JP2021123728A - めっき液の製造方法およびめっき液、ならびにめっき鋼板の製造方法およびめっき鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のめっき液の製造方法は、亜鉛源と、5価のバナジウム酸化物と、水とを混合して、式(1)で表される5価のバナジン酸水素イオンを含むめっき液を得る工程を含む。
【選択図】なし
Description
式(1):HxVyOz n−
(式(1)において、
x、yおよびzは、それぞれ整数であり、かつ
1≦x≦3、1≦y≦2、4≦z≦7、1≦n≦2である)
式(1):HxVyOz n−
(式(1)において、
x、yおよびzは、それぞれ整数であり、かつ
1≦x≦3、1≦y≦2、4≦z≦7、1≦n≦2である)
本発明のめっき液の製造方法は、亜鉛源と、バナジウム源としての5価のバナジウム酸化物と、水とを混合して、5価のバナジン酸水素イオンを含むめっき液を得る工程を含む。
亜鉛源は、めっき層の主成分となる亜鉛(金属亜鉛(Zn))または亜鉛化合物である。亜鉛化合物の例には、硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O、ZnSO4、またはZnSO4・nH2O(n=1〜6))、酸化亜鉛(ZnO)、塩基性炭酸亜鉛(xZn(CO)3・yZn(OH)2・nH2O)、塩化亜鉛((ZnCl2)、硝酸亜鉛(Zn(NO3)2またはZn(NO3)2・6H2O)が含まれる。中でも、めっき時に塩化水素ガスやNOxガスなどの発生を抑制できる観点では、金属亜鉛、硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O、ZnSO4、またはZnSO4・nH2O(n=1〜6))、酸化亜鉛または塩基性炭酸亜鉛が好ましく、さらに硫酸イオンによるpH調整機能を兼ねる観点では、硫酸亜鉛が好ましい。
バナジウム源として、5価のバナジウム酸化物を用いる。5価のバナジウム酸化物は、好ましくは五酸化バナジウム(V2O5)である。五酸化バナジウムが水に溶解すると、5価のバナジン酸水素イオンおよび任意のバナジン酸イオンが生じる。
式(1):HxVyOz n−
(式(1)において、
x、yおよびzは、整数であり、かつ
1≦x≦3、1≦y≦2、4≦z≦7、1≦n≦2を満たす)
また、必要に応じて、上記以外の他の成分をさらに添加してもよい。他の成分の例には、pH調整剤、導電助剤、亜鉛と合金化する合金成分などが含まれる。
めっき液のpHを調整しやすくする観点から、pH調整剤をさらに混合してもよい。pH調整剤の例には、硫酸源などの酸成分や、水酸化ナトリウムなどのアルカリ成分が含まれる。
導電助剤は、電気めっき時の電圧を下げ、電気めっき電源設備の低コスト化、めっき電力を低減する観点で、添加されうる。導電助剤の種類は、特に制限されず、その例には、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムが含まれる。中でも、pH調整機能も兼ね備える観点から、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウムなどの硫酸塩が好ましい。
合金成分の例には、Niまたはその化合物、Coまたはその化合物、Snまたはその化合物、Feまたはその化合物が含まれる。
そして、これらの亜鉛源、5価のバナジウム酸化物、水および必要に応じて他の成分を混合する。
本発明のめっき液は、本発明のめっき液の製造方法で得られるものであり、亜鉛源と、5価のバナジン酸水素イオンと、水とを含む。
本発明のめっき鋼板の製造方法は、本発明のめっき液を用いて、電気めっきを行うことにより、鋼板上にめっき層を形成する工程を含む。
このように、5価のバナジウム酸化物を溶解させためっき液(5価のバナジン酸水素イオンを含むめっき液)で電気めっきを行うと、めっき時の水素発生によりpHが上昇したカソードの近傍において、めっき液中の5価のバナジン酸水素イオンが、電気化学反応によりVの価数が変化し、4価もしくは3価のバナジウム化合物として析出する。
2VO2++4OH−→V2O4+2H2O・・・(a)
また、析出した亜鉛近傍では、(導電性が高いため)引き続きZnと水素ガスが発生するため、めっき液のpHが上昇しやすく(図1A、pH上昇領域aを参照)、主に亜鉛が析出および成長しやすい(付随的にバナジウム化合物も析出する)のに対し;析出したバナジウム化合物近傍では、導電性が低く、めっき液のpHも低いため(図1Aのb参照)、バナジウム化合物が析出および成長しにくい。その結果、主に亜鉛が析出および成長した部分は樹枝状組織1となり;樹枝状組織同士の間の領域2では、バナジウム化合物が主に析出しやすい(図1B参照)。それにより、亜鉛濃度が高い樹枝状組織1と、それらの間を埋める、バナジウム濃度が高い領域2とを有するめっき層が形成されると考えられる(図1C参照)。
H3V2O7 −+3H++2e−→V2O4+3H2O・・・(b−1)
2H2VO4 −+4H++2e−→V2O4+4H2O・・・(b−2)
また、析出したバナジウム化合物近傍では、亜鉛と同様に、めっき液のpHが上昇するため、析出したバナジウム化合物近傍では、亜鉛と同様に、バナジウム化合物が析出および成長しやすい(図2B参照)。それにより、亜鉛濃度が高い連続相11に、バナジウム濃度が高い分散相12が分散しためっき層が形成されると考えられる(図2C参照)。
本発明のめっき鋼板の製造方法により得られるめっき鋼板は、鋼板と、その少なくとも一方の面に形成されためっき層とを有する。
具体的には、めっき層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)、×5000の視野、加速電圧15kVの条件で観察して得られる反射電子像から、任意の10個のバナジウム化合物の粒子径、アスペクト比または長さをそれぞれ測定し、それらの平均値を平均粒子径、アスペクト比または平均長さとしうる。
めっき層のビッカース硬さは、バナジウムの含有量にもよるが、例えばめっき層のバナジウム含有量が0.2〜6.0質量%であるとき、160HV以下であることが好ましい。めっき層のビッカース硬さが上記範囲内であると、適度な柔軟性を有するため、めっき鋼板を曲げるなどの加工をする際に、めっき層の剥がれや割れを抑制しやすい。めっき層のビッカース硬さは、同様の観点から、90〜150HVであることがより好ましい。
また、めっき鋼板の20mm×50mmの試験片を180°折り曲げた後、曲げ部分にセロハンテープ(登録商標)を貼り付け、急速に引き剥がしたときのセロハンテープへのめっき付着量が、めっきに貼り付けた箇所の面積の20%以下であることが好ましい。
(1)バナジウム源(V源)
五酸化V:五酸化バナジウム(V2O5)、純度99.5%、固体(粉体)
オキシ硫酸V:オキシ硫酸バナジウム(VOSO4・5H2O)、固体(粉体)
硫酸Zn:硫酸亜鉛 七水和物(ZnSO4・7H2O)、固体(粉体)
硫酸Na:硫酸ナトリウム無水物(Na2SO4)、固体(粉体)
硫酸、水酸化ナトリウム
<試験1〜19>
(1)めっき液の作製
表1に示されるZn源、V源、導電助剤、pH調整剤およびイオン交換水を、表1に示される組成およびpHとなるように混合して、めっき液を得た。なお、硫酸亜鉛の配合量は、350g/Lとし、導電助剤の配合量は、80g/Lとした。
めっき液のpHは、pH1.62シュウ酸塩標準液、pH4.01フタル酸塩標準液およびpH6.86中性リン酸塩標準液で3点校正したpH複合電極を用いて、60℃(昇温後)で測定した。
(前処理)
まず、鋼板として、焼鈍済みの冷延鋼板を準備した。この鋼板を、60℃の2.5質量%の水酸化ナトリウムのアルカリ溶液中で電解脱脂した後、5質量%の硫酸水溶液中で酸洗した。
次いで、上記作製しためっき液4Lを、矩形の管内に流動させた。この矩形の管内に、上記処理した鋼板を浸漬させるとともに、当該鋼板に対向するようにアノード電極を10mmの間隔をあけて配置した。アノード電極には、チタンに酸化イリジウムをコーティングしたものを用いた。そして、浴温60℃、流速0.4m/s、電流密度60A/dm2の条件で、電気めっきを行った。また、めっき付着量は20g/m2とした。
得られためっき鋼板のめっき層中のV濃度、めっき層におけるバナジウム化合物の形状、ビッカース硬さ、密着性(0T曲げ)、および耐食性を、以下の方法で測定した。
めっき層中のVの含有量は、一次線を15keVの電子線としたエネルギー分散型X線分光法により測定した。
めっき層に含まれるバナジウム化合物の形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)で×5000の視野、加速電圧15kVの条件で観察した。
その結果、粒子状のバナジウム化合物の平均粒子径は0.6μm程度であり、線状のバナジウム化合物の平均長さは2.3μm、アスペクト比は12.7程度であった。
めっき層のビッカース硬さは、JIS Z 2244ビッカース硬さ試験−試験方法に準拠した測定した。
くぼみの対角線長さの測定は、金属顕微鏡でくぼみを×500の視野で読み取り、以下の計算式に当てはめて、ビッカース硬度を算出した。
得られためっき鋼板を所定の大きさにカットして、試験片とした。この試験を、180°折り曲げた後、曲げ部分にセロハンテープを貼り付け、急速に引き剥がしたときのセロハンテープへのめっき付着量を測定した。そして、以下の基準に基づいて、密着性を評価した。
○:めっき層の剥がれなし(セロハンテープへのめっき付着が全くない)
△:めっき層の一部に剥がれがあるが、実用上問題ないレベル(セロハンテープへのめっき付着量が、めっきに貼り付けた箇所の面積の0%超20%以下)
×:めっき層の大部分が剥がれ、実用上問題となるレベル(セロハンテープへのめっき付着量が、めっきに貼り付けた箇所の面積の20%超)
△以上であれば、許容範囲とした。
JIS Z 2371塩水噴霧試験方法を行い、赤錆が発生するまでの時間を測定した。赤錆が発生するまでの時間が長いほど、耐食性が高いことを示す。
電流効率は、以下の式を用いて算出した。
つまり、比較例のめっき層の構造は、亜鉛を主成分とする変形しやすい樹枝状組織と、バナジウム化合物を主成分とする変形しにくい領域(樹枝状組織同士の間の領域)とで構成されている。そのため、圧子が押し込まれても、変形しやすい柱状組織は、変形しにくい組織間領域で囲まれているため変形しにくく、めっき層全体としても変形しにくく、硬くなると考えられる。一方、実施例では、めっき層には、バナジウム化合物が、粒子状、線状または板状の形態で分散しているため、亜鉛を主成分とする領域の変形性が損なわれにくい。したがって、実施例のめっき層のほうが、比較例のめっき層よりも変形しやすく(硬すぎず)、密着性に優れると考えられる。
(1)めっき液の作製
表2に示されるZn源、V源、導電助剤、pH調整剤およびイオン交換水を、表2に示される組成およびpHとなるように混合した以外は、試験1と同様にしてめっき液を得た。
めっき液を、表2のめっき液に変更した以外は試験1と同様にして、めっき鋼板を作製し、同様の評価を行った。
2 樹枝状組織同士の間の領域(バナジウム濃度が高い領域)
11 連続相(亜鉛濃度が高い領域)
12 分散相(バナジウム濃度が高い領域)
21 鋼板
22 めっき層
23 ダイヤモンド圧子
Claims (14)
- 亜鉛源と、5価のバナジウム酸化物と、水とを混合して、式(1)で表される5価のバナジン酸水素イオンを含むめっき液を得る工程を含む、
めっき液の製造方法。
式(1):HxVyOz n−
(式(1)において、
x、yおよびzは、それぞれ整数であり、かつ
1≦x≦3、1≦y≦2、4≦z≦7、1≦n≦2である) - 前記5価のバナジウム酸化物は、五酸化バナジウムである、
請求項1に記載のめっき液の製造方法。 - 前記めっき液の60℃におけるpHは、2.0〜5.0である、
請求項1または2に記載のめっき液の製造方法。 - 前記めっき液のバナジウム濃度は、0.005〜0.2mol/Lである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のめっき液の製造方法。 - 前記亜鉛源は、硫酸亜鉛を含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のめっき液の製造方法。 - 亜鉛源と、式(1)で表される5価のバナジン酸水素イオンと、水とを含む、
めっき液。
式(1):HxVyOz n−
(式(1)において、
x、yおよびzは、それぞれ整数であり、かつ
1≦x≦3、1≦y≦2、4≦z≦7、1≦n≦2である) - 前記めっき液の60℃におけるpHは、2.0〜5.0である、
請求項6に記載のめっき液。 - バナジウム濃度は、0.005〜0.2mol/Lである、
請求項6または7に記載のめっき液。 - 前記亜鉛源は、硫酸亜鉛を含む、
請求項6〜8のいずれか一項に記載のめっき液。 - 請求項6〜9のいずれか一項に記載のめっき液を用いて電気めっきを行うことにより、鋼板上にめっき層を形成する工程を含む、
めっき鋼板の製造方法。 - 前記電気めっきは、電流密度10A/dm2以上で行う、
請求項10に記載のめっき鋼板の製造方法。 - 鋼板と、
亜鉛と、バナジウム化合物とを含むめっき層と
を含み、
前記バナジウム化合物は、粒子状、線状または板状の形状を有し、かつ前記めっき層中に分散しており、
前記めっき層のバナジウムの含有量は、0.2〜6質量%である、
めっき鋼板。 - 前記めっき層に含まれる酸素原子Oとバナジウム原子Vのモル比O/Vは、1.5〜13である、
請求項12に記載のめっき鋼板。 - 前記めっき層のビッカース硬さは、160HV以下である、
請求項12または13に記載のめっき鋼板。
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