JP2021123737A - 金属アルミニウムの製造方法、その金属アルミニウムを含む水素発生用金属混合物の製造方法、ならびにその水素発生用金属混合物を用いた水素の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フルオロカーボンを発生させることなく、且つAl−Si合金、Al−Fe−Si合金等の分離困難な粗Al合金の生成を経ることなく、安価な酸化アルミニウムを2000℃以下の温度で還元することにより、金属アルミニウムを製造する方法、およびその金属アルミニウムを含む水素発生用金属混合物の製造方法、ならびにその水素発生用金属混合物を用いた水素の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物を660℃超1900℃以下に加熱する工程と、前記加熱する工程後660℃以下に冷却する工程と、を含む水素発生用金属混合物の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物を660℃超1900℃以下に加熱する工程と、前記加熱する工程後660℃以下に冷却する工程と、を含む水素発生用金属混合物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本開示は、金属アルミニウムの製造方法、その金属アルミニウムを含む水素発生用金属混合物の製造方法、ならびにその水素発生用金属混合物を用いた水素の製造方法に関する。
近年、例えば燃料電池自動車の実用化等により、燃料としての水素の利用が注目されている。このため、水素を製造する方法について各種の提案がされている。
例えば、特許文献1には、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)およびスズ(Sn)を含む水素発生用金属混合物と、水とを混合して水素を製造する方法が開示されている。この方法に使用される水素発生用金属混合物は、上記の各金属の混合物を加熱混合することにより得られる。
各金属のうち金属アルミニウムは、安価な酸化アルミニウムから製造されることが望ましい。非特許文献1には、酸化アルミニウムから金属アルミニウムを製造する方法がいくつか挙げられている。
まず、酸化アルミニウムから金属アルミニウムを製造する一般的な方法として、ホール・エルー法が挙げられている。この方法では、氷晶石とフッ化ナトリウムを約1000℃で融解させた電解浴に、酸化アルミニウムを5%程度入れて溶解させ、炭素電極を用いて電気分解することにより金属アルミニウムが得られる。
酸化アルミニウムから金属アルミニウムを製造するその他の方法として、炭素熱還元方法が挙げられている。この方法は、酸化アルミニウムを炭素とともに2080℃以上に加熱し、酸化アルミニウムを還元することで金属アルミニウムを製造するものである。ただし、酸化アルミニウムと炭素のみからでは、アルミニウムの炭化物および酸炭化物が生成され、金属アルミニウムを得ることができない。
そのため、炭素熱還元方法においては、まず粗Al合金を得てから、金属アルミニウムを得る方法が提案されている。具体的には、ケイ素及び/又は鉄をさらに含む酸化アルミニウム鉱物(ボーキサイト等)を炭素により還元して、Al−Si合金、Al−Fe−Si合金等の粗Al合金を得ることが提案されている。
そのため、炭素熱還元方法においては、まず粗Al合金を得てから、金属アルミニウムを得る方法が提案されている。具体的には、ケイ素及び/又は鉄をさらに含む酸化アルミニウム鉱物(ボーキサイト等)を炭素により還元して、Al−Si合金、Al−Fe−Si合金等の粗Al合金を得ることが提案されている。
谷内研太郎、「アルミニウム新精錬法の現状について」、日本金属学会会報、1973年、第12巻、p.789−800
しかしながら、ホール・エルー法では、温室効果のあるフルオロカーボンが発生する問題がある。また従来の炭素熱還元方法では、Al−Si合金、Al−Fe−Si合金等の粗Al合金が生成されるため、そこから金属アルミニウムを分離するのは困難であるという問題もある。さらに粗Al合金を得るために2000℃超に加熱する必要があるため、生成物の蒸発が激しく、消費電力も大きいといった問題もある。
本発明の実施形態は、このような状況を鑑みてなされたものであり、その目的の1つはフルオロカーボンを発生させることなく、且つAl−Si合金、Al−Fe−Si合金等の分離困難な粗Al合金の生成を経ることなく、安価な酸化アルミニウムを2000℃以下の温度で還元することにより、金属アルミニウムを製造する方法を提供することであり、別の目的の1つは、その金属アルミニウムを含む水素発生用金属混合物の製造方法を提供することであり、さらに別の目的の1つは、その水素発生用金属混合物を用いた水素の製造方法を提供することである。
本発明の態様1は、
酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物を660℃超1900℃以下に加熱する工程と、
前記加熱する工程後660℃以下に冷却する工程と、を含む水素発生用金属混合物の製造方法である。
酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物を660℃超1900℃以下に加熱する工程と、
前記加熱する工程後660℃以下に冷却する工程と、を含む水素発生用金属混合物の製造方法である。
本発明の態様2は、前記炭素のモル数が、前記酸化アルミニウムのモル数の3〜5倍である態様1に記載の製造方法である。
本発明の態様3は、前記酸化アルミニウム、前記炭素および前記ガリウムの総モル数に対する、前記酸化アルミニウムのモル濃度が23モル%以下であり、かつ、前記ガリウムのモル濃度が10〜80モル%である、態様1または2に記載の製造方法である。
本発明の態様4は、前記酸化アルミニウム、前記炭素および前記ガリウムの総モル数に対する、前記酸化アルミニウムのモル濃度が20モル%以下であり、かつ、前記ガリウムのモル濃度が30〜60モル%である、態様1〜3のいずれか1つに記載の製造方法である。
本発明の態様5は、前記加熱する工程の温度が1600〜1800℃である態様1〜4のいずれか1つに記載の製造方法である。
本発明の態様6は、態様1〜5のいずれか1項に記載の方法により用意された水素発生用金属混合物を29.8℃以上660℃以下に加熱して、金属アルミニウムを分離する工程を含む、金属アルミニウムの製造方法である。
本発明の態様7は、態様6に記載の方法により用意された金属アルミニウムと、ガリウム、スズ、インジウム、銀および鉄からなる群から選択される少なくとも1種以上の金属と、を混合する工程を含む水素発生用金属混合物の製造方法である。
本発明の態様8は、態様1〜5および7のいずれか1つに記載の方法により用意された水素発生用金属混合物と水とを接触させる工程を含む水素の製造方法である。
本発明の実施形態では、フルオロカーボンを発生させることなく、且つAl−Si合金、Al−Fe−Si合金等の分離困難な粗Al合金の生成を経ることなく、安価な酸化アルミニウムを2000℃以下の温度で還元することにより、金属アルミニウムを製造する方法を提供することが可能であり、別の実施形態では、その金属アルミニウムを含む水素発生用金属混合物の製造方法を提供することが可能であり、さらに別の実施形態では、その水素発生用金属混合物を用いた水素の製造方法を提供することが可能である。
本願発明者らは、フルオロカーボンを発生させることなく、且つAl−Si合金、Al−Fe−Si合金等の分離困難な粗Al合金の生成を経ることなく、安価な酸化アルミニウムを2000℃以下の温度で還元することにより、金属アルミニウムを製造する方法を実現するべく、様々な角度から検討した。
その結果、酸化アルミニウムおよび還元剤である炭素に加え、ガリウムを混合して加熱することにより、フルオロカーボンを発生させることなく、且つAl−Si合金、Al−Fe−Si合金等の分離困難な粗Al合金の生成を経ることなく、安価な酸化アルミニウムを2000℃以下の温度で還元でき、金属アルミニウムを製造できることを見出した。
以下に、本発明の実施形態が規定する各要件の詳細を示す。
なお、本明細書において、「金属アルミニウム」は、純アルミニウム(Al)に加え、純Alに他の元素が20質量%以下で溶け込んだ固溶体も含む。「粗Al合金」とは、純Alに、他の金属(ケイ素、鉄等)が20質量%超で含まれる合金を指し、例えば、純Alに他の金属(ケイ素、鉄等)が20質量%超で含まれる金属間化合物および/または固溶体、ならびに純Al中に他の金属(ケイ素、鉄等)および/またはその金属間化合物が20質量%超で析出したもの等をいう。
なお、本明細書において、「金属アルミニウム」は、純アルミニウム(Al)に加え、純Alに他の元素が20質量%以下で溶け込んだ固溶体も含む。「粗Al合金」とは、純Alに、他の金属(ケイ素、鉄等)が20質量%超で含まれる合金を指し、例えば、純Alに他の金属(ケイ素、鉄等)が20質量%超で含まれる金属間化合物および/または固溶体、ならびに純Al中に他の金属(ケイ素、鉄等)および/またはその金属間化合物が20質量%超で析出したもの等をいう。
本発明の実施形態に係る金属アルミニウムの製造方法および本発明の別の実施形態に係る水素金属発生用混合物の製造方法は、(a)酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物を660℃超1900℃以下に加熱する工程と、(b)前記加熱する工程後660℃以下に冷却する工程と、を含む。
以下、各工程について詳述する。
以下、各工程について詳述する。
[(a)混合物を加熱する工程]
酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物を660℃超1900℃以下に加熱することにより、酸化アルミニウム等が炭素により還元され、金属アルミニウムが生成する。
酸化アルミニウムが炭素により還元される場合、以下の式(1)で示す反応が起こると考えられる。
Al2O3+3C→2Al+3CO・・・(1)
酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物を660℃超1900℃以下に加熱することにより、酸化アルミニウム等が炭素により還元され、金属アルミニウムが生成する。
酸化アルミニウムが炭素により還元される場合、以下の式(1)で示す反応が起こると考えられる。
Al2O3+3C→2Al+3CO・・・(1)
ただし、上記式(1)の反応は、酸化アルミニウムと炭素を混合して加熱するだけでは進まず、代わりに炭化アルミニウムの生成および/または低次アルミニウム酸化物の蒸発等が起こる。
そこで、酸化アルミニウムおよび炭素に加え、ガリウム(Ga)を混合して加熱すると、上記式(1)の右辺のAlがGaにより補足されることにより、上記式(1)の反応が促進されることを本願発明者らが見出した。そのため、比較的低温(2000℃以下)でも上記式(1)の反応が進み得る。また上記工程ではフッ化物を必要としないので、フルオロカーボンの生成を回避できる。
酸化アルミニウムは、アルミニウム(Al)および酸素(O)から構成される化合物であればよく、好ましくはAl2O3であるが、それ以外の比率のもの(AlOX)であってもよく、Al2O3とAlOXの混合物であってもよい。酸化アルミニウムは、それらの水和物(水酸化アルミニウム(Al2O3・3H2O=2Al(OH)3)、水酸化酸化アルミニウム(Al2O3・H2O=2AlO(OH))等)であってもよい。
酸化アルミニウム、炭素およびガリウムの総モル数に対する、酸化アルミニウムのモル濃度は23モル%以下であることが好ましく、より好ましくは20モル%以下である。これにより、ガリウムの濃度を高くすることができ、上記式(1)の反応がより進み得る。一方、酸化アルミニウムのモル濃度は5モル%以上であることが好ましく、より好ましくは10モル%以上であり、さらに好ましくは15モル%以上である。これにより、金属アルミニウムをより多く生成することができる。
なお、酸化アルミニウム、炭素およびガリウムを含む混合物から、酸化アルミニウム、炭素およびガリウムのモル数をそれぞれ求める方法として、例えばXRDと、ICP発光分析等の元素分析とを併用することにより求めることができる。
なお、酸化アルミニウム、炭素およびガリウムを含む混合物から、酸化アルミニウム、炭素およびガリウムのモル数をそれぞれ求める方法として、例えばXRDと、ICP発光分析等の元素分析とを併用することにより求めることができる。
炭素のモル数は、酸化アルミニウムのモル数の3〜5倍であることが好ましい。3倍以上にすることにより、酸化アルミニウムの未反応物を抑制することができ、5倍以下にすることにより、炭化物の生成を抑制することができる。
酸化アルミニウム、炭素およびガリウムの総モル数に対する、ガリウムのモル濃度は10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは15モル%以上であり、さらに好ましくは30モル%以上である。これにより、ガリウム量が十分に確保され、上記式(1)の反応がより進み得る。一方、ガリウムのモル濃度は80モル%以下であることが好ましい。ガリウムのモル濃度が80%以上で、上記式(1)の反応性向上効果が飽和するため、金属アルミニウムをより多く生成する上では、ガリウム濃度を80%以下にして、酸化アルミニウム等の濃度を高くできるようにする方が好ましい。より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは60モル%以下である。
本発明の実施形態の目的が達成される範囲内で、加熱前の混合物には、酸化アルミニウム、炭素およびガリウム以外に、他の成分を含んでいてもよい。
酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物の加熱温度は、660℃超1900℃以下とする。660℃以下では、上記式(1)の反応が進まず、1900℃超では、アルミニウムおよびガリウム等の金属の蒸発が著しくなる。より好ましくは、1600℃以上1800℃以下、さらに好ましくは1700℃以上1800℃以下である。
上記加熱温度での保持時間は、特に制限されないが、1時間以上が好ましい。1時間以上とすることにより、未反応物の残差量を抑制できる。より好ましくは2時間以上である。一方、10時間以上加熱しても上記式(1)の反応効率は向上しないため、製造時間短縮の観点から10時間以下とするのが好ましい。
上記加熱は、電気炉で行ってもよい。また、燃料ガスおよび/またはコークスの燃焼熱を利用して加熱してもよい。
上記加熱時の雰囲気は、窒素ガス以外の不活性ガス雰囲気が好ましく、例えばArガス雰囲気が好ましい。これにより、金属アルミニウムと活性ガスとの化合物の生成および窒素ガスとの化合物(窒化アルミニウム)の生成を抑制できる。
[(b)冷却する工程]
上記加熱する工程後、660℃以下に冷却する。これにより、ガリウム中に補足された金属アルミニウムがガリウム中に均一に析出されるため、ガリウム中に金属アルミニウムが均一に分散した水素発生用金属混合物が得られる。このような水素発生用金属混合物では、ガリウムが金属アルミニウムを被覆するため、後述する水素発生方法において、金属アルミニウム表面の酸化被膜の形成を抑制し、水素発生のための水との反応を効率的に行うことができる。
上記加熱する工程後、660℃以下に冷却する。これにより、ガリウム中に補足された金属アルミニウムがガリウム中に均一に析出されるため、ガリウム中に金属アルミニウムが均一に分散した水素発生用金属混合物が得られる。このような水素発生用金属混合物では、ガリウムが金属アルミニウムを被覆するため、後述する水素発生方法において、金属アルミニウム表面の酸化被膜の形成を抑制し、水素発生のための水との反応を効率的に行うことができる。
(b)冷却する工程における平均冷却速度は5℃/分以上とするのが好ましい。これにより、生産性を高めることができる。より好ましくは8℃/分以上である。一方で、平均冷却速度は30℃/分以下とすることが好ましい。これにより、金属アルミニウムをガリウム中により均一に析出させることができる。より好ましくは、10℃/分以下である。
冷却時の雰囲気は、窒素ガス以外の不活性ガス雰囲気が好ましく、例えばArガス雰囲気が好ましい。これにより、金属アルミニウムと活性ガスとの化合物の生成および窒素ガスとの化合物(窒化アルミニウム)の生成を抑制できる。
上記冷却する工程後の生成物中の金属アルミニウムの有無は、例えば、生成物とイオン交換水とを接触させることにより、確認することができる。生成物中の金属アルミニウムと水とが接触すると、下記式(2)の反応が起こると考えられる。
4H2O+2Al→2AlO(OH)+3H2・・・(2)
すなわち、生成物をイオン交換水と接触させて水素が発生すれば、生成物中の金属アルミニウムの存在を確認できる。
4H2O+2Al→2AlO(OH)+3H2・・・(2)
すなわち、生成物をイオン交換水と接触させて水素が発生すれば、生成物中の金属アルミニウムの存在を確認できる。
また、X線回折(X−ray Diffraction:XRD)により生成物を解析し、回折ピークの有無により、金属アルミニウムの生成の有無を確認できる。ただし、生成物とイオン交換水との接触により金属アルミニウムの存在が確認できても、生成物中の金属アルミニウム濃度がXRDの検出限界(1モル%程度)以下であれば、XRDでは金属アルミニウムを検出できないこともあり得る。すなわち、金属アルミニウムの有無の検出感度は、XRDよりも、生成物とイオン交換水とを接触させる方法の方が高い。
本発明の実施形態に係る金属アルミニウムの製造方法は、(c)上記(a)混合物を加熱する工程および(b)冷却する工程により用意された水素発生用金属混合物を29.8℃以上660℃以下に加熱して、金属アルミニウムを分離する工程を含む。
[(c)分離する工程]
上記冷却する工程後の生成物を29.8℃以上660℃以下に加熱して金属アルミニウムを分離する。Alの比重はGaより小さいため、上記冷却する工程後に析出した金属アルミニウムを遠心分離等により容易に分離できる。また、濾過により分離することもできる。分離は、生成物を29.8℃以上660℃以下に加熱して行う。Gaの融点である29.8℃未満では、Gaが固体に変化するため、金属アルミニウムの分離が困難となる。一方、660℃超では、金属アルミニウムがGa中に溶解するため、金属アルミニウムを分離することができなくなる。
上記冷却する工程後の生成物を29.8℃以上660℃以下に加熱して金属アルミニウムを分離する。Alの比重はGaより小さいため、上記冷却する工程後に析出した金属アルミニウムを遠心分離等により容易に分離できる。また、濾過により分離することもできる。分離は、生成物を29.8℃以上660℃以下に加熱して行う。Gaの融点である29.8℃未満では、Gaが固体に変化するため、金属アルミニウムの分離が困難となる。一方、660℃超では、金属アルミニウムがGa中に溶解するため、金属アルミニウムを分離することができなくなる。
上記のように分離した金属アルミニウムは、ガリウム(Ga)を固溶し得る。固溶量としては、例えば金属アルミニウム全質量に対し、Gaが20質量%以下で固溶していることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
本発明の別のもう1つの実施形態に係る水素発生用金属混合物の製造方法は、上記(c)分離する工程後に得られた金属アルミニウムと、ガリウム、スズ、インジウム、銀および鉄からなる群から選択される少なくとも1種以上の金属と、を混合する工程を含む。
[(d)混合する工程]
上記(c)工程後の金属アルミニウムと、金属とを混合する。混合する金属(以下、「追加の金属」と称する)としては、例えば、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、インジウム(In)、銀(Ag)および鉄(Fe)等が挙げられる。
上記(c)工程後の金属アルミニウムと、金属とを混合する。混合する金属(以下、「追加の金属」と称する)としては、例えば、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、インジウム(In)、銀(Ag)および鉄(Fe)等が挙げられる。
上記(c)工程後に得られた金属アルミニウムとGaを含む追加の金属とを混合させる際、追加の金属をGaの融点以上に加熱して溶融させた後、金属アルミニウムを混合することができる。混合方法としては、攪拌混合が好ましく、これにより、金属アルミニウムが、溶融した追加の金属中で細分化され、均一な水素発生用金属混合物を製造できる。
本発明のさらに別の実施形態では、上記(b)工程後または上記(d)工程後に得られた水素発生用金属混合物を用いた水素の製造方法を提供することができる。例えば、上記(b)工程後または上記(d)工程後に得られた水素発生用金属混合物と、水とを接触させることにより水素を製造することができる。
上記水と接触させる工程において、特に限定されないが、一例として、容器内に、水素発生用金属混合物を収容しておき、この容器に水を循環させる方法が挙げられる。この方法では、水素発生用金属混合物と、水との反応で発生した水素を取り出すとともに、循環水により金属水酸化物を主体とする副生成物を除去することで、連続的に高効率で水素を発生させることができる。
水素発生用金属混合物と接触させる水としては、pH7の純水であってもよいが、弱酸性又は弱アルカリ性の水を用いてもよく、より安価な水道水または工業用水を用いることが好ましい。
水素発生用金属混合物と接触させる水の質量の下限としては、当該水素発生用金属混合物の質量の1倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましい。このような範囲にしておくことにより、当該水素発生用金属混合物と水とを十分に接触させることができる。一方、水の質量の上限としては、当該水素発生用金属混合物の質量の20倍以下が好ましく、10倍以下がより好ましい。これにより、不必要な排水を抑制できる。
水素発生用金属混合物と接触させる水の温度としては、常温であってもよいが、例えば40℃以上60℃以下とすることによって、反応を促進することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態をより具体的に説明する。本発明の実施形態は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の実施形態の技術的範囲に包含される。
以下の表1の原料No.A〜Cに示すように、酸化アルミニウム(Al2O3、純度2N、粉末、平均粒径150μm、高純度化学研究所製)、炭素(C(黒鉛)、純度3N、粉末、平均粒径50μm、高純度化学研究所製)およびガリウム(Ga、純度4N、インゴット、高純度化学研究所製)を各モル濃度(mol%)で混合し、黒鉛坩堝内に入れた。その黒鉛坩堝を電気炉内に入れ、電気炉内をアルゴン雰囲気にした。電気炉内を1600℃、1700℃または1800℃のいずれかの温度に加熱し、2時間保持した。その後、50℃まで9℃/分の平均冷却速度で冷却し、黒鉛坩堝内の生成物を採取した。
得られた生成物中の金属アルミニウムの有無を調査するために、約30℃で各生成物をイオン交換水と混合し、水素発生の有無を調査した。また、約30℃で各生成物をX線回折(X−ray Diffraction:XRD)により解析した。結果を表2に示す。なお、「水素発生の有無」欄には、水素発生が確認できたものに〇、水素発生が確認できなかったものに×を記載した。また、「判定」欄には、水素発生を確認でき、且つXRDによりアルミニウム(Al)が検出されたものは◎(非常に良好)を記載し、水素発生を確認できたが、XRDによりAlが検出されなかったものは〇(良好)を記載し、水素発生を確認できず、且つXRDによりAlが検出されなかったものは×(不良)を記載した。
表2の結果より、次のように考察できる。表2の試験No.1〜9は、いずれも本発明の実施形態で規定する要件の全てを満足する例であり、水素発生により金属アルミニウムの生成を確認できた。
特に試験No.2、5および8は、試験No.1、3、4および7とは異なり、以下の好ましい条件1〜3を満たしたため、金属アルミニウム生成量が多く、XRDでもAlが検出され、判定において非常に良好(◎)となった。
条件1:酸化アルミニウム、炭素およびガリウムの総モル数に対する、酸化アルミニウムのモル濃度が20モル%以下
条件2:酸化アルミニウム、炭素およびガリウムの総モル数に対する、酸化アルミニウムのモル濃度が15モル%以上
条件3:酸化アルミニウム、炭素およびガリウムの総モル数に対する、ガリウムのモル濃度が30〜60モル%
条件1:酸化アルミニウム、炭素およびガリウムの総モル数に対する、酸化アルミニウムのモル濃度が20モル%以下
条件2:酸化アルミニウム、炭素およびガリウムの総モル数に対する、酸化アルミニウムのモル濃度が15モル%以上
条件3:酸化アルミニウム、炭素およびガリウムの総モル数に対する、ガリウムのモル濃度が30〜60モル%
また、試験No.6および9は、試験No.1、3、4および7とは異なり、上記条件1および3に加え、以下の好ましい条件4を満たしたため、金属アルミニウム生成量が多く、XRDでもAlが検出され、判定において非常に良好(◎)となった。
条件4:加熱温度1700℃〜1800℃
条件4:加熱温度1700℃〜1800℃
なお、試験No.2、5、6、8および9のXRD解析において、Alの2θ=38°のピークが低角側にわずかにシフトしていた。おそらく、GaがAlに固溶しているものと推測され、ピークのシフト量から、その固溶量は非常に小さい(10質量%以下)ものと推測される。
また、試験No.1〜9のXRD解析において、ガリウムは検出されなかった。これはガリウムが非晶質であったためと考えられる。
また、1600℃および1700℃では酸化アルミニウムが検出されていたが(試験No.1〜6)、1800℃では、試験No.7において若干の酸化アルミニウムが検出されただけで、試験No.8〜9では酸化アルミニウムは検出されなかった。これは、1800℃では化学反応が早く進み、炭素により酸化アルミニウムが還元されたためと考えられる。
本発明の実施形態に係る金属アルミニウムの製造方法は、フルオロカーボンを発生させることなく、且つAl−Si合金、Al−Fe−Si合金等の分離困難な粗Al合金の生成を経ることなく、安価な酸化アルミニウムを2000℃以下の温度で還元することにより、金属アルミニウムを製造できるため、新たな金属アルミニウムの製造方法として好適である。得られた金属アルミニウムの用途は特に限定されないが、たとえばその金属アルミニウムを含む水素発生用金属混合物およびその製造方法、ならびにその水素発生用金属混合物を用いた水素の製造方法に使用され得る。さらにその水素は、例えば燃料電池自動車の燃料として使用され得る。
Claims (8)
- 酸化アルミニウムと、炭素と、ガリウムとを含む混合物を660℃超1900℃以下に加熱する工程と、
前記加熱する工程後660℃以下に冷却する工程と、を含む水素発生用金属混合物の製造方法。 - 前記炭素のモル数は、前記酸化アルミニウムのモル数の3〜5倍である請求項1に記載の製造方法。
- 前記酸化アルミニウム、前記炭素および前記ガリウムの総モル数に対する、前記酸化アルミニウムのモル濃度が23モル%以下であり、かつ、前記ガリウムのモル濃度が10〜80モル%である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記酸化アルミニウム、前記炭素および前記ガリウムの総モル数に対する、前記酸化アルミニウムのモル濃度が20モル%以下であり、かつ、前記ガリウムのモル濃度が30〜60モル%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記加熱する工程の温度は1600〜1800℃である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により用意された水素発生用金属混合物を29.8℃以上660℃以下に加熱して、金属アルミニウムを分離する工程を含む、金属アルミニウムの製造方法。
- 請求項6に記載の方法により用意された金属アルミニウムと、ガリウム、スズ、インジウム、銀および鉄からなる群から選択される少なくとも1種以上の金属と、を混合する工程を含む水素発生用金属混合物の製造方法。
- 請求項1〜5および7のいずれか1項に記載の方法により用意された水素発生用金属混合物と水とを接触させる工程を含む水素の製造方法。
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