JP2020200460A - ポリビニルアルコール、その製造方法及びその用途 - Google Patents

ポリビニルアルコール、その製造方法及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いたときに、得られるビニル系樹脂において粗大粒子の形成を抑制することができるとともに径が均一な粒子を得ることができ、なおかつフィッシュアイの発生を抑制することができるPVAを提供する。また、耐水性に優れた架橋体を簡便に得ることのできるPVAを提供する。【解決手段】けん化度が70モル%以上99.9モル%未満、粘度平均重合度が400以上1800未満であり、末端にアルデヒド基を0.05モル%以上0.5モル%未満含有し、かつ0.1質量%水溶液の280nmにおける吸光度が0.17以上0.55未満であるポリビニルアルコール。【選択図】なし

Description

本発明は、けん化度及び粘度平均重合度が特定の範囲にあり、さらに末端にアルデヒド基を特定量含有し、特定の吸光度を有するポリビニルアルコールに関する。また本発明は、当該ポリビニルアルコールを用いた架橋体、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤、及びビニル系樹脂の製造方法に関する。
反応活性な官能基を有するポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と略記することがある)は従来より、接着剤、紙塗工剤、偏光フィルム、ビニル化合物(例えば、塩化ビニル)の懸濁重合用分散安定剤等、様々な製品に使用されている。特に反応活性部位と架橋剤との架橋反応で合成される架橋高分子は分子鎖の動きが三次元方向に拘束されているため、通常、同種の線状高分子よりも強度、耐熱性、耐溶剤性に優れ、特に耐水性が優れているためその有用性は高い。また、PVAの大きな用途としてビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤があり、様々なPVAが使用されている。
特に架橋性能が高い反応活性な官能基を有する変性PVAとして、アセトアセチル基に代表される2つのカルボニル基に挟まれたメチレン水素の構造を有する変性PVAが挙げられる(特許文献1)。
また特許文献2及び3では、ビニル化合物の重合時における重合安定性を向上させて、得られるビニル系重合体の粗粒化を抑制する目的で、熱処理したPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤に用いている。なお、本明細書において重合安定性とは、重合時にビニル化合物からなる液滴の分散性が良好であるため、結果として、粗粒化が抑制され径が均一なビニル系重合体の粒子が得られることを意味する。
特開2014−205826号公報 特開昭51−45189号公報 特開2004−250695号公報
しかしながら、特許文献1において使用されるジケテンは生体に対する毒性が高く、空気と蒸気が混合すると爆発の危険性があり、反応活性な官能基を有する変性PVAを、より安全に合成する手法の開発が求められていた。また、特許文献1においては特殊な架橋剤を使う必要があり、酸等を用いて、耐水性の優れた架橋体を簡便に得ることは困難であった。
また、特許文献2又は3に記載される変性PVAを懸濁重合用分散安定剤として用いた場合、ビニル化合物重合時の重合安定性に改善は見られるものの、得られるビニル系重合体に微粉が多い等、近年求められる要求に対しては不十分であった。さらに、ビニル系重合体をシート状にした際のブツや欠点によるフィッシュアイが多い等、課題が残るものであった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いたときに、得られるビニル系樹脂において粗大粒子の形成を抑制することができるとともに径が均一な粒子を得ることができ、なおかつフィッシュアイの発生を抑制することができるPVAを提供することを目的とする。また、耐水性に優れた架橋体を簡便に得ることのできるPVAを提供することを目的とする。
本発明は、けん化度及び粘度平均重合度が特定の範囲にあり、さらに末端にアルデヒド基を特定量含有し、特定の吸光度を有するPVAが上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記課題は、けん化度が70モル%以上99.9モル%未満、粘度平均重合度が400以上1800未満であり、末端にアルデヒド基を0.05モル%以上0.5モル%未満含有し、かつ0.1質量%水溶液の280nmにおける吸光度が0.17以上0.55未満であるポリビニルアルコールを提供することによって解決される。
このとき、末端に下記式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2020200460
(式(1)中、Xは単結合、置換基を有してもよいアルキレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基を表し、*は結合手を表す。)
また、Xが炭素数1〜6のアルキレン基であることも好ましい。
このとき、ジアルデヒド又はトリアルデヒドの存在下でビニルエステルを重合させてポリビニルエステルを得た後、該ポリビニルエステルをけん化することが、上記ポリビニルアルコールの好適な製造方法である。
また、上記ポリビニルアルコールを含有する、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤が本発明の好適な実施態様である。上記ポリビニルアルコールの存在下でビニル化合物を懸濁重合するビニル系樹脂の製造方法も本発明の好適な実施態様である。
さらに、上記ポリビニルアルコールが架橋された架橋体であって、前記架橋体からなる厚み100μmのフィルムを80℃の熱水に1時間浸漬した際の溶出率が10%未満である架橋体が本発明の好適な実施態様である。このとき、酸触媒の存在下で前記ポリビニルアルコールを架橋することが上記架橋体の好適な製造方法である。
本発明のPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いると、高い重合安定性を示すことにより、得られるビニル系樹脂において粗大粒子の形成を抑制することができるとともに径が均一な粒子を得ることができ、なおかつフィッシュアイの発生を抑制することができる。また、本発明のPVAを用いることにより、耐水性に優れた架橋体を簡便に得ることができる。
[ポリビニルアルコール]
本発明のポリビニルアルコールは、けん化度が70モル%以上99.9モル%未満、粘度平均重合度が400以上1800未満であり、末端にアルデヒド基を0.05モル%以上0.5モル%未満含有し、かつ0.1質量%水溶液の280nmにおける吸光度が0.17以上0.55未満であることを特徴とするものである。
PVAのけん化度は、70モル%以上99.9モル%未満であることが重要である。けん化度が70モル%未満のPVAを架橋体の原料として用いた場合、得られる架橋体の耐水性が低下する。架橋体の原料として用いる場合、PVAのけん化度は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。一方、けん化度が99.9モル%以上のPVAは生産が困難である。
また、けん化度が70モル%未満のPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合、重合安定性が低下して、得られるビニル系樹脂において粗大粒子が増えるとともに径が均一な粒子を得ることができない。また、得られるビニル系樹脂にフィッシュアイが多数発生する。一方、けん化度が99.9モル%以上のPVAは製造が困難である。ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いる場合、PVAのけん化度は90モル%未満であることが好ましく、85モル%未満であることがより好ましく、80モル%未満であることがさらに好ましい。けん化度はJIS K 6726:1994に準じて測定して得られる値である。
PVAの粘度平均重合度(以下、重合度と略記することがある)は、400以上1800未満であることが重要である。重合度が400未満のPVAを架橋体の原料として用いた場合、得られる架橋体の耐水性が低下する。架橋体の原料として用いる場合、PVAの重合度は550以上であることが好ましい。一方、重合度が1800以上の場合、PVAの生産性が低下する。また、重合度が1800以上のPVAを架橋体の原料として用いた場合、液の粘度が高くなり過ぎてハンドリング性が低下する。PVAの重合度は1600未満であることが好ましい。
また、重合度が400未満のPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合、重合安定性が低下して、得られるビニル系樹脂において粗大粒子が増えるとともに径が均一な粒子を得ることができない。PVAの重合度は550以上であることが好ましい。一方、重合度が1800以上の場合、PVAの生産性が低下する。また、重合度が1800以上のPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合、重合安定性が低下して、得られるビニル系樹脂において粗大粒子が増えるとともに径が均一な粒子を得ることができない。また、得られるビニル系樹脂にフィッシュアイが多数発生する。ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いる場合、PVAの重合度は1500未満であることが好ましく、1300未満であることがより好ましく、1000未満であることがさらに好ましい。
粘度平均重合度はJIS K 6726:1994に準じて測定して得られる値である。具体的には、けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](L/g)を用いて下記式により粘度平均重合度(P)を求める。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
本発明のPVAは末端にアルデヒド基を0.05モル%以上0.5モル%未満含有することが重要である。アルデヒド基は反応活性な官能基であり、水酸基とのアセタール化による架橋反応やラジカル反応による架橋等に利用できる。また、アルデヒド基を有するPVAはビニル化合物への吸着力が高いため、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた際に重合が安定し、得られるビニル系樹脂において粗大粒子および微粉の形成が少なくなる。さらに、得られるビニル系樹脂をシート状にした際にフィッシュアイの発生も低減できる。
アルデヒド基の含有量が0.05モル%未満のPVAを架橋体の原料として用いた場合、得られる架橋体の耐水性が低下する。アルデヒド基の含有量は、0.08モル%以上であることが好ましい。一方、アルデヒド基の含有量が0.5モル%以上のPVAは生産性が低い。また、このようなPVAを架橋体の原料として用いた場合、液の粘度が高くなり過ぎてハンドリング性が低下する。アルデヒド基の含有量は0.45モル%未満であることが好ましく、0.4モル%未満であることがより好ましい。
また、アルデヒド基の含有量が0.05モル%未満のPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合、重合安定性が低下して、得られるビニル系樹脂において粗大粒子が増えるとともに径が均一な粒子を得ることができない。また、得られるビニル系樹脂にフィッシュアイが多数発生する。アルデヒド基の含有量は、0.08モル%以上であることが好ましい。一方、アルデヒド基の含有量が0.5モル%以上のPVAは生産性が低い。また、このようなPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合、重合安定性が低下して、得られるビニル系樹脂において粗大粒子が増えるとともに径が均一な粒子を得ることができない。また、得られるビニル系樹脂にフィッシュアイが多数発生する。アルデヒド基の含有量は0.45モル%未満であることが好ましく、0.4モル%未満であることがより好ましい。アルデヒド基の含有量は、けん化前のビニルエステル系重合体の重クロロホルム溶媒中でのH−NMRスペクトルやPVAの重DMSOまたは重水溶媒中でのH−NMRスペクトルから求められる。
本発明のPVAは、アルデヒド基以外の官能基を含有してもよいが、その含有量は5モル%未満であることが好ましく、1モル%未満であることがより好ましく、0.1モル%未満であることがさらに好ましい。
PVAの0.1質量%水溶液の280nmにおける吸光度が0.17以上0.55未満であることが重要である。上記吸光度が0.17未満のPVAを架橋体の原料として用いた場合、得られる架橋体の耐水性が低下する。上記吸光度は0.21以上であることが好ましく、0.24以上であることがより好ましく、0.28以上であることがさらに好ましい。一方、上記吸光度が0.55以上のPVAは生産性が低い。また、このようなPVAを架橋体の原料として用いた場合、液の粘度が高くなり過ぎてハンドリング性が低下する。上記吸光度は0.52未満であることが好ましく、0.48未満であることがより好ましく、0.45未満であることがさらに好ましい。
また、上記吸光度が0.17未満のPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合、重合安定性が低下して、得られるビニル系樹脂において粗大粒子が増えるとともに径が均一な粒子を得ることができない。また、得られるビニル系樹脂にフィッシュアイが多数発生する。上記吸光度は0.21以上であることが好ましく、0.24以上であることがより好ましく、0.28以上であることがさらに好ましい。一方、上記吸光度が0.55以上のPVAは生産性が低い。また、このようなPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合、重合安定性が低下して、得られるビニル系樹脂において粗大粒子が増えるとともに径が均一な粒子を得ることができない。また、得られるビニル系樹脂にフィッシュアイが多数発生する。上記吸光度は0.52未満であることが好ましく、0.48未満であることがより好ましく、0.45未満であることがさらに好ましい。
上記吸光度はPVAの主鎖に存在するエチレン性二重結合の量又は連鎖を示す。吸光度が上記した範囲内にあることで、PVAとビニル化合物との吸着性が向上するとともに、PVAの末端のアルデヒド基との相乗効果により、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた際の重合安定性がより一層向上する。吸光度が上記した範囲内にあるPVAを架橋体の原料として用いた場合、得られる架橋体の耐水性が向上する。なお、波長280nmの吸収はPVA中の[−CO−(CH=CH)−]の構造に由来する。本構造の導入は、変性剤としてアルデヒド類を用いたり、共重合により主鎖にエチレン性二重結合を導入できる単量体等を用いたりすることで達成できる。吸光度が上記範囲外の場合は、PVAとビニル化合物との吸着力が低下する、又はPVAとビニル化合物とが溶解状態になる。そのため、懸濁重合用分散安定剤としての効果が発揮できなくなる。また、吸光度が上記範囲外のPVAを架橋体の原料として用いた場合、得られる架橋体の耐水性が低下する。吸光度の測定装置等の条件は、後記する実施例に記載の通りである。
本発明のPVAは、末端に下記式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2020200460
(式(1)中、Xは単結合、置換基を有してもよいアルキレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基を表し、*は結合手を表す。)
式(1)中、Xは単結合、置換基を有してもよいアルキレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基である。Xの炭素数は0〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、2〜4であることが特に好ましく、3〜4であることが最も好ましい。Xは上記炭素数を有するアルキレン基又はアリーレン基であることが好ましく、上記炭素数を有するアルキレン基であることがより好ましい。Xが上記態様を満たすとき、PVAのアルデヒド基の導入が容易である、得られるPVAの水溶性が良好である、PVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた際の重合安定性が良好である、又は得られるビニル系樹脂においてフィッシュアイの発生を抑制できるといった傾向を有する。
前記アルキレン基又はアリーレン基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられる。
(PVAの製造方法)
本発明のPVAの製造方法は特に限定されないが、好適な製造方法は、ジアルデヒド又はトリアルデヒドの存在下でビニルエステルを重合させてポリビニルエステルを得た後、該ポリビニルエステルをけん化する方法である。
重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等の公知の方法が挙げられ、工業的観点から、溶液重合法、乳化重合法及び分散重合法が好ましい。重合操作にあたっては、回分法、半回分法及び連続法のいずれの方式も採用できる。
ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、中でも工業的観点から酢酸ビニルが好ましい。
ジアルデヒド又はトリアルデヒドの種類は特に限定されず、グリオキサール、マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、ヘプタンジアール、オクタンジアール、ノナンジアール、ベンゼントリカルバルデヒド等が挙げられる。中でも、アルデヒド基の導入が容易である、得られるPVAの水溶性が良好である、PVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた際の重合安定性が良好である観点から、炭素数2〜10のジアルデヒド又はトリアルデヒドが好適に用いられ、炭素数2〜6のジアルデヒドがより好適に用いられる。入手が容易、得られるビニル系樹脂においてフィッシュアイの発生を抑制することができる観点から、グルタルアルデヒドがさらに好適に用いられる。ジアルデヒド又はトリアルデヒドの使用量は、ビニルエステル100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。一方、ジアルデヒド又はトリアルデヒドの使用量は、ビニルエステル100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。ジアルデヒド又はトリアルデヒドは一種を単独で用いてよく、二種以上を併用してもよい。
重合工程において溶媒を用い、ビニルエステルと溶媒の質量比がビニルエステル/溶媒=100/0〜90/10であることが好ましい。ビニルエステルと溶媒の質量比が90/10を超えると、PVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合に、分散安定剤としての性能が低下する傾向がある。
重合工程において、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ビニルエステル以外の他の単量体を共重合してもよい。他の単量体をビニルエステルと共重合することによって、得られる重合体の主鎖中に他の単量体単位の構造を有することができる。当該他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;(メタ)アクリル酸及びその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩又はその4級塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びその誘導体等の(メタ)アクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその塩又はそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。このような他の単量体を共重合する場合、その含有率は通常5モル%以下である。
重合工程に用いる溶媒としては、アルコール系溶媒が好ましい。アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられ、中でもメタノールが好ましい。これらは、1種を単独で用いる、又は2種以上を併用できる。
本発明の製造方法においては、ジアルデヒド又はトリアルデヒド、及び水の存在下でビニルエステルを重合させてポリビニルエステルを得た後、該ポリビニルエステルをけん化する方法がより好適である。このときの水の質量は、ジアルデヒド又はトリアルデヒドの量の0.3倍以上であることが好ましく、0.4倍以上であることがより好ましい。一方、水の質量はジアルデヒド又はトリアルデヒドの量の9倍未満であることが好ましく、4倍未満であることがより好ましく、2倍未満であることがさらに好ましい。
通常、水の添加により重合工程およびそれに続くけん化工程の生産性が低下するが、本発明においては水の添加により、末端にアルデヒド構造を容易に導入可能であることを見出した。この理由は定かではないが、水の添加により、重合工程におけるジアルデヒド又はトリアルデヒドの副反応(ヘミアセタール、アセタール化、環化)が抑制され、化学平衡が副反応による生成物の状態よりもアルデヒドの状態に傾くことで、ジアルデヒド又はトリアルデヒドとビニルエステルとの反応が効率的に進行するためであると推定される。
重合工程に用いる重合開始剤は特に限定されず、重合方法に応じて公知の重合開始剤から選択できる。重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。過酸化物系重合開始剤は、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート系化合物;t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等が挙げられる。レドックス系重合開始剤としては、酸化剤と還元剤を組み合わせたものを使用できる。酸化剤としては、過酸化物が好ましい。還元剤としては、金属イオン、還元性化合物等が挙げられる。酸化剤と還元剤の組み合わせとしては、過酸化物と金属イオンとの組み合わせ;過酸化物と還元性化合物との組み合わせ;過酸化物と、金属イオン及び還元性化合物との組み合わせ等が挙げられる。過酸化物としては、過酸化水素、クメンヒドロキシパーオキサイド、t−ブチルヒドロキシパーオキサイド等のヒドロキシパーオキサイド、過硫酸塩(カリウム、ナトリウム又はアンモニウム塩)、過酢酸t−ブチル、過酸エステル(過安息香酸t−ブチル)等が挙げられる。金属イオンとしては、Fe2+、Cr2+、V2+、Co2+、Ti3+、Cu+等の1電子移動を受けることのできる金属イオンが挙げられる。還元性化合物としては、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、フルクトース、デキストロース、ソルボース、イノシトール、ロンガリット、アスコルビン酸が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウムからなる群より選択される1種以上の過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、ロンガリット及びアスコルビン酸からなる群より選択される1種以上の還元剤との組み合わせが好ましく、過酸化水素と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、ロンガリット及びアスコルビン酸からなる群より選択される1種以上の還元剤との組み合わせがより好ましい。また、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド等の水溶性の重合開始剤を上記重合開始剤に組み合わせて重合開始剤としてもよい。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いる、又は2種以上を併用できる。
ジアルデヒド又はトリアルデヒドの存在下でビニルエステルを重合させたときの、当該ビニルエステルの重合率は特に限定されないが、10%以上90%未満であることが好ましい。重合率が10%未満の場合、PVAの生産性が低下するおそれがある。重合率は20%以上であることがより好ましい。一方、重合率が90%以上の場合、得られるポリビニルエステルの粘度が高くなりすぎてPVAの生産性が低下する、得られるPVAの色相が悪化する、という問題が発生するおそれがある。重合率は70%未満であることがより好ましい。
ポリビニルエステルをけん化する方法は特に限定されず、公知のけん化方法を採用できる。例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基性触媒やp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いた、加アルコール分解反応又は加水分解反応が挙げられる。この反応に使用できる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類:ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で用いる、又は2種以上を併用できる。中でも、メタノール又はメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒としてけん化する方法が簡便であり好ましい。
(用途)
本発明のPVAは種々の用途に使用される。以下にその例を挙げるがこれに限定されるものではない。
(1)分散剤用途:塗料、接着剤等の顔料の分散安定剤、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等の各種ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤及び分散助剤
(2)被覆剤用途:紙のコーティング剤、サイズ剤、繊維加工剤、皮革仕上剤、塗料、防曇剤、金属腐食防止剤、亜鉛メッキ用光沢剤、帯電防止剤、医薬被覆剤
(3)接着剤用途:接着剤、粘着剤、再湿接着剤、各種バインダー、セメントやモルタル用添加剤
(4)乳化剤用途:乳化重合用乳化剤、ビチュメン等の後乳化剤
(5)凝集剤用途:水中懸濁物及び溶存物の凝集剤、金属凝集剤
(6)紙加工用途:紙力増強剤、耐油・耐溶剤付与剤、平滑性向上剤、表面光沢改良助剤、目止剤、バリア剤、耐光性付与剤、耐水化剤、染料・顕色剤分散剤、接着力改良剤、バインダー
(7)農業用途:農薬用バインダー、農薬用展着剤、農業用被覆剤、土壌改良剤、エロージョン防止剤、農薬用分散剤
(8)医療・化粧品用途:造粒バインダー、コーティング剤、乳化剤、貼付剤、結合剤、フィルム製剤基材、皮膜形成剤
(9)粘度調整剤用途:増粘剤、レオロジー調整剤
(10)フィルム用途:水溶性フィルム、偏光フィルム、バリアフィルム、繊維製品包装用フィルム、種子養生シート、植生シート、シードテープ、吸湿性フィルム
(11)成形物用途:繊維、パイプ、チューブ、防漏膜、ケミカルレース用水溶性繊維、スポンジ
(12)ゲル用途:医薬用ゲル、工業用ゲル
(13)後反応用途:低分子有機化合物、高分子有機化合物、無機化合物との後反応用途
本発明のPVAは、酸触媒を使用することで、分子鎖の動きが三次元方向に拘束され、同種の線状高分子よりも高粘度、高耐水性、高強度、耐熱性、耐溶剤性に優れる架橋体を合成することができる。そのため、上記(2)被覆材用途、(3)接着剤用途、(10)フィルム用途、(12)ゲル用途等に好適に用いられる。また、本発明のPVAは後述の通り、(1)分散剤用途にも好適に用いられる。
(ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤)
本発明のPVAの好適な用途は、当該PVAを含有する、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤である。本発明のPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いると、重合反応が安定し粗大粒子および微粉の形成を抑制することができる。また、得られるビニル系樹脂をシート状にした際のフィッシュアイの発生を抑制することができる。
上記懸濁重合用分散安定剤は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、各種添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、例えば、アルデヒド類、ハロゲン化炭化水素類、メルカプタン類等の重合調節剤;フェノール化合物、イオウ化合物、N−オキサイド化合物等の重合禁止剤;pH調整剤;架橋剤;防腐剤;防黴剤;ブロッキング防止剤;消泡剤;相溶化剤等が挙げられる。懸濁重合用分散安定剤における各種添加剤の含有量は、懸濁重合用分散安定剤全体に対して10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
(ビニル系樹脂の製造方法)
本発明の他の好適な実施態様は、本発明のPVAの存在下でビニル化合物を懸濁重合するビニル系樹脂の製造方法である。かかる製造方法では、粒子状のビニル系樹脂が得られる。
本発明の懸濁重合用分散安定剤を重合槽へ仕込む方法としては、例えば(i)水溶液にして重合槽に仕込む方法、(ii)粉末状態のまま仕込む方法等が挙げられる。重合槽内での均一性の観点から、上記(i)の方法が好ましい。
ビニル化合物としては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、これらのエステル及び塩;マレイン酸、フマル酸、これらのエステル及び無水物;スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が挙げられる。中でも、塩化ビニルを単独で用いる、又は塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合できる単量体を併用することが好ましい。塩化ビニルと共重合できる単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が挙げられる。
ビニル化合物の懸濁重合には、従来から塩化ビニルの重合に使用される、油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用できる。油溶性の重合開始剤としては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、クミルパーオキシネオデカノエート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶性の重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤は1種を単独で用いる、又は2種以上を併用できる。
ビニル化合物の懸濁重合に際し、重合温度は特に制限はなく、20℃程度の低い温度でも、90℃を超える高い温度でもよく、中でも20〜60℃程度が好ましい。また、重合反応系の除熱効率を高めるために、還流冷却器が付属した重合器を用いてもよい。
得られたビニル系樹脂は、適宜可塑剤等を配合して各種の成形品用途に使用できる。
ビニル化合物の懸濁重合において、本発明の懸濁重合用分散安定剤の使用量(濃度)は、ビニル化合物に対して、通常、1000ppm以下50ppm以上である。50ppm未満であるとビニル化合物の懸濁重合時に粗粒が発生しやすくなる可能性がある。前記ppmは、質量ppmを意味する。
ビニル化合物の懸濁重合に際して、PVAの他に、ビニル化合物を水性媒体中で懸濁重合する際に通常使用されるメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル;ゼラチンなどの水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマーなどの油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウムなどの水溶性乳化剤等を併用してもよい。その添加量は特に制限されず、ビニル化合物100質量部あたり0.01質量部以上1.0質量部以下が好ましい。
(架橋体)
本発明のPVAの好適な用途は、当該PVAが架橋された架橋体であって、前記架橋体からなる厚み100μmのフィルムを80℃の熱水に1時間浸漬した際の溶出率が10%未満である架橋体である。
ここで、溶出率は後述する実施例に記載された方法により測定することができ、この溶出率が小さいほど、耐水性に優れているといえる。また、測定に供されるフィルムは、本発明のPVAを用いて製造された架橋体を含有する製膜原液を用いて、流延製膜法や溶融押出製膜法など公知の方法により製造することができる。本発明において、上記フィルムを80℃の熱水に1時間浸漬した際の溶出率が8%未満であることがより好ましく、5%未満であることがさらに好ましい。
架橋体の製造方法は特に限定されないが、酸触媒の存在下でPVAを架橋する製造方法が好適である。
(酸触媒)
酸触媒の種類は特に限定されず、リン酸、塩酸、硫酸等が挙げられる。中でも、リン酸が好適に用いられる。
酸触媒の使用方法としては特に限定されない。酸触媒をそのまま用いても、酸触媒を溶媒に溶解して用いても構わない。また、PVAと混合する際には、PVA水溶液を調製した後に、酸触媒を混合しても構わないし、PVA水溶液を調製すると同時に、酸触媒を混合して溶解しても構わない。PVA水溶液を調製した後に、酸触媒を混合する方法が副反応を抑制する面から好ましい。
酸触媒の使用量としては特に限定されないが、酸触媒の使用量は、PVA10質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましい。使用量が0.01質量部未満の場合、架橋体がうまく形成できないおそれがある。使用量は0.05質量部以上であることがより好ましい。一方、使用量が5質量部を超える場合、PVAの相対濃度が低下するため架橋体がうまく形成できないおそれがある。使用量は3質量部以下であることがより好ましい。
架橋体の製造において、上記酸触媒に加えて架橋剤を併用することもできる。架橋剤の例としてはグリオキサール、マロンジアルデヒド、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド類、グリオキシル酸ナトリウム、グリオキシル酸カルシウム等のグリオキシル酸塩類、エタンジアミン、プロパンジアミン、1,3‐ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジアミン類、アジピン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類が挙げられる。
上記架橋剤の使用方法は特に限定されず、酸触媒の使用方法と同じ方法とすることができる。また、上記架橋剤の使用量も特に限定されず、酸触媒の使用量と同じとすることができる。
[PVAの粘度平均重合度]
PVAの粘度平均重合度はJIS K 6726:1994に準じて測定した。具体的には、PVAのけん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](L/g)を用いて下記式により粘度平均重合度(P)を求めた。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
[PVAのけん化度]
PVAのけん化度は、JIS K 6726:1994に準じて測定した。
[PVAの末端アルデヒド基の含有量]
PVAの末端アルデヒド基の含有量は、PVAの10質量%水溶液を調製し、この水溶液を、500gの酢酸メチル/水=95/5の溶液中に5g滴下しPVAを析出させ、回収し乾燥させ、単離されたPVAをDMSO−dに溶解し、400MHzのH−NMRを用いて測定することで求められる。このとき、ビニルアルコール単位のメチン由来のピークは3.2〜4.0ppm(積分値P)、アルデヒド基由来のプロトンのピークは9.5〜10ppm付近に帰属される(積分値Q)。そして、各ピークから以下の式により含有量を求めた。
アルデヒド基の含有量(モル%)=(Q/P)×100
[PVAの紫外線吸収スペクトルによる吸光度]
PVAの0.1質量%水溶液を作製した。その後、該水溶液を光路長1cmのセルに入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製UV−2450)を用いて280nmの吸光度を測定した。
[製造例1 PVA1の製造]
酢酸ビニル(以下、「VAc」と略記することがある)1500質量部、メタノール10質量部を重合槽に仕込んだ。次いで、重合槽内を窒素置換後にグルタルアルデヒド12質量部、水12質量部を重合槽に追加して仕込み、重合槽を加熱して60℃まで昇温させ、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)の存在下に重合率が25%となるまで重合を行った。減圧下残存するVAcをメタノールとともに系外に追い出す操作をメタノールを添加しながら行い、ポリ酢酸ビニル(以下、「PVAc」と略記することがある)のメタノール溶液(濃度40質量%)を得た。次いでメタノール溶媒中で、PVAc中の酢酸ビニル単位の濃度を30質量%に希釈し、温度40℃、けん化触媒としてPVAcに対してモル比0.03の割合で水酸化ナトリウムを用い、1時間けん化反応を行った。得られたポリビニルアルコールを酢酸メチル/メタノール=80/20の洗浄液に浸漬し洗浄を行った。次いで溶媒を遠心分離で除去した後に乾燥を行い、粘度平均重合度が1500であり、けん化度が99モル%であり、末端アルデヒド基の含有量が0.1モル%であり、0.1質量%水溶液の280nmにおける吸光度が0.279であるPVA1を得た。
[製造例2〜12(PVA2〜12の製造)]
酢酸ビニル及び重合時に使用するメタノール、水、アルデヒドの使用量、アルデヒドの種類、重合反応停止時の重合率、けん化条件を表1に記載のとおり変更したこと以外は製造例1と同様にしてPVA2〜PVA12を製造した。製造条件を表1に、使用したアルデヒドの種類を表2に示す。
[製造例13(PVA13の製造)]
製造例11と同様の方法でPVA11を製造し、得られたPVA11を熱風乾燥機にて80℃で1時間熱処理を行い、PVA13を製造した。
Figure 2020200460
Figure 2020200460
実施例1
PVA(1)10質量部を蒸留水に溶解し10質量%水溶液100質量部とし、酸触媒としてリン酸0.5質量部を添加して混合撹拌し、樹脂組成物水溶液とした。かかる水溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に流延し、23℃、50%RHの条件下で48時間放置後、70℃で5分間加熱処理を行って厚さ100μmのフィルムを得た。得られたフィルムの耐水性を以下の要領で評価したところ、溶出率は1.5質量%であった。
(耐水性)
得られたフィルムを80℃の熱水に1時間浸漬して、フィルムの溶出率(質量%)を測定した。なお、溶出率(質量%)の算出にあたっては、熱水浸漬前のフィルムの乾燥質量X1(g)および熱水浸漬後のフィルムの乾燥質量X2(g)を求め、下式にて溶出率(質量%)を算出した。結果を表3に示す。
溶出率(質量%)=[(X1−X2)/X1]×100
実施例2
用いるPVAの種類を変えたこと以外は実施例1と同様にして耐水性を評価した。結果を表3に示す。
比較例1
PVAとしてPVA6を用いたこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製して耐水性の評価を試みた。その結果、PVA6はアルデヒド基の含有量が低すぎるため、耐水性がほぼ発現しなかった。
比較例2
PVAとしてPVA7を用いたこと以外は実施例1と同様にして耐水性の評価を試みた。その結果、PVA7は粘度平均重合度が低すぎるため耐水性はほぼ発現しなかった。
Figure 2020200460
実施例3
PVA3を懸濁重合用分散安定剤として脱イオン水に溶解させて、オートクレーブにPVA3の水溶液を100質量部仕込んだ。仕込んだPVA3の量は、塩化ビニル(VCM)の仕込み量に対して850ppmであった。次いで、脱イオン水の合計が1200質量部となるように脱イオン水を添加した。次いで、クミルパーオキシネオデカノエートの70質量%トルエン溶液0.65質量部及びt−ブチルパーオキシネオデカノエートの70質量%トルエン溶液1.05質量部をオートクレーブに添加し、オートクレーブ内に圧力0.2MPaとなるように窒素を導入した。その後窒素のパージを行う操作を計5回行い、オートクレーブ内を十分に窒素置換して酸素を除いた後、塩化ビニル940質量部を添加した。オートクレーブ内の内容物を57℃に昇温して撹拌下で塩化ビニルの懸濁重合を開始した。重合開始時におけるオートクレーブ内の圧力は0.80MPaであった。重合開始から約3.5時間経過後、オートクレーブ内の圧力が0.70MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニルを除去して、重合反応物を取り出し、65℃にて16時間乾燥を行い、塩化ビニル重合体粒子を得た。そして、以下に示す方法で得られた塩化ビニル重合体粒子を評価した。
(塩化ビニル重合体粒子の評価)
得られた塩化ビニル重合体粒子について、(1)平均粒子径、(2)粒度分布及び(3)フィッシュアイを以下の方法に従って評価した。評価結果を表4に示す。
(1)平均粒子径
タイラー(Tyler)メッシュ基準の篩を使用して、JIS Z 8815:1994に記載の乾式篩法により粒度分布を測定した。その結果をロジン・ラムラー(Rosin−Rammler)分布式にプロットして平均粒子径(dp50)を算出した。
(2)粒度分布
目開き355μmの篩(JIS標準篩のメッシュ換算では、42メッシュ)を通過しなかった塩化ビニル重合体粒子の含有量(質量%)を下記評価基準で評価した。前記含有量は、篩上累積(質量%)を意味する。また、前記篩の目開きは、JIS Z 8801−1−2006の公称目開きWに準拠する。
A:0.5質量%未満
B:0.5質量%以上1質量%未満
C:1質量%以上
目開き355μmの篩を通過し、目開き250μmの篩(JIS標準のメッシュ換算では、60メッシュ)を通過しなかった塩化ビニル重合体粒子の含有量(質量%)を下記評価基準で評価した。前記含有量は、篩上累積(質量%)を意味する。また、前記篩の目開きは、JIS Z 8801−1−2006の公称目開きWに準拠する。
A:5質量%未満
B:5質量%以上10質量%未満
C:10質量%以上
目開き75μmの篩を通過した(JIS標準のメッシュ換算では、200メッシュ)塩化ビニル重合体粒子の含有量(質量%)を下記評価基準で評価した。前記含有量は、篩上累積(質量%)を意味する。また、前記篩の目開きは、JIS Z 8801−1−2006の公称目開きWに準拠する。
A:1質量%未満
B:1質量%以上2質量%未満
C:2質量%以上
なお、目開き355μmの篩を通過しなかった塩化ビニル重合体粒子の含有量及び目開き250μmの篩を通過しなかった塩化ビニル重合体粒子の含有量は共に、値が小さいほど粗大粒子が少なくて粒度分布がシャープであり、重合安定性に優れていることを示す。また、75μmの篩を通過した塩化ビニル重合体粒子の含有量が少ないことは微粉が少なく、工程通過性に優れることを示す。
(3)フィッシュアイ
得られた塩化ビニル重合体粒子100質量部、ジオクチルフタレート50質量部、三塩基性硫酸鉛5質量部及びステアリン酸亜鉛1質量部を150℃で7分間ロール混練して0.1mm厚のシートを作製し1000cm当たりのフィッシュアイの数を目視で測定した。フィッシュアイの数が少ないほどシート上の欠陥が少ないことを示す。
実施例4〜5
PVA3に代えてPVA4〜5をそれぞれ用いた以外は実施例3と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。得られた塩化ビニル重合体粒子の評価結果を表4に示す。本発明のPVAを懸濁重合用分散安定剤として用いた場合には得られる塩化ビニル重合体粒子径が粗大になることなく、良好な重合安定性を示し、かつ微粉が少なく、フィッシュアイ数が少なかった。
比較例3
PVAとしてPVA8を用いた以外は実施例3と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。得られた塩化ビニル重合体粒子の評価結果を表4に示す。PVA8はアルデヒド基の含有量が多いため、得られる塩化ビニル重合体粒子の平均粒子径が大きく、粗大粒子、微粉の割合が多く、フィッシュアイも多い結果となった。
比較例4
PVAとしてPVA9を用いた以外は実施例3と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。得られた塩化ビニル重合体粒子の評価結果を表4に示す。PVA9はけん化度が低すぎるため、得られる塩化ビニル重合体粒子の平均粒子径が大きく、粗大粒子、微粉の割合が多く、フィッシュアイも多い結果となった。
比較例5
PVAとしてPVA10を用いた以外は実施例3と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。得られた塩化ビニル重合体粒子の評価結果を表4に示す。PVA10は粘度平均重合度が高すぎるため、得られる塩化ビニル重合体粒子の平均粒子径が大きく、粗大粒子、微粉の割合が多く、フィッシュアイも多い結果となった。
比較例6
PVAとしてPVA11を用いた以外は実施例3と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。得られた塩化ビニル重合体粒子の評価結果を表4に示す。PVA11はアルデヒド基の含有量が少なすぎるため、得られる塩化ビニル重合体粒子の平均粒子径が大きく、粗大粒子、微粉の割合が多く、フィッシュアイも多い結果となった。
比較例7
PVAとしてPVA12を用いた以外は実施例3と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。得られた塩化ビニル重合体粒子の評価結果を表4に示す。PVA12はモノアルデヒドの存在下で酢酸ビニルを重合して得られたポリ酢酸ビニル由来のPVAであり、PVAの末端にアルデヒド基を有さないため、得られる塩化ビニル重合体粒子の平均粒子径が大きく、粗大粒子、微粉の割合が多く、フィッシュアイも多い結果となった。
比較例8
PVAとしてPVA13を用いた以外は実施例3と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。得られた塩化ビニル重合体粒子の評価結果を表4に示す。PVA13は吸光度の値は高いものの、アルデヒド基の含有量が少なすぎるため、得られる塩化ビニル重合体粒子の平均粒子径が大きく、粗大粒子、微粉の割合が多く、フィッシュアイも多い結果となった。
Figure 2020200460
実施例で示されるように、本発明のPVAは、酸等を用いて簡便に架橋体を形成でき、その際の耐水性に優れていた。また、本発明のPVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤に用いると重合安定性に優れ、得られる塩化ビニル重合体粒子(ビニル系重合体)は平均粒子径が小さく、粗大粒子、微粉の生成も少なく、フィッシュアイを低減できる。そのためビニル系重合体の生産性、加工性に優れる。したがって、本発明の工業的な有用性は極めて高い。

Claims (8)

  1. けん化度が70モル%以上99.9モル%未満、粘度平均重合度が400以上1800未満であり、
    末端にアルデヒド基を0.05モル%以上0.5モル%未満含有し、かつ
    0.1質量%水溶液の280nmにおける吸光度が0.17以上0.55未満であるポリビニルアルコール。
  2. 末端に下記式(1)で表される構造を有する、請求項1に記載のポリビニルアルコール。
    Figure 2020200460
    (式(1)中、Xは単結合、置換基を有してもよいアルキレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基を表し、*は結合手を表す。)
  3. Xが炭素数1〜6のアルキレン基である、請求項2に記載のポリビニルアルコール。
  4. ジアルデヒド又はトリアルデヒドの存在下でビニルエステルを重合させてポリビニルエステルを得た後、該ポリビニルエステルをけん化する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコールの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコールを含有する、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコールの存在下でビニル化合物を懸濁重合するビニル系樹脂の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコールが架橋された架橋体であって、前記架橋体からなる厚み100μmのフィルムを80℃の熱水に1時間浸漬した際の溶出率が10%未満である架橋体。
  8. 酸触媒の存在下で前記ポリビニルアルコールを架橋する請求項7に記載の架橋体の製造方法。
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