詳細な説明
定義
他に規定のない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の試験の実践に使用することができるが、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。本発明を説明および請求する際に、以下の専門用語を使用する。
また、本明細書に使用される専門用語は、特定の態様を説明するためのものにすぎず、限定を意図するものではないことを理解すべきである。
「a」および「an」という冠詞は、本明細書において、その冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つより多い(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
本明細書において使用される場合の「約」は、量、時間的長さなどの測定可能な値に言及するとき、指定された値からの±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、なおより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味するものであるが、そのような変動は、開示された方法を実施する上で妥当なためである。
「活性化」は、本明細書において使用される場合、検出可能な細胞増殖を誘導するように十分に刺激されているT細胞の状態を指す。活性化はまた、誘導されたサイトカイン産生、および検出可能なエフェクター機能とも関連し得る。用語「活性化されたT細胞」は、とりわけ、細胞分裂中であるT細胞を指す。
本明細書において使用される場合、疾患を「緩和する」は、疾患の1つまたは複数の症状の重症度を低減することを意味する。
「同種の」は、同じ種の異なる動物に由来する移植片を指す。
「同種抗原」は、ある種の一部の個体においてのみ存在し、それを欠く個体による同種抗体の産生を誘導することができる、抗原を指す。
用語「抗体」は、本明細書において使用される場合、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然供給源または組換え供給源に由来する無傷の免疫グロブリンであっても、無傷の免疫グロブリンの免疫反応部分であってもよい。抗体は、典型的には、免疫グロブリン分子のテトラマーである。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、ならびに単鎖抗体(scFv)およびヒト化抗体を含む、多種多様な形態で存在し得る(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY; Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。
用語「抗体断片」は、無傷の抗体の一部を指し、無傷の抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体断片の例は、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片、直鎖状抗体、scFv抗体、ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。
「抗体重鎖」は、本明細書において使用される場合、全ての抗体分子中にそれらの天然に存在する立体構造で存在する2種類のポリペプチド鎖の大きいものを指す。
「抗体軽鎖」は、本明細書において使用される場合、全ての抗体分子中にそれらの天然に存在する立体構造で存在する2種類のポリペプチド鎖の小さいものを指す。α軽鎖およびβ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
用語「合成抗体」とは、本明細書において使用される場合、組換えDNA技術を使用して生成される抗体、例えば、本明細書に記載の通りのバクテリオファージによって発現される抗体などを意味する。この用語はまた、抗体をコードするDNA分子であって、抗体タンパク質を発現するDNA分子の合成によってまたはその抗体を指定するアミノ酸配列の合成によって生成された抗体を意味するものと解釈されるべきであり、そのDNAまたはアミノ酸配列は、当技術分野において利用可能でかつ周知である合成DNAまたはアミノ酸配列技術を使用して得られたものである。
用語「抗原」または「Ag」は、本明細書において使用される場合、免疫反応を引き起こす分子として定義される。この免疫反応は、抗体産生もしくは特異的免疫適格細胞の活性化のいずれか、または両方を伴い得る。当業者は、事実上全てのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原としての役割を果たし得ることを理解するであろう。その上、抗原は、組換えDNAまたはゲノムDNAに由来し得る。当業者は、免疫反応を惹起するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含むあらゆるDNAが、それ故、その用語が本明細書中で使用されている場合の「抗原」をコードすることを理解するであろう。その上、当業者は、抗原が遺伝子の完全長ヌクレオチド配列のみによってコードされる必要がないことも理解するであろう。本発明が複数の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を非限定的に含むこと、そして、これらのヌクレオチド配列が所望の免疫反応を惹起する様々な組み合わせで配置されることは容易に分かる。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要が全くないことも理解するであろう。抗原は、合成によって生成させることも、生物学的試料に由来することもできることが容易に分かる。そのような生物学的試料は、組織試料、腫瘍試料、細胞または生物学的流体を含むことができるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、用語「自家」は、後にその個体に再び導入される、同じ個体に由来する任意の材料を指すことを意味する。
「同種の」は、同じ種の異なる動物に由来する任意の物質を指す。
用語「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、本明細書において使用される場合、免疫エフェクター細胞上で発現して、抗原に特異的に結合するように操作されている、人工的なT細胞受容体を指す。CARは、養子細胞移入による治療として使用され得る。患者からT細胞が取り出され、これらが特定の形態の抗原に特異的な受容体を発現するように改変される。いくつかの態様において、CARは、選択された標的、例えば、ヒト白血球抗原(HLA)に対して特異性を有する。CARはまた、細胞内活性化ドメイン、膜貫通ドメイン、および抗原結合領域を含む細胞外ドメインも含み得る。いくつかの局面において、CARは、CD8ヒンジドメインに融合された抗HLA結合ドメインを含む細胞外ドメイン、CD28膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン、ならびにCD3ζドメインを含む。
用語「切断」は、例えば核酸分子の骨格内の共有結合の破損またはペプチド結合の加水分解を指す。切断は、ホスホジエステル結合の酵素的または化学的加水分解を非限定的に含む、多種多様な方法によって開始させることができる。一本鎖切断および二本鎖切断の両方が可能である。二本鎖切断は、2つの別個の一本鎖切断事象の結果として起こり得る。DNA切断は、平滑断端か付着末端のいずれかの産生をもたらし得る。特定の態様において、切断された二本鎖DNAを標的とするために、融合ポリペプチドを使用してよい。
本明細書において使用される場合、用語「保存的配列改変」は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に重大な影響を及ぼさないかまたはそれを変更しない、アミノ酸改変を指すことを意図している。そのような保存的改変は、アミノ酸の置換、付加および欠失を含む。部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発などの当技術分野において公知の標準的な技法によって、本発明の抗体に改変を導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置き換わるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。したがって、抗体のCDR領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリー由来の他のアミノ酸残基と置き換えることができ、そして、変更された抗体について、抗原に結合する能力を本明細書に記載の機能性アッセイを使用して試験することができる。
「共刺激リガンド」は、この用語が本明細書で使用される場合、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上の分子であって、T細胞上の同族共刺激分子に特異的に結合し、それによって、例えばペプチドが負荷されたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合によって提供される一次シグナルに加えて、増殖、活性化、分化などを非限定的に含むT細胞反応を媒介するシグナルを提供する、分子を含む。共刺激リガンドは、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Tollリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体、およびB7-H3と特異的に結合するリガンドを含むことができるが、これらに限定されない。共刺激リガンドはまた、とりわけ、限定されないがCD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3などのT細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体、およびCD83と特異的に結合するリガンドも包含する。
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって、限定されないが増殖などのT細胞による共刺激反応を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、MHCクラスI分子、BTLAおよびTollリガンド受容体を含むが、これらに限定されない。
「共刺激シグナル」は、本明細書において使用される場合、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルとの組み合わせで、T細胞増殖および/または鍵となる分子のアップレギュレーションもしくはダウンレギュレーションを導くシグナルを指す。
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができず、その疾患が改善しなければその動物の健康が悪化し続ける、動物の健康状態のことである。一方で、動物における「障害」は、その動物が恒常性を維持することはできるが、その動物の健康状態が障害の非存在下にある場合よりも不都合である、健康状態のことである。処置されないままであっても、障害は、必ずしもその動物の健康状態のさらなる低下を引き起こすとは限らない。
「ドナー抗原」は、レシピエントに移植されるべき、ドナー組織によって発現される抗原を指す。
「レシピエント抗原」は、ドナー抗原に対する免疫反応のための標的を指す。
用語「ダウンレギュレーション」は、本明細書において使用される場合、1つまたは複数の遺伝子の遺伝子発現の減少または排除を指す。
「有効量」または「治療有効量」は、本明細書において互換的に使用され、特定の生物学的結果を達成するのに有効であるまたは治療的もしくは予防的有益性をもたらす、本明細書に記載の通りの化合物、製剤、材料または組成物の量を指す。そのような結果は、哺乳動物に投与されたときに、本発明の組成物の非存在下で検出される免疫反応と比較して検出可能なレベルの免疫抑制または寛容を引き起こす量を含み得るが、これらに限定されない。免疫反応は、多くの当技術分野において認識されている方法によって容易に評価することができる。当業者は、本明細書において投与される組成物の量が、変動すること、そして、治療される疾患または病状、治療される哺乳動物の年齢ならびに健康および身体の状態、疾患の重症度、投与されている特定の化合物などの多数の要因に基づいてこれを容易に決定できることを理解するであろう。
「コードする」は、規定のヌクレオチド配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または規定のアミノ酸配列のいずれかおよびそれから生じる生物学的特性を有する、生物学的プロセスにおいて他のポリマーおよび高分子の合成の鋳型としての役割を果たす、遺伝子、cDNAまたはmRNAなどのポリヌクレオチド中の特定のヌクレオチド配列の固有の特性を指す。したがって、ある遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物学的システムにおいてあるタンパク質を産生する場合、該遺伝子は該タンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、かつ、配列表で通常提供されるコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖の両方を、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の生成物をコードしていると呼ぶことができる。
本明細書において使用される場合、「内因性」は、生物、細胞、組織、または系に由来するかまたはその内部で産生される、任意の物質を指す。
用語「エピトープ」は、本明細書において使用される場合、B細胞反応および/またはT細胞反応を含む免疫反応を惹起することができる、抗原上の化学低分子として定義される。抗原は、1つまたは複数のエピトープを有することができる。ほとんどの抗原は、多くのエピトープを有する;すなわち、これらは多価である。一般に、エピトープは、おおよそ約10アミノ酸および/または糖のサイズである。好ましくは、エピトープは、約4〜18アミノ酸、より好ましくは約5〜16アミノ酸、さらにより最も好ましくは6〜14アミノ酸、より好ましくは約7〜12、そして、最も好ましくは約8〜10アミノ酸である。一般には、分子の特定の直鎖状配列よりも全体の三次元構造が抗原の特異性の主な基準であること、それ故、これによってあるエピトープが別のエピトープと区別されることを、当業者は理解する。本開示に基づいて、本発明において使用されるペプチドは、エピトープであることができる。
本明細書において使用される場合、用語「外因性」は、生物、細胞、組織、または系の外部から導入されるかまたは外部で産生される、任意の物質を指す。
用語「拡大増殖する(expand)」は、本明細書において使用される場合、T細胞の数の増加などの場合の、数が増加することを指す。一態様において、エクスビボで拡大増殖するT細胞は、培養物中に元々存在する数に比べて数が増加する。別の態様において、エクスビボで拡大増殖するT細胞は、培養物中の他の細胞タイプに比べて数が増加する。用語「エクスビボ」とは、本明細書において使用される場合、細胞が、生きている生物(例えば、ヒト)から取り出されて当該生物の外で(例えば、培養ディッシュ、試験管、またはバイオリアクターにおいて)増殖することを指す。
用語「発現」は、本明細書において使用される場合、そのプロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳として定義される。
「発現ベクター」は、発現されるべきヌクレオチド配列に機能的に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む、ベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを含む;発現のための他のエレメントは、宿主細胞によってまたはインビトロ発現系において供給されることができる。発現ベクターは、組換えポリヌクレオチドを組み入れたコスミド、プラスミド(例えば、裸のものまたはリポソーム中に含有されたもの)およびウイルス(例えば、センダイウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)などの当技術分野において公知のもの全てを含む。
「HLA-A2」は、HLA-A血清型群内のヒト白血球抗原を指す。HLA-Aは、3種の主要なタイプのMHCクラスI細胞表面受容体の1つである。MHCクラスI分子は、細胞の細胞表面上に見いだされる2つの主なクラスの主要組織適合性複合体(MHC)分子の1つである。MHCクラスI分子の機能は、非自己タンパク質のペプチド断片を細胞の内部から免疫細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)に提示し、その結果、提示された特定の非自己抗原に対する免疫系からの迅速な反応をトリガーすることである。
「HLA-A28」は、HLA-A血清型群内のヒト白血球抗原を指す。
「HLA-A68」は、HLA-A血清型群内のヒト白血球抗原を指す。α「A」鎖は、HLA-A*68アレル群によってコードされ、β鎖は、β-2ミクログロブリン(B2M)遺伝子座によってコードされる。
「相同な」は、本明細書において使用される場合、2つのポリマー分子間、例えば、2つの核酸分子間、例えば、2つのDNA分子間もしくは2つのRNA分子間、または2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列同一性を指す。2つの分子の両方におけるサブユニット位置が同じモノマーサブユニットによって占有されるとき;例えば、2つのDNA分子の各々におけるある位置がアデニンによって占有される場合、これらは、その位置で相同である。2つの配列間の相同性は、一致する位置または相同な位置の数の一次関数である;例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、10サブユニット長のポリマー中の5つの位置)が相同である場合、2つの配列は50%相同である;その位置の90%(例えば、10のうち9つ)が一致または相同である場合、2つの配列は90%相同である。
ヒト以外(例えば、マウス)の抗体の「ヒト化」形態は、ヒト以外の免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2、または抗体の他の抗原結合部分配列)である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性およびキャパシティを有するマウス、ラットまたはウサギなどのヒト以外の種(ドナー抗体)のCDR由来の残基に置き換わっている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応するヒト以外の残基に置き換わっている。その上、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも、移入されたCDRまたはフレームワーク配列中にも見いだされない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体の性能をさらに洗練および最適化するようになされる。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てがヒト以外の免疫グロブリンのものに相当し、かつ、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部も含むであろう。さらなる詳細については、Jones et al., Nature, 321: 522-525, 1986; Reichmann et al., Nature, 332: 323-329, 1988; Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2: 593-596, 1992を参照されたい。
「完全ヒト」は、分子全体がヒト起源のものであるかまたは抗体のヒト形態に同一のアミノ酸配列からなる、免疫グロブリン、例えば、抗体を指す。
「同一性」は、本明細書において使用される場合、2つのポリマー分子間、特定すると、2つのアミノ酸分子間、例えば、2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列同一性を指す。2つのアミノ酸配列が同じ位置で同じ残基を有するとき;例えば、2つのポリペプチド分子の各々におけるある位置がアルギニンによって占有される場合、これらは、その位置で同一である。アライメントにおいて2つのアミノ酸配列が同じ位置で同じ残基を有する同一性または程度は、しばしば、百分率で表される。2つのアミノ酸配列間の同一性は、一致する位置または同一の位置の数の一次関数である;例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、10アミノ酸長のポリマー中の5つの位置)が同一である場合、2つの配列は50%同一である;その位置の90%(例えば、10のうち9つ)が一致または同一である場合、2つのアミノ酸配列は90%同一である。
用語「免疫グロブリン」または「Ig」は、本明細書において使用される場合、抗体として機能するタンパク質の一クラスとして定義される。B細胞によって発現される抗体は、時に、BCR(B細胞受容体)または抗原受容体と呼ばれる。このタンパク質のクラスに含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgDおよびIgEである。IgAは、唾液、涙液、母乳、消化管分泌物、ならびに気道および泌尿生殖路の粘液分泌物などの身体分泌物中に存在する主要な抗体である。IgGは、最も一般的な血中抗体である。IgMは、ほとんどの対象で一次免疫反応において産生される主な免疫グロブリンである。これは、凝集反応、補体固定および他の抗体反応における最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌およびウイルスに対する防御に重要である。IgDは、抗体機能が判明していない免疫グロブリンであるが、抗原受容体としての役割を果たし得る。IgEは、アレルゲンに曝露したときにマスト細胞および好塩基球からのメディエーターの放出を引き起こすことによって即時型過敏症を媒介する免疫グロブリンである。
用語「免疫反応」は、本明細書において使用される場合、リンパ球が抗原分子を異物と特定し、抗体の形成を誘導および/またはリンパ球を活性化してその抗原を除去するときに起こる、抗原に対する細胞反応として定義される。
用語「免疫刺激性」は、本明細書において、免疫反応全体を増加させることを指す。
用語「免疫抑制性」は、本明細書において、免疫反応全体を低減させることを指す。
本明細書において使用される場合、「説明資料」は、本発明の組成物および方法の有用性を伝えるために使用できる、刊行物、記録、略図または他の任意の表現媒体を含む。本発明のキットの説明資料は、例えば、本発明の核酸、ペプチドおよび/または組成物を含有する容器に添付しても、核酸、ペプチドおよび/または組成物を含有する容器と一緒に出荷してもよい。あるいは、説明資料および化合物がレシピエントによって一体で使用されることを意図して、説明資料を容器と別に出荷してもよい。
「単離された」は、天然の状態から変更されたかまたは取り出されたことを意味する。例えば、生きている動物中に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、その天然の状態の共存する材料から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「単離されて」いる。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することもでき、例えば宿主細胞などの非天然環境に存在することもできる。
用語「ノックダウン」は、本明細書において使用される場合、1つまたは複数の遺伝子の遺伝子発現の減少を指す。
用語「ノックアウト」は、本明細書において使用される場合、1つまたは複数の遺伝子の遺伝子発現の除去を指す。
「レンチウイルス」は、本明細書において使用される場合、レトロウイルス科(Retroviridae)ファミリーの1つの属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染することができるという点で、レトロウイルスの中でも独特である;これらは、相当量の遺伝情報を宿主細胞のDNA中に送達することができるため、これらは、遺伝子送達ベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIVおよびFIVは全て、レンチウイルスの例である。レンチウイルスに由来するベクターは、インビボで顕著なレベルの遺伝子移入を達成する手段を提供する。
用語「限定された毒性」は、本明細書において使用される場合、インビトロまたはインビボのいずれかにおいて、健康な細胞、非腫瘍細胞、非疾患細胞、非標的細胞またはそのような細胞の集団に対して実質的に負の生物学的効果、抗腫瘍効果、または実質的に負の生理学的症状の欠如を現す、本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および/または抗体を指す。
用語「改変された」とは、本明細書において使用される場合、本発明の分子または細胞の変化した状態または構造を意味する。分子は、化学的、構造的および機能的を含めた多くの方法で改変され得る。細胞は、核酸の導入を通じて改変され得る。
用語「モジュレートする」とは、本明細書において使用される場合、処置もしくは化合物の非存在下での対象における応答のレベルと比較したおよび/または他の点では同一であるが未処置の対象における応答のレベルと比較した、対象における応答のレベルにおいて検出可能な増加または減少を媒介することを意味する。この用語は、天然のシグナルまたは応答を撹乱しかつ/またはそれに影響を及ぼすことによって、対象、好ましくはヒトにおいて有益な治療応答を媒介することを包含する。
本発明の文脈において、よく見られる核酸塩基について以下の略称が使用される。「A」は、アデノシンを指し、「C」は、シトシンを指し、「G」は、グアノシンを指し、「T」は、チミジンを指し、そして、「U」は、ウリジンを指す。
他に指定のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、かつ、同じアミノ酸配列をコードする、全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列が一部のバージョンでイントロンを含有し得るという限りにおいて、イントロンも含み得る。
免疫原性組成物の「非経口」投与は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)または胸骨内の注射または輸注技法を含む。
用語「ポリヌクレオチド」は、本明細書において使用される場合、ヌクレオチドの鎖として定義される。その上、核酸は、ヌクレオチドのポリマーである。したがって、核酸およびポリヌクレオチドは、本明細書において使用される場合、互換的である。当業者は、核酸がポリヌクレオチドであり、これをモノマー「ヌクレオチド」に加水分解することができるという一般的な知識を有する。モノマーヌクレオチドは、ヌクレオシドに加水分解することができる。本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチドは、組換え手段、すなわち、通常のクローニング技術およびPCR(商標)などを使用した組換えライブラリーまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングならびに合成手段を非限定的に含む、当技術分野において利用可能な任意の手段によって得られる全ての核酸配列を含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、互換的に使用され、ペプチド結合によって共有連結されたアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならないが、タンパク質またはペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに接続された2つまたは複数のアミノ酸を含む、任意のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書において使用される場合、この用語は、通常当技術分野において例えばペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも呼ばれる短い鎖と、一般に当技術分野においてタンパク質(多くのタイプがある)と呼ばれるより長い鎖の両方を指す。「ポリペプチド」は、中でも、例えば、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、改変されたポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質を含む。ポリペプチドは、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。
用語「自己抗原」は、本明細書において使用される場合、宿主細胞または組織によって発現される抗原として定義される。自己抗原は、腫瘍抗原であり得るが、特定の態様において、正常細胞および腫瘍細胞の両方において発現される。当業者は、自己抗原が細胞において過剰発現され得ることを容易に理解するであろう。
用語「特異的に結合する」とは、本明細書において抗体に関して使用される場合、試料中の特異的な抗原を認識するが他の分子を実質的に認識することもそれに結合することもない抗体を意味する。例えば、1つの種に由来する抗原に特異的に結合する抗体は、1つまたは複数の種に由来する抗原にも結合し得る。しかし、そのような異種間反応性はそれ自体、抗体の分類を特異的として変更することはない。別の例では、抗原に特異的に結合する抗体は、その抗原の異なるアレル形態にも結合し得る。しかしながら、そのような交差反応性はそれ自体、抗体の分類を特異的として変更することはない。いくつかの場合には、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」を、抗体、タンパク質またはペプチドと第二の化学種との相互作用に関して、その相互作用が、化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存していることを意味するために使用することができる;例えば、抗体は、タンパク質全体ではなく特定のタンパク質構造を認識してそれに結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的であるならば、エピトープAを含有する分子(または遊離した非標識A)の存在は、標識「A」およびその抗体を含有する反応において、その抗体に結合した標識Aの量を低減させるであろう。
用語「刺激」とは、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)がその同族リガンドと結合し、それによって、限定されないがTCR/CD3複合体を介したシグナル伝達などのシグナル伝達事象を媒介することによって誘導される、一次反応を意味する。刺激は、TGF-βのダウンレギュレーションおよび/または細胞骨格構造の再構築などの、特定の分子の変更された発現を媒介することができる。
「刺激分子」は、この用語が本明細書で使用される場合、抗原提示細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合する、T細胞上の分子を意味する。
「刺激リガンド」は、本明細書において使用される場合、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上に存在するときにT細胞上の同族結合パートナー(本明細書において「刺激分子」と呼ばれる)と特異的に結合し、それによって、活性化、免疫反応の開始、増殖などを非限定的に含むT細胞による一次反応を媒介することができる、リガンドを意味する。刺激リガンドは、当技術分野において周知であり、とりわけ、ペプチドが負荷されたMHCクラスI分子、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗CD28抗体、およびスーパーアゴニスト抗CD2抗体を包含する。
用語「対象」は、免疫反応が惹起され得る生きている生物(例えば、哺乳動物)を含むことを意図している。「対象」または「患者」は、本明細書において使用される場合、ヒトであっても、ヒト以外の哺乳動物であってもよい。ヒト以外の哺乳動物は、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、およびマウスの哺乳動物などの家畜およびペットを含む。好ましくは、対象は、ヒトである。
本明細書において使用される場合、「実質的に精製された」細胞は、他の細胞タイプを本質的に含まない細胞のことである。実質的に精製された細胞はまた、その天然に存在する状態において通常付随する他の細胞タイプから分離された細胞も指す。いくつかの場合、実質的に精製された細胞の集団は、均一な細胞集団を指す。他の場合には、この用語は、単に、それらの天然の状態において本来付随する細胞から分離された細胞を指す。いくつかの態様において、細胞はインビトロで培養される。他の態様において、細胞はインビトロでは培養されない。
「標的部位」または「標的配列」は、結合が起こるのに十分な条件下で結合分子が特異的に結合し得る核酸の一部を規定する、ゲノム核酸配列を指す。
本明細書において使用される場合、用語「T細胞受容体」または「TCR」は、抗原の提示に反応してT細胞の活性化に関与する、膜タンパク質の複合体を指す。TCRは、主要組織適合性複合体分子に結合した抗原を認識する役割を担っている。TCRは、アルファ(a)およびベータ(β)鎖のヘテロ二量体から構成されるが、一部の細胞では、TCRは、ガンマおよびデルタ(γ/δ)鎖からなる。TCRは、α/β形態およびγ/δ形態で存在し得、これらは、構造的に類似しているが別個の解剖学的場所および機能を有する。各鎖は、2つの細胞外ドメイン、可変ドメインおよび定常ドメインから構成される。いくつかの態様において、TCRは、例えば、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、およびγδT細胞を含む、TCRを含む任意の細胞上で改変され得る。
用語「治療的」は、本明細書において使用される場合、治療および/または予防を意味する。治療効果は、疾患状態の抑制、寛解、または根絶によって得られる。
「移植体」は、移植されるべき生体適合性格子またはドナー組織、臓器、もしくは細胞を指す。移植体の一例は、皮膚細胞または組織、骨髄、ならびに、心臓、膵臓、腎臓、肺、および肝臓などの固形臓器を含み得るが、これらに限定されない。移植体はまた、宿主に投与されるべき任意の材料を指すこともできる。例えば、移植体は、核酸またはタンパク質を指すことができる。
用語「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」は、本明細書において使用される場合、外因性核酸が宿主細胞内に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクトされた、外因性核酸で形質転換されたまたは外因性核酸で形質導入された細胞である。細胞は、初代対象細胞およびその子孫を含む。
ある疾患を「治療する」とは、この用語が本明細書で使用される場合、対象にて発症している疾患または障害の少なくとも1つの徴候または症状の頻度または重症度を低減することを意味する。
「ベクター」は、単離された核酸を含み、単離された核酸を細胞の内部へ送達するために使用することができる、組成物である。直鎖状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物と会合したポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを非限定的に含む数多くのベクターが当技術分野において公知である。したがって、用語「ベクター」は、自己複製プラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、例えば、ポリリシン化合物、リポソームなどの、細胞への核酸の移入を容易にする非プラスミドおよび非ウイルス化合物を含むものと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例は、センダイウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどを含むが、これらに限定されない。
「異種の」は、異なる種の動物に由来する任意の物質を指す。
範囲:本開示の全体を通して、本発明の様々な局面を、範囲形式で提示することができる。範囲形式による記載は、単に便宜および簡略化のためのものにすぎず、本発明の範囲への柔軟性のない限定と解釈されるべきではないことが理解される必要がある。したがって、ある範囲の記載は、全ての可能な部分範囲も、その範囲内の個々の数値も具体的に開示されていると見なされるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲も、その範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3および6も具体的に開示されていると見なされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
説明
本発明は、HLA-A2特異的CARを利用して移植された組織を拒絶反応から保護するための組成物および方法を含む。HLA-A2特異的CARは、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68に結合する抗原結合ドメインを含む。ヒト制御性T細胞(Treg)上に発現されたとき、HLA-A2特異的CARは、抗原特異的抑制を媒介する。HLA-A2特異的CARは、制御性T細胞を、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68を発現する組織に再指向させ、寛容を媒介することができる。
本発明は、HLA-A2特異的CAR、および同種反応の抑制における当該CARの使用を含む。同種反応は、例えば臓器移植の間に、同種移植片において遍在的に発現されるドナーのMHCクラスI分子によって引き起こされる。本発明は、HLA-A2特異的CARを含む制御性T細胞が、同種反応を抗原特異的に抑制することができるという知見に基づくものである。
キメラ抗原受容体(CAR)
本発明は、HLA-A2に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞、例えば、改変された制御性T細胞のための組成物および方法を提供する。本発明の対象のCARは、抗原結合ドメイン(例えば、HLA-A2結合ドメイン)、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。本発明の対象のCARは、場合により、ヒンジドメインおよび/またはシグナルペプチドを含み得る。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、CD8シグナルペプチドである。したがって、本発明の対象のCARは、抗原結合ドメイン(例えば、HLA-A2結合ドメイン)、ヒンジドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、本発明の対象のCARは、シグナルペプチド、抗原結合ドメイン(例えば、HLA-A2結合ドメイン)、ヒンジドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、対象のCARのドメインの各々は、リンカーによって分離される。
抗原結合ドメインは、細胞において発現させるため、CARの別のドメインに、例えば、共に本明細書の他の箇所に記載される膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインに機能的に連結され得る。一態様において、抗原結合ドメインをコードする第一の核酸配列は、膜貫通ドメインをコードする第二の核酸に機能的に連結され、さらに、細胞内ドメインをコードする第三の核酸配列に機能的に連結される。
本明細書に記載の抗原結合ドメインを、本明細書に記載の膜貫通ドメインのいずれか、本明細書に記載の細胞内ドメインもしくは細胞質ドメインのいずれか、または本発明のCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
一局面において、本発明は、CD8シグナルペプチド、HLA-A2 VHドメイン、スペーサー配列、HLA-A2 VLドメイン、CD8ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメインおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む、単離されたHLA-A2特異的キメラ抗原受容体(CAR)を含む。別の局面において、本発明は、HLA-A2特異的CARをコードする単離された核酸であって、CARが、CD8シグナルペプチド、HLA-A2 VHドメイン、スペーサー配列、HLA-A2 VLドメイン、CD8ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメインおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む、単離された核酸を含む。本発明の別の局面は、CD8シグナルペプチド、HLA-A2 VHドメイン、スペーサー配列、HLA-A2 VLドメイン、CD8ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメインおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む、単離されたポリペプチドを含む。
本発明の別の局面は、HLA-A2特異的CARをコードする単離された核酸を含む遺伝子改変されたT細胞であって、CARが、CD8シグナルペプチド、HLA-A2 VHドメイン、スペーサー配列、HLA-A2 VLドメイン、CD8ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメインおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む、遺伝子改変されたT細胞を含む。いくつかの態様において、本発明の遺伝子改変された免疫細胞(例えば、T細胞)は、HLA-A2 CARを含み、CARは、CD8シグナルペプチド、HLA-A2 VHドメイン、スペーサー配列、HLA-A2 VLドメイン、CD8ヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメインおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、本発明の遺伝子改変された免疫細胞(例えば、T細胞)またはその前駆細胞は、HLA-A2に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む。CARは、HLA-A2結合ドメイン、CD8ヒンジドメイン、CD8シグナルペプチド、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメイン、およびCD3ζ細胞内ドメインを含む。
本発明の特定の態様において、CARは、SEQ ID NO:24の核酸配列によってコードされる。他の態様において、CARは、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含む。
特定の態様において、遺伝子改変されたT細胞は、T制御性(Treg)細胞である。
個々のドメインの配列は、表1に見いだされる。
したがって、対象のCARは、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含むHLA-A2結合ドメインを含む、HLA-A2に対して親和性を有するCARであり得る。対象のHLA-A2 CARは、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含むヒンジドメインをさらに含み得る。対象のHLA-A2 CARは、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインをさらに含み得る。対象のHLA-A2 CARは、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む細胞内ドメインをさらに含み得る。対象のHLA-A2 CARは、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含み得る。
特定の態様において、本発明の主題のHLA-A2 CARは、これらのMHCクラスI分子によるペプチド提示と無関係に、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68に対する親和性を含む。例えば、特定の態様において、本発明の主題のHLA-A2 CARの特異性は、HLA-A2分子によるいかなるペプチドの提示にも影響されない。
抗原結合ドメイン
CARの抗原結合ドメインは、タンパク質、炭水化物および糖脂質を含む特異的な標的抗原に結合するためのCARの細胞外領域である。いくつかの態様において、CARは、標的細胞上の標的抗原への親和性を含む。標的抗原は、標的細胞と関連する任意のタイプのタンパク質またはそのエピトープを含み得る。例えば、CARは、標的細胞の特定の状態を示す、標的細胞上の標的抗原への親和性を含み得る。
一態様において、本発明のCARは、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68に結合する抗原結合ドメインを含む。別の態様において、本発明の抗原結合ドメインは、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68分子に結合する抗体またはその断片を含む。好ましくは、抗原結合ドメインは、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68分子に結合するscFv抗体である。抗原結合ドメインの選択は、標的細胞の表面に存在する抗原のタイプおよび数に依存する。例えば、標的細胞の特定の状態と関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用する抗原を認識する、抗原結合ドメインが選択され得る。
本明細書に記載の通り、標的細胞上の特異的な標的抗原に対して親和性を有する本開示のCARは、標的特異的結合ドメインを含み得る。いくつかの態様において、標的特異的結合ドメインは、マウスの標的特異的結合ドメインであり、例えば、標的特異的結合ドメインは、マウス起源である。いくつかの態様において、標的特異的結合ドメインは、ヒト標的特異的結合ドメインであり、例えば、標的特異的結合ドメインは、ヒト起源である。例示的な態様において、標的細胞上のHLA-A2に対して親和性を有する本開示のCARは、HLA-A2結合ドメインを含み得る。いくつかの態様において、HLA-A2結合ドメインは、マウスのHLA-A2結合ドメインであり、例えば、HLA-A2結合ドメインは、マウス起源である。いくつかの態様において、HLA-A2結合ドメインは、ヒト化HLA-A2結合ドメインである。いくつかの態様において、HLA-A2結合ドメインは、ヒトHLA-A2結合ドメインであり、例えば、HLA-A2結合ドメインは、ヒト起源である。
いくつかの態様において、本開示のCARは、1つまたは複数の標的細胞上の1つまたは複数の標的抗原に対して親和性を有し得る。いくつかの態様において、CARは、標的細胞上の1つまたは複数の標的抗原に対して親和性を有し得る。そのような態様において、CARは、二重特異性CAR、または多重特異性CARである。いくつかの態様において、CARは、1つまたは複数の標的抗原に対する親和性を付与する1つまたは複数の標的特異的結合ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、同じ標的抗原に対する親和性を付与する1つまたは複数の標的特異的結合ドメインを含む。例えば、同じ標的抗原に対して親和性を有する1つまたは複数の標的特異的結合ドメインを含むCARは、標的抗原の別個のエピトープに結合することもできる。複数の標的特異的結合ドメインがCAR中に存在するとき、結合ドメインは、縦に配置され得、かつ、リンカーペプチドによって分離され得る。例えば、2つの標的特異的結合ドメインを含むCARにおいて、結合ドメインは、オリゴまたはポリペプチドリンカー、Fcヒンジ領域または膜ヒンジ領域を通って、単一のポリペプチド鎖上で共有結合によって互いに接続される。
抗原結合ドメインは、抗原に結合する任意のドメインを含むことができ、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ヒト以外の抗体、およびその任意の断片を非限定的に含み得る。したがって、一態様において、抗原結合ドメイン部分は、哺乳動物抗体またはその断片を含む。別の態様において、CARの抗原結合ドメインは、抗HLA-A2抗体またはその断片からなる群より選択される。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、抗体、抗原結合断片(Fab)および単鎖可変断片(scFv)からなる群より選択される。いくつかの態様において、本発明のHLA-A2結合ドメインは、HLA-A2特異的抗体、HLA-A2特異的FabおよびHLA-A2特異的scFvからなる群より選択される。一態様において、HLA-A2結合ドメインは、HLA-A2特異的抗体である。一態様において、HLA-A2結合ドメインは、HLA-A2特異的Fabである。一態様において、HLA-A2結合ドメインは、HLA-A2特異的scFvである。
本明細書において使用される場合、用語「単鎖可変断片」または「scFv」は、VH::VLヘテロ二量体を形成するように共有連結された、免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。重鎖(VH)および軽鎖(VL)は、直接接続されるか、VHのN末端とVLのC末端、またはVHのC末端とVLのN末端を接続するペプチドをコードするリンカーによって接続されるかのいずれかである。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン(例えば、HLA-A2結合ドメイン)は、N末端からC末端へ、VH-リンカー-VLの構成を有するscFvを含む。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン(例えば、HLA-A2結合ドメイン)は、N末端からC末端へ、VL-リンカー-VHの構成を有するscFvを含む。当業者は、本発明において使用するために適切な構成を選択することができるであろう。
リンカーは、通常、柔軟性に関してグリシンリッチであり、かつ、溶解性に関してセリンまたはトレオニンリッチである。リンカーは、細胞外抗原-結合ドメインの重鎖可変領域と軽鎖可変領域を連結することができる。リンカーの非限定例は、Shen et al., Anal. Chem. 80(6):1910-1917 (2008)およびWO 2014/087010に開示されており、これらの内容は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
(式中、nは、少なくとも1の整数を表す)などのグリシンセリン(GS)リンカーを非限定的に含む、様々なリンカー配列が当技術分野において公知である。例示的なリンカー配列は、
などを非限定的に含むアミノ酸配列を含むことができる。当業者は、本発明において使用するために適切なリンカー配列を選択することができるであろう。一態様において、本発明の抗原結合ドメイン(例えば、HLA-A2結合ドメイン)は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、該VHおよびVLは、アミノ酸配列
を有するリンカー配列によって分離され、それは核酸配列
によってコードされ得る。
定常領域の除去およびリンカーの導入にもかかわらず、scFvタンパク質は、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。Huston, et al. (Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883, 1988)によって記載の通り、VHをコードする配列およびVLをコードする配列を含む核酸から、単鎖Fvポリペプチド抗体を発現させることができる。また、米国特許第5,091,513号、第5,132,405号および第4,956,778号;ならびに米国特許公報第20050196754号および第20050196754号も参照されたい。阻害活性を有するアンタゴニストscFvが記載されている(例えば、Zhao et al., Hyrbidoma (Larchmt) 2008 27(6):455-51; Peter et al., J Cachexia Sarcopenia Muscle 2012 August 12; Shieh et al., J Imunol 2009 183(4):2277-85; Giomarelli et al., Thromb Haemost 2007 97(6):955-63; Fife eta., J Clin Invst 2006 116(8):2252-61; Brocks et al., Immunotechnology 1997 3(3):173-84; Moosmayer et al., Ther Immunol 1995 2(10:31-40)を参照のこと)。刺激活性を有するアゴニストscFvが記載されている(例えば、Peter et al., J Bioi Chem 2003 25278(38):36740-7; Xie et al., Nat Biotech 1997 15(8):768-71; Ledbetter et al., Crit Rev Immunol 1997 17(5-6):427-55; Ho et al., BioChim Biophys Acta 2003 1638(3):257-66を参照のこと)。
本明細書において使用される場合、「Fab」は、抗原に結合するが、一価であり、Fc部分を有さない、抗体構造の断片を指し、例えば、パパイン酵素によって消化された抗体は、2つのFab断片およびFc断片(例えば、重鎖(H)定常領域;抗原に結合しないFc領域)を生成する。
本明細書において使用される場合、「F(ab')2」は、IgG抗体全体のペプシン消化によって生成される抗体断片を指し、この断片は、2つの抗原結合(ab')(二価)領域を有し、各(ab')領域は、抗原に結合するためのS-S結合によって連結されたH鎖の一部および軽(L)鎖である2つの別々のアミノ酸鎖を含み、そして、残りのH鎖部分は一緒に連結される。「F(ab')2」断片は、2つの個々のFab'断片に分割することができる。
いくつかの場合に、抗原結合ドメインは、CARが最終的に使用される同じ種に由来し得る。例えば、ヒトにおいて使用するために、CARの抗原結合ドメインは、本明細書の他の箇所に記載の通りのヒト抗体またはその断片を含み得る。
例示的な態様において、本発明のHLA-A2 CARは、HLA-A2結合ドメイン、例えば、HLA-A2特異的scFvを含む。一態様において、HLA-A2結合ドメインは、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含む。
一態様において、HLA-A2結合ドメインは、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。HLA-A2結合ドメインの軽鎖可変領域は、3つの軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む。本明細書において使用される場合、「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原に結合する抗原結合分子の可変鎖の領域を指す。したがって、HLA-A2結合ドメインは、SEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;およびSEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む、軽鎖可変領域を含み得る。
一態様において、HLA-A2結合ドメインは、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。HLA-A2結合ドメインは、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;およびSEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む、重鎖可変領域を含み得る。
HLA-A2への特異的結合を維持しながらのHLA-A2結合ドメインの許容可能なバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様において、HLA-A2結合ドメインは、SEQ ID NO:3、5〜8および10〜12に示されるアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの態様において、HLA-A2結合ドメインは、SEQ ID NO:2、4および9に示される核酸配列のいずれかに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる。
抗原結合ドメインは、CARの別のドメイン、例えば、共に本明細書の他の箇所に記載される膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインに機能的に連結され得る。一態様において、抗原結合ドメインをコードする核酸は、膜貫通ドメインをコードする核酸および細胞内ドメインをコードする核酸に機能的に連結される。
本明細書に記載の抗原結合ドメイン、例えば、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68に結合する抗体またはその断片を、本明細書に記載の膜貫通ドメインのいずれか、本明細書に記載の細胞内ドメインもしくは細胞質ドメインのいずれか、またはCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、CARの抗原結合ドメインを細胞内ドメインに接続する膜貫通ドメインを含むように、本発明のCAR(例えば、HLA-A2 CAR)を設計することができる。対象のCARの膜貫通ドメインは、細胞(例えば、免疫細胞またはその前駆体)の原形質膜を貫通することができる領域である。膜貫通ドメインは、細胞膜、例えば、真核細胞膜への挿入のためのものである。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CARの抗原結合ドメインと細胞内ドメインとの間に介在する。
一態様において、膜貫通ドメインは、CAR中のドメインの1つまたは複数と天然で会合している。いくつかの場合に、膜貫通ドメインを、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限にするために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避するように選択することか、またはそのようにアミノ酸置換によって改変することができる。
膜貫通ドメインは、天然供給源または合成供給源のいずれかに由来し得る。供給源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合または膜貫通タンパク質、例えば、I型膜貫通タンパク質に由来し得る。供給源が合成である場合、膜貫通ドメインは、細胞膜へのCARの挿入を容易にする任意の人工配列、例えば、人工疎水性配列であり得る。本発明における特定の使用の膜貫通領域の例は、非限定的に、T細胞受容体のα、βまたはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8およびTLR9に由来する(すなわち、これらの少なくとも膜貫通領域を含む)膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、合成物であり得るが、この場合、それは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含むであろう。好ましくは、合成膜貫通ドメインの各末端で、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンの3つ組が見いだされる。
本明細書に記載の膜貫通ドメインを、本明細書に記載の抗原結合ドメインのいずれか、本明細書に記載の細胞内ドメインのいずれか、または対象のCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、ヒンジ領域をさらに含む。本発明の対象のCARはまた、ヒンジ領域も含み得る。CARのヒンジ領域は、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置する親水性領域である。いくつかの態様において、このドメインは、CARのための適切なタンパク質フォールディングを容易にする。ヒンジ領域は、CARのためのオプションの成分である。ヒンジ領域は、抗体のFc断片、抗体のヒンジ領域、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工的なヒンジ配列またはそれらの組み合わせから選択されるドメインを含み得る。ヒンジ領域の例は、非限定的に、CD8aヒンジ、3つのグリシン(Gly)ほどの小さなものであり得るポリペプチドから構成される人工的なヒンジ、ならびにIgG(ヒトIgG4など)のCH1およびCH3ドメインを含む。
いくつかの態様において、本開示の対象のCARは、抗原結合ドメインを膜貫通ドメインと接続してこれを次いで細胞内ドメインに接続する、ヒンジ領域を含む。ヒンジ領域は、好ましくは、抗原結合ドメインが標的細胞上の標的抗原を認識してこれに結合するように支援することができる(例えば、Hudecek et al., Cancer Immunol. Res. (2015) 3(2): 125-135を参照のこと)。いくつかの態様において、ヒンジ領域は、フレキシブルなドメインであり、その結果、抗原結合ドメインが、腫瘍細胞などの細胞上の標的抗原の特異的な構造および密度を最適に認識する構造を有することを可能とする(Hudecek et al.、上記)。そのヒンジ領域の柔軟性は、ヒンジ領域が多くの異なる立体構造を採用することを許容する。
いくつかの態様において、ヒンジ領域は、免疫グロブリン重鎖ヒンジ領域である。いくつかの態様において、ヒンジ領域は、受容体に由来するヒンジ領域ポリペプチド(例えば、CD8由来ヒンジ領域)である。
ヒンジ領域は、約4アミノ酸〜約50アミノ酸、例えば、約4aa〜約10aa、約10aa〜約15aa、約15aa〜約20aa、約20aa〜約25aa、約25aa〜約30aa、約30aa〜約40aa、または約40aa〜約50aaの長さを有することができる。
好適なヒンジ領域を、容易に選択することができ、任意の多数の好適な長さ、例えば、1アミノ酸(例えば、Gly)〜20アミノ酸、2アミノ酸〜15アミノ酸、3アミノ酸〜12アミノ酸、例えば、4アミノ酸〜10アミノ酸、5アミノ酸〜9アミノ酸、6アミノ酸〜8アミノ酸、または7アミノ酸〜8アミノ酸を含むものであることができ、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸であることができる。
例えば、ヒンジ領域は、グリシンポリマー(G)
n、グリシン-セリンポリマー(例えば
を含む、式中、nは、少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および当技術分野において公知の他のフレキシブルなリンカーを含む。グリシンおよびグリシン-セリンポリマーを使用することができる;GlyおよびSerの両方は、それほど構造化されておらず、それ故、成分間の中立的テサー(neutral tether)として役立つことができる。グリシンポリマーを使用することができる;グリシンは、同等なアラニンよりも顕著にphi-psi空間に接近し、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限は少ない(例えば、Scheraga, Rev. Computational. Chem. (1992) 2: 73-142を参照のこと)。例示的なヒンジ領域は、
などを非限定的に含むアミノ酸配列を含むことができる。
いくつかの態様において、ヒンジ領域は、免疫グロブリン重鎖ヒンジ領域である。免疫グロブリンヒンジ領域アミノ酸配列は、当技術分野において公知である;例えば、Tan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990) 87(1):162-166; および Huck et al., Nucleic Acids Res. (1986) 14(4): 1779-1789を参照されたい。非限定例として、免疫グロブリンヒンジ領域は、以下のアミノ酸配列の1つを含むことができる:
(例えば、Glaser et al., J. Biol. Chem. (2005) 280:41494-41503を参照のこと);
;など。
ヒンジ領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4ヒンジ領域のアミノ酸配列を含むことができる。一態様において、ヒンジ領域は、野生型(天然に存在する)ヒンジ領域と比較して、1つまたは複数のアミノ酸置換および/または挿入および/または欠失を含むことができる。例えば、ヒトIgG1ヒンジのHis229は、Tyrで置換されることができ、それによって、ヒンジ領域は、配列
を含む;例えば、Yan et al., J. Biol. Chem. (2012) 287: 5891-5897を参照されたい。一態様において、ヒンジ領域は、ヒトCD8に由来するアミノ酸配列、またはそのバリアントを含むことができる。
一態様において、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。別の態様において、膜貫通ドメインは、CD8ヒンジドメインおよびCD28膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、対象のCARは、SEQ ID NO:16に示される核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を有するCD8ヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、対象のCARは、SEQ ID NO:18に示される核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を有するCD28膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8ヒンジ領域およびCD28膜貫通ドメインを含む。
意図する機能を維持しながらの膜貫通ドメインおよび/またはヒンジドメインの許容可能なバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様において、ヒンジドメインおよび/または膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:15および/または17に示されるアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの態様において、ヒンジドメインおよび/または膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:16および/または18に示される核酸配列のいずれかに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる。
膜貫通ドメインは、任意のヒンジドメインと組み合わされても、かつ/または、1つまたは複数の本明細書に記載の膜貫通ドメインを含んでもよい。
本明細書に記載の膜貫通ドメイン、例えば、T細胞受容体のα、βまたはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8およびTLR9の膜貫通領域を、本明細書に記載の抗原結合ドメインのいずれか、本明細書に記載の細胞内ドメインもしくは細胞質ドメインのいずれか、またはCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
一態様において、膜貫通ドメインは、合成物であり得るが、この場合、それは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含むであろう。好ましくは、合成膜貫通ドメインの各末端で、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンの3つ組が見いだされる。
CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間、またはCARの細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間に、スペーサードメインが組み込まれ得る。本明細書において使用される場合、用語「スペーサードメイン」は、一般には、膜貫通ドメインを、細胞外ドメインまたは細胞内ドメインのいずれかにポリペプチド鎖内で連結するよう機能する、任意のオリゴまたはポリペプチドを意味する。スペーサードメインは、最大300アミノ酸、例えば、10〜100アミノ酸、または25〜50アミノ酸を含み得る。いくつかの態様において、スペーサードメインは、短い、例えば2〜10アミノ酸長のオリゴまたはポリペプチドリンカーであり得る。例えば、グリシン-セリンの2つ組は、対象のCARの膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間の特に好適なリンカーを提供する。
細胞内ドメイン
本発明の対象のCARはまた、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。用語「細胞内シグナル伝達ドメイン」および「細胞内ドメイン」は、本明細書において互換的に使用される。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが発現される細胞(例えば、免疫細胞)のエフェクター機能の少なくとも1つの活性化を担っている。細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞(例えば、免疫細胞)がその特殊な機能、例えば、標的細胞の損傷および/または破壊を遂行するように指示する。
CARの細胞内ドメインまたはそうでなければ細胞質ドメインは、本明細書の他の箇所に記載のキメラ細胞内シグナル伝達分子と類似または同じ細胞内ドメインを含み、CARが発現される細胞の活性化を担っている。一態様において、細胞内ドメインは、CD3ζを含む。別の態様において、細胞内ドメインは、CD28およびCD3ζを含む。
本発明において使用するための細胞内ドメインの例は、表面受容体の細胞質部分、共刺激分子、およびT細胞においてシグナル伝達を開始するように協力して作用する任意の分子、ならびにこれらのエレメントの任意の誘導体またはバリアントおよび同じ機能的能力を有する任意の合成配列を含むが、これらに限定されない。
細胞内シグナル伝達ドメインの例は、非限定的に、T細胞受容体複合体のζ鎖またはそのホモログのいずれか、例えば、η鎖、FcsRIγおよびβ鎖、MB 1(Iga)鎖、B29(Ig)鎖など、ヒトCD3ζ鎖、CD3ポリペプチド(Δ、δおよびε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP 70など)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lynなど)、ならびに、CD2、CD5およびCD28などのT細胞形質導入に関与する他の分子を含む。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ζ鎖、FcyRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質テール、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)保有細胞質受容体、およびそれらの組み合わせであり得る。
一態様において、CARの細胞内ドメインは、1つまたは複数の共刺激分子の任意の部分、例えば、CD3、CD8、CD27、CD28、ICOS、4-IBB、PD-1由来の少なくとも1つのシグナル伝達ドメイン、それらの任意の誘導体またはバリアント、同じ機能的能力を有するそれらの任意の合成配列、およびそれらの任意の組み合わせを含む。
細胞内ドメインの他の例は、TCR、CD3ζ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD86、共通FcRγ、FcRβ(FcεRib)、CD79a、CD79b、FcγRlla、DAP10、DAP 12、T細胞受容体(TCR)、CD8、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX9、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、KIRファミリータンパク質、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD127、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD1 Id、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD lib、ITGAX、CD 11c、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、本明細書に記載の他の共刺激分子、それらの任意の誘導体、バリアント、または断片、同じ機能的能力を有する共刺激分子の任意の合成配列、およびそれらの任意の組み合わせを非限定的に含む、1つまたは複数の分子または受容体由来の断片またはドメインを含む。
細胞内ドメインの追加の例は、非限定的に、CD3、B7ファミリー共刺激受容体および腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリー受容体を含む第一、第二および第三世代のT細胞シグナル伝達タンパク質を非限定的に含む、数種類の様々な他の免疫シグナル伝達受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む(例えば、Park and Brentjens, J. Clin. Oncol. (2015) 33(6): 651-653を参照のこと)。追加的に、細胞内シグナル伝達ドメインは、NK細胞およびNKT細胞によって使用されるシグナル伝達ドメイン(例えば、Hermanson and Kaufman, Front. Immunol. (2015) 6: 195を参照のこと)、例えば、NKp30(B7-H6)(例えば、Zhang et al., J. Immunol. (2012) 189(5): 2290-2299を参照のこと)、およびDAP 12(例えば、Topfer et al., J. Immunol. (2015) 194(7): 3201-3212を参照のこと)、NKG2D、NKp44、NKp46、DAP10、およびCD3zのシグナル伝達ドメインを含み得る。
本発明の対象のCARにおいて使用するために好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、CARの活性化(すなわち、抗原および二量体化物質によって活性化される)に反応して別個のかつ検出可能なシグナル(例えば、細胞による1つまたは複数のサイトカインの産生の増加;標的遺伝子の転写の変化;タンパク質の活性の変化;細胞挙動の変化、例えば、細胞死;細胞増殖;細胞分化;細胞生存;細胞シグナル伝達反応のモジュレーション;など)を提供する任意の所望のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、以下に記載の通りの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つなど)のITAMモチーフを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP10/CD28型シグナル伝達鎖を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、膜結合CARに共有結合することなく、代わりに細胞質中に拡散される。
本発明の対象のCARにおいて使用するために好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)含有細胞内シグナル伝達ポリペプチドを含む。いくつかの態様において、ITAMモチーフは、細胞内シグナル伝達ドメイン内で二度反復され、そこで、ITAMモチーフの第一および第二のインスタンスは、6〜8アミノ酸によって互いに分離される。一態様において、対象のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、3つのITAMモチーフを含む。
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、限定されないが、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIC、FcγRIIIA、FcRL5などの、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有するヒト免疫グロブリン受容体のシグナル伝達ドメインを含む(例えば、Gillis et al., Front. Immunol. (2014) 5:254を参照のこと)。
好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMモチーフを含有するポリペプチドに由来する、ITAMモチーフ含有部分であることができる。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、任意のITAMモチーフ含有タンパク質由来のITAMモチーフ含有ドメインであることができる。したがって、好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来するタンパク質全体の配列全体を含有する必要はない。好適なITAMモチーフ含有ポリペプチドの例は、DAP12、FCER1G(Fcε受容体Iγ鎖)、CD3D(CD3δ)、CD3E(CD3ε)、CD3G(CD3γ)、CD3Z(CD3ζ)、およびCD79A(抗原受容体複合体関連タンパク質α鎖)を含むが、これらに限定されない。
一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP12(TYROBP;TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質;KARAP;PLOSL;DNAX-活性化タンパク質12;KAR関連タンパク質;TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質;キラー活性化受容体関連タンパク質;キラー活性化受容体関連タンパク質;などとしても知られている)に由来する。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、FCER1G(FCRG;Fcε受容体Iγ鎖;Fc受容体γ鎖;fc-εRI-γ;fcRγ;fceRlγ;高親和性免疫グロブリンε受容体サブユニットγ;免疫グロブリンE受容体、高親和性γ鎖;などとしても知られている)に由来する。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3δ鎖(CD3D;CD3-DELTA;T3D;CD3抗原、δサブユニット;CD3δ;CD3d抗原、δポリペプチド(TiT3複合体);OKT3、δ鎖;T細胞受容体T3δ鎖;T細胞表面糖タンパク質CD3δ鎖;などとしても知られている)に由来する。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ε鎖(CD3e、T細胞表面抗原T3/Leu-4ε鎖、T細胞表面糖タンパク質CD3ε鎖、AI504783、CD3、CD3ε、T3eなどとしても知られている)に由来する。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3γ鎖(CD3G、T細胞受容体T3γ鎖、CD3-GAMMA、T3G、γポリペプチド(TiT3複合体)などとしても知られている)に由来する。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ζ鎖(CD3Z、T細胞受容体T3ζ鎖、CD247、CD3-ZETA、CD3H、CD3Q、T3Z、TCRZなどとしても知られている)に由来する。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD79A(B細胞抗原受容体複合体関連タンパク質α鎖;CD79a抗原(免疫グロブリン関連α);MB-1膜糖タンパク質;ig-α;膜結合免疫グロブリン関連タンパク質;表面IgM関連タンパク質;などとしても知られている)に由来する。一態様において、本開示のFN3 CARにおいて使用するために好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP10/CD28型シグナル伝達鎖を含む。一態様において、本開示のFN3 CARにおいて使用するために好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、ZAP70ポリペプチドを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79bまたはCD66dの細胞質シグナル伝達ドメインを含む。一態様において、CAR中の細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインを含む。
通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いることができるが、多くの場合、必ずしも鎖全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの短縮部分が使用される範囲内で、そのような短縮部分は、エフェクター機能シグナルを伝達する限り、無傷の鎖の代わりに使用され得る。細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の短縮部分を含む。
本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインを、本明細書に記載の抗原結合ドメインのいずれか、本明細書に記載の膜貫通ドメインのいずれか、またはCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
一態様において、対象のCARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:20に示される核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含むCD28細胞内ドメインを含む。一態様において、対象のCARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO:22に示される核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:21に示されるアミノ酸配列を含むCD3ζドメインを含む。例示的な一態様において、対象のCARの細胞内ドメインは、CD28ドメインおよびCD3ζドメインを含む。
特異的活性を維持しながらの細胞内ドメインの許容可能なバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様において、細胞内ドメインは、SEQ ID NO:19および/または21に示されるアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの態様において、細胞内ドメインは、SEQ ID NO:20および/または22に示される核酸配列のいずれかに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる。
別の態様において、スペーサードメインは、CARの抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間、またはCARの細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間に組み込まれ得る。本明細書において使用される場合、用語「スペーサードメイン」は、一般には、膜貫通ドメインを、抗原結合ドメインまたは細胞内ドメインのいずれかにポリペプチド鎖内で連結するよう機能する、任意のオリゴまたはポリペプチドを意味する。一態様において、スペーサードメインは、最大300アミノ酸、好ましくは10〜100アミノ酸、最も好ましくは25〜50アミノ酸を含み得る。別の態様において、短い、好ましくは2〜10アミノ酸長のオリゴまたはポリペプチドリンカーは、CARの膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間で連結を形成し得る。リンカーの一例は、グリシン-セリンの2つ組を含む。
CAR配列
本発明の対象のCARは、HLA-A2に対して親和性を有するCARであり得る。一態様において、本発明のHLA-A2 CARは、SEQ ID NO:24に示される核酸配列によってコードされ得る、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含む。
特異的活性を維持しながらのCARの許容可能なバリエーションは、当業者に公知であろう。例えば、いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:24に示される核酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる。
したがって、本発明の対象のCARは、HLA-A2結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。一態様において、CARは、HLA-A2結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、該膜貫通ドメインは、CD8ヒンジ領域を含む。一態様において、CARは、HLA-A2結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、該膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。一態様において、CARは、HLA-A2結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、該膜貫通ドメインは、CD8ヒンジ領域およびCD28膜貫通ドメインを含む。
したがって、本発明の対象のCARは、HLA-A2結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。一態様において、CARは、HLA-A2結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、該細胞内ドメインは、CD28ドメインを含む。一態様において、CARは、HLA-A2結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、該細胞内ドメインは、CD3ζドメインを含む。一態様において、CARは、HLA-A2結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、該細胞内ドメインは、CD28ドメインおよびCD3ζドメインを含む。
したがって、本発明の対象のCARは、HLA-A2結合ドメイン、CD8ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内ドメインおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む。
したがって、本発明は、本明細書に記載の通りのHLA-A2に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変された免疫細胞またはその前駆細胞、例えば、改変された制御性T細胞を提供する。
ヒト抗体
CARの抗原結合ドメインがヒト抗体またはその断片を含むことが好ましい場合がある。完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療的処置に特に望ましい。ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用したファージディスプレイ法(これらの技法に対する改善を含む)を含めた当技術分野において公知の多種多様な方法によって、ヒト抗体を製造することができる。また、米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;ならびにPCT公報WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735およびWO 91/10741を参照されたい;その各々は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
また、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することができないがヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して、ヒト抗体を生産することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、ランダムにまたは相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入してよい。あるいは、ヒト可変領域、定常領域および多様性領域を、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚性幹細胞に導入してよい。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別々にまたは同時に、非機能的にしてよい。例えば、キメラおよび生殖系列変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合欠失が、内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。改変された胚性幹細胞を拡大増殖させ、胚盤胞にマイクロインジェクションして、キメラマウスを生産する。次いで、キメラマウスを繁殖させて、ヒト抗体を発現するホモ接合子孫を生産する。トランスジェニックマウスを、通常のやり方で、選択された抗原、例えば、本発明のポリペプチドの全てまたは一部で免疫化する。免疫化されたトランスジェニックマウスから、選択された標的に対する抗体を、従来のハイブリドーマ技術を使用して得ることができる。トランスジェニックマウスが保有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成され、その後、クラススイッチングおよび体細胞変異を受ける。したがって、そのような技法を使用して、IgG1(γ1)およびIgG3を非限定的に含む治療上有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を生産することが可能である。ヒト抗体を生産するためのこの技術の概説については、Lonberg and Huszar(Int. Rev. Immunol., 13:65-93 (1995))を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生産するためのこの技術の詳細な考察ならびにそのような抗体を生産するためのプロトコルについては、例えば、PCT公報第WO 98/24893号、第WO 96/34096号および第WO 96/33735号;ならびに米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;および第5,939,598号を参照のこと。その各々は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。加えて、Abgenix, Inc.(Freemont, Calif.)およびGenpharm(San Jose, Calif.)などの会社が、上記のものと類似の技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに従事している場合もある。抗原チャレンジによってヒト抗体の生産をもたらすであろう、生殖系列変異体マウスへのヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入に関する具体的な考察については、例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immunol., 7:33 (1993); および Duchosal et al., Nature, 355:258 (1992)を参照されたい。
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーに由来することもできる(Hoogenboom et al., J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991); Vaughan et al., Nature Biotech., 14:309 (1996))。ファージディスプレイ技術(McCafferty et al., Nature, 348:552-553 (1990))を使用して、未免疫のドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、ヒト抗体および抗体断片をインビトロで生産することができる。この技法に従って、抗体Vドメイン遺伝子を、Ml 3またはfdなどの糸状バクテリオファージの主要または少数コートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面上の機能的抗体断片としてディスプレイさせる。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づいた選択も、それらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。したがって、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイを多種多様な形式で実施することができる;それらの総説については、例えば、Johnson, Kevin S, and Chiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571 (1993)を参照されたい。いくつかのV遺伝子セグメントの供給源をファージディスプレイに使用することができる。Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)は、未免疫のマウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さなランダムコンビナトリアルライブラリーから、多種多様な抗オキサゾロン抗体を単離した。未免疫のヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築することができ、そして、Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)、またはGriffith et al., EMBO J., 12:725-734 (1993)に記載されている技法に基本的に従って、多種多様な抗原(自己抗原を含む)に対する抗体を単離することができる。また、米国特許第5,565,332号および第5,573,905号を参照されたい。その各々は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
ヒト抗体はまた、インビトロで活性化されたB細胞によって生成させてもよい(米国特許第5,567,610号および第5,229,275号を参照されたい。その各々は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)。また、限定されないがRoder et al.(Methods Enzymol., 121:140-167 (1986))に記載されているようなハイブリドーマ技法を使用して、ヒト抗体をインビトロで生成させてもよい。
ヒト化抗体
あるいは、いくつかの態様において、非ヒト抗体を、ヒト化することができ、その場合、ヒトにおいて天然に産生される抗体との類似点を増加させるように抗体の特定の配列または領域が改変される。例として、本発明において、抗体またはその断片は、ヒト以外の哺乳動物のscFvを含み得る。一態様において、抗原結合ドメイン部分がヒト化される。
ヒト化抗体は、CDRグラフティング(例えば、欧州特許第EP 239,400号;国際公開公報第WO 91/09967;ならびに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号および第5,585,089号を参照のこと。その各々は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)、ベニアリングまたはリサーフェシング(例えば、欧州特許第EP 592,106号および第EP 519,596号; Padlan, 1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498; Studnicka et al., 1994, Protein Engineering, 7(6):805-814; および Roguska et al., 1994, PNAS, 91:969-973を参照のこと。その各々は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)、鎖シャフリング(例えば、米国特許第5,565,332号を参照のこと。それは、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)、ならびに、例えば、米国特許出願公報第US2005/0042664号、米国特許出願公報第US2005/0048617号、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開公報第WO 9317105号、Tan et al., J. Immunol., 169:1119-25 (2002), Caldas et al., Protein Eng., 13 (5): 353-60 (2000), Morea et al., Methods, 20(3):267-79 (2000), Baca et al., J. Biol. Chem., 272(16): 10678-84 (1997), Roguska et al., Protein Eng., 9(10):895-904 (1996), Couto et al., Cancer Res., 55 (23 Supp):5973s-5977s (1995), Couto et al., Cancer Res., 55(8): 1717-22 (1995), Sandhu J S, Gene, 150(2):409-10 (1994)、および Pedersen et al., J. Mol. Biol., 235(3):959-73 (1994)、その各々は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている技法を非限定的に含む当技術分野において公知の多種多様な技法を使用して、生産することができる。しばしば、フレームワーク領域内のフレームワーク残基を、CDRドナー抗体由来の対応する残基で置換して、抗原結合を変更、好ましくは改善させる。これらのフレームワーク置換は、当技術分野において周知の方法によって特定され、例えば、CDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリングによって抗原結合に重要なフレームワーク残基が特定され、そして、配列比較によって特定の位置における珍しいフレームワーク残基が特定される(例えば、Queen等の米国特許第5,585,089号; および Riechmann et al., 1988, Nature, 332:323を参照のこと。それらは、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)。
ヒト化抗体は、ヒト以外の供給源に由来する、その中に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、しばしば、「インポート」残基と呼ばれ、これは、典型的には「インポート」可変ドメインから得られる。したがって、ヒト化抗体は、ヒト以外の免疫グロブリン分子由来の1つまたは複数のCDRおよびヒト由来のフレームワーク領域を含む。抗体のヒト化は、当技術分野において周知であり、基本的にはWinterおよび共同研究者の方法(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))に従って、齧歯動物のCDRまたはヒト抗体の対応する配列に対するCDR配列を置換すること、すなわち、CDRグラフティングによって実施することができる(EP 239,400;PCT公報第WO 91/09967号;および米国特許第4,816,567号;第6,331,415号;第5,225,539号;第5,530,101号;第5,585,089号;第6,548,640号、これらの内容は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)。そのようなヒト化キメラ抗体では、実質的に無傷でないヒト可変ドメインが、ヒト以外の種由来の対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基およびおそらくはいくつかのフレームワーク(FR)残基が齧歯動物抗体における類似部位由来の残基によって置換されている、ヒト抗体である。また、抗体のヒト化をベニアリングまたはリサーフェシング(EP 592,106; EP 519,596; Padlan, 1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498; Studnicka et al., Protein Engineering, 7(6):805-814 (1994); および Roguska et al., PNAS, 91:969-973 (1994))または鎖シャフリング(米国特許第5,565,332号)によって達成することもでき、これらの内容は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
ヒト化抗体の製造において使用されるべき軽鎖および重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低減させることである。いわゆる「ベストフィット」法に従って、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を、公知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。次いで、齧歯動物のものに最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)として受け入れる(Sims et al., J. Immunol., 151:2296 (1993); Chothia et al., J. Mol. Biol., 196:901 (1987)、これらの内容は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用してよい(Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992); Presta et al., J. Immunol., 151:2623 (1993)、これらの内容は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)。
抗体は、標的抗原に対する高い親和性および他の有利な生物学的特性を保ったままでヒト化することができる。本発明の一局面によれば、親配列およびヒト化配列の三次元モデルを使用した親配列および様々な概念上のヒト化産物の分析のプロセスによって、ヒト化抗体が調製される。
三次元免疫グロブリンモデルは、一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元立体構造を図示および表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検討は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の考えられる役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンが標的抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を許容する。このようにして、標的抗原に対する親和性の増加などの所望の抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント配列およびインポート配列から選択し、組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、抗原結合への影響に直接かつほとんど実質的に関与している。
ヒト化抗体は、元の抗体と類似の抗原特異性を保持する。しかしながら、特定のヒト化方法を使用して、標的抗原への抗体の結合の親和性および/または特異性を、Wu et al., J. Mol. Biol., 294:151 (1999)(その内容は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)によって記載されているような「指向性進化」の方法を用いて向上させ得る。
核酸および発現ベクター
本発明は、HLA-A2に対して親和性を有するCARをコードする核酸を提供する。本明細書に記載の通り、対象のCARは、抗原結合ドメイン(例えば、HLA-A2結合ドメイン)、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。したがって、本発明は、対象のCARの抗原結合ドメイン(例えば、HLA-A2結合ドメイン)、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインをコードする核酸を提供する。
例示的な態様において、本発明のHLA-A2 CARをコードする核酸は、SEQ ID NO:24に示される核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、本開示の核酸は、転写制御エレメント、例えば、プロモーターおよびエンハンサーなどに機能的に連結され得る。好適なプロモーターおよびエンハンサーエレメントは、当業者に公知である。
細菌細胞における発現のために、好適なプロモーターは、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダPおよびtrcを含むが、これらに限定されない。真核細胞における発現のために、好適なプロモーターは、軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーターおよびエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス前初期プロモーター;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター;初期および後期SV40プロモーター;レトロウイルス由来の長末端反復中に存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン-Iプロモーター;ならびに様々な当技術分野において公知の組織特異的プロモーターを含むが、これらに限定されない。可逆性誘導性プロモーターを含む好適な可逆性プロモーターが当技術分野において公知である。そのような可逆性プロモーターは、単離されてよく、多くの生物、例えば、真核生物および原核生物に由来し得る。第二の生物において使用するための第一の生物に由来する可逆性プロモーターの改変(例えば、第一が原核生物で第二が真核生物、第一が真核生物で第二が原核生物など)は、当技術分野において周知である。そのような可逆性プロモーター、およびそのような可逆性プロモーターに基づくが追加の制御タンパク質も含む系は、アルコールによって調節されるプロモーター(例えば、アルコールデヒドロゲナーゼI(alcA)遺伝子プロモーター、アルコールトランスアクチベータータンパク質に応答するプロモーター(A1cR)など)、テトラサイクリンによって調節されるプロモーター(例えば、TetActivators、TetON、TetOFFなどを含むプロモーター系)、ステロイドによって調節されるプロモーター(例えば、ラット糖質コルチコイド受容体プロモーター系、ヒトエストロゲン受容体プロモーター系、レチノイドプロモーター系、甲状腺プロモーター系、エクジソンプロモーター系、ミフェプリストンプロモーター系など)、金属によって調節されるプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター系など)、病原性に関連して調節されるプロモーター(例えば、サリチル酸によって調節されるプロモーター、エチレンによって調節されるプロモーター、ベンゾチアジアゾールによって調節されるプロモーターなど)、温度によって調節されるプロモーター(例えば、熱ショック誘導性プロモーター(例えば、HSP-70、HSP-90、ダイズ熱ショックプロモーターなど)、光によって調節されるプロモーター、合成誘導性プロモーターなどを含むが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、プロモーターは、CD8細胞特異的プロモーター、CD4細胞特異的プロモーター、好中球特異的プロモーター、またはNK特異的プロモーターである。例えば、CD4遺伝子プロモーターを使用することができる;例えば、Salmon et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1993) 90:7739; および Marodon et al. (2003) Blood 101:3416を参照されたい。別の例として、CD8遺伝子プロモーターを使用することができる。NK細胞特異的発現は、NcrI(p46)プロモーターの使用によって達成することができる;例えば、Eckelhart et al. Blood (2011) 117:1565を参照されたい。
酵母細胞における発現のために、好適なプロモーターは、構成的プロモーター、例えばADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなど;または調節可能プロモーター、例えばGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHOSプロモーター、CUP1プロモーター、GALTプロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、およびAOX1(例えば、Pichiaにおいて使用するための)である。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者のレベルの範囲内である。原核生物宿主細胞において使用するための好適なプロモーターは、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えば、lac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーターなど;araBADプロモーター;インビボで調節されるプロモーター、例えばssaGプロモーターまたは関連プロモーター(例えば、米国特許公報第20040131637号を参照のこと)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller, J. Bacteriol. (1991) 173(1): 86-93; Alpuche-Aranda et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89(21): 10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al. Mol. Micro. (1992) 6:2805-2813)など(例えば、Dunstan et al., Infect. Immun. (1999) 67:5133-5141; McKelvie et al., Vaccine (2004) 22:3243-3255; および Chatfield et al., Biotechnol. (1992) 10:888-892を参照のこと);sigma70プロモーター、例えば、コンセンサスsigma70プロモーター(例えば、GenBank Accession Nos. AX798980、AX798961およびAX798183を参照のこと);静止期プロモーター、例えば、dpsプロモーター、spvプロモーターなど;病原性遺伝子島SPI-2に由来するプロモーター(例えば、WO96/17951を参照のこと);actAプロモーター(例えば、Shetron-Rama et al., Infect. Immun. (2002) 70:1087-1096を参照のこと);rpsMプロモーター(例えば、Valdivia and Falkow Mol. Microbiol. (1996). 22:367を参照のこと);tetプロモーター(例えば、Hillen, W. and Wissmann, A. (1989) In Saenger, W. and Heinemann, U. (eds), Topics in Molecular and Structural Biology, Protein--Nucleic Acid Interaction. Macmillan, London, UK, Vol. 10, pp. 143-162を参照のこと);SP6プロモーター(例えば、Melton et al., Nucl. Acids Res. (1984) 12:7035を参照のこと);などを含むが、これらに限定されない。大腸菌(Escherichia coli)などの原核生物において使用するための好適な強力なプロモーターは、Trc、Tac、T5、T7およびPLambdaを含むが、これらに限定されない。細菌宿主細胞において使用するためのオペレーターの非限定例は、ラクトースプロモーターオペレーター(LacIリプレッサータンパク質は、ラクトースと接触すると立体構造を変化させ、それによって、Ladリプレッサータンパク質がオペレーターに結合するのを妨げる)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合体形成すると、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合する立体構造を有する;トリプトファンの非存在下では、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合しない立体構造を有する)、およびtacプロモーターオペレーター(例えば、deBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1983) 80:21-25を参照のこと)を含む。
好適なプロモーターの他の例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列を含む。このプロモーター配列は、それに機能的に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成的プロモーター配列である。しかしながら、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン-バーウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、EF-1αプロモーター、ならびに、ヒト遺伝子プロモーター、例えば限定されないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーターおよびクレアチンキナーゼプロモーターを非限定的に含む、他の構成的プロモーター配列を使用してもよい。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも本発明の一部として想定される。誘導性プロモーターの使用は、機能的に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をそのような発現が望ましいときに有効にすることができ、発現が望ましくないときに発現を無効にすることができる、分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例は、メタロチオネイン(metallothionine)プロモーター、糖質コルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーターおよびテトラサイクリンプロモーターを含むが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、好適なプロモーターを含有する遺伝子座または構築物または導入遺伝子は、誘導性システムの誘導を通じて不可逆的にスイッチされる。不可逆性スイッチの誘導のための好適なシステムは、当技術分野において周知であり、例えば、不可逆性スイッチの誘導は、Cre-lox媒介性組換えを利用し得る(例えば、Fuhrmann-Benzakein, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2000) 28:e99を参照のこと。その開示は、参照によって本明細書に組み入れられる)。当技術分野に公知のリコンビナーゼ、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、組換え部位などの任意の好適な組み合わせを、不可逆的にスイッチ可能なプロモーターの生成において使用してよい。本明細書の他の箇所に記載の部位特異的組換えを実施するための方法、機序および必須要件は、不可逆的にスイッチされるプロモーターの生成において有用であり、当技術分野において周知である。例えば、Grindley et al. Annual Review of Biochemistry (2006) 567-605; および Tropp, Molecular Biology (2012) (Jones & Bartlett Publishers, Sudbury, Mass.)を参照のこと。これらの開示は、参照によって本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、本開示の核酸は、CAR誘導性発現カセットをコードする核酸配列をさらに含む。一態様において、CAR誘導性発現カセットは、CARシグナル伝達時に放出されるトランスジェニックポリペプチド産物の生産のためのものである。例えば、Chmielewski and Abken, Expert Opin. Biol. Ther. (2015) 15(8): 1145-1154;および Abken, Immunotherapy (2015) 7(5): 535-544を参照されたい。
本開示の核酸は、発現ベクターおよび/またはクローニングベクター内に存在し得る。発現ベクターは、選択マーカー、複製起点、ならびにベクターの複製および/または維持を提供する他の特徴を含むことができる。好適な発現ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルスベクターなどを含む。多数の好適なベクターおよびプロモーターが当業者に公知である;対象の組換え構築物を生成するために多くが市販されている。以下のベクターが例として提供されるが、決して限定として解釈されるべきではない:細菌:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene, La Jolla, Calif., USA);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540およびpRIT5(Pharmacia, Uppsala, Sweden)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene) pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmacia)。
発現ベクターは、一般には、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入をもたらすためのプロモーター配列の近くに位置する簡便な制限部位を有する。発現宿主において操作可能な選択マーカーが存在し得る。好適な発現ベクターは、ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al., Invest. Opthalmol. Vis. Sci. (1994) 35: 2543-2549; Borras et al., Gene Ther. (1999) 6: 515-524; Li and Davidson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92: 7700-7704; Sakamoto et al., H. Gene Ther. (1999) 5: 1088-1097; WO 94/12649, WO 93/03769; WO 93/19191; WO 94/28938; WO 95/11984 および WO 95/00655を参照のこと);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al., Hum. Gene Ther. (1998) 9: 81-86, Flannery et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1997) 94: 6916-6921; Bennett et al., Invest. Opthalmol. Vis. Sci. (1997) 38: 2857-2863; Jomary et al., Gene Ther. (1997) 4:683 690, Rolling et al., Hum. Gene Ther. (1999) 10: 641-648; Ali et al., Hum. Mol. Genet. (1996) 5: 591-594; Srivastava in WO 93/09239, Samulski et al., J. Vir. (1989) 63: 3822-3828; Mendelson et al., Virol. (1988) 166: 154-165; および Flotte et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1993) 90: 10613-10617を参照のこと);SV40;単純ヘルペスウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1997) 94: 10319-23; Takahashi et al., J. Virol. (1999) 73: 7812-7816を参照のこと)に基づくウイルスベクター;レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス)、ならびに、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルスおよび乳腺腫瘍ウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクター);などを含むが、これらに限定されない。
使用に好適な追加の発現ベクターは、例えば、非限定的に、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、泡沫状ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、操作されたハイブリッドウイルスベクター、トランスポゾン媒介性ベクターなどである。ウイルスベクター技術は、当技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, volumes 1-4, Cold Spring Harbor Press, NY)、ならびに他のウイルス学および分子生物学のマニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスおよびレンチウイルスを含むが、これらに限定されない。
一般に、好適なベクターは、少なくとも1つの生物において機能する複製起点、プロモーター配列、簡便な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つまたは複数の選択マーカーを含有する(例えば、WO 01/96584;WO 01/29058;および米国特許第6,326,193号)。
いくつかの態様において、発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を使用して、CARを免疫細胞またはその前駆体(例えば、T細胞)に導入してよい。したがって、本発明の発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、CARをコードする核酸を含み得る。いくつかの態様において、発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、その中にコードされるCARの機能的発現を助ける追加のエレメントを含むであろう。いくつかの態様において、CARをコードする核酸を含む発現ベクターは、哺乳動物のプロモーターをさらに含む。一態様において、ベクターは、伸長因子-1-αプロモーター(EF-1αプロモーター)をさらに含む。EF-1αプロモーターの使用は、下流導入遺伝子(例えば、CARをコードする核酸配列)の発現効率を増加させ得る。生理学的プロモーター(例えば、EF-1αプロモーター)は、統合によって媒介される遺伝毒性を誘導する可能性が低い場合があり、幹細胞を形質転換するレトロウイルスベクターの能力を無効にし得る。ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)において使用するために好適な他の生理学的プロモーターは、当業者に公知であり、本発明のベクターに組み込んでよい。いくつかの態様において、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、力価および遺伝子発現を改善し得る非必須シス作用配列をさらに含む。非必須シス作用配列の1つの非限定例は、効率的な逆転写および核移入にとって重要な中央ポリプリントラクトおよび中央終結配列(cPPT/CTS)である。他の非必須シス作用配列は、当業者に公知であり、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に組み込んでよい。いくつかの態様において、ベクターは、転写後調節エレメントをさらに含む。転写後調節エレメントは、RNA翻訳を改善し、導入遺伝子発現を改善し、かつ、RNA転写産物を安定化させ得る。転写後調節エレメントの一例は、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である。したがって、いくつかの態様において、本発明のためのベクターは、WPRE配列をさらに含む。様々な転写後調節エレメントは、当業者に公知であり、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に組み込んでよい。本発明のベクターは、RNA輸送のためのrev応答エレメント(RRE)、パッケージング配列ならびに5'および3'長末端反復(LTR)などの追加のエレメントをさらに含み得る。用語「長末端反復」または「LTR」は、U3、RおよびU5領域を含むレトロウイルスDNAの末端に位置している塩基対のドメインを指す。LTRは、一般には、レトロウイルス遺伝子の発現(例えば、遺伝子転写の促進、開始およびその産物のポリアデニル化)およびウイルス複製に必要な機能を提供する。一態様において、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、3'U3欠失LTRを含む。したがって、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、導入遺伝子の機能的発現の効率を増強するための本明細書に記載のエレメントの任意の組み合わせを含み得る。例えば、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、CARに対してコードする核酸に加えて、WPRE配列、cPPT配列、RRE配列、5'LTR、3'U3欠失LTR'を含み得る。
本発明のベクターは、自己不活化ベクターであり得る。本明細書において使用される場合、用語「自己不活化ベクター」は、3'LTRエンハンサープロモーター領域(U3領域)が改変(例えば、欠失または置換によって)されているベクターを指す。自己不活化ベクターは、ウイルス複製の第一ラウンドを越えるウイルス転写を防止し得る。その結果、自己不活化ベクターは、一回だけ宿主ゲノム(例えば、哺乳動物のゲノム)に感染して、次いで組み込まれることができるが、さらに継代され得ない。したがって、自己不活化ベクターは、複製可能なウイルスが生じるリスクを大幅に低減させ得る。
いくつかの態様において、本発明の核酸は、RNA、例えば、インビトロ合成されたRNAであり得る。RNAのインビトロ合成のための方法は、当業者に公知である;任意の公知の方法を使用して、本開示のCARをコードする配列を含むRNAを合成することができる。RNAを宿主細胞に導入するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Zhao et al. Cancer Res. (2010) 15: 9053を参照されたい。本開示のCARをコードするヌクレオチド配列を含むRNAを宿主細胞に導入することは、インビトロまたはエクスビボまたはインビボで行うことができる。例えば、宿主細胞(例えば、NK細胞、細胞傷害性Tリンパ球など)に、本開示のCARをコードするヌクレオチド配列を含むRNAとインビトロまたはエクスビボでエレクトロポレーションすることができる。
ポリペプチドまたはその部分の発現を評価するために、細胞に導入されるべき発現ベクターはまた、ウイルスベクターを通じてトランスフェクトまたは感染されようとする細胞の集団から発現細胞を特定および選択するのを容易にする、選択マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子のいずれか、または両方を含有してよい。いくつかの態様において、選択マーカーは、別々のDNA片上に担持されてよく、共トランスフェクション手順において使用してよい。選択マーカーおよびレポーター遺伝子は共に、宿主細胞における発現を可能にするために適切な調節配列に隣接されてよい。有用な選択マーカーは、非限定的に、抗生物質耐性遺伝子を含む。
トランスフェクトされた可能性のある細胞を特定するために、および調節配列の機能性を評価するために、レポーター遺伝子が使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物または組織中に存在することもそれによって発現されることもなく、かつ、いくつかの簡単に検出可能な特性、例えば、酵素活性によってその発現が明らかにされるポリペプチドをコードしている、遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の好適な時点で評価される。好適なレポーター遺伝子は、非限定的に、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、または緑色蛍光タンパク質遺伝子を含み得る(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479: 79-82)。
改変された免疫細胞を生成する方法
本発明は、改変された免疫細胞またはその前駆細胞(例えば、制御性T細胞)を生産/生成するための方法を提供する。細胞は、一般には、対象のCAR(例えば、HLA-A2 CAR)をコードする核酸を導入することによって操作される。
核酸を細胞に導入する方法は、物理的、生物学的および化学的な方法を含む。RNAなどのポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝突、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。エレクトロポレーション(Amaxa Nucleofector-II(Amaxa Biosystems, Cologne, Germany))、(ECM 830(BTX)(Harvard Instruments, Boston, Mass.)またはGene Pulser II(BioRad, Denver, Colo.)、Multiporator(Eppendort, Hamburg Germany)を含む市販の方法を使用して、RNAを標的細胞に導入することができる。また、リポフェクションを使用した陽イオン性リポソーム媒介性トランスフェクションを使用して、ポリマーカプセル化を使用して、ペプチド媒介性トランスフェクションを使用して、または「遺伝子銃」(例えば、Nishikawa, et al. Hum Gene Ther., 12(8):861-70 (2001)を参照のこと)などのバイオリスティック粒子送達系を使用して、RNAを細胞に導入することもできる。
関心対象のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法は、DNAベクターおよびRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、とりわけレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞に挿入するための最も広く使用される方法になっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどに由来することができる。例えば、米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照されたい。
いくつかの態様において、本発明の対象のCARをコードする核酸は、発現ベクターによって細胞に導入される。対象のCAR(例えば、HLA-A2 CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターが本明細書に提供される。好適な発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、泡沫状ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルスベクター、操作されたハイブリッドウイルス、裸のDNA、例えば限定されないがトランスポゾン媒介性ベクター、例えばSleeping Beauty、Piggybak、およびPhi31などのIntegrasesを含む。いくつかの他の好適な発現ベクターは、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびレトロウイルス発現ベクターを含む。
アデノウイルス発現ベクターは、ゲノムDNAへの統合にとって低いキャパシティを有するが宿主細胞のトランスフェクションにとっては高い効率を有する、アデノウイルスに基づく。アデノウイルス発現ベクターは、(a)発現ベクターのパッケージングを支援するおよび(b)最終的に宿主細胞において対象のCARを発現するのに十分なアデノウイルス配列を含有する。いくつかの態様において、アデノウイルスゲノムは、36kbの直鎖状の二本鎖DNAであり、本発明の発現ベクターを製造するために外来DNA配列(例えば、対象のCARをコードする核酸)をそこに挿入して、大きなアデノウイルスDNA片を置換してよい(例えば、Danthinne and Imperiale, Gene Therapy (2000) 7(20): 1707-1714を参照のこと)。
別の発現ベクターは、アデノウイルス結合系を利用するアデノ随伴ウイルスに基づく。このAAV発現ベクターは、宿主ゲノムへの高い統合頻度を有する。AAV発現ベクターは、非分裂細胞に感染することができ、このことによって、該ベクターは、哺乳動物細胞への、例えば、組織培養またはインビボにおける遺伝子の送達に有用である。AAVベクターは、感染性に関して広範な宿主範囲を有する。AAVベクターの生成および使用に関する詳細は、米国特許第5,139,941号および第4,797,368号に記載されている。
レトロウイルス発現ベクターは、宿主ゲノムに統合することができ、大量の外来遺伝物質を送達することができ、広範囲の種および細胞タイプに感染することができ、かつ、特殊な細胞株にパッケージングされることができる。核酸(例えば、対象のCARをコードする核酸)を特定の場所でウイルスゲノムに挿入して複製欠損であるウイルスを生産することによって、レトロウイルスベクターが構築される。レトロウイルスベクターは、幅広い細胞タイプに感染することができるが、対象のCARの統合および安定な発現には宿主細胞の分裂が必要である。
レンチウイルスベクターは、レンチウイルスに由来し、該ウイルスは、共通のレトロウイルス遺伝子gag、polおよびenvに加えて、調節または構造機能を有する他の遺伝子を含有する、複雑なレトロウイルスである(例えば、米国特許第6,013,516号および第5,994,136号を参照のこと)。レンチウイルスのいくつかの例は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1、HIV-2)およびシミアン免疫不全ウイルス(SIV)を含む。レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を複合的に減弱させることによって生成されており、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefが欠失され、ベクターは生物学上安全となる。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染することができ、例えば、対象のCARをコードする核酸のインビボおよびエクスビボの両方の遺伝子移送および発現に使用することができる(例えば、米国特許第5,994,136号を参照のこと)。
本開示の核酸を含む発現ベクターを、当業者に公知の任意の手段によって宿主細胞に導入することができる。発現ベクターは、所望により、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、発現ベクターを、融合、エレクトロポレーション、バイオリスティック、トランスフェクション、リポフェクションなどによって導入してよい。発現ベクターの導入の前に、宿主細胞を培養によって増殖および拡大増殖させて、その後に、ベクターの導入および統合のための適切な処理を行ってよい。次いで、宿主細胞を拡大増殖させ、ベクター中に存在するマーカーによってスクリーニングしてよい。使用してよい様々なマーカーは、当技術分野において公知であり、hprt、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシン耐性などを含み得る。本明細書において使用される場合、用語「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、互換的に使用してよい。いくつかの態様において、宿主細胞は、免疫細胞またはその前駆体、例えば、T細胞、NK細胞またはNKT細胞である。
本発明はまた、本開示の対象のCARを含み、これを安定的に発現する、遺伝子操作された細胞も提供する。いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞は、治療上関連する子孫を発生させることができる、遺伝子操作されたT-リンパ球(T細胞)、ナイーブT細胞(TN)、メモリーT細胞(例えば、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリー細胞(TEM))、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、およびマクロファージである。一態様において、遺伝子操作された細胞は、自家細胞である。
改変された細胞(例えば、対象のCARを含む)は、本開示の核酸を含む発現ベクターを宿主細胞に安定的にトランスフェクトすることによって生産させてよい。本開示の改変された細胞を生成する追加の方法は、非限定的に、化学的形質転換法(例えば、リン酸カルシウム、デンドリマー、リポソームおよび/または陽イオン性ポリマーを使用した)、非化学的形質転換法(例えば、エレクトロポレーション、光学的形質転換、遺伝子エレクトロトランスファーおよび/またはハイドロダイナミクス送達)および/または粒子に基づく方法(例えば、遺伝子銃を使用したインペイルフェクション(impalefection)および/またはマグネトフェクション)を含む。本開示の対象のCARを発現するトランスフェクトされた細胞をエクスビボで拡大増殖させてよい。
発現ベクターを宿主細胞に導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝突、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞を生産するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al. (2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを参照されたい。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段は、コロイド分散系、例えば、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質に基づく系を含む。インビトロおよびインビボで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
使用に好適な脂質は、商業的供給業者から入手することができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma, St. Louis, MOから入手することができる;リン酸ジセチル(「DCP」)は、K & K Laboratories(Plainview, NY)から入手することができる;コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから入手することができる;ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、Avanti Polar Lipids, Inc.(Birmingham、AL)から入手してよい。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質の原液は、約-20℃で保管することができる。クロロホルムは、メタノールより容易に蒸発するので、唯一の溶媒として使用される。「リポソーム」は、閉じられた脂質二重層または凝集物の生成によって形成される、多種多様な単一膜および多重膜の脂質ビヒクルを包含する総称的な用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜と内部水性媒体とを有する小胞構造を有すると特徴付けることができる。多重膜リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されると、多重膜リポソームは自発的に形成する。脂質成分は自己再編成した後に、閉じた構造が形成され、水および溶解した溶質が脂質二重層間に捕捉される(Ghosh et al., 1991 Glycobiology 5: 505-10)。しかしながら、溶液の状態で、通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質はミセル構造をとってもよく、単に、不均一な脂質分子凝集物として存在してもよい。リポフェクタミン-核酸複合体も想定される。
外因性核酸を宿主細胞に導入するために使用する方法であるか、その他の細胞を本発明の阻害剤に曝露させるために使用する方法であるかを問わず、宿主細胞における核酸の存在を確認するために、多種多様なアッセイを実施してよい。そのようなアッセイは、例えば、当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、例えば、サザンおよびノーザンブロッティング、RT-PCRならびにPCR;「生化学的」アッセイ、例えば、特定のペプチドの存在または非存在の、例えば免疫学的手段(ELISAおよびウエスタンブロット)による検出または本発明の範囲内に入る作用物質を特定するための本明細書に記載のアッセイによる検出を含む。
さらに、拡大増殖したT細胞を形質導入すること、拡大増殖したT細胞をトランスフェクトすること、および拡大増殖したT細胞をエレクトロポレーションすることなどの任意の手段によって核酸を導入してよい。ある核酸をある方法によって導入してよく、別の核酸を異なる方法によってT細胞に導入してよい。
RNA
一態様において、宿主細胞に導入される核酸は、RNAである。別の態様において、RNAは、インビトロ転写されたRNAまたは合成RNAを含むmRNAである。RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成された鋳型を使用して、インビトロ転写によって生産される。任意の供給源由来の関心対象のDNAを、適切なプライマーおよびRNAポリメラーゼを使用してPCRによって、インビトロmRNA合成の鋳型に直接変換することができる。DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列または他の任意の適切なDNA供給源であることができる。
PCRを使用して、mRNAのインビトロ転写の鋳型を生成することができ、次いでこれを細胞に導入する。PCRを実施するための方法は、当技術分野において周知である。PCRにおいて使用するためのプライマーは、PCRの鋳型として使用されるべきDNAの領域に実質的に相補的である領域を有するように設計される。「実質的に相補的」は、本明細書において使用される場合、プライマー配列内の塩基の大部分もしくは全てが相補的であるかまたは1つまたは複数の塩基が非相補的もしくはミスマッチである、ヌクレオチドの配列を指す。実質的に相補的な配列は、PCRに使用されるアニーリング条件下で、意図するDNA標的とアニールまたはハイブリダイズすることができる。プライマーを、DNA鋳型の任意の部分に実質的に相補的になるように設計することができる。例えば、プライマーを、5'UTRおよび3'UTRを含む、細胞内で通常転写される遺伝子の部分(オープンリーディングフレーム)を増幅するように設計することができる。プライマーはまた、関心対象の特定ドメインをコードする遺伝子の一部を増幅するように設計することもできる。一態様において、プライマーは、5'UTRおよび3'UTRの全てまたは一部を含むヒトcDNAのコード領域を増幅するように設計される。PCRに有用なプライマーは、当技術分野において周知である合成法によって生成される。「フォワードプライマー」は、増幅されるべきDNA配列の上流にあるDNA鋳型上のヌクレオチドに実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含有するプライマーである。「上流」は、本明細書において、コード鎖に対して増幅されるべきDNA配列の、5'側の位置を指すために使用される。「リバースプライマー」は、増幅されるべきDNA配列の下流にある二本鎖DNA鋳型に実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含有するプライマーである。「下流」は、本明細書において、コード鎖に対して増幅されるべきDNA配列の、3'側の位置を指すために使用される。
また、RNAの安定性および/または翻訳効率を促進する能力を有する化学構造が使用されてもよい。RNAは、好ましくは、5'UTRおよび3'UTRを有する。一態様において、5'UTRは、0〜3000ヌクレオチド長である。コード領域に付加されるべき5'UTRおよび3'UTR配列の長さは、UTRの異なる領域にアニールするPCR用プライマーを設計することを非限定的に含め、異なる方法によって変更することができる。このアプローチを使用して、当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後に最適な翻訳効率を達成するために必要とされる5'UTRおよび3'UTRの長さを改変することができる。
5'UTRおよび3'UTRは、関心対象の遺伝子の天然に存在する内因性5'UTRおよび3'UTRであることができる。あるいは、フォワードプライマーおよびリバースプライマーにUTR配列を組み込むことによって、または鋳型の他の任意の改変によって、関心対象の遺伝子に対して内因性ではないUTR配列を付加することができる。関心対象の遺伝子に対して内因性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率を改変するのに有用であり得る。例えば、3'UTR配列内のAUリッチなエレメントは、mRNAの安定性を低下させ得ることが知られている。それ故、当技術分野において周知であるUTRの特性に基づいて、転写されたRNAの安定性を増加させるように3'UTRを選択または設計することができる。
一態様において、5'UTRは、内因性遺伝子のコザック(Kozak)配列を含有することができる。あるいは、関心対象の遺伝子に対して内因性ではない5'UTRが上記のようにPCRによって付加されるとき、5'UTR配列を付加することによってコンセンサスコザック配列を再設計することができる。コザック配列は、一部のRNA転写産物の翻訳効率を増加させることができるが、効率的な翻訳を可能にするために全てのRNAに必要となるわけではない。多くのmRNAに対するコザック配列の必須要件は、当技術分野において公知である。他の態様において、5'UTRは、RNAゲノムが細胞内で安定であるRNAウイルスに由来することができる。他の態様において、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨げるために、様々なヌクレオチド類似体を3'UTRまたは5'UTRにおいて使用することができる。
遺伝子クローニングを必要とせずにDNA鋳型からのRNAの合成を可能にするために、DNA鋳型の転写されるべき配列の上流に転写のプロモーターが付着されるべきである。RNAポリメラーゼに対するプロモーターとして機能する配列がフォワードプライマーの5'末端に付加されると、RNAポリメラーゼプロモーターは、転写されるべきオープンリーディングフレームの上流でPCR産物に組み込まれるようになる。一態様において、プロモーターは、本明細書の他の箇所に記載の通りのT7ポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターは、T3およびSP6 RNAポリメラーゼプロモーターを含むが、これらに限定されない。T7、T3およびSP6プロモーターに対するコンセンサスヌクレオチド配列が当技術分野において公知である。
一態様において、mRNAは、リボソーム結合、細胞内でのmRNAの翻訳開始および安定性を決定する、5'末端上のキャップおよび3'ポリ(A)テールの両方を有する。環状DNA鋳型上、例として、プラスミドDNA上で、RNAポリメラーゼは、真核細胞での発現には適さない長い鎖状体産物を産生する。3'UTRの末端で線状化されたプラスミドDNAの転写は、転写後にポリアデニル化されたとしても、真核生物のトランスフェクションにおいて効果的ではない正常なサイズのmRNAをもたらす。
直鎖状DNA鋳型上で、ファージT7 RNAポリメラーゼは、転写産物の3'末端を鋳型の最後の塩基を越えて伸長させることができる(Schenborn and Mierendorf, Nuc Acids Res., 13:6223-36 (1985); Nacheva and Berzal-Herranz, Eur. J. Biochem., 270:1485-65 (2003)。
DNA鋳型へのポリA/Tストレッチの従来の統合方法は、分子クローニングである。しかしながら、プラスミドDNAに統合されたポリA/T配列は、プラスミドの不安定性を引き起こす可能性があり、その理由は、細菌細胞から得られたプラスミドDNA鋳型が、欠失および他の異常で高度に汚染されることが多いためである。これは、クローニング手順は面倒で時間がかかるだけでなく、信頼できないことも多い。それが、クローニングなしにポリA/T 3'ストレッチを有するDNA鋳型の構築を可能にする方法が非常に望ましいという理由である。
転写DNA鋳型のポリA/Tセグメントは、100Tテール(サイズは、50〜5000Tであることができる)などのポリTテールを含有するリバースプライマーを使用することによってPCR中に、またはDNAライゲーションもしくはインビトロ組み換えを非限定的に含む任意の他の方法によってPCR後に生産することができる。ポリ(A)テールはまた、RNAに安定性をもたらし、RNAの分解を低減させる。一般に、ポリ(A)テールの長さは、転写されたRNAの安定性と正の相関がある。一態様において、ポリ(A)テールは、100〜5000のアデノシンである。
RNAのポリ(A)テールは、大腸菌(E. coli)ポリAポリメラーゼ(E-PAP)などのポリ(A)ポリメラーゼの使用によって、インビトロ転写後にさらに伸長することができる。一態様において、ポリ(A)テールの長さを100ヌクレオチドから300〜400ヌクレオチドに増加させると、RNAの翻訳効率が約2倍増加する。追加的に、異なる化学基の3'末端への付着は、mRNA安定性を増加させることができる。そのような付着は、改変された/人工のヌクレオチド、アプタマーおよび他の化合物を含有することができる。例えば、ATP類似体を、ポリ(A)ポリメラーゼを使用して、ポリ(A)テールに組み込むことができる。ATP類似体は、RNAの安定性をさらに増加させることができる。
5'キャップもRNA分子に安定性をもたらす。好ましい態様において、本明細書に開示される方法によって生産されるRNAは、5'キャップを含む。5'キャップは、当技術分野において公知でありかつ本明細書において記載されている技法を使用して提供される(Cougot, et al., Trends in Biochem. Sci., 29:436-444 (2001); Stepinski, et al., RNA, 7:1468-95 (2001); Elango, et al., Biochim. Biophys. Res. Commun., 330:958-966 (2005))。
本明細書に開示される方法によって生産されるRNAはまた、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列を含むこともできる。IRES配列は、mRNAへのキャップ非依存性リボソーム結合を開始して、翻訳の開始を容易にする、任意のウイルス配列、染色体配列または人工的に設計された配列であり得る。細胞透過性および生存性を促進する因子を含有することができる、糖、ペプチド、脂質、タンパク質、酸化防止剤および界面活性剤などの、細胞エレクトロポレーションに好適な任意の溶質を含めることができる。
いくつかの態様において、インビトロ転写されたRNAなどのRNAが、細胞にエレクトロポレーションされる。
本開示の方法を、遺伝子改変された宿主細胞が標的癌細胞を殺傷する能力の評価を含め、癌、幹細胞、急性および慢性感染、ならびに自己免疫疾患の分野の基礎研究および治療における宿主細胞活性のモジュレーションに適用することができる。
該方法はまた、例えば、プロモーターまたはインプットRNAの量を変化させることによって、広範囲にわたって発現のレベルを制御する能力を提供し、それによって、発現レベルを個々に調節することが可能となる。その上、PCRに基づくmRNA生産技法は、それらのドメインの異なる構造および組み合わせを有するmRNAの設計を大きく促進する。
本発明のRNAトランスフェクション法の1つの利点は、RNAトランスフェクションが本質的に一過性であり、かつ、ベクターフリーであることである。RNA導入遺伝子をリンパ球に送達することができ、簡易のインビトロ細胞活性化後に、その中で、追加のウイルス配列を全く必要としない最小発現カセットとして発現させることができる。これらの条件下で、宿主細胞ゲノムへの導入遺伝子の統合の可能性は低い。RNAのトランスフェクションの効率およびリンパ球集団全体を均一に改変するその能力により、細胞のクローニングは必要ない。
インビトロ転写されたRNA(IVT-RNA)による宿主細胞の遺伝子改変は、2つの異なる戦略を利用し、その両方とも様々な動物モデルにおける試験で成功を収めている。細胞に、リポフェクションまたはエレクトロポレーションを用いて、インビトロ転写されたRNAがトランスフェクトされる。移入されたIVT-RNAの延長された発現を達成するために、様々な改変を使用してIVT-RNAを安定化させることが望ましい。
インビトロ転写の鋳型として標準化された様式で利用され、安定化されたRNA転写産物が産生されるように遺伝子改変されている、いくつかのIVTベクターが文献において公知である。現在、当技術分野において使用されているプロトコールは、以下の構造を有するプラスミドベクターに基づく:RNA転写を可能にする5'RNAポリメラーゼプロモーターとそれに続く、非翻訳領域(UTR)が3'および/または5'のいずれかに隣接する関心対象の遺伝子と、50〜70のAヌクレオチドを含有する3'ポリアデニルカセット。インビトロ転写の前に、環状プラスミドは、II型制限酵素によってポリアデニルカセットの下流で線状化される(認識配列は、切断部位に対応する)。したがって、ポリアデニルカセットは、転写産物中の後のポリ(A)配列に対応する。この手順の結果として、一部のヌクレオチドは、線状化後に酵素切断部位の一部として残り、3'末端でポリ(A)配列を伸長またはマスクする。この非生理学的な突出部が、そのような構築物から細胞内に産生されるタンパク質の量に影響を与えるかどうかは、明らかではない。
RNAは、より古典的なプラスミドまたはウイルスアプローチに勝る利点をいくつか有する。RNA供給源からの遺伝子発現は、転写を必要とせず、タンパク質産物は、トランスフェクション後に迅速に産生される。さらに、RNAは、核ではなく細胞質に侵入しさえすればよいので、それ故、典型的なトランスフェクション法は、極端に高いトランスフェクション率をもたらす。加えて、プラスミドに基づくアプローチは、関心対象の遺伝子の発現を駆動するプロモーターが、研究下の細胞において活性になる必要がある。
別の局面において、RNA構築物は、エレクトロポレーションによって細胞に送達される。例えば、US 2004/0014645、US 2005/0052630A1、US 2005/0070841A1、US 2004/0059285A1、US 2004/0092907A1に教示されているような、哺乳動物細胞への核酸構築物のエレクトロポレーションの製剤および方法論を参照されたい。任意の公知の細胞タイプのエレクトロポレーションに必要な電場強度を含めた様々なパラメーターが、関連する研究文献ならびに当分野における数多くの特許および出願において一般的に知られている。例えば、米国特許第6,678,556号、米国特許第7,171,264号および米国特許第7,173,116号を参照されたい。エレクトロポレーションの治療適用のための装置は、例えば、MedPulser(商標)DNA Electroporation Therapy System(Inovio/Genetronics, San Diego, Calif.)のように市販されており、米国特許第6,567,694号;米国特許第6,516,223号、米国特許第5,993,434号、米国特許第6,181,964号、米国特許第6,241,701号および米国特許第6,233,482号などの特許に記載されている;また、エレクトロポレーションを、例えばUS20070128708A1に記載されているようにインビトロでの細胞のトランスフェクションに使用してもよい。また、エレクトロポレーションを、インビトロで細胞に核酸を送達するために利用してもよい。したがって、当業者に公知の多くの利用可能な装置およびエレクトロポレーションシステムのいずれかを利用した、発現構築物を含む核酸の細胞へのエレクトロポレーション媒介性投与は、関心対象のRNAを標的細胞に送達するための素晴らしい新たな手段となる。
免疫細胞の供給源
拡大増殖の前に、免疫細胞の供給源がエクスビボ操作のために対象から得られる。エクスビボ操作のための標的細胞の供給源はまた、例えば、自家または異種ドナーの血液、臍帯血または骨髄を含み得る。例えば、免疫細胞の供給源は、本発明の改変された免疫細胞で処置されるべき対象に由来する、例えば、対象の血液、対象の臍帯血または対象の骨髄であり得る。対象の非限定例は、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラットおよびそれらのトランスジェニック種を含む。好ましくは、対象は、ヒトである。
免疫細胞は、血液、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、脾臓組織、臍帯、リンパ液またはリンパ臓器を含む多数の供給源から得ることができる。免疫細胞は、免疫系の細胞、例えば、自然免疫または適応免疫の細胞、例えば、骨髄細胞またはリンパ細胞(リンパ球を含む)、典型的には、T細胞および/またはNK細胞である。他の例示的な細胞は、幹細胞、例えば、多分化能(multipotent)幹細胞および人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多能性(pluripotent)幹細胞を含む。いくつかの局面において、細胞は、ヒト細胞である。処置されるべき対象に関して、細胞は、同種および/または自家であり得る。細胞は、典型的には、初代細胞、例えば、対象から直接単離されたものおよび/または対象から単離されて凍結されたものである。
特定の態様において、免疫細胞は、T細胞、例えば、CD8+T細胞(例えば、CD8+ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞またはエフェクターメモリーT細胞)、CD4+T細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、制御性T細胞(Treg)、幹細胞メモリーT細胞、リンパ前駆細胞、造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)または樹状細胞である。いくつかの態様において、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球および/または好塩基球である。ある態様において、標的細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞またはiPS細胞に由来する細胞、例えば、対象から生成され、1つまたは複数の標的遺伝子の発現を変更する(例えば、変異を誘導する)または操作するように操作され、そして、例えば、T細胞、例えば、CD8+T細胞(例えば、CD8+ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞またはエフェクターメモリーT細胞)、CD4+T細胞、幹細胞メモリーT細胞、リンパ前駆細胞または造血幹細胞に分化させた、iPS細胞である。
いくつかの態様において、細胞は、T細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびそれらの部分集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、拡大増殖、再循環、局在化、および/もしくは持続能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の臓器または区画中の存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化度によって定義されているものを含む。中でも、T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび部分集団は、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそれらのサブタイプ、例えば、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化したエフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、ならびにδ/γT細胞である。特定の態様において、いくつものT細胞株が当技術分野において利用可能であり、これらを使用してよい。
いくつかの態様において、該方法は、対象から免疫細胞を単離すること、それらを調製すること、処理すること、培養すること、および/または操作することを含む。いくつかの態様において、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養工程および/または調製工程を含む。記載の通り操作するための細胞は、試料、例えば、生物学的試料、例えば、対象から得られた試料または対象に由来する試料から単離してよい。いくつかの態様において、細胞が単離される対象は、疾患もしくは病状を有する対象、または細胞療法の必要のある対象、または細胞療法が施与されるであろう対象である。対象は、いくつかの態様において、細胞が単離される、処理されるおよび/または操作される、特定の治療介入、例えば養子細胞療法の必要のあるヒトである。したがって、細胞は、いくつかの態様において、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料は、対象から直接採取された組織、流体および他の試料だけでなく、分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターによる形質導入)、洗浄および/またはインキュベーションなどの1つまたは複数の処理工程から得られた試料も含む。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料または処理された試料であることができる。生物学的試料は、体液、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および臓器試料(それらに由来する処理された試料を含む)を含むが、これらに限定されない。
いくつかの局面において、細胞が由来するまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来試料であるか、または、アフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるかもしくはそれに由来する。例示的な試料は、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、消化管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺もしくは他の臓器、および/またはそれらに由来する細胞を含む。試料は、細胞療法、例えば、養子細胞療法の状況下では、自家供給源および同種供給源に由来する試料を含む。
いくつかの態様において、細胞は、細胞株、例えば、T細胞株に由来する。細胞は、いくつかの態様において、異種の供給源から、例えば、マウス、ラット、ヒト以外の霊長類およびブタから得られる。いくつかの態様において、細胞の単離は、1つまたは複数の調製工程および/または非親和性に基づく細胞分離工程を含む。いくつかの例では、細胞を、洗浄し、遠心分離し、かつ/または、1つまたは複数の試薬の存在下でインキュベートして、例えば、不要な成分を除去し、所望の成分を濃縮し、特定の試薬に感受性がある細胞を溶解または除去する。いくつかの例では、細胞は、密度、接着性、サイズ、特定の成分に対する感受性および/または耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
いくつかの例において、対象の循環血液由来の細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面において、T細胞、単球、顆粒球、B細胞を含むリンパ球、他の有核白血球、赤血球および/または血小板を含有し、いくつかの局面において、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。いくつかの態様において、対象から収集された血液細胞を、洗浄して、例えば、血漿画分を除去し、その後の処理工程のために適切な緩衝液または媒体中に細胞を入れる。いくつかの態様において、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。いくつかの局面において、洗浄工程は、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの態様において、細胞を、洗浄後、多種多様な生体適合性緩衝液中に再懸濁する。特定の態様において、血液細胞試料の成分を除去して、細胞を培養培地中に直接再懸濁する。いくつかの態様において、該方法は、赤血球を溶解してPercollまたはFicoll勾配によって遠心分離することによって末梢血から白血球を調製するなどの、密度に基づく細胞分離法を含む。
一態様において、免疫細胞は、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる個体の循環血液から得られる。アフェレーシス産物は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞を含むリンパ球、他の有核白血球、赤血球および血小板を含有する。アフェレーシスによって収集された細胞を、洗浄して、血漿画分を除去し、その後の処理工程のためにリン酸緩衝食塩水(PBS)または洗浄溶液などの適切な緩衝液または媒体中に細胞を入れてよいが、該溶液は、カルシウムを欠いており、マグネシウムを欠いていてもよく、全てではないが多くの二価陽イオンを欠いていてもよい。洗浄後、細胞を、例えば、Caフリー、MgフリーPBSなどの多種多様な生体適合性緩衝液中に再懸濁してよい。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない成分を除去して、細胞を培養培地中に直接再懸濁してよい。
いくつかの態様において、単離方法は、表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカーまたは核酸などの、1つまたは複数の特異的分子の細胞における発現または存在に基づいた異なる細胞タイプの分離を含む。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づいた任意の公知の分離法を使用してよい。いくつかの態様において、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、単離は、いくつかの局面において、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞の発現または発現レベルに基づいた、細胞および細胞集団の分離であって、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベートとそれに一般に続く、洗浄工程、そして、抗体または結合パートナーに結合している細胞を抗体または結合パートナーに結合していない細胞から分離することによる分離を含む。そのような分離工程は、試薬と結合している細胞がさらなる使用のために保持される正の選択、および/または、抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持される負の選択に基づくことができる。いくつかの例において、両方の画分がさらなる使用のために保持される。いくつかの局面において、不均一な集団中のある細胞タイプを特異的に同定する抗体が入手不可能なことで、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて分離が最良に実施される場合に、負の選択が特に有用であり得る。分離は、特定のマーカーを発現する特定の細胞集団または細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、あるマーカーを発現する細胞などの特定のタイプの細胞の正の選択または濃縮は、そのような細胞の数または百分率を増加させることを指すが、該マーカーを発現していない細胞の完全な不在をもたらす必要はない。同様に、あるマーカーを発現する細胞などの特定のタイプの細胞の負の選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数または百分率を減少させることを指すが、そのような細胞の全ての完全な除去をもたらす必要はない。
いくつかの例において、1つの工程から正または負の選択を受けた画分が、別の分離工程、例えばその後の正または負の選択に供される、多回ラウンドの分離工程が行われる。いくつかの例において、複数のマーカーを発現する細胞を、例えば、それぞれが負の選択のために標的とされたマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと細胞をインキュベートすることによって、単一の分離工程で同時に枯渇させることができる。同様に、様々な細胞タイプ上に発現される複数の抗体または結合パートナーと細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞タイプについて同時に正の選択を行うことができる。
いくつかの態様において、T細胞集団の1つまたは複数を、表面マーカーなどの1つまたは複数の特定のマーカーに陽性である細胞(マーカー+)もしくは該マーカーを高レベルで発現する細胞(マーカーhigh)、または1つまたは複数のマーカーに陰性である細胞(マーカー-)もしくは該マーカーを相対的により低いレベルで発現する細胞(マーカーlow)について濃縮または枯渇させる。例えば、いくつかの局面において、1つまたは複数の表面マーカーに陽性である細胞またはそれらを高レベルで発現する細胞などのT細胞の特定の部分集団、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+T細胞を、正または負の選択技法によって単離する。いくつかの場合に、そのようなマーカーは、特定のT細胞集団(非メモリー細胞など)上に存在しないかまたは相対的に低いレベルで発現されるが、特定の他のT細胞集団(メモリー細胞などの)上に存在するかまたは相対的により高いレベルで発現される、マーカーである。一態様において、細胞(例えば、CD8+細胞またはT細胞、例えば、CD3+細胞)を、CD45RO、CCR7、CD28、CD27、CD44、CD127および/もしくはCD62Lに陽性であるかもしくはそれを高い表面レベルで発現する(すなわち、正の選択を受けた)細胞について濃縮し、かつ/または、CD45RAに陽性であるかもしくはそれを高い表面レベルで発現する(例えば、負の選択を受けた)細胞を枯渇させる。いくつかの態様において、細胞を、CD122、CD95、CD25、CD27および/またはIL7-Ra(CD127)に陽性であるかまたはそれを高い表面レベルで発現する細胞について濃縮または枯渇させる。いくつかの例では、CD8+T細胞を、CD45ROに陽性(またはCD45RAに陰性)でありかつCD62Lに陽性である細胞について濃縮する。例えば、CD3/CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用して、CD3+、CD28+T細胞について正の選択を行うことができる。
いくつかの態様において、T細胞は、非T細胞上(例えば、B細胞、単球、またはCD14などの他の白血球上)に発現されるマーカーの負の選択によって、PBMC試料から分離される。いくつかの局面において、CD4+またはCD8+選択工程が、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリーおよび/もしくはエフェクターT細胞部分集団上に発現されるかまたは相対的により高い程度で発現されるマーカーについての正または負の選択によって、さらに部分集団に選別することができる。いくつかの態様において、CD8+細胞は、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリーおよび/またはセントラルメモリー幹細胞について、例えば、それぞれの部分集団に関連する表面抗原に基づく正または負の選択によって、さらに濃縮または枯渇される。いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮が、投与後の長期生存、拡大増殖および/または生着を改善するなど有効性を増加させるために行われ、それは、いくつかの局面において、そのような部分集団において特に堅固である。いくつかの態様において、TCMが濃縮されたCD8+T細胞とCD4+T細胞を組み合わせることは、有効性をさらに高める。
いくつかの態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットおよびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCを、例えば抗CD8抗体および抗CD62L抗体を使用して、CD62L-CD8+画分および/またはCD62L+CD8+画分について濃縮または枯渇させることができる。いくつかの態様において、CD4+T細胞集団および/またはCD8+T集団を、セントラルメモリー(TCM)細胞について濃縮する。いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127について陽性であることまたはその高い表面発現に基づく;いくつかの局面において、それは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するかまたは高度に発現する細胞の負の選択に基づく。いくつかの局面において、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇によって、およびCD62Lを発現する細胞の正の選択または濃縮によって行われる。一局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性画分から開始して行われ、陰性画分は、CD14およびCD45RAの発現に基づく負の選択、およびCD62Lに基づく正の選択に供される。そのような選択は、いくつかの局面において、同時に行われ、そして、他の局面において、いずれかの順序で逐次的に行われる。いくつかの局面において、また、CD8+細胞集団または部分集団の調製において使用される同じCD4発現に基づく選択工程を使用して、CD4+細胞集団または部分集団を生成することで、CD4に基づく分離からの陽性画分および陰性画分の両方が、場合により1つまたは複数のさらなる正または負の選択工程の後で、保持され、該方法のその後の工程に使用される。
CD4+ヘルパーT細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによって、ナイーブ、セントラルメモリーおよびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は、標準的な方法によって得ることができる。いくつかの態様において、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。いくつかの態様において、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様において、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45ROである。一例として、負の選択によってCD4+細胞について濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、正および/または負の選択のための細胞の分離を可能にするように、固体支持体またはマトリックス、例えば磁性ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作の前にまたはそれと併せてインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション工程は、培養、栽培(cultivation)、刺激、活性化および/または繁殖を含むことができる。いくつかの態様において、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件は、集団中の細胞の増殖、拡大増殖、活性化および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または、遺伝子操作のため、例えば組換え抗原受容体の導入のために細胞を予備刺激するように、設計された条件を含む。その条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、ならびに/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された他の任意の作用物質の1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様において、刺激条件または刺激物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる、1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面において、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを有効にするかまたは開始する。そのような作用物質は、抗体、例えば、TCR成分および/または共刺激受容体に特異的な抗体、例えば、抗CD3、抗CD28、例えば、ビーズなどの固体支持体に結合された抗体および/または1つまたは複数のサイトカインを含むことができる。場合により、拡大増殖法は、培養培地に抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)加える工程をさらに含んでよい。いくつかの態様において、刺激物質は、IL-2および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10ユニット/mLの濃度のIL-2を含む。
別の態様において、T細胞は、赤血球を溶解して、単球を、例えば、PERCOLL(商標)勾配による遠心分離によって枯渇させることによって、末梢血から単離される。あるいは、T細胞を臍帯から単離することができる。いずれにしても、正または負の選択技法によってT細胞の特定の部分集団をさらに単離することができる。
そのように単離された臍帯血単核細胞は、CD34、CD8、CD14、CD19、およびCD56を非限定的に含む特定の抗原を発現する細胞を枯渇させることができる。これらの細胞の枯渇は、単離された抗体、抗体を含む生物学的試料、例えば腹水、物理的支持体に結合された抗体、および細胞結合抗体を使用して達成することができる。
負の選択によるT細胞集団の濃縮は、負の選択を受ける細胞に特有の表面マーカーを標的とする抗体の組み合わせを使用して達成することができる。好ましい方法は、負の選択を受ける細胞上に存在する細胞表面マーカーを標的とするモノクローナル抗体のカクテルを使用する、負の磁気免疫付着またはフローサイトメトリーを介した細胞選別および/または選択である。例えば、負の選択によってCD4+細胞を濃縮するためのモノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。
正または負の選択による所望の細胞集団の単離のために、細胞および表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変更することができる。特定の態様において、細胞とビーズの最大限の接触を確保するために、ビーズと細胞が一緒に混合される体積を大幅に低減する(すなわち、細胞の濃度を上昇させる)ことが望ましい場合がある。例えば、一態様において、20億個/mlの細胞濃度が使用される。一態様において、10億個/mlの細胞濃度が使用される。さらなる態様において、1億個超/mlの細胞が使用される。さらなる態様において、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万、または5000万個/mlの細胞濃度が使用される。さらに別の態様において、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、または1億個/mlの細胞濃度が使用される。さらなる態様において、1億2500万または1億5000万個/mlの細胞濃度が使用される。高い濃度を使用して、細胞収量、細胞活性化、および細胞拡大増殖の増大をもたらすことができる。
T細胞はまた、洗浄工程後に凍結させることができ、これは、単球除去工程を必要としない。理論に束縛されるものではないが、凍結およびその後の融解工程は、細胞集団中の顆粒球を除去および単球をある程度まで除去することによって、より均一な生成物を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄工程の後に、細胞を凍結溶液中に懸濁してよい。多くの凍結溶液およびパラメーターが当技術分野において公知であり、この状況において有用であるが、ある非限定例として、一方法は、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含有するPBS、または他の好適な細胞凍結媒体を使用することを伴う。次いで、細胞は、1分間あたり1℃の速度で-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相中で貯蔵される。他の制御された凍結方法を使用しても、-20℃でまたは液体窒素中で直ちに凍結する未制御の方法を使用してもよい。
一態様において、T細胞の集団は、末梢血単核細胞、臍帯血細胞、精製されたT細胞集団およびT細胞株などの細胞内に含まれる。別の態様において、末梢血単核細胞は、T細胞の集団を含む。さらに別の態様において、精製されたT細胞は、T細胞の集団を含む。
特定の態様において、制御性T細胞(Treg)を試料から単離することができる。試料は、臍帯血または末梢血を含むことができるが、これらに限定されない。特定の態様において、Tregは、フローサイトメトリー選別によって単離される。当技術分野において公知の任意の手段による単離の前に、試料をTregについて濃縮することができる。単離されたTregを、使用前に、凍結保存し、かつ/または拡大増殖させることができる。Tregを単離するための方法は、米国特許第7,754,482号、第8,722,400号および第9,555,105号、ならびに米国特許出願第13/639,927号に記載されており、これらの内容は、その全体が本明細書に組み入れられる。
免疫細胞の拡大増殖
対象のCARを発現するための細胞の改変の前か後かを問わず、細胞を、例えば、米国特許第6,352,694号;第6,534,055号;第6,905,680号;第6,692,964号;第5,858,358号;第6,887,466号;第6,905,681号;第7,144,575号;第7,067,318号;第7,172,869号;第7,232,566号;第7,175,843号;第5,883,223号;第6,905,874号;第6,797,514号;第6,867,041号;および米国公報第20060121005号に記載されているような方法を使用して、活性化させてその数を増大させることができる。例えば、本発明の免疫細胞を、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する作用物質および免疫細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドに付着した表面と接触させることによって拡大増殖させてよい。特に、免疫細胞集団を、表面上に固定化された抗CD3抗体もしくはその抗原結合断片、または抗CD2抗体と接触させることによって、または、カルシウムイオノフォアと併せてタンパク質キナーゼCアクチベーター(例えば、ブリオスタチン)と接触させることによって刺激してよい。免疫細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子と結合するリガンドが使用される。例えば、免疫細胞の増殖を刺激するのに適した条件下で、免疫細胞を抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることができる。抗CD28抗体の例は、9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone, Besancon, France)を含み、これらを、当技術分野において公知である他の方法および試薬と同様に本発明において使用することができる(例えば、ten Berge et al., Transplant Proc. (1998) 30(8): 3975-3977; Haanen et al., J. Exp. Med. (1999) 190(9): 1319-1328; および Garland et al., J. Immunol. Methods (1999) 227(1-2): 53-63を参照のこと)。
本明細書に開示の方法による免疫細胞の拡大増殖は、約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍以上、およびそれらの間のあらゆる全整数または部分整数だけ倍加させることができる。一態様において、免疫細胞は、約20倍〜約50倍の範囲で拡大増殖する。
培養に続いて、免疫細胞を、培養装置内の細胞培地中で、一定期間にわたってまたは細胞がコンフルエンシーもしくは高い細胞密度に達するまで最適な継代のためにインキュベートした後に、細胞を別の培養装置に移すことができる。培養装置は、細胞をインビトロで培養するために通常使用される任意の培養装置であることができる。好ましくは、コンフルエンスのレベルは、細胞を別の培養装置に移す前に70%以上である。より好ましくは、コンフルエンスのレベルは、90%以上である。一定期間は、細胞をインビトロで培養するために好適な任意の時間であることができる。免疫細胞培地を、免疫細胞の培養の間、任意の時間に交換してよい。好ましくは、免疫細胞培地は、約2〜3日毎に交換される。次いで、培養装置から免疫細胞を収集し、そこで、免疫細胞を直ちに使用するか、または後で使用するために貯蔵するための凍結保存をすることができる。一態様において、本発明は、拡大増殖した免疫細胞を凍結保存することを含む。凍結保存された免疫細胞は、核酸を免疫細胞に導入する前に融解される。
別の態様において、該方法は、免疫細胞を単離することおよび免疫細胞を拡大増殖させることを含む。別の態様において、本発明は、拡大増殖の前に免疫細胞を凍結保存することをさらに含む。さらに別の態様において、凍結保存された免疫細胞は、キメラ膜タンパク質をコードするRNAでのエレクトロポレーションのために融解される。
細胞のエクスビボ拡大増殖のための別の手順は、米国特許第5,199,942号(参照によって本明細書に組み入れられる)に記載されている。米国特許第5,199,942号に記載されているような拡大増殖は、本明細書に記載の他の拡大増殖法の代用となるかまたはそれに追加することができる。簡潔に述べると、免疫細胞のエクスビボ培養および拡大増殖は、米国特許第5,199,942号に記載されているような細胞成長因子、またはflt3-L、IL-1、IL-3およびc-kitリガンドなどの他の因子の添加を含む。一態様において、免疫細胞を拡大増殖させることは、免疫細胞をflt3-L、IL-1、IL-3およびc-kitリガンドからなる群より選択される因子と培養することを含む。
本明細書に記載の通りの培養工程(本明細書に記載の通りの作用物質との接触またはエレクトロポレーション後)は、非常に短い、例えば、24時間未満、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、または23時間であることができる。本明細書にさらに記載の通りの培養工程(本明細書に記載の通りの作用物質との接触)は、より長い、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、または以上の日数であることができる。
様々な用語が、培養中の細胞を説明するために使用される。細胞培養は、一般には、生きている生物から採取して、制御された条件下で細胞を増殖させることを指す。初代細胞培養は、最初の継代培養前の、生物から直接採取された細胞、組織、または臓器の培養である。細胞は、増殖培地中、細胞増殖および/または分裂を容易にする条件下に置いたときに、培養中に拡大増殖し、その結果としてより大きな細胞集団をもたらす。細胞が培養中に拡大増殖するとき、その細胞増殖速度は、典型的には、細胞が2倍の数になるのに必要な時間の長さ(別名「倍加時間」として知られている)で測定される。
継代培養の各ラウンドは、継代と呼ばれる。細胞が継代培養されると、それらは、継代されていると呼ばれる。特定の細胞集団、または細胞株は、時に、継代されている回数で呼ばれるか、またはそれによって特徴付けられる。例えば、10回継代されている培養細胞集団は、P10培養物と呼ばれ得る。初代培養物、すなわち、組織から細胞を単離した後の最初の培養物は、P0と呼ばれる。最初の継代培養の後、細胞は、二番目の培養物(P1または1代継代)と説明される。二番目の継代培養後、細胞は、第三培養物(P2または2代継代)になる(同じように続く)。継代期間中に多くの集団倍加があり得ること;それ故、培養物の集団倍加数が継代数より大きいことが当業者によって理解されるであろう。継代間の期間中の細胞の拡大増殖(すなわち、集団倍加の数の増大)は、播種密度、基質、培地および継代間の時間を非限定的に含む多くの要因に依存する。
一態様において、細胞は、数時間(約3時間)〜約14日またはそれらの間の任意の整数の時間単位にわたって培養されてよい。免疫細胞培養に適した条件は、血清(例えば、ウシ胎児血清またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGF-β、およびTNF-αを含めた増殖および生存能に必要な因子または当業者に公知の細胞の増殖のための他の任意の添加物を含有し得る、適切な培地(例えば、Minimal Essential MediaまたはRPMI Media 1640またはX-vivo 15(Lonza))を含む。細胞の増殖のための他の添加物は、界面活性剤、プラスマネートおよび還元剤、例えばN-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノールを含むが、これらに限定されない。培地は、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびビタミンが添加された、血清フリーであるか、または適量の血清(または血漿)もしくは規定されたホルモンのセットならびに/もしくは免疫細胞の増殖および拡大増殖のために十分な一定量のサイトカインのいずれかが加えられた、RPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15、およびX-Vivo 20、Optimizerを含むことができる。抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験培養物にのみ含められ、対象に輸注されるべき細胞の培養物には含められない。標的細胞は、増殖を支援するために必要な条件下、例えば適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5% CO2)の下で維持される。
免疫細胞を培養するために使用される培地は、免疫細胞を共刺激することができる作用物質を含み得る。例えば、CD3を刺激することができる作用物質は、CD3に対する抗体であり、そして、CD28を刺激することができる作用物質は、CD28に対する抗体である。この理由は、本明細書に開示のデータによって実証される通り、本明細書に開示の方法によって単離された細胞を、およそ10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍、またはそれ以上、拡大増殖させることができるからである。一態様において、免疫細胞は、約20倍〜約50倍の範囲で、またはエレクトロポレーションした集団を培養することによってより多く、拡大増殖する。一態様において、ヒト制御性T細胞は、抗CD3抗体がコートされたKT64.86人工抗原提示細胞(aAPC)を介して拡大増殖する。免疫細胞を拡大増殖および活性化させるための方法は、米国特許第7,754,482号、第8,722,400号および第9,555,105号に見いだすことができ、これらの内容は、その全体が本明細書に組み入れられる。
一態様において、免疫細胞を拡大増殖させる方法は、拡大増殖した免疫細胞をさらなる適用のために単離することをさらに含むことができる。別の態様において、拡大増殖させる方法は、その後の拡大増殖した免疫細胞のエレクトロポレーションとそれに続く培養をさらに含むことができる。その後のエレクトロポレーションは、作用物質をコードする核酸を導入すること、例えば、核酸を用いて、拡大増殖した免疫細胞を形質導入すること、拡大増殖した免疫細胞をトランスフェクトすること、または拡大増殖した免疫細胞をエレクトロポレーションすることで、拡大増殖した免疫細胞集団にすることを含んでよく、該作用物質は、免疫細胞をさらに刺激するものである。作用物質は、免疫細胞を、例えば、さらなる拡大増殖、エフェクター機能、または別の免疫細胞機能を刺激することによって刺激し得る。
治療方法
本明細書に記載の改変された免疫細胞(例えば、制御性T細胞)は、免疫療法、特に抑制免疫療法のための組成物中に含めてよい。組成物は、薬学的組成物を含んでよく、薬学的に許容される担体をさらに含んでよい。改変された免疫細胞を含む薬学的組成物の治療有効量を投与してよい。
一局面において、本発明は、本発明の改変された免疫細胞(例えば、制御性T細胞)をその必要のある対象に投与する工程を含む、養子細胞移入療法のための方法を含む。別の局面において、本発明は、改変された免疫細胞集団をその必要のある対象に投与する工程を含む、対象における疾患または病状を治療する方法を含む。
一態様において、その必要のある対象における疾患または病状を治療する方法は、対象のCAR(例えば、HLA-A2 CAR)を含む改変されたTregの治療有効量を対象に投与する工程を含む。一態様において、その必要のある対象における疾患または病状を治療する方法は、対象のCAR(例えば、HLA-A2 CAR)を含む改変されたTregの治療有効量を対象に投与する工程を含み、対象のCARは、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68に結合することができる抗原結合ドメインを含む。一態様において、HLA-A2特異的CARは、CD8シグナルペプチド、HLA-A2 VHドメイン、スペーサー配列、HLA-A2 VLドメイン、CD8ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメイン、およびCD3ζ細胞内ドメインを含む。
本発明のHLA-A2 CARは、免疫細胞(例えば、制御性T細胞)を、HLA-A2同種抗原を発現する標的に再指向させることができる。よって、本発明の対象のCARは、同種抗原特異的CARである。本発明のHLA-A2 CARを発現するTregは、HLA-A2結合による活性化時、改変されたTregの増殖を誘導し、改変されたTregの抑制機能を増強する。
本発明の対象のCARを含む改変された免疫細胞が投与されると、移植された組織は、拒絶反応から保護される。一態様において、本発明の対象のCARを含む改変された免疫細胞(例えば、HLA-A2 CARを含むTreg)は、HLA-A2特異的免疫抑制を媒介することができる。一態様において、本発明の対象のCARを含む改変された免疫細胞(例えば、HLA-A2 CARを含むTreg)は、同種抗原(例えば、HLA-A2抗原)に反応してT細胞増殖を抑制することができる。いくつかの態様において、細胞、組織、および/または臓器の移植時に、HLA-A2は、移植された細胞、組織、および/または臓器上で遍在的に発現され得る。そのような場合、移植された細胞、組織、および/または臓器への実質的な免疫細胞浸潤が起こり、その結果として、移植された細胞、組織、および/または臓器の破壊が生じ得る。したがって、いくつかの態様において、本発明の対象のCARを含む改変された免疫細胞(例えば、HLA-A2 CARを含むTreg)は、免疫細胞の浸潤を低減させることができ、したがって、移植された細胞、組織、および/または臓器を破壊から保護することができる。いくつかの場合に、移植された細胞、組織、および/または臓器は、毒性を媒介し得る。したがって、いくつかの態様において、本発明の対象のCARを含む改変された免疫細胞(例えば、HLA-A2 CARを含むTreg)は、移植された細胞、組織、および/または臓器によって媒介される毒性を低減させることができる。
したがって、本発明は、その必要のある対象において予防的治療効果を達成するための方法、ならびに/または、その必要のある対象(例えば、同種反応もしくは自己免疫反応を経験しているおよび/もしくはそれを患っている対象)において免疫抑制効果を達成するための方法を提供する。いくつかの態様において、その必要のある対象において予防的治療効果を達成するための方法、および/または、同種反応もしくは自己免疫反応を有するその必要のある対象において免疫抑制効果を達成するための方法は、本発明の対象のCARを含む改変された免疫細胞を対象に投与する工程を含む。一態様において、本発明は、HLA-A2に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む改変された制御性T細胞を対象に投与する工程を含む、同種反応または自己免疫反応を有するその必要のある対象において免疫抑制効果を達成するための方法であって、CARが、HLA-A2結合ドメイン、CD8ヒンジドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメイン、およびCD3ζ細胞内ドメインを含む、方法を提供する。一態様において、本発明は、HLA-A2に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む改変された制御性T細胞を対象に投与する工程を含む、その必要のある対象において予防的治療効果を達成するための方法であって、CARが、HLA-A2結合ドメイン、CD8ヒンジドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメイン、およびCD3ζ細胞内ドメインを含む、方法を提供する。
1型糖尿病は、膵島β細胞の破壊、低インスリン血症および重度に変化したグルコース恒常性をもたらす、T細胞媒介性自己免疫疾患である。制御性T細胞(Treg)の減退は、1型糖尿病の発生において役割を果たし得る。免疫恒常性維持の間、Tregは、自己反応性エフェクターT細胞の作用を相殺し、それによって、末梢性寛容に関与する。したがって、エフェクターT細胞とTregとの間の不均衡は、末梢性寛容の破綻に寄与し、1型糖尿病の発生を導き得る。いくつかの態様において、本発明の対象のCARを含む改変された免疫細胞(例えば、HLA-A2 CARを含むTreg)は、1型糖尿病などのT細胞媒介性自己免疫疾患を抑制することができる。したがって、本発明は、その必要のある対象における糖尿病を治療する方法であって、本発明の対象のCARを含む改変された免疫細胞を対象に投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの態様において、HLA-A2に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を含む改変された制御性T細胞を対象に投与する工程を含む、その必要のある対象における糖尿病を治療する方法であって、CARが、HLA-A2結合ドメイン、CD8ヒンジドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメイン、およびCD3ζ細胞内ドメインを含む、方法が提供される。いくつかの態様において、糖尿病は、I型糖尿病である。
特定の態様において、CARは、SEQ ID NO:24の核酸配列によってコードされる。特定の態様において、CARは、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含む。
特定の態様において、改変された免疫細胞は、改変された制御性T細胞(Treg)である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、自家細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、改変された制御性T細胞)は、ヒトに由来する。
CARは、制御性T細胞を、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68を発現する組織に再指向させることができ、したがって、移植された組織を拒絶反応から保護することを増強することができる。特異的なHLA-A2をコードする核酸を含むT細胞を、組織移植の前、組織移植時、または組織移植の直後に、対象に投与することができる。
本発明の方法は、肺、心臓、心臓弁、皮膚、肝臓、手、腎臓、膵臓、腸、胃、胸腺、骨、腱、角膜、精巣、神経、静脈、血液、骨髄、幹細胞、ランゲルハンス島細胞および造血細胞を非限定的に含めたあらゆるタイプの移植された臓器、組織または細胞を拒絶反応から保護することを含むと解釈されるべきである。本発明の方法はまた、移植片対宿主病(GVHD)に対する保護も含む。
特定の態様において、対象には、CARに加えて、免疫抑制薬などの二次的処置を施与することができる。免疫抑制薬の例は、プレドニゾン、アザチオプリン、タクロリムスおよびシクロスポリンAを含むが、これらに限定されない。
薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わされた本明細書に記載の通りの改変された免疫細胞を含み得る。そのような組成物は、中性の緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;ポリペプチドまたはグリシンなどのアミノ酸;酸化防止剤;EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤;補助剤(例えば、水酸化アルミニウム);および保存料を含み得る。本発明の組成物は、好ましくは、静脈内投与用に製剤化される。
本発明の薬学的組成物は、治療(または予防)されるべき疾患に適切な様式で投与されてよい。投与の量および頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患のタイプおよび重症度などの要因によって決定されるが、適切な投与量は臨床試験によって決定されてよい。
投与される本発明の細胞は、治療を受ける対象に関して自家、同種、または異種であり得る。
本発明の細胞は、適切な前臨床および臨床の実験および試験において決定されるべき投与量および経路および時点で投与することができる。細胞組成物は、これらの範囲内の投与量で複数回投与されてよい。本発明の細胞の投与は、当業者によって決定される通りの所望の疾患または病状を治療するのに有用な他の方法と組み合わせてよい。
また、本発明の免疫細胞集団、そのような細胞を含有するおよび/またはそのような細胞が濃縮された組成物、例えば、組換え受容体を発現する細胞が、組成物中の細胞全体に対して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上を構成するかまたは制御性T細胞などの特定のタイプの細胞を構成する、組成物も提供される。中でも、組成物は、投与用の、例えば養子細胞療法用の薬学的組成物および製剤である。また、細胞および組成物を、対象、例えば、患者に投与するための治療法も提供される。
また、薬学的組成物および製剤を含めた投与のための細胞を含む組成物、例えば、所与の用量またはその画分での投与のための細胞数を含む単位用量形態組成物も提供される。薬学的組成物および製剤は、一般には、1つまたは複数のオプションの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの追加の治療物質を含む。
用語「薬学的製剤」は、そこに含有される活性成分の生物学的活性が有効となるような形態であり、かつ、製剤を投与する対象に対して許容できない毒性を示す追加の成分を含有しない、調製物を指す。「薬学的に許容される担体」は、対象に対して無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、緩衝液、賦形剤、安定剤または保存料を含むが、これらに限定されない。いくつかの局面において、担体の選択は、一部には、特定の細胞によっておよび/または投与方法によって決定される。したがって、多種多様な好適な製剤がある。例えば、薬学的組成物は、保存料を含有することができる。好適な保存料は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを含み得る。いくつかの局面において、2または複数の保存料の混合物が使用される。保存料またはその混合物は、典型的には、組成物の総重量に対して約0.0001%〜約2%の量で存在する。担体は、例えば、by Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。
薬学的に許容される担体は、一般には、用いられる投与量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸、クエン酸および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン類;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。
緩衝剤が、いくつかの局面において、組成物に含まれる。好適な緩衝剤は、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウムならびに様々な他の酸および塩を含む。いくつかの局面において、2種またはそれより多くの緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には、組成物の総重量に対して約0.001%〜約4%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)により詳述されている。
製剤は、水溶液を含むことができる。製剤または組成物はまた、細胞で治療される特定の適応症、疾患、または病状に有用な2以上の活性成分、好ましくは細胞を補完する活性を有するものを含有し得るが、この場合、それぞれの活性は、互いに悪影響を及ぼさない。そのような活性成分は、好適には、意図する目的に効果的な量で組み合わされて存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な作用物質または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチンおよび/またはビンクリスチンをさらに含む。薬学的組成物は、いくつかの態様において、疾患または病状を治療または予防するのに有効な量、例えば、治療有効量または予防有効量で細胞を含有する。治療有効性または予防有効性は、いくつかの態様において、治療される対象を定期的に評価することによってモニタリングされる。細胞の単回ボーラス投与によって、細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の連続輸注投与によって、所望の投与量を送達することができる。
製剤は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、経肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、頬側、舌下または坐剤投与のための製剤を含む。いくつかの態様において、細胞集団は、非経口投与される。用語「非経口」は、本明細書において使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、腟内および腹腔内投与を含む。いくつかの態様において、細胞は、静脈内、腹腔内または皮下注射による末梢全身送達を使用して対象に投与される。組成物は、いくつかの態様において、無菌の液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液または粘性組成物として提供され、これらは、いくつかの局面において、選択されたpHに緩衝化され得る。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物および固体組成物より調製しやすい。追加的に、液体組成物が、投与に、とりわけ、注射による投与にいくらか便利である。他方で、粘性組成物を、特定の組織とのより長い接触期間をもたらすように適切な粘性範囲内で製剤化することができる。液体組成物または粘性組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる、担体を含むことができる。
無菌注射液は、溶媒中に、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの好適な担体、希釈剤または賦形剤と混合された溶媒中に細胞を取り入れることによって、調製することができる。組成物は、望ましい投与経路および調製に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化もしくは粘性増強添加物、保存料、着香剤および/または着色剤などの補助物質を含有することができる。いくつかの局面において、好適な調製物を調製するために標準的な教科書に助言を求めてよい。
抗菌保存料、酸化防止剤、キレート剤、および緩衝液を含む、組成物の安定性および無菌性を増強する様々な添加物を添加することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールおよびソルビン酸によって保証することができる。注射用薬学的剤形の長期吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによってもたらすことができる。
インビボ投与に使用されるべき製剤は、一般に無菌のものである。無菌は、例えば滅菌濾過膜で濾過することによって、容易に達成され得る。
一般に、本明細書に記載の改変された免疫細胞を含む薬学的組成物は、104〜109の細胞/体重kg、いくつかの場合には、105〜106の細胞/体重kgであって、これらの範囲内の全ての整数値を含めた投与量で投与してよいことが分かる。また、免疫細胞組成物を、これらの投与量で複数回投与してもよい。免疫療法において一般的に知られている輸注技法を使用して、細胞を投与することができる(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319:1676, 1988を参照のこと)。特定の患者に対する最適な投与量および処置レジメンは、医学分野の当業者が、疾患の徴候に関して患者をモニタリングして、それに応じて処置を調節することによって、容易に決定することができる。
本発明の改変された免疫細胞の投与は、当業者に公知の任意の簡便な様式で行ってよい。本発明の細胞を、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸血、インプランテーションまたは移植によって対象に投与してよい。本明細書に記載の組成物を、経動脈、皮下、皮内、腫瘍内、結節内(intranodally)、骨髄内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射によって、または腹腔内で患者に投与してよい。他の場合には、本発明の細胞は、対象における炎症部位、対象における局所疾患部位、リンパ節、臓器、腫瘍などに直接注射される。
本発明において有用である方法および組成物は、実施例に示される特定の製剤に限定されないことが理解されるべきである。以下の実施例は、本発明の細胞の製造および使用法、その拡大増殖および培養法、ならびに治療法の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されるものであり、本発明者等が本発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものではない。
本発明の実施は、特に指定のない限り、十分に当業者の権限の範囲内である、分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技法を用いる。そのような技法は、"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", fourth edition (Sambrook, 2012); "Oligonucleotide Synthesis" (Gait, 1984); "Culture of Animal Cells" (Freshney, 2010); "Methods in Enzymology" “Handbook of Experimental Immunology" (Weir, 1997); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (Miller and Calos, 1987); "Short Protocols in Molecular Biology" (Ausubel, 2002); "Polymerase Chain Reaction: Principles, Applications and Troubleshooting", (Babar, 2011); "Current Protocols in Immunology" (Coligan, 2002)などの文献に十分に説明されている。これらの技法は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生産に適用可能であり、よって、これらを本発明の作成および実施において考慮してよい。特定の態様に対する特に有用な技法を以下のセクションにおいて考察する。
本明細書において言及または引用される論文、特許および特許出願、ならびに全ての他の文書および電子的に入手可能な情報の内容は、それぞれの個々の刊行物が参照によって組み入れられることを具体的かつ個々に示されているかのように、参照によってそれらの全体が同程度に本明細書に組み入れられる。出願人等は、そのような任意の論文、特許、特許出願または他の物理的および電子文書からのあらゆる資料および情報を本出願中に物理的に組み込む権利を有する。
本発明は、その具体的な態様を参照しながら記載してきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱しなければ、様々な変更を行っても等価物に置換してもよいことが、当業者によって理解されるべきである。本明細書に開示の態様の範囲から逸脱しなければ、好適な等価物を使用して本明細書に記載の方法の他の好適な改変および適合を行ってよいことが、当業者には容易に明らかとなろう。加えて、多くの改変を行って、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの1つまたは複数の工程を本発明の目的、精神および範囲に適合させてもよい。そのような改変は全て、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。ここでは特定の態様を詳細に記載してきたが、同じものが以下の実施例を参照することによってより明確に理解され、以下の実施例は、例証を目的としてのみ含まれるものであって、限定を意図するものではない。
実験例
本発明は、ここで、以下の実施例を参照して記載される。これらの実施例は、例証を目的としてのみ提供されるものであって、本発明は、これらの実施例に限定されず、むしろ本明細書に提供される教示の結果として明白な全ての変形物を包含する。
ここで、これらの実験において用いられる材料および方法を記載する。
3PF12抗体は、以下に由来するものであった:Watkins et al., The isolation and characterization of human monoclonal HLA-A2 antibodies from an immune V gene phage display library. (2000). doi:10.1034/j.1399-0039.2000.550305。
ここで、実験の結果を記載する。
本明細書において、HLA-A2特異的キメラ抗原受容体(CAR)を生成した。HLA-A2特異的CARは、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68に結合することができる抗原結合ドメインを含む。ヒト制御性細胞(Treg)上で発現したとき、当該CARは、抗原特異的抑制を媒介することができる。この新規のCARは、Tregを、HLA-A2、HLA-A28、および/またはHLA-A68を発現する組織に再指向させ、寛容を媒介することができる。
一態様において、CARは、CD8シグナルペプチド、HLA-A2 VHドメイン、フレキシブルなG-Sスペーサー配列、HLA-A2 VLドメイン、CD8ヒンジ領域を含む細胞外ドメイン、CD28膜貫通/細胞内ドメインおよびCD3ζドメインを含む(図1)。別の態様において、CARは、SEQ ID NO:24のヌクレオチド配列によってコードされる。さらに別の態様において、CARは、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含む。CARは、Watkins et al. (2000) doi:10.1034/j.1399-0039.2000.550305に詳述されている3PF12 scFvの一次アミノ酸配列からアセンブルした。重鎖および軽鎖をフレキシブルなG-Sリンカーによって分離させ、レンチウイルスベクターpTRPEに入れた。当該ベクターは、当該CARを細胞表面に指向させるCD8シグナルペプチド、CARの柔軟性のためのCD8ヒンジ領域、およびシグナル伝達のためのCD28膜貫通/細胞内ドメイン+CD3ζドメインを含有する。
本発明のCARは、MacDonald et al.(J Clin Invest. 2016;126(4):1413-142; および J Immunol May 1, 2016, 196 (1 Supplement) 140.6)のCAR、すなわち、3PF12ではなくBB7.2ハイブリドーマに由来し、scFvドメインの後ろにmycタグを含有し、かつCD8ヒンジドメインを欠いている、CARと区別可能である。同様に、本発明のCARと対照的に、Boardman et al.(American Journal of Transplantation. 2016 Dec 1])由来のCARは、3PF12ではなくWatkins et al.((2000) doi:10.1034/j.1399-0039.2000.550305)における3PB2配列に由来し、scFvドメインの後ろにmycタグを含有し、CD8ヒンジドメインを欠いており、そして、シグナル伝達ドメインに続いてeGFPを含有する。
実施例1:HLA-A2特異的T細胞
初代ヒトCD8+T細胞を、正常なドナーアフェレーシス産物から、RosetteSep試薬と室温で20分間インキュベートし、続いて、細胞をLymphoprepの上部に層状化し、室温で400×gにて30分間遠心分離することによって単離した。次いで、細胞を、OPTI-MEM低血清培地(Thermo Fisher Scientific)で3回洗浄し、100×106個の細胞/mLでOPTI-MEMに再懸濁し、インビトロ転写された10μgの3PF12-28z RNAと混合し、そして、BTX830(Harvard Apparatus BTX)を用いて、0.2cmのエレクトロポレーションキュベット中、500Vで700μsエレクトロポレーションした。mMessage mMachine T7転写キット(ThermoFisher Scientific)を用いて製造業者の説明書に従ってインビトロRNA転写を実施し、RNeasy MinElute Clean Up Kit(Qiagen)でクリーンアップした。細胞を、37℃/5% CO2インキュベーター内で16時間インキュベートした後に、F(ab')2断片特異的な抗ビオチン-SP(長いスペーサー)AffiniPureヤギ抗ヒトIgG抗体(Jackson Labs)を用いて氷上で30分間染色し、続いて、PBSで3回洗浄し、PBSで希釈した1μLのストレプトアビジン-PEおよび1μLの抗ヒトCD8-APC-H7(BD Biosciences)とさらに30分間インキュベートした。細胞を、2%パラホルムアルデヒドで固定し、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)で解析した(図2)。3PF12-28z RNAでエレクトロポレーションした細胞は、細胞表面上で検出可能なCAR発現を示した。
図2の通りにエレクトロポレーションした細胞を、GolgiPlug Protein Transport Inhibitor(BD Biosciences)の存在下、融解した、HLAハプロタイプの異なる同種ヒトドナーPBMCと3:1の比で6時間、37℃/5% CO2インキュベーター内で混合した。次いで、細胞を100μLのFixation Medium A(ThermoFisher Scientific)と室温で30分間インキュベートすることによって細胞を固定および透過処理し、洗浄し、次いで、100μLのFixation Medium B(ThermoFisher Scientific)で希釈した3μLのα-IL-2-APCおよび2μLのα-TNF-α-PE-Cy7抗体(BD Biosciences)で染色した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、LSR IIフローサイトメーターで解析した(図3)。CAR+CD8+T細胞は、標的PBMCの表面上のHLA-A2およびHLA-A68分子によって活性化され、IL-2およびTNF-αの産生を引き起こした。一方で、CAR+CD8+T細胞は、3人の別のHLA-A2-かつHLA-A68-のドナーに由来するPBMCによっては活性化されず、このことは、全てではなく特定のHLA分子に対するCARの特異性を実証している。
実施例2:HLA-A2特異的制御性T細胞
ヒト臍帯血ドナーから、CD4+RosetteSep試薬(Stem Cell)とのインキュベーション、Lymphoprep上での層状化、および400×gで30分間の遠心分離とそれに続くCD25磁気ポジティブセレクション(StemCell Technologies)によって、制御性T細胞を単離した。Tregを、α-CD3/α-CD28ビーズ(Gibco)で刺激し、1×GlutaMAXおよび300IU/mLのIL-2を含有する5%ヒトAB血清含有XVIVO15(Invitrogen)中で増殖させ、37℃/5% CO2インキュベーター内に置いた。最初の刺激の48時間後、3PF12-28z CARまたは無関係なCARを発現するように、レンチウイルスベクターでTregに形質導入した。4日目にα-CD3/α-CD28ビーズを除去し、4、6、9、および12日目に上記の完全XVIVO15培地を、必要に応じて消費を仮定してIL-2を入れ替えながら細胞に供給した。細胞を14日目まで静置したら、Tregを3回洗浄してIL-2を除去し、これらを同種T細胞(SL9 WT TCRを発現するためのRNAを用いてエレクトロポレーションされており、16時間前に2.5μMのCFSEで標識されている)およびK562細胞(HLA-A2およびSL9抗原を遺伝子導入により発現する)と、8:1:0.5(Teff:Treg:K562)の比で混合することによって、抗原特異的抑制を評価した。非特異的な抑制機能を調べるために、Tregを、CFSEで標識されたPBMCおよびα-CD3刺激剤ビーズ(Gibco)と、8:1:3(Teff:Treg:ビーズ)の比で混合した。37℃/5% CO2インキュベーター内でのインキュベーションの5日後、細胞を、100μLのPBSで希釈した1μLのCD8-APC-H7および0.5μLのCD4-BV421抗体を用いて4℃で15分間染色した後、洗浄し、固定のために2% PFAに再懸濁した。次いで、細胞をLSR IIフローサイトメーターで解析した(図4)。他の任意の介入なしに、CFSEで標識された標的細胞は、SL9 WT TCRと、K562細胞上に発現されるMHCクラスIによって提示されるSL9ペプチドとの相互作用に起因して分裂し、その結果、CFSEシグナルの希薄化がもたらされる。HLA-A2+CAR Tregを標的細胞と共培養することによって、CFSEシグナルの希薄化が少ないことから明らかなように、細胞分裂が抑制された(青色)。一方で、CFSE標的細胞は、無関係なCAR Treg(緑色)または非Treg CD4+T細胞(赤色)のいずれかと共培養した場合、高度に増殖性であった。Tregの両方のセットが等しい抑制能を有していたことを示すために、図4の右パネルは、共培養中のCFSEで標識されたPBMCおよびTregをα-CD3刺激剤ビーズでポリクローナル刺激したときに、無関係なCAR Treg(緑色)およびHLA-A2+CAR Treg(青色)の両方が等しく、非Treg CD4+細胞(赤色)よりもはるかに高いレベルで抑制することを示す。
実施例3:HLA-A2特異的T細胞は、HLA-A2 + 膵島を標的とする
ヒトドナー由来のHLA-A2+膵島を、NSGマウスの左腎臓被膜下に移植した。3日後、3PF12-28z CARまたは無関係なCD19-28z CARのいずれかを保有するレンチウイルスベクターで形質導入した10×106個のT細胞を静脈内注射した。形質導入していないT細胞を陰性対照として使用した。尿試料を定期的に収集し、ELISAによってヒトc-ペプチドレベルを評価するまで-80℃で貯蔵した(図5)。図5に示す通り、3PF12-28z CAR形質導入T細胞は、ヒトC-ペプチドレベルを枯渇させることができたが、このことは、3PF12-28z CAR形質導入T細胞が、移植されたHLA-A2+膵島を標的としたことを示している。
実施例4:1型糖尿病の治療のためのHLA-A2特異的Treg養子免疫療法
1型糖尿病は、膵島β細胞破壊、低インスリン血症および重度に変化したグルコース恒常性をもたらす、T細胞媒介性自己免疫疾患である。制御性T細胞(Treg)の減退は、1型糖尿病の発生において役割を果たし得る。免疫恒常性の間、Tregは、自己反応性エフェクターT細胞の作用を相殺し、それによって、末梢性寛容に関与する。したがって、エフェクターT細胞とTregとの間の不均衡は、末梢性寛容の破綻に寄与し、1型糖尿病の発生を導き得る。
自家Tregを対象から単離し、エクスビボで刺激して拡大増殖させる。当該TregをHLA-A2 CARによりレンチウイルスベクターで形質導入し、HLA-A2特異的Tregを生産する。HLA-A2特異的Treg、例えば、実施例2において生産されたもの(3PF12-28z CARで形質導入されたTreg)を、1型糖尿病を有する対象に投与する。
他の態様
本明細書における可変部の任意の定義における要素の列記の記述は、列記される要素のうちの任意の単一要素または組み合わせ(もしくはその部分的組み合わせ)としてのその可変部の定義を含む。本明細書におけるある態様の記述は、その態様を、任意の単一の態様としてまたは他の任意の態様もしくはその部分との組み合わせで含む。
本明細書において引用されるありとあらゆる特許、特許出願および刊行物の開示は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。本発明は、具体的な態様を参照しながら開示してきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱しなければ、当業者によって本発明の他の態様および変形物が考案されてよいことが明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような態様および等価な変形物の全てを含むと解釈されるものとする。