JP2022041332A - 軽量断熱遮音材とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ウレタンフォームのようなスポンジ状の発泡体やグラスウールやマイクロファイバーの不織布が吸音材として、ブチルゴムのようなゴム状シートが遮音材として用いられている。
発泡体や不織布から成る吸音材は連続気孔によって音による空気振動を圧損することにより優れた吸音性能を有するが、空気振動を完全に遮断することは困難で空気振動が材料を透過し、十分な遮音性を得ることが難しい。
ゴム状の遮音シートは、空気を遮蔽し振動を伝えないことで高い遮音性を有するが、音の反射が起こりやすく、重量が大きい問題がある。
〔1〕 シリカエアロゲル粒子の集合体が陰イオン性官能基を持つ有機ナノファイバーのネットワークにより取り囲まれたセルを基本構成とし、複数のセルが密接した3次元的な連続構造の固体複合体が不織布あるいは連続気泡発泡体の内部に形成されている断熱遮音材。
〔2〕 不織布が天然繊維、無機繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維の少なくとも1種以上であることを特徴とする前記〔1〕に記載の断熱遮音材。
〔3〕 連続気泡発泡体がウレタン樹脂、メラミン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、ラテックス、ゴムの少なくとも1種以上の連続気泡発泡体であることを特徴とする前記〔1〕に記載の断熱遮音材。
〔4〕 不織布がグラスウール又はロックウールである前記〔1〕に記載の遮音材。
〔5〕 200Hz~2000Hzの周波数帯の垂直入射音響透過損失が20dB以上であることを特徴とする前記〔4〕に記載の断熱遮音材。
〔6〕 陰イオン性官能基を持つ有機ナノファイバーと水溶性非イオン界面活性剤を含む水溶液にシリカエアロゲル粒子を加えて得られる有機ナノファイバーとシリカエアロゲル粒子を含有する水分散液を不織布あるいは連続気泡発泡体に含浸して乾燥させる断熱遮音材の製造方法。
音響透過損失(TL)=10log10(Ii/It)
本発明においてはASTM-E2611に準拠した伝達マトリックス法に基づく音響材料の垂直入射音伝送測定により得られる値である。
また、本発明においては、不織布に限らず、繊維を組み合わせた布や織物であっても繊維の隙間にシリカエアロゲル粒子の水分散液を含浸することができれば用いることができる。
前記陰イオン性官能基を持つ有機ナノファイバーの最も好ましい有機ナノファイバーは、変性又は修飾により表面に陰イオン性官能基を持たせるセルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーである。
前記水溶性非イオン界面活性剤には、水と完全混合しない溶解度の低いものであっても、分散媒にしたときに水に溶解する親水性非イオン界面活性剤を含む。
R1-O-(CH2-CH2-O)n-R2 (1)
R1-O-(CH2-CH2-CH2-O)n-R2 (2)
(式(1)及び式(2)中、R1は水素原子、炭素数10以下のアルキル基、炭素数5~10のシクロアルキル基又は炭素数10以下のアルケニル基、R2は炭素数3~10のアルキル基、炭素数5~10のシクロアルキル基又は炭素数10以下のアルケニル基、nは1~20)
HO-R3 (3)
(式(3)中、R3は炭素数4~7のアルキル基)
極性の高い炭素数3以下のメタノール、エタノール及び2-プロパノール又はイソブチルアルコールは、界面活性剤としての働きが弱くなり、疎水性のシリカエアロゲルになじみにくいため、少量(例えば15%以下)を添加しても疎水性のシリカエアロゲルを分散することができず、大量(例えば15%以上)を添加すると分散媒はシリカエアロゲルの細孔内に侵入し、乾燥後シリカエアロゲルが激しく収縮するため好ましくない。炭素数8以上のアルコールは、水に溶けにくいか溶けないため均一なシリカエアロゲル分散体を得られないため好ましくない。
更に、水溶性の非イオンエーテル型界面活性剤及び/又は炭素数4以上の両親媒性アルコールは、エステル型の疎水性の非イオン界面活性剤と併用することもできる。
0.01重量%以下になる分散媒のチキソトロピー性又は粘度が低すぎるため、シリカエアロゲル粒子のミセルが合一しやすく安定を保つことが困難であるため好ましくない。一方、3重量%以上になると分散媒の粘度が高いためシリカエアロゲル粒子がよく分散できず、均一な分散液を得難いため好ましくない。より好ましくは0.05~2.5重量%、さらに0.1~2.0重量%、もっと好ましくは0.2~1.5重量%である。
なお、本明細書において不織布、連続気泡発泡体、固体複合体、断熱遮音材等の内部に空間部を有する材料の密度は、見かけ密度である。
本発明の断熱遮音材は、不織布あるいは連続気泡発泡体に有機ナノファイバーとシリカエアロゲル粒子を含有する水分散液を含浸した後、又は、有機ナノファイバーとシリカエアロゲル粒子を含有する水分散液に不織布あるいは連続気泡発泡体を浸して含浸した後、乾燥して不織布あるいは連続気泡発泡体の内部空間に前記固体複合体を形成させて製造することができる。
そして、中音域を400~1000Hzとする前記周波数選択断熱遮音材は、各音域の透過損失の平均値は、周波数400Hz以下の低音域において6dB以上、好ましくは8dB以上、さらに好ましくは10dB以上であり、高音域を周波数1000Hz以上とすることができる高音域において6dB以上、好ましくは8dB以上、さらに好ましくは10dB以上であり、400~1000Hzの中音域において6dB以下、好ましくは3dB以下、さらに好ましくは2dB以下であり、透過損失の最小値が3dB以下、好ましくは2dB以下、さらに好ましくは1dB以下である。
断熱遮音材の用途としては、自動車のエンジンルーム、車内やトランクルームに用いられているゴム系の遮音材から置き換えることで大幅な軽量化が図れ、前述のエンジン音やタイヤからの放射音などのノイズを低減させることができる。このような用途としては自動車の他にも鉄道車両、船舶、航空機やヘリコプターなどの輸送機の機体には軽量であるため好適である。また、工場の送風機、プレス機、真空ポンプなど、店舗・公共施設の空調室外機、ボイラーなど、家の壁、床、天井などにも用いることができる。
断熱遮音材を具備した機器としては、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、エアコン、スピーカーなどが挙げられる。
本発明の断熱遮音材は断熱性も同時に有しているため、特に電気自動車、家の壁などの建造物、ボイラーや冷蔵庫は省エネルギーの観点から好適である。
有機ナノファイバーとしてセルロースナノファイバーの表面の一部又は全ての6位の炭素のヒドロキシメチル基がTEMPO酸化によりカルボキシル基に変換されたTEMPO酸化法セルロースナノファイバーである第一工業製薬社製レオクリスタ(TEMPO酸化法セルロースナノファイバーが2重量%の水分散液)を用いた。
ナカライテスク株式会社製のエチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)を用いた。
シリカエアロゲル粒子はキャボト社製ENOVA AEROGEL MT1100を用いた。MT1100について粒子サイズは2~24μm、粒子の密度は120kg/m3である。
ガラス繊維不織布(グラスウール)として厚さ5mmあるいは10mmの長繊維グラスウール(密度105.1kg/m3、融点・軟化温度850℃)を用いた。
コットン不織布として脱脂綿(ハクジュウコットン、白十字社製、密度43.1kg/m3)を用いた。
カーボン繊維不織布としてアクリル繊維を焼成炭化したカーボン繊維から成る厚さ3mmのカーボンフェルト(密度109.2kg/m3)を用いた。
マイクロファイバー不織布として繊維径2μmのポリプロピレンマイクロファイバーと繊維径25μmのポリエステル短繊維から成る厚さ10mmのシンサレート(3M社製、密度22.3kg/m3)を用いた。
(連続気泡発泡体)
連続気泡発泡体として厚さ3mmのメラミンフォーム(密度82.5kg/m3)を用いた。
板ガラスとして厚さ5cmのフロートガラス(FL5、密度2500kg/m3)を用いた。
周波数選択断熱遮音材の垂直入射透過損失を日本音響エンジニアリング株式会社製 WinZacを用いてASTM-E2611に準拠した伝達マトリックス法に基づく音響材料の垂直入射音伝送の測定を行った。
直径40mmの円盤状に切り抜いた周波数選択断熱遮音材の試料を装置に設置し、周波数が200~5000Hzの範囲で測定した。環境温度は25℃であった。
直径41.5mmの円盤状に切り抜いた一定面積(S=13.5cm2)の周波数選択断熱遮音材についてその質量(W)をマイクロ電子天秤、その厚み(d)をマイクロメータで測り、次式により密度および面密度を求めた。
面密度とは単位面積当たりの重量である。
密度(kg/m3)=W(kg)/[d(m)×S(m2)]
面密度(kg/m2)=W(kg)/[S(m2)]
110mlのねじ口瓶にレオクリスタの水分散液(固形分2重量%)13g、蒸留水35g、エチレングリコールモノブチルエーテル2.5gを加えスターラーでレオクリスタが均一に分散するまで撹拌した後、シリカエアロゲル(MT1100)0.86gを加え、蓋を閉めて手で3分間シェーキングすることによりクリーム状の分散液を得た。得られた分散液に蒸留水を34g加えてスターラーで撹拌して含浸用分散液を得た。ステンレス製トレイに厚さ10mm、6cm×6cmのグラスウールを置き、含浸用分散液を浸み込ませた後、120℃の乾燥機で3時間乾燥して断熱遮音材を得た。乾燥後の断熱遮音材の厚さは6mmであった。密度は182kg/m3、面密度は1.1kg/m2の軽さであった。得られた断熱遮音材の厚さ、密度、面密度および垂直入射透過損失を評価した結果を表1に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図1、図3に示した。断熱遮音材の光学顕微鏡写真を図5に示した。
110mlのねじ口瓶にレオクリスタの水分散液(固形分2重量%)13g、蒸留水35g、エチレングリコールモノブチルエーテル2.5gを加えスターラーでレオクリスタが均一に分散するまで撹拌した後、シリカエアロゲル(MT1100)0.86gを加え、蓋を閉めて手で3分間シェーキングすることによりクリーム状の分散液を得た。得られた分散液に蒸留水を13g加えてスターラーで撹拌して含浸用分散液を得た。ステンレス製トレイに厚さ5mm、6cm×6cmのグラスウールを置き、分散液を浸み込ませた後、120℃の乾燥機で3時間乾燥して断熱遮音材を得た。乾燥後の断熱遮音材の厚さは3.5mmであった。密度は212kg/m3、面密度は0.74kg/m2の軽さであった。得られた断熱遮音材の厚さ、密度、面密度および垂直入射透過損失を評価した結果を表1に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図3に示した。
110mlのねじ口瓶にレオクリスタの水分散液(固形分2重量%)13g、蒸留水35g、エチレングリコールモノブチルエーテル2.5gを加えスターラーでレオクリスタが均一に分散するまで撹拌した後、シリカエアロゲル(MT1100)0.86gを加え、蓋を閉めて手で3分間シェーキングすることによりクリーム状の分散液を得た。ステンレス製トレイに厚さ5mm、6cm×6cmの脱脂綿を置き、分散液を浸み込ませた後、120℃の乾燥機で3時間乾燥して断熱遮音材を得た。乾燥後の断熱遮音材の厚さは1mmであった。密度は259kg/m3、面密度は0.26kg/m2の軽さであった。得られた断熱遮音材の厚さ、密度、面密度および垂直入射透過損失を評価した結果を表2に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図4に示した。
110mlのねじ口瓶にレオクリスタの水分散液(固形分2重量%)13g、蒸留水35g、エチレングリコールモノブチルエーテル2.5gを加えスターラーでレオクリスタが均一に分散するまで撹拌した後、シリカエアロゲル(MT1100)0.86gを加え、蓋を閉めて手で3分間シェーキングすることによりクリーム状の分散液を得た。得られた分散液に蒸留水を13g加えてスターラーで撹拌して含浸用分散液を得た。ステンレス製トレイに厚さ3mm、6cm×6cmのカーボンフェルトを置き、分散液を浸み込ませた後、120℃の乾燥機で3時間乾燥して断熱遮音材を得た。乾燥後の断熱遮音材の厚さは2mmであった。密度は184kg/m3、面密度は0.37kg/m2の軽さであった。得られた断熱遮音材の厚さ、密度、面密度および垂直入射透過損失を評価した結果を表2に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図4に示した。
110mlのねじ口瓶にレオクリスタの水分散液(固形分2重量%)13g、蒸留水35g、エチレングリコールモノブチルエーテル2.5gを加えスターラーでレオクリスタが均一に分散するまで撹拌した後、シリカエアロゲル(MT1100)0.86gを加え、蓋を閉めて手で3分間シェーキングすることによりクリーム状の分散液を得た。得られた分散液に蒸留水を13g加えてスターラーで撹拌して含浸用分散液を得た。ステンレス製トレイに厚さ10mm、6cm×6cmのマイクロファイバー不織布を置き、分散液を浸み込ませた後、120℃の乾燥機で3時間乾燥して断熱遮音材を得た。乾燥後の断熱遮音材の厚さは1.5mmであった。密度は166kg/m3、面密度は0.25kg/m2の軽さであった。得られた断熱遮音材の厚さ、密度、面密度および垂直入射透過損失を評価した結果を表2に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図4に示した。
110mlのねじ口瓶にレオクリスタの水分散液(固形分2重量%)13g、蒸留水35g、エチレングリコールモノブチルエーテル2.5gを加えスターラーでレオクリスタが均一に分散するまで撹拌した後、シリカエアロゲル(MT1100)0.86gを加え、蓋を閉めて手で3分間シェーキングすることによりクリーム状の分散液を得た。得られた分散液に蒸留水を13g加えてスターラーで撹拌して含浸用分散液を得た。ステンレス製トレイに厚さ3mm、6cm×6cmのメラミンフォームを置き、分散液を浸み込ませた後、120℃の乾燥機で3時間乾燥して断熱遮音材を得た。乾燥後の断熱遮音材の厚さは2.3mmであった。密度は123kg/m3、面密度は0.28kg/m2の軽さであった。得られた断熱遮音材の厚さ、密度、面密度および垂直入射透過損失を評価した結果を表2に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図4に示した。
実施例1で用いた厚さ1cmの長繊維グラスウールの厚さ、密度、面密度および垂直入射透過損失を評価した結果を表1に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図1に示した。
厚さ5mmの板ガラス(FL5)の厚さ、密度、面密度および垂直入射透過損失を評価した結果を表1に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図2に示した。
一般に遮音性つまり透過損失は質量則に従い、材料の質量(面密度)が大きいほど遮音性が大きくなるとされており、質量則によれば無限に広がった板に平面波が垂直に入射したと仮定したときの透過損失は次式で与えられる。
TL0=20log10(f×m)-42.5
ここで、TL0は透過損失(dB)、fは周波数(Hz)、mは面密度(kg/m2)である。
面密度が実施例と同じ1.1kg/m2の均一材料の遮音性を前記式に基づいて計算した結果を表1に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図2に示した。
面密度が比較例2の板ガラスと同じ12.5kg/m2の均一材料の遮音性を前記式に基づいて計算した結果を表1に、周波数に対する垂直入射透過損失のグラフを図2に示した。
図1に実施例1の断熱遮音材と比較例1の周波数に対する垂直入射透過損失を示す。実施例1と同様の軽さである比較例1のグラスウールでは遮音性がほとんどない。
図2に実施例1の断熱遮音材と比較例2および計算例1、計算例2の周波数に対する垂直入射透過損失を示す。実施例1の面密度で質量則により計算した計算例1の200Hz~2000Hzの透過損失は、実施例1に比べて相当低い。また、比較例2の板ガラスや計算例2は、実施例1と同等の遮音性を示すが、実施例1と同等の遮音性を得るためには面密度が12.5kg/m2といった重い材料が必要であることがわかる。このように本発明の断熱遮音材は、質量則に従わず、これまでの常識を覆す新規な材料である。
図3に実施例1、実施例2の断熱遮音材の周波数に対する垂直入射透過損失を示す。実施例2では実施例1に比べて多くの固体複合体でグラスウールの空気を置き換えることで厚さが薄くても同等の遮蔽性を得ることができ、面密度が0.74kg/m2に小さくすることができている。
Claims (6)
- シリカエアロゲル粒子の集合体が陰イオン性官能基を持つ有機ナノファイバーのネットワークにより取り囲まれたセルを基本構成とし、複数のセルが密接した3次元的な連続構造の固体複合体が不織布あるいは連続気泡発泡体の内部に形成されている断熱遮音材。
- 不織布が天然繊維、無機繊維、再生セルロース繊維、半合成繊維、合成繊維の少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の断熱遮音材。
- 連続気泡発泡体がウレタン樹脂、メラミン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、ラテックス、ゴムの少なくとも1種以上の連続気泡発泡体であることを特徴とする請求項1に記載の断熱遮音材。
- 不織布がグラスウール又はロックウールである請求項1に記載の遮音材。
- 200Hz~2000Hzの周波数帯の垂直入射音響透過損失が20dB以上であることを特徴とする請求項4に記載の断熱遮音材。
- 陰イオン性官能基を持つ有機ナノファイバーと水溶性非イオン界面活性剤を含む水溶液にシリカエアロゲル粒子を加えて得られる有機ナノファイバーとシリカエアロゲル粒子を含有する水分散液を不織布あるいは連続気泡発泡体に含浸して乾燥させる断熱遮音材の製造方法。
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