア層の水蒸気透過度
晒クラフト紙(70g/m2、厚さ100μm)上に上述した方法で水蒸気バリア層を形成し、JIS Z 0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90±2%)に準拠して、水蒸気透過度を測定した。
(1)水蒸気バリア層の水蒸気透過度
晒クラフト紙(70g/m2、厚さ100μm)上に上述した方法で水蒸気バリア層を形成し、JIS Z 0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90±2%)に準拠して、水蒸気透過度を測定した。
(2)水蒸気バリア層の王研式透気度の測定
晒クラフト紙(70g/m2、厚さ100μm)上に上述した方法で水蒸気バリア層を形成し、JIS P 8117:2009に準拠して、王研式透気度を測定した。
晒クラフト紙(70g/m2、厚さ100μm)上に上述した方法で水蒸気バリア層を形成し、JIS P 8117:2009に準拠して、王研式透気度を測定した。
(3)積層体の酸素透過度
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/20)を使用し、23℃、相対湿度50%の条件(低湿度条件)にて、積層体の酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度の基準として、10cc/m2・24h以下であれば、積層体として実用性が高い。
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/20)を使用し、23℃、相対湿度50%の条件(低湿度条件)にて、積層体の酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度の基準として、10cc/m2・24h以下であれば、積層体として実用性が高い。
(4)積層体の水蒸気透過度
JIS Z 0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90±2%)に準拠して、積層体の酸素バリア層が内側(低湿度側)にくるように配置して、水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度の基準としては、50g/m2・24h以下であれば、積層体として実用性が高い。
JIS Z 0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90±2%)に準拠して、積層体の酸素バリア層が内側(低湿度側)にくるように配置して、水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度の基準としては、50g/m2・24h以下であれば、積層体として実用性が高い。
実施例では、バリア性能に優れた積層体が得られた。一方、比較例で得られた積層体はバリア性能が劣っていた。
10 紙支持体
20 水蒸気バリア層
30 ガスバリア層
100 積層体
20 水蒸気バリア層
30 ガスバリア層
100 積層体
Claims (10)
- 紙支持体、水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順で有する積層体であって、
前記水蒸気バリア層は、板状無機化合物、アニオン性バインダー及びカチオン性樹脂を含み、
前記ガスバリア層は、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基をする繊維状セルロースを含む、積層体。 - 前記紙支持体と前記水蒸気バリア層からなる積層シートの水蒸気透過度が50g/m2・day以下であり、かつ王研式透気度が30000秒以上である請求項1に記載の積層体
- 前記板状無機化合物のアスペクト比が100以上であり、かつ厚みが100nm以下である請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記カチオン性樹脂の含有量は、前記水蒸気バリア層の全固形分質量に対して0.1〜30質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記板状無機化合物の含有量は、前記水蒸気バリア層の全固形分質量に対して0.1〜50質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記カチオン性樹脂がポリアミン、変性ポリアミドアミン、ポリアミドエピクロロヒドリン及びポリエチレンイミンから選択される少なくとも1種であり、前記カチオン性樹脂の表面電荷が0.1〜5.0meq/gである請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記板状無機化合物がマイカ、ベイトナイト、カオリン及びタルクから選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記積層体の少なくとも一方の最外層にラミネート層をさらに有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記ラミネート層はカルボキシ基を有するポリオレフィン系高分子又は生分解性樹脂を含む、請求項8に記載の積層体。
- 包装用材料である請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
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