JP2021169578A - セルロース繊維乾燥体の製造方法、及び樹脂複合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] セルロース繊維と液体媒体とを含むスラリーを調製するスラリー調製工程、及び
前記スラリーを、ずり速度100秒-1〜20000秒-1の撹拌下にて、乾燥速度0.01%/分〜10%/分、乾燥温度20℃〜160℃で乾燥させて、セルロース繊維を含むセルロース繊維乾燥体を形成する乾燥工程、
を含む、セルロース繊維乾燥体の製造方法。
[2] 前記乾燥工程において、前記液体媒体の沸点と前記乾燥温度とが、下記関係:
Td≦BP0
(式中、Tdは乾燥温度であり、BP0は1気圧における液体媒体の沸点である。)
を満たす、上記態様1に記載の方法。
[3] 前記乾燥工程において、前記液体媒体の沸点と前記乾燥温度とが、下記関係:
Td≦BP1
(式中、Tdは乾燥温度であり、BP1は乾燥工程時の圧力における液体媒体の沸点である。)
を満たす、上記態様1又は2に記載の方法。
[4] 前記乾燥工程を、機械撹拌式混合造粒機を用いたバッチプロセスにて行う、上記態様1〜3のいずれかに記載の方法。
[5] 前記乾燥工程を、レーディゲミキサー、バキュームドライヤー又は流動式混合機を用いて行う、上記態様1〜4のいずれかに記載の方法。
[6] 前記セルロース繊維乾燥体が、安息角45°未満、差角10°超、ゆるめ嵩密度0.35〜0.85g/cm3、あつめ嵩密度0.6〜0.9g/cm3、及び圧縮度1〜25%を有する、上記態様1〜5のいずれかに記載の方法。
[7] 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維の数平均繊維径が2nm〜1000nmである、上記態様1〜6のいずれかに記載の方法。
[8] 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維の平均繊維長(L)/繊維径(D)比が30〜5000である、上記態様1〜7のいずれかに記載の方法。
[9] 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維が、重量平均分子量(Mw)100000以上、及び重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比6以下を有する、上記態様1〜8のいずれかに記載の方法。
[10] 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維の結晶化度が60%以上である、上記態様1〜9のいずれかに記載の方法。
[11] 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維のアルカリ可溶多糖類含有率が、20質量%以下である、上記態様1〜10のいずれかに記載の方法。
[12] 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維が化学修飾されている、上記態様1〜11のいずれかに記載の方法。
[13] 前記化学修飾が、エステル化である、上記態様12に記載の方法。
[14] 前記エステル化が、アセチル化である、上記態様13に記載の方法。
[15] 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維の平均置換度(DS)が0.1〜1.2である、上記態様12〜14のいずれかに記載の方法。
[16] 前記セルロース繊維乾燥体の水分率が30質量%以下である、上記態様1〜15のいずれかに記載のセルロース繊維乾燥体。
[17] 前記セルロース繊維乾燥体が分散剤を更に含み、
前記分散剤が、HLB値0.1以上、8.0未満、融点80℃以下、及び数平均分子量1000〜50000を有する化合物である、上記態様1〜16のいずれかに記載の方法。
[18] セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂複合体の製造方法であって、
上記態様1〜17のいずれかに記載の方法でセルロース繊維乾燥体を調製するセルロース繊維乾燥体調製工程、及び
前記セルロース繊維乾燥体と樹脂とを混合する混合工程、
を含み、前記樹脂複合体の曲げ弾性率が、3.3GPa以上である、方法。
[19] 前記樹脂が熱可塑性樹脂である、上記態様18に記載の方法。
[20] 前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である、上記態様19に記載の方法。
本発明の一態様は、セルロース繊維及び液体媒体を含むスラリーを調製するスラリー調製工程と、該スラリーを乾燥させて、セルロース繊維を含むセルロース繊維乾燥体を形成する乾燥工程とを含む、セルロース繊維乾燥体の製造方法を提供する。
セルロース繊維原料としては、天然セルロース及び再生セルロースを用いることができる。天然セルロースとしては、木材種(広葉樹又は針葉樹)から得られる木材パルプ、非木材種(綿、竹、麻、バガス、ケナフ、コットンリンター、サイザル、ワラ等)から得られる非木材パルプ、動物(例えばホヤ類)や藻類、微生物(例えば酢酸菌)、が産生するセルロース繊維集合体を使用できる。再生セルロースとしては、再生セルロース繊維(ビスコース、キュプラ、テンセル等)、セルロース誘導体繊維、エレクトロスピニング法により得られた再生セルロース又はセルロース誘導体の極細糸等を使用できる。
結晶化度(%)=([2θ/deg.=22.5の(200)面に起因する回折強度]−[2θ/deg.=18の非晶質に起因する回折強度])/[2θ/deg.=22.5の(200)面に起因する回折強度]×100
結晶化度(%) =h1 /h0 ×100
セルロース繊維は、化学修飾されたセルロース繊維であってよい。セルロース繊維は、例えば原料パルプ又はリンターの段階、解繊処理中、又は解繊処理後に予め化学修飾されたものであっても良いし、スラリー調製工程中又はその後、或いは乾燥工程中又はその後に化学修飾されてもよい。
R1−C(=O)−X (1)
(式中、R1は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数3〜24のシクロアルキル基、又は炭素数6〜24のアリール基を表し、XはCl、Br又はIである。)
酸ハロゲン化物の具体例としては、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、塩化プロピオニル、臭化プロピオニル、ヨウ化プロピオニル、塩化ブチリル、臭化ブチリル、ヨウ化ブチリル、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、ヨウ化ベンゾイル等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、酸塩化物は反応性と取り扱い性の点から好適に採用できる。尚、酸ハロゲン化物の反応においては、触媒として働くと同時に副生物である酸性物質を中和する目的で、アルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。アルカリ性化合物としては、具体的には:トリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物;及びピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物;が挙げられるが、これに限定されない。
酢酸、プロピオン酸、(イソ)酪酸、吉草酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸無水物;(メタ)アクリル酸、オレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸無水物;
シクロヘキサンカルボン酸、テトラヒドロ安息香酸等の脂環族モノカルボン酸無水物;
安息香酸、4−メチル安息香酸等の芳香族モノカルボン酸無水物;
二塩基カルボン酸無水物として、例えば、無水コハク酸、アジピン酸等の無水飽和脂肪族ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、無水1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等の無水脂環族ジカルボン酸、及び、無水フタル酸、無水ナフタル酸等の無水芳香族ジカルボン酸無水物等;
3塩基以上の多塩基カルボン酸無水物類として、例えば、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の(無水)ポリカルボン酸等が挙げられる。
尚、酸無水物の反応においては、触媒として、硫酸、塩酸、燐酸等の酸性化合物、又はルイス酸、(例えば、MYnで表されるルイス酸化合物であって、MはB、As,Ge等の半金属元素、又はAl、Bi、In等の卑金属元素、又はTi、Zn、Cu等の遷移金属元素、又はランタノイド元素を表し、nはMの原子価に相当する整数であり、2又は3を表し、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF3、ClO4、SbF6、PF6又はOSO2CF3(OTf)を表す。)、又はトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。
R−COO−CH=CH2 …式(1)
{式中、Rは、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数3〜16のシクロアルキル基、又は炭素数6〜24のアリール基のいずれかである。}で表されるカルボン酸ビニルエステルが好ましい。カルボン酸ビニルエステルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニルアジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、安息香酸ビニル、及び桂皮酸ビニルからなる群より選択された少なくとも1種であることがより好ましい。カルボン酸ビニルエステルによるエステル化反応のとき、触媒として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、1〜3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにアルコキシドからなる群より選ばれる1種又は2種以上を添加しても良い。
R−COOH …(1)
(式中、Rは、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、炭素数3〜16のシクロアルキル基、又は炭素数6〜16のアリール基を表す。)
尚、カルボン酸の反応においては、触媒として、硫酸、塩酸、燐酸等の酸性化合物、又はルイス酸、(例えば、MYnで表されるルイス酸化合物であって、MはB、As,Ge等の半金属元素、又はAl、Bi、In等の卑金属元素、又はTi、Zn、Cu等の遷移金属元素、又はランタノイド元素を表し、nはMの原子価に相当する整数であり、2又は3を表し、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF3、ClO4、SbF6、PF6又はOSO2CF3(OTf)を表す。)、又はトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。
置換度DS = 4.13 × IRインデックス(1030)
を使用することで求めることができる。
DS=(Inf)×6/(Inp)
たとえば、修飾基がアセチル基の場合、−CH3に帰属される23ppmのシグナルを用いれば良い。
用いる13C固体NMR測定の条件は例えば以下の通りである。
装置 :Bruker Biospin Avance500WB
周波数 :125.77MHz
測定方法 :DD/MAS法
待ち時間 :75sec
NMR試料管 :4mmφ
積算回数 :640回(約14Hr)
MAS :14,500Hz
化学シフト基準:グリシン(外部基準:176.03ppm)
DSsの値は、エステル化セルロース繊維の修飾度に応じて変わるが、一例として、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下、最も好ましくは1.0以下である。DStの好ましい範囲は、アシル置換基(DS)について前述したとおりである。
DS不均一比=DSs/DSt
変動係数(%)=標準偏差σ/算術平均μ×100
DSs=(Ixf)×5/(Ixp)
たとえば、修飾基がアセチル基の場合、C1sスペクトルを285eV、286eV,288eV,289eVでピーク分離を行った後、Ixpには289evのピークを、Ixfにはアセチル基のO−C=O結合由来のピーク(286eV)を用いれば良い。
用いるXPS測定の条件は例えば以下の通りである。
使用機器 :アルバックファイVersaProbeII
励起源 :mono.AlKα 15kV×3.33mA
分析サイズ :約200μmφ
光電子取出角 :45°
取込領域
Narrow scan:C 1s、O 1s
Pass Energy:23.5eV
本工程では、セルロース繊維と液体媒体とを含むスラリーを調製する。スラリーの調製は、セルロース繊維(例えば上記解繊を経て得たセルロースナノファイバー)を液体媒体中に分散させることによって調製でき、分散は、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル、ミキサー(例えばホモミキサー)等を用いて行ってよく、例えば上記解繊の生成物を本開示のスラリー調製工程の生成物として得てもよい。一態様において、液体媒体は、水、及び、任意に1種単独又は2種以上の組合せで他の液体媒体(例えば有機溶媒)を更に含み得る。有機溶媒としては、一般的に用いられる水混和性有機溶媒、例えば:沸点が50℃〜170℃のアルコール(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等);エーテル(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等);カルボン酸(例えばギ酸、酢酸、乳酸等);エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ビニル等);ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等);含窒素溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル等)、等を使用できる。典型的な態様においては、スラリー中の液体媒体は実質的に水のみである。
分散剤は、樹脂中でのセルロース繊維の分散性を向上させることに寄与する。分散剤は、1種の物質でも2種以上の物質の混合物であってもよい。後者の場合、本開示の特性値(例えば融点、分子量、HLB値、SP値)は、当該混合物の値を意味する。
式1) グリフィン法:HLB値=20×(親水基の式量の総和/分子量)
アクリル系ポリマー、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリヘキサメチレンアジパミド(6,6ナイロン)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(6,9ナイロン)、ポリヘキサメチレンセバカミド(6,10ナイロン)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(6,12ナイロン)、ポリビス(4‐アミノシクロヘキシル)メタンドデカン等の、炭素数4〜12の有機ジカルボン酸と炭素数2〜13の有機ジアミンとの重縮合物、ω−アミノ酸(例えばω−アミノウンデカン酸)の重縮合物(例えば、ポリウンデカンアミド(11ナイロン)等)、ε−アミノカプロラクタムの開環重合物であるポリカプラミド(6ナイロン)、ε−アミノラウロラクタムの開環重合物であるポリラウリックラクタム(12ナイロン)等の、ラクタムの開環重合物を含むアミノ酸ラクタム、ジアミンとジカルボン酸とから構成されるポリマー、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、疎水性シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂。
セルロース繊維乾燥体の製造において、乾燥工程後のセルロース繊維に分散剤を混合してセルロース繊維乾燥体を得る方法、
セルロース繊維乾燥体の製造において、セルロース繊維が液体媒体に分散してなるスラリー中に分散剤を添加した後乾燥させてセルロース繊維乾燥体を得る方法、
樹脂複合体の製造において、樹脂、セルロース繊維乾燥体又はこれを液体媒体に分散してなる再分散液、及び分散剤をあらかじめ混合し溶融混練した後、成形加工する方法、
樹脂複合体の製造において、樹脂にあらかじめ分散剤を添加し、必要により予備混練した後、セルロース繊維乾燥体又はこれを液体媒体に分散してなる再分散液を添加して溶融混練し、成形加工する方法、
等が挙げられる。
本工程では、上記スラリーを、制御された乾燥条件で乾燥させることにより、セルロース繊維乾燥体を形成する。セルロース繊維乾燥体が、セルロース繊維と追加の成分とを含む場合には、セルロース繊維スラリーの乾燥前、乾燥中、及び/又は乾燥後に、当該追加の成分を添加してよい。乾燥には、各種ミキサーを使用できるが、比較的高いずり速度での乾燥が可能である点で機械撹拌式混合造粒機が好ましい。一態様において、乾燥は、機械撹拌式混合造粒機を用いたバッチプロセスで行う。機械撹拌式混合造粒機は市販品であってもよく、例えば、レーディゲミキサー(例えば(株)マツボー製)及びハイスピードバキュームドライヤー(例えば(株)アーステクニカ製)のような、缶体内に撹拌羽根とチョッパ羽根とを備える装置、ヘンシェルミキサー(FMミキサー)(例えば日本コークス工業(株)製)のような、缶体内に複数の撹拌羽根(典型的には上羽根及び下羽根)を備える装置等の流動式混合機等を例示できる。乾燥条件の中でも、ずり速度、乾燥速度、乾燥温度、及び/又は圧力(減圧度)を制御することは本開示のセルロース繊維乾燥体の生成に有用である。
乾燥速度(%/分)=(乾燥開始時のスラリー水分率(質量%)−乾燥終点の乾燥体の水分率(質量%))/乾燥開始から乾燥終点までに要した時間(分)
に従って求められる値(すなわち、乾燥工程を通じての平均値)である。
ここで、乾燥開始とは、乾燥対象となるスラリーまたはケークを装置に供給して目的の乾燥温度、減圧度、ずり速度で乾燥する工程を始めた時点であり、乾燥温度、減圧度、ずり速度が乾燥工程とは異なる状態で予備混合をする時間は乾燥時間に含めない。
また、乾燥終点とは、乾燥開始から長くとも10分の間隔でサンプリングを行い、水分率が初めて7質量%以下になった時点をいう。
連続式の乾燥装置の場合、乾燥開始から乾燥終点までに要した時間は、滞留時間と解釈することができる。スプレードライヤーの場合、滞留時間は加熱風量と乾燥室の容積によって計算することができる。また、押出機を乾燥装置として用いる場合、滞留時間はスクリュー回転数とスクリューの総ピッチ数から計算することができる。
乾燥温度は、スラリーに接触する熱源の温度であり、例えば、乾燥装置の温調ジャケットの表面温度や、加熱シリンダーの表面温度、熱風の温度で定義される。
Td≦BP0
(式中、Tdは乾燥温度であり、BP0は1気圧における液体媒体の沸点である。)
を満たす。このような条件で乾燥工程を行うことは、スラリーの急速乾燥によるセルロース繊維乾燥体の急激な微粉化を回避する点で好ましい。TdとBP0との差は、好ましくは、0℃以上、又は10℃以上、又は20℃以上であってよく、好ましくは100℃以下、又は70℃以下、又は60℃以下であってよい。
Td≦BP1
(式中、Tdは乾燥温度であり、BP1は乾燥工程時の圧力における液体媒体の沸点である。)
を満たす。このような条件で乾燥工程を行うことは、スラリーの急速乾燥によるセルロース繊維乾燥体の急激な微粉化を回避する点で好ましい。TdとBP1との差は、好ましくは、0℃以上、又は5℃以上、又は10℃以上であってよく、好ましくは、70℃以下、又は60℃以下、又は50℃以下であってよい。
本開示の方法で製造されるセルロース繊維乾燥体は、一態様において、粒子状、特に顆粒(すなわち、微粉末が集合してなる比較的粗大な粒子)状であってよい。一態様に係るセルロース繊維乾燥体は、安息角、崩潰角、差角、ゆるめ嵩密度、あつめ嵩密度、及び圧縮度が特定範囲に制御されている。このようなセルロース繊維乾燥体は、粒子のサイズ、セルロース分子凝集状態、及び粒子間相互作用が適切に制御されていることで、取扱い性に優れながら、樹脂との混合時の凝集が生じ難い。すなわち、セルロース繊維乾燥体が極めて微細な粒子である場合、これを樹脂と混合すると、粒子がかえって凝集してしまい良好な分散状態は得られ難い。一方、本発明の一態様に係るセルロース繊維乾燥体は、微細過ぎない粒子であることができるため、樹脂中で凝集し難く、セルロース繊維を樹脂中に良好に微分散させることができる。また、顆粒状のセルロース繊維乾燥体は、形状が視認可能なサイズであることができるため、例えば粉末の場合に当該粉末が空中に舞ってしまうことで生じるような計量の誤差が生じ難い点、及び、樹脂との混合時のハンドリング性が良好である(例えば押出機のトップ又はサイドへのフィードを円滑に行える)点で有利である。加えて、顆粒状のセルロース繊維乾燥体は、その微細過ぎないサイズの寄与により、当該セルロース繊維乾燥体と樹脂との混合時(例えば溶融混練)の剪断力を効率良く受けることができ、この剪断力によって粒子が良好に解砕されるため、セルロース繊維がナノレベルに解繊された状態で樹脂中に分散されることができる。一方、本発明の一態様に係るセルロース繊維乾燥体は、適切な密度を有することができるため、樹脂中で容易に崩壊してセルロース繊維を樹脂中に良好に微分散させる。本発明の一態様に係るセルロース繊維乾燥体を用いることで、高剛性の樹脂複合体を形成できる。
本発明の一態様は、セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂複合体の製造方法を提供する。該方法は、前述したような方法でセルロース繊維乾燥体を調製すること、及び該セルロース繊維乾燥体と樹脂とを混合することを含む。
樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び光硬化性樹脂を用いることができる。樹脂はエラストマーであってもよい。成形性及び生産性の観点から、熱可塑性樹脂がより好ましい。
樹脂が熱可塑性樹脂である場合の当該熱可塑性樹脂の融点は、樹脂複合体の用途等に応じて適宜選択してよい。熱可塑性樹脂の融点としては、例えば比較的低融点の樹脂(例えばポリオレフィン系樹脂)について、150℃〜190℃、又は160℃〜180℃、また例えば比較的高融点の樹脂(例えばポリアミド系樹脂)について、220℃〜350℃、又は230℃〜320℃、を例示できる。
熱硬化性樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル−1,3−ジグリシジルエーテル、ビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコール又はプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、尿素(ユリア)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環含有樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、ノルボルネン系樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、(メタ)アクリレート樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、反応機構により、概ね光により発生したラジカルによりモノマーが反応するラジカル反応型と、モノマーがカチオン重合するカチオン反応型とに分類される。ラジカル反応型のモノマーには、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物(例えばある種のビニルエーテル)等が該当する。カチオン反応型としては、エポキシ化合物、ある種のビニルエーテル等が該当する。なお、例えば、カチオン反応型として用いることができるエポキシ化合物は、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂の両者のモノマーとなり得る。
エラストマー(すなわちゴム)としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、改質天然ゴム(エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム、脱タンパク天然ゴム等)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
−樹脂モノマーとセルロース繊維とを混合し、重合反応を行い、得られた樹脂複合体をストランド状に押出し、水浴中で冷却固化させ、ペレット状成形体を得る方法、
−単軸又は二軸押出機を用いて、樹脂とセルロース繊維との混合物を溶融混練し、ストランド状に押出し、水浴中で冷却固化させ、ペレット状成形体を得る方法、
−単軸又は二軸押出機を用いて、樹脂とセルロース繊維との混合物を溶融混練し、棒状又は筒状に押出し冷却して押出成形体を得る方法、
−単軸又は二軸押出機を用いて、樹脂とセルロース繊維との混合物を溶融混練し、Tダイより押出しシート、又はフィルム状の成形体を得る方法、
等が挙げられる。好ましい態様においては、単軸又は二軸押出機を用いて、樹脂とセルロース繊維との混合物を溶融混練し、ストランド状に押出し、水浴中で冷却固化させ、ペレット状成形体を得る。
樹脂とセルロース繊維の溶融混練方法の具体例としては、樹脂と、所望の比率で搬送されたセルロース繊維とを混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。
[CNF−A]
市販のセリッシュKY100G(ダイセルファインケム製)をCNF−Aケーキとして使用した。
コットンリンターパルプを1質量部、一軸撹拌機(アイメックス社製 DKV−1 φ125mmディゾルバー)を用いジメチルスルホキサイド(DMSO)30質量部中で500rpmにて1時間、常温で攪拌した。続いて、ホースポンプでビーズミル(アイメックス社製 NVM−1.5)にフィードし、DMSOのみで180分間循環運転させ、微細セルロース繊維スラリーとして、固形分率3.2質量%のスラリーS1(DMSO溶媒)を得た。
コットンリンターパルプ3質量部を水27質量部に浸漬させてオートクレーブ内で130℃、4時間の熱処理を行った。得られた膨潤パルプは水洗し、水を含む精製パルプ(30質量部)を得た。つづいて、水を含む精製パルプ30質量部に水を170質量部入れて水中に分散させて(固形分率1.5質量%)、ディスクリファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmで該水分散体を20分間叩解処理した。そして、脱水機により固形分率10質量%まで濃縮し、CNF−Cケーキ(水溶媒)を得た。
CNF−Cケーキを、クリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で徹底的に叩解を行い、叩解水分散体(固形分濃度:1.5質量%)を得た。得られた叩解水分散体を、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NSO15H)を用いて操作圧力100MPa下で15回微細化処理し、セルロース繊維スラリー(固形分濃度:1.5質量%)を得た。そして、脱水機により固形分率10質量%まで濃縮し、CNF−Dケーキ(水溶媒)を得た。
反応時間を60分とした以外はCNF−Bと同様にして製造した。このケーキから多孔質シートを作製してアシル置換度(DS)を求めたところ、DS=0.5であった。
ポリアミド6(宇部興産製:1013B)
ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体(PEG−PPG)(三洋化成製:GL−3000)
セルロース繊維ケーキ(固形分質量10%)に、セルロース繊維固形分100質量部に対して43質量部となる量で分散剤を加え、よく撹拌し、分散剤を配合したセルロース繊維ケーキを得た(後述のMMSD以外について)。又は、セルロース繊維ケーキ(固形分質量10%)を固形分質量1%になるように蒸留水で希釈した後、セルロース繊維固形分100質量部に対して43質量部となる量で分散剤を加え、よく撹拌してセルロース繊維スラリーを得た(後述のMMSDについて)これらを原料として乾燥装置に投入し、所定のずり速度、減圧度、加熱温度(ジャケット温度又は熱風温度)にて乾燥を実施した。赤外加熱式水分計(MX−50(エー・アンド・デイ製))を用いて水分率を測定し、水分率が7質量%以下(固形分質量93%以上)になった時間を乾燥の終点とした。条件は以下のとおりである。
装置:中央機工(株)製レーディゲミキサー(型番:VT−20)
条件:ジャケット温度100℃、アジテーター(周速1m/s)、チョッパー(3000rpm)で撹拌しながら、真空ポンプで−90kPaまで減圧した。品温が50℃に達するまで減圧乾燥を実施した。
クリアランスとしては、チョッパー(径100mm)とジャケットとの間の最小距離を測定した。
本条件における乾燥時間は、160分であった。
乾燥温度は、ジャケットの表面温度を3点計測し、その平均値とした。
装置:(株)アーステクニカ製ハイスピードバキュームドライヤー(型番:FS10)
条件:ジャケット温度70℃、アジテーター(周速2m/s)、チョッパー(3500rpm)で撹拌しながら、真空ポンプで−70kPaまで減圧した。品温が60℃に達するまで減圧乾燥を実施した。
クリアランスとしては、チョッパー(径100mm)とアジテーターとの間の最小距離を測定した。
本条件における乾燥時間は、180分であった。
乾燥温度は、ジャケットの表面温度を3点計測し、その平均値とした。
装置:日本コークス工業(株)製FMミキサー(型番:FM20)
条件:ジャケット温度80℃、撹拌羽根(500rpm)で撹拌しながら、真空ポンプで−70kPaまで減圧した。品温が70℃に達するまで減圧乾燥を実施した。
クリアランスとしては、上段の撹拌羽(径400mm)とジャケットとの間の最小距離を測定した。
本条件における乾燥時間は、180分であった。
乾燥温度は、ジャケットの表面温度を3点計測し、その平均値とした。
装置:(株)奈良機械製作所製パドルドライヤー(型番:NPD−1.6W−12L)
条件:加熱蒸気温度120℃、撹拌羽根(30rpm)で撹拌しながら品温が100℃に達するまで乾燥を実施した。
クリアランスとしては、撹拌羽(径250mm)とジャケットとの間の最小距離を測定した。
本条件における乾燥時間は、50分であった。
乾燥温度は、加熱蒸気を流通させた撹拌羽の表面温度を3点計測し、その平均値とした。
装置:藤崎電気(株)製マイクロミストスプレードライヤー(型番:MDL050−M)
条件:セルロース繊維スラリーを、入口温度200℃、給気風量1m3/min、ノズルエア流量80NL/min、スラリー50mL/minで乾燥し、サイクロン式回収器にて乾燥粉を回収した。
本装置におけるずり速度は、撹拌機構等を持たないため、実質的に発生しないものとした。
本条件における乾燥時間及び滞留時間は、1分であった。
乾燥温度は、乾燥処理中に、熱風の入口温度を3回計測し、その平均値とした。
装置:株式会社日本製鋼所製二軸押出機(型番:TEX54αIII:L/D=63)
条件:シリンダー温度200℃、66rpmでスクリューを回転させながら、重量式フィーダーを用いて20kg/hで原料を最上段のバレルに供給し、吐出口から乾燥粉を得た。
クリアランスとしては、ニーディングディスク(径54mm)とシリンダーとの間の最小距離を測定した。
本条件における乾燥時間及び滞留時間は、1分であった。
乾燥温度は、最も下流のニーディングディスクが配置されているシリンダーの温度を3回計測し、その平均値とした。
装置:株式会社小平製作所製プラネタリーミキサー(型番:ACM−5LVT:フック型)
条件:ジャケット温度60℃、307rpmで撹拌しながら、真空ポンプで−90kPaまで減圧した。品温が50℃に達するまで減圧乾燥を実施した。
クリアランスとしては、フック羽(径100mm)とジャケットとの間の最小距離を測定した。
本条件における乾燥時間は、180分であった。
乾燥温度は、ジャケットの表面温度を3点計測し、その平均値とした。
表1に示すCNFを用い、上記装置を表2に示すように用いて、セルロース繊維乾燥体を得た。
LMにおいて、CNF、乾燥温度、又はずり速度を表2に示すとおり変更した他は実施例1と同様にして、セルロース繊維乾燥体を得た。
原料の調製において、分散剤を用いずにセルロース繊維スラリーを得た他は実施例1と同様にして、セルロース繊維乾燥体を得た。
上記で製造したセルロース繊維乾燥体と、熱可塑性樹脂(宇部興産株式会社製 UBEナイロン 1013B)とを、セルロース繊維量が樹脂複合体中の10質量%となる割合で配合し、下記手順で樹脂複合体を製造した。
シリンダーブロック数が13個ある二軸押出機(STEER社製 OMEGA30H、L/D=60)のシリンダー1を水冷、シリンダー2を80℃、シリンダー3を150℃、シリンダー4〜ダイスを250℃に設定した。
<セルロース繊維の評価>
[多孔質シートの作製]
まず、ウェットケーキをtert−ブタノール中に添加し、さらにミキサー等で凝集物が無い状態まで分散処理を行った。セルロース繊維固形分重量0.5gに対し、濃度が0.5質量%となるように調整した。得られたtert−ブタノール分散液100gをろ紙上で濾過し、150℃にて乾燥させた後、ろ紙を剥離してシートを得た。このシートの透気抵抗度がシート目付10g/m2あたり100sec/100ml以下のものを多孔質シートとし、測定サンプルとして使用した。
23℃、50%RHの環境で1日静置したサンプルの目付W(g/m2)を測定した後、王研式透気抵抗試験機(旭精工(株)製、型式EG01)を用いて透気抵抗度R(sec/100ml)を測定した。この時、下記式に従い、10g/m2目付あたりの値を算出した。
目付10g/m2あたり透気抵抗度(sec/100ml)=R/W×10
多孔質シートの5か所のATR−IR法による赤外分光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(JASCO社製 FT/IR−6200)で測定した。赤外分光スペクトル測定は以下の条件で行った。
積算回数:64回、
波数分解能:4cm-1、
測定波数範囲:4000〜600cm-1、
ATR結晶:ダイヤモンド、
入射角度:45°
得られたIRスペクトルよりIRインデックスを、下記式(1):
IRインデックス= H1730/H1030・・・(1)
に従って算出した。式中、H1730及びH1030は1730cm-1、1030cm-1(セルロース骨格鎖C−O伸縮振動の吸収バンド)における吸光度である。ただし、それぞれ1900cm-1と1500cm-1を結ぶ線と800cm-1と1500cm-1を結ぶ線をベースラインとして、このベースラインを吸光度0とした時の吸光度を意味する。
そして、各測定場所の平均置換度をIRインデックスより下記式(2)に従って算出し、その平均値をDSとした。
DS=4.13×IRインデックス・・・(2)
多孔質シートのX線回折測定を行い、下記式より結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=[I(200)−I(amorphous)]/I(200)×100
I(200):セルロースI型結晶における200面(2θ=22.5°)による回折ピーク強度
I(amorphous):セルロースI型結晶におけるアモルファスによるハローピーク強度であって、200面の回折角度より4.5°低角度側(2θ=18.0°)のピーク強度
(X線回折測定条件)
装置 MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 2θ/θ
線源 CuKα
測定方法 連続式
電圧 40kV
電流 15mA
開始角度 2θ=5°
終了角度 2θ=30°
サンプリング幅 0.020°
スキャン速度 2.0°/min
サンプル:試料ホルダー上に多孔質シートを貼り付け
セルロース繊維ケーキ又はセルロース繊維スラリーをtert−ブタノールで0.01質量%まで希釈し、高剪断ホモジナイザー(IKA製、商品名「ウルトラタラックスT18」)を用い、処理条件:回転数25,000rpm×5分間で分散させ、マイカ上にキャストし、風乾したものを、高分解能走査型電子顕微鏡で測定した。測定は、少なくとも100本のセルロース繊維が観測されるように倍率を調整して行い、無作為に選んだ100本のセルロース繊維の長径(L)を測定し、100本のセルロース繊維の加算平均を算出した。
多孔質シートを0.88g秤量し、ハサミで小片に切り刻んだ後、軽く攪拌したうえで、純水20mLを加え1日放置した。次に遠心分離によって水と固形分を分離した。続いてアセトン20mLを加え、軽く攪拌したうえで1日放置した。次に遠心分離によってアセトンと固形分を分離した。続いてN、N−ジメチルアセトアミド20mLを加え、軽く攪拌したうえで1日放置した。再度、遠心分離によってN、N−ジメチルアセトアミドと固形分を分離したのち、N,N−ジメチルアセトアミド20mLを加え、軽く攪拌したうえで1日放置した。遠心分離によってN,N−ジメチルアセトアミドと固形分を分離し、固形分に塩化リチウムが8質量パーセントになるように調液したN,N−ジメチルアセトアミド溶液を19.2g加え、スターラーで攪拌し、目視で溶解するのを確認した。セルロース繊維を溶解させた溶液を0.45μmフィルターでろ過し、ろ液をゲルパーミエーションクロマトグラフィ用の試料として供した。用いた装置と測定条件は下記である。
装置 :東ソー社 HLC−8120
カラム:TSKgel SuperAWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
検出器:RI検出器
溶離液:N、N−ジメチルアセトアミド(塩化リチウム0.2%)
流速:0.6mL/分
検量線:プルラン換算
アルカリ可溶多糖類含有率はセルロース繊維について非特許文献(木質科学実験マニュアル、日本木材学会編、92〜97頁、2000年)に記載の手法より、ホロセルロース含有率(Wise法)からαセルロース含有率を差し引くことで求めた。1つのサンプルにつき3回アルカリ可溶多糖類含有率を算出し、算出したアルカリ可溶多糖類含有率の数平均をセルロース繊維のアルカリ可溶多糖類平均含有率とした。
[安息角、崩潰角、差角、ゆるめ嵩密度、あつめ嵩密度、圧縮度]
ホソカワミクロン株式会社製パウダーテスター(型番:PT−X)を用いて測定を行った。
水平に設置した直径80mmのステンレス製計測台の中心に、薬さじを用いて、セルロース繊維乾燥体100gを約10g/分にて漏斗(ステンレス製、上側開口径70mm、下側開口径7mm、傾斜角60°)経由で漏斗の下側開口部と計測台の間が110mmとなる高さから静かに落とし、計測台上にセルロース繊維乾燥体を円錐形状に堆積させた。円錐形状を真横から写真撮影し、円錐の母線と水平面との間の角度を測定した。3回の測定の数平均値を安息角とした。
安息角を測定した試料に対して、計測台と同じ台座上にある109gの分銅を160mmの高さから2秒の間隔で3回落下させた後、試料の円錐形状を真横から写真撮影し、円錐の母線と水平面との間の角度を測定した。3回の測定の数平均値を崩潰角とした。
安息角と崩潰角との差を差角として算出した。
ステンレス製100mL(内径50.46mm×深さ50mm)有底円筒容器にセルロース繊維乾燥体を薬さじを用いて10g/分にて溢れる量まで入れ、当該乾燥体をすり切り後、0.01gの位で重量を測定した。当該重量の3回の測定の数平均値を上記有底円筒容器の内容積で除して、ゆるめ嵩密度として算出した。
ゆるめ嵩密度で用いたのと同様の有底円筒容器の上部に、十分な容量の樹脂製アダプター(内径50.46mm×長さ40mm)を密着するように接続し、ゆるめ嵩密度の測定と同様の手順でセルロース繊維乾燥体を溢れる量まで入れた後、アダプターを接続したまま有底円筒容器に回転軸に偏心錘を取り付けたモーターで振幅1.5mm、50Hzの振動を30秒間与えた。続いて、アダプターを除き、乾燥体をすり切り後、0.01gの位で重量を測定した。当該重量の3回の測定の数平均値を上記有底円筒容器の内容積で除して、あつめ嵩密度として算出した。
上記のあつめ嵩密度及びゆるめ嵩密度の値から、下記式:
圧縮度=(あつめ嵩密度−ゆるめ嵩密度)/あつめ嵩密度
に従って圧縮度を算出した。
赤外加熱式水分計(MX−50(エー・アンド・デイ製))を用いて測定を行った。
ゆるめ嵩密度の測定で用いたのと同様の有底円筒容器に、セルロース繊維乾燥体を、薬さじを用いて10g/分にて溢れる量まで入れ、当該乾燥体をすり切り後、床上高さ1000mmで手に持った容器を瞬時に反転させ粉体を床に飛散させた。飛散1秒後の粉塵化の度合いを以下の指標で評価した。
A 粉塵の発生は見られなかった。
B 小さな粉塵の発生が見られた
C 大きな粉塵の発生が見られた
[引張破断伸度、曲げ弾性率]
得られたペレットから、射出成形機を用いて、JIS K6920−2に準拠した条件で成形を行い、ISO294−3に準拠した多目的試験片を成形した。
多目的試験片について、ISO527に準拠して引張破断伸度、並びにISO179に準拠して曲げ弾性率を測定した。なお、ポリアミド樹脂は、吸湿による変化が起きるため、成形直後にアルミ防湿袋に保管し、吸湿を抑制した。
Claims (20)
- セルロース繊維と液体媒体とを含むスラリーを調製するスラリー調製工程、及び
前記スラリーを、ずり速度100秒-1〜20000秒-1の撹拌下にて、乾燥速度0.01%/分〜10%/分、乾燥温度20℃〜160℃で乾燥させて、セルロース繊維を含むセルロース繊維乾燥体を形成する乾燥工程、
を含む、セルロース繊維乾燥体の製造方法。 - 前記乾燥工程において、前記液体媒体の沸点と前記乾燥温度とが、下記関係:
Td≦BP0
(式中、Tdは乾燥温度であり、BP0は1気圧における液体媒体の沸点である。)
を満たす、請求項1に記載の方法。 - 前記乾燥工程において、前記液体媒体の沸点と前記乾燥温度とが、下記関係:
Td≦BP1
(式中、Tdは乾燥温度であり、BP1は乾燥工程時の圧力における液体媒体の沸点である。)
を満たす、請求項1又は2に記載の方法。 - 前記乾燥工程を、機械撹拌式混合造粒機を用いたバッチプロセスにて行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記乾燥工程を、レーディゲミキサー、バキュームドライヤー又は流動式混合機を用いて行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体が、安息角45°未満、差角10°超、ゆるめ嵩密度0.35〜0.85g/cm3、あつめ嵩密度0.6〜0.9g/cm3、及び圧縮度1〜25%を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維の数平均繊維径が2nm〜1000nmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維の平均繊維長(L)/繊維径(D)比が30〜5000である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維が、重量平均分子量(Mw)100000以上、及び重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比6以下を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維の結晶化度が60%以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維のアルカリ可溶多糖類含有率が、20質量%以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維が化学修飾されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記化学修飾が、エステル化である、請求項12に記載の方法。
- 前記エステル化が、アセチル化である、請求項13に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体中のセルロース繊維の平均置換度(DS)が0.1〜1.2である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロース繊維乾燥体の水分率が30質量%以下である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のセルロース繊維乾燥体。
- 前記セルロース繊維乾燥体が分散剤を更に含み、
前記分散剤が、HLB値0.1以上、8.0未満、融点80℃以下、及び数平均分子量1000〜50000を有する化合物である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。 - セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂複合体の製造方法であって、
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法でセルロース繊維乾燥体を調製するセルロース繊維乾燥体調製工程、及び
前記セルロース繊維乾燥体と樹脂とを混合する混合工程、
を含み、前記樹脂複合体の曲げ弾性率が、3.3GPa以上である、方法。 - 前記樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項18に記載の方法。
- 前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である、請求項19に記載の方法。
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