JP2021054792A - 低感水性ユニバーサルレジンセメント - Google Patents

低感水性ユニバーサルレジンセメント Download PDF

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勇生 門林
啓史 八穴
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啓史 八穴
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Abstract

【課題】水分含有量の多い歯質、口腔内のような水分を含んだ環境下、吸水した被接着体においても強固に接着する接着性と、過酷な口腔内環境下においても耐えうる接着耐久性を発現させることができる歯科用接着性レジンセメントを提供する。【解決手段】(a)モノマー、(b)フィラー、(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー、(d)酸性基含有モノマー、(e)硫黄原子含有モノマー、(f)シランカップリング剤、及び、(g)重合開始材を含有し、(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、0.1〜20重量%の範囲で含まれる、歯科用接着性レジンセメント。【選択図】なし

Description

本発明は、歯質、歯科用セラミックスまたは、無機化合物を含む有機質複合体(以下複合材料と呼ぶ場合がある。)、歯科用貴金属、歯科用非貴金属のいずれの材料に対しても優れた接着性を発現させることができる歯科用レジンセメントである。
レジンセメントは、審美性を有する歯科用補綴修復材の接着用としての要望が高く、有機質、無機質及びまたは有機無機複合材料からなる充填剤と重合性モノマーやオリゴマーからなり、高い材料強度を達成するため、該フィラーの充填率は、およそ50重量%以上である。また、光の到達しない部位においても重合硬化するため、光重合に加えて、化学重合機能を有するデュアルキュアー型が主流となっている。
齲蝕等により比較的大きな損傷を受けた歯の修復には、セラミックス、コンポジットレジンまたは金属材料からなるクラウン、ブリッジ、インレーまたはアンレー等をレジンセメントを用いて接着させる手法が一般的である。この時、レジンセメントの歯の硬組織への接着性を強固にするため、いわゆるプライマーと称される前処理材が用いられる。このレジンセメントには十分な接着力とその材料強度が要求される。さもないと過酷な口腔環境下での長期使用により当該修復物が脱落に至る可能性があるのみならず、レジンセメントと歯質の界面で間隙を生じ、そこから細菌が侵入して歯髄に悪影響を与えるおそれがあるためである。
歯の硬組織はエナメル質と象牙質からなり、臨床的には双方へのレジンセメントの接着が要求される。従来、接着性の向上を目的として、レジンセメントの適用に先立ち歯質の表面を前処理するプライマーが用いられてきた。このようなプライマーの働きは、歯の表面を脱灰し、微小な粗造面へ、レジンセメントが浸入することを容易にする。その後、レジンセメントが化学重合や光重合により硬化するという接着機構が考えられる。
一方、レジンセメントは従来、粉液タイプであったが、練和操作の煩雑さを回避するため、予めペースト化し、その2形態を練和するレジンセメントの要求が高まっている。このようなペーストとペーストを練和する操作は粉液練和と比較し、練和時間の短縮や術者の個人差が少ないため、臨床家にとって好ましい形態といえる。さらに、このようなレジンセメントは、歯科用合金などの光透過性の低い補綴修復材料に加え歯科用陶材などの光透過性に富む補綴修復材料にも用いることが出来るよう、光重合に加えて化学重合による、すなわちデュアルキュアーの重合硬化機能を有することが望まれる。
しかしながら、レジンセメントでの接着に先立ち、歯質、セラミックス、コンポジットレジン及び金属の各種被着体に、予め、各々の被着体専用のプライマーで処理しなければならなかった。臨床術式上、かかる種々の被着体に対しても、プライマー処理を必要としない、簡単な接着操作が望まれる。
特許文献1には、酸を含有している少なくとも1つの多官能性のモノマーを約10重量%から約85重量%の濃度範囲で、非反応性の充填剤を約1重量%から約80重量%の濃度範囲で、重合系を約1.5重量%から25重量%の濃度範囲で、ならびに水を約0.1重量%から25重量%の濃度範囲で含んでいる重合可能な複合材料である、プライマーを必要としない自己接着性のレジンセメントが開示されているが、無機成分の多いエナメル質及び有機成分や水分の多い象牙質の双方に十分な接着性を得ることは出来ない。
特許文献2には、酸基を有するモノマーと、酸基を有しないモノマーと微粒子充填剤と還元剤と酸化剤とからなり、2ペーストの自己接着性の歯科用組成物を供給する方法が開示されている。具体的には、2つに分配された、酸性基を有するモノマーの含有量が多いペーストと、酸性基を有するモノマーの含有量が少ないペーストとの比率が1:1より大きいとしている。かかるペーストの割合を変えると、ペーストの供給装置が煩雑となる。
特許文献3及び特許文献5には、液剤と粉剤とからなる自己接着性の歯科用セメント組成物が開示されているが、液剤と粉剤、すなわち粉液タイプのレジンセメントは、ペースト&ペーストタイプよりも練和時の操作性に劣る。
特許文献4には、接着成分として、特殊なカルボン酸基を含有するモノマーとして、芳香族に結合した(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を各々1個有するカルボン酸化合物を必須とする歯科用接着剤組成物が開示されているが、かかるカルボン酸基を含有するモノマーでは、臨床に耐える十分なエナメル質への接着性を付与することができない。
特許文献6には、バルビツール酸の金属塩と有機過酸化物及びアミンを硬化剤とするレジンセメントが開示されている。しかしながら、このレジンセメントは歯質には予め専用のプライマーで前処理する必要性がある。
特表2006−512466号公報 欧州特許出願公開番号1502569A1 特開2000−53518号公報 特開2005−65902号公報 国際公開番号WO02/092021A1 PCT/JP2006/301845明細書
近年、歯科用コンポジットレジンのような歯科用複合材料の使用範囲が拡大してきている。しかしながら従来の歯科用レジンセメントでは、エナメル質及び象牙質等の天然歯牙の歯質のような水分含有量の多い生体硬組織上、口腔内のような水分を含んだ環境下、吸水した被接着体上での硬化性が悪く、そのため十分な接着性が得られないという欠点がある。そのため、水分含有量の多い歯質、口腔内のような水分を含んだ環境下、吸水した被接着体においても強固に接着する接着性を発現させることができる歯科用接着性レジンセメントの開発が望まれている。
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意研究した結果、(a)モノマー、(b)フィラー、(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー、(d)酸性基含有モノマー、(e)硫黄原子含有モノマー、(f)シランカップリング剤、及び、(g)重合開始材を含有し、(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、0.1〜10重量%の範囲で含まれる歯科用接着性レジンセメントを提供することにより、この課題を解決するに至った。本発明は上記知見に基づくものである。
本発明の歯科用接着性レジンセメントは、(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、下記式(1)で示されることが好ましい。
Figure 2021054792
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。R2は、炭素数2〜6のアルキル基であり、互いに同じでも異なってもよい。)
本発明の歯科用接着性レジンセメントは、(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、下記式(2)で示されることが好ましい。
Figure 2021054792
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。)
本発明の歯科用接着性レジンセメントは、式(2)におけるRが全て水素原子であることが好ましい。
本発明の歯科用接着性レジンセメントは、2官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まないことが好ましい。
本発明の歯科用接着性レジンセメントは、水分含有量の多い歯質、口腔内のような水分を含んだ環境下、吸水した被接着体においても強固に接着する接着性を発現させることができることができる。
本発明の歯科用接着性レジンセメントに用いられる(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー(成分(c))は、分子内に3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーであれば何等制限なく用いることができる。本発明においては、成分(c)は、0.1〜20重量%の割合で含まれ、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは2〜10重量%の割合で含まれる。(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーの含有量が20重量%を越えると他のモノマーの重合を阻害するために、接着特性に悪影響を与える恐れがある。一方、(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーの含有量が0.1重量%未満になると歯質に対する接着性において効果が認められない。
本発明の歯科用接着性レジンセメントは、(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーとして、2官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まずに、(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーのみを含有することが好ましい。
成分(c)を具体的に例示すると、下記式(1)及び下記式(3)で示されるものがある。
Figure 2021054792
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。R2は、炭素数2〜6のアルキル基であり、互いに同じでも異なってもよい。)
Figure 2021054792
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。mは2〜4の整数を表す。nは2〜4の整数を表す。kは0または1を表す。複数のR1、mは互いに同じであっても異なってもよい。)
より具体的な成分(c)としては、下記式(2)及び(4)〜(8)で示されるものがある。
Figure 2021054792
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。)
Figure 2021054792
Figure 2021054792
Figure 2021054792

Figure 2021054792
Figure 2021054792
(式中、Rは水素原子である。)
これらの中でも、4官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有する化合物であることが好ましく、上記式(1)で示される化合物であることがより好ましく、上記式(2)で示される化合物であることが最も好ましい。上記式(1)で示される化合物を含有することにより、接着性を十分に高めることができる。
本発明の歯科用接着性レジンセメントは、(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーとして、2官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まないことが好ましく、3官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まないことがより好ましく、式(1)で示されず、かつ、(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まないことが最も好ましい。
本発明の歯科用接着性レジンセメントに用いられる(d)酸性基含有モノマー(成分(d))は、酸性基含有モノマーが有する酸性基の種類は特に限定されず、いずれの酸性基を有する酸性基含有モノマーであっても、成分(c)に該当しなければ、用いることができる。酸性基含有モノマーが有する酸性基を具体的に例示すると、リン酸基、ピロリン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、チオリン酸基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、酸性基含有モノマーが有するラジカル重合可能な不飽和基の数(単官能性基または多官能性基)やその種類においても何等制限なく用いることができる。酸性基含有モノマーが有する不飽和基を具体的に例示すると(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基、アリル基等が挙げられるが、これら不飽和基の中でも(メタ)アクリロイル基を有している酸性基含有モノマーであることが好ましい。
さらにこれらの酸性基含有モノマーは、分子内にアルキル基、ハロゲン、アミノ基、グリシジル基及び水酸基等のその他の官能基を併せて含有することもできる。
不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有した酸性基含有重合体を具体的に例示すると以下の通りである。
リン酸エステルを有する酸性基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシメチルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシブチルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシヘキシルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシオクチルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシノニルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシデシルハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2’−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート等の酸性基含有モノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、ピロリン酸基を有する酸性基含有モノマーとしては、ピロリン酸ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸ジ〔3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕、ピロリン酸ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕、ピロリン酸ジ〔5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル〕、ピロリン酸ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕、ピロリン酸ジ〔7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチル〕、ピロリン酸ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕、ピロリン酸ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕、ピロリン酸ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕、ピロリン酸ジ〔12−(メタ)アクリロイルオキシドデシル〕、ピロリン酸テトラ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸トリ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の酸性基含有モノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、カルボン酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、2−クロロ(メタ)アクリル酸、3−クロロ(メタ)アクリル酸、2−シアノ(メタ)アクリル酸、アコニット酸、メサコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ウトラコン酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、1−ブテン1,2,4−トリカルボン酸、3−ブテン1,2,3−トリカルボン酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸及びその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸及びその無水物、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネ−ト、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエ−ト、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、p−ビニル安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカルボニルフタル酸及びこれらの酸無水物、5−(メタ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ヘキサンジカルボン酸、7−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ヘプタンジカルボン酸、8−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−オクタンジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−デカンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸等の酸性基含有モノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、ホスホン酸基を有する酸性基含有モノマーとしては、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−3−ホスホノプロピオネ−ト、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネ−ト、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル−3−ホスホノプロピオネ−ト、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3−ホスホノアセテ−ト、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル−3−ホスホノアセテ−ト等の酸性基含有モノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、スルホン酸基を有する酸性基含有モノマーとしては、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレ−ト、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸等の酸性基含有モノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、チオリン酸基を有する酸性基含有モノマーとしては、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンジチオホスフェ−ト等の酸性基含有モノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以上に酸性基含有モノマーを示したが、これらに限定されるものではなく、またこれらの酸性基を有したモノマーを単独または複数を組み合わせて用いることができる。さらに酸性基含有モノマーは主鎖の短いモノマーだけでなく、主鎖の長いオリゴマー、プレポリマー、及びポリマー等も何等制限なく用いることができる。
酸性基含有モノマーが有する酸性基を部分的に中和された金属塩やアンモニウム塩または酸塩化物等の酸性基含有モノマーの誘導体も種々の被着体への接着性に悪影響を与えない程度であれば用いることができる。
これらの酸性基含有モノマーの中でも10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェ−ト、6−メタクリロイルオキシヘキシル−3−ホスホノアセテート、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸及びその無水物、4−アクリロイルオキシエチルトリメリット酸及びその無水物等を用いることが好ましい。
成分(d)酸性基含有モノマーの配合割合は、歯科用接着性レジンセメントの使用目的により適宜に変化させてもよいが、成分(f)シランカップリング剤100重量部に対して、1.0〜50重量部の範囲で調製され、好ましくは2〜30重量部の範囲において調製される。
本発明の歯科用接着性レジンセメントに用いられる(e)硫黄原子含有モノマー(成分(e))は、従来から歯科用硫黄原子含有モノマーとして使用されているモノマーは成分(c)及び成分(d)に該当しなければ、全て使用できる。成分(e)を含むことにより、本発明の歯科用接着性レジンセメントに、貴金属に対する接着性を付与することができる。なお、分子内に硫黄原子を含有したモノマーであれば、不飽和基の種類や数及びその他の官能基の有無等には何等関係なく用いることができる。
不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有した分子内に硫黄原子を含有したモノマーを具体的に例示するとトリアジンチオール基を有する(メタ)アクリレート、メルカプト基を有する(メタ)アクリレート、ポリスルフィド基を有する(メタ)アクリレート、チオリン酸基を有する(メタ)アクリレート、ジスルフィド環式基を有する(メタ)アクリレート、メルカプトジアチアゾール基を(メタ)アクリレート、チオウラシル基を有する(メタ)アクリレート、チイラン基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの分子内に硫黄原子を含有したモノマーを単独または複数を組み合わせて用いることができる。特に好ましい化合物は、10−メタクリロキシデシル−6,8−ジチオクタネートまたは6-メタクリロキシヘキシル−6,8−ジチオクタネートである。この(e)硫黄原子含有モノマーは本発明の歯科用接着性レジンセメントの使用用途または使用目的並びに使用方法に応じて適宜含有量を選択することができるが、好ましくは0.01〜10.0重量%の範囲である。(e)硫黄原子含有モノマーの含有量が10.0重量%を越えると他のモノマーの重合を阻害するために、接着特性に悪影響を与える恐れがある。一方、(e)硫黄原子含有モノマーの含有量が0.01重量%未満になると貴金属に対して十分な接着性を得ることができない。
本発明の歯科用接着性レジンセメントに用いられる(f)シランカップリング剤は特に限定するものではないが、セラミック材料に対する良好な接着を得るために歯科用接着性レジンセメント及び被着体材料中の重合性単量体成分と共重合あるいは化学結合の形成が可能な官能基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。具体的には3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが好適に用いられ、特に好ましくは、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが用いられる。(f)シランカップリング剤の配合割合は、当該組成物の使用目的により適宜用いてもよいが、組成物全体に対して、0.5〜20重量部の範囲で調製され、好ましくは1〜10重量部の範囲で調製される。
本発明に用いられる(a)モノマーは(c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー、(d)酸性基含有モノマー、(e)硫黄原子含有モノマー、以外のモノマーであれば、自由に使用することができる。
本発明においては、成分(a)は、好ましくは5〜99.0重量%の割合で含まれ、より好ましくは10〜90重量%の割合で含まれる。
モノマーを具体的に例示すると、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル−1,2−ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルクロライド、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9以上のもの)等の親水性モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等の窒素含有化合物等の単官能基含有の疎水性モノマー、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等の芳香族系二官能基含有の疎水性モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート等の脂肪族系二官能基含有の疎水性モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族系三官能基含有の疎水性モノマーが挙げられる。
脂肪族系四官能基含有の疎水性モノマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。ウレタン系の疎水性モノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロー2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するモノマーとメチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルメチルベンゼン、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導される二官能または三官能以上の重合性基を有し、且つウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、(メタ)アクリレート基を含有しているものであれば主鎖の短いモノマーだけでなく、主鎖の長いオリゴマー、プレポリマー及びポリマー等も何等制限なく使用することができる。
上記記載の疎水性モノマーはこれらに限定されるものではなく、また単独または複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明の歯科用接着性レジンセメントは(b)フィラーを含む。フィラーとしては歯科用フィラーとして公知なもの、例えば無機フィラー及び/または有機フィラー及び/または有機−無機複合フィラー等が挙げられ、これらは1種または数種を組み合わせても何等制限なく用いることができる。また、これらのフィラーの形状は球状、針状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の粒子形状で良く特に限定されない。
無機充填材として具体的に例示すれば、石英、無定形シリカ、アルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、X線遮断能を有した元素を含まない種々のガラス類(溶融法によるガラス、ゾルーゲル法による合成ガラス、気相反応により生成したガラスなどを含む)、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、チッ化ケイ素、チッ化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、水酸化カルシウム等が挙げられる。これら無機フィラーの平均粒子径は特に制限はないが、0.001〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜5μmの範囲である。上記無機フィラーの中でも、超微粒子である気相法により生成したアエロジルまたは超微粒子シリカ複合粒子であるゾル−ゲル反応等の溶液中から生成したシリカージルコニア酸化物粒子等は歯科用接着性レジンセメントレジンセメント中に配合することにより増粘剤として働くために、本発明にとっては効果的である。アエロジルを具体的に例示するとアエロジル200、アエロジルOX50、アエロジルR972、アエロジルR974、アエロジルR8200、アエロジルR711、アエロジルDT4、酸化アルミニウムC、二酸化チタンP25等が挙げられる。
また、意図的にそれらの超微粒子を含むフィラーを凝集させた凝集性無機フィラー等を用いても何等問題はない。
また、有機フィラーとしては不飽和基を有するモノマーを重合することによって得ることができるものであれば何等制限なく使用することができ、又その種類は特に限定されない。有機フィラーを具体的に例示すると、ポリメチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等の不飽和芳香族類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、ブタジエン、イソプレン等のモノマー等を単独で重合または数種を共重合させたものが挙げられる。特に好ましくは、歯科分野で既に公知として用いられている種々のモノマーを重合させたものである。有機フィラーの製造方法においても特に制限はなく、モノマーの乳化重合、懸濁重合及び分散重合等のいずれの方法でもよく、また、予め生成した重合体バルクを粉砕する方法でも行なう事ができる。これらの有機フィラーの平均粒子径は1〜100μmの範囲が好ましい。より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜10μmである。
また、有機重合体中に無機粒子を含有した有機−無機複合フィラーを用いることもできる。有機重合体中に含有させる無機フィラーとしては、特に制限はなく公知のものが使用でき、例えば前述したフィラーとして用いることができる無機フィラー等を用いることができる。有機−無機複合フィラーの製造方法においても、特に制限はなく、いずれの方法も採用することができる。例えば、無機フィラーの表面を有機物でのマイクロカプセル化やグラフト化する方法及び無機フィラーの表面に重合性官能基や重合性開始基を導入後ラジカル重合させる方法、予め生成した無機フィラーを含む重合体バルクを粉砕する方法等が挙げられる。
これらの有機−無機複合フィラーの平均粒子径は0.1〜100μmの範囲が好ましい。より好ましくは0.1〜50μm、さらに好ましくは2〜30μmである。
種々のモノマーや水との濡れ性等を向上させる目的または他の目的で、フィラーである無機フィラー、有機フィラー、有機−無機複合フィラー等のそれぞれのフィラー表面を表面処理剤及び/または表面処理方法により表面処理を行い、本発明の歯科用接着性レジンセメントに用いることもできる。
表面処理に用いることができる表面処理剤を具体的に例示すると、例えば界面活性剤、脂肪酸、有機酸、無機酸、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ポリシロキサン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、表面処理に用いることができる表面処理方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができる。さらに表面処理剤及び/または表面処理方法はそれぞれ単独でまたは組み合わせて用いることができる。
これらのフィラーを多機能化する目的でフィラー表面を特殊な表面処理剤及び/または特殊な表面処理法により表面処理を行っても何等制限はない。
歯科用接着性レジンセメント中におけるこれらのフィラーの配合量は歯科用接着性レジンセメントに求める材料特性の要求に応じて任意に設定することができる。本発明においては、成分(b)は好ましくは1.0〜90.0重量%の割合で含まれ、より好ましくは2.5〜70重量%の割合で含まれる。
本発明で用いられる成分(g)重合開始材は、一般に歯科用組成物で用いられている公知の化合物が何等制限無く使用される。重合開始剤は、一般に、熱重合開始剤と光重合開始剤に分類される。
成分(w)光重合開始材としては、光照射によりラジカルを発生する光増感剤を用いることができる。紫外線に対する光増感剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン化合物系、アセトインベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、等のチオキサントン系化合物が挙げられる。また、可視光線で重合を開始する光増感剤は、人体に有害な紫外線を必要としないために好適に使用される。これらの例としては、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p’−ジメトキシベンジル、p,p’−ジクロロベンジルアセチル、ペンタンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジケトン類が挙げられる。好ましくは、カンファーキノンが用いられる。
また、上記光増感剤に光重合促進剤を組み合わせて用いることも好ましい。特に第三級アミン類を光重合促進剤として用いる場合には、芳香族基に直接窒素原子が置換した化合物を用いることがより好ましい。かかる光重合促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェニルアルコール、p−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類、また、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類及び、そのナトリウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、さらに、ジブチル−錫−ジアセテート、ジブチル−錫−ジマレエート、ジオクチル−錫−ジマレエート、ジオクチル−錫−ジラウレート、ジブチル−錫−ジラウレート、ジオクチル−錫−ジバーサテート、ジオクチル−錫−S,S’−ビス−イソオクチルメルカプトアセテート、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等の錫化合物類等も使用できる。これらの光重合促進剤のうち少なくとも一種を選んで用いることができ、さらに二種以上を混合して用いることもできる。上記開始剤及び促進剤の添加量は適宜決定することができる。
さらに、光重合促進能の向上のために、第三級アミンに加えて、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイソ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類の添加が効果的である。
熱重合開始剤として具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類が好適に使用される。
また、上記有機過酸化物とアミン化合物を組み合わせて用いることにより重合を常温で行うこともできる。このようなアミン化合物としては、アミン基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが、硬化促進の観点より好適に用いられる。例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N−メチル−アニリン、N−メチル−p−トルイジンが好ましい。
上記有機過酸化物とアミン化合物の組合せに、さらにスルフィン酸塩またはボレートを組み合わせることも好適である。かかるスルフィン酸塩類としては、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。ボレートとしてはトリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。また、酸素や水との反応によりラジカルを発生するトリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類は有機金属型の重合開始剤としても使用することができる。
本発明の歯科用接着性レジンセメントは、その他成分を適宜選択して加えることができるが、その用途に応じて添加成分、即ち、重合抑制材、顔料などが適宜配合されても良い。
本発明の歯科用接着性レジンセメントには、必要に応じて、公知の各種添加剤を配合することができる。かかる添加剤の例としては、重合禁止剤、着色剤、変色防止剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等が挙げられる。
重合抑制剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブチル化ヒドロキシトルエン等が挙げられ、当該組成物の棚寿命の安定化に適している。
以下、実施例により本発明をより詳細に、且つ具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例及び比較例において採用した組成物の性能を評価する試験方法は次の通りである。
実施例に示した略称(化学名)
1)(f)シランカップリング剤
3−MPTES:3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
2)(d)酸性基含有モノマー、
6−MHPA:6−メタクリロキシヘキシル−ホスホノアセテート
3)(a)モノマー
Bis-GMA:ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
4)(g)光重合開始剤、光重合促進剤
CQ:カンファーキノン
DMBE:p−ジメチルアミノ安息香酸エチル
5)(b)フィラー
アルミニウムシリケートガラス:平均粒子径5μm、シラン処理品
R-972:微粒子ケイ酸[日本アエロジル(株)製]
6)(e)硫黄原子含有重合性単量体
10−MDDT:10−メタクリロキシデシル−6,8−ジチオクタネート
7)(c)(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー
FAM−401(富士フイルム株式会社製)
FAM−201(富士フイルム株式会社製)
(実験に使用した材料及び、装置)
酸化アルミニウム平板:約15×15×2mm[日本ファインセラミックス株式会社製]
酸化ジルコニウム平板:約15×15×2mm[日本ファインセラミックス株式会社製]
陶材料円盤状平板:直径15.0×5.0mm[歯科用金属焼付用陶材[商品名「ヴィンテージハロー」 (株式会社松風製)]]
金合金平板:約15×15×2mm[商品名「スーパーゴールドタイプ4」 (株式会社松風製)]
サーマルサイクル試験機:[東京技研株式会社製]
インストロン万能試験機[インストロン社製]
酸化アルミニウムまたは、酸化ジルコニウムからなる歯科用セラミックス材料の例として、酸化アルミニウム平板(約15×15×2mm[日本ファインセラミックス(株)製])及び、酸化ジルコニウム平板(約15×15×2mm[日本ファインセラミックス(株)製])を使用し、引張接着強度試験を実施した。表1に示す重量比で混合して歯科用接着性レジンセメントの調合を行った。
約15×15×2mmの酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム平板の平坦面を240番次いで、600番のシリコンカーバイド紙[三共理化学(株)製]を用いて流水下で研磨し、平滑面を得たその後、平滑面にエアーアブレーション(50μmアルミナビーズ、2.5kgf/cm2圧)を行った後、水洗を行い被着体とした。一方、直径5mm×高さ10mmの円筒形ステンレス棒の接着面をエアーアブレーション(50μmアルミナビーズ、5kgf/cm圧)し、その後、超音波洗浄及びエアー乾燥を行い接着強さ測定用治具とした。実施例または比較例で調整したレジンセメントを被着体の接着面とステンレス棒の接着面に介在させ接着を行った。この際、余剰セメントをミニブラシで除去し、セメントマージンに「松風グリップライトII」を用いて10秒間光重合した。
全試験片6個を37℃水中に浸漬し、37℃水中24時間浸漬後に引張接着強さを測定した。接着強さの測定には、万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分の条件で引張接着強さを測定した。なお、接着試験は全て23℃±1℃の室温で実施した。
ここで、レジンセメントとして、表1に示す重量比で調合し、混合して作製後、密閉状態とし23℃貯蔵環境で24時間以内に使用した場合の引張接着強さを、「初期」引張接着強さとした。また、歯科用接着性レジンセメントとして、表1に示す重量比で調合し、混合して作製後、密閉状態とし50℃貯蔵環境で2ヶ月間貯蔵後に使用した場合の引張接着強さを、「50℃2ヶ月間貯蔵後」引張接着強さとした。
二酸化珪素を主成分とする歯科用セラミックス材料の例として歯科用金属焼付用陶材[商品名「ヴィンテージハロー」 (株式会社松風製)]を使用し、円盤状(直径15.0×5.0mm)の焼成物を陶材焼成用真空電気炉[商品名「ツインマット」(株式会社松風製)]を使用して作製し、引張接着強度試験を実施した。表1に示す重量比で混合して歯科用接着性レジンセメントの調合を行った。
円盤状(直径15.0×5.0mm)の焼成物の平坦面を240番次いで、600番のシリコンカーバイド紙[三共理化学(株)製]を用いて流水下で研磨し、平滑面を得たその後、水洗を行い被着体とした。
一方、直径5mm×高さ10mmの円筒形コバルタン(コバルトクロム合金:松風社製)棒の接着面をエアーアブレーション(50μmアルミナビーズ、5kgf/cm2圧)し、その後、超音波洗浄及びエアー乾燥を行い接着強さ測定治具とした。実施例または比較例で調整したレジンセメントを被着体の接着面とステンレス棒の接着面に介在させ接着を行った。この際、余剰セメントをミニブラシで除去し、セメントマージンに「松風グリップライトII」を用いて10秒間光重合した。
全試験片6個を37℃水中に浸漬し、37℃水中24時間浸漬後に引張接着強さを測定した。接着強さの測定には、万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分の条件で引張接着強さを測定した。なお、接着試験は全て23℃±1℃の室温で実施した。
ここで、表1に示す重量比で歯科用接着性レジンセメントを調合し、混合して作製後、密閉状態とし23℃貯蔵環境で24時間以内に使用した場合の引張接着強さを、「初期」引張接着強さとした。また、密閉状態とし50℃貯蔵環境で2ヶ月間貯蔵後に使用した場合の引張接着強さを、「50℃2ヶ月間貯蔵後」引張接着強さとした。
歯科用貴金属材料の例として、金合金平板(約15×15×2mm[スーパーゴールドタイプ4(松風社製)])を使用し、引張接着強度試験を実施した。表1に示す重量比で混合して実施例または比較例で調整したレジンセメントの調合を行った。
約15×15×2mmの金合金平板の平坦面を600番のシリコンカーバイド紙[三共理化学(株)製]を用いて流水下で研磨し、平滑面を得たその後、平滑面にエアーアブレーション(50μmアルミナビーズ、5.0kgf/cm2圧)を行った後、水洗を行い被着体とした。
一方、直径5mm×高さ10mmの円筒形ステンレス棒の接着面をエアーアブレーション(50μmアルミナビーズ、5kgf/cm圧)し、その後、超音波洗浄及びエアー乾燥を行い接着強さ測定治具とした。実施例または比較例で調整したレジンセメントを被着体の接着面とステンレス棒の接着面に介在させ接着を行った。この際、余剰セメントをミニブラシで除去し、セメントマージンに「松風グリップライトII」を用いて10秒間光重合した。
全試験片6個を37℃水中に浸漬し、37℃水中24時間浸漬後に引張接着強さを測定した。接着強さの測定には、万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分の条件で引張接着強さを測定した。なお、接着試験は全て23℃±1℃の室温で実施した。
ここで、表1に示す重量比で歯科用接着性レジンセメントを調合し、混合して作製後、密閉状態とし23℃貯蔵環境で24時間以内に使用した場合の引張接着強さを、「初期」引張接着強さとした。また、表1に示す重量比で調合し、混合して作製後、密閉状態とし50℃貯蔵環境で2ヶ月間貯蔵後に使用した場合の引張接着強さを、「50℃2ヶ月間貯蔵後」引張接着強さとした。
Figure 2021054792
本明細書において、発明の構成要素が単数もしくは複数のいずれか一方として説明された場合、または、単数もしくは複数のいずれとも限定されずに説明された場合であっても、文脈上別に解すべき場合を除き、当該構成要素は単数または複数のいずれであってもよい。
本発明を図面及び詳細な実施の形態を参照して説明したが、当業者であれば、本明細書において開示された事項に基づいて種々の変更または修正が可能であることが理解されるべきである。従って、本発明の実施形態の範囲には、いかなる変更または修正が含まれることが意図されている。
歯科分野で用いられる歯科用接着性レジンセメントに関するものであり、産業上利用される発明である。

Claims (5)

  1. (a)モノマー、
    (b)フィラー、
    (c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー、
    (d)酸性基含有モノマー、
    (e)硫黄原子含有モノマー、
    (f)シランカップリング剤、及び、
    (g)重合開始材を含有し、
    (c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、0.1〜20重量%の範囲で含まれる歯科用接着性レジンセメント。
  2. (c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、下記式(1)で示される請求項1の歯科用接着性レジンセメント。
    Figure 2021054792
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。R2は、炭素数2〜6のアルキル基であり、互いに同じでも異なってもよい。)
  3. (c)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、下記式(2)で示される請求項2の歯科用接着性レジンセメント。
    Figure 2021054792
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。)
  4. 式(2)におけるRが全て水素原子である請求項3の歯科用接着性レジンセメント。
  5. 2官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まない請求項1〜4のいずれかの歯科用接着性レジンセメント。
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