<関連出願の相互参照>
本願は、2019年6月7日出願の米国仮特許出願番号62/858,776及び2020年5月29日出願の中国特許出願番号202010472564.0からの優先権を主張し、その内容全体を参照によって援用する。
本発明は、概して、波動歯車装置(strain wave gear apparatus)に関し、特に車両昇降システムの用途のための波動歯車装置に関する。
ハーモニックドライブは当該技術においてよく知られている。典型的には、ハーモニックドライブは三つの主要構成部品を有する単段のギア伝達機構である。これらの部品は、サーキュラ・スプライン(circular spline)、フレクスプライン(flexspline)及びウェーブ・ジェネレータ(wave generator)として知られている。サーキュラ・スプラインは、歯を内面上に有する円形形状の剛性太陽ギアである。フレクスプラインは、サーキュラ・スプラインの歯と噛合するよう設計される歯を外面上に有する薄肉カップである。フレクスプラインは、径方向には可撓性であるとともにねじれに対しては剛性であり、そして、サーキュラ・スプラインより歯が少なく半径が小さい。ウェーブ・ジェネレータは、フレクスプライン内部に嵌まる非円形のカムである。ウェーブ・ジェネレータは、フレクスプラインの歯の一部をサーキュラ・スプラインの歯と噛合させ、他の歯を完全に非噛合状態とするよう、フレクスプラインを変形させる。ウェーブ・ジェネレータの一回転毎に、サーキュラ・スプラインの歯数に対するフレクスプラインの歯数の差と同じ割合で、フレクスプラインをサーキュラ・スプラインの内周で移動させる。例えば、サーキュラ・スプラインが100の歯を有し、フレクスプラインが98の歯を有する場合、ウェーブ・ジェネレータの各回転によって、フレクスプラインが2つの歯と等しい距離だけサーキュラ・スプラインの内周を移動する。例えば、サーキュラ・スプラインが100の歯を有し、フレクスプラインが98の歯を有し、出力部材が98の歯を有する場合、ウェーブ・ジェネレータの各回転によって、フレクスプラインが2つの歯と等しい距離だけサーキュラ・スプラインの内周を移動する。この場合、出力部材はウェーブ・ジェネレータとは反対方向に回転する。他の場合において、サーキュラ・スプラインが98の歯を有し、フレクスプラインが98の歯を有し、出力部材が100の歯を有するときにも、ウェーブ・ジェネレータの各回転によって、フレクスプラインが二つの歯と等しい距離だけサーキュラ・スプラインの内周を移動する。この場合、出力部材はウェーブ・ジェネレータと同じ方向に回転する。
ハーモニックドライブ伝動装置が貢献する産業には、半導体、機械工具、ファクトリー・オートメーション(工場自動化)、ロボット工学、医療機器及び航空宇宙産業が含まれる。ハーモニックドライブ伝動装置による貢献を受ける医療応用には、患者用ベッド、リハビリテーション機器、及びMRI/CATスキャン・ガントリーが含まれる。ハーモニックドライブの他の用途には、放射線治療装置、撮像カメラの位置調整、外科手術ロボットが含まれる。半導体部品製造に用いられるロボットは、ハーモニックドライブを用いて、加工、装填、取り出し、検査及び試験のためにウエハーを正確に位置決めすることができる。ハーモニックドライブ伝動装置の軍事及び航空宇宙応用には、通信、軍事偵察、気象衛星、遠距離宇宙探測機、ハッブル宇宙望遠鏡を含む望遠鏡、及び国際宇宙ステーションが含まれる。ハーモニックドライブは、アンテナ及びコンパス・ジンバルを正確に制御し、科学器具の位置を調節し、開口部と太陽電池パネルを調整し、ハッチ及び戸口を開閉するよう用いられる。
これらの応用では、高い位置精度、反復性及び低振動性が必要とされる。ハーモニックドライブ・ギア・セットは、コンパクト設計や高重量トルク比(high torque to weight ratio)を必要とする高精度な用途に理想的である。これらは、出力段におけるフィードバックを受けることなく、1分角未満の位置精度及び±5秒角の反復性を実現できる。
従来のハーモニックドライブ伝動装置設計は、サーキュラ・スプラインよりも歯数が2つ少ないフレクスプラインと、直径方向に互いに反対側にあり楕円の長軸に対応する二つの領域においてフレクスプラインの歯をサーキュラ・スプラインの歯と噛合させるよう設計された楕円状のウェーブ・ジェネレータと、を有する。ウェーブ・ジェネレータの短軸は、フレクスプラインの歯を短軸に沿った領域において完全に非噛合状態にできるよう、非接触の領域においてサーキュラ・スプラインとフレクスプラインとの間の長さが1つの歯の差となるよう、十分に短い。伝動装置システムのトルク能力は、歯を接触から外すのに必要な剪断断力と等しい。したがって、このことにより、フレクスプラインがサーキュラ・スプラインに対して1つの歯の距離でスリップしうる「ラチェッティング・トルク」の存在が可能となる。これにより、接触状態にある歯数が増加し、したがってトルク能力及びねじれ剛性が増加する。しかしながら、この条件は、フレクスプラインへの力を大幅に増加させ、その疲れ寿命を大幅に短くする。さらに、システムのバランスが崩れ、ノイズ及び振動が大幅に増加し、位置の精度が低下する。
そのようなハーモニックドライブ伝動装置の一つが米国特許第3,906,527号明細書に開示されている。そのハーモニックドライブ伝動装置は、上面、底面、外面及び内面を有するスプラインを有する。上面と底面とは、軸方向に互いから間隔を空けて配置される。外面及び内面は、上面を底面に接続するよう中心軸の回りに延設される。複数のスプライン歯が内面から中心軸に向かって延設される。ウェーブ・ジェネレータは、スプライン内に回転可能に配置される。
したがって、モータの大きさを最小化し、異なる車両構成に適応可能で、軽量で、騒音・振動・ハーシュネス(NVH)の小さな、ハーモニックドライブを提供する要求がある。
本発明は、軽量で、コンパクトな波動歯車装置を提供する。本発明は、また、組み立てが容易な波動歯車装置を提供する。本発明は、さらに、騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を最小限に抑えた波動歯車装置を提供する。
本発明の一の面では、波動歯車装置を提供する。波動歯車装置は、上面、底面、外面及び内面を有するスプラインを備える。上面と底面とは、軸方向に互いから間隔を空けて配置される。外面及び内面は、上面と底面とを接続するよう中心軸の回りに延設される。複数のスプライン歯が中心軸に向かって内面から延設される。ウェーブ・ジェネレータが、スプライン内に回転可能に配置される。ベルトは、ウェーブ・ジェネレータの回りに延設される。ベルトは、スプライン歯と係合するようベルトから径方向外側に延設される複数のベルト歯を有しており、ベルト歯の総数はスプライン歯の総数より少ない。出力部材は、ウェーブ・ジェネレータとベルトとを収容するとともに、ウェーブ・ジェネレータとベルトと係合する凹部を有する。出力部材は、ウェーブ・ジェネレータからの回転運動に応じて、ウェーブ・ジェネレータと同じ方向または反対方向に回転する。
本発明の他の面では、波動歯車装置を提供する。波動歯車装置は、上面、底面、外面及び内面を有するスプラインを備える。上面と底面とは、軸方向に互いから間隔を空けて配置される。外面及び内面は、上面と底面とを接続するよう中心軸の回りに延設される。複数のスプライン歯が内面から中心軸に向かって延設される。ウェーブ・ジェネレータは、スプライン内に回転可能に配置される。ベルトは、ウェーブ・ジェネレータの回りに延設される。ベルトは、スプライン歯と係合するようベルトから径方向外側に延設される複数のベルト歯を有しており、ベルト歯の総数はスプライン歯の総数より少ない。出力部材は、ウェーブ・ジェネレータとベルトとを収容するとともに、ウェーブ・ジェネレータとベルトと係合する。出力部材は、複数の壁歯を有する壁部を有する。壁歯は、第二歯形状を有し、第二歯形状は第一歯形状とは異なる。
本発明の他の利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明からより理解され、明らかとなろう。
本発明の一の実施形態の構成にかかる波動歯車装置の上部斜視図である。
波動歯車装置の分解組立図である。
本発明の一の実施形態にかかる波動歯車装置の組み立て状態の、図1の切断線3−3に沿った、断面斜視図である。
本発明の一の実施形態にかかる波動歯車装置において用いられるベルトの斜視図である。
図4におけるベルトの破断拡大図である。
本発明の変形例としての実施形態の構成にかかる波動歯車装置の上部斜視図である。
図6の波動歯車装置の底部斜視図である。
波動歯車装置を有する車両昇降システムを有するダンパの断面図である。
本発明の他の実施形態の構成にかかる波動歯車装置の分解図である。
波動歯車装置の底部斜視図である。
波動歯車装置の上部斜視図である。
本発明の他の実施形態の構成にかかる波動歯車装置の分解図である。
図面を参照して、本発明の一の実施形態に基づいて構成された波動歯車装置20を、概略的に図1に示す。図面では、対応する部品には同じ符号を付している。
図1〜図3からよく分かる通り、波動歯車装置20は、スプライン22と、ウェーブ・ジェネレータ24と、ベルト26と、出力部材28と、を備える。スプライン22は、上面30、底面32、外面34及び内面36を有する。上面30と底面32とは、互いから間隔を空けて配置される。外面34及び内面36は、上面30と底面32とを接続するよう中心軸Aの回りに延設される。スプライン22は、内面36上に上面30に隣接して配置されるとともに、中心軸Aに向かって径方向内側にかつ中心軸Aの回りに環状に配置される凸部38を有する。また、凸部38は、内面36に沿って上面30から底面32に向かって、底面32から間隔を空けて配置される終端部40へと、延設される。凸部38は、内面36から径方向内側に凸部38に沿って延設されるとともに互いから周方向に間隔を空けて配置される複数のスプライン歯42を有する。本発明の一の実施形態では、複数のスプライン歯42のそれぞれのスプライン歯は、第一歯形状を呈する略台形形状を有する。
ウェーブ・ジェネレータ24は、スプライン22と係合するようスプライン22に回転可能に配置される。ウェーブ・ジェネレータ24は、底部44と上部46とを有する。底部44は、略楕円形形状を有し、中心軸Aの回りに延設される。上部46は、略円形形状を有し、底部44から外側に延設される。凸部48は、上部46から外側に、中心軸Aと平行に、延設される。ウェーブ・ジェネレータ24は、中心軸Aに沿って、上部46と底部44とを貫通して延びる円筒空間部50を形成する。ベルト26は、底部44の回りに延設される。ベルト26は、スプライン歯42と係合するようベルト26から径方向外側に延設される複数のベルト歯52を有する。つまり、ベルト歯52は、スプライン歯42と直径方向に噛合する。ベルト歯52の総数は、スプライン歯42の総数より少ない。本発明の実施形態では、ベルト26はエラストマー材料から形成できる。本発明の実施形態では、スプライン歯42の総数とベルト歯52の総数との間の差は、2または4である。ベルト歯52の総数はスプライン歯42の総数より少ないので、ロータの回転速度とウェーブ・ジェネレータ24の回転速度との間には減速比が生じる。
出力部材28は、ウェーブ・ジェネレータ24とベルト26とを収容するための凹部54を形成する。出力部材28は、ウェーブ・ジェネレータ24及びベルト26と係合し、これにより、ウェーブ・ジェネレータ24からの回転運動に応じて、出力部材28がウェーブ・ジェネレータ24と同じ方向または反対方向に回転する。ウェーブ・ジェネレータ24が出力部材28の凹部54に収容されるので、波動歯車装置20をよりコンパクトにでき、波動歯車装置20の組み立てを容易に行うことができる。出力部材28は、略円形形状を有し、中心軸Aを中心として配置されるとともに、ベルト26及びウェーブ・ジェネレータ24と当接するベースプレート56を有する。ベースプレート56は、中心軸Aの回りに延設される周辺部58を有する。壁部60は、スプライン22と係合するよう、周辺部58から外側にかつ中心軸Aの回りに延設される。壁部60は、互いから間隔を空けて配置されるとともに、ベルト26と係合するよう壁部60から外側にかつ径方向に中心軸Aに向かって延設される複数の壁歯62を有し、これにより、出力部材28は、ベルト26及びウェーブ・ジェネレータ24と同じ速度で回転できる。出力部材28がベルト及びウェーブ・ジェネレータ24と同じ速度で回転できるよう、壁歯62は、スプライン歯42の第一歯形状とは異なる第二歯形状を呈する。本発明の一の実施形態では、複数の壁歯62のそれぞれの壁歯は、第二歯形状を呈する略三角形形状を有する。出力部材28は、ベースプレート56から外側にかつ中心軸Aの回りに環状に延設されるカラー64を有し、これにより、中心軸Aの回りに、カラー64とベースプレート56と壁部60との間で延びる凹部54が形成される。カラー64は、円筒空間部50を通るよう延設され、そして中心軸Aに沿って延びる開口部66を形成する。
図4〜図7に、本発明の変形例としての実施形態を示す。図4〜図5からよく分かる通り、複数のベルト歯52のそれぞれのベルト歯は、ベルト歯52を補強し剛性を与えるよう内部に配置される金属インサート68を有する。金属インサート68は、中心軸Aに沿ってベルト26内を延び、ベルト26から離れて位置するインサート端部70へと延設される。図6〜図7からよく分かる通り、ベースプレート56は、インサート端部70を収容するよう中心軸Aの回りに配置された複数の孔72を有し、これにより、出力部材28をウェーブ・ジェネレータ24とベルト26とに連結して、ウェーブ・ジェネレータ24及びベルト26とともに回転させる。
動作時において、回転運動またはトルク荷重は、まず波動歯車装置20にウェーブ・ジェネレータ24を介して入力される。なお、入力を電気モータまたは他の回転運動発生源を介して印加できることを記載しておく。本発明の一の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ24の凸部48を電気モータまたは回転運動発生源に連結することができ、これにより、ウェーブ・ジェネレータ24は波動歯車装置20に回転運動を入力できる。ウェーブ・ジェネレータ24がスプライン22内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ24の移動に応じてベルト26が変形し、ウェーブ・ジェネレータ24の周囲で摺動する。ベルト26がウェーブ・ジェネレータ24の周囲で摺動するとき、ベルト歯52の上半分はスプライン歯42と噛合状態となる。ベルト歯52の総数がスプライン歯42の総数より少ないので、ウェーブ・ジェネレータ24がスプライン22内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ24の回転速度が低減される。また、ベルト26がウェーブ・ジェネレータ24の周囲で摺動するとき、ベルト歯52の下半分は壁歯62と噛合状態となる。壁歯62の総数がベルト歯52の総数と等しいので、出力部材28は、ウェーブ・ジェネレータ24の回転方向と同じ方向又は反対方向に回転する。したがって、ベルト歯52はスプライン歯42と壁歯62の両方と係合するので、トルク荷重の入力により剪断力が発生する。本発明の一の実施形態では、ベルト26は、エラストマー材料、例えばゴムから形成できる。ベルト26がエラストマー材料から形成される場合、回転運動またはトルク荷重の入力により生じる剪断力に耐えることができ、したがって、波動歯車装置の騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を低減することができる。
本発明の他の面では、車両昇降システム74を提供する。本発明の一の実施形態の構成にかかる車両昇降システム74を、図8に概略的に示す。
車両昇降システム74は、車両のダンパ76に連結して用いることができる。なお、ダンパ76を油圧式ダンパまたは磁性流体(MR)ダンパとできることを記載しておく。図8に分かりやすく示す通り、ダンパ76は、略円筒形状を有し中心軸Aを中心として配置されるハウジング78を有する。ハウジング78は、第一端部80と第二端部82との間で延設されて、流体チャンバ84,86を形成する。流体チャンバ84,86は、第一端部80と第二端部82との間を延び、作動流体を収容する。なお、作動流体を作動油またはMR流体とできることを記載しておく。略円形形状を有する装着リング88は、車両への取り付けのために、ハウジング78の第一端部80に取り付けられる。
ピストン90は、流体チャンバ84,86内に摺動可能に配置されて、流体チャンバ84,86を圧縮チャンバ84と反発チャンバ86とに分割する。圧縮チャンバ84は、ハウジング78の第一端部80とピストン90との間で延びる。反発チャンバ86は、ハウジング78の第二端部82とピストン90との間で延びる。反発チャンバ86に配置されるロッド・ガイド92は、流体チャンバ84,86を密閉するようピストン90の第二端部82に取り付けられる。ピストンロッド94は、中心軸Aに沿ってロッド・ガイド92を貫通して反発チャンバ86内へと延設され、圧縮ストロークと反発ストロークとの間でピストン90を中心軸Aに沿って移動させるようピストン90に取り付けられる。圧縮ストロークは、ピストンロッド94とピストン90とがハウジング78の第一端部80に向かって移動することとして定義される。反発ストロークは、ピストンロッド94とピストン90とがハウジング78の第二端部82に向かって移動することとして定義される。
アクチュエータ96は、車両が異なるドライブモードに適合できるよう車両の高さを変更するようにハウジング78に取り付けられる。アクチュエータ96は、ネジ付きシャフト98と、ネジ付きブッシング100と、複数のブッシング・ボールベアリング102と、を有する。略管状形状を有するネジ付きシャフト98は、ハウジング78の外面に取り付けられるとともに、第一開口端部104と第二開口端部106との間で中心軸Aの回りに環状に延設される。第一開口端部104は、ハウジング78の第一端部80に隣接して位置するよう、ハウジング78に取り付けられている。第二開口端部106は、第一端部80から軸方向に間隔を空けて位置するよう、ハウジング78に取り付けられている。略円形形状を有するスナップリング108が、ネジ付きシャフト98とハウジング78との間で第一開口端部104に隣接して配置されており、中心軸Aの回りに延設されて、ネジ付きシャフト98をハウジング78に固定している。言い換えれば、ネジ付きシャフト98は、ハウジング78に固定され、ハウジング78の回りに環状に延設されている。ネジ付きシャフト98の回りに配置されるネジ付きブッシング100は、中心軸Aの回りに回転可能であり、かつネジ付きシャフト98に沿って軸方向に移動可能である。ネジ付きブッシング100は、一次端部110と二次端部112との間で延設される。ネジ付きブッシング100の一次端部110は、ネジ付きシャフト98の第一開口端部104に隣接した位置にある。ネジ付きブッシング100の二次端部112は、第二開口端部106から軸方向に間隔を空けた位置にある。複数のブッシング・ボールベアリング102は、ネジ付きブッシング100とネジ付きシャフト98との間に配置され、これにより、ネジ付きブッシング100がネジ付きシャフト98の回りに回転して、ネジ付きブッシング100の回転運動をネジ付きシャフト98に沿った軸方向移動に変換することができる。
略管状形状を有するカバー114が、中心軸Aの回りに配置され、ネジ付きブッシング100から径方向に間隔を空けて配置される。カバー114は、中心軸Aに沿って近端部116と遠端部118との間で延設される。近端部116は、ネジ付きブッシング100の一次端部110に隣接して位置する。遠端部118は、ネジ付きブッシング100の二次端部112に隣接して位置する。カバー114とネジ付きブッシング100とは、集合的に、カバー114とネジ付きブッシング100との間に、中心軸Aの回りに延設される隔室120を形成する。終端板122は、近端部116から一次端部110へと径方向内側に延設され、一次端部110と当接する。複数の留め具124は、カバー114の近端部116に隣接して配置され、カバー114と終端板122とを通るよう延設され、これにより、カバー114を終端板122に取り付ける。バネ受け部126が、隔室120に配置され、カバー114の遠端部118とネジ付きブッシング100の二次端部112との間で延設される。バネ受け部126は、カバー114とネジ付きブッシング100とに取り付けられて、ハウジング78の回りに螺旋状に延設されるコイルバネ(図示せず)を受ける。複数のボルト128は、カバー114の遠端部118に隣接して配置され、カバー114とバネ受け部126とを通るよう延設され、これにより、バネ受け部126をカバー114に取り付ける。複数のカバー・ボールベアリング128がバネ受け部126とネジ付きブッシング100との間に配置され、これにより、ネジ付きブッシング100がバネ受け部126の回りに回転できる。
電気モータ130が、隔室120内に配置され、ネジ付きブッシング100に連結され、これにより、ネジ付きブッシング100に回転運動を与え、ネジ付きブッシング100をネジ付きシャフト98に沿って軸方向に移動させ、車両の高さを上昇し下降することができる。言い換えれば、電気モータ130は、車両を昇降させる回転運動を起動する。電気モータ130は、略管状形状を有し、ネジ付きブッシング100の二次端部112に隣接して中心軸Aの回りに回転可能に配置されるロータ132を有する。円筒形状を有する本体134が、ロータ132の回りに配置され、中心軸Aの回りに環状に延設される。一ペアのボビン136が、互いから軸方向に間隔を空けて、本体134に隣接して配置され、中心軸Aの回りに環状に延設されて、本体134をボビン136の間に挟持している。ボビン136のそれぞれは、中心軸Aの回りに延設されるコイル138を有する。コイル138は、コイル138に電流を供給するため電源と電気的に接続されて、これにより、磁界を発生して、隔室120内のロータ132を回転させることができる。
波動歯車装置20は、隔室120内に配置され、ネジ付きシャフト98の一次端部110とロータ132とに連結され、これにより、ロータ132の回転を減速して電気モータ130のトルクを増加させて、ネジ付きブッシング100を中心軸Aの回りに回転させる。本発明の一の実施形態では、スプライン22は、ロータ132に隣接してカバー114に取り付けられて、隔室120内に配置される。ウェーブ・ジェネレータ24は、スプライン22内に回転可能に配置されて、電気モータ130と係合し、ネジ付きシャフト98にロータ132の回転運動を伝える。ウェーブ・ジェネレータ24の上部46から外側に延設される凸部48は、ウェーブ・ジェネレータ24を電気モータ130のロータ132に連結し、ロータ132とともに回転運動させる。
ウェーブ・ジェネレータ24とベルト26とを収容している出力部材28は、ネジ付きブッシング100に連結されて、ネジ付きブッシング100にロータ132の回転運動を伝える。出力部材のカラー64は、中心軸Aの回りに延設されるとともに、ネジ付きブッシング100に連結されてネジ付きブッシング100とともに回転する。
動作時において、車両を昇降させるために、電気モータ130は、ロータ132を介して波動歯車装置20への回転運動を起動する。ロータ132の回転運動に応じて、ロータ132に連結されたウェーブ・ジェネレータ24は、ロータ132とともに回転する。ベルト歯52の総数がスプライン歯42の総数より少ないので、ウェーブ・ジェネレータ24がスプライン22内で回転するとき、ロータ132の回転はウェーブ・ジェネレータ24によって減速される。さらに、ウェーブ・ジェネレータ24が出力部材28と係合しているので、出力部材28はウェーブ・ジェネレータ24とともに回転する。壁歯64の総数がベルト歯52の総数と等しいので、出力部材28は、ウェーブ・ジェネレータ24と同じ速度で回転する。したがって、出力部材28に取り付けられたネジ付きブッシング100は、ウェーブ・ジェネレータ24と同じ回転速度で出力部材28と回転し、ネジ付きシャフト98に沿って軸方向に移動して、車両を昇降させる。
図9〜図11に、本発明の他の実施形態の構成にかかる波動歯車装置200を示す。波動歯車装置200は、スプライン202と、ウェーブ・ジェネレータ204と、ベルト206と、出力部材208とを備える。スプライン202は、上面210、底面212、外面214及び内面216を有する。上面210と底面212とは、互いから間隔を空けて配置される。外面214及び内面216は、上面210と底面212とを接続するよう中心軸Aの回りに延設される。スプライン202は、内面216から径方向内側に中心軸Aに向かって延設されるとともに、互いから周方向に間隔を空けて配置される複数のスプライン歯218を有する。本発明の実施形態では、複数のスプライン歯218のそれぞれのスプライン歯は、第一歯形状を呈する略台形形状を有することができる。
ウェーブ・ジェネレータ204は、スプライン202と係合するようスプライン202に回転可能に配置される。略リング状のウェーブ・ジェネレータ204は、中心軸Aの回りに延設される。本発明の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ204は楕円形状を有することができる。ウェーブ・ジェネレータ204は、中心軸Aに沿ってウェーブ・ジェネレータ204を貫通して延びる円筒空間部220を形成する。ベルト206は、ウェーブ・ジェネレータ204の回りに延設される。ベルト206は、スプライン歯218と係合するようベルト206から径方向外側に延設される複数のベルト歯222を有する。つまり、ベルト歯222は、スプライン歯218と直径方向に噛合する。ベルト歯222の総数はスプライン歯218の総数より少ない。本発明の実施形態では、スプライン歯218の総数とベルト歯222の総数との間の差は、2または4である。ベルト歯222の総数がスプライン歯218の総数より少ないので、ロータの回転速度とウェーブ・ジェネレータ204の回転速度との間には減速比が生じる。
出力部材208は、ウェーブ・ジェネレータ204とベルト206とを収容するための凹部224を有する。出力部材208は、ウェーブ・ジェネレータ204及びベルト206と係合し、これにより、ウェーブ・ジェネレータ204からの回転運動に応じて、出力部材208は、ウェーブ・ジェネレータ204と同じ方向または反対方向に回転する。ウェーブ・ジェネレータ204が出力部材208の凹部224に収容されるので、波動歯車装置200をよりコンパクトにでき、波動歯車装置200の組み立てを容易に行うことができる。出力部材208は、略円形形状を有し、中心軸Aを中心として配置されるとともに、ベルト206及びウェーブ・ジェネレータ204と当接するベースプレート226を有する。ベースプレート226は、中心軸Aの回りに延設される周辺部228を有する。壁部230が、スプライン202と係合するよう、周辺部228から外側にかつ中心軸Aの回りに延設される。壁部230は、互いから間隔を空けて配置されるとともに、ベルト206と係合するよう壁部230から外側にかつ径方向に中心軸Aに向かって延設される複数の壁歯232を有し、これにより、出力部材208はベルト206及びウェーブ・ジェネレータ204と同じ速度で回転できる。出力部材208がベルト206及びウェーブ・ジェネレータ204と同じ速度で回転できるよう、壁歯232は、スプライン歯218の第一歯形状とは異なる第二歯形状を呈する。本発明の実施形態では、複数の壁歯232のそれぞれの壁歯は、第二歯形状を呈する略三角形形状を有する。出力部材208は、壁部230から径方向内側にかつ中心軸Aの回りに環状に配置されるカラー234を有し、これにより、中心軸Aの回りにカラー234とベースプレート226と壁部230との間で延びる凹部224が形成される。複数の連結部材236は、カラー234から径方向外側に延設されるとともに、カラー234とベースプレート226とを接続するようベースプレート226に連結される。カラー234は、円筒空間部220を通るよう延設され、そして中心軸Aに沿って延びる開口部238を形成する。
複数のベルト歯222のそれぞれのベルト歯222は、ベルト歯222を補強し剛性を与えるよう内部に配置される金属インサート240を有する。金属インサート240は、中心軸Aに沿ってベルト206内を通り、ベルト206から離れて位置するインサート端部242へと延設される。インサート端部242は、壁歯232と噛合状態にあり、これにより、ウェーブ・ジェネレータ204の回転運動を出力部材208に伝える。本発明の実施形態では、ベルト206はウェーブ・ジェネレータ204の周囲に巻き付けられるチェーン244である。チェーン244は、互いに連結された複数のユニット246を有する。複数のユニット246のそれぞれのユニット246は、複数のベルト歯222の1つのベルト歯222を有する。ウェーブ・ジェネレータ204は、電気モータにウェーブ・ジェネレータ204を連結するための複数の穴(オリフィス)248を有することができる。カラー234は、周方向に互いから間隔を空けて配置される複数の係合部材250を有する。複数の係合部材250は、中心軸Aに向かって径方向内側に延設されてシャフトと係合し電気モータの回転運動をシャフトに伝える。スプライン202の外面214は、互いから周方向に間隔を空けて配置され上面210から底面212に延設される複数の溝(チャンネル)252を有する。
動作時において、回転運動またはトルク荷重の入力は、電気モータまたは他の回転運動発生源により、初めにウェーブ・ジェネレータ204を介して波動歯車装置200に伝えられる。本発明の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ204の複数のオリフィス248を電気モータまたは回転運動発生源に連結することができ、これにより、ウェーブ・ジェネレータ204が波動歯車装置200に回転運動を入力できる。ウェーブ・ジェネレータ204がスプライン202内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ204の移動に応じてベルト206が変形し、ウェーブ・ジェネレータ204の周囲で摺動する。ベルト206がウェーブ・ジェネレータ204の周囲で摺動するとき、ベルト歯222はスプライン歯218と噛合状態となる。ベルト歯222の総数がスプライン歯218の総数より少ないので、ウェーブ・ジェネレータ204がスプライン202内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ204の回転速度が低減される。また、ベルト206がウェーブ・ジェネレータ204の周囲で摺動するとき、金属インサート240のインサート端部242は壁歯232と噛合状態となる。壁歯232の総数がベルト歯222の総数と等しいので、出力部材208は、ウェーブ・ジェネレータ204の回転方向と同じ方向か反対方向に回転する。したがって、ベルト歯222がスプライン歯218と壁歯232の両方と係合するので、トルク荷重の入力により剪断力が発生する。本発明の一の実施形態では、ベルト206は、例えばゴムのようなエラストマー材料から形成できる。ベルト206がエラストマー材料から形成される場合、回転運動またはトルク荷重の入力により生じる剪断力に耐えることができ、したがって、波動歯車装置200の騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を低減することができる。
図12に、本発明の他の実施形態の構成にかかるウェーブ・ジェネレータ装置300を示す。波動歯車装置300は、スプライン302と、ウェーブ・ジェネレータ304と、ベルト306と、出力部材308とを備える。スプライン302は、上面310、底面312、外面314及び内面316を有する。上面310と底面312とは、互いから間隔を空けて配置される。外面314及び内面316は、上面310と底面312とを接続するよう中心軸Aの回りに延設される。スプライン302は、内面316から径方向内側に中心軸Aに向かって延設されるとともに、互いから周方向に間隔を空けて配置される複数のスプライン歯318を有する。本発明の実施形態では、複数のスプライン歯318のそれぞれのスプライン歯は、第一歯形状を呈する略台形形状を有することができる。
ウェーブ・ジェネレータ304は、スプライン302と係合するようスプライン302に回転可能に配置される。略リング状のウェーブ・ジェネレータ304は、中心軸Aの回りに延設される。本発明の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ304は楕円形状を有することができる。ウェーブ・ジェネレータ304は、中心軸Aに沿ってウェーブ・ジェネレータ304を貫通して延びる円筒空間部320を形成する。ベルト306は、ウェーブ・ジェネレータ304の回りに延設される。ベルト206は、スプライン歯318と係合するようベルト306から径方向外側に延設される複数のベルト歯322を有する。つまり、ベルト歯322は、スプライン歯318と直径方向に噛合する。ベルト歯322の総数は、スプライン歯318の総数より少ない。本発明の実施形態では、スプライン歯318の総数とベルト歯322の総数との間の差は、2または4である。ベルト歯322の総数がスプライン歯318の総数より少ないので、ロータの回転速度とウェーブ・ジェネレータ304の回転速度との間には減速比が生じる。
出力部材308は、ウェーブ・ジェネレータ304とベルト306とを収容するための凹部324を有する。出力部材308は、ウェーブ・ジェネレータ304及びベルト306と係合し、これにより、ウェーブ・ジェネレータ304からの回転運動に応じて、出力部材308がウェーブ・ジェネレータ304と同じ方向または反対方向に回転する。ウェーブ・ジェネレータ304が出力部材308の凹部324に収容されるので、波動歯車装置300をよりコンパクトにでき、波動歯車装置300の組み立てを容易に行うことができる。出力部材308は、略円形形状を有し、中心軸Aを中心として配置されるとともに、ベルト306及びウェーブ・ジェネレータ304と当接するベースプレート326を有する。ベースプレート326は、中心軸Aの回りに延設される周辺部328を有する。壁部330が、スプライン302と係合するよう、周辺部328から外側にかつ中心軸Aの回りに延設される。壁部330は、互いから間隔を空けて配置されるとともに、ベルト306と係合するよう壁部330から外側にかつ径方向に中心軸Aに向かって延設される複数の壁歯332を有し、これにより、出力部材308はベルト306及びウェーブ・ジェネレータ304と同じ速度で回転できる。出力部材308がベルト306及びウェーブ・ジェネレータ304と同じ速度で回転できるよう、壁歯332は、スプライン歯318の第一歯形状とは異なる第二歯形状を呈する。本発明の実施形態では、複数の壁歯332のそれぞれの壁歯332は、第二歯形状を呈する略三角形形状を有する。出力部材308は、略円形形状を有し中心軸Aを中心として配置され円筒空間部320と連通する開口空間部334を有する。
複数のベルト歯322のそれぞれのベルト歯322は、ベルト歯322を補強し剛性を与えるよう内部に配置される金属インサート340を有する。本発明の実施形態では、ベルト306はウェーブ・ジェネレータ304の周囲に巻き付けられるチェーン344である。チェーン344は、互いに連結された複数のユニット346を有する。複数のユニット346のそれぞれのユニット346は、複数のベルト歯322の1つのベルト歯322を有する。ウェーブ・ジェネレータ304は、電気モータにウェーブ・ジェネレータ304を連結するための複数の穴(オリフィス)348を有することができる。ベースプレート326は、周方向に互いから間隔を空けて配置される複数の係合部材350を有する。複数の係合部材350は、中心軸Aに向かって径方向内側に延設されてシャフトと係合し電気モータの回転運動をシャフトに伝える。ウェーブ・ジェネレータ304は、オリフィス348に隣接して配置されるとともにウェーブ・ジェネレータ304から径方向外側にかつ中心軸Aの回りに環状に延設されるフランジ352を有する。フランジ352は、スプライン302と当接し、スプライン302を出力部材308とウェーブ・ジェネレータ304との間に挟持してスプライン302の軸方向移動を防止する。
動作時において、回転運動またはトルク荷重の入力は、電気モータまたは他の回転運動発生源により、初めにウェーブ・ジェネレータ304を介して波動歯車装置300に入力される。本発明の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ304の複数のオリフィス348を電気モータまたは回転運動発生源に連結することができ、これにより、ウェーブ・ジェネレータ304が波動歯車装置300に回転運動を入力できる。ウェーブ・ジェネレータ304がスプライン302内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ304の移動に応じてベルト306が変形し、ウェーブ・ジェネレータ304の周囲で摺動する。ベルト306がウェーブ・ジェネレータ304の周囲で摺動するとき、ベルト歯322はスプライン歯318と噛合状態となる。ベルト歯322の総数がスプライン歯318の総数より少ないので、ウェーブ・ジェネレータ304がスプライン302内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ304の回転速度が低減される。また、ベルト306がウェーブ・ジェネレータ304の周囲で摺動するとき、ベルト306は壁歯332と噛合状態となる。壁歯332の総数がベルト歯322の総数と等しいので、出力部材308は、ウェーブ・ジェネレータ304の回転方向と同じ方向か反対方向に回転する。したがって、ベルト歯322がスプライン歯318と壁歯332との両方と係合するので、トルク荷重の入力により剪断力が発生する。本発明の一の実施形態では、ベルト306は、例えばゴム等のエラストマー材料から形成できる。ベルト306がエラストマー材料から形成される場合、回転運動またはトルク荷重の入力により生じる剪断力に耐えることができ、したがって、波動歯車装置300の騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を低減することができる。
もちろん、本発明に多くの変形及び変更を上記の教示に基づいて行うことができ、詳細な説明以外にも添付の特許請求の範囲内で実現できる。上記の記載は、発明の新規性が有用となるあらゆる組み合わせにわたることは理解されよう。装置の請求項における語「前記」の使用は、それが前出されていて、請求項に含まれていることを意味する明確な引用である。「前記」を使用していないものでも、請求項の範囲に含まれている場合もある。
<関連出願の相互参照>
本願は、2019年6月7日出願の米国仮特許出願番号62/858,776及び2020年5月29日出願の中国特許出願番号202010472564.0からの優先権を主張し、その内容全体を参照によって援用する。
本発明は、概して、波動歯車装置(strain wave gear apparatus)に関し、特に車両昇降システムの用途のための波動歯車装置に関する。
波動歯車装置は当該技術においてよく知られている。典型的には、波動歯車装置は三つの主要構成部品を有する単段のギア伝達機構である。これらの部品は、サーキュラ・スプライン(circular spline)、フレクスプライン(flexspline)及びウェーブ・ジェネレータ(wave generator)として知られている。サーキュラ・スプラインは、歯を内面上に有する円形形状の剛性太陽ギアである。フレクスプラインは、サーキュラ・スプラインの歯と噛合するよう設計される歯を外面上に有する薄肉カップである。フレクスプラインは、径方向には可撓性であるとともにねじれに対しては剛性であり、そして、サーキュラ・スプラインより歯が少なく半径が小さい。ウェーブ・ジェネレータは、フレクスプライン内部に嵌まる非円形のカムである。ウェーブ・ジェネレータは、フレクスプラインの歯の一部をサーキュラ・スプラインの歯と噛合させ、他の歯を完全に非噛合状態とするよう、フレクスプラインを変形させる。ウェーブ・ジェネレータの一回転毎に、サーキュラ・スプラインの歯数に対するフレクスプラインの歯数の差と同じ割合で、フレクスプラインをサーキュラ・スプラインの内周で移動させる。例えば、サーキュラ・スプラインが100の歯を有し、フレクスプラインが98の歯を有する場合、ウェーブ・ジェネレータの各回転によって、フレクスプラインが2つの歯と等しい距離だけサーキュラ・スプラインの内周を移動する。例えば、サーキュラ・スプラインが100の歯を有し、フレクスプラインが98の歯を有し、出力部材が98の歯を有する場合、ウェーブ・ジェネレータの各回転によって、フレクスプラインが2つの歯と等しい距離だけサーキュラ・スプラインの内周を移動する。この場合、出力部材はウェーブ・ジェネレータとは反対方向に回転する。他の場合において、サーキュラ・スプラインが98の歯を有し、フレクスプラインが98の歯を有し、出力部材が100の歯を有するときにも、ウェーブ・ジェネレータの各回転によって、フレクスプラインが二つの歯と等しい距離だけサーキュラ・スプラインの内周を移動する。この場合、出力部材はウェーブ・ジェネレータと同じ方向に回転する。
波動歯車伝動装置が貢献する産業には、半導体、機械工具、ファクトリー・オートメーション(工場自動化)、ロボット工学、医療機器及び航空宇宙産業が含まれる。波動歯車伝動装置による貢献を受ける医療応用には、患者用ベッド、リハビリテーション機器、及びMRI/CATスキャン・ガントリーが含まれる。波動歯車装置の他の用途には、放射線治療装置、撮像カメラの位置調整、外科手術ロボットが含まれる。半導体部品製造に用いられるロボットは、波動歯車装置を用いて、加工、装填、取り出し、検査及び試験のためにウエハーを正確に位置決めすることができる。波動歯車伝動装置の軍事及び航空宇宙応用には、通信、軍事偵察、気象衛星、遠距離宇宙探測機、ハッブル宇宙望遠鏡を含む望遠鏡、及び国際宇宙ステーションが含まれる。波動歯車装置は、アンテナ及びコンパス・ジンバルを正確に制御し、科学器具の位置を調節し、開口部と太陽電池パネルを調整し、ハッチ及び戸口を開閉するよう用いられる。
これらの応用では、高い位置精度、反復性及び低振動性が必要とされる。波動歯車装置ギア・セットは、コンパクト設計や高重量トルク比(high torque to weight ratio)を必要とする高精度な用途に理想的である。これらは、出力段におけるフィードバックを受けることなく、1分角未満の位置精度及び±5秒角の反復性を実現できる。
従来の波動歯車伝動装置設計は、サーキュラ・スプラインよりも歯数が2つ少ないフレクスプラインと、直径方向に互いに反対側にあり楕円の長軸に対応する二つの領域においてフレクスプラインの歯をサーキュラ・スプラインの歯と噛合させるよう設計された楕円状のウェーブ・ジェネレータと、を有する。ウェーブ・ジェネレータの短軸は、フレクスプラインの歯を短軸に沿った領域において完全に非噛合状態にできるよう、非接触の領域においてサーキュラ・スプラインとフレクスプラインとの間の長さが1つの歯の差となるよう、十分に短い。伝動装置システムのトルク能力は、歯を接触から外すのに必要な剪断断力と等しい。したがって、このことにより、フレクスプラインがサーキュラ・スプラインに対して1つの歯の距離でスリップしうる「ラチェッティング・トルク」の存在が可能となる。これにより、接触状態にある歯数が増加し、したがってトルク能力及びねじれ剛性が増加する。しかしながら、この条件は、フレクスプラインへの力を大幅に増加させ、その疲れ寿命を大幅に短くする。さらに、システムのバランスが崩れ、ノイズ及び振動が大幅に増加し、位置の精度が低下する。
そのような波動歯車伝動装置の一つが米国特許第3,906,527号明細書に開示されている。その波動歯車伝動装置は、上面、底面、外面及び内面を有するスプラインを有する。上面と底面とは、軸方向に互いから間隔を空けて配置される。外面及び内面は、上面を底面に接続するよう中心軸の回りに延設される。複数のスプライン歯が内面から中心軸に向かって延設される。ウェーブ・ジェネレータは、スプライン内に回転可能に配置される。
したがって、モータの大きさを最小化し、異なる車両構成に適応可能で、軽量で、騒音・振動・ハーシュネス(NVH)の小さな、波動歯車装置を提供する要求がある。
本発明は、軽量で、コンパクトな波動歯車装置を提供する。本発明は、また、組み立てが容易な波動歯車装置を提供する。本発明は、さらに、騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を最小限に抑えた波動歯車装置を提供する。
本発明の一の面では、波動歯車装置を提供する。波動歯車装置は、上面、底面、外面及び内面を有するスプラインを備える。上面と底面とは、軸方向に互いから間隔を空けて配置される。外面及び内面は、上面と底面とを接続するよう中心軸の回りに延設される。複数のスプライン歯が中心軸に向かって内面から延設される。ウェーブ・ジェネレータが、スプライン内に回転可能に配置される。ベルトは、ウェーブ・ジェネレータの回りに延設される。ベルトは、スプライン歯と係合するようベルトから径方向外側に延設される複数のベルト歯を有しており、ベルト歯の総数はスプライン歯の総数より少ない。出力部材は、ウェーブ・ジェネレータとベルトとを収容するとともに、ウェーブ・ジェネレータとベルトと係合する凹部を有する。出力部材は、ウェーブ・ジェネレータからの回転運動に応じて、ウェーブ・ジェネレータと同じ方向または反対方向に回転する。
本発明の他の面では、波動歯車装置を提供する。波動歯車装置は、上面、底面、外面及び内面を有するスプラインを備える。上面と底面とは、軸方向に互いから間隔を空けて配置される。外面及び内面は、上面と底面とを接続するよう中心軸の回りに延設される。複数のスプライン歯が内面から中心軸に向かって延設される。ウェーブ・ジェネレータは、スプライン内に回転可能に配置される。ベルトは、ウェーブ・ジェネレータの回りに延設される。ベルトは、スプライン歯と係合するようベルトから径方向外側に延設される複数のベルト歯を有しており、ベルト歯の総数はスプライン歯の総数より少ない。出力部材は、ウェーブ・ジェネレータとベルトとを収容するとともに、ウェーブ・ジェネレータとベルトと係合する。出力部材は、複数の壁歯を有する壁部を有する。壁歯は、第二歯形状を有し、第二歯形状は第一歯形状とは異なる。
本発明の他の利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明からより理解され、明らかとなろう。
本発明の一の実施形態の構成にかかる波動歯車装置の上部斜視図である。
波動歯車装置の分解組立図である。
本発明の一の実施形態にかかる波動歯車装置の組み立て状態の、図1の切断線3−3に沿った、断面斜視図である。
本発明の一の実施形態にかかる波動歯車装置において用いられるベルトの斜視図である。
図4におけるベルトの破断拡大図である。
本発明の変形例としての実施形態の構成にかかる波動歯車装置の上部斜視図である。
図6の波動歯車装置の底部斜視図である。
波動歯車装置を有する車両昇降システムを有するダンパの断面図である。
本発明の他の実施形態の構成にかかる波動歯車装置の分解図である。
波動歯車装置の底部斜視図である。
波動歯車装置の上部斜視図である。
本発明の他の実施形態の構成にかかる波動歯車装置の分解図である。
図面を参照して、本発明の一の実施形態に基づいて構成された波動歯車装置20を、概略的に図1に示す。図面では、対応する部品には同じ符号を付している。
図1〜図3からよく分かる通り、波動歯車装置20は、スプライン22と、ウェーブ・ジェネレータ24と、ベルト26と、出力部材28と、を備える。スプライン22は、上面30、底面32、外面34及び内面36を有する。上面30と底面32とは、互いから間隔を空けて配置される。外面34及び内面36は、上面30と底面32とを接続するよう中心軸Aの回りに延設される。スプライン22は、内面36上に上面30に隣接して配置されるとともに、中心軸Aに向かって径方向内側にかつ中心軸Aの回りに環状に配置される凸部38を有する。また、凸部38は、内面36に沿って上面30から底面32に向かって、底面32から間隔を空けて配置される終端部40へと、延設される。凸部38は、内面36から径方向内側に凸部38に沿って延設されるとともに互いから周方向に間隔を空けて配置される複数のスプライン歯42を有する。本発明の一の実施形態では、複数のスプライン歯42のそれぞれのスプライン歯は、第一歯形状を呈する略台形形状を有する。
ウェーブ・ジェネレータ24は、スプライン22と係合するようスプライン22に回転可能に配置される。ウェーブ・ジェネレータ24は、底部44と上部46とを有する。底部44は、略楕円形形状を有し、中心軸Aの回りに延設される。上部46は、略円形形状を有し、底部44から外側に延設される。凸部48は、上部46から外側に、中心軸Aと平行に、延設される。ウェーブ・ジェネレータ24は、中心軸Aに沿って、上部46と底部44とを貫通して延びる円筒空間部50を形成する。ベルト26は、底部44の回りに延設される。ベルト26は、スプライン歯42と係合するようベルト26から径方向外側に延設される複数のベルト歯52を有する。つまり、ベルト歯52は、スプライン歯42と直径方向に噛合する。ベルト歯52の総数は、スプライン歯42の総数より少ない。本発明の実施形態では、ベルト26はエラストマー材料から形成できる。本発明の実施形態では、スプライン歯42の総数とベルト歯52の総数との間の差は、2または4である。ベルト歯52の総数はスプライン歯42の総数より少ないので、ロータの回転速度とウェーブ・ジェネレータ24の回転速度との間には減速比が生じる。
出力部材28は、ウェーブ・ジェネレータ24とベルト26とを収容するための凹部54を形成する。出力部材28は、ウェーブ・ジェネレータ24及びベルト26と係合し、これにより、ウェーブ・ジェネレータ24からの回転運動に応じて、出力部材28がウェーブ・ジェネレータ24と同じ方向または反対方向に回転する。ウェーブ・ジェネレータ24が出力部材28の凹部54に収容されるので、波動歯車装置20をよりコンパクトにでき、波動歯車装置20の組み立てを容易に行うことができる。出力部材28は、略円形形状を有し、中心軸Aを中心として配置されるとともに、ベルト26及びウェーブ・ジェネレータ24と当接するベースプレート56を有する。ベースプレート56は、中心軸Aの回りに延設される周辺部58を有する。壁部60は、スプライン22と係合するよう、周辺部58から外側にかつ中心軸Aの回りに延設される。壁部60は、互いから間隔を空けて配置されるとともに、ベルト26と係合するよう壁部60から外側にかつ径方向に中心軸Aに向かって延設される複数の壁歯62を有し、これにより、出力部材28は、ベルト26及びウェーブ・ジェネレータ24と同じ速度で回転できる。出力部材28がベルト及びウェーブ・ジェネレータ24と同じ速度で回転できるよう、壁歯62は、スプライン歯42の第一歯形状とは異なる第二歯形状を呈する。本発明の一の実施形態では、複数の壁歯62のそれぞれの壁歯は、第二歯形状を呈する略三角形形状を有する。出力部材28は、ベースプレート56から外側にかつ中心軸Aの回りに環状に延設されるカラー64を有し、これにより、中心軸Aの回りに、カラー64とベースプレート56と壁部60との間で延びる凹部54が形成される。カラー64は、円筒空間部50を通るよう延設され、そして中心軸Aに沿って延びる開口部66を形成する。
図4〜図7に、本発明の変形例としての実施形態を示す。図4〜図5からよく分かる通り、複数のベルト歯52のそれぞれのベルト歯は、ベルト歯52を補強し剛性を与えるよう内部に配置される金属インサート68を有する。金属インサート68は、中心軸Aに沿ってベルト26内を延び、ベルト26から離れて位置するインサート端部70へと延設される。図6〜図7からよく分かる通り、ベースプレート56は、インサート端部70を収容するよう中心軸Aの回りに配置された複数の孔72を有し、これにより、出力部材28をウェーブ・ジェネレータ24とベルト26とに連結して、ウェーブ・ジェネレータ24及びベルト26とともに回転させる。
動作時において、回転運動またはトルク荷重は、まず波動歯車装置20にウェーブ・ジェネレータ24を介して入力される。なお、入力を電気モータまたは他の回転運動発生源を介して印加できることを記載しておく。本発明の一の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ24の凸部48を電気モータまたは回転運動発生源に連結することができ、これにより、ウェーブ・ジェネレータ24は波動歯車装置20に回転運動を入力できる。ウェーブ・ジェネレータ24がスプライン22内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ24の移動に応じてベルト26が変形し、ウェーブ・ジェネレータ24の周囲で摺動する。ベルト26がウェーブ・ジェネレータ24の周囲で摺動するとき、ベルト歯52の上半分はスプライン歯42と噛合状態となる。ベルト歯52の総数がスプライン歯42の総数より少ないので、ウェーブ・ジェネレータ24がスプライン22内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ24の回転速度が低減される。また、ベルト26がウェーブ・ジェネレータ24の周囲で摺動するとき、ベルト歯52の下半分は壁歯62と噛合状態となる。壁歯62の総数がベルト歯52の総数と等しいので、出力部材28は、ウェーブ・ジェネレータ24の回転方向と同じ方向又は反対方向に回転する。したがって、ベルト歯52はスプライン歯42と壁歯62の両方と係合するので、トルク荷重の入力により剪断力が発生する。本発明の一の実施形態では、ベルト26は、エラストマー材料、例えばゴムから形成できる。ベルト26がエラストマー材料から形成される場合、回転運動またはトルク荷重の入力により生じる剪断力に耐えることができ、したがって、波動歯車装置の騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を低減することができる。
本発明の他の面では、車両昇降システム74を提供する。本発明の一の実施形態の構成にかかる車両昇降システム74を、図8に概略的に示す。
車両昇降システム74は、車両のダンパ76に連結して用いることができる。なお、ダンパ76を油圧式ダンパまたは磁性流体(MR)ダンパとできることを記載しておく。図8に分かりやすく示す通り、ダンパ76は、略円筒形状を有し中心軸Aを中心として配置されるハウジング78を有する。ハウジング78は、第一端部80と第二端部82との間で延設されて、流体チャンバ84,86を形成する。流体チャンバ84,86は、第一端部80と第二端部82との間を延び、作動流体を収容する。なお、作動流体を作動油またはMR流体とできることを記載しておく。略円形形状を有する装着リング88は、車両への取り付けのために、ハウジング78の第一端部80に取り付けられる。
ピストン90は、流体チャンバ84,86内に摺動可能に配置されて、流体チャンバ84,86を圧縮チャンバ84と反発チャンバ86とに分割する。圧縮チャンバ84は、ハウジング78の第一端部80とピストン90との間で延びる。反発チャンバ86は、ハウジング78の第二端部82とピストン90との間で延びる。反発チャンバ86に配置されるロッド・ガイド92は、流体チャンバ84,86を密閉するようピストン90の第二端部82に取り付けられる。ピストンロッド94は、中心軸Aに沿ってロッド・ガイド92を貫通して反発チャンバ86内へと延設され、圧縮ストロークと反発ストロークとの間でピストン90を中心軸Aに沿って移動させるようピストン90に取り付けられる。圧縮ストロークは、ピストンロッド94とピストン90とがハウジング78の第一端部80に向かって移動することとして定義される。反発ストロークは、ピストンロッド94とピストン90とがハウジング78の第二端部82に向かって移動することとして定義される。
アクチュエータ96は、車両が異なるドライブモードに適合できるよう車両の高さを変更するようにハウジング78に取り付けられる。アクチュエータ96は、ネジ付きシャフト98と、ネジ付きブッシング100と、複数のブッシング・ボールベアリング102と、を有する。略管状形状を有するネジ付きシャフト98は、ハウジング78の外面に取り付けられるとともに、第一開口端部104と第二開口端部106との間で中心軸Aの回りに環状に延設される。第一開口端部104は、ハウジング78の第一端部80に隣接して位置するよう、ハウジング78に取り付けられている。第二開口端部106は、第一端部80から軸方向に間隔を空けて位置するよう、ハウジング78に取り付けられている。略円形形状を有するスナップリング108が、ネジ付きシャフト98とハウジング78との間で第一開口端部104に隣接して配置されており、中心軸Aの回りに延設されて、ネジ付きシャフト98をハウジング78に固定している。言い換えれば、ネジ付きシャフト98は、ハウジング78に固定され、ハウジング78の回りに環状に延設されている。ネジ付きシャフト98の回りに配置されるネジ付きブッシング100は、中心軸Aの回りに回転可能であり、かつネジ付きシャフト98に沿って軸方向に移動可能である。ネジ付きブッシング100は、一次端部110と二次端部112との間で延設される。ネジ付きブッシング100の一次端部110は、ネジ付きシャフト98の第一開口端部104に隣接した位置にある。ネジ付きブッシング100の二次端部112は、第二開口端部106から軸方向に間隔を空けた位置にある。複数のブッシング・ボールベアリング102は、ネジ付きブッシング100とネジ付きシャフト98との間に配置され、これにより、ネジ付きブッシング100がネジ付きシャフト98の回りに回転して、ネジ付きブッシング100の回転運動をネジ付きシャフト98に沿った軸方向移動に変換することができる。
略管状形状を有するカバー114が、中心軸Aの回りに配置され、ネジ付きブッシング100から径方向に間隔を空けて配置される。カバー114は、中心軸Aに沿って近端部116と遠端部118との間で延設される。近端部116は、ネジ付きブッシング100の一次端部110に隣接して位置する。遠端部118は、ネジ付きブッシング100の二次端部112に隣接して位置する。カバー114とネジ付きブッシング100とは、集合的に、カバー114とネジ付きブッシング100との間に、中心軸Aの回りに延設される隔室120を形成する。終端板122は、近端部116から一次端部110へと径方向内側に延設され、一次端部110と当接する。複数の留め具124は、カバー114の近端部116に隣接して配置され、カバー114と終端板122とを通るよう延設され、これにより、カバー114を終端板122に取り付ける。バネ受け部126が、隔室120に配置され、カバー114の遠端部118とネジ付きブッシング100の二次端部112との間で延設される。バネ受け部126は、カバー114とネジ付きブッシング100とに取り付けられて、ハウジング78の回りに螺旋状に延設されるコイルバネ(図示せず)を受ける。複数のボルト128は、カバー114の遠端部118に隣接して配置され、カバー114とバネ受け部126とを通るよう延設され、これにより、バネ受け部126をカバー114に取り付ける。複数のカバー・ボールベアリング128がバネ受け部126とネジ付きブッシング100との間に配置され、これにより、ネジ付きブッシング100がバネ受け部126の回りに回転できる。
電気モータ130が、隔室120内に配置され、ネジ付きブッシング100に連結され、これにより、ネジ付きブッシング100に回転運動を与え、ネジ付きブッシング100をネジ付きシャフト98に沿って軸方向に移動させ、車両の高さを上昇し下降することができる。言い換えれば、電気モータ130は、車両を昇降させる回転運動を起動する。電気モータ130は、略管状形状を有し、ネジ付きブッシング100の二次端部112に隣接して中心軸Aの回りに回転可能に配置されるロータ132を有する。円筒形状を有する本体134が、ロータ132の回りに配置され、中心軸Aの回りに環状に延設される。一ペアのボビン136が、互いから軸方向に間隔を空けて、本体134に隣接して配置され、中心軸Aの回りに環状に延設されて、本体134をボビン136の間に挟持している。ボビン136のそれぞれは、中心軸Aの回りに延設されるコイル138を有する。コイル138は、コイル138に電流を供給するため電源と電気的に接続されて、これにより、磁界を発生して、隔室120内のロータ132を回転させることができる。
波動歯車装置20は、隔室120内に配置され、ネジ付きシャフト98の一次端部110とロータ132とに連結され、これにより、ロータ132の回転を減速して電気モータ130のトルクを増加させて、ネジ付きブッシング100を中心軸Aの回りに回転させる。本発明の一の実施形態では、スプライン22は、ロータ132に隣接してカバー114に取り付けられて、隔室120内に配置される。ウェーブ・ジェネレータ24は、スプライン22内に回転可能に配置されて、電気モータ130と係合し、ネジ付きシャフト98にロータ132の回転運動を伝える。ウェーブ・ジェネレータ24の上部46から外側に延設される凸部48は、ウェーブ・ジェネレータ24を電気モータ130のロータ132に連結し、ロータ132とともに回転運動させる。
ウェーブ・ジェネレータ24とベルト26とを収容している出力部材28は、ネジ付きブッシング100に連結されて、ネジ付きブッシング100にロータ132の回転運動を伝える。出力部材のカラー64は、中心軸Aの回りに延設されるとともに、ネジ付きブッシング100に連結されてネジ付きブッシング100とともに回転する。
動作時において、車両を昇降させるために、電気モータ130は、ロータ132を介して波動歯車装置20への回転運動を起動する。ロータ132の回転運動に応じて、ロータ132に連結されたウェーブ・ジェネレータ24は、ロータ132とともに回転する。ベルト歯52の総数がスプライン歯42の総数より少ないので、ウェーブ・ジェネレータ24がスプライン22内で回転するとき、ロータ132の回転はウェーブ・ジェネレータ24によって減速される。さらに、ウェーブ・ジェネレータ24が出力部材28と係合しているので、出力部材28はウェーブ・ジェネレータ24とともに回転する。壁歯64の総数がベルト歯52の総数と等しいので、出力部材28は、ウェーブ・ジェネレータ24と同じ速度で回転する。したがって、出力部材28に取り付けられたネジ付きブッシング100は、ウェーブ・ジェネレータ24と同じ回転速度で出力部材28と回転し、ネジ付きシャフト98に沿って軸方向に移動して、車両を昇降させる。
図9〜図11に、本発明の他の実施形態の構成にかかる波動歯車装置200を示す。波動歯車装置200は、スプライン202と、ウェーブ・ジェネレータ204と、ベルト206と、出力部材208とを備える。スプライン202は、上面210、底面212、外面214及び内面216を有する。上面210と底面212とは、互いから間隔を空けて配置される。外面214及び内面216は、上面210と底面212とを接続するよう中心軸Aの回りに延設される。スプライン202は、内面216から径方向内側に中心軸Aに向かって延設されるとともに、互いから周方向に間隔を空けて配置される複数のスプライン歯218を有する。本発明の実施形態では、複数のスプライン歯218のそれぞれのスプライン歯は、第一歯形状を呈する略台形形状を有することができる。
ウェーブ・ジェネレータ204は、スプライン202と係合するようスプライン202に回転可能に配置される。略リング状のウェーブ・ジェネレータ204は、中心軸Aの回りに延設される。本発明の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ204は楕円形状を有することができる。ウェーブ・ジェネレータ204は、中心軸Aに沿ってウェーブ・ジェネレータ204を貫通して延びる円筒空間部220を形成する。ベルト206は、ウェーブ・ジェネレータ204の回りに延設される。ベルト206は、スプライン歯218と係合するようベルト206から径方向外側に延設される複数のベルト歯222を有する。つまり、ベルト歯222は、スプライン歯218と直径方向に噛合する。ベルト歯222の総数はスプライン歯218の総数より少ない。本発明の実施形態では、スプライン歯218の総数とベルト歯222の総数との間の差は、2または4である。ベルト歯222の総数がスプライン歯218の総数より少ないので、ロータの回転速度とウェーブ・ジェネレータ204の回転速度との間には減速比が生じる。
出力部材208は、ウェーブ・ジェネレータ204とベルト206とを収容するための凹部224を有する。出力部材208は、ウェーブ・ジェネレータ204及びベルト206と係合し、これにより、ウェーブ・ジェネレータ204からの回転運動に応じて、出力部材208は、ウェーブ・ジェネレータ204と同じ方向または反対方向に回転する。ウェーブ・ジェネレータ204が出力部材208の凹部224に収容されるので、波動歯車装置200をよりコンパクトにでき、波動歯車装置200の組み立てを容易に行うことができる。出力部材208は、略円形形状を有し、中心軸Aを中心として配置されるとともに、ベルト206及びウェーブ・ジェネレータ204と当接するベースプレート226を有する。ベースプレート226は、中心軸Aの回りに延設される周辺部228を有する。壁部230が、スプライン202と係合するよう、周辺部228から外側にかつ中心軸Aの回りに延設される。壁部230は、互いから間隔を空けて配置されるとともに、ベルト206と係合するよう壁部230から外側にかつ径方向に中心軸Aに向かって延設される複数の壁歯232を有し、これにより、出力部材208はベルト206及びウェーブ・ジェネレータ204と同じ速度で回転できる。出力部材208がベルト206及びウェーブ・ジェネレータ204と同じ速度で回転できるよう、壁歯232は、スプライン歯218の第一歯形状とは異なる第二歯形状を呈する。本発明の実施形態では、複数の壁歯232のそれぞれの壁歯は、第二歯形状を呈する略三角形形状を有する。出力部材208は、壁部230から径方向内側にかつ中心軸Aの回りに環状に配置されるカラー234を有し、これにより、中心軸Aの回りにカラー234とベースプレート226と壁部230との間で延びる凹部224が形成される。複数の連結部材236は、カラー234から径方向外側に延設されるとともに、カラー234とベースプレート226とを接続するようベースプレート226に連結される。カラー234は、円筒空間部220を通るよう延設され、そして中心軸Aに沿って延びる開口部238を形成する。
複数のベルト歯222のそれぞれのベルト歯222は、ベルト歯222を補強し剛性を与えるよう内部に配置される金属インサート240を有する。金属インサート240は、中心軸Aに沿ってベルト206内を通り、ベルト206から離れて位置するインサート端部242へと延設される。インサート端部242は、壁歯232と噛合状態にあり、これにより、ウェーブ・ジェネレータ204の回転運動を出力部材208に伝える。本発明の実施形態では、ベルト206はウェーブ・ジェネレータ204の周囲に巻き付けられるチェーン244である。チェーン244は、互いに連結された複数のユニット246を有する。複数のユニット246のそれぞれのユニット246は、複数のベルト歯222の1つのベルト歯222を有する。ウェーブ・ジェネレータ204は、電気モータにウェーブ・ジェネレータ204を連結するための複数の穴(オリフィス)248を有することができる。カラー234は、周方向に互いから間隔を空けて配置される複数の係合部材250を有する。複数の係合部材250は、中心軸Aに向かって径方向内側に延設されてシャフトと係合し電気モータの回転運動をシャフトに伝える。スプライン202の外面214は、互いから周方向に間隔を空けて配置され上面210から底面212に延設される複数の溝(チャンネル)252を有する。
動作時において、回転運動またはトルク荷重の入力は、電気モータまたは他の回転運動発生源により、初めにウェーブ・ジェネレータ204を介して波動歯車装置200に伝えられる。本発明の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ204の複数のオリフィス248を電気モータまたは回転運動発生源に連結することができ、これにより、ウェーブ・ジェネレータ204が波動歯車装置200に回転運動を入力できる。ウェーブ・ジェネレータ204がスプライン202内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ204の移動に応じてベルト206が変形し、ウェーブ・ジェネレータ204の周囲で摺動する。ベルト206がウェーブ・ジェネレータ204の周囲で摺動するとき、ベルト歯222はスプライン歯218と噛合状態となる。ベルト歯222の総数がスプライン歯218の総数より少ないので、ウェーブ・ジェネレータ204がスプライン202内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ204の回転速度が低減される。また、ベルト206がウェーブ・ジェネレータ204の周囲で摺動するとき、金属インサート240のインサート端部242は壁歯232と噛合状態となる。壁歯232の総数がベルト歯222の総数と等しいので、出力部材208は、ウェーブ・ジェネレータ204の回転方向と同じ方向か反対方向に回転する。したがって、ベルト歯222がスプライン歯218と壁歯232の両方と係合するので、トルク荷重の入力により剪断力が発生する。本発明の一の実施形態では、ベルト206は、例えばゴムのようなエラストマー材料から形成できる。ベルト206がエラストマー材料から形成される場合、回転運動またはトルク荷重の入力により生じる剪断力に耐えることができ、したがって、波動歯車装置200の騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を低減することができる。
図12に、本発明の他の実施形態の構成にかかるウェーブ・ジェネレータ装置300を示す。波動歯車装置300は、スプライン302と、ウェーブ・ジェネレータ304と、ベルト306と、出力部材308とを備える。スプライン302は、上面310、底面312、外面314及び内面316を有する。上面310と底面312とは、互いから間隔を空けて配置される。外面314及び内面316は、上面310と底面312とを接続するよう中心軸Aの回りに延設される。スプライン302は、内面316から径方向内側に中心軸Aに向かって延設されるとともに、互いから周方向に間隔を空けて配置される複数のスプライン歯318を有する。本発明の実施形態では、複数のスプライン歯318のそれぞれのスプライン歯は、第一歯形状を呈する略台形形状を有することができる。
ウェーブ・ジェネレータ304は、スプライン302と係合するようスプライン302に回転可能に配置される。略リング状のウェーブ・ジェネレータ304は、中心軸Aの回りに延設される。本発明の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ304は楕円形状を有することができる。ウェーブ・ジェネレータ304は、中心軸Aに沿ってウェーブ・ジェネレータ304を貫通して延びる円筒空間部320を形成する。ベルト306は、ウェーブ・ジェネレータ304の回りに延設される。ベルト206は、スプライン歯318と係合するようベルト306から径方向外側に延設される複数のベルト歯322を有する。つまり、ベルト歯322は、スプライン歯318と直径方向に噛合する。ベルト歯322の総数は、スプライン歯318の総数より少ない。本発明の実施形態では、スプライン歯318の総数とベルト歯322の総数との間の差は、2または4である。ベルト歯322の総数がスプライン歯318の総数より少ないので、ロータの回転速度とウェーブ・ジェネレータ304の回転速度との間には減速比が生じる。
出力部材308は、ウェーブ・ジェネレータ304とベルト306とを収容するための凹部324を有する。出力部材308は、ウェーブ・ジェネレータ304及びベルト306と係合し、これにより、ウェーブ・ジェネレータ304からの回転運動に応じて、出力部材308がウェーブ・ジェネレータ304と同じ方向または反対方向に回転する。ウェーブ・ジェネレータ304が出力部材308の凹部324に収容されるので、波動歯車装置300をよりコンパクトにでき、波動歯車装置300の組み立てを容易に行うことができる。出力部材308は、略円形形状を有し、中心軸Aを中心として配置されるとともに、ベルト306及びウェーブ・ジェネレータ304と当接するベースプレート326を有する。ベースプレート326は、中心軸Aの回りに延設される周辺部328を有する。壁部330が、スプライン302と係合するよう、周辺部328から外側にかつ中心軸Aの回りに延設される。壁部330は、互いから間隔を空けて配置されるとともに、ベルト306と係合するよう壁部330から外側にかつ径方向に中心軸Aに向かって延設される複数の壁歯332を有し、これにより、出力部材308はベルト306及びウェーブ・ジェネレータ304と同じ速度で回転できる。出力部材308がベルト306及びウェーブ・ジェネレータ304と同じ速度で回転できるよう、壁歯332は、スプライン歯318の第一歯形状とは異なる第二歯形状を呈する。本発明の実施形態では、複数の壁歯332のそれぞれの壁歯332は、第二歯形状を呈する略三角形形状を有する。出力部材308は、略円形形状を有し中心軸Aを中心として配置され円筒空間部320と連通する開口空間部334を有する。
複数のベルト歯322のそれぞれのベルト歯322は、ベルト歯322を補強し剛性を与えるよう内部に配置される金属インサート340を有する。本発明の実施形態では、ベルト306はウェーブ・ジェネレータ304の周囲に巻き付けられるチェーン344である。チェーン344は、互いに連結された複数のユニット346を有する。複数のユニット346のそれぞれのユニット346は、複数のベルト歯322の1つのベルト歯322を有する。ウェーブ・ジェネレータ304は、電気モータにウェーブ・ジェネレータ304を連結するための複数の穴(オリフィス)348を有することができる。ベースプレート326は、周方向に互いから間隔を空けて配置される複数の係合部材350を有する。複数の係合部材350は、中心軸Aに向かって径方向内側に延設されてシャフトと係合し電気モータの回転運動をシャフトに伝える。ウェーブ・ジェネレータ304は、オリフィス348に隣接して配置されるとともにウェーブ・ジェネレータ304から径方向外側にかつ中心軸Aの回りに環状に延設されるフランジ352を有する。フランジ352は、スプライン302と当接し、スプライン302を出力部材308とウェーブ・ジェネレータ304との間に挟持してスプライン302の軸方向移動を防止する。
動作時において、回転運動またはトルク荷重の入力は、電気モータまたは他の回転運動発生源により、初めにウェーブ・ジェネレータ304を介して波動歯車装置300に入力される。本発明の実施形態では、ウェーブ・ジェネレータ304の複数のオリフィス348を電気モータまたは回転運動発生源に連結することができ、これにより、ウェーブ・ジェネレータ304が波動歯車装置300に回転運動を入力できる。ウェーブ・ジェネレータ304がスプライン302内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ304の移動に応じてベルト306が変形し、ウェーブ・ジェネレータ304の周囲で摺動する。ベルト306がウェーブ・ジェネレータ304の周囲で摺動するとき、ベルト歯322はスプライン歯318と噛合状態となる。ベルト歯322の総数がスプライン歯318の総数より少ないので、ウェーブ・ジェネレータ304がスプライン302内で回転すると、ウェーブ・ジェネレータ304の回転速度が低減される。また、ベルト306がウェーブ・ジェネレータ304の周囲で摺動するとき、ベルト306は壁歯332と噛合状態となる。壁歯332の総数がベルト歯322の総数と等しいので、出力部材308は、ウェーブ・ジェネレータ304の回転方向と同じ方向か反対方向に回転する。したがって、ベルト歯322がスプライン歯318と壁歯332との両方と係合するので、トルク荷重の入力により剪断力が発生する。本発明の一の実施形態では、ベルト306は、例えばゴム等のエラストマー材料から形成できる。ベルト306がエラストマー材料から形成される場合、回転運動またはトルク荷重の入力により生じる剪断力に耐えることができ、したがって、波動歯車装置300の騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を低減することができる。
もちろん、本発明に多くの変形及び変更を上記の教示に基づいて行うことができ、詳細な説明以外にも添付の特許請求の範囲内で実現できる。上記の記載は、発明の新規性が有用となるあらゆる組み合わせにわたることは理解されよう。装置の請求項における語「前記」の使用は、それが前出されていて、請求項に含まれていることを意味する明確な引用である。「前記」を使用していないものでも、請求項の範囲に含まれている場合もある。