JP2022083301A - 歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法 - Google Patents

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【課題】口腔内全体の歯垢除去を効果的に行って清掃性を向上させる。【解決手段】ヘッド部の植毛面に形成された複数の植毛孔のそれぞれに複数本のブラシ毛10からなる毛束が固定された歯ブラシであって、前記ブラシ毛10は、先端に向かって径方向の幅が徐々に小さくなるテーパー部21を有し、前記テーパー部21は、前記ブラシ毛10の先端から1.0mmの位置における径方向断面の幅L3が、前記ブラシ毛10を形成するフィラメントの径方向の幅L5の25%以上55%以下であり、前記ブラシ毛10の先端から2.0mmの位置における径方向断面の幅L4が、前記ブラシ毛10を形成するフィラメントの径方向の幅L5の50%以上90%以下であり、前記テーパー部21の表面には機械的な粗面化処理による微細凹凸部が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法に関する。
歯ブラシは、歯及び歯茎の表面の清掃、歯間及び歯頸の清掃等をその主たる目的としている。そのため、従来から、前歯、奥歯等の歯の種類や、歯間、歯面、歯頸等の歯の部位に応じた適切な清掃を効率良く行って、歯垢を効果的に除去できるように、ブラシ毛の材質、先端形状、太さ等や、毛束の配置、構成本数等に様々な工夫がなされている。例えば、ブラシ毛の先端部に、先端に向かって径方向の幅が徐々に小さくなるテーパー部を形成し、歯間や歯肉辺縁部等のブラシ毛が到達しにくい部位へブラシ毛を入り易くして、清掃性を向上させたものが知られている。特許文献1には、フィラメントの先端を化学処理することにより先端部にテーパー部を形成して、ブラシ毛の歯間等への隙間進入性を向上させることによって清掃性を向上させた歯ブラシが記載されている。
特開2004-313365号公報
しかし、テーパー部を形成することによって歯間や歯肉辺縁部等へのブラシ毛の到達性は向上するものの、ブラシ毛の剛性が低下することによって毛腰が弱くなってしまう場合がある。その結果、歯面に対する清掃性が低下してしまうだけでなく、歯間や歯頸等に対する清掃性の点でも満足できるものではなかった。
上記の課題を解決するため、本発明の歯ブラシは、ヘッド部の植毛面に形成された複数の植毛孔のそれぞれに複数本のブラシ毛からなる毛束が固定された歯ブラシであって、前記ブラシ毛は、先端に向かって径方向の幅が徐々に小さくなるテーパー部を有し、前記テーパー部は、前記ブラシ毛の先端から1.0mmの位置における径方向断面の幅が、前記ブラシ毛を形成するフィラメントの径方向の幅の25%以上55%以下であり、前記ブラシ毛の先端から2.0mmの位置における径方向断面の幅が、前記ブラシ毛を形成するフィラメントの径方向の幅の50%以上90%以下であり、前記テーパー部の表面には機械的な粗面化処理による微細凹凸部が形成されている。
上記の構成によれば、ブラシ毛の先端にテーパー部が形成されているため、歯間や歯肉辺縁部等のブラシ毛が到達しにくい部位へもブラシ毛が到達し易い。また、テーパー部の表面に微細凹凸部が形成されているため、微細凹凸部が歯垢を絡め捕るとともに掻き出すように作用し、歯垢を効率的に除去することができる。歯間や歯肉辺縁部だけでなく、歯面や歯頸等に対する清掃性も向上する。
上記の構成において、前記テーパー部の表面は、前記ブラシ毛の先端から1.0mm~1.1mmの範囲での線粗さRaの平均値が0.4μm以上0.9μm以下であることが好ましい。
上記の構成において、前記テーパー部の表面は、前記ブラシ毛の先端から2.0mm~2.1mmの範囲での線粗さRaの平均値が0.5μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、テーパー部の表面に形成された微細凹凸部によりテーパー部の表面がざらざらした状態になっており、これにより口腔内の歯垢を効果的に除去することができる。
上記の課題を解決するため、本発明の歯ブラシの製造方法は、ヘッド部の植毛面に形成された複数の植毛孔のそれぞれに複数本のブラシ毛からなる毛束が固定された歯ブラシの製造方法であって、フィラメントを化学処理してその先端に、先端ほど径方向の幅が徐々に小さくなるテーパー部を有する前記ブラシ毛を形成する化学処理工程と、前記ブラシ毛を複数本束ねてなる毛束を、複数の前記植毛孔のそれぞれに固定する植毛工程と、固定された前記毛束の表面を機械的に粗面化処理する粗面化処理工程を備えている。
上記の構成によれば、ブラシ毛の先端部に、化学処理によるテーパー部を形成し、粗面化処理工程によりテーパー部の表面をざらざらした状態にすることができる。そのため、テーパー形状に基づく良好な隙間進入性と、テーパー部の表面状態に基づく良好な歯垢除去性を備えた歯ブラシを製造することができる。
本発明の歯ブラシ及びその製造方法によれば、口腔内全体の歯垢除去を効果的に行って清掃性に優れた歯ブラシが得られる。
本実施形態の歯ブラシのヘッド部の模式図であり、(a)は、ヘッド部の側面図、(b)はヘッド部の上面図。 (a)は、ブラシ毛の部分拡大図、(b)はブラシ毛のテーパー部の部分拡大図。 清掃性の評価試験1の結果について示す図。 (a)、(b)は、清掃性の評価試験2の結果の画像について示す図。
以下、本発明の歯ブラシを具体化した一実施形態について説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、歯ブラシ1のヘッド部2の植毛面2aには、複数の植毛孔3が形成されている。植毛孔3の数、形状、配置は任意に選択可能である。本実施形態の歯ブラシ1では、41個の植毛孔3が形成されている。
図1(a)に示すように、各植毛孔3には、複数本のブラシ毛10からなる毛束4が固定されている。一つの毛束4を構成するブラシ毛10の本数は特に限定されない。例えば、10~20本程度とすることができる。また、毛束4の固定方法としては、例えば、複数本のブラシ毛10を二つ折りにして金属製の平線とともに植毛孔3内に挿入する方法が挙げられる。
図1(a)に示すように、各植毛孔3に固定された毛束4の先端は、ヘッド部2を側面視したとき、ヘッド部2の植毛面2aに対して略平行となっている。毛束4の植毛面2aからの突出長H1は、約8.0mm以上14.0mm以下であることが好ましく、約9.0mm以上13.0mm以下であることがより好ましい。
ブラシ毛10を構成するフィラメントの材質は特に限定されず、従来公知の合成樹脂材料のものを使用することができる。合成樹脂材料としては、例えば、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を挙げることができる。合成樹脂材料は単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
ブラシ毛10を構成するフィラメントの硬さは適宜設定することができる。各植毛孔3でブラシ毛10の硬さを一定にしてもよく、一部の植毛孔3でブラシ毛10の硬さを変えるようにしてもよい。例えば、図1(b)に黒丸の植毛孔3で示すように、ヘッド部2の外縁部に普通の硬さのブラシ毛10を使用し、図1(b)に白丸の植毛孔3で示すように、ヘッド部2の中央部に硬めのブラシ毛10を使用することが挙げられる。
ブラシ毛10を構成するフィラメントの径方向の断面形状は適宜設定することができる。径方向の断面形状は、円形、半円形、楕円形や、三角形、四角形等の多角形であってもよい。或いは、不定形等の異形であってもよい。また、フィラメントが軸方向に真っすぐ延びるものであってもよく、軸方向に捩ったようなスパイラル毛であってもよい。さらに、すべての植毛孔3に固定された毛束4を同じ断面形状のフィラメントで構成してもよく、異なる断面形状のフィラメントを混在させてもよい。植毛孔3でフィラメントの断面形状を異ならせてもよい。
次に、植毛孔3に固定された毛束4を構成するブラシ毛10の先端部形状について、その作用とともに説明する。
図2(a)に示すように、ブラシ毛10の先端部には、先端に向かって径方向の幅が徐々に小さくなる先鋭形状のテーパー部21が形成されている。テーパー部21の軸方向の長さH2は、概ね1.0mm~5.0mm程度であることが好ましく、2.0mm~4.0mm程度であることがより好ましい。テーパー部21がこの範囲に形成されていると、歯間や歯肉辺縁部等へのブラシ毛10の到達性が良好であり、これらの部分に対する歯垢除去性が向上する。なお、「テーパー部21の軸方向の長さH2」とは、後に説明する「フィラメントの径方向の幅L5」の80%の地点から、ブラシ毛10の先端までの距離を言うものとする。つまり、「テーパー部21」とは、フィラメントの先端から、フィラメントの径方向の幅L5が80%となる地点までの範囲の部分を言うものとする。
図2(a)及び(b)に示すように、テーパー部21におけるブラシ毛10の先端から0.1mmの部分での径方向の幅L1は、ブラシ毛10の基端部での径方向の幅L5の3%以上15%以下の範囲であることが好ましく、4%以上11%以下の範囲であることがより好ましい。テーパー部21におけるブラシ毛10の先端から0.5mmの部分での径方向の幅L2は、ブラシ毛10の基端部での径方向の幅L5の14%以上33%以下の範囲であることが好ましく、18%以上27%以下の範囲であることがより好ましい。テーパー部21におけるブラシ毛10の先端から1.0mmの部分での径方向の幅L3は、ブラシ毛10の基端部での径方向の幅L5の25%以上55%以下の範囲であることが好ましく、30%以上46%以下の範囲であることがより好ましい。テーパー部21におけるブラシ毛10の先端から2.0mmの部分での径方向の幅L4は、ブラシ毛10の基端部での径方向の幅L5の50%以上90%以下の範囲であることが好ましく、57%以上80%以下の範囲であることがより好ましい。
なお、径方向の幅とは、「ブラシ毛10の径方向断面においてその中心を通る線分の長さ」を言うものとする。例えば、径方向の断面形状が円形の場合、径方向の幅は直径に相当し、径方向の断面形状が四角形の場合、径方向の幅は対角線に相当することになる。また、ブラシ毛10の基端部での径方向の幅L5とは、ブラシ毛10を構成するフィラメントの径方向の幅に等しい。
テーパー部21の表面には、図示しない微細凹凸部が形成されている。微細凹凸部は、テーパー部21の表面を砥石が取り付けられたグラインダー等を使用して機械的に粗面化処理することにより形成されている。
微細凹凸部はテーパー部21の先端から形成されている。微細凹凸部は、テーパー部21の全長に亘って形成されていてもよいが、必ずしも、テーパー部21の全長に亘って形成されていなくてもよい。微細凹凸部は、後に説明する粗面化処理工程で形成されるものであり、粗面化処理工程でのグラインド深さによって、その形成範囲が調整される。微細凹凸部は、テーパー部21の先端から概ね7.0mmまでの範囲に形成されていればよく、こうした範囲に形成されていることが効率的な歯垢除去の観点からは好ましい。
微細凹凸部が形成されていることにより、テーパー部21の表面の線粗さRaがフィラメントの表面の線粗さRaより大きくなる。ここで、テーパー部21の表面の線粗さRaは、粗面化処理されたブラシ毛10の表面の所定領域をレーザー顕微鏡により測定することにより算術線粗さRaとして得ることができる。そして、得られた算術線粗さRaの測定値から、最大値、最小値を得るとともに、平均値を算出する。
テーパー部21の表面の線粗さRaの平均値は、ブラシ毛10の先端から1.0mm~1.1mmの範囲では、0.4μm以上0.9μm以下であることが好ましく、0.6μm以上0.7μm以下であることがより好ましい。また、ブラシ毛10の先端から2.0mm~2.1mmの範囲では、0.5μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.7μm以上0.8μm以下であることがより好ましい。テーパー部21の表面に、線粗さRaがこの範囲となるように微細凹凸部が形成されていることにより、口腔内に残存した歯垢が効率的に掻き出されてテーパー部21の表面に絡め捕られるような状態となり、歯垢除去性が向上する。
次に、歯ブラシ1の製造方法について説明する。
歯ブラシ1の製造方法は、フィラメントを化学処理してブラシ毛10を形成する化学処理工程、複数本のブラシ毛10からなる毛束4を植毛孔3に固定する植毛工程、毛束4の先端部に粗面化治具による処理を行う粗面化処理工程を備えている。
化学処理工程では、フィラメントの先端を化学処理して、先端ほど径方向の幅が徐々に小さくなる先鋭形状のテーパー部21を形成する。化学処理は従来周知の方法で行うことができ、処理時間、処理温度等は適宜調整することができる。化学処理により、幅L1、L2、L3、L4が上記範囲となるような、先端ほど径方向の幅が徐々に小さくなるテーパー部21を有するブラシ毛10が形成される。
植毛工程では、ブラシ毛10を複数本束ねて毛束4を形成し、各毛束4をヘッド部2の植毛面2aに形成された植毛孔3に固定する。毛束4の固定方法は、従来周知の方法で行うことができる。例えば、複数本のブラシ毛10を二つ折りにして金属製の平線とともに植毛孔3内に挿入する方法が挙げられる。
続いて、毛束4が固定された歯ブラシ1を、粗面化治具の近傍に固定して毛束4のブラシ毛10の先端部に粗面化治具による粗面化処理を行う。粗面化治具としては、例えばディスク状の砥石が取り付けられたグラインダーが挙げられる。グラインダーを回転させることにより、毛束4のブラシ毛10の先端部が物理的に粗面化処理されて、テーパー部21の表面に微細凹凸部が形成される。
粗面化処理では、ブラシ毛10の先端から所定程度の深さまで、テーパー部21の表面に砥石が当たるようにして行う。ブラシ毛10の先端からの砥石が当たる深さ、すなわち砥石によるグラインド深さは、適宜調整することができる。なお、砥石を当てる設定上の深さとグラインド深さとは必ずしも一致しない。また、砥石を当てる設定上の深さが一定であっても、各ブラシ毛10でのグラインド深さが、例えば±0.5mm程度変動する場合がある。これは、粗面化処理中にブラシ毛10の先端がしなることによる。ブラシ毛10のしなり方は、ブラシ毛10を構成するフィラメントの材質や径方向の幅L5等によっても異なる。
このように、各工程を経て歯ブラシ1が得られる。
次に、本実施形態の歯ブラシ1の効果について述べる。
(1)本実施形態の歯ブラシ1は、先端に向かって径方向の幅が徐々に小さくなるテーパー部21を有するブラシ毛10が植毛されている。テーパー部21は、ブラシ毛10の先端から1.0mmの位置における径方向断面の幅L3が、フィラメントの径方向の幅L5の25%以上55%以下であり、ブラシ毛10の先端から2.0mmの位置における径方向断面の幅L4が、フィラメントの径方向の幅L5の50%以上90%以下である。そして、テーパー部21の表面には機械的な粗面化処理による微細凹凸部が形成されている。
そのため、歯間や歯肉辺縁部等のブラシ毛が到達しにくい部位へもブラシ毛が到達し易いだけでなく、微細凹凸部が歯垢を絡め捕って掻き出すように作用し、歯垢を効率的に除去することができる。歯間や歯肉辺縁部だけでなく、歯面や歯頸等に対する清掃性も向上する。
(2)テーパー部21は、ブラシ毛10の先端から1.0mm~1.1mmの範囲の表面での線粗さRaの平均値が0.4μm以上0.9μm以下であり、ブラシ毛の先端から2.0mm~2.1mmの範囲の表面での線粗さRaの平均値が0.5μm以上1.0μm以下である。
そのため、微細凹凸部による歯垢を絡め捕ったり掻き出したりする効果が良好である。
(3)本実施形態の歯ブラシ1は、フィラメントの先端を化学処理してテーパー部21を形成する化学処理工程と、植毛孔3に固定された毛束4のブラシ毛10の表面を機械的に粗面化処理する粗面化処理工程を経て製造される。
そのため、ブラシ毛10の先端部に、化学処理による鋭利な形状のテーパー部21を形成することができ、隙間進入性に優れたブラシ毛10とすることができる。また、粗面化処理工程によりテーパー部21の表面をざらざらした状態にすることができ、歯垢の絡め捕りや掻き出しが良好なブラシ毛10とすることができる。テーパー形状に基づく良好な隙間進入性と、テーパー部21の表面状態に基づく良好な歯垢除去性を備えた歯ブラシ1を製造することができる。
上記実施形態は、以下のように変更することができる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・上記実施形態では、すべての植毛孔3に固定された毛束4の先端が、植毛面2aに対して略平行となっている歯ブラシ1として説明したが、毛束4の先端形状はこれに限定されない。短手方向に連設される複数の植毛孔3に固定された毛束4の列を毛束列としたとき、長手方向に隣り合う毛束列で、先端が全体で山形状をなす山切り部を形成するようにしてもよい。例えば、ヘッド部2の先端側から2、3列目に形成された植毛孔3に固定された毛束4で、2.3列目の毛束4が対向する位置を頂部とする山形状に形成することで山切り部を形成するようにしてもよい。山切り部を形成することで、歯間や歯肉辺縁部等への隙間進入性を向上させることができる。
・図2では、テーパー部21が、フィラメントの中心軸線に対して対称である形状として示しているが、テーパー部21の形状はこれに限定されない。例えば、フィラメントの中心軸線に対して非対称であり、テーパー部21の先端がフィラメントの中心軸線からずれた位置にあってもよい。すなわち、フィラメントを上から見下ろすようにしたときに、山の頂点が中心でなくてもよい。より具体的には、テーパー部21におけるブラシ毛10の径方向の幅L3がフィラメントの径方向の幅L5の25%以上55%以下であり、径方向の幅L4がフィラメントの径方向の幅L5の50%以上90%以下であれば、中心軸線に対して対称のものも非対称のものも含まれる。
・微細凹凸部は、ブラシ毛10の先端部で、ブラシ毛10の軸方向に対して対称となる位置に形成されていなくてもよく、非対称となる位置に形成されていてもよい。
・毛束4を形成するすべてのブラシ毛10の先端部に、上記形状のテーパー部21が形成されていなくてもよい。幅L1、L2、L3、L4の数値が、上記範囲から外れるテーパー部21を有するブラシ毛10が混在していてもよい。また、テーパー部21を有するブラシ毛10だけでなく、先端部がテーパー部21以外の他の形状のブラシ毛10が混在していてもよい。
・粗面化処理は、砥石が取り付けられたグラインダーによるものでなくてもよい。機械的処理によりブラシ毛10の表面をざらざらした状態にすることができるものであればよい。
本発明の歯ブラシについて、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
<テーパー部21の形状の特定>
ブラシ毛10の形状、硬さの異なる複数の試作品を作成して、テーパー部21の形状、寸法を特定した。
(試作品1)
図1(b)に示す形状のヘッド部2の植毛面2aに形成された植毛孔3に、ポリブチレンテレフタレート製で径方向の断面形状が円形のブラシ毛10からなる毛束を二つ折りにして挿入し、平線を嵌め込んで固定した。ブラシ毛10としては、幅(直径)0.170mmのものに対して、先端に化学処理を施すことによりテーパー部21が形成されたものを使用した。各植毛孔3でのブラシ毛10の充填本数は20~29本とした。ブラシ毛10の植毛面2aからの突出長H1は約11.0mmとした。
その後、ブラシ毛10の先端にグラインダーに取り付けられた砥石を当てて、テーパー部21の表面に機械的な粗面化処理を行って微細凹凸部を形成した。グラインド深さは、毛束の先端から約2.9mmの深さとした。このようにして作成した歯ブラシ1を試作品1とした。
(試作品2)
グラインド深さを、毛束の先端から約4.6mmの深さとしたこと以外は試作品1と同様に作成した。
(試作品3)
ブラシ毛10に対して粗面化処理を行わなかったこと以外は試作品1と同様に作成した。
(試作品4)
ブラシ毛10として、幅(直径)0.150mmで充填本数が26~36本のものに対して、先端に化学処理を施すことによりテーパー部21が形成されたものを使用したこと、ブラシ毛10に対して粗面化処理を行わなかったこと以外は試作品1と同様に作成した。
(試作品5)
ブラシ毛10として、幅(直径)0.180mmで充填本数が18~26本のものに対して、先端に化学処理を施すことによりテーパー部21が形成されたものを使用したこと、ブラシ毛10に対して粗面化処理を行わなかったこと以外は試作品1と同様に作成した。
(テーパー部21の寸法測定)
試作品1、3~5について、テーパー部21の寸法を測定した。寸法測定には、マイクロスコープ(商品名VHX-6000、株式会社キーエンス製)を使用して、それぞれの試作品で約30回行った。寸法測定は、テーパー部21の先端から1.0mm、2.0mmのそれぞれの位置でのブラシ毛10の径方向の幅(直径)L3、L4を測定した。各試作品での測定値の最大値、最小値、平均値、及び標準偏差(SD)を、ブラシ毛10を形成するフィラメントの径方向の幅(直径)L5に対する割合(%)として算出した。その結果を表1に示した。
Figure 2022083301000002
表1の試作品1、3の結果より、グラインダーに取り付けられた砥石による粗面化処理の有無に関わらず、テーパー部21の形状は同等であった。具体的には、テーパー部21に粗面化処理を施した試作品1、粗面化処理を施していない試作品3のいずれにおいても、テーパー部21の先端から1.0mmの位置での直径は、フィラメントの直径の25%以上55%以下であった。また、テーパー部21の先端から2.0mmの位置での直径は、フィラメントの直径の50%以上90%以下であった。さらに、粗面化処理の有無に関わらず、テーパー部21の先端から1.0mmの位置での直径の平均値は、フィラメントの直径の37.0~39.0%であり、テーパー部21の先端から2.0mmの位置での直径の平均値は、フィラメントの直径の63.0~69.0%であった。
フィラメントの直径が異なる試作品4、5でも、テーパー部21の形状は試作品1、3と同等であった。また、試作品1、3の結果より、粗面化処理によりテーパー部21の形状が同等であることから、フィラメントの直径が異なるブラシ毛10に対して粗面化処理を施した試作品4、5についても、テーパー部21の形状は粗面化処理の有無に関わらず同等であると言える。
(テーパー部21の線粗さRaの測定)
粗面化処理を行うことにより微細凹凸部が形成されたテーパー部21では、その表面がどの程度ざらざらになっているかを検討するために、試作品1~3について、テーパー部21の線粗さRaを測定した。試作品1~3のそれぞれについて、ヘッド部2の植毛孔3に植設されたブラシ毛10を無作為に5本ずつ抜き取った。各ブラシ毛10は、先端から1.0mm~1.1mmの範囲、2.0mm~2.1mmの範囲における算術線粗さRaを、レーザー顕微鏡により測定した。それぞれの領域における算術線粗さRaの測定値から、最大値及び最小値を得るとともに、平均値及び標準偏差(SD)を算出した。その結果を表2に示した。
Figure 2022083301000003
表2の試作品1、2の結果より、グラインド深さに関わらず、テーパー部21の表面の線粗さRaは概ね同等であった。具体的には、グラインド深さが約2.9mmである試作品1、グラインド深さが約4.6mmである試作品2のいずれにおいても、テーパー部21の先端から1.0mm~1.1mmの範囲での線粗さRaの平均値は0.6μm以上0.7μm以下であった。また、試作品1、2のいずれにおいても、テーパー部21の先端から2.0mm~2.1mmの範囲での線粗さRaの平均値は0.7μm以上0.8μm以下であった。これはグラインダーによる粗面化処理を行っていない試作品3では、テーパー部21の先端から1.0mm~1.1mmの範囲での線粗さRaの平均値が0.183μmであり、テーパー部21の先端から2.0mm~2.1mmの範囲での線粗さRaの平均値が0.247μmであったのに比べて、高い値であった。
なお、結果は示していないが、他にも粗面化処理を行った3本の試作品の歯ブラシ1から5本ずつブラシ毛10を抜き取って測定した。その結果、いずれの試作品でもテーパー部21の先端から1.0mm~1.1mmの範囲での線粗さRaの平均値は、概ね0.4μm以上0.9μm以下であった。また、テーパー部21の先端から2.0mm~2.1mmの範囲での線粗さRaの平均値は、概ね0.5μm以上1.0μm以下であった。
<清掃性の評価>
次に、ブラシ毛10のテーパー部21に粗面化処理を行って微細凹凸部が形成された実施例の歯ブラシ1と、粗面化処理を行っていない比較例の歯ブラシ1とによる清掃性の評価を行った。
(実施例1)
図1(b)に示す形状のヘッド部2の植毛面2aに形成された41穴の植毛孔3のそれぞれに、ポリブチレンテレフタレート製で径方向の断面形状が円形のブラシ毛10からなる毛束を二つ折りにして挿入し、平線を嵌め込んで固定した。ヘッド部の短手方向の幅は15.2mm、植毛面積は2.10cm2である。ブラシ毛10としては、幅(直径)0.178mmのものに対して、先端に化学処理を施すことによりテーパー部21が形成されたものを使用した。フィラメントの化学処理は、試作品1~6のものと同様の条件で行った。各植毛孔3でのブラシ毛10の充填本数は18~25本とした。ブラシ毛10の植毛面2aからの突出長H1は約11.0mmとした。
その後、ブラシ毛10の先端にグラインダーを当てて、テーパー部21の表面に機械的な粗面化処理を行って微細凹凸部を形成した。グラインド深さは、毛束の先端から約2.5mmの深さとした。このようにして作成した歯ブラシ1を実施例1とした。
(比較例1)
ブラシ毛10の先端にグラインダーを当てず、テーパー部21の表面に機械的な粗面化処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に作成した。このようにして作成した歯ブラシ1を比較例1とした。
(清掃性の評価試験1)
実施例1、比較例1の歯ブラシ1について、清掃性の評価試験1を行った。清掃性の評価試験1は、顎模型に人工プラークを塗布したものを用意し、ロボットに実施例1、比較例1の歯ブラシ1を持たせた状態で、顎模型(上顎)♯26~♯23の頬側を一歯あたり2秒間、ブラッシング圧平均200g、ストローク20mm、スピード150rpm相当でブラッシングさせることで行った。ブラッシング後、歯面全体、歯間のそれぞれにおける人工プラークの除去割合(%)を算出した。その結果を表3、図3に示した。
Figure 2022083301000004
表3及び図3より、テーパー部21の表面に機械的な粗面化処理を行って微細凹凸部を形成した実施例1の歯ブラシ1では、粗面化処理を行っていない比較例1の歯ブラシ1より、歯面、歯間でともに、清掃性が向上していた。実施例1の歯ブラシ1は比較例1の歯ブラシ1に比べて、歯面での清掃性は30%以上向上しており、歯間での清掃性は40%近く向上していた。テーパー部21の形状が同等でありながら、テーパー部21の表面に微細凹凸部が形成されていることにより、歯垢の除去性能が顕著に向上することがわかった。
(清掃性の評価試験2)
実施例1、比較例1の歯ブラシ1のブラシ毛10について、清掃性の評価試験2を行った。清掃性の評価試験2は、粗面化処理されたテーパー部21によりどの程度の歯垢を絡め捕る効果があるかについて検証した。ラップ上に咬合チェック用スプレー・オクルード(パスカル社、USA)の着色粉末を塗布し、実施例1、比較例1の歯ブラシ1をオクルード上で、5cm間隔で往復させた。往復後の歯ブラシ1の毛先をマイクロスコープ(商品名VHX-6000、株式会社キーエンス製)にて撮影し、Photoshop(登録商標)にて色調解析を行った。色調解析は、撮影した画像をPhotoshop(登録商標)で二値化し、オクルード付着率(%)を算出した。その結果を表4、図4に示した。
Figure 2022083301000005
表4の結果より、テーパー部21の表面に微細凹凸部が形成されて線粗さRaが大きくなっている実施例1の歯ブラシ1のブラシ毛10では、微細凹凸部が形成されていない比較例1の歯ブラシ1のブラシ毛10に対して、オクルード付着率が2倍以上に上昇していた。図4(a)の画像では、テーパー部21において粗面化処理された部分の長さ方向全体に亘ってオクルードが付着していることが観察された。これに対して、図4(b)の画像では、オクルードは、ブラシ毛10の先端のみに付着しているに過ぎなかった。これにより、テーパー部21が粗面化処理されていることにより、口腔内に残存した歯垢が効率的に掻き出されるとともに、テーパー部21の表面に絡め捕られるような状態となることがわかった。
H1…突出長
L1、L2、L3、L4、L5…幅
1…歯ブラシ
2…ヘッド部
2a…植毛面
3…植毛孔
4…毛束
10…ブラシ毛
21…テーパー部

Claims (4)

  1. ヘッド部の植毛面に形成された複数の植毛孔のそれぞれに複数本のブラシ毛からなる毛束が固定された歯ブラシであって、
    前記ブラシ毛は、先端に向かって径方向の幅が徐々に小さくなるテーパー部を有し、
    前記テーパー部は、前記ブラシ毛の先端から1.0mmの位置における径方向断面の幅が、前記ブラシ毛を形成するフィラメントの径方向の幅の25%以上55%以下であり、前記ブラシ毛の先端から2.0mmの位置における径方向断面の幅が、前記ブラシ毛を形成するフィラメントの径方向の幅の50%以上90%以下であり、
    前記テーパー部の表面には機械的な粗面化処理による微細凹凸部が形成されていることを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記テーパー部の表面は、前記ブラシ毛の先端から1.0mm~1.1mmの範囲での線粗さRaの平均値が0.4μm以上0.9μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
  3. 前記テーパー部の表面は、前記ブラシ毛の先端から2.0mm~2.1mmの範囲での線粗さRaの平均値が0.5μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
  4. ヘッド部の植毛面に形成された複数の植毛孔のそれぞれに複数本のブラシ毛からなる毛束が固定された歯ブラシの製造方法であって、
    フィラメントを化学処理してその先端に、先端ほど径方向の幅が徐々に小さくなるテーパー部を有する前記ブラシ毛を形成する化学処理工程と、
    前記ブラシ毛を複数本束ねてなる毛束を、複数の前記植毛孔のそれぞれに固定する植毛工程と、
    固定された前記毛束の表面を機械的に粗面化処理する粗面化処理工程を備えていることを特徴とする歯ブラシの製造方法。
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