JP2021040902A - 粒子線治療装置、粒子線治療装置の制御方法およびコンピュータプログラム - Google Patents

粒子線治療装置、粒子線治療装置の制御方法およびコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】効率的に荷電粒子ビームを照射することができるようにすること。
【解決手段】荷電粒子線60の進行方向に離間して設定される複数のスポット61へ荷電粒子線を照射する照射装置を備える粒子線治療装置であって、照射装置は、荷電粒子ビームの進行方向に離間する複数のスポットを含むグループ62毎に荷電粒子ビームを照射する。
【選択図】図3

Description

本発明は、粒子線治療装置、粒子線治療装置の制御方法およびコンピュータプログラムに関する。
放射線治療では、標的となる腫瘍に対して放射線を照射することにより、腫瘍にダメージを与えて治療する。治療に用いる放射線としては、X線が広く利用されている。線量集中性の高い、陽子線および炭素線に代表される粒子線(荷電粒子ビーム)を利用した粒子線治療への需要も高まっている。荷電粒子ビームは、荷電粒子ビームのエネルギによって定まる特定の深さにピークを有する線量分布(ブラックカーブ)を形成する。このため、粒子線治療では、腫瘍よりも深い位置にある正常組織への線量を大幅に低下させることが可能になる。放射線治療では、できるだけ正確に、かつ、できるだけ集中するよう、所望の線量を腫瘍領域に対して照射することが治療効果の向上につながる。
粒子線治療において、標的に線量を集中させる方法として、スキャニング照射法の利用が広がりつつある。スキャニング照射法は、細い荷電粒子ビームを照射野形成装置内の二組の走査電磁石により偏向させて、平面内の任意の位置に導く。そして、スキャニング照射法では、深さ方向に関しては、荷電粒子ビームのエネルギを変更させることにより、任意の深さに導く。これにより、スキャニング照射法では、腫瘍内部を塗りつぶすようにして、荷電粒子ビームを照射し、腫瘍領域にのみ高い線量を付与する。ビームの照射位置(x座標、y座標)と、エネルギと照射量との組をスポットと呼び、照射するスポットの配置及び照射量は治療計画装置により決定される。
特開2019−133745号公報
Int. J. Radiation Oncol. Bio. Phys, 102(3) pp.619-626, 2018
近年、FLASH照射と呼ばれる超高線量率照射への注目が高まっている。超高線量照射では、腫瘍周辺の正常組織への毒性が低下する可能性が示唆されている。上述の非特許文献1では、従来の散乱体照射法における照射装置を用いて、超高線量率照射を実現する技術が記載されている。
散乱体照射法では、照射野形成装置内の散乱体に荷電粒子ビームを照射することにより荷電粒子ビームを拡大し、次に、ボーラスまたはコリメータ等の患者固有具を用いることにより線量分布を形成する。したがって、散乱体照射法では、細いビームを走査して線量分布を形成するスキャニング照射法に比べて、複雑な腫瘍形状に線量分布を対応することが難しく、中性子の発生も多い。
一方、特許文献1の記載の横方向を主方向としたスキャニング照射法では、エネルギ(照射深さ)毎に、照射野形成装置内の走査電磁石により荷電粒子ビームを走査することにより、腫瘍を塗りつぶすように照射する。従って、腫瘍の深い位置では、高エネルギの荷電粒子ビームが付与する線量によって線量分布が形成されるため、全ての線量が付与されるまでの時間が短く、線量率が高くなる。一方、腫瘍の浅い位置では、低エネルギのビームが付与する線量に加えて、高エネルギのビームが付与した線量も足し合わされることによって線量分布が形成される。したがって、浅い位置では、全ての線量が付与されるまでの時間が長くなり、線量率が低くなる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、効率的に荷電粒子ビームを照射することができるようにした粒子線治療装置、粒子線治療装置の制御方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一つの観点にしたがう粒子線治療装置は、荷電粒子線の進行方向に離間して設定される複数のスポットへ荷電粒子線を照射する照射装置を備える粒子線治療装置であって、照射装置は、荷電粒子線の進行方向に離間する複数のスポットを含むグループ毎に荷電粒子線を照射する。
本発明によれば、荷電粒子線の進行方向に離間して設定される複数のスポットを含むグループ毎に荷電粒子線を照射することができる。
粒子線治療装置の全体構成図である。 粒子線照射制御装置のハードウェア構成図である。 荷電粒子ビームのエネルギを変えながら、荷電粒子ビームの進行方向に並ぶ複数のスポットを照射する様子を示す説明図である。 粒子線照射処理を示すフローチャートである。 治療計画で作成されたスポットデータからグループ毎のデータを生成する様子を示す説明図である。 第2実施例に係り、荷電粒子ビームの照射方法を示す説明図である。 粒子線照射処理を示すフローチャートである。 ユーザインターフェース画面の例を示す説明図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態は、例えば、荷電粒子ビームを加速する加速器12と、荷電粒子ビームの進行方向に照射対象を複数に分割してなる層毎に配置された複数の照射スポット61に、荷電粒子ビームを照射する照射装置25と、を備え、照射装置は、複数の照射スポットが層の異なる照射スポットが含まれるように複数に分割されたグループ62毎に荷電粒子ビームを照射し、一のグループ内の照射スポットに荷電粒子ビームを照射する際に、照射するエネルギを変更しながら荷電粒子ビームを照射する。
例えば、本実施形態では、特許文献1に記載された、一定強度の主磁場中を時間的に周波数変調した高周波電場によって荷電粒子を加速する円形加速器を用いることができる。この加速器を用いて、深さ方向を主方向としたスキャニング照射を行うことにより、浅い位置においても超高線量率で照射可能な粒子線治療装置を提供できる。
本実施形態によれば、スキャニング照射法を用いて、超高線量率照射を実現できる。これにより、複雑な腫瘍形状への対応が容易であり、かつ、中性子の発生を低減可能な、超高線量率照射が可能となる。
本実施形態は、治療計画を作成する装置、方法またはコンピュータプログラムとして把握することもできる。例えば、本実施形態は、荷電粒子ビームの進行方向に照射対象を複数に分割してなる層毎に複数の照射スポット61を配置し、複数の照射スポットを、層の異なる照射スポットが含まれるように複数のグループ62に分割し、複数の照射スポットが層の異なる照射スポットが含まれるように複数に分割されたグループごとに荷電粒子ビームを照射し、一のグループ内の照射スポットに荷電粒子ビームを照射する際に、照射するエネルギを変更しながら荷電粒子ビームを照射する計画を作成する、粒子線治療装置の治療計画装置、方法またはコンピュータプログラム。
コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な形態で記憶媒体に記憶されることができる。記憶媒体とコンピュータとは、有線または無線で接続できる。
図1〜図5を用いて、第1実施例を説明する。本発明は、例えば、陽子線照射システムまたは炭素線照射システムなどの粒子線照射システムに適用することができる。本実施例では、粒子線治療装置として、陽子線照射システムを例にあげて説明する。本実施例では、荷電粒子線の一例は陽子線である。実施例では、荷電粒子線を、荷電粒子線、粒子線、またはビームと略記する場合がある。
図1を用いて粒子線治療装置の全体構成について説明する。粒子線治療装置としての粒子線照射システムは、例えば、粒子線発生装置10と、ビーム輸送系20と、照射装置25と、カウチ33と、粒子線照射制御装置41を備える。
粒子線発生装置10は、例えば、イオン源11と、円形加速器12と、高周波印加装置13と、高周波電源14と、出射用セプタム電磁石15とを備える。
円形加速器12は、一定強度の主磁場中において、時間的に周波数変調した高周波電場により荷電粒子を加速する装置である。円形加速器12から取り出される荷電粒子線のエネルギは、70〜235MeVで可変である。続いて、粒子線発生装置10から荷電粒子線がビーム輸送系20へ出射されるまでの流れについて説明する。
イオン源11から供給された荷電粒子は、円形加速器12の主電磁石内部(図示せず)のビーム加速領域(図示せず)へ入射される。荷電粒子は、主電磁石が励起する磁場からのローレンツ力を受けて、円形加速器12内を周回運動する。周回運動の周期と同期した高周波電場を加速領域に印加することにより、荷電粒子のエネルギは、加速領域を通過する毎に増加する。高周波電場は、周回運動の周期に合わせて、周波数変調される。
所定のエネルギ(例えば70〜250MeV)まで荷電粒子が加速された後、照射制御装置41から粒子線発生装置10へ出射開始信号が出力される。これにより、高周波印加装置13に設置された高周波印加電極(不図示)から、高周波電源14で発生された高周波電力が、円形加速器12を周回する荷電粒子線へ印加される。これにより、荷電粒子線が周回軌道から蹴りだされ、出射用セプタム電磁石15により偏向され、ビーム輸送系へ出射される。
ビーム輸送系20は、複数の四極電磁石(図示せず)と、偏向電磁石21とを備えており、粒子線発生装置10と照射装置25とに接続されている。ビーム輸送系20の一部と照射装置25とは、治療室30内の略筒状のガントリ(不図示)に設置されており、ガントリと共に回転することができる。粒子線発生装置10から出射された荷電粒子線は、ビーム輸送系20内を通過しながら四極電磁石によって収束し、偏向電磁石21により方向を変えて照射装置25へ入射する。
照射装置25は、例えば、二対の走査電磁石251,252と、線量モニタ254と、位置モニタ253とを備える。二対の走査電磁石251,252は、互いに直交する方向に設置されており、標的の位置においてビーム軸に垂直な面内の所望の位置に粒子線が到達するように、粒子線を偏向することができる。
線量モニタ254は、標的へ照射される粒子線の照射量を計測するモニタであり、検出された計測値は粒子線照射制御装置41へ出力される。位置モニタ253は、標的に照射される粒子線の通過位置を検出するモニタであり、検出された検出値を粒子線照射制御装置41へ出力する。照射装置25を通過した粒子線は、照射対象31内の標的に到達する。なお、癌などの患者を治療する場合、照射対象31は患者を表し、標的は腫瘍などを表す。
照射対象31を載せるベッドをカウチ33と呼ぶ。カウチ33は、粒子線照射制御装置41からの指示に基づき、直交する3軸の方向へ移動することができ、さらにそれぞれの軸を中心として回転することができる。これらの移動と回転により、照射対象31の位置を所望の位置に移動することができる。
粒子線照射制御装置41は、例えば、粒子線発生装置10と、ビーム輸送系20と、照射装置25と、カウチ33と、記憶装置42と、コンソール43と、通信装置44などと接続されている。粒子線照射制御装置41は、粒子線発生装置10と、ビーム輸送系20と、照射装置25等の機器を制御する。
通信装置44は、通信ネットワークを介して、データサーバ46に接続されている。通信装置44は、患者へ粒子線を照射する前に、治療計画装置46によって作成された照射パラメータ(ガントリ角度、計画スポットデータ等)をデータサーバ46から通信ネットワークを介して取得する。粒子線照射制御装置41は、通信装置44から受信した照射パラメータを記憶装置42に保存する。
コンソール43は、粒子線照射制御装置41に接続されており、粒子線照射制御装置41から取得した信号に基づいてモニタ上に情報を表示する。さらに、コンソール43は、粒子線治療装置を操作する医療従事者からの入力を受け取り、粒子線照射制御装置41へ様々な制御信号を送信する。
図2を用いて、粒子線照射制御装置41をコンピュータ上に実現する場合の例を説明する。粒子線照射制御装置41は、例えば、マイクロプロセッサ(Central Processing Unit:CPU)411と、メモリ412と、通信インターフェース部(図中、通信IF)413と、補助記憶装置414と、入出力部(図中、I/O)416とを含んで構成される。
補助記憶装置414には、所定のコンピュータプログラム415が記憶されている。マイクロプロセッサ411がコンピュータプログラム415をメモリ412に読み込んで実行することにより、粒子線照射制御装置41としての機能が実現される。
なお、コンピュータプログラム415は、粒子線のエネルギを所定の方向へ変化させることにより、粒子線の進行方向に位置する各スポットを照射するためのデータを生成するためのコンピュータプログラムであってもよい。データ作成用のコンピュータプログラムは、治療計画装置46内に設けることもできるし、治療計画装置46と粒子線照射制御装置41との間に設けることもできる。
コンピュータプログラム415は、記憶媒体417から伝達経路418を介して、補助記憶装置414へ記憶されてもよい。伝達経路418は、有線でも無線でもよい。伝達経路418は、例えばインターネットのような通信ネットワークでもよい。記憶媒体417は、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、磁気ディスク、光磁気ディスク、ホログラムメモリのような記憶媒体である。あるいは、記憶媒体417は、粒子線照射制御装置41と通信可能に接続される別のコンピュータ内のメモリである。
コンピュータプログラム415の全体が一つの記憶媒体417に記憶されてもよいし、コンピュータプログラム415の一部が記憶媒体417に記憶されなくてもよい。コンピュータプログラム415は、補助記憶装置414に記憶された他のコンピュータプログラムと連携することにより、粒子線照射制御装置41としての機能を実現できる。
なお、図2では、粒子線照射制御装置41を単一のコンピュータから構成する例を示したが、これに限らず、物理的または論理的に複数のコンピュータから粒子線照射制御装置41を構成してもよい。
本実施例では、粒子線の深さ方向を主方向として、スキャニング照射を実施する。深さ方向とは、粒子線の進行方向である。粒子線の到達する位置(深さ)は、その粒子線の持つエネルギにより決定される。粒子線のエネルギが大きいほど、粒子線はより深い位置へ到達する。粒子線のエネルギが小さいほど、粒子線の到達する位置は浅くなる。
本実施例では、深さ方向を主方向としたスキャニング照射を行うことにより、浅い位置における線量率を向上させることができる。本明細書における線量率とは、「或る位置」において、最初の線量が付与されてから大部分の線量が付与されるまでの時間で、「或る位置」に付与された線量を除算することで計算される値として定義される。
図3は、深さ方向(z軸方向)を主方向としたスキャニング照射の概念図である。図3では、深さ方向を主方向としたスキャニング照射により、粒子線60で標的50を塗りつぶすように照射する様子を示す。
図中の上側から下側へ向けて(z軸方向に)、粒子線60が標的50へ入射する。粒子線のエネルギを変化させることにより、粒子線が到達する位置(z軸方向の位置)を変化させることができる。図中、上側へ行くほど粒子線の到達位置は浅くなり、下側へ行くほど粒子線の到達位置は深くなる。
深さ方向のスキャニング照射では、粒子線60が標的60に入射する平面上の照射位置(x座標、y座標)に基づいて、スポット61をグループ化する。同一の照射位置を持ち、深さ方向だけが異なるスポット61は、一つのグループ62として扱う。すなわち、同一のグループ62には、複数のエネルギが指定されたスポット61が存在する。グループ62内で、エネルギを変更しながら粒子線を照射させる。
図3では、グループとして、同じ照射位置(x座標、y座標)に照射するスポット61のみを同一のグループ62とした場合を示している。換言すれば、一つのグループ62には、存在する層の異なる複数のスポット61が含まれる。ここで、最も奥の層に位置するスポットをスポット61(1)と呼び、最も浅い層に位置するスポットをスポット61(n)とする。
各グループ62は、スポット61(1),スポット61(2),スポット61(3),...スポット61(n)のように、z軸の位置が異なる複数のスポットを順番に積み上げるかのようにして構成される。図中では、スポット61(1)および61(n)のみを図示する。
ここで、説明のために、複数のグループ62のうち或る一つのグループを第1グループ62(1)とする。第1グループ62(1)では、最も深い層に位置するスポット61(1)から最も浅い層に位置するスポット61(n)まで順番に粒子線が照射される。すなわち、第1グループ62(1)の各スポット61に照射される粒子線のエネルギは、段階的に減少するように制御される。
第1グループ62(1)に隣接し、第1グループ62(1)に続いて粒子線が照射されるグループを第2グループ62(2)とする。第2グループ62(2)では、第1グループ62(1)での照射順序とは逆に、最も浅い層に位置するスポット61(n)から最も奥の層に位置するスポット61(1)に向けて、粒子線が照射される。すなわち、第2グループ62(2)の各スポット61に照射される粒子線のエネルギは、段階的に増加するように制御される。
第1グループ62(1)の最後のスポット61(n)に対する粒子線の照射が終了すると、電磁石により、第1グループ62(1)の照射位置から第2グループ62(2)の照射位置へ粒子線が走査される。そして、第2グループ62(2)の最初のスポット61(n)から最後のスポット61(1)へ向けて、粒子線のエネルギが徐々に増加して照射される。
本実施例において、隣接するグループ間では、粒子線のエネルギの変化する方向が逆向きになるように設定されている。或る一つのグループ62(1)に含まれる最後のスポット61(n)の照射が終了すると、エネルギを変えずに粒子線の位置が走査され、次のグループ62(2)の最初のスポット61(n)に粒子線が照射される。これにより、本実施例では、照射位置を切り替える際に(照射対象のグループを切り替える際に)、粒子線発生装置10の負荷を軽減できる。
すなわち、本実施例では、第1グループ62(1)に含まれる複数のスポット61(1)〜61(n)へ荷電粒子線60が照射される第1の所定の順序と、第1グループ62(1)に続いて荷電粒子線60が照射される第2グループ62(2)であって、第2グループ62(2)に含まれる複数のスポット61(n)〜61(1)へ荷電粒子線60が照射される第2の所定の順序とは逆向きに設定されている。
なお、粒子線発生装置10のエネルギ効率または負荷を特に問題視しないような場合には、全てのグループ62における粒子線のエネルギの変化方向を任意に設定することもできる。例えば、或る一つのグループとそれに続く他のグループでは、粒子線のエネルギを低い値から徐々に高い値に変化させることにより、浅い層に位置するスポット61(n)から深い層に位置するスポット61(1)まで順番に粒子線を照射し、さらに別のグループでは、粒子線のエネルギを高い値から徐々に低い値に変化させることにより、深い層に位置するスポット61(1)から浅い層に位置するスポット61(n)まで順番に粒子線を照射してもよい。
本実施例では、粒子線60のエネルギを変化させることにより、粒子線60の進行方向に沿って配置されたスポット61を順番に照射する第1走査と、照射位置(照射対象のグループ)を切り替える第2走査とを順番に実行することにより、効果的に所定の線量を標的に与えることができる。そして、上述の通り、本実施例では、粒子線のエネルギの変更順(降べきの順、または昇べきの順)を直前のグループの変更順と逆にすることにより、粒子線発生装置10の負荷を軽減できる。
図4のフローチャートを用いて、粒子線の照射処理を説明する。以下では、深さ方向を主方向としたスキャニング照射を実施する場合の手順と、粒子線治療装置の動作とについて説明する。
まず、医療従事者は、カウチ33の上に照射対象31である患者を固定する。その後、医療従事者は、カウチ33を動かすことにより、照射対象31を予め計画した位置に移動させる。医療従事者は、図示せぬX線撮像装置等を用いて患者の患部の画像を撮像することにより、照射対象31が予め計画された位置に移動したことを確認する。
医療従事者がコンソール43を用いて照射準備を指示すると、粒子線照射制御装置41は、記憶装置42から照射パラメータ(ガントリ角度、計画スポットデータ等)を読み込む(S11)。
ここで、計画スポットとは、治療計画装置46にて作成されたデータであり、照射位置とエネルギと照射量との組を表す。計画スポットデータを読み込むステップS11の段階では、図5中のテーブルT1に示すように、計画スポットデータはエネルギ毎にソートされた状態で保存されている。
続いて、医療従事者は、スキャンする主方向として、横方向または深さ方向のいずれか一つを選択する。主方向として深さ方向が選択された場合、計画スポットデータのグループ化を行う(S12)。本実施例では、同じ照射位置(x,y)へ照射し、エネルギが異なるスポット61のみを同一グループ62として扱う。
粒子線照射制御装置41は、図5中のテーブルT2に示すように、計画スポットデータを照射位置ごとにソートする。ここで、スポットの照射位置の順番は、計画スポットデータ読み込み時の順番を保持する。また、粒子線発生装置10の負荷を低減させるために、隣り合う照射位置のグループ内のエネルギのソート順は逆とする。計画スポットデータをグループ化した後、グループ化済みスポットデータを記憶装置に保存する(S13)。
続いて、照射パラメータに記載されたガントリ角度に合わせて、診療放射線技師等の医療従事者は、コンソール43からガントリ回転ボタンを押下することにより、ガントリを回転させる。
ガントリの回転後、医療従事者がコンソール43上の照射開始ボタンを押下すると、粒子線照射制御装置41は、記憶装置42から読み込んだエネルギと照射位置と照射量の情報とに基づいて、最初に照射するエネルギまで粒子線を加速する(S14)。
例えば、粒子線照射制御装置41は、イオン源11と円形加速器12とを制御することにより、イオン源11で発生させた粒子線を最初に照射するエネルギまで加速させる。円形加速器12を周回する粒子は、周回運動の周期と同期した高周波電場が円形加速器の加速領域(図示せず)に印加されることにより、加速領域を通過する毎に加速される。
次いで、粒子線照射制御装置41は、最初に照射するエネルギの粒子線が粒子線発生装置10から照射装置25へ到達できるように、ビーム輸送系20の偏向電磁石21と四極電磁石と出射用セプタム電磁石15との励磁量をそれぞれ制御する(S15)。
粒子線照射制御装置41は、記憶装置42に記憶されている計画スポットデータの最初のグループのスポット位置に粒子線が到達するように、照射装置25内の2台の走査電磁石251,252の励磁量を設定する(S16)。
これらの設定が完了した後、粒子線照射制御装置41は、高周波印加装置13に高周波を印加し、粒子線の出射を開始させる(S17)。高周波印加装置13に高周波が印加されると、円形加速器12内を周回する粒子線は、周回軌道から蹴りだされ、出射用セプタム電磁石15により偏向され、ビーム輸送系20を通過して照射装置25に到達する。照射装置25に到達した粒子線は、線量モニタ254と位置モニタ253とを通過して、照射対象31内の標的50へ到達し、線量分布を形成する。
スポット毎の照射量は、計画スポットデータに登録されている。線量モニタ254が測定した照射量が登録された値に到達すると、粒子線照射制御装置41は、出射用高周波を制御することにより粒子線の出射を停止する。
円形加速器12は、ある一定の周期で、イオン源11で発生させた粒子線を加速可能である。この周期を加速周期と呼ぶ。同一グループ62内にスポット61が存在する場合(S18:YES)、粒子線照射制御装置41は、出射を停止させた後、次の加速周期まで待機する(S19)。
待機後、粒子線照射制御装置41は、次のスポットの粒子線で指定されたエネルギまで、イオン源11で発生させた粒子線を加速し、グループ内の全てのスポットの照射が完了するまで、ステップS14〜S19の処理を繰り返す。
粒子線照射制御装置41は、同一グループ内の全てのスポットへの照射を完了すると(S18:NO)、次のグループが存在するか判断し(S20)、次のグループが存在する場合(S20:YES)、次の加速周期まで待機し(S19)、次のグループの最初のスポットへビームを照射できるよう、ステップS14〜S20の処理を繰り返す。全てのグループのすべてのスポットの照射を完了すると、本処理は完了する。
本実施例では、計画スポットデータの中で、照射位置が同じものを同一グループとして説明してきたが、必ずしも照射位置が同じものを同一グループとする必要はない。例えば、治療計画装置46の運用上、計画スポットデータのスポット間隔がエネルギ間で異なることが起こりうる。この場合、閾距離を設定し、照射位置の差が閾距離以下の、スポットデータを同一グループとして設定することも可能である。
また、医療従事者が照射位置の横方向(x座標、y座標)の範囲を手動で指定することにより、スポットをグループ化することも可能である。このとき、グループ内に同一エネルギのスポットが複数存在していてもよい。この例は別の実施例として後述する。
このように構成される本実施例によれば、粒子線の進行方向(z座標)に沿ってエネルギを変化させながら粒子線を走査する第1走査(縦方向スキャンとも呼ぶ)と、粒子線の照射位置(x座標,y座標)を変化させる第2走査(横方向スキャンとも呼ぶ)とにより、所定の線量分布を実現できる。したがって、本実施例によれば、スキャニング照射法を用いて、超高線量率照射を実現できる。これにより、複雑な腫瘍形状への対応が容易となり、かつ、中性子の発生を低減可能な、超高線量率照射が可能となる。
なお、粒子線の照射方向の異なる複数のグループ62を同一の標的50に設定することもできる。
図6〜図8を用いて第2実施例を説明する。本実施例を含む以下の各実施例では、第1実施例との相違を中心に述べる。本実施例では、グループの概念を拡張し、一つの拡張グループ501内に同一エネルギで照射される複数スポット61を含ませる。
図6には、標的50に3つの拡張グループ501A、501B、501Cを設定する様子を示す。拡張グループ501A,501B,501Cを区別しない場合、拡張グループ501またはグループ501と呼ぶ。
拡張グループ501では、層ごとに複数のスポット61が設定される。図6中、拡張グループ501Aに属するスポットをスポット61Aと、拡張グループ501Bに属するスポットをスポット61Bと、拡張グループ501Cに属するスポットをスポット61Cと示す。区別しない場合、スポット61と呼ぶ。各スポットには、そのスポットの属する層をかっこ付きの数字で示す。例えば、スポット61A(1)は、拡張グループ501Aにおいて、最も奥の層(最も深い層)に位置するスポットである。なお、拡張グループ501の数は3つに限定されない。標的50には、2つの拡張グループまたは4つ以上の拡張グループを設定することができる。さらに、粒子線の照射方向の異なる拡張グループを同一の標的50に設定することもできる。
各拡張グループ501では、層ごとに全てのスポット61に対し、横方向スキャンで粒子線が照射される。横方向スキャンとは、上述の通り、粒子線のエネルギを変えずに、照射位置(x座標、y座標)のみを変更することにより、同一層の中で粒子線を照射することである。
拡張グループ501では、或る層の全てのスポット61に対する粒子線の照射が終了すると、粒子線のエネルギが変更されて、照射対象の層が切り替わる。拡張グループ501では、同一の層に含まれる複数のスポット61の全体があたかも一つの仮想的なスポット(拡張スポット)のように扱われる。
図7のフローチャートに粒子線照射制御装置41の動作を説明する。本実施例では、上述の通り、拡張グループ501の各層内では横方向スキャンを実行し、各層の間では縦方向スキャンを実行する。
図7のフローチャートでは、最初のスポットを照射するまでの動作は、図4に示した動作フローと同じである(S11〜S17)。
本実施例では、一つのグループ501内に同一エネルギのスポット61が複数存在する場合、粒子線のエネルギを変更する前に、同一エネルギの未照射スポット61がグループ501内に存在するか判断する(S31)。同一エネルギの粒子線を照射すべきスポット61が同一グループ501内に存在する場合(S31:YES)、粒子線照射制御装置41は、ステップS16へ戻り、走査電磁石でビームを走査することにより、ステップS31で検出されたスポットに粒子線を照射する(S16〜S31)。このようにして、粒子線照射制御装置41は、同一グループ内の同一層(同一エネルギの粒子線が照射される平面)に属する全てのスポットに粒子線を照射させる。
例えば、粒子線照射制御装置41は、次のスポットの照射位置にビームを照射できるように、照射装置25内の2台の走査電磁石251,252の励磁量を設定する(S15)。粒子線照射制御装置41は、グループ501内の同一エネルギのスポットの照射を完了するまで、ステップS15およびステップS16の処理を繰り返す。
グループ501内の同一エネルギのスポットに対して粒子線の照射を完了すると、粒子線照射制御装置41は、エネルギの異なるスポットが存在するか判断し(S32)、エネルギ変更が必要な場合(S32:YES)、次の加速周期まで待機し(S19)、ステップS14〜ステップS31までの処理を繰り返す。
グループ501の全てのスポットの照射を完了すると、粒子線照射制御装置41は、処理すべきグループ501が存在するか判断し(S33)、未処理グループが存在する場合(S33:YES)、その未処理グループに含まれる全てのスポットに粒子線を照射するまで、ステップS14からステップS33までの処理を繰り返す。粒子線照射制御装置41は、標的50に設定された全てのグループ501の全てのスポットに粒子線を照射させると、本処理を終了する。
粒子線発生装置10の負荷を低減するために、或るグループ501から次のグループへ照射を切り替える際に、そのエネルギ変更順は逆方向に設定されてもよい。例えば、グループ501Aでは、高エネルギから低エネルギの順で粒子線を照射した場合、グループ501Aに続くグループ501Bでは、低エネルギから高エネルギの順で粒子線を照射してもよい。
なお、スポット61をグループ化する際に、医療従事者は、コンソール43の提供するユーザインターフェース画面上で、マウス等の入力装置を用いることにより、各グループの範囲を手動で指定することもできる。なお、グループの手動設定に際して、例えば、過去の履歴データ、または機械学習の結果などの参考情報をユーザインターフェース画面に提示し、医療従事者の判断を支援してもよい。
図8は、コンソール43の提供するユーザインターフェースの例である。グループ設定画面70は、例えば、スポット位置表示部71と、表示エネルギ選択部72と、エネルギ変更順選択部73とを備える。スポット位置表示部71は、BEV(Beams Eye View)から見た、全てのスポットの位置を表示する。
各エネルギのスポットは、エネルギ毎に異なる色で表示される。医療従事者などの操作者は、表示部71に表示されたスポット位置を見ながら、マウス等の入力装置を用いてグループ境界を設定する。図中では、第1グループと第2グループの2つのグループ501が設定されている。
操作者は、表示エネルギ選択部72において任意のエネルギを一つまたは複数選択し、選択されたエネルギを基準として、グループ境界を設定することも可能である。
操作者は、グループ境界の設定を完了すると、各グループ501内でのエネルギの変更順を設定する。上向きの矢印は、エネルギを増加方向に変化させることを示す。下向きの矢印は、エネルギを減少方向に変化させることを示す。操作者が、照射の順番が連続する隣り合ったグループ同士のエネルギ変更順が逆となるように指定すると、粒子線発生装置10の負荷を低減させることができ、より線量率を高めることが可能となる。
ここまで、コンソール43において、グループ501を指定する例について説明してきたが、治療計画装置46においてグループ501を指定してもよい。さらに、治療計画装置46を用いて線量率をシミュレーションし、操作者は、シミュレーションにより予測された線量率を確認しながらグループを指定してもよい。
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例では、同一エネルギのスポットを複数含む拡張グループ501を標的50に設定するため、より一層効率的に線量分布を形成することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。上述の実施形態において、添付図面に図示した構成例に限定されない。本発明の目的を達成する範囲内で、実施形態の構成や処理方法は適宜変更することが可能である。
本実施形態では、円形加速器12を制御することにより粒子線のエネルギを変更する場合を述べたが、これに限らず、ディグレーダ等のエネルギ減衰体を用いて、粒子線のエネルギを変更してもよい。
さらに、回転ガントリの角度または照射日などの所定のパラメータに応じて、拡張グループの設定方法を手動または自動で変更してもよい。これにより、拡張グループ間の境界付近において所定の線量を確保することが容易になる。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組み合わせることができる。
10:粒子線発生装置、11:イオン源、12:円形加速器、13:高周波印加装置、14:高周波電源、15:出射用セプタム電磁石、20:ビーム輸送系、25:照射装置、41:粒子線照射制御装置、43:コンソール、46:治療計画装置

Claims (12)

  1. 荷電粒子線の進行方向に離間して設定される複数のスポットへ荷電粒子線を照射する照射装置を備える粒子線治療装置であって、
    前記照射装置は、荷電粒子線の進行方向に離間する複数のスポットを含むグループ毎に荷電粒子線を照射する、
    粒子線治療装置。
  2. 前記照射装置は、荷電粒子線のエネルギを変更させることにより、荷電粒子線の進行方向に離間する複数のスポットを所定の順序で照射する、
    請求項1に記載の粒子線治療装置。
  3. 第1グループに含まれる複数のスポットへ荷電粒子線が照射される第1の所定の順序と、前記第1グループに続いて荷電粒子線が照射される第2グループであって、前記第2グループに含まれる複数のスポットへ荷電粒子線が照射される第2の所定の順序とは逆向きに設定される、
    請求項2に記載の粒子線治療装置。
  4. 前記第1グループに含まれる複数のスポットへの荷電粒子線の照射と前記第2グループに含まれる複数のスポットへの荷電粒子線の照射とを切り替える際に、荷電粒子線が走査されて照射方向が変更される、
    請求項3に記載の粒子線治療装置。
  5. 前記照射装置は、前記各グループ内に、所定エネルギの荷電粒子線が照射される複数の所定スポットが含まれる場合、前記所定エネルギの荷電粒子線を走査することにより、前記複数の所定スポットへ前記所定エネルギの荷電粒子線を照射する、
    請求項1に記載の粒子線治療装置。
  6. 前記各グループの境界を変更可能である、
    請求項5に記載の粒子線治療装置。
  7. 計算機を、荷電粒子線の進行方向に離間して設定される複数のスポットへ荷電粒子線を照射する照射装置を備える粒子線治療装置として機能させるコンピュータプログラムであって、
    治療計画に含まれるスポットデータを取得するデータ取得機能と、
    前記取得されたスポットデータに基づいて、前記照射装置からの荷電粒子線の進行方向に離間する複数のスポットを含むスポットデータのグループを生成するグループ生成機能と、
    前記生成されたグループ毎に前記照射装置から荷電粒子線を照射させる照射機能とを、
    前記計算機上に実現させるコンピュータプログラム。
  8. 前記照射装置は、荷電粒子線のエネルギを変更させることにより、荷電粒子線の進行方向に離間する複数のスポットを所定の順序で照射するものであり、
    第1グループに含まれる複数のスポットへ荷電粒子線が照射される第1の所定の順序と、前記第1グループに続いて荷電粒子線が照射される第2グループであって、前記第2グループに含まれる複数のスポットへ荷電粒子線が照射される第2の所定の順序とは逆向きに設定される、
    請求項7に記載のコンピュータプログラム。
  9. 前記各グループ内に、所定エネルギの荷電粒子線が照射される複数の所定スポットが含まれる場合、前記照射装置により前記所定エネルギの荷電粒子線を走査させることにより、前記複数の所定スポットへ前記所定エネルギの荷電粒子線を照射させる、請求項8に記載のコンピュータプログラム。
  10. 粒子線治療装置の制御方法であって、
    前記粒子線治療装置は、荷電粒子線の進行方向に離間して設定される複数のスポットへ荷電粒子線を照射する照射装置を備えており、
    荷電粒子線の照射対象である複数のスポットを含むスポットデータを取得し、
    前記取得されたスポットデータに基づいて、荷電粒子線の進行方向に離間する複数のスポットを含むグループを生成し、
    前記生成されたグループを保存し、
    前記照射装置により、前記グループ毎に荷電粒子線を照射させる、
    粒子線治療装置の制御方法。
  11. 前記照射装置は、荷電粒子線のエネルギを変更させることにより、荷電粒子線の進行方向に離間する複数のスポットを所定の順序で照射するものであり、
    第1グループに含まれる複数のスポットへ荷電粒子線が照射される第1の所定の順序と、前記第1グループに続いて荷電粒子線が照射される第2グループであって、前記第2グループに含まれる複数のスポットへ荷電粒子線が照射される第2の所定の順序とは逆向きに設定される、
    請求項10に記載の粒子線治療装置の制御方法。
  12. 前記各グループ内に、所定エネルギの荷電粒子線が照射される複数の所定スポットが含まれる場合、前記照射装置により前記所定エネルギの荷電粒子線を走査させることにより、前記複数の所定スポットへ前記所定エネルギの荷電粒子線を照射させる、請求項11に記載の粒子線治療装置の制御方法。
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