以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品を示す。
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るソレノイドSは、電磁弁Vに利用されている。そして、本実施の形態において、その電磁弁Vは、図1に示す緩衝器Dに設けられ、さらに、その緩衝器Dは車両のサスペンションに利用されている。以下に、本実施の形態のソレノイドSを含む緩衝器Dの具体的な構造について説明する。
図1に示すように、緩衝器Dは、シリンダ1と、このシリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン10と、一端がピストン10に連結されて他端がシリンダ1外へと突出するピストンロッド11とを備える。そして、車両における車体と車軸の一方にシリンダ1が連結され、他方にピストンロッド11が連結される。
このように、緩衝器Dは車体と車軸との間に介装されており、車両が凹凸のある路面を走行する等して車輪が車体に対して上下に移動すると、ピストンロッド11がシリンダ1に出入りして緩衝器Dが伸縮し、ピストン10がシリンダ1内を図1中上下(軸方向)に移動する。なお、図1では、ピストンロッド11がシリンダ1から上方へ突出した状態を示しているが、緩衝器Dをどのような向きで車両に取り付けてもよいのは勿論である。
つづいて、シリンダ1の軸方向の一端部には、ピストンロッド11の挿通を許容する環状のヘッド部材12が装着されている。このヘッド部材12は、ピストンロッド11を摺動自在に支持するとともに、シリンダ1の一端を塞ぐ。その一方、シリンダ1の他端はボトムキャップ13で塞がれている。このようにしてシリンダ1内は密閉されており、そのシリンダ1内に気体と液体が封入されている。
より詳しくは、シリンダ1内には、ピストン10から見てピストンロッド11とは反対側にフリーピストン14が摺動自在に挿入されており、このフリーピストン14よりピストン10側に作動油等の液体が充填された液室Lが形成されている。その一方、シリンダ1内におけるフリーピストン14から見てピストン10とは反対側に、エア、窒素ガス等の圧縮ガスが封入されたガス室Gが形成されている。
このように、シリンダ1内の液室Lとガス室Gは、フリーピストン14で仕切られている。そして、緩衝器Dの伸縮時にピストンロッド11がシリンダ1に出入りすると、フリーピストン14がシリンダ1内を図1中上下(軸方向)に動いてガス室Gを拡大したり縮小したりして、シリンダ1に出入りするピストンロッド11の体積分を補償する。
しかし、緩衝器Dの構成は、図示する限りではなく、適宜変更できる。例えば、ガス室Gに替えて液体とガスを収容するリザーバを設け、緩衝器の伸縮時にシリンダとリザーバとの間で液体をやり取りしてシリンダに出入りするピストンロッド体積分を補償してもよい。さらに、緩衝器を両ロッド型にして、ピストンの両側にピストンロッドを設けてもよく、この場合には、ピストンロッド体積を補償するための構成自体を省略できる。
つづいて、シリンダ1内の液室Lは、ピストン10でピストンロッド11側の伸側室L1と、その反対側(反ピストンロッド側)の圧側室L2とに区画されている。このピストン10は、図2に示すように、有底筒状で、外周にシリンダ1の内周に摺接するピストンリング10aが装着される筒部10bと、この筒部10bの一端を塞ぐ底部10cとを含む。以下、説明の便宜上、特別な説明がない限り、図2中上下を単に「上」「下」とする。
すると、ピストン10は、底部10cを下側へ、筒部10bを上側へ向けて配置され、その筒部10bがピストンロッド11の先端部に形成された有天筒状のケース部11aに、筒状のガイド15を介して連結される。そして、そのガイド15の下端とピストン10との間には、環状の弁座部材16が固定されている。さらに、ガイド15の内側には、弁座部材16に離着座する主弁体2が上下動可能に設けられている。
その主弁体2は、上下に分離可能な第一弁体部2Aと第二弁体部2Bとを有し、主弁体2とピストン10の底部10cとの間には、中間室L3が形成されている。この中間室L3は、ピストン10で圧側室L2と仕切られている。また、ピストン10の底部10cには、中間室L3と圧側室L2とを連通する伸側と圧側のポート10d,10eが形成されている。さらに、底部10cの下側には伸側のポート10dの出口を開閉する伸側バルブ20が積層され、底部10cの上側には圧側のポート10eの出口を開閉する圧側バルブ21が積層されている。
また、伸側のポート10dの入口は中間室L3に開口しており、この中間室L3の圧力が伸側バルブ20を開く方向へ作用する。そして、中間室L3の圧力を受けて伸側バルブ20が開くと、中間室L3の液体が伸側のポート10dを通って圧側室L2へと向かう。その一方、圧側のポート10eの入口は圧側室L2に開口しており、この圧側室L2の圧力が圧側バルブ21を開く方向へ作用する。そして、圧側室L2の圧力を受けて圧側バルブ21が開くと、圧側室L2の液体が圧側のポート10eを通って中間室L3へと向かう。
つづいて、主弁体2は、前述のように、上下に分離可能な第一弁体部2Aと第二弁体部2Bとを有する。第一弁体部2Aは、環状であって、その先端部を弁座部材16の内側に軸方向へ移動自在に挿入しつつ、弁座部材16に離着座可能となっている。その一方、第二弁体部2Bは、頭部2cと、この頭部2cの下端から外周側へ張り出すフランジ部2dとを含む。そして、第二弁体部2Bは、頭部2cとフランジ部2dのそれぞれをガイド15の内周に摺接させつつ、その下端が第一弁体部2Aに離着座可能となっている。
また、ガイド15には、伸側室L1に開口する通孔15aが形成されており、伸側室L1の圧力が、第一弁体部2Aと第二弁体部2Bの両方を押し上げて、第一弁体部2Aを弁座部材16から離座させる方向へ作用する。そして、伸側室L1の圧力を受けて第一弁体部2Aが第二弁体部2Bとともに上方へ移動して弁座部材16から離座すると、伸側室L1の液体が第一弁体部2Aと弁座部材16との間にできる隙間を通って中間室L3へと向かう。
その中間室L3は、弁座部材16、第一弁体部2A、及びピストン10の筒部10bの内周側であって、ピストン10の底部10cと第二弁体部2Bとの間に形成されており、この中間室L3の圧力は、第一弁体部2Aに対しては押し下げる方向へ、第二弁体部2Bに対しては押し上げる方向へ作用する。つまり、中間室L3の圧力は、第一弁体部2Aと第二弁体部2Bを上下に分離し、第二弁体部2Bを第一弁体部2Aから離座させる方向へ作用する。そして、中間室L3の圧力を受けて第二弁体部2Bが上方へ移動して第一弁体部2Aから離座すると、中間室L3の液体が第一弁体部2Aと第二弁体部2Bとの間にできる隙間と、通孔15aを通って伸側室L1へと向かう。
つまり、本実施の形態では、ガイド15の通孔15aと、中間室L3と、伸側と圧側のポート10d,10eによって伸側室L1と圧側室L2とを連通する主通路Mが形成されている。そして、その主通路Mに、主弁体2が設けられるとともに、この主弁体2と直列に伸側バルブ20と圧側バルブ21とが設けられている。
つづいて、主弁体2の背面となるフランジ部2dの上面上側には、背圧室L4が形成されている。この背圧室L4の圧力は、第二弁体部2Bを第一弁体部2Aとともに押し下げる方向へ作用する。また、第二弁体部2Bには、途中に絞りOが設けられて伸側室L1の圧力を減圧して背圧室L4へ導く圧力導入通路p1と、この圧力導入通路p1の絞りOより下流に接続される圧力制御通路p2と、中間室L3から背圧室L4へ向かう液体の流れのみを許容するとともに、中間室L3の圧力を減圧して背圧室L4へと導く減圧通路p3が形成されている。
そして、上記した圧力制御通路p2の途中に本実施の形態に係るソレノイドSを含む電磁弁Vが設けられている。その電磁弁Vは、第二弁体部2Bに設けられた弁座22に離着座して圧力制御通路p2を開閉する弁体としてのスプール3と、このスプール3に下向きの推力を与えるソレノイドSとを有して構成される。そして、スプール3がソレノイドSの推力を受けて下向きに進むと弁座22に着座して圧力制御通路p2を閉じる。このように、ソレノイドSの推力は、スプール3を閉じる方向へ作用する。
その一方、背圧室L4の圧力は、スプール3を押し上げる方向へ作用する。そして、背圧室L4の圧力が高まって、その圧力等に起因する上向きの力がソレノイドS等に起因する下向きの力に打ち勝つようになると、スプール3が上方へ移動して弁座22から離座し、圧力制御通路p2を開く。つまり、背圧室L4の圧力は、スプール3を開く方向へ作用し、その背圧室L4の圧力がスプール3の開弁圧に達すると、スプール3が圧力制御通路p2を開く。このように、スプール3が弁座22に離着座して圧力制御通路p2を開閉することを、電磁弁Vが開閉するともいう。
また、本実施の形態では、電磁弁Vが開くと、背圧室L4の液体が圧力制御通路p2を通り、第二弁体部2Bの頭部2cとソレノイドSとの間にできる上側隙間L5へ流出する。この上側隙間L5は、第二弁体部2Bに形成される連通路p4によって中間室L3と連通されている。これにより、電磁弁Vが開くと、液体が圧力制御通路p2を通って背圧室L4から上側隙間L5へ向かうとともに、連通路p4を通って上側隙間L5から中間室L3へと向かう。さらに、連通路p4によって上側隙間L5と中間室L3の圧力が略同じになる。
つづいて、ソレノイドSは、ピストンロッド11のケース部11a内に軸方向に沿うように収容されるコイル4と、このコイル4の内側に設けられる第一固定鉄心5と、この第一固定鉄心5の下方に、第一固定鉄心5と隙間をあけて配置される第二固定鉄心6と、第一固定鉄心5と第二固定鉄心6に対して上下に移動可能な可動鉄心7とを備える。この可動鉄心7は、上下に分離可能な上側の第一分割部材7Aと下側の第二分割部材7Bとを有し、これら第一分割部材7Aと第二分割部材7Bがばね8により離間する方向へ付勢されている。
ここで、コイル4の中心を通る中心線に沿う方向がコイル4の軸方向であり、ここでいうソレノイドSにおける上下とは、コイル4の軸方向の両側にあたる。このため、第二固定鉄心6は、第一固定鉄心5から見てコイル4の軸方向の一方に、第一固定鉄心5と隙間をあけて配置されているといえる。また、可動鉄心7の第一分割部材7Aと第二分割部材7Bは、コイル4の軸方向に分離可能で、ばね8によってコイル4の軸方向に離間する方向へ付勢されているといえる。さらに、第二分割部材7Bは、第一分割部材7Aから見てコイル4の軸方向の一方に配置されているといえる。
また、本実施の形態において、コイル4は、通電のためのハーネス40とモールド樹脂で一体化されており、そのハーネス40は、ピストンロッド11の内側を通って緩衝器Dの外方へ延びて電源に接続されている。そして、コイル4に通電すると磁束が発生し、その磁束が第一固定鉄心5、第一分割部材7A、第二分割部材7B、第二固定鉄心6、ケース部11aの経路で流れ、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合うとともに、第二分割部材7Bが第二固定鉄心6に向けて下方へ吸引されて、スプール3に下向きの推力を与える。
より詳しくは、第一固定鉄心5は、有天筒状で、その蓋部5aを上側へ、筒部5bを下方へ向けて配置される。その一方、第二固定鉄心6は、環状で、その内側にはスプール3の軸部3aが軸方向へ移動自在に挿通されている。さらに、第一固定鉄心5の筒部5bの下端と、第二固定鉄心6との間には、非磁性体からなるフィラーリング9が介装されており、このフィラーリング9によって第一固定鉄心5と第二固定鉄心6との間に磁気的な空隙が形成される。
また、可動鉄心7における第一分割部材7Aは、第一固定鉄心5の内側に上下(軸方向)に移動自在に挿入されている。この第一分割部材7Aは、有天筒状で、その蓋部7cを上側へ、筒部7dを下方へ向けて配置されている。第一分割部材7Aの蓋部7cと第一固定鉄心5の蓋部5aとの間には、ゴム又は合成樹脂等の非磁性体からなるシート50が設けられている。そして、このシート50によって通電時に第一分割部材7Aが第一固定鉄心5に吸着されるのが防止され、第一分割部材7Aの上下動が保障される。
なお、本実施の形態では、シート50が第一固定鉄心5に貼り付けられている。しかし、そのシート50は、第一分割部材7Aに取り付けられていてもよい。さらに、通電時に第一分割部材7Aが第一固定鉄心5に吸着されるのを防止する吸着防止部材はシート50に限られず、板ばね等であってもよい。さらには、第一固定鉄心5が筒状で、蓋部5aの部分が非磁性体からなる場合には、シート50等の吸着防止部材を省略してもよい。
その一方、可動鉄心7における第二分割部材7Bは、第一固定鉄心5の外方であって、第一固定鉄心5の下側(第二固定鉄心6側)に配置されている。そして、この第二分割部材7Bの下面に、スプール3における軸部3aの上端が当接している。また、第二分割部材7Bと第二固定鉄心6との間には、板ばね60が設けられており、この板ばね60によって通電時に第二分割部材7Bが第二固定鉄心6に吸着されるのが防止され、第二分割部材7Bの上下動が保障される。
なお、本実施の形態では、板ばね60が第二固定鉄心6に積層されている。しかし、その板ばね60は、第二分割部材7Bに取り付けられていてもよい。さらに、通電時に第二分割部材7Bが第二固定鉄心6に吸着されるのを防止する吸着防止部材は板ばね60に限られず、ゴム又は合成樹脂等の非磁性体からなるシートであってもよい。
また、第一分割部材7Aの筒部7dの下端は、通電時に第二分割部材7Bの外周部に吸着できる。そして、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bとで囲まれるようにばね室L6が形成されて、そのばね室L6にばね8が配置される。前述のように、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bは、そのばね8によって上下に分離(離間)する方向へ付勢される。なお、本実施の形態において、ばね8はコイルばねであるが、皿ばね、板ばね等のコイルスばね以外のばねであってもよいのは勿論である。
また、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bには、それぞれ、ばね室L6を外方(可動鉄心7の外側)へ連通する孔7e,7fが形成されている。これにより、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが吸着された状態であっても分離された状態であっても、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bの上下動が保障される。また、第一分割部材7Aに形成される孔7eは絞りとなっており、液体の流れに抵抗を与えて第一分割部材7Aの動作を緩慢にする。
つづいて、図3には、ソレノイドSへ供給する電流量と、ソレノイドSがスプール3に与える力との関係が示されている。この図3中、Iaは、第二分割部材7Bから離れた状態にある第一分割部材7Aを第二分割部材7Bに吸着させるのに最低限必要な電流量であり、Ibは、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bの吸着を維持するのに最低限必要な電流量である。なお、Icについては、後述する。
まず、ソレノイドSへ供給する電流量がゼロの場合、つまり、ソレノイドSの非通電時には、ばね8の付勢力により第一分割部材7Aがシート50を介して第一固定鉄心5の蓋部5aに押し付けられるとともに、第二分割部材7Bがスプール3とともに押し下げられる。これにより、ソレノイドSの非通電時には、スプール3がばね8による下向きの力を受ける。換言すると、ソレノイドSの非通電時には、ソレノイドSはスプール3に、ばね8の付勢力に起因する下向きの力を与える。
次に、ソレノイドSへ供給する電流量を増やしていく場合、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合う力が大きくなるとともに、第二分割部材7Bを第二固定鉄心6へ吸引する力も大きくなる。このような場合、ソレノイドSへ供給する電流量がIa未満の領域では、ばね8の付勢力によって第一分割部材7Aが第二分割部材7Bから離れてシート50に支えられ、ばね8が第二分割部材7Bをスプール3とともに押し下げようとするが、ソレノイドSへの通電量が増えて第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合う力が大きくなるほど第二分割部材7Bの第二固定鉄心6側(下方)への移動が妨げられる。これにより、電流量がIa未満の領域では、ソレノイドSへ供給する電流量を増やすほどソレノイドSがスプール3に与える下向きの力が減少する。
その一方、ソレノイドSへ供給する電流量を増やしていく場合であって、その電流量がIa以上の領域では、ばね8の付勢力に抗して第一分割部材7Aが第二分割部材7Bに引き寄せられて吸着される。このような状態では、ばね8が可動鉄心7の内部に格納されて機能しなくなり、第一分割部材7A、第二分割部材7B、及びばね8が一体となって第二固定鉄心6に吸引されるとともに、その吸引力が電流量の増加に比例して大きくなる。これにより、ソレノイドSへ供給する電流量がIa以上の領域では、ソレノイドSへ供給する電流量を増やすほど、その電流量に比例してソレノイドSがスプール3に与える下向きの力が増加する。ここでは、このようなソレノイドSへの通電によって生じる磁力に起因して、ソレノイドSがスプール3に与える力をソレノイドSの推力という。
反対に、ソレノイドSへ供給する電流量を減らしていく場合、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合う力が小さくなるとともに、第二分割部材7Bを第二固定鉄心6へ吸引する力も小さくなる。このような場合、ソレノイドSへ供給する電流量がIb以上の領域では、第一分割部材7Aが第二分割部材7Bに吸着された状態が維持されるので、可動鉄心7を第二固定鉄心6に吸引する力が電流量の減少に比例して小さくなる。このため、ソレノイドSへ供給する電流量がIb以上の領域では、ソレノイドSへ供給する電流量を減らすほど、その電流量に比例してソレノイドSがスプール3に与える下向きの力(推力)が減少する。
その一方、ソレノイドSへ供給する電流量を減らしていく場合であって、その電流量がIb未満の領域では、ばね8の付勢力によって第一分割部材7Aが第二分割部材7Bから離れてシート50で支えられる。これにより、ばね8が再び機能するようになり、第二分割部材7Bをスプール3とともに押し下げようとするので、ソレノイドSへの通電量が減って第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合う力が小さくなるほど第二分割部材7Bの第二固定鉄心6側(下方)への移動を妨げ難くなる。このため、電流量がIb未満の領域では、ソレノイドSへ供給する電流量を減らすほどソレノイドSがスプール3に与える下向きの力が増加する。
また、図3からもわかるように、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bの吸着を維持するのに最低限必要な電流量であるIbは、離間した状態にある第一分割部材7Aを第二分割部材7Bに吸着させるのに最低限必要な電流量であるIaより小さい(Ia>Ib)。このため、ソレノイドSに供給する電流量に対するソレノイドSがスプール3に与える力の特性は、ヒステリシスをもった特性となる。なお、図3では、ソレノイドSへ供給される電流量が小さい領域を誇張して記載している。
また、本実施の形態では、ソレノイドSへ供給する電流量を制御して、ソレノイドSがスプール3に与える力を制御しようとする場合、一旦Ia以上の電流供給をして第一分割部材7Aを第二分割部材7Bに吸着させた後、ソレノイドSへ供給する電流量がIbより大きなIc以上となる範囲で制御される。これにより、ソレノイドSへの通電量を制御する正常時には、第一分割部材7Aが第二分割部材7Bに吸着された状態が維持されるので、ソレノイドSへ供給する電流量と、ソレノイドSがスプール3に与える下向きの力(推力)が比例関係となり、ソレノイドSへ供給する電流量を増やすほどソレノイドSの推力が大きくなる。
以下に、本実施の形態に係るソレノイドSを含む電磁弁Vを備えた緩衝器Dの作動について説明する。
緩衝器Dの伸長時にピストン10がシリンダ1内を上方へ移動して伸側室L1を圧縮し、伸側室L1の圧力が上昇すると、伸側室L1の液体が圧力導入通路p1を通って背圧室L4へ流入し、背圧室L4の圧力が上昇する。そして、この背圧室L4の圧力が、スプール3の開弁圧に達するとスプール3(電磁弁V)が開き、背圧室L4の液体が圧力制御通路p2、上側隙間L5、及び連通路p4を通って中間室L3へと向かう。これにより、緩衝器Dの伸長時には、背圧室L4の圧力が電磁弁Vの開弁圧に制御される。
また、緩衝器Dの伸長時に第一弁体部2A及び第二弁体部2Bに作用する伸側室L1の圧力等による上向きの力が背圧室L4の圧力等による下向きの力を上回るようになると、第一弁体部2Aと第二弁体部2Bが上方へ移動する。すると、第一弁体部2Aと弁座部材16との間に隙間ができて、伸側室L1の液体がその隙間を通って中間室L3へ移動するとともに、中間室L3の液体が伸側バルブ20を開いて圧側室L2へと移動する。
このように、緩衝器Dの伸長時には、主弁体2における第一弁体部2Aと伸側バルブ20が開き、主通路Mを伸側室L1から圧側室L2へ向かう液体の流れに対して、主弁体2と伸側バルブ20によって抵抗が付与される。このため、緩衝器Dの伸長時には伸側室L1の圧力が高まり、緩衝器Dがその伸長作動を妨げる伸側の減衰力を発揮する。
また、ソレノイドSへの通電量を制御する正常時においては、ソレノイドSへ供給する電流量を増やすほどスプール3に下向き(閉じ方向)に作用するソレノイドSの推力が大きくなる。このため、ソレノイドSへ供給する電流量を増やすほどスプール3(電磁弁V)の開弁圧が高くなり、これにより背圧室L4の圧力が高くなる。さらに、この背圧室L4の圧力は、第二弁体部2B及び第一弁体部2Aに下向き(閉じ方向)に作用するので、ソレノイドSへ供給する電流量を増やして背圧室L4の圧力を高くすればするほど、主弁体2における第一弁体部2Aの開弁圧が高くなり、発生する伸側の減衰力が大きくなる。このように、正常時においては、ソレノイドSでスプール3の開弁圧を調整することで、伸側の減衰力が大小調整される。
その一方、ソレノイドSへの通電を断つフェール時には、スプール3(電磁弁V)の開弁圧がばね8の付勢力に応じて決まる。このため、フェール時における背圧室L4の圧力は、ばね8の仕様に応じて決まり、これにより発生する伸側の減衰力が決まる。前述のように、ばね8は、正常時においては、可動鉄心7の内部に格納されて機能しないので、ばね8の仕様は、正常時の伸側の減衰力を考慮せずに自由に設定できる。
反対に、緩衝器Dの収縮時にピストン10がシリンダ1内を下方へ移動して圧側室L2を圧縮し、圧側室L2の圧力が上昇すると、圧側室L2の液体が圧側バルブ21を開いて中間室L3へと移動するとともに、中間室L3の液体が減圧通路p3を通って背圧室L4へと移動する。このとき、スプール3の下流側に位置する上側隙間L5の圧力が中間室L3の圧力と略同圧となっていて、スプール3の上流側に位置する背圧室L4の圧力よりも高くなる。このため、スプール3が閉じた状態に維持されるとともに、このような状態ではソレノイドSの推力がスプール3を介して第二弁体部2Bに下向きに作用する。
また、前述のように、中間室L3の圧力は、第二弁体部2Bに対してのみ上向きに作用するので、その第二弁体部2Bに作用する中間室L3の圧力等による上向きの力がソレノイドSの推力等による下向きの力を上回るようになると、第二弁体部2Bのみが上方へ移動する。すると、第二弁体部2Bと第一弁体部2Aとの間に隙間ができて、中間室L3の液体がその隙間を通って伸側室L1へと移動する。
このように、緩衝器Dの収縮時には、圧側バルブ21と主弁体2における第二弁体部2Bが開き、主通路Mを圧側室L2から伸側室L1へと向かう液体の流れに対して、圧側バルブ21と主弁体2によって抵抗が付与される。このため、緩衝器Dの収縮時には圧側室L2の圧力が高まり、緩衝器Dがその収縮作動を妨げる圧側の減衰力を発揮する。
また、ソレノイドSへの通電量を制御する正常時においては、ソレノイドSへ供給する電流量を増やしてソレノイドSの推力を大きくするほど、第二弁体部2Bに作用する下向き(閉じ方向)の力が大きくなる。このため、ソレノイドSへ供給する電流量を増やしてソレノイドSの推力を大きくするほど、主弁体2における第二弁体部2Bの開弁圧が高くなり、発生する圧側の減衰力が大きくなる。このように、正常時においては、ソレノイドSによって、スプール3を介して第二弁体部2Bを下向きに押す力を調整することで、圧側の減衰力が調整される。
その一方、ソレノイドSへの通電を断つフェール時には、ばね8の付勢力がスプール3を介して第二弁体部2Bへ伝わる。このため、フェール時における圧側の減衰力も、ばね8の仕様に応じて決まる。前述のように、ばね8は、正常時においては、可動鉄心7の内部に格納されて機能しないので、ばね8の仕様は、正常時の圧側の減衰力を考慮せずに自由に設定できる。
以下、本実施の形態に係るソレノイドS、ソレノイドSを備えた電磁弁V、及びソレノイドSを含む電磁弁Vを備えた緩衝器Dの作用効果について説明する。
本実施の形態において、ソレノイドSは、コイル4と、コイル4の軸方向へ離間可能な第一分割部材7Aと第二分割部材7Bとに分割されるとともに、コイル4の軸方向へ移動可能な可動鉄心7と、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bを離間させる方向へ付勢するばね8とを備える。そして、コイル4への通電により第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合うとともに、第二分割部材7Bが自身から見て第一分割部材7Aとは反対側となるコイル4の軸方向の一方へ吸引される。
これにより、ソレノイドSへの通電によりばね8の付勢力に抗して第一分割部材7Aが第二分割部材7Bに引き寄せられると、これらが一体となって第二分割部材7Bの吸引方向であるコイル4の軸方向の一方へ吸引されるとともに、ソレノイドSへ供給する電流量を増やすほどその吸引力が大きくなる。このため、本実施の形態のソレノイドSでは、通電時における第二分割部材7Bを下方へ吸引する力を推力としてスプール3等の対象物に付与するようにすると、ソレノイドSへ供給する電流量を大きくするほどソレノイドSの推力が大きくなり、ソレノイドSへ供給する電流量が小さい場合の推力を小さくできる。
さらには、ソレノイドSの非通電時に、第二分割部材7Bがスプール(対象物)3とともにばね8で通電時の推力と同方向へ付勢されるので、ソレノイドSの非通電時にも通電時の推力と同方向へスプール(対象物)3を付勢できる。加えて、本実施の形態のソレノイドSでは、通電時に第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが一体となって動く場合、ばね8も可動鉄心7と一体となって動き、対象物を付勢するばねとしての機能を発揮しなくなる。このため、通電時におけるソレノイドSの推力と、非通電時にばね8によって対象物に与えられる付勢力とを個別に自由に設定できる。
また、本実施の形態において、ソレノイドSは、コイル4の内側に軸方向に沿って配置される筒状の第一固定鉄心5と、この第一固定鉄心5から見てコイル4の軸方向の一方に、第一固定鉄心5と隙間をあけて配置される第二固定鉄心6とを備えている。そして、第一分割部材7Aが第一固定鉄心5の内側に軸方向へ移動可能に挿入されている。その一方、第二分割部材7Bは、第一分割部材7Aの第二固定鉄心6側に設けられ、コイル4への通電により第二固定鉄心6に吸引される。ここでいう「筒状」とは、筒部の両端が開放された形状と、筒部の一端が閉塞された形状(有天筒状、有底筒状)の両方を含む概念である。
上記構成によれば、コイル4への通電により磁界が発生すると、磁束が第一固定鉄心5、第一分割部材7A、第二分割部材7B、第二固定鉄心6の経路で流れ、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合うとともに、第二分割部材7Bがコイル4の軸方向の一方であって第一分割部材7Aとは反対側へ吸引される。つまり、上記構成によれば、コイル4への通電により第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合うとともに、第二分割部材7Bが自身から見て第一分割部材7Aとは反対側となるコイル4の軸方向の一方へ吸引されるようにするのが容易である。
また、本実施の形態のソレノイドSでは、第一分割部材7Aがコイル4への通電により第二分割部材7Bに吸着されるようになっている。これにより、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが可動鉄心7として一体となった状態を安定的に維持できる。さらに、本実施の形態のソレノイドSでは、第一分割部材7Aを第二分割部材7Bに吸着させるのに最低限必要な電流量であるIaは、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bの吸着を維持するのに最低限必要な電流量であるIbよりも大きい。これにより、ソレノイドSへ供給する電流量に対するソレノイドSがスプール3等の対象物に与える力の特性がヒステリシスをもった特性となる。
また、本実施の形態に係るソレノイドSでは、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bとで囲まれるようにばね8を収容するばね室L6が形成されている。このように、ばね8を可動鉄心7の内側に収容すると、可動鉄心7における磁路の断面積を容易に確保できる。さらに、本実施の形態に係るソレノイドSでは、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bのそれぞれに、ばね室L6とその外方とを連通する孔7e,7fが形成されている。これにより、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが離間した状態であっても吸着した状態であっても、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bの上下に液体が閉じ込められることがなく、第一分割部材7Aと第二分割部材7Bの上下動を保障できる。
また、本実施の形態に係るソレノイドSでは、第一分割部材7Aに形成される孔7eが絞りとなっている。このようにすると、孔7eが第一分割部材7Aの急峻な動作を妨げて動作を緩慢にするダンピング作用を呈するので、第一分割部材7Aが第二分割部材7Bに吸着される場合であっても、その吸着の際の当接音の発生を抑制できる。
なお、コイル4への通電により第一分割部材7Aと第二分割部材7Bが引き合うとともに、第二分割部材7Bが自身から見て第一分割部材7Aの反対側となるコイル4の軸方向の一方へ吸引されるようになっている限り、可動鉄心7の構成、並びに、ばね8の種類、及び配置を適宜変更できる。例えば、ばね8を皿ばね等にした場合には、第二分割部材7Bにばね8を収容する溝を設け、第一分割部材7Aを円盤状にしてもよい。さらに、ばね8を可動鉄心7の外周側に設けてもよい。
また、本実施の形態に係るソレノイドSは、圧力制御通路p2を開閉するスプール(弁体)3とともに電磁弁Vを構成する。そして、ソレノイドSは、コイル4への通電時に生じる第二分割部材7Bをコイル4の軸方向の一方へ吸引する力をスプール(弁体)3に圧力制御通路p2を閉じ方向へ付与する。これにより、ソレノイドSへ供給する電流量の変更により電磁弁Vの開弁圧を調整し、この電磁弁Vより上流側の圧力を電磁弁Vの開弁圧に設定できる。
さらに、前述のように、本実施の形態のソレノイドSでは、通電時において供給される電流量が大きくなるほど対象物に付与する推力を大きくできる。これにより、本実施の形態のソレノイドSを備える電磁弁Vでは、ソレノイドSへ供給する電流量を大きくするほどスプール3の開弁圧を高くできる。加えて、前述のように、本実施の形態のソレノイドSでは、非通電時においても通電時の推力と同方向へ対象物を付勢できる。これにより、本実施の形態のソレノイドSを備える電磁弁Vでは、非通電時の開弁圧をばね8の仕様に応じて決められる。
また、本実施の形態のソレノイドSを含む電磁弁Vは緩衝器Dに設けられている。この緩衝器Dは、電磁弁Vの他に、シリンダ1と、シリンダ1内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッド11と、シリンダ1とピストンロッド11が軸方向へ相対移動する際に液体が流れる主通路Mと、この主通路Mを開閉する主弁体2と、途中に絞りOが設けられて、主通路Mにおける主弁体2より上流側の圧力を主弁体2の背面に減圧して導く圧力導入通路p1と、圧力導入通路p1の絞りOより下流に接続されて上記電磁弁Vが設けられる圧力制御通路p2とを備えている。
上記構成によれば、シリンダ1とピストンロッド11が軸方向へ相対移動する際、主通路Mを通過する液体の流れに対して主弁体2によって抵抗が付与されて、その抵抗に起因する減衰力が発生する。また、主弁体2の背圧が電磁弁Vの開弁圧に設定されるので、ソレノイドSへ供給する電流量の変更により主弁体2の背圧を調整できる。そして、主弁体2の背圧を高くするほど主弁体2の第一弁体部2Aが開き難くなって発生する伸側の減衰力が大きくなる。このため、上記構成によれば、ソレノイドSへ供給する電流量の変更により発生する伸側の減衰力を大小調節できる。
さらに、前述のように、本実施の形態のソレノイドSを含む電磁弁Vでは、ソレノイドSへ供給する電流量を大きくするほど電磁弁Vの開弁圧を高くできる。これにより、本実施の形態のソレノイドSを含む電磁弁Vを備えた緩衝器Dでは、ソレノイドSへ供給する電流量を大きくするほど主弁体2の背圧を高くでき、発生する伸側の減衰力を大きくできる。つまり、上記緩衝器Dでは、ソレノイドSへ供給する電流量が小さい場合に発生する伸側の減衰力を小さくできるので、上記緩衝器Dを車両のサスペンションに利用した場合には、通常走行時の消費電力を少なくできる。また、これによりソレノイドSの発熱を抑制して緩衝器Dの温度変化を小さくできるので、液温変化に起因する減衰力特性(ピストン速度に対する減衰力の特性)の変化を小さくできる。
加えて、前述のように、本実施の形態のソレノイドSを含む電磁弁Vでは、非通電時の開弁圧をばね8の仕様に応じて決められる。このため、本実施の形態のソレノイドSを含む電磁弁Vを備えた緩衝器Dでは、ソレノイドSの非通電時においても主弁体2の背圧を高められる。これにより、上記緩衝器Dでは、ソレノイドSへの通電を断つフェール時であっても、伸側の減衰力が不足するのを防止できる。さらに、上記緩衝器Dでは、背圧室L4に接続されて主弁体2の背圧を設定する通路として圧力制御通路p2を設ければよく、ソレノイドSの通電時と非通電時とで背圧室L4に接続される通路を切換える必要がないので、緩衝器Dの構造が複雑になるのを抑制し、コストを低減できる。
なお、本実施の形態では、緩衝器Dの伸長時にのみ電磁弁Vで主弁体2の背圧を制御して、収縮時には電磁弁Vの推力を直接的に主弁体2に作用させるようになっている。しかし、緩衝器Dの収縮時に電磁弁Vで主弁体の背圧を制御してもよいのは勿論である。
また、シリンダ1に出入りするロッドは、必ずしもピストンが取り付けられたピストンロッドでなくてもよく、電磁弁Vで背圧を制御される主弁体の位置はピストン部に限らない。例えば、前述のように緩衝器がリザーバを備える場合には、伸側室又は圧側室とリザーバとを接続する通路を主通路として主弁体を設け、その主弁体の背圧を電磁弁Vで制御してもよい。また、緩衝器がユニフロー型となっていて、その伸縮時に液体が伸側室、リザーバ、圧側室の順に一方向で循環する場合には、その循環通路を主通路として主弁体を設け、その主弁体の背圧を電磁弁Vで制御してもよい。
さらには、本発明に係るソレノイドを備える電磁弁は、主弁体の背圧を制御する以外に利用されてもよいのは勿論、緩衝器以外に設けられてもよく、本発明に係るソレノイドは、電磁弁以外に利用されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。