JP2022014019A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022014019000001
【課題】優れた透明性を有しながら極めて高い流動性と優れた耐衝撃性を示すポリカーボネート樹脂組成物。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、安定剤(B)を0.001~1質量部含む樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A)が、ビスフェノールAを出発原料とし、特定の末端構造を有するポリカーボネート樹脂(A-1)を45~100質量部および(A-1)以外のポリカーボネート樹脂(A-2)を55~0質量部を含み、かつポリカーボネート樹脂(A)のMw/Mnが2.7以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは、優れた透明性を有しながら高度の流動性を有し、且つ優れた耐衝撃性を有するポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、機械的特性、透明性、寸法精度、電気的特性、熱的特性などに優れ、エンジニアプラスチックとして電気、電子機器分野、自動車分野、OA分野などさまざまな分野において幅広く使用されている。
しかし、ポリカーボネート樹脂は、溶融粘度が高く、成形加工性(流動性)に劣るという問題がある。特に、近年の成形品の薄肉化・大型化の進行に伴い、成形加工性を改良することが強く求められる。
ポリカーボネート樹脂の溶融流動性を向上させ、成形性を高めるために、種々の方法が提案されている。例えば、芳香族ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸フェニル単量体を重合して得られる共重合体を、ポリカーボネート樹脂に配合する方法が提案されている。この方法では、成形加工時の溶融流動性は向上するものの、得られる成形品の透明性及び耐衝撃性は十分ではなく、さらなる向上が求められている。
また、ポリカーボネート樹脂の低分子量化により流動性を向上させることが可能であるが、耐衝撃強度が低下し、耐加水分解性も低下する等の問題がある。
国際公開第2005/030819号
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的(課題)は、優れた透明性を有しながら極めて高い流動性と優れた耐衝撃性を示すポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の末端構造を有するポリカーボネート樹脂を含み、特定の広い分子量分布を有するポリカーボネート樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物に関する。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、安定剤(B)を0.001~1質量部含む樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A)が、ビスフェノールAを出発原料とし下記一般式(1)に示す末端構造を有するポリカーボネート樹脂(A-1)を45~100質量部および(A-1)以外のポリカーボネート樹脂(A-2)を55~0質量部を含み、かつポリカーボネート樹脂(A)のMw/Mnが2.7以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2022014019000002
(式中、nは0もしくは1の整数を示し、Rは炭素数5~14のアルキル基を示す。)
[2]前記末端構造が下記一般式(1’)に示す末端構造である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2022014019000003
[3]前記一般式(1)または(1’)におけるRが、n-オクチル基、イソ-オクチル基及びt-オクチル基からなる群から選択される1種以上である上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]前記一般式(1)または(1’)におけるRが、t-オクチル基からなる群から選択される1種以上である上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]前記ポリカーボネート樹脂(A-1)が、Mw/Mnが異なるポリカーボネート樹脂の混合物である上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂が特定の末端基を有し且つ分子量分布が広いことにより、優れた透明性を有しながら高度の流動性を有し、且つ優れた耐衝撃性を有する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物がこのような効果を奏する理由は定かではないが、分子量分布が広いことにより前記一般式(1)の末端基の数が多くなり流動性が改良され、同じ流動性(Q値)を有していても分子量が大きいために耐衝撃性が高くなるものと推測される。
本発明の実施例および比較例における、Q値(流動性)と耐衝撃性(シャルピー衝撃値)との関係を示すグラフである。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。
なお、本明細書において、「~」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、安定剤(B)を0.001~1質量部含む樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A)が、ビスフェノールAを出発原料とし前記一般式(1)に示す末端構造を有するポリカーボネート樹脂(A-1)を45~100質量部および(A-1)以外のポリカーボネート樹脂(A-2)を55~0質量部を含み、かつポリカーボネート樹脂(A)のMw/Mnが2.7以上であることを特徴とする。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分等につき、詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明において使用するポリカーボネート樹脂(A)は、ビスフェノールAを出発原料とし一般式(1)に示す末端構造を有するポリカーボネート樹脂(A-1)を45~100質量部および(A-1)以外のポリカーボネート樹脂(A-2)を55~0質量部を含む。
[ポリカーボネート樹脂(A-1)]
ポリカーボネート樹脂(A-1)は下記一般式(1)で表される末端構造を有するポリカーボネート樹脂である。
Figure 2022014019000004
(式中、nは0もしくは1の整数を示し、Rは炭素数5~14のアルキル基を示す。)
ポリカーボネート樹脂は、式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。式中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフチル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールC)、
2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、
1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中ではビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールC)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-2-プロピルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタン-1,3-ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’-オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジエタノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3-ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6-ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’-ビフェニルジメタノール、4,4’-ビフェニルジエタノール、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2-エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2-エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2-エポキシシクロペンタン、1,2-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、1-メチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、2,3-エポキシノルボルナン、1,3-エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
本発明において、ポリカーボネート樹脂(A-1)、(A-2)の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
以下、これらの方法のうち、特に好適なものについて具体的に説明する。
[界面重合法]
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じてジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10~12にコントロールするために、5~10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10~12、好ましくは10~11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’-ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’-ジメチルアニリン、N,N’-ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、末端停止剤は、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されないが、ホスゲン吹込み工程に続いて添加するのが好ましい。
なお、反応温度は通常0~40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)~数時間(例えば、6時間)である。
[溶融エステル交換法]
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-tert-ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100~320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物、リン含酸性化合物及びそれらの誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
本発明において、ポリカーボネート樹脂(A-1)および(A-2)は、界面重合法によるポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明において使用するポリカーボネート樹脂(A-1)は、前記したように、下記一般式(1)で表される末端構造を有することを特徴とする。
Figure 2022014019000005
式(1)中、nは0もしくは1の整数であり、Rは炭素数5~14のアルキル基である。
のアルキル基の炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上であり、また、好ましくは12以下であり、10以下であることがより好ましい。Rのアルキル基は、直鎖のものでも分岐していてもよい。
中でも、Rは、n-オクチル基、イソ-オクチル基及びt-オクチル基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、t-オクチル基がより好ましく、一般式(1)における末端構造がt-オクチルフェニル基(即ち、1,1,3,3-テトラメチルブチルフェニル基)であることが特に好ましい。
上記式(1)中、フェニル基に結合する-(O)基の位置は、オルト位でもメタ位でもパラ位でも良いが、下記一般式(1’)に示すパラ位が望ましい。
Figure 2022014019000006
上記式(1)または(1’)で表される基の具体例としては、p-ペンチルフェニル基、p-ヘキシルフェニル基、p-ヘプチルフェニル基、p-n-オクチルフェニル基、p-イソ-オクチルフェニル基、p-t-オクチルフェニル基、p-ドデシルフェニル基及びp-テトラデシルフェニル基、p-ノニルフェノール、p-ドデシルフェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、ミリスチルフェノール等のアルキルフェニル基、p-ヘキシルオキシフェニル基、p-n-オクチルオキシフェニル基、p-イソ-オクチルオキシフェニル基、p-t-オクチルオキシフェニル基、p-ドデシルオキシフェニル基等のアルコキシフェニル基を好ましく挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂(A-1)は、重合により製造する際に、下記一般式(1a)で表される1価フェノールの末端停止剤を用いることにより製造することができる。
Figure 2022014019000007
(式中、nは0もしくは1の整数を示し、Rは炭素数5~14のアルキル基を示す。)
一般式(1a)で表される末端停止剤の具体例としては、p-ペンチルフェノール、p-ヘキシルフェノール、p-ヘプチルフェノール、p-n-オクチルフェノール、p-イソ-オクチルフェノール、p-t-オクチルフェノール、p-ドデシルフェノールおよびp-テトラデシルフェノール、p-ノニルフェノール、p-ドデシルフェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、ミリスチルフェノール等のアルキルフェノール、p-ヘキシルオキシフェノール、p-n-オクチルオキシフェノール、p-イソ-オクチルオキシフェノール、p-t-オクチルオキシフェノール、p-ドデシルオキシフェノール等のアルコキシフェノールを好ましく挙げることができ、これらのいずれか若しくは複数を末端停止剤として使用することができる。式(1a)中、フェニル基に結合する-(O)基の位置は、オルト位でもメタ位でもパラ位でも良いが、パラ位が望ましい。
中でも、p-t-オクチルフェノール、p-n-オクチルオキシフェノールのいずれかもしくは複数を末端停止剤として使用することが、流動性、成形体の強度および耐熱性に加え、入手のし易さの観点からより好ましい。
末端停止剤は、材料に対する要求特性により、本発明の主旨を逸脱しない範囲で2種類以上併用してもよく、また、一般式(1a)で示される構造以外の構造のものと併用することも可能である。
併用してもよい他の末端停止剤としては、例えば、フェノール、p-クレゾール、o-クレゾール、2,4-キシレノール、p-t-ブチルフェノール、o-アリルフェノール、p-アリルフェノール、p-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-プロピルフェノール、p-クミルフェノール、p-フェニルフェノール、o-フェニルフェノール、p-トリフルオロメチルフェノール、オイゲノール、パルミチルフェノール、ステアリルフェノール、ベヘニルフェノール等のアルキルフェノール及びp-ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル等のp-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステルが挙げられる。
他の末端停止剤は2種類以上併用して使用することも可能である。特に一般式(1a)の末端停止剤と併用してもよい末端停止剤としては、純度やコストの観点から、p-t-ブチルフェノールが挙げられる。
一般式(1a)以外の他の末端停止剤を使用する場合は、ポリカーボネート樹脂(A-1)の全末端停止剤中の20mol%以下であることが好ましく、10mol%以下であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A-1)は、単独であっても、分子量や分子量分布の異なるポリカーボネート樹脂(A-1)を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A-1)は、Mw/Mnが2.7以上であることが好ましい。Mw/Mnが2.7以上あるポリカーボネート樹脂(A-1)を1種のみ使用してもよく、分子量や分子量分布の異なるポリカーボネート樹脂(A-1)を混合してMw/Mnを2.7以上として用いてもよい。
また、後記するように、ポリカーボネート樹脂(A-1)としてはMw/Mnが2.7未満であっても、後記するポリカーボネート樹脂(A-2)と組み合わせ、ポリカーボネート樹脂(A)としてMw/Mnを2.7以上とすることも好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A-1)を1種のみ用いる場合、そのMw/Mnは、好ましくは2.70以上、2.75以上、2.80以上、2.81以上、さらに好ましくは2.82以上である。
この場合のMwは、好ましくは25000以上、28000以上、31000以上、34000以上、37000以上、41000以上、44000以上、47000以上、50000以上、53000以上、56000以上、59000以上、60000以上である。また、Mnは、好ましくは15000以上、17000以上、18000以上、19000以上、20000以上、さらに好ましくは21000以上である。
2種以上のポリカーボネート樹脂(A-1)を混合して用いる場合、混合前のそれぞれのMw/Mnは、好ましくは2.35以上、2.40以上、2.45以上、2.50以上、2.55以上、2.60以上、2.65以上、2.70以上、2.75以上、2.80以上、2.81以上、さらに好ましくは2.82以上である。
混合前の(A-1)のうち、分子量が最も大きい(A-1)のMwは、好ましくは36000以上、38000以上、40000以上、48000以上、さらに好ましくは51000以上である。またMnは、好ましくは14500以上、15000以上、16000以上、18000以上、更に好ましくは20000以上である。
混合前の(A-1)のうち、分子量が最も小さい(A-1)のMwは、好ましくは34000以下、32000以下、30000以下、28000以下、更に好ましくは27000以下である。またMnは、好ましくは13800以下、13500以下、13000以下、12500以下、更に好ましくは12000以下である。
混合後のMw/Mnは、好ましくは2.70以上、2.75以上、2.80以上、2.81以上、さらに好ましくは2.82以上である。
この場合のMwは、好ましくは25000以上、28000以上、31000以上、34000以上、37000以上、41000以上、44000以上、47000以上、50000以上、53000以上、56000以上、59000以上、60000以上である。また、Mnは、好ましくは15000以上、17000以上、18000以上、19000以上、20000以上、さらに好ましくは21000以上である。
なお、本発明において、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量(Mn)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算により求められる値である。
GPCによる測定は、具体的には以下のようにして行った。
ゲル浸透クロマトグラフィー装置には、HLC-8320GPC/EcoSEC(東ソー社製)を用い、カラムとして、KF-805L×3本とKF-800D(いずれもShodex社製)を接続して用いた。カラム温度は40℃とした。検出器はHLC-8320のRI検出器を用いた。溶離液として、テトラヒドロフランを用い、検量線は、標準ポリスチレン(Agilent社製)を使用して作成した。
なお、本発明において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度25℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、
η=1.23×10-4Mv0.83 から算出される値を意味する。また、極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出される値である。
Figure 2022014019000008
[ポリカーボネート樹脂(A-2)]
ポリカーボネート樹脂(A-2)は上記ポリカーボネート樹脂(A-1)以外のポリカーボネート樹脂である。
本発明においては、ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂(A-1)のみを含有するか、または、ポリカーボネート樹脂(A-1)を45質量部以上100質量部未満、ポリカーボネート樹脂(A-2)を55質量部以下0質量部超の混合物であり、ポリカーボネート樹脂(A)としてのMw/Mnが2.7以上であることを特徴としている。
ポリカーボネート樹脂(A-2)は、その原料成分、重合方法等は、一般式(1)に示す末端構造を有すること以外、ポリカーボネート樹脂(A-1)で説明したのと同様である。ポリカーボネート樹脂(A-2)は、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、ビスフェノールA、あるいはビスフェノールCを出発原料とするものがより好ましい。重合方法としては界面重合法によるものが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A-2)の末端構造としては、p-t-ブチルフェニル基末端構造を有するものが好ましく挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A-2)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A-1)45~100質量部、ポリカーボネート樹脂(A-2)を55~0質量部であるが、好ましくはポリカーボネート樹脂(A-1)60~100質量部、ポリカーボネート樹脂(A-2)を40~0質量部、より好ましくは(A-1)65~100質量部、ポリカーボネート樹脂(A-2)を35~0質量部、さらに好ましくは(A-1)70~100質量部、ポリカーボネート樹脂(A-2)を30~0質量部である。
ポリカーボネート樹脂(A-1)と(A-2)を混合する場合は、好ましくは(A-1)を60~95質量部、(A-2)を40~5質量部、より好ましくは(A-1)65~95質量部、ポリカーボネート樹脂(A-2)35~5質量部、さらに好ましくは(A-1)70~95質量部、ポリカーボネート樹脂(A-2)30~5質量部である。
ポリカーボネート樹脂(A-2)のMw/Mnは、好ましくは2.35以上、2.40以上、2.45以上、2.50以上である。
ポリカーボネート樹脂(A-2)のMwは、好ましくは25000以上、28000以上、31000以上、34000以上、37000以上、41000以上、44000以上である。Mnは、好ましくは10000以上、12000以上、14000以上、16000以上、さらに好ましくは17000以上である。
ポリカーボネート樹脂(A)のMw/Mnは2.7以上であるが、好ましくは2.75以上、2.80以上、2.85以上、2.90以上、2.95以上、3.00以上、3.05以上、さらには3.10以上である。
ポリカーボネート樹脂自体のMw/Mnを調節する方法としては、従来から知られている方法が採用でき、特に限定されないが、たとえば重合工程において分子量調節剤の使用量を調節したり、分子量調節剤の添加時期を変更したり、反応時間、反応温度などの重合条件を調節する方法、あるいは、ポリカーボネート樹脂のペレットやパウダーをアセトン等の貧溶媒に供給してポリカーボネート樹脂中の低分子量成分を抽出除去する方法、あるいはポリカーボネートを良溶媒である塩化メチレン等に溶解させた溶液を作成し、これを貧溶媒であるアセトン等に供給して低分子量成分を低減もしくは除去したポリカーボネート樹脂を沈殿させる方法などが挙げられる。
また、異なる分子量分布を示すポリカーボネート樹脂を複数混合して、Mw/Mnを大きくすることができる。
[安定剤(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、安定剤(B)を0.001~1質量部を含有する。
安定剤(B)としては、以下のリン系熱安定剤や、フェノール系酸化防止剤、有機リン酸エステル化合物等が好ましく挙げられる。
(リン系熱安定剤)
リン系熱安定剤は一般的に、樹脂成分を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形品使用時の耐熱安定性の向上に有効である。
リン系熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル(ただし、後述の有機リン酸エステル化合物を除く。)等が挙げられ、中でも3価のリンを含み、変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4-ジ-iso-プロピルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-n-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-iso-プロピルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
亜リン酸エステルの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、耐熱性が良好であることと加水分解しにくいという点で、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
リン系熱安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リン系熱安定剤を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び重縮合体(B)の合計100質量部に対して、0.001~1質量部が好ましく、0.005~0.7質量部、特に0.01~0.5質量部が好ましく0.03~0.3質量部であることが好ましい。リン系熱安定剤の配合量が上記下限値以上であることにより、リン系熱安定剤を配合することによる熱安定性の向上効果を十分に得ることができる。ただし、リン系熱安定剤の配合量は多過ぎてもその効果は頭打ちとなり、経済的でないので上記上限以下とする。
(フェノール系酸化防止剤)
フェノール系酸化防止剤は、これを含有することで、色相劣化や、熱滞留時の機械物性の低下を抑制することができる。
フェノール系酸化防止剤しては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、BASF社製「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO-60」、「アデカスタブAO-50」等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール系酸化防止剤を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び重縮合体(B)の合計100質量部に対して、0.01~1質量部、好ましくは0.02~1質量部、特に0.03~1質量部、とりわけ0.04~0.5質量部であることが好ましい。フェノール系酸化防止剤の配合量が上記下限値以上であることにより、フェノール系酸化防止剤を配合することによる上記の効果を有効に得ることができる。ただし、フェノール系酸化防止剤の配合量は多過ぎてもその効果は頭打ちとなり、経済的でないので上記上限以下とする。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、リン系熱安定剤とフェノール系酸化防止剤とを共に含有することが好ましく、この場合、リン系熱安定剤とフェノール系酸化防止剤とを、リン系熱安定剤:フェノール系酸化防止剤=1:0.2~3の質量比で、合計量としてポリカーボネート樹脂(A)の合計100質量部中に対し、0.02~1質量部含有することが好ましい。
(有機リン酸エステル化合物)
有機リン酸エステル化合物としては、熱安定性の向上のために下記一般式(2)で表される有機リン酸エステル化合物を含有していてもよい。
(RO)P(O)(OH)3-n …(2)
(式中、Rは総炭素数が2~25の、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、nは1又は2を表す。但しnが2の場合に2つのRは同一であってもよく、相互に異なっていてもよい。)
上記一般式(2)におけるRが表す非置換のアルキル基としては、オクチル基、2-エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基及びステアリル基などが挙げられる。置換基を有するアルキル基としては、ブチル基やアリル基、メタリル基などの鎖状炭化水素基がエーテル結合やエステル結合によりアルキル基に結合したものが挙げられる。Rとしてはこれらの置換基を有するアルキル基を用いることが好ましい。また置換基の炭素も含めたRにおける総炭素数は5以上であることが好ましい。
有機リン酸エステル化合物は一般式(1)におけるRやnが異なる化合物の混合物であってもよい。
有機リン酸エステル化合物を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び重縮合体(B)の合計100質量部に対し、0.01~1質量部、好ましくは0.02~1質量部、特に0.03~1質量部、とりわけ0.04~0.5質量部であることが好ましい。有機リン酸エステル化合物の配合量が上記下限値以上であることにより、有機リン酸エステル化合物を配合することによる熱安定性の向上効果を十分に得ることができる。ただし、有機リン酸エステル化合物の配合量は多過ぎてもその効果は頭打ちとなり、経済的でないので上記上限以下とする。
[その他の樹脂成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、熱可塑性樹脂成分として、上記した以外の他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有し得る他の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂や熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの他の熱可塑性樹脂の含有割合は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部中に好ましくは10質量部以下、中でも5質量部以下、特に3質量部であることが好ましい。
[その他の添加剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に上記した以外の種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染顔料、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、摺動性改質剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、難燃剤、滴下防止剤などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に好適な添加剤の一例について具体的に説明する。
[離型剤(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価又は3価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で、好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6~36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6~36の脂肪族飽和1価カルボン酸が更に好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、飽和又は不飽和の1価又は多価アルコールを挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。係るアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2-ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数3~12のα-オレフィンオリゴマー等が挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが更に好ましい。数平均分子量は、好ましくは200~5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であればよい。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、通常0.05~2質量部、好ましくは0.1~1質量部である。離型剤の含有量が上記下限値以上であると離型性改善の効果を十分に得ることができ、上記上限値以下であると離型剤の過剰配合による耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などの問題を防止することができる。
[エラストマー(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、エラストマーを含有することも好ましい。エラストマーを含有することで、樹脂組成物の耐衝撃性をさらに高くすることができる。
エラストマーとしては、ゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
ゴム成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも-20℃以下が好ましく、更には-30℃以下が好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブチルアクリレートやポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2-エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン-アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴムやエチレン-ブテンゴム、エチレン-オクテンゴムなどのエチレン-α-オレフィン系ゴム、エチレン-アクリルゴム、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム、スチレン-ブタジエンゴムが好ましい。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
ゴム成分を共重合したグラフト共重合体は、耐衝撃性や表面外観の点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもポリブタジエン含有ゴム、ポリブチルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40質量%以上含有するものが好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸は、10質量%以上含有するものが好ましい。
エラストマーは、上記した中でも、コア/シェル型エラストマーであることが好ましく、中でもシリコーン・アクリル複合系、アクリル系ゴム、またはブタジエン系ゴムがコアのコア/シェル型エラストマーが好ましく、特にブタジエン系ゴムがコアのコア/シェル型エラストマーが好ましい。
尚、コア/シェル型とは必ずしもコア層とシェル層が明確に区別できるものではなくてもよく、コアとなる部分の周囲にゴム成分をグラフト重合して得られる化合物を広く含む趣旨である。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート-アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート-アクリルゴム-スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム-スチレン共重合体、メチルメタクリレート-(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン-アクリル複合ゴム等が挙げられ、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン-アクリル複合ゴムおよびメチルメタクリレート-ブタジエン共重合体(MB)が特に好ましい。このようなゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エラストマーを含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは1~25質量部であり、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは2.5質量部以上、特に好ましくは3質量部以上であり、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは18質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。
エラストマーは1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。
[難燃剤(E)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃剤を含有することも好ましい。難燃剤を含有する場合の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01~30質量部、より好ましくは0.03~20質量部である。
難燃剤としては、例えば、有機金属塩系難燃剤、シロキサン系難燃剤、リン系難燃剤、ホウ素系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤等が挙げられるが、本発明では特に有機金属塩系難燃剤、有機シロキサン系難燃剤が好ましい。
有機金属塩化合物としては、有機スルホン酸金属塩が特に好ましい。
また、金属塩化合物の金属としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であることが好ましく、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属;マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属が挙げられる。なかでも特に、ナトリウム、カリウム、セシウムが好ましい。
有機スルホン酸金属塩の例を挙げると、有機スルホン酸リチウム塩、有機スルホン酸ナトリウム塩、有機スルホン酸カリウム塩、有機スルホン酸ルビジウム塩、有機スルホン酸セシウム塩、有機スルホン酸マグネシウム塩、有機スルホン酸カルシウム塩、有機スルホン酸ストロンチウム塩、有機スルホン酸バリウム塩等が挙げられる。このなかでも特に、有機スルホン酸ナトリウム塩、有機スルホン酸カリウム塩、有機スルホン酸セシウム塩等の有機スルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
有機スルホン酸金属塩化合物のうち、好ましいものの例としては、含フッ素脂肪族スルホン酸又は芳香族スルホン酸の金属塩が挙げられる。中でも好ましいものの具体例を挙げると、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1つのC-F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩;パーフルオロブタンスルホン酸マグネシウム、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム、パーフルオロブタンスルホン酸バリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸バリウム等の、分子中に少なくとも1つのC-F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩、
ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、(ポリ)スチレンスルホン酸セシウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸セシウム、トリクロロベンゼンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;パラトルエンスルホン酸マグネシウム、パラトルエンスルホン酸カルシウム、パラトルエンスルホン酸ストロンチウム、パラトルエンスルホン酸バリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられる。
上述した例示物のなかでも、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩がさらに好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。
なお、金属塩化合物は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
有機金属塩系難燃剤を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.01~1.5質量部が好ましく、より好ましくは0.02質量部以上であり、さらに好ましくは0.03質量部以上であり、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下、中でも0.3質量部以下、特に好ましくは0.15質量部以下である。
[紫外線吸収剤(F)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明の樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-フェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]等が挙げられ、中でも2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]が好ましく、特に2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ701」、「シーソーブ705」、「シーソーブ703」、「シーソーブ702」、「シーソーブ704」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、ADEKA社製「LA-32」、「LA-38」、「LA-36」、「LA-34」、「LA-31」、BASF社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-n-ドデシロキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
このようなベンゾフェノン化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ100」、「シーソーブ101」、「シーソーブ101S」、「シーソーブ102」、「シーソーブ103」、共同薬品社製「バイオソーブ100」、「バイオソーブ110」、「バイオソーブ130」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ10」、「ケミソーブ11」、「ケミソーブ11S」、「ケミソーブ12」、「ケミソーブ13」、「ケミソーブ111」、BASF社製「ユビヌル400」、BASF社製「ユビヌルM-40」、BASF社製「ユビヌルMS-40」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV9」、「サイアソーブUV284」、「サイアソーブUV531」、「サイアソーブUV24」、ADEKA社製「アデカスタブ1413」、「アデカスタブLA-51」等が挙げられる。
サリシレート化合物の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、4-tert-ブチルフェニルサリシレート等が挙げられ、このようなサリシレート化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ201」、「シーソーブ202」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ21」、「ケミソーブ22」等が挙げられる。
シアノアクリレート化合物の具体例としては、例えば、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等が挙げられ、このようなシアノアクリレート化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ501」、共同薬品社製「バイオソーブ910」、第一化成社製「ユビソレーター300」、BASF社製「ユビヌルN-35」、「ユビヌルN-539」等が挙げられる。
オギザニリド化合物の具体例としては、例えば、2-エトキシ-2’-エチルオキザリニックアシッドビスアリニド等が挙げられ、このようなオキザリニド化合物としては、具体的には例えば、クラリアント社製「サンデュボアVSU」等が挙げられる。
マロン酸エステル化合物としては、2-(アルキリデン)マロン酸エステル類が好ましく、2-(1-アリールアルキリデン)マロン酸エステル類がより好ましい。このようなマロン酸エステル化合物としては、具体的には例えば、クラリアントジャパン社製「PR-25」、BASF社製「B-CAP」等が挙げられる。
紫外線吸収剤を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.05質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。
なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂(A)及び安定剤(B)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240~320℃の範囲である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したポリカーボネート樹脂組成物をペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して各種成形品を製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して成形品にすることもできる。
[ノッチ付シャルピー衝撃値]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高い耐衝撃性を有し、ノッチ付シャルピー衝撃値が、好ましくは50kJ/m以上、より好ましくは55kJ/m以上、さらに好ましくは60kJ/m以上という高度の耐衝撃性を有する。このようなノッチ付シャルピー衝撃値は前記したエラストマーを含有することなしに達成することができる。
ここで、ノッチ付シャルピー衝撃値は、ISO多目的試験片(3mm厚)を用い、ISO179に準拠し、温度23℃にて測定される値である。
[樹脂組成物の単位時間あたりの流出量(Q値)]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高度の流動性を有し、JIS K7210付属書Cに記載の方法に準拠し、高架式フローテスターを用い、280℃、荷重160kgf/cmの条件下で測定する単位時間あたりの流出量(Q値)が、好ましくは10×10-2ml/sec以上、より好ましくは15×10-2ml/sec以上、さらに好ましくは20×10-2ml/sec以上、中でも25×10-2ml/sec以上、特に好ましくは30×10-2ml/sec以上を有する。Q値がこのような範囲にあることで、薄肉部を有するポリカーボネート樹脂成形体であっても、耐衝撃性及び優れた表面外観を備えた状態で成形することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したノッチ付シャルピー衝撃値と流出量(Q値)を併せて満足することが、より好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の成形品を製造するには、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることもできる。
中でも、成形は射出成型法により行われることが好ましく、例えば、射出成型機、超高速射出成形機、射出圧縮成形機等の公知の射出成形機を用いて射出成形される。射出成形時における射出成形機のシリンダー温度は、好ましくは240~320℃であり、より好ましくは、250~300℃、さらに好ましくは260~280℃である。また、射出成形時の射出速度は、好ましくは10~1000mm/秒であり、より好ましくは10~500mm/秒である。
成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は特に射出成型による透明成形品として好適である。
成形品の例を挙げると、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、遊技機、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品等が挙げられ、
車両部品としては、例えば自動車のエアコンの噴出し口のブレードやフィン、スイッチ、レバー、ハンドル、前面パネル、タッチパネルの全面材、センタークラスター、コンソール、ドアフィニッシャー、カップホルダー、車載カメラの筐体等の内装部品や、フェンダー、サイドシル、バンパー、サイドスポイラー、フロントグリル、リアガーニッシュ、アウタードアハンドル、ピラーカバー類、ドアミラーボディ、マットガード、スプラッシュボード、カウルパネル、ホイールキャップ、ランプハウジング等外装部品等に好適である。
屋内または屋外で使用される二次電池装置用の部材、バッテリーパック、電動自転車の蓄電池等の部材等、屋外で使用される電力計等の筐体用の部材等に用いて好適である。
遊技機部材としては、パチンコ機の部品等が好ましく挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例で使用した原料は以下の表1の通りである。
Figure 2022014019000009
(実施例1~24、比較例1~12)
[ポリカーボネート樹脂組成物ペレットの製造]
上記表1に記した各成分を、後記表2以下に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた東芝機械社製二軸押出機(TEM26SX)に上流のフィーダーより供給し、回転数180rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度255℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
[単位時間あたりの流出量:Q値(単位:10-2ml/sec)]
上記の方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥した後、JIS K7210付属書Cに準拠し、高架式フローテスターを用いて、280℃の温度、荷重160kgf/cmの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量(Q値、単位:10-2ml/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
[耐衝撃性(シャルピー衝撃値)]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製の射出成形機(NEX80III、型締め力80T)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3mm厚)を成形した。
得られたISO多目的試験片(3mm厚)を用い、ISO179に準拠し、温度23℃で、ノッチ付シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
以上の評価結果を下記の表2以下に示す。
Figure 2022014019000010
Figure 2022014019000011
Figure 2022014019000012
Figure 2022014019000013
Figure 2022014019000014
Figure 2022014019000015
図1は、本発明の実施例および比較例における、Q値(流動性)と耐衝撃性(シャルピー衝撃値)との関係を示すグラフである。横軸はQ値、縦軸はシャルピー衝撃値である。
図1中、●は本願の実施例、×は比較例であり、実施例のものは同じQ値を有する比較例のものに比べ、シャルピー衝撃値が一段と高くなっていることが分かる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、透明性に優れ、高い流動性と耐衝撃性を有するポリカーボネート樹脂材料であるので、得られる成形品は、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、遊技機、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品等に好ましく利用することができる。

Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、安定剤(B)を0.001~1質量部含む樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A)が、ビスフェノールAを出発原料とし下記一般式(1)に示す末端構造を有するポリカーボネート樹脂(A-1)を45~100質量部および(A-1)以外のポリカーボネート樹脂(A-2)を55~0質量部を含み、かつポリカーボネート樹脂(A)のMw/Mnが2.7以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2022014019000016
    (式中、nは0もしくは1の整数を示し、Rは炭素数5~14のアルキル基を示す。)
  2. 前記末端構造が下記一般式(1’)に示す末端構造である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2022014019000017
  3. 前記一般式(1)または(1’)におけるRが、n-オクチル基、イソ-オクチル基及びt-オクチル基からなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)または(1’)におけるRが、t-オクチル基からなる群から選択される1種以上である請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂(A-1)が、Mw/Mnが異なるポリカーボネート樹脂の混合物である請求項1~4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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