JP2020196842A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Yukari Tomizaki
由佳理 富崎
良治 児島
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良治 児島
剛史 土田
Takashi Tsuchida
剛史 土田
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Abstract

【課題】耐摩耗性とウェットグリップ性能を向上させ、良好な低燃費性との高度なバランスを有する空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積180〜280m2/gのシリカを30〜120質量部含むゴム組成物より構成されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、トレッドの接地面幅内におけるネガティブ率が20〜40%である空気入りタイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム成分に所定量の微粒子シリカを含有するゴム組成物から構成されるトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
近年市場要求の高まりにより、タイヤの長寿命化、高耐久化が求められており、トレッドゴムとしては耐摩耗性能の向上が求められている。
また同時に低燃費化の要求から、タイヤの転がり抵抗の低減も求められており、乗用車用高性能タイヤにおいては、補強フィラーとしてシリカを用いることが一般的となっている。
一方で、安全面から浸潤路面におけるブレーキ性能のさらなる向上も求められており、低燃費性能とウェットグリップ性能という相反する性能の高度な両立を求められている。
例えば、特許文献1では、所定のtanδを有するゴム組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤを、所定のトレッドパターンとすることにより、転がり抵抗の低減とウェットブレーキ性の向上を両立させることが開示されている。
特開2016−33014号公報
このように、耐摩耗性を向上させるには補強フィラーの比表面積を高め、ポリマーと結合する部位を増やすことによりゴムのタフネスを上げる方法が考えられるが、未だ不十分である。
また、特許文献1では、耐摩耗性については特に向上されておらず、なお改善の余地がある。
そこで、本発明は、耐摩耗性とウェットグリップ性能を向上させ、良好な低燃費性との高度なバランスを有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者らは、トレッドパターンに起因するネガティブ率を所定範囲とし、同時に補強フィラー(特にシリカ)の比表面積を高めて微粒子化することにより、耐摩耗性とウェットブレーキ性能を向上させ、良好な低燃費性との高度なバランスを達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本開示は、
[1]ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積180〜280m2/g、好ましくは190〜270m2/g、より好ましくは195〜260m2/g、さらに好ましくは220〜260m2/gのシリカを30〜120質量部、好ましくは40〜120質量部、より好ましくは50〜120質量部含むゴム組成物より構成されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、
トレッドの接地面幅内におけるネガティブ率が20〜40%、好ましくは25〜35%、より好ましくは25〜30%である空気入りタイヤ、
[2]前記ゴム組成物における前記シリカの含有量がゴム成分100質量部に対して60〜120質量部、好ましくは60〜110質量部、より好ましくは70〜110質量部、さらに好ましくは70〜100質量部である上記[1]に記載の空気入りタイヤ、
[3]前記ゴム組成物における前記ゴム成分がスチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムを含む上記[1]または[2]に記載の空気入りタイヤ、
[4]前記ゴム組成物が、さらにシランカップリング剤を含む上記[1]〜[3]のいずれかに記載の空気入りタイヤ、ならびに
[5]ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積180〜280m2/g、好ましくは190〜270m2/g、より好ましくは195〜260m2/g、さらに好ましくは220〜260m2/gのシリカを30〜120質量部、好ましくは40〜120質量部、より好ましくは50〜120質量部、さらに好ましくは60〜120質量部、なおさらに好ましくは60〜110質量部、特に好ましくは70〜110質量部、最も好ましくは70〜100質量部含むゴム組成物(ただし、ゴム成分がスチレンブタジエンゴム100質量%であるゴム組成物を除く)より構成されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、
トレッドの接地面幅内におけるネガティブ率が20〜40%、好ましくは25〜35%、より好ましくは25〜30%である空気入りタイヤ
に関する。
本発明によれば、ゴム成分100質量部に対し、BET比表面積180〜280m2/gを有するシリカを30〜120質量部を含むゴム組成物より構成されるトレッドを有する空気入りタイヤにおいて、トレッドの接地面幅内におけるネガティブ率を20〜40%とすることにより、耐摩耗性とウェットブレーキ性能を向上させ、良好な低燃費性との高度なバランスを達成できる空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の一実施態様における接地面幅のトレッドパターンを示す模式図である。 本発明の別の実施態様における接地面幅のトレッドパターンを示す模式図である。
本開示の空気入りタイヤは、ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積180〜280m2/gのシリカを30〜120質量部含むゴム組成物より構成されたトレッドを有し、トレッドの接地面幅内におけるネガティブ率が20〜40%のものである。
本開示の空気入りタイヤは、トレッド用ゴム組成物において所定の比表面積を有する微粒子シリカを所定量用い、さらにトレッドの接地面幅内におけるネガティブ率を所定のものとすることにより、微粒子シリカによりゴムの補強性を高めつつ、ネガティブ率を規定したトレッドパターンによりゴム量、地面への接地面積をコントロールすることができ、これらの作用が相乗的に耐摩耗性とウェットブレーキ性能を向上させ、良好な低燃費性との高度なバランスを達成できると考えられる。
なお、本明細書において、「〜」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
(ネガティブ率)
本開示の空気入りタイヤは、トレッドの接地面幅内の全面積に対する接地面幅内の全溝面積の割合(ネガティブ率)が、20%以上であり、25%以上が好ましい。ネガティブ率が20%未満であると、地面に接地する割合が大きくなるため、転がり抵抗が大きくなる。またその場合タイヤ重量が増加してしまうため、さらに転がり抵抗を悪化させる。また接地量が多いと、排水性能を確保することができないため、ウェットグリップ性能も低下する傾向がある。また、本開示の空気入りタイヤにおけるネガティブ率は、40%以下であり、35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。ネガティブ率が40%を超えると、地面に接地する面積が小さくなるためウェットグリップ性能が低下するだけでなく、地面に接地する割合が少ないため耐摩耗性能も悪化する傾向がある。
ここで「接地面幅」とはタイヤを正規リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ、プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字加重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大不可能力80%を負荷したときのタイヤ幅方向最外の接地部分を指す。使用地、または製造地においてTRA企画、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
図1および2に、接地面幅のトレッドパターンを示す。このようなトレッドパターンでは、接地面幅W内に、タイヤ周方向(タイヤ回転方向)に複数本の周方向溝1(図1では3本、図2では4本)が設けられ、周方向溝1によって区画された陸部2(図1では4列、図2では5列)とを有する。また、陸部には、それぞれ幅方向溝3が設けられている。例えば、このうち、トレッド幅方向外側の2列の陸部をショルダー陸部2b、ショルダー陸部に挟まれた陸部をクラウン陸部2aとし、クラウン陸部に挟まれた周方向溝をクラウン主溝1a、ショルダー陸部とクラウン陸部に挟まれた周方向溝をショルダー主溝1bとすると、陸部の幅方向溝は、全ての陸部に設けられていてもよいし、ショルダー陸部にのみ設けられ、クラウン陸部にはサイプのみが設けられていてもよい。周方向溝や幅方向溝の形状については、台形波状のジグザグ形状の周方向溝や曲線を描く幅方向溝など多種多様なものが知られており、特に限定されるものではない。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”とする。
上述の接地面幅内のネガティブ率は、金型プロファイル、ゲージ分布、構造等の手法を適宜調整することにより得ることができるが、前記ネガティブ率が達成されるのであれば、手法は特に限定されない。例えば、周方向溝の幅や幅方向溝の幅を適宜調整することによりネガティブ率を調整することができる。
(ゴム成分)
ゴム成分としては、ジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)などを用いることができる。ジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)、ジエン系合成ゴム等を使用することができる。ジエン系合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。なかでも、低燃費性およびウェットグリップ性能をバランス良く示すことから、NR、BR、SBRが好ましく、BRおよびSBRを併用することがより好ましい。
スチレンブタジエンゴム(SBR)
SBRとしては、特に限定されず、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)等が挙げられ、これらSBRを変性剤によって変性されたもの(変性SBR)や、これらSBRの水素添加物(水添SBR)等も使用することができる。なかでも、S−SBRが好ましい。これらSBRは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、変性SBRは、主鎖および/または末端が変性剤により変性されたものであってもよいし、例えば四塩化スズ、四塩化ケイ素等の多官能型の変性剤により変性されて一部に分岐構造を有するものであってもよい。なかでも特に、SBRにおける主鎖および/または末端がシリカと相互作用する官能基を有する変性剤で変性されたものであることが好ましい。このような変性剤で変性され、シリカと相互作用する官能基を有する変性スチレンブタジエンゴムを用いることで、低燃費性とウェットグリップ性能とをさらにバランス良く改善できる。
トレッドを構成するゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。SBRの含有量を40質量%以上とすることにより、トレッドゴムに必要なウェットグリップ性能を担保しやすい傾向がある。また、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。BRの含有量を95質量%以下とすることにより、耐摩耗性や転がり抵抗性能が良好となる傾向がある。なお、2種以上のSBRを併用する場合は全SBRの合計含有量を、ゴム成分中のSBRの含有量とする。
ブタジエンゴム(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス1,4結合含有率が50%未満のBR(ローシスBR)、シス1,4結合含有率が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、耐摩耗性能の観点からハイシスBRを用いることがより好ましい。
ハイシスBRとしては、例えば、JSR(株)、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)等によって製造販売されるハイシスBR等が挙げられる。ハイシスBRのなかでも、シス1,4−結合含有率が95%以上のものがさらに好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性を向上させることができる。BR中のシス1,4−結合含有率は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
トレッドを構成するゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。BRの含有量を5質量%以上とすることにより、耐摩耗性能や転がり抵抗性能のバランスが良好となる傾向がある。また、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。BRの含有量を60質量%以下とすることにより、ウェットグリップ性能が良好となる傾向がある。
ゴム成分100質量%中のSBRおよびBRの合計含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。SBRおよびBRの合計含有量を80質量%以上とする場合、ウェットグリップ性能、耐摩耗性能、低発熱性能のバランスを良好に維持できる。
(シリカ)
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多く、シランカップリング剤との反応点が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。本発明では、BET比表面積(N2SA)が180〜280m2/gのシリカを使用する。シリカは、1種のみを用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリカとしては、例えば、デグッサ社、ソルベイ社、東ソー・シリカ(株)、(株)トクヤマ等によって製造販売されるシリカが挙げられる。
シリカのBET比表面積は180m2/g以上であり、190m2/g以上が好ましく、195m2/g以上がより好ましく、220m2/g以上がさらに好ましい。シリカのBET比表面積が180m2/g未満では、タイヤに必要なゴムの補強性が確保できず、耐摩耗性能が確保できない。また、シリカのBET比表面積は280m2/g以下であり、270m2/g以下が好ましく、260m2/g以下がより好ましい。シリカのBET比表面積が280m2/gを超えると、加工性が悪化し、加工が困難となる。なお、本明細書におけるシリカのBET比表面積は、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカのゴム成分100質量部に対する含有量は30質量部以上であり、40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましく、70質量部以上が最も好ましい。シリカの含有量が30質量部未満では、タイヤに必要な補強性を得ることができない。また、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は120質量部以下であり、110質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。シリカの配合量が120質量部をこえると、加工性が悪化し、加工が困難である。
(シランカップリング剤)
シリカを含有させるため、シランカップリング剤を用いることが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト系、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリメトキシシラン等のチオエーテル系、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロ系等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、シリカとの反応の温度制御のしやすさおよび、ゴム組成物の補強性改善効果等の点から、スルフィド系のカップリング剤、とりわけビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好ましい。
シランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤の含有量を1質量部以上とすることにより、未加硫ゴム組成物の粘度を抑え、加工性の悪化を抑制する傾向がある。また、シリカ100質量部に対するシランカップリング剤の含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。シランカップリング剤の含有量を20質量部以下とすることにより、コストに見合ったシランカップリング剤の配合効果を得ることができる傾向がある。
(その他の配合剤)
トレッド用ゴム組成物には、上記成分以外にも、必要に応じて、ジエン系ゴム以外のゴム成分や、従来ゴム工業で一般に使用される配合剤、例えば、シリカ以外の補強用充填剤、各種軟化剤、粘着付与樹脂、各種老化防止剤、ワックス、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(シリカ以外の補強用充填剤)
シリカ以外の補強用充填剤としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルク等、従来からタイヤ用ゴム組成物において用いられているものを配合することができる。
カーボンブラック
カーボンブラックとしては、特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等を、単独または2種以上を組合せて使用することができる。カーボンブラックとしては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等によって製造販売されるカーボンブラックが挙げられる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、80m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましく、110m2/g以上がさらに好ましい。また、該N2SAは、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2「ゴム用カーボンブラック−基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」に準じて測定することができる。
カーボンブラックを含有させる場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。カーボンブラックの含有量を前記の範囲内とすることで、良好な低燃費性および耐候性が得られる。
(軟化剤)
軟化剤としては、オイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、大豆油、パーム油、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、液状ポリマー、低温可塑剤等が挙げられる。軟化剤の全配合量は、ゴム成分100質量部に対して、100質量部以下が好ましい。この場合、ウェットグリップ性能を低下させる危険性が少ない。
オイル
オイルとしては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系プロセスオイル等のプロセスオイルが挙げられる。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。また、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、60質量部以下が好ましく、55質量部以下がより好ましい。オイルの含有量が上記範囲内の場合は、オイルを含有させる効果が十分に得られ、良好な耐摩耗性を得ることができる。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
液状ポリマー
液状ポリマーとしては、例えば、液状SBR、液状BR、液状IR、液状SIR等が挙げられる。なかでも、特に耐久性能とグリップ性能とをバランスよく向上できるという理由から液状SBRを使用することが好ましい。
低温可塑剤
低温可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、トリス(2エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、ビス(2エチルヘキシル)セバケート(DOS)等の液状成分が挙げられる。
(粘着付与樹脂)
粘着付与樹脂としては、シクロペンタジエン系樹脂、クマロン樹脂、石油系樹脂(脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂等)、フェノール系樹脂、ロジン誘導体等が挙げられる。
芳香族系石油樹脂としては、例えば、下記の芳香族ビニル系樹脂および芳香族ビニル系樹脂以外のC9系石油樹脂等が挙げられる。
芳香族ビニル系樹脂では、芳香族ビニル単量体(単位)として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が使用され、それぞれの単量体の単独重合体、2種以上の単量体の共重合体のいずれであってもよい。また、これらを変性させたものであってもよい。
粘着付与樹脂を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点、ドライグリップ性能の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、4質量部以上が特に好ましい。また、粘着付与樹脂、特に芳香族ビニル系樹脂を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐摩耗性および低燃費性の観点、低温での脆化破壊の観点から50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤を適宜選択して配合することができ、これらの老化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、老化防止効果の高さという理由からアミン系老化防止剤が好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−4−メチル−2−ペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジアリール−p−フェニレンジアミン、ヒンダードジアリール−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤がより好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンが特に好ましい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、老化防止剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。老化防止剤の含有量を上記範囲内とすることにより、老化防止効果を十分に得ると共に、老化防止剤がタイヤ表面に析出することによる変色を抑制することができる傾向がある。
その他、ステアリン酸、酸化亜鉛、ワックス等は、従来ゴム工業で使用されるものを用いることができる。
(加硫剤)
ゴム組成物は、加硫剤を含むことができる。加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を使用することができる。また、硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィド等を使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。
加硫剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上であり、1質量部以上が好ましい。また、加硫剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、5質量部以下であり、3質量部以下が好ましい。加硫剤の含有量が上記範囲内である場合、適度な破壊特性が得られ、耐摩耗性が良好となる傾向がある。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系もしくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等が挙げられる。チアゾール系加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)等が挙げられる。グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られる点からCBSおよびDPGを組み合わせて使用することが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましく、6質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、適度な破壊特性が得られ、耐摩耗性が良好となる傾向がある。
(硬度)
上記ゴム組成物を用いて得られるトレッドの硬度は、JIS−A硬度で55度以上が好ましく、60度以上がより好ましく、65度以上がさらに好ましい。硬度を55度以上とすることにより、トレッドゴムに必要なゴムの剛性が確保できる傾向がある。また、硬度は80度以下が好ましく、75度以下がより好ましく、70度以下がさらに好ましい。硬度を80度以下とすることにより、タイヤに入力されるエネルギーが緩和され、耐摩耗性の低下を防ぐことができる傾向がある。
トレッド用ゴム組成物の製造方法
トレッド用ゴム組成物は、一般的な方法で製造できる。例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロール等の一般的なゴム工業で使用される公知の混練機で、上記各成分のうち、加硫剤および加硫促進剤以外の成分を混練りし(ベース練り工程)、その後、加硫剤および加硫促進剤を加えてさらに混練りし(仕上げ練り工程)、加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては特に限定されるものではないが、ベース練り工程では、排出温度150〜165℃で3〜10分間、好ましくは4〜6分間混練りし、仕上げ練り工程では、70〜90℃で1〜5分間、好ましくは2〜4分間混練することが好ましい。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、170〜180℃で12〜18分間、好ましくは13〜16分間加硫することが好ましい。150℃〜165℃、好ましくは155℃〜160℃で2分間〜3分間混練りし、加硫工程では、170℃〜180℃で12分間〜18分間加硫する。
空気入りタイヤの製造方法
空気入りタイヤは、上述のトレッド用ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ジエン系ゴム成分を含むゴム成分に対して上述した配合剤を必要に応じて配合した上記ゴム組成物を、トレッド等の形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱および加圧することにより、タイヤを製造することができる。トレッドの形成は、シート状にした未加硫ゴム組成物を、所定の形状に貼り合せる方法、または2本以上の押出し機に挿入して押出し機のヘッド出口で2相に形成する方法によっても作製することができる。
空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、乗用車用高性能タイヤ、トラックやバス等の重荷重用タイヤ、競技用タイヤ等タイヤ全般に用いることができる。なかでも、シリカを用いた配合である点から、乗用車用高性能タイヤとすることが好ましい。
以下、本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示はこれら実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
・SBR:ZSエラストマー(株)製のNipol NS616(スチレン含有率:21質量%)
・BR:日本ゼオン(株)製のNipol BR1220(シス1,4含有率:97%)
・カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のダイアブラック(登録商標)N220(窒素吸着比表面積(N2SA):115m2/g)
・シリカ1:エボニック・デグッサ社製のULTRASIL(登録商標)9100GR(BET比表面積:235m2/g、平均一次粒子径:15nm)
・シリカ2:ソルベイ社製のZeosil(登録商標)Premium 200MP(BET比表面積:220m2/g、平均一次粒子径:16nm)
・シリカ3:エボニック・デグッサ社製のULTRASIL(登録商標)VN3(BET比表面積:175m2/g、平均一次粒子径:18nm)
・シランカップリング剤:エボニック・デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
・ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
・オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
・老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
・ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
・硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
・加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン)
実施例1〜15および比較例1〜5
表1〜2に示す配合処方に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く薬品を投入し、排出温度が155℃となるように5分間混練りした。ついで、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を表1〜2に示す配合量で加えた後、オープンロールを用いて、約80℃の条件で3分間混練りして、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物トレッド形状に成形して、他の部材と貼り合わせ、170℃で15分間加硫することにより、各実施例および比較例の空気入りタイヤ(サイズ195/65R15)を得た。また、実施例1〜10および比較例1〜5のタイヤのトレッドのパターンは、図1に示すものであり、実施例11〜15のタイヤのトレッドパターンは、図2に示すものであり、各タイヤのネガティブ率が表1〜2に示すものとなるように、各タイヤの周方向溝1および/または幅方向溝3の幅を調整した。
各実施例および比較例により得られた空気入りタイヤについて、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の評価を以下に示す方法により行った。結果を表1〜2に示す。また、全ての評価指数の平均を「平均」として表1〜2に示す。
<低燃費性指数>
転がり抵抗試験機を用い、各タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど低燃費性が良好であることを示し、80以上を良好とする。
<耐摩耗性指数>
各タイヤ(サイズ195/65R15)にて国産FF車に装着し、走行距離8000km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し、次の式により指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好である。
(耐摩耗性指数)=(各配合の1mm溝深さが減るときの走行距離)/(比較例1のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)×100
<ウェットグリップ性能指数>
アンチロックブレーキシステム(ABS)評価試験により得られた制動性能をもとにして、グリップ性能を評価した。すなわち、1800cc級のABSが装備された乗用車に試験用タイヤを装着して、アスファルト路面(ウェット路面状態、スキッドナンバー約50)を実車走行させ、時速100km/hの時点でブレーキをかけ、乗用車が停止するまでの減速度を算出した。ここで、本発明でいう減速度とは、乗用車が停止するまでの距離である。そして、比較例1のウェットグリップ性能指数を100とし、次の式により減速度を指数表示した。指数が大きいほど制動性能が良好であり、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(比較例1の減速度)/(各配合の減速度)×100
Figure 2020196842
Figure 2020196842
表1〜2の結果より、シリカのBET比表面積および含有量、ならびにタイヤのネガティブ率を規定することで、シリカによってゴムの補強性を高めつつ、かつタイヤパターン(トレッドパターン)でゴム量、地面への接地面積をコントロールすることができ、ゴムのウェットグリップ性能および耐摩耗性能の向上と、良好な低燃費性能を両立させることができることがわかる。
1 周方向溝
1a クラウン主溝
1b ショルダー主溝
2 陸部
2a クラウン陸部
2b ショルダー陸部
3 幅方向溝
W 接地面幅

Claims (5)

  1. ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積180〜280m2/gのシリカを30〜120質量部含むゴム組成物より構成されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、
    トレッドの接地面幅内におけるネガティブ率が20〜40%である空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴム組成物における前記シリカの含有量がゴム成分100質量部に対して60〜120質量部である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ゴム組成物における前記ゴム成分がスチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムを含む請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ゴム組成物が、さらにシランカップリング剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積180〜280m2/gのシリカを30〜120質量部含むゴム組成物(ただし、ゴム成分がスチレンブタジエンゴム100質量%であるゴム組成物を除く)より構成されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、
    トレッドの接地面幅内におけるネガティブ率が20〜40%である空気入りタイヤ。
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