JP2022008038A - コーティング材及びコーティング方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022008038000001
【課題】被覆対象物の表層に高い抗ウイルス効果を長期にわたり持続させることができるコーティング材及びコーティング方法を提供する。
【解決手段】ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とを両者の合計として50~80質量%の濃度で、不活性溶剤により溶解されたコーティング剤をベース剤110Aとして、該ベース剤に抗ウイルス剤121,122を0.1~20質量%の割合で添加してなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、被覆対象となる物品等の表層改質のために使用されるコーティング材及びコーティング方法に関する。
従来、樹脂材や金属材、木材、ゴム材等の素材から構成される各種物品等を被覆対象物として、その表面にコーティング材を塗布又は散布等によりコーティング膜を被膜することにより、当該被覆対象物の表層の抗ウイルス性を高めるようにしたものがある(特許文献1参照)。
特開2018-172306号公報(第3頁)
しかしながら、特許文献1にあっては、物品の表面に散布等されたコーティング材が、当該物品の表面の微小な凹凸に入り込み仮定着した状態で表面に接して被膜しているため、経時的にコーティング膜の欠落や剥離が進行してしまい、その抗ウイルス効果を長期に持続できないという問題がある。
特に近年では新型コロナウイルス(COVID -19)の流行により、人々が接触する多種の物品を対象物として、その表層に高い抗ウイルス効果を長期にわたり持続できる改質が望まれている。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、被覆対象物の表層に高い抗ウイルス効果を長期にわたり持続させることができるコーティング材及びコーティング方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のコーティング材は、
ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とを両者の合計として50~80質量%の濃度で、不活性溶剤により溶解されたコーティング剤をベース剤として、該ベース剤に抗ウイルス剤を0.1~20質量%の割合で添加してなることを特徴としている。
この特徴によれば、ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物により生成されるガラスコーティング被膜を母材として、当該被膜の表層に露出部を大きく確保した状態で抗ウイルス剤が安定状態で定着するため、このコーティング材によって被覆した被覆対象物の高い抗ウイルス効果を長期にわたり持続させることができる。
前記ポリシラザンは、無機ポリシラザンであることを特徴としている。
この特徴によれば、ガラスコーティング被膜を薄膜に形成しやすいので、当該被膜の表層に抗ウイルス剤を露出させやすい。
前記抗ウイルス剤は、有機抗ウイルス剤であることを特徴としている。
この特徴によれば、無機ポリシラザンをベース剤とし、当該ベース剤との親和性が比較的低い有機抗ウイルス剤を用いることで、表面張力によりベース剤が抗ウイルス剤の表面に対して付着し難くなり、ガラスコーティング被膜の表層に抗ウイルス剤の露出部をより大きく確保することができる。
更に抗菌剤を0.1~10質量%の割合で添加してなることを特徴としている。
この特徴によれば、被覆対象物の抗菌効果と抗ウイルス効果をいずれも高めることができる。
本発明のコーティング方法は、
ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とを両者の合計として50~80質量%の濃度で、不活性溶剤により溶解されたコーティング剤をベース剤として、該ベース剤に抗ウイルス剤を0.1~20質量%の割合で添加してなるコーティング材を、被覆対象物の表面に被覆する被覆工程を有することを特徴としている。
この特徴によれば、被覆対象物の表面に、ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物によるガラスコーティング被膜を生成するとともに、ガラスコーティング被膜を母材としてその表層に露出部を大きく確保した状態で抗ウイルス剤が安定状態で定着するため、この被覆対象物の高い抗ウイルス効果を長期にわたり得ることができる。
前記被覆工程は、前記被覆対象物の表面にSiO2を主成分とした母材となるコーティング膜を薄層に生成するとともに、前記コーティング膜の表層面に、前記抗ウイルス剤を表出させる工程であることを特徴としている。
この特徴によれば、コーティング膜の表層面に、抗ウイルス剤を表出させることで、この抗ウイルス剤が各種のウイルスにダイレクトに作用して、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。更にコーティング膜を薄層に生成することで、被覆対象物の表面の挙動に対する追従性を確保できる。
前記被覆工程は、水分が付着した前記被覆対象物の表面に前記コーティング材を被覆し、該コーティング材に含まれる成分と前記被覆対象物の表面に付着した水分とを化学反応させることで、前記被覆対象物の表面にSiO2を主成分とした母材となるコーティング膜を生成するとともに、前記化学反応によって形成される前記コーティング膜の表層面の凹部に、前記抗ウイルス剤を表出させる工程であることを特徴としている。
この特徴によれば、コーティング材に含まれる成分と被覆対象物表面の水分との化学反応で生じるガスの排出によって生成されるコーティング膜の表層面の凹部に、抗ウイルス剤を表出させることで、この抗ウイルス剤が各種のウイルスにダイレクトに作用して、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。
前記被覆工程は、最大直径1μmの粒子からなる前記抗ウイルス剤が添加された前記コーティング材を、前記被覆対象物の表面に膜厚500nm以下に被覆する工程であることを特徴としている。
この特徴によれば、コーティング膜の表層面に、抗ウイルス剤を確実に表出させることができる。
前記被覆工程よりも前に、前記被覆対象物の表面を除菌する除菌工程を有することを特徴としている。
この特徴によれば、除菌工程により清浄された被覆対象物の表面に良質で持続性の高いコーティング被膜を生成することができる。
前記被覆工程よりも前に、前記被覆対象物の表面に水分を付着させる前処理工程を有することを特徴としている。
この特徴によれば、被覆対象物の表面に水分を付着させることで、この水分とコーティング材に含まれる成分との化学反応を促進させ、被覆対象物の表面に迅速かつ強固にコーティング被膜を生成することができる。
(a)~(c)は、実施例1における物品にコーティング膜が生成されるメカニズムを時系列で示す断面図である。 図1(c)の点線囲い部の拡大図である。 図2の点線囲い部の拡大図である。 実施例1の別の実施態様における図1(c)の点線囲い部の拡大図である。 実施例1の更に別の実施態様における図1(c)の点線囲い部の拡大図である。 新型コロナウイルス(COVID -19)に対するコーティング膜の抗ウイルス性試験(1)の結果(24時間後)を示すグラフである。 新型コロナウイルス(COVID -19)に対するコーティング膜の抗ウイルス性試験(2)の結果(24時間後)を示すグラフである。 インフルエンザウイルスに対するコーティング膜の抗ウイルス性試験の結果(24時間後)を示すグラフである。 インフルエンザウイルスに対するコーティング膜の抗ウイルス性試験の結果(経時)を示すグラフである。 黄色ぶどう球菌に対するコーティング膜の抗菌性試験の結果(24時間後)を示すグラフである。 大腸菌に対するコーティング膜の抗菌性試験の結果(24時間後)を示すグラフである。 (a)~(c)は、実施例2における物品にコーティング膜が生成されるメカニズムを時系列で示す断面図である。 図12(c)の点線囲い部の拡大図である。 実施例2の別の実施態様における図12(c)の点線囲い部の拡大図である。 コーティング膜が被覆された金属材の表面をAFM測定により撮像した図であり、(a)はコーティング膜が1層、(b)はコーティング膜が3層被覆された図である。 ATP拭取り試験の結果を示す表である。
本発明に係るコーティング材及びコーティング方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
本発明の実施例1に係るコーティング材及びコーティング方法を実施するための形態を図1~図11を参照して以下に説明する。
(コーティング液)
本発明のコーティング材としてのコーティング液110は、ベース剤110Aと、このベース剤110Aに添加された添加剤110Bとから主として構成されている。先ずベース剤110Aは、原料として少なくとも無機若しくは有機ポリシラザンと、アルキルシリケート縮合物とを含有しており、本実施例1においては、これら無機若しくは有機ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物が不活性溶剤によって希釈されている。
ベース剤110Aの原料として無機ポリシラザンを使用する場合、無機ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とは、両者の合計として10~80質量%の範囲の濃度、より好ましくは50~80質量%の範囲の濃度で、本実施例1では不活性溶剤としてジブチルエーテルによって溶解されている。より詳しくは、無機ポリシラザンは0.1~5質量%で、残りがアルキルシリケート縮合物の割合で含有している。
より詳しくは、無機ポリシラザンは、ペルヒドロポリシラザン、すなわちSi-H結合とSi-N結合とN-H結合を有し、例えば下記一般式(1)で表される-(SiH2-NH)-ユニットから構成される鎖状構造の無機のポリマーである。
Figure 2022008038000002
なお、無機ポリシラザンは、鎖状構造のものに限らず、環状構造を有するポリマーであってもよく、これらの構造を複合的に有するポリマーであってもよい。
ベース剤110Aの原料として有機ポリシラザンを使用する場合、有機ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とは、両者の合計として1~80質量%の範囲の濃度で、本実施例1では不活性溶剤としてジブチルエーテルによって溶解されている。より詳しくは、有機ポリシラザンは0.1~80質量%で、残りがアルキルシリケート縮合物の割合で含有している。
より詳しくは、有機ポリシラザンは、Si-N結合と官能基(R1~R3)を有し下記一般式(2)で表される-(SiR1R2-NR3)-ユニットから構成されるポリマーであり、特に、Siと直接結びつく官能基R1,R2の少なくともいずれかが炭素(C)を有するアルキル基等の有機官能基から構成される有機のポリマーである。
Figure 2022008038000003
なお、本実施例1における有機ポリシラザンは、官能基(R1~R3)としてのメチル基(CH3)の含有率が50%以上に構成されている。また、有機ポリシラザンは、1種類の-(SiR1R2-NR3)-ユニットから構成されるポリマーに限らず、官能基(R1~R3)の組成が異なる複数種類の-(SiR1R2-NR3)-ユニットから構成されるポリマーであってもよい。また、有機ポリシラザンは、鎖状、環状、或いは架橋構造を有するポリマーであってもよく、これらの構造を複合的に有するポリマーであってもよい。
より具体的には、本実施例1における有機ポリシラザンとして例えば、有機ポリシラザンは、下記一般式(3)で表される-(SiH(CH3)-NH)-ユニット、-(Si(CH3)2-NH)-ユニット、-(SiR1(CH3)-NR3)-ユニットを含むポリマーであり、特に、-(SiR1(CH3)-NR3)-ユニットにおける官能基R1は、H又はCH3であり、Nと直接結びつく官能基R3が反応を促進させる有機官能基となっている。
Figure 2022008038000004
更に、ベース剤110Aに含有される有機ポリシラザンは、含有するポリマーの構造が異なる複数種類の有機ポリシラザンが混合されたものであってもよく、例えば上記した一般式(3)で表される複数種類の有機ポリシラザンや他の構造を有する有機ポリシラザンが混合されてもよい。例えば、本実施例1においてはヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン又はテトラメチルジシラザンから選択される少なくとも1種が挙げられる。
アルキルシリケート縮合物は、例えばテトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラ-n-プロピルオルトシリケート、テトラ-i-プロピルオルトシリケート、テトラ-n-ブチルオルトシリケート、テトラ-sec-ブチルオルトシリケート、メチルポリシリケート及びエチルポリシリケートの中から選択される1種類又は2種類以上の縮合物である。
不活性溶剤は、無機若しくは有機ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物に対して不活性な溶剤であり、好適にはジブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テレピン油、ベンゼン、トルエン等の中から選択される。
添加剤110Bは、上記したベース剤110Aに対して添加されるものであり、後述するように粒径略100nm程度の粒子121を含む有機抗ウイルス剤X(以下、単に有機抗ウイルス剤Xと称する)が0.1~20質量%、粒径略1μm程度の粒子122を含む有機抗ウイルス剤Y(以下、単に有機抗ウイルス剤Yと称する)が0.1~20質量%添加される。なお有機抗ウイルス剤X,Yは、より好適には0.1~10質量%の添加量がより好ましい。更になお、本実施例1においては、有機抗ウイルス剤X及び有機抗ウイルス剤Yのみが添加される態様について説明するが、これらに加えて例えば、無機抗ウイルス剤や、無機若しくは有機抗菌剤が更に添加されてもよい。
より詳しくは、有機抗ウイルス剤X及び有機抗ウイルス剤Yは、有効成分として少なくともジヨードメチルパラトリルスルホンを含有している。なお、有機抗ウイルス剤Xと有機抗ウイルス剤Yの有効成分の組成は一部異なっている。また、有機抗ウイルス剤Xは、有効成分を含有する粒子121が不活性溶剤に溶解した濃黄色透明であり、不活性溶剤中に分散される有効成分を含有する粒子121は、粒径略100nmである。また、有機抗ウイルス剤Yの粒子122はオフホワイト色であり、粒径略1μmである。
また、有機抗ウイルス剤X,Yの粒子121,122は、コーティング液110を構成する不活性溶剤の種類や混合方法によって、不活性溶剤中で上記したナノレベル又はマイクロレベルの粒径(100nm~1μm)で分散される場合と、コーティング液110の不活性溶剤中に上記した粒径よりも小さいナノレベルの粒径(5~15nm)で分散される場合がある。なお、コーティング液110を構成する不活性溶剤は、有機抗ウイルス剤だけでなく、無機抗ウイルス剤や無機若しくは有機抗菌剤に対しても不活性な溶剤であることは言うまでもない。
(コーティング材の態様)
また、本実施例1のコーティング液110は、例えばガラス製又は樹脂製等の容器に封入された所定量の液体として運用されるものであり、当該液体を図示しない布材等に湿らせ、被覆対象となる各種の物品等の表面に塗布することで、コーティング被膜を形成する。なお、コーティング材の運用については、これに限らず、例えば予めコーティング液に含浸した不織布等を袋体に密封し、使用に際し当該袋体を開封するようにしてもよいし、あるいはコーティング液を被覆対象物の表面に霧吹き状に吹き付けて被覆しても構わない。
(コーティング膜の被覆方法)
コーティング液110は、被覆対象となる物品101の表面102に塗布又は散布されることにより、水分と化学反応して単層又は複数層の薄膜のコーティング膜115,135,145を形成する。なお、コーティング膜115,135,145の膜厚として好ましくは10μm以下、より好適には5nm~5μmの被膜として成層したものである。
まず、コーティング膜115,135,145の被覆工程よりも前段に、物品101の表面102を除菌する除菌工程を行う。この除菌工程は、除菌効果に加え、抗菌・抗ウイルス効果がある次亜塩素酸若しくは次亜塩素酸ナトリウムが希釈された除菌液を、霧吹き又は該除菌液を含浸した不織布等で、物品101の表面102に付着させる。このように除菌することで、清浄状態とした物品101の表面102に対しコーティング膜115,135,145を被膜させ易く、かつ剥離しにくい良質で持続性の高いコーティング膜115,135,145を生成することができる。
なお、上述した除菌工程後で被覆工程よりも前に、前工程として、物品101の表面102に精製水等の水(H2O)を不織布若しくは霧吹き等で付着させてもよい。このようにすることで、物品101の表面102に付着させた水分とコーティング液110に含まれる成分との化学反応を促進させ、物品101の表面102に迅速かつ強固にコーティング膜115,135,145を生成することができる。
(被覆対象物)
被覆対象物としては、樹脂材や金属材、木材、ゴム材、皮革等の素材から構成される各種の物品が適用可能であり、若しくは什器等の固定設置物であってもよく、例えば携帯端末やリモコンの操作部表面、机・テーブルの天板や引き出し、食器類、バッグや財布などの携行品、建設・仮設資材など、複数の人が接触する機会の多い物品が被覆対象物として好適である。特に近年では、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を最大限に考慮し、不特定多数の人々が接触する頻度の高い物品、例えば役所等の公共機関・オフィス・商業施設・病院・学校・老人ホーム等に配設された什器、ドアノブや手すり等、または、公共交通機関である電車・バスのつり革や手すり等の物品が被覆対象物としてより好適である。
(コーティング膜の形成のメカニズム)
次に、本発明に係るコーティング膜115,135,145が形成されるメカニズムについて説明する。なお、ここではコーティング液110を構成するベース剤110Aの原料として無機ポリシラザンが使用される場合を例に挙げて説明する。また、図1は、コーティング膜115が形成されるメカニズムを示すものであるが、本実施例1の別の実施形態であるコーティング膜135,145(図4,5参照)が形成されるメカニズムも図1と略同一であるため、別の実施形態については図示によるメカニズムの説明を省略する。
図1(a)に示されるように、被覆対象として例えば金属材からなる物品101の表面102には多くの場合、結露や空気中の湿気により例え僅かでも複数の水分106,106,‥(水滴)が付着している。この物品101の表面102にコーティング液110を薄膜状に塗布又は散布して被覆すると、コーティング液110に含まれるベース剤110Aを構成する無機ポリシラザンであるペルヒドロポリシラザンが、空気中の水分(H2O)と化学反応することで、物品101の表面102にSiO2を主成分とする無機構造を有する被覆層が生成される。なお、上記した化学反応で微量の気体(NH3,H2)が副次的に生成されるが、これらの気体は当然のことながら物品101の表面102に残らず大気中に揮発する。
すなわち、図1(b)に示されるように、コーティング液110は、空気に接する表層面110aにて、空気中に含まれる水分と化学反応することで、コーティング膜115の副生成物である水素やアンモニア等のガスが表層から揮発するとともに、コーティング膜115の表面側の被覆層111が生成される。
また、物品101の表面102に被覆されたコーティング液110は、物品101の表面102に接する背層面110bにて、表面102に付着した水分106,106,‥(水滴)又は表面102に終端として存在しているヒドロキシル基-OHと化学反応することで、水素やアンモニア等のガスが被覆層内を上昇し表層から揮発するとともに、コーティング膜115の背面側の被覆層112が生成される。
このように、先ずコーティング液110の表層面110a及び背層面110bにてそれぞれ被覆層111,112が生成される。次に、表層側から背層側に向けて被覆層111を拡層するとともに、背層側から表層側に向けて被覆層112を拡層することで、順次中間の被覆層を生成し、最終的に外気に接する表層面114aと、物品101の表面102に接する背層面114bと、に亘るSiO2を主成分とするコーティング膜115が生成される。このように、本発明のコーティング膜115,135,145は、無機若しくは有機ポリシラザンを反応させて生成したSiO2を主成分とすることで、平面的に広がり易く且つ密度の高い被膜層を形成できるため、ナノレベルの薄膜構造を達成することができる。
図1(c)及び図2,4,5に示されるように、コーティング膜115,135,145を被覆する前の物品101の表面102には、鏡面加工等の特段の表層処理を行わない限り、製造工程等で生じる小傷等によりマイクロレベルの微細な多数の凹凸部103が形成されている。コーティング液110は、物品101の表面102を被覆するとともに、凹凸部103内に入り込んだ状態で、上記したように硬化することで、これらの凹凸部103内に入り込んで硬化したコーティング膜の一部がアンカー部117(図2,4,5参照)として機能するため、コーティング膜115,135,145は物品101の表面102に対しより強固に密着する。
また、図2~5に示されるように、このコーティング膜115,135,145の層内には、コーティング液110に含まれる添加剤110B、すなわち有機抗ウイルス剤の粒子121,122が上記したように多数のナノレベル又はマイクロレベルの微粒子状に混在しており、その一部表面が後述するように表層面114aに表出している。
また、本発明のコーティング膜115,135,145は、ベース剤110Aの原料として無機ポリシラザンが使用されることにより、ナノレベルの薄膜に形成されるものであり、詳しくは膜厚が5~500nm程度である。よってSiO2を主成分とするコーティング膜であるにも関わらず柔軟性に富み、上記したアンカー部117によるアンカー効果とも相俟って、物品101の表面102が例え布材等の変形を生じるものであっても剥離等することなく、表面102の変形に追従してコーティング膜115,135,145の被覆性を維持することができる。
図2,3に示す本実施例1は、図4に示す別の実施態様、図5に示す更に別の実施態様に比してコーティング膜の膜厚、及びコーティング膜に含まれる有機抗ウイルス剤の粒子径が異なるものである。より詳しくは、図2,3に示されるコーティング膜115は、膜厚が略100nmに形成されるものであり、有機抗ウイルス剤の粒子121,122が粒径5~15nmの微粒子状に混在している。また、図4に示される別の実施態様のコーティング膜135は、膜厚が略100nmに形成されるものであり、有機抗ウイルス剤の粒子121,122が粒径100nm~1μmの微粒子状に混在するものである。また、図5に示される更に別の実施態様のコーティング膜145は、膜厚が略500nmに形成されるものであり、有機抗ウイルス剤の粒子121,122が粒径100nm~1μmの微粒子状に混在するものである。
なお、物品101の表面102が上記した凹凸部103をほとんど有さない平滑面である場合、コーティング膜115,135,145を被覆する前処理として、物品101の表面102をやすり等により目粗し処理を行うことによって、物品101の表面102に凹凸部103または比較的粗い凹凸部104を積極的に生成してもよく、このようにすることで、コーティング膜115,135,145のアンカー効果を得ることができる。
この目粗し処理を行うことによって、物品101の表面102に算術平均粗さ0.1~1μm程度の範囲の凹凸部103,104を形成すると好ましく、このようにすることで、コーティング膜115,135,145のアンカー効果を高めることができる。特に、図4,5に示すように、有機抗ウイルス剤の粒子121,122が最大粒径1μm程度の比較的大径の粒子状に混在する場合、物品101の表面102に比較的粗い凹凸部104を形成する目粗し処理を行うことで、この凹凸部104によって大径の粒子121,122を保持することができる。すなわち、抗ウイルス剤の粒径に応じた算術平均粗さの目粗し処理を行うことで、抗ウイルス剤の保持力を高めることができる。
目粗し処理の後、例えばエアガン等の空気噴射手段を用いて、物品101の表面102にやすり掛け等で生じた金属粉を吹き飛ばす清浄処理を行う。更にこの清浄処理の後、所定時間を置くことで物品101の表面102に結露等を生じさせ、自然由来の水分を付着させる。
また、この場合、物品101の表面102の目粗し処理及び清浄処理の後、目粗しによって凹凸部103,104が形成された物品101の表面102に、被覆工程よりも前段の前処理工程として、例えば霧吹き等の水分付与手段によって水分を積極的に付着させ、後にコーティング膜115,135,145を被覆してもよく、このようにすることで、物品101の表面102に付着させた水分と、この物品101の表面102に接するコーティング液110との化学反応を促進できる。なお、物品101の表面102に、特に目粗し処理を施すことなく、水分付与手段によって水分を付着させてもよい。
(コーティング膜の被覆層の形状)
図1に示されるように、物品101の表面102に被覆されたコーティング膜115,135,145の表面は、副生成物であるガスの気泡が揮発した箇所の跡に、コーティング膜115,135,145の表層面114a上にナノレベルで凹凸形状を成す凹凸部116が形成される。より詳しくは、上記した化学反応により水素やアンモニア等の気泡が多数生成され、これらの気泡がコーティング膜115,135,145の平滑な表層面114aから気中に向け放出される際に、気泡に接するコーティング膜115,135,145の表層面114aに生じる表面張力の影響、及び化学反応に伴うこの表層面114aの初期硬化のタイミングの影響が相俟って、当該平滑面にナノレベルの凹部116b及び凸部116aからなる凹凸部116を生成するものと想定される。なお、図1~3では凹凸部116の凹凸寸法を実寸よりもデフォルメして示し、図4,5では凹凸部116を省略している。
また、被覆前の物品101の表面102に当初形成された凹凸部103よりも、コーティング膜115,135,145の表面に形成された凹凸部116の方が凹凸の深さ・高さ寸法が小さいため、物品101の表面102にコーティング膜115,135,145を被覆することで、被覆前よりも被覆後の方が表面は平滑に生成される。
なお言うまでもないが、上記した副生成物であるガスは、コーティング膜115,135,145の表面に一様に生成されるものであることから、凹凸部116は、コーティング膜115,135,145の単位面積当たりの個数や凹部の深さ、凸部の高さにバラつきを生じることなく均一に形成されるものである。
更に、図2~5に示されるように、表層面114a上には、コーティング膜115,135,145内に微粒子状に混在する添加剤110B、すなわち有機抗ウイルス剤の粒子121,122の一部表面が外部に露出した状態で固定されている。
より詳しくは、前述したように、コーティング液110のベース剤110Aを構成するペルヒドロポリシラザンが水分(H2O)と化学反応して副次的に気体(NH3,H2)を生成し、これらの気体がコーティング液110中の周辺の有機抗ウイルス剤の粒子121,122を伴いながら上昇する。よって特に図2に示されるように、コーティング液110中の一部の有機抗ウイルス剤の粒子121,122は、コーティング膜115の表層面114a近傍に寄せ集まり、特に気体の揮発によって表層面114a上に形成される凹凸部16に集まることになる。
図2,3に示されるように、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の一部は凹部116bの凹形状を補完するように表層面114a上に配設されている。このようにすることで、有機抗ウイルス剤の粒子121,122が各種のウイルスにダイレクトに作用して、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。また、凹部116bが有機抗ウイルス剤の粒子121,122によって一部埋設され、表層面114aの平滑性を高めることができる。
また、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の別の一部(図3において粒子121のみを示す)は、コーティング膜115の内部に埋設するように、表層面114aに配設されているが、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の一部は、気体の揮発によって当該粒子121,122の表面から表層面114aまで連なる溝部116eが形成されることにより、溝部116eを介して粒子121,122の一部表面が外部に露出した状態となってる。このようにすることで、表層面114a側に埋設された有機抗ウイルス剤の粒子121,122についても各種のウイルスにダイレクトに作用して、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。また図3に示されるように、溝部116eは粒子121の粒径よりも上下方向に深く形成されており、当該粒子121の全体が溝部116e内に没入した安定状態で一部表面が外部に露出するため、その抗ウイルス作用を長期に維持できる。
また、図2に示されるように、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の別の一部は、凸部116aの内部に埋設するように、表層面114aに配設されている。このようにすることで、コーティング後の物品101の使用に伴い、コーティング膜115の表層面114a上で突出形状を成す凸部116aが一部削られた場合に、該凸部116a内に埋設された有機抗ウイルス剤の粒子121,122が表面に露出するため、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。
また、コーティング液110は、ベース剤110Aの原料として無機ポリシラザンを使用し、当該ベース剤110Aとの親和性が比較的低い有機抗ウイルス剤を用いることで、コーティング膜115,135,145の表層面114aに生じる表面張力の影響によりベース剤110Aが有機抗ウイルス剤の粒子121,122の表面に対して付着し難くなる。これにより、特に図3に示されるように、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の表面とコーティング膜115の表層面114a、凹部116b、溝部116eに形成される離間部116cとの間に隙間Sが大きく形成され、コーティング膜115の表層面114aに有機抗ウイルス剤の粒子121,122の露出部をより大きく確保することができる。加えて、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の表面の凹凸内に入り込んだ状態で硬化したコーティング膜の一部が背層面114b側でアンカー部116dとして機能し、コーティング膜115の表層面114aに有機抗ウイルス剤の粒子121,122を安定状態で定着させることができる。
また、別の実施態様として図4で示されるコーティング膜135は、上記したコーティング膜115と同じく膜厚が略100nmに形成されるものであり、これに対し、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の粒径が100nm~1μmであり、有機抗ウイルス剤の粒子121はコーティング膜135の膜厚と略同寸、有機抗ウイルス剤の粒子122はコーティング膜135の膜厚よりも大寸である。よって、これらの粒子121,122は、その上部がコーティング膜135の表層面114aの外部に露出するように表出されている。このようにすることで、これらの有機抗ウイルス剤の粒子121,122が各種のウイルスにダイレクトに作用して、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。特に、一部の有機抗ウイルス剤の粒子122は粒径1μm程度であり、コーティング膜135の膜厚略100nmの数倍程度、最大10倍程度に相当するため、当該粒子122の大部分がコーティング膜135の表層面114aの外部に露出することになり、より高い抗ウイルス効果を発現することができる。
更に、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の一部は、その下部がコーティング液110の塗布の際に表面102に形成されている凹凸部103内に嵌合した状態で、ベース剤110Aが硬化するため、剥離することなく抗ウイルス効果を長期に持続できる。
また、別の実施態様として図5で示されるコーティング膜145は、上記したコーティング膜115よりも膜厚が略500nmに形成されるものであり、これに対し、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の粒径が100nm~1μmであり、有機抗ウイルス剤の粒子121はコーティング膜135の膜厚よりも小寸、有機抗ウイルス剤の粒子122はコーティング膜135の膜厚よりも大寸である。よって、コーティング液110中の一部の有機抗ウイルス剤の粒子121は、コーティング膜145の表層面114a近傍に寄せ集まり、有機抗ウイルス剤の粒子122と共にその上部がコーティング膜145の表層面114aの外部に露出するように表出されている。このようにすることで、これらの有機抗ウイルス剤の粒子121,122が各種のウイルスにダイレクトに作用して、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。特に、一部の有機抗ウイルス剤の粒子122は粒径1μm程度であり、コーティング膜145の膜厚略500nmの2倍程度に相当するため、当該粒子122の略半分がコーティング膜145の表層面114aの外部に露出することになり、より高い抗ウイルス効果を発現することができる。
なお、図4,5に示されるコーティング膜135,145についても、図2,3に示されるコーティング膜115と同様に、コーティング膜135,145の表層面114aに生じる表面張力の影響により有機抗ウイルス剤の粒子121,122の露出部をより大きく確保することができるとともに、有機抗ウイルス剤の粒子121,122の表面の凹凸内に入り込んだ状態で硬化したコーティング膜の一部が背層面114b側でアンカー部116dとして機能し、コーティング膜135,145に有機抗ウイルス剤の粒子121,122を安定状態で定着させることができる。
以下、本発明に係るコーティング膜の各種評価試験は、上記したコーティング膜115が被膜されたものを対象として行った。
(抗ウイルス効果の評価方法(新型コロナウイルス(1)))
新型コロナウイルス(COVID -19)に対するコーティング膜の抗ウイルス効果の評価方法として、ISO21702:2019に基づき、5cm角のポリ塩化ビニル(PVC)の試験片(コーティング膜なし,コーティング膜あり)の表面に対し、新型コロナウイルスのウイルス液0.4mlをそれぞれ滴下し、この試験片の表面を4cm角のフィルムで被覆し、25℃で24時間静置し、試験片上のウイルスを洗い出して回収した後、プラーク測定法によりウイルス感染価(残存ウイルス率)の測定を行った。また、それぞれ3つのサンプルに対して測定を行い、下記計算式により、抗ウイルス活性値を算出した。
R=Ut-At
R :抗ウイルス活性値
Ut:無加工品(コーティング膜なし)の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数の平均
At:抗ウイルス加工品(コーティング膜あり)の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数の平均
(抗ウイルス効果の評価)
新型コロナウイルスに対する抗ウイルス性試験(1)の結果を図6に示す。図6に示されるように、新型コロナウイルスについて、試験前と比較してコーティング膜が被膜されない試験片(コーティング膜なし)のウイルス減少率は81.5%であるのに対し、本発明に係るコーティング膜が被膜された試験片(コーティング膜あり)のウイルス減少率は94.45%と高い値を示し、すなわち本発明のコーティング膜によって新型コロナウイルスの残存ウイルス率が有意に減少することが確認された。また、本発明に係るコーティング膜の抗ウイルス活性値Rは0.52、すなわちコーティング膜なしと比較して69.8%のウイルス減少率であることが確認された。これは図2,3に示されるように、コーティング膜115の表層面114a上に露出した状態で固定された有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122が、新型コロナウイルスに直接接触して作用し、当該ウイルスのエンベロープ(外殻)を破壊することにより死滅させるため、表層面114a上を清浄に維持しているものと推察される。
なお、ISO21702では、抗ウイルス活性値Rが2.0以上の場合に抗ウイルス効果があるものと評価するとされているが、上記抗ウイルス性試験(1)に使用されたコーティング膜ありの試験片が、海外の試験機関への輸送時の取り扱いによる影響を受けて抗ウイルス効果を十分に発揮できなかった可能性があるものと推察される。
(抗ウイルス効果の評価方法(新型コロナウイルス(2)))
そこで、輸送時の取り扱いによる影響を排除するために、日本国内の試験機関において、新型コロナウイルス(COVID -19)に対するコーティング膜の抗ウイルス効果の評価方法を行った。尚、抗ウイルス効果の評価方法として、ISO21702:2019に基づき、上記海外の試験機関における新型コロナウイルスを対象とした抗ウイルス性試験(1)と略同様の方法により新型コロナウイルスのウイルス感染価(残存ウイルス率)の測定を行うとともに、抗ウイルス活性値を算出した。
(抗ウイルス効果の評価)
新型コロナウイルスに対する抗ウイルス性試験(2)の結果を図7に示す。図7に示されるように、新型コロナウイルスについて、試験前と比較してコーティング膜が被膜されない試験片(コーティング膜なし)のウイルス減少率は74.3%であるのに対し、本発明に係るコーティング膜が被膜された試験片(コーティング膜あり)のウイルス減少率は99.98%と高い値を示し、すなわち本発明のコーティング膜によって新型コロナウイルスの残存ウイルス率が有意に減少することが確認された。また、本発明に係るコーティング膜の抗ウイルス活性値Rは3.0、すなわちコーティング膜なしと比較して99.9%のウイルス減少率であり、新型コロナウイルスに対する優れた抗ウイルス効果を発揮することが確認された。これは図2,3に示されるように、コーティング膜115の表層面114a上に露出した状態で固定された有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122が、新型コロナウイルスに直接接触して作用し、当該ウイルスのエンベロープ(外殻)を破壊することにより死滅させるため、表層面114a上を清浄に維持しているものと推察される。
なお上記したように、ISO21702では、抗ウイルス活性値Rが2.0以上の場合に抗ウイルス効果があるものと評価するとされているが、上記抗ウイルス性試験(2)に使用されたコーティング膜ありの試験片は、日本国内の試験機関において輸送時等の影響を受けることなく精確な試験が行われた結果、抗ウイルス活性値Rが3.0を示し、すなわち高い抗ウイルス効果を十分に発揮できたものと推察される。
(抗ウイルス効果の評価方法(A型インフルエンザウイルス))
A型インフルエンザウイルス(H3N2)に対するコーティング膜の抗ウイルス効果の評価方法として、ISO21702:2019に基づき、上記新型コロナウイルスを対象とした試験と同様の方法によりA型インフルエンザウイルスのウイルス感染価(残存ウイルス率)の測定を行うとともに、抗ウイルス活性値を算出した。なお、本試験においては、経時的なウイルス感染価(残存ウイルス率)の測定も行った。
(抗ウイルス効果の評価)
A型インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス性試験の結果を図8,9に示す。図8に示されるように、A型インフルエンザウイルスについて、試験前と比較してコーティング膜が被膜されない試験片(コーティング膜なし)のウイルス減少率は97.6%であるのに対し、本発明に係るコーティング膜が被膜された試験片(コーティング膜あり)のウイルス減少率は99.998%と高い値を示し、すなわち本発明のコーティング膜によってA型インフルエンザウイルスの残存ウイルス率が有意に減少することが確認された。また、本発明に係るコーティング膜の抗ウイルス活性値Rは2.5、すなわちコーティング膜なしと比較して99.93%のウイルス減少率であり、優れた抗ウイルス効果を発揮することが確認された。これは図2,3に示されるように、コーティング膜115の表層面114a上に露出した状態で固定された有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122が、A型インフルエンザウイルスに直接接触して作用し、当該ウイルスのエンベロープ(外殻)を破壊することにより死滅させるため、表層面114a上を清浄に維持しているものと推察される。
また、抗菌製品技術協議会持続性基準に基づいて、前処理としてキセノンアーク灯を10時間照射させる耐光処理(区分1)を行ったものについて、上記と同様の評価方法により抗ウイルス活性値を算出した結果、A型インフルエンザウイルスに対する本発明に係るコーティング膜の抗ウイルス活性値Rは3.1、すなわちコーティング膜なしと比較して99.99%以上のウイルス減少率であり、優れた抗ウイルス効果を発揮することが確認された。
また、図9に示されるように、A型インフルエンザウイルスについて、試験前と比較して本発明に係るコーティング膜が被膜された試験片(コーティング膜あり)のウイルス減少率は静置開始から30分後に41.1%、1時間後に78.1%、3時間後に91.1%、5時間後に95.2%、24時間後に99.998%であり、経時的に残存ウイルス率が有意に減少していくことが確認された。また、静置開始から1時間~3時間でウイルス減少率は約80~90%となることから、本発明に係るコーティング膜に含有される抗ウイルス剤による抗ウイルス効果の即効性を示している。このように、本発明のコーティング方法によれば、コーティング膜の被膜から1時間経過で略80%、3時間経過で90%超、5時間経過で95%超の迅速なウイルス減少率を達成することができる。
(抗菌効果の評価方法)
コーティング膜の抗菌効果の評価方法として、JIS Z 2801抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果に基づき、5cm角の試験片(コーティング膜なし,コーティング膜あり)の表面に対し、黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)と大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)の菌液0.4mlをそれぞれ滴下し、当該試験片の表面を4cm角のフィルムで被覆し、35℃±1℃、相対湿度90%以上で24時間静置し、試験片上の菌を洗い出して回収した後、生菌数の測定を行った。また、それぞれ3つのサンプルに対して測定を行い、抗菌活性値を上記した抗ウイルス活性値と同様の計算方法により算出した。
(抗菌効果の評価)
黄色ぶどう球菌に対する抗菌性試験の結果を図10に示す。図10に示されるように、黄色ぶどう球菌について、試験前と比較してコーティング膜が被膜されない試験片(コーティング膜なし)の生菌減少率は45.0%であるのに対し、本発明に係るコーティング膜が被膜された試験片(コーティング膜あり)の生菌減少率は99.99%以上であり、すなわち黄色ぶどう球菌の生菌数率が有意に減少することが確認された。また、本発明に係るコーティング膜の抗菌活性値Rは4.4、すなわちコーティング膜なしと比較して99.99%の生菌減少率、すなわち24時間後の生菌数率は略0(ゼロ)であり、優れた抗菌性を発揮することが確認された。これは図2,3に示されるように、コーティング膜115の表層面114a上に露出した状態で固定された有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122が、黄色ぶどう球菌に直接接触して作用し、当該菌の細胞膜を破壊することにより死滅させるため、表層面114a上を清浄に維持しているものと推察される。
また、抗菌製品技術協議会持続性基準に基づいて、前処理としてキセノンアーク灯を10時間照射させる耐光処理(区分1)を行ったものについて、上記と同様の評価方法により抗菌活性値を算出した結果、黄色ぶどう球菌に対する本発明に係るコーティング膜の抗菌活性値Rは4.0、すなわちコーティング膜なしと比較して99.99%以上の生菌減少率であり、優れた抗菌効果を発揮することが確認された。
また、大腸菌に対する抗菌性試験の結果を図11に示す。図11に示されるように、大腸菌について、試験前と比較してコーティング膜が被膜されない試験片(コーティング膜なし)の生菌数率は約55倍に増加するのに対し、本発明に係るコーティング膜が被膜された試験片(コーティング膜あり)の生菌減少率は99.999%以上であり、すなわち大腸菌の生菌数率が有意に減少することが確認された。また、本発明に係るコーティング膜の抗菌活性値Rは6.1、すなわちコーティング膜なしと比較して99.999%の生菌減少率、すなわち24時間後の生菌数率は略0(ゼロ)であり、優れた抗菌性を発揮することが確認された。これは図2,3に示されるように、コーティング膜115の表層面114a上に露出した状態で固定された有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122が、大腸菌に直接接触して作用し、当該菌の細胞膜を破壊することにより死滅させるため、表層面114a上を清浄に維持しているものと推察される。
また、抗菌製品技術協議会持続性基準に基づいて、前処理としてキセノンアーク灯を10時間照射させる耐光処理(区分1)を行ったものについて、上記と同様の評価方法により抗菌活性値を算出した結果、大腸菌に対する本発明に係るコーティング膜の抗菌活性値Rは6.1、すなわちコーティング膜なしと比較して99.99%以上の生菌減少率であり、優れた抗菌効果を発揮することが確認された。このように有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122は、上述した抗ウイルス効果に併せて、一定の抗菌効果を有することが確認された。
(防カビ効果の評価方法A)
コーティング膜の防カビ効果の評価方法Aとして、JIS Z 2911:2018に基づき、無機塩寒天培地上に試験片(コーティング膜なし,コーティング膜あり)をそれぞれ貼付し、5菌株(Aspergillus niger NBRC 105649,Penicillium pinophilum NBRC 100533,Paecilomyces variotii NBRC 107725,Trichoderma virens NBRC 6355,Chaetomium globosum NBRC 6347)の混合胞子懸濁液を噴霧し、29±1℃、相対湿度95%以上で28日間培養し、試料片上のカビの生育を目視にて観察し、カビの生育及びカビ抵抗性表示について評価を行った結果を表1に示す。なお、カビの生育については、カビの生育を認めない(-)、顕微鏡下でカビの生育を認めた(±)、カビの生育が著しい(+)として評価を行った。また、カビ抵抗性表示については、肉眼及び顕微鏡下でカビの生育は認められない(0)、カビの生育は肉眼では認められないが、顕微鏡下では認められる(1)、カビの生育は試料面積の25%以内(2)、カビの生育は試料面積の25~50%(3)、カビの生育は試料面積の50~100%以内(4)、菌糸の発育は激しく、試料全体を覆っている(5)として評価を行った。
Figure 2022008038000005
また、抗菌製品技術協議会持続性基準に基づいて、前処理として常温で水に16時間浸漬させる耐水処理(区分1)を行ったものについて、上記と同様の評価方法によりカビの生育及びカビ抵抗性表示について評価を行った結果を表2に示す。
Figure 2022008038000006
また、抗菌製品技術協議会持続性基準に基づいて、前処理としてキセノンアーク灯を10時間照射させる耐光処理(区分1)を行ったものについて、上記と同様の評価方法によりカビの生育及びカビ抵抗性表示について評価を行った結果を表3に示す。
Figure 2022008038000007
(防カビ効果の評価(方法A))
表1~3に示されるように、防カビ試験の結果、コーティング膜が被膜されない試験片(コーティング膜なし)と比較して、本発明に係るコーティング膜が被膜された試験片(コーティング膜あり)は、カビの生育を抑制するとともに、カビ抵抗性に優れることが確認された。また、本発明に係るコーティング膜は耐光性にも優れることが確認された。これは図2,3に示されるように、コーティング膜115の表層面114a上に露出した状態で固定された有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122が、カビの増殖を抑制しているものと推察される。
(防カビ効果の評価方法B)
また、コーティング膜の防カビ効果の評価方法Bとして、JIS Z 2911:2018に基づき、グルコース/無機塩寒天培地上に試験片(コーティング膜なし,コーティング膜あり)をそれぞれ貼付し、上記方法Aと同一種の5菌株の混合胞子懸濁液を噴霧し、29±1℃、相対湿度95%以上で28日間培養し、試料片上のカビの生育を目視にて観察し、カビ抵抗性表示について評価を行った結果を表4に示す。また、それぞれ5つのサンプルに対して評価を行い、カビの抵抗性表示については、上記方法Aと同様指標にて評価を行った。
Figure 2022008038000008
また、抗菌製品技術協議会持続性基準に基づいて、前処理として常温で水に16時間浸漬させる耐水処理(区分1)を行ったものについて、上記と同様の評価方法によりカビ抵抗性表示について評価を行った結果を表5に示す。
Figure 2022008038000009
また、抗菌製品技術協議会持続性基準に基づいて、前処理としてキセノンアーク灯を10時間照射させる耐光処理(区分1)を行ったものについて、上記と同様の評価方法によりカビ抵抗性表示について評価を行った結果を表6に示す。
Figure 2022008038000010
(防カビ効果の評価(方法B))
表4~6に示されるように、防カビ試験の結果、コーティング膜が被膜されない試験片(コーティング膜なし)と比較して、本発明に係るコーティング膜が被膜された試験片(コーティング膜あり)は、カビ抵抗性に優れることが確認された。これは図2,3に示されるように、コーティング膜115の表層面114a上に露出した状態で固定された有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122が、カビの増殖を抑制しているものと推察される。
このように、本発明に係るコーティング膜115の表層面114a上に露出した状態で固定された有機抗ウイルス剤の有効成分を含有する粒子121,122は、抗ウイルス効果だけでなく、抗菌効果、防カビ効果に優れ、耐水性及び耐光性にも優れることが確認された。
(本願発明の作用効果)
以上説明したように、本発明のコーティング液10(コーティング材)は、ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とを両者の合計として50~80質量%の濃度で、不活性溶剤により溶解されたコーティング剤をベース剤として、該ベース剤に抗ウイルス剤を0.1~20質量%の割合で添加してなることで、ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物により生成されるガラスコーティング被膜を母材として、当該被膜の表層に露出部を大きく確保した状態で抗ウイルス剤が安定状態で定着するため、このコーティング材によって被覆した被覆対象物の高い抗ウイルス効果を長期にわたり持続させることができる。なお、例えば樹脂製品に抗ウイルス剤を練り込んだ場合、抗ウイルス剤の大半が内部に埋設されてしまい表面に抗ウイルス剤を露出させることが難しく添加される抗ウイルス剤にロスが多いが、本発明に係るコーティング材により形成されるガラスコーティング被膜の表層には、抗ウイルス剤が露出部を大きく確保した状態で安定して定着するため、抗ウイルス剤の添加量を抑えつつ、高い抗ウイルス効果を発揮することができる。
また、コーティング膜が10μm以下の厚さの薄膜に成膜されることにより、コーティング液において、抗ウイルス剤がベース剤に0.1~20質量%の割合で少量添加されているだけで抗ウイルス効果が得られるととともに、抗ウイルス剤の添加量が少なく製造コストを低減できる。
また、ベース剤の原料としてのポリシラザンが無機ポリシラザンであることにより、ガラスコーティング被膜を薄膜に形成しやすいので、当該被膜の表層に抗ウイルス剤を露出させやすい。
また、抗ウイルス剤は、有機抗ウイルス剤であることにより、無機ポリシラザンをベース剤とし、当該ベース剤との親和性が比較的低い有機抗ウイルス剤を用いることで、表面張力によりベース剤が抗ウイルス剤の表面に対して付着し難くなり、ガラスコーティング被膜の表層に抗ウイルス剤の露出部をより大きく確保することができる。また、無機ポリシラザンをベース剤とするコーティング液に対する抗ウイルス剤の分散性が良好に保たれる。
更に、抗ウイルス剤は、特に有機抗ウイルス剤Xを使用することにより、有効成分を含有する粒子を粒径略100nm又はそれ以下のナノレベルの微粒子状とすることができ、50~200nmの大きさである新型コロナウイルス(COVID -19)、80~120nmの大きさであるインフルエンザウイルスをはじめとする各種のウイルスに対して高い抗ウイルス効果を発揮することができる。
また、本発明のコーティング液10(コーティング材)は、抗ウイルス剤に加えて、更に抗菌剤が0.1~10質量%の割合で添加されていてもよく、これにより被覆対象物の抗菌効果と抗ウイルス効果をいずれも高めることができる。
また、本発明のコーティング方法は、ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とを両者の合計として50~80質量%の濃度で、不活性溶剤により溶解されたコーティング剤をベース剤として、該ベース剤に抗ウイルス剤を0.1~20質量%の割合で添加してなるコーティング材を、被覆対象物の表面に被覆する被覆工程を有することで、被覆対象物の表面に、ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物によるガラスコーティング被膜を生成するとともに、ガラスコーティング被膜を母材としてその表層に露出部を大きく確保した状態で抗ウイルス剤が安定状態で定着するため、この被覆対象物の高い抗ウイルス効果を長期にわたり得ることができる。
また、被覆工程は、被覆対象物の表面にSiO2を主成分とした母材となるコーティング膜を薄層に生成するとともに、コーティング膜の表層面に、抗ウイルス剤を表出させる工程であることで、コーティング膜の表層面に、抗ウイルス剤を表出させることで、この抗ウイルス剤が各種のウイルスにダイレクトに作用して、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。更にコーティング膜を薄層に生成することで、被覆対象物の表面の挙動に対する追従性を確保できる。ここで、本発明で薄層とは、10μm以下のマイクロレベル若しくはナノレベルの膜厚を意味し、より好適には、1μm未満のナノレベルの膜厚を意味する。
また、被覆工程は、水分が付着した被覆対象物の表面にコーティング材を被覆し、該コーティング材に含まれる成分と被覆対象物の表面に付着した水分とを化学反応させることで、被覆対象物の表面にSiO2を主成分とした母材となるコーティング膜を生成するとともに、化学反応によって形成されるコーティング膜の表層面の凹部に、抗ウイルス剤を表出させる工程であることで、コーティング材に含まれる成分と被覆対象物表面の水分との化学反応で生じるガスの排出によって生成されるコーティング膜の表層面の凹部に、抗ウイルス剤を表出させることで、この抗ウイルス剤が各種のウイルスにダイレクトに作用して、高い抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。
また、被覆工程は、最大直径1μmの粒子からなる抗ウイルス剤が添加されたコーティング材を、被覆対象物の表面に膜厚500nm以下に被覆する工程であることで、コーティング膜の表層面に、抗ウイルス剤を表出させやすくすることができる(特に図4,5参照)。
また、被覆工程よりも前に、被覆対象物の表面を除菌する除菌工程を有することで、除菌工程により清浄された被覆対象物の表面に良質で持続性の高いコーティング被膜を生成することができる。
また、被覆工程よりも前に、被覆対象物の表面に水分を付着させる前処理工程を有することで、被覆対象物の表面に水分を付着させることで、この水分とコーティング材に含まれる成分との化学反応を促進させ、被覆対象物の表面に迅速かつ強固にコーティング被膜を生成することができる。
なお、ガラスコーティング被膜の表層に抗ウイルス剤の露出部を大きく確保させる観点から、被覆工程は例えば二層塗り等の複数層塗りにより行われることが好ましい。
本発明の実施例2に係るコーティング材及びコーティング方法を実施するための形態を図12~図16を参照して以下に説明する。
(コーティング液)
本発明のコーティング材としてのコーティング液10は、ベース剤10Aとこのベース剤10Aに添加された添加剤10Bとから主として構成されている。先ずベース剤10Aは、原料として少なくとも無機ポリシラザンと、アルキルシリケート縮合物とを含有しており、本実施例2においては、これら無機ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物が不活性溶剤によって希釈されている。
無機ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とは、両者の合計として50~80質量%の範囲の濃度で、本実施例2では不活性溶剤としてジブチルエーテルによって溶解されている。より詳しくは、無機ポリシラザンは0.1~5質量%で、残りがアルキルシリケート縮合物の割合で含有している。
より詳しくは、本実施例2の無機ポリシラザンは、ペルヒドロポリシラザン、すなわちSi-H結合とSi-N結合とN-H結合を有し、例えば下記一般式(1)で表される-(SiH2-NH)-ユニットから構成される鎖状構造の無機のポリマーである。
Figure 2022008038000011
尚、無機ポリシラザンは、鎖状構造のものに限らず、環状構造を有するポリマーであってもよく、これらの構造を複合的に有するポリマーであってもよい。
アルキルシリケート縮合物は、例えばテトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラ-n-プロピルオルトシリケート、テトラ-i-プロピルオルトシリケート、テトラ-n-ブチルオルトシリケート、テトラ-sec-ブチルオルトシリケート、メチルポリシリケート及びエチルポリシリケートの中から選択される1種類又は2種類以上の縮合物である。
不活性溶剤は、無機ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物に対して不活性な溶剤であり、好適にはジブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テレピン油、ベンゼン、トルエン等の中から選択される。
添加剤10Bは、上記したベース剤10Aに対して添加されるものであり、無機系の抗菌剤21が0.01~10質量%、無機系の抗ウイルス剤22が0.01~40質量%、及び有機系の抗菌・抗ウイルス剤23が0.01~20質量%添加、より好ましくは0.1~10質量%添加される。
より詳しくは、無機系の抗菌剤21は、酸化銀-リン酸亜鉛カルシウム(Ag2O-CaαZnβAlγ(PO4)6)を含有している。また無機系の抗ウイルス剤22は、少なくともモリブデン化合物若しくは銀化合物を含有している。また有機系の抗菌・抗ウイルス剤23は、ジヨードメチルパラトリルスルホンを含有している。
(コーティング材の態様)
また本実施例2のコーティング液10は、例えばガラス製又は樹脂製等の容器に封入された所定量の液体として運用されるものであり、当該液体を図示しない布材等に湿らせ、被覆対象となる各種の物品等の表面に塗布することで、コーティング被膜を形成する。なお、コーティング材の運用については、これに限らず、例えば予めコーティング液に含浸した不織布等を袋体に密封し、使用に際し当該袋体を開封するようにしてもよいし、あるいはコーティング液を被覆対象物の表面に霧吹き状に吹き付けて被覆しても構わない。
(コーティング膜の被覆方法)
コーティング液10は、被覆対象となる物品1の表面2に塗布又は散布されることにより、水分と化学反応して単層又は複数層のコーティング膜15,35を形成する。なお、図13に示されるコーティング膜15は、マイクロレベルに成層される。また図14に示されるコーティング膜35は、ナノレベルの薄層に成層されるものであり、その膜厚として好ましくは1nm~500nmの被覆膜、より好適には5nm~200nmの被覆膜として成層したものである。
まず、コーティング膜15,35の被覆工程よりも前段に、物品1の表面2を除菌する除菌工程を行う。この除菌工程は、除菌効果に加え、抗菌・抗ウイルス効果がある次亜塩素酸若しくは次亜塩素酸ナトリウムが希釈された除菌液を、霧吹き又は該除菌液を含浸した不織布等で、物品1の表面2に付着させる。このように除菌することで、清浄状態とした物品1の表面2に対しコーティング膜15,35を被膜させ易く、かつ剥離しにくい良質で持続性の高いコーティング膜15,35を生成することができる。
なお、上述した除菌工程後で被覆工程よりも前に、前工程として、物品1の表面2に精製水等の水(H2O)を不織布若しくは霧吹き等で付着させてもよい。このようにすることで、物品1の表面2に付着させた水分とコーティング液10に含まれる成分との化学反応を促進させ、物品1の表面2に迅速かつ強固にコーティング膜15,35を生成することができる。
(被覆対象物)
被覆対象物としては、樹脂材や金属材、木材、ゴム材、皮革等の素材から構成される各種の物品が適用可能であり、若しくは什器等の固定設置物であってもよく、例えば携帯端末やリモコンの操作部表面、机・テーブルの天板や引き出し、食器類、バッグや財布などの携行品、ドアノブや手すり、電車・バスのつり革、建設・仮設資材など、複数の人が接触する機会の多い物品が被覆対象物として好適である。
(コーティング膜の形成のメカニズム)
次に、本発明に係るコーティング膜15,35が形成されるメカニズムについて説明する。図12(a)に示されるように、被覆対象として例えば金属材からなる物品1の表面2には多くの場合、結露や空気中の湿気により例え僅かでも複数の水分6,6,‥(水滴)が付着している。この物品1の表面2にコーティング液10を薄膜状に塗布又は散布して被覆すると、コーティング液10に含まれるベース剤10Aを構成する無機ポリシラザンであるペルヒドロポリシラザンが、空気中の水分(H2O)と化学反応することで、物品1の表面2に無機構造を有する被覆層が生成される。なお、上記した化学反応で微量の気体(NH3,H2)が副次的に生成されるが、これらの気体は当然のことながら物品1の表面2に残らず大気中に揮発する。
すなわち、図12(b)に示されるように、コーティング液10は、空気に接する表層面10aにて、空気中に含まれる水分と化学反応することで、コーティング膜15,35の副生成物である水素やアンモニア等のガスが表層から揮発するとともに、コーティング膜15,35の表面側の被覆層11が生成される。
また、物品1の表面2に被覆されたコーティング液10は、物品1の表面2に接する背層面10bにて、表面2に付着した水分6,6,‥(水滴)又は表面2に終端として存在しているヒドロキシル基-OHと化学反応することで、水素やアンモニア等のガスが被覆層内を上昇し表層から揮発するとともに、コーティング膜15,35の背面側の被覆層12が生成される。
このように、先ずコーティング液10の表層面10a及び背層面10bにてそれぞれ被覆層11,12が生成される。次に、表層側から背層側に向けて被覆層11を拡層するとともに、背層側から表層側に向けて被覆層12を拡層することで、順次中間の被覆層を生成し、最終的に外気に接する表層面14aと、物品1の表面2に接する背層面14bと、に亘るコーティング膜15,35が生成される。
図12(c)に示されるように、コーティング膜15,35を被覆する前の物品1の表面2には、鏡面加工等の特段の表層処理を行わない限り、製造工程等で生じる小傷等によりマイクロレベルの微細な多数の凹凸部3が形成されている。コーティング液10は、物品1の表面2を被覆するとともに凹凸部3内に入り込んだ状態で、上記したように硬化することで、これらの凹凸部3内に入り込んで硬化したコーティング材がアンカー部17として機能するため、コーティング膜15,35は物品1の表面2に対しより強固に密着する。
また、図13,14に示されるように、このコーティング膜15,35の表層及び内部には、コーティング液10に含まれる添加剤10B、すなわち無機の抗菌剤21、無機の抗ウイルス剤22、及び有機の抗菌・抗ウイルス剤23が多数のマイクロレベルの微粒子状に混在しており、その一部が後述するように表層面14aに表出している。
図13で示されるコーティング膜15は、マイクロレベルに形成されるものである。また、別の実施態様として図14で示されるコーティング膜35は、上記したコーティング膜15よりも薄層のナノレベルに形成されるものである。よってガラスコーティング膜であるにも関わらず柔軟性に富み、上記したアンカー部17によるアンカー効果とも相俟って、被覆対象物の表面2が例え布材等の変形を生じるものであっても剥離等することなく、表面2の変形に追従してコーティング膜35の被覆性を維持することができる。
なお、物品1の表面2が上記した凹凸部3をほとんど有さない平滑面である場合、コーティング膜15を被覆する前処理として、物品1の表面2をやすり等により目粗し処理を行うことによって、物品1の表面2に凹凸部3を積極的に生成してもよく、このようにすることで、コーティング膜15のアンカー効果を得ることができる。
この目粗し処理を行うことによって、物品1の表面2に算術平均粗さ0.1~1μm程度の範囲の凹凸部3を形成すると好ましく、このようにすることで、コーティング膜15のアンカー効果を高めることができる。
目粗し処理の後、例えばエアガン等の空気噴射手段を用いて、物品1の表面2にやすり掛け等で生じた金属粉を吹き飛ばす清浄処理を行う。更にこの清浄処理の後、所定時間を置くことで物品1の表面2に結露等を生じさせ、自然由来の水分を付着させる。
また、この場合、物品1の表面2の目粗し処理及び清浄処理の後、目粗しによって凹凸部3が形成された物品1の表面2に、被覆工程よりも前段の前処理工程として、例えば霧吹き等の水分付与手段によって水分を積極的に付着させ、後にコーティング膜15を被覆してもよく、このようにすることで、物品1の表面2に付着させた水分と、この物品1の表面2に接するコーティング液10との化学反応を促進できる。なお、物品1の表面2に、特に目粗し処理を施すことなく、水分付与手段によって水分を付着させてもよい。
(コーティング膜の被覆層の形状)
図13に示されるように、物品1の表面2に被覆されたコーティング膜15の表面は、副生成物であるガスの気泡が揮発した箇所の跡に、コーティング膜15の表層面14a上にナノレベルで凹凸形状を成す凹凸部16が形成される。より詳しくは、上記した化学反応により水素やアンモニア等の気泡が多数生成され、これらの気泡がコーティング膜15の平滑な表層面14aから気中に向け放出される際に、気泡に接するコーティング膜15の表層面14aに生じる表面張力の影響、及び化学反応に伴うこの表層面14aの初期硬化のタイミングの影響が相俟って、当該平滑面にナノレベルの凹部16b及び凸部16aからなる凹凸部16を生成するものと想定される。なお、図12及び図13では凹凸部16の凹凸寸法を実寸よりもデフォルメして示し、図14では凹凸部16を省略している。
また、被覆前の物品1の表面2に当初形成された凹凸部3よりも、コーティング膜15,35の表面に形成された凹凸部16の方が凹凸の深さ・高さ寸法が小さいため、物品1の表面2にコーティング膜15,35を被覆することで、被覆前よりも被覆後の方が表面は平滑に生成される。
なお言うまでもないが、上記した副生成物であるガスは、コーティング膜15の表面に一様に生成されるものであることから、ディンプル16は、コーティング膜15の単位面積当たりの個数や凹部の深さ、凸部の高さにバラつきを生じることなく均一に形成されるものである。
また、物品1の表面2に被覆されるコーティング膜15,35は、図15(a)に示されるように単層塗りする場合のコーティング膜15,35に形成されるディンプル16と、図15(b)に示されるように複数層塗りする場合のコーティング膜15,35に形成されるディンプル26とを比較すると、複数層塗りする場合のディンプル26の方が、凹凸の深さ・高さ寸法が小さいことが確認されている。これは、コーティング膜を複数回にわたり被覆することで、単層塗りのときのディンプル16の凹凸が均され、より平滑なディンプル26が形成されるためと想定される。
更に、表層面14a上には、コーティング膜15,35内に微粒子状に混在する添加剤B、すなわち無機の抗菌剤21、無機の抗ウイルス剤22及び有機の抗菌・抗ウイルス剤23の一部表面が外部に露出した状態で固定されている。
より詳しくは、前述したように、コーティング液10のベース剤10Aを構成するペルヒドロポリシラザンが水分(H2O)と化学反応して副次的に気体(NH3,H2)を生成し、これらの気体がコーティング液10中の周辺の添加剤Bの微粒子を伴いながら上昇する。よって図13に示されるように、コーティング液10中の一部の添加剤Bは、コーティング膜15の表層面14a近傍に寄せ集まり、特に気体の揮発によって表層面14a上に形成される凹凸部16に集まることになる。
添加剤Bの微粒子の一部は凹部16bの凹形状を補完するように表層面14a上に配設されている。このようにすることで、これらの無機の抗菌剤21、無機の抗ウイルス剤22及び有機の抗菌・抗ウイルス剤23が各種の雑菌やウイルスにダイレクトに作用して、抗菌及び抗ウイルス効果を長期に高めることができる。また、凹部16bが添加剤Bによって一部埋設され、表層面14aの平滑性を高めることができる。
また、添加剤Bの微粒子の別の一部は、凸部16aの内部に埋設するように、表層面14aに配設されている。このようにすることで、コーティング後の物品1の使用に伴い、コーティング膜15の表層面14a上で突出形状を成す凸部16aが一部削られた場合に、該凸部16a内に埋設された添加剤Bが表面に露出するため、抗菌・抗ウイルス効果を長期に持続させることができる。
また、本発明に係るコーティング液10を塗布することで物品1の表面2に形成されたコーティング膜15,35は、そのベースが無機成分からなり、さらに添加剤である抗菌剤21、抗ウイルス剤22も無機成分であるため、基材や外部に溶出・気化することなく、劣化せずに長期にわたり被膜状態を維持することができる。
また、別の実施態様として図14で示されるコーティング膜35は、上記したコーティング膜15よりも薄層のナノレベルに形成されるものであり、より詳しくは膜厚さが1~500nm程度である。これに対し、無機の抗菌剤21は粒径略0.8~1μm、無機の抗ウイルス剤22は粒径略3μm、及び有機の抗菌・抗ウイルス剤23は粒径略1μmであり、いずれもコーティング膜35の膜厚よりも大寸である。よって、これらの粒子は、その上部がコーティング膜35の表層面34aの外部に露出するように表出されている。このようにすることで、これらの無機の抗菌剤21、無機の抗ウイルス剤22及び有機の抗菌・抗ウイルス剤23が各種の雑菌やウイルスにダイレクトに作用して、抗菌及び抗ウイルス効果を長期に高めることができる。また、コーティング膜35を薄層に生成することで、物品1の表面2が柔軟性を有している場合でも、その挙動に対する追従性を確保できる。
更に、添加剤Bの一部の粒子は、その下部がコーティング液10の塗布の際に表面2に形成されている凹凸部3内に嵌合した状態で、ベース剤Aが硬化するため、剥離することなく抗菌及び抗ウイルス効果を長期に持続できる。
(抗菌・抗ウイルス効果の評価方法)
コーティング膜の抗菌・抗ウイルス効果の評価方法として、コーティング膜15,35を被膜した表面2に対し、経時的にATP(アデノシン三リン酸)拭取り検査を行い、ATPの数値に基づく評価を行った。ここでATPとは、地球上のあらゆる生物のエネルギー源として存在する化学物質であり、ATPが存在するということは、そこに菌・ウイルス自体若しくは菌・ウイルスの痕跡が存在している証拠と確認することができる。すなわちATPふき取り検査での数値が大きいほど、当該表面の汚染度が大きい(感染リスクが高い)と評価され、またATPふき取り検査での数値が小さいほど、当該表面の汚染度が小さい(感染リスクが低い)と評価される。
ATP拭取り検査について説明する。このATP拭取り検査は、本発明に係るコーティング材を表面に被覆したガラス製の供試材(A)、及び比較のため後述する別種類のコーティング材をそれぞれ表面に被覆した供試材(B)~(E)、及びコーティング材を何ら被覆していない供試材(無印)を、同じ実験室内で常温の環境下に暴露し、1日毎(24時間経過毎)に各供試材の表面上のATP拭取りを行い、ATPの検出数を比較したものである。なお実験室は、複数の人が往来し、これに伴い菌やウイルスが侵入可能な環境下にある。表面上のATP拭取り作業に際しては、綿棒状の検出用線材の先端を供試材の表面上に一定条件で擦り付け、該先端を専用の図示しないATP検出器内に挿入することで、該先端に付着したATPの数値を検出するものである。
供試材(B)は、本発明に係るコーティング液10に含まれた添加剤10Bが添加されておらず、ベース剤10Aのみによって構成されるコーティング材を被覆したものである。次に供試材(C)は、スポーツ用品等を対象とした無機のガラスコーティング材を被覆したものである。また供試材(D)は、携帯端末等を対象とした無機のガラスコーティング材を被覆したものである。また供試材(E)は、無機のセラミックコーティング材を被覆したものである。
(抗菌・抗ウイルス効果の評価)
ATP拭取り検査結果を図16に示す。本発明に係るコーティング材が被覆された供試材(A)は、経時的にATPの増加がほぼ確認されず、他の供試材と比較して最も高い抗菌・抗ウイルス効果が持続していることが確認された。これは図13、14に示されるように、コーティング被膜15,35の表層面14a上に露出した状態で固定された無機の抗菌剤21、無機の抗ウイルス剤22及び有機の抗菌・抗ウイルス剤23が、外気中を飛沫や塵芥とともに飛来し表層面14aに付着しようとする菌やウイルスに直接に接触し、その定着を阻むように作用するため、表層面14a上を清浄に維持しているものと推察される。
また、供試材(B)は、ATPが経時的に増加したものの増加率は僅かに留まった。これは上記した無機の抗菌剤21、無機の抗ウイルス剤22及び有機の抗菌・抗ウイルス剤23が存在しないもの、無機ポリシラザンを含有するベース剤10Aによって、コーティング被膜の表層面がSiO2を主成分とする平滑面に形成され、すなわち被覆前の供試材の表面よりも平滑度が高まるため、菌やウイルスの定着を一定程度阻むことができるためと推察される。
また供試材(C)は、ATPが経時的に有意に増加しており、その増加率も供試材(B)よりも高かった。これは上記した供試材(A)とは異なり、無機の抗菌剤ないし抗ウイルス剤がコーティング被膜の表層面に露出されていないため、菌やウイルスへの抵抗作用に乏しいものと推察される。
また同様に、供試材(D)及び供試材(E)は、ATPが経時的に有意に増加しており、その増加率も供試材(B)よりも高かった。これは供試材(C)と同じく、無機の抗菌剤ないし抗ウイルス剤がコーティング被膜の表層面に露出されず、菌やウイルスへの抵抗作用を生じ得なかったためと推察される。
(本願発明の作用効果)
以上説明したように、本発明のコーティング液10(コーティング材)は、無機ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とを両者の合計として50~80質量%の濃度で、不活性溶剤により溶解されたコーティング剤をベース剤10Aとして、該ベース剤10Aに無機抗菌剤21を0.1~5質量%、無機抗ウイルス剤22を0.1~20質量%の割合で添加してなることで、無機ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物により生成されるガラスコーティング被膜を母材として、このコーティング膜15,35の表層面14aに無機抗菌剤21及び無機抗ウイルス剤22が安定状態で定着するため、このコーティング液10によって被覆した物品1(被覆対象物)の抗菌効果と抗ウイルス効果を長期にわたり両立させることができる。
また、コーティング液10は、更に有機抗菌・抗ウイルス剤23を0.1~10質量%の割合で添加してなることで、物品1の抗菌効果と抗ウイルス効果をいずれも高めることができる。
また、コーティング液10の被覆工程は、水分が付着した物品1の表面2にコーティング液10を被覆し、該コーティング液10に含まれる成分と物品1の表面2に付着した水分とを化学反応させることで、物品1の表面2にSiO2を主成分とした母材となるコーティング膜15,35を生成するとともに、前記化学反応によって形成されるコーティング膜15,35の表層面14aの凹部16bに、抗菌剤21及び抗ウイルス剤22を表出させることで、これらの抗菌剤21及び抗ウイルス剤22が各種の雑菌やウイルスにダイレクトに作用して、抗菌及び抗ウイルス効果を長期に高めることができる。更に、コーティング膜15,35の表層面14aの凹部16bに抗菌剤21及び抗ウイルス剤22の粒子を配設することで、この凹部16bを埋設することができるため、添加剤を含まないベース剤のみからなるコーティング液と比較して、表層面14aの平滑性を高めることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例1では、抗ウイルス剤として、少なくとも有機抗ウイルス剤Xが添加されていればよく、有機抗ウイルス剤Yは添加されずともよい。なお、有機抗ウイルス剤Xは、液体状であってもよいし、若しくは粉体であっても構わない。同様に有機抗ウイルス剤Yは、液体状であってもよいし、若しくは粉体であっても構わない。
また、前記実施例2では、コーティング液10は、無機の抗菌剤21及び無機の抗ウイルス剤22がそれぞれ添加されているが、これに限らず、一つの材料で抗菌及び抗ウイルス効果をいずれも有していれば、当該材料のみが添加されてもよい。
また、前記実施例1,2では、ベース剤として無機ポリシラザンを使用する場合について説明したが、ベース剤として有機ポリシラザンが使用されてもよい。この場合、膜厚をナノレベル、好適には500nm程度の薄膜に制御することにより、コーティング被膜の表層に抗ウイルス剤を露出させやすくすることができる。また、有機ポリシラザンを使用することで、ナノレベルよりも厚いマイクロレベルのコーティング被膜を成膜しやすい。
また、前記実施例1,2では、コーティング被膜の膜厚が略100~500nmのナノレベルの薄層に成膜される態様について説明したが、10μm以下の膜厚であればマイクロレベルの薄層に成膜されてもよい。
1 物品(被覆対象物)
2 表面
3 凹凸部
6 水分
10 コーティング液(コーティング材)
10A ベース剤
10B 添加剤
11,12 被覆層
14a 表層面
14b 背層面
15,35 コーティング膜
16 凹凸部
16a 凸部
16b 凹部
17 アンカー部
21 無機の抗菌剤
22 無機の抗ウイルス剤
23 有機の抗菌・抗ウイルス剤
101 物品(被覆対象物)
102 表面
103 凹凸部
106 水分
110 コーティング液(コーティング材)
110A ベース剤
110B 添加剤
111,112 被覆層
114a 表層面
114b 背層面
115,135,145 コーティング膜
116 凹凸部
116a 凸部
116b 凹部
116c 離間部
116d アンカー部
116e 溝部
117 アンカー部
121,122 粒子(抗ウイルス剤)
S 隙間

Claims (10)

  1. ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とを両者の合計として50~80質量%の濃度で、不活性溶剤により溶解されたコーティング剤をベース剤として、該ベース剤に抗ウイルス剤を0.1~20質量%の割合で添加してなることを特徴とするコーティング材。
  2. 前記ポリシラザンは無機ポリシラザンであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング材。
  3. 前記抗ウイルス剤は有機抗ウイルス剤であることを特徴とする請求項2に記載のコーティング材。
  4. 更に抗菌剤を0.1~10質量%の割合で添加してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコーティング材。
  5. ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物とを両者の合計として50~80質量%の濃度で、不活性溶剤により溶解されたコーティング剤をベース剤として、該ベース剤に抗ウイルス剤を0.1~20質量%の割合で添加してなるコーティング材を、被覆対象物の表面に被覆する被覆工程を有することを特徴とするコーティング方法。
  6. 前記被覆工程は、前記被覆対象物の表面にSiO2を主成分とした母材となるコーティング膜を薄層に生成するとともに、前記コーティング膜の表層面に、前記抗ウイルス剤を表出させる工程であることを特徴とする請求項5に記載のコーティング方法。
  7. 前記被覆工程は、水分が付着した前記被覆対象物の表面に前記コーティング材を被覆し、該コーティング材に含まれる成分と前記被覆対象物の表面に付着した水分とを化学反応させることで、前記被覆対象物の表面にSiO2を主成分とした母材となるコーティング膜を生成するとともに、前記化学反応によって形成される前記コーティング膜の表層面の凹部に、前記抗ウイルス剤を表出させる工程であることを特徴とする請求項5に記載のコーティング方法。
  8. 前記被覆工程は、最大直径1μmの粒子からなる前記抗ウイルス剤が添加された前記コーティング材を、前記被覆対象物の表面に膜厚500nm以下に被覆する工程であることを特徴とする請求項6または7に記載のコーティング方法。
  9. 前記被覆工程よりも前に、前記被覆対象物の表面を除菌する除菌工程を有することを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載のコーティング方法。
  10. 前記被覆工程よりも前に、前記被覆対象物の表面に水分を付着させる前処理工程を有することを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載のコーティング方法。
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