JP2022158355A - 可変容量型斜板式油圧ポンプ及びそれを備えた建設機械 - Google Patents

可変容量型斜板式油圧ポンプ及びそれを備えた建設機械 Download PDF

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Abstract

【課題】油圧ポンプの大型化、重量増、コストアップを招くことなく、また、振動・騒音を増大させることなく、傾転応答性を改善することができ、信頼性の高い可変容量型斜板式油圧ポンプを提供する。【解決手段】第1副ポケット36at、36btは、斜板31の傾転角が予め定められた所定角度以下のときは円筒凹面部32a、32b内に収まり、斜板31の傾転角が前記所定角度を超えるとその一部が円筒凹面部32a、32bからはみ出すように設定される。【選択図】図3

Description

本発明は、例えばホイールローダ、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械において走行用、旋回用の油圧モータを駆動するのに好適な可変容量型斜板式油圧ポンプ、及びそれを備えた建設機械に関する。
ホイールローダ等の建設機械に用いられる可変容量型斜板式油圧ポンプは、基本的には、下記特許文献1、2、3等にも記載のように、中空部を有するケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられたシリンダブロックと、該シリンダブロックの周方向に離間して軸方向に伸びる(該シリンダブロック内に前記回転軸周りに所定角度間隔で前記回転軸と平行に形成された)複数個(通常は奇数個、例えば9個)のシリンダ(穴)と、これら各シリンダ内に往復動可能に嵌挿されて軸方向の一端側が前記シリンダから突出するピストンと、これらの各ピストンの突出端部に球面継手等を介して揺動可能に装着されたシューと、表面側が各シューを案内する平滑な摺動面とされ裏面側に傾転用の左右一対の円筒凸面部が設けられた斜板と、前記ケーシングの一端側に設けられ前記斜板を傾転可能に支持すべく前記左右一対の円筒凸面部が滑り嵌合する左右一対の円筒凹面部が設けられたクレイドルと、前記斜板を傾転させるための傾転アクチュエータと、前記ケーシング内の前記斜板とは反対側に設けられ各シリンダと間欠的に連通するように円弧状の長穴(周方向に長い穴)からなる左右一対の給排ポートが一対の切換ランドを挟んで形成されたバルブプレートと、を備え、傾転アクチュエータによりクレイドルに対して斜板の傾転角を変えることによって、ピストンのストローク量を可変、つまり、ポンプ容量を制御できるようになっている。
上記のような可変容量型斜板式油圧ポンプが用いられる建設機械の一つであるホイールローダは、フロントアタッチメントとしてリフトアーム、バケットを駆動する各油圧シリンダと、走行するための油圧モータ等の油圧アクチュエータを有し、それらを適宜操作することにより、土砂の掘削、移動等の作業をするものである。このホイールローダは、エンジンにより駆動される開回路用油圧ポンプから吐出される圧油をフロント用シリンダの駆動速度と方向を制御する方向切換弁を有する。方向切換弁は、オペレータによる操作レバー入力に応じて制御され、油圧ポンプからの圧油を各シリンダへ供給するように切り換えられる。
一方、走行モータを駆動する油圧ポンプは閉回路で構成されており、走行の前後切換えや速度調節を油圧ポンプの傾転制御により行っている。この場合、油圧ポンプの応答性は、走行の加減速性能に影響するため、とても重要な性能となっている。特に、車両の走行に使用される閉回路用油圧ポンプの傾転応答の遅れは、走行停止までの遅れにつながることから、できるだけ小さくすることが望ましい。
特許第5777411号公報 特開2005-35140号公報 特開平7-103134号公報
上記した可変容量型斜板式油圧ポンプにおいては、高圧ポートに連通しているピストンの荷重を受けることで、斜板にはピストン荷重の合力(以下、作用点と呼ぶ)が上死点(TDC)側にずれて作用する。前記のように斜板の裏側には円筒凸面が形成されており、その円筒凸面の中心は回転軸に対して垂直方向に位置している。その結果、ピストン合力は斜板の傾斜角を小さくする方向に作用する。以下、これを傾転モーメントと呼ぶ。
この傾転モーメントの影響で、斜板式油圧ポンプは、容量を増加させる動作は遅く、容量を減らす動作は速くなる傾向がある。
ところが、油圧ポンプが走行用の油圧モータと閉回路を構成している場合、坂道の下り時などは油圧ポンプが回される、いわゆるモータ作用することがある。この場合、ピストン荷重の合力による傾転モーメントは傾転角を大きくする側に作用する。それ故に、走行を停止させようとすると傾転モーメントが傾転を下げるのを妨げる側に作用するため、走行停止が遅くなるという問題がある。このように油圧ポンプが走行用の油圧モータと閉回路を構成している場合、下り坂における走行停止までの遅れにつながるため、油圧ポンプがモータ作用したときのポンプ傾転応答の改善が求められている。
このような傾転応答性の問題を解消するための一つの方策として、傾転アクチュエータとしてより出力の大きなものを用いることが考えられるが、この方策は、当然ながら、傾転アクチュエータの巨大化、ひいては、油圧ポンプの大型化、重量増、コストアップ等を招き、採用することは難しい。
また、傾転応答性改善のためにシリンダ内の圧力を急激に切り換えると吐出圧力脈動が大きくなり、振動・騒音が増大するという問題が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、油圧ポンプの大型化、重量増、コストアップを招くことなく、また、振動・騒音を増大させることなく、傾転応答性を改善することができ、信頼性の高い可変容量型斜板式油圧ポンプを提供することにある。
また、他の目的とするところは、本発明に係る可変容量型斜板式油圧ポンプが搭載された建設機械において、坂道の下り時などにおける傾転応答性を高めることができ、操作性及び安全性の高い建設機械を提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明に係る可変容量型斜板式油圧ポンプは、基本的には、ケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられたシリンダブロックと、該シリンダブロックの周方向に離間して軸方向に伸びる複数個のシリンダと、該シリンダ内に往復動可能に挿嵌されて軸方向の一端側が前記シリンダから突出するピストンと、該ピストンの突出端部に装着されたシューと、表面側が前記シューを案内する平滑な摺動面とされ裏面側に傾転用の斜板側円筒面部が設けられた斜板と、前記ケーシングの一端側に設けられ前記斜板を傾転可能に支持すべく前記斜板側円筒面部が滑り嵌合するクレイドル側円筒面部が設けられたクレイドルと、前記斜板を傾転させるための傾転アクチュエータと、前記ケーシング内の前記斜板とは軸方向の反対側に設けられ前記各シリンダと間欠的に連通する一対の給排ポートが一対の切換ランドを挟んで形成されたバルブプレートとを備え、前記シリンダ内と、前記シューと前記摺動面との間の部分が前記ピストン及び前記シューに形成された油路を介して連通している。そして、前記斜板側円筒面部と前記クレイドル側円筒面部との間を潤滑すべく前記斜板側円筒面部に圧力ポケットが設けられ、前記斜板の前記摺動面における前記シューの軌道上の上死点側及び下死点側にそれぞれ第1連通孔及び第2連通孔の一端が開口し、前記斜板側円筒面部における前記圧力ポケットより上死点側の部位及び下死点側の部位にそれぞれ第1副ポケット及び第2副ポケットが設けられ、前記第1連通孔の他端が前記第2副ポケットに連通するとともに、前記第2連通孔の他端が前記第1副ポケットに連通し、前記第1副ポケットは、前記斜板の傾転角が予め定められた所定角度以下のときは前記クレイドル側円筒面部に収まり、前記斜板の傾転角が前記所定角度を超えるとその一部が前記クレイドル側円筒面部からはみ出すように設定されていることを特徴としている。
本発明に係る可変容量型斜板式油圧ポンプによれば、油圧ポンプの大型化、重量増、コストアップを招くことなく、また、振動・騒音を増大させることなく、特定時において、傾転モーメントを低減することができる。そのため、傾転応答性を高めることができ、信頼性を向上させることができる。
また、本発明に係る可変容量型斜板式油圧ポンプが搭載された建設機械においては、坂道の下り時などにおける傾転応答性を高めることができるので、走行操作性がアップするとともに、安全性の向上も図ることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明に係る可変容量型斜板式油圧ポンプの一実施形態が適用された建設機械の一つであるホイールローダの一例の油圧回路図。 本発明に係る可変容量型斜板式油圧ポンプの一実施形態の全体断面図。 図2に示される油圧ポンプの斜板周りの構成の説明に供される概略図。 図3に示される副ポケット(第1副ポケット)の位置、大きさの説明に供される概略図であり、(a)は斜板の傾転が中立のとき、(b)は斜板の傾転が予め定められた所定角度(最小傾転角)のとき、(c)は斜板の傾転が予め定められた所定角度(最小傾転角)を超えたときを示す図。 図2、図3に示される斜板の摺動面側から見た概略図。 図2に示されるバルブプレートの構成の説明に供される概略図。 副ポケットの他例を示す斜板の裏面側から見た概略図。 副ポケットの更なる他例を示す斜板の裏面側から見た概略図。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る可変容量型斜板式油圧ポンプの一実施形態が適用された建設機械の一つであるホイールローダの一例の油圧回路図である。以下、まずホイールローダ50を説明する。
図1において、ホイールローダ50は、動力源としてエンジン1を備え、このエンジン1により油圧ポンプ2を駆動するようになっている。油圧ポンプ2はタンク5に貯留される作動油を吸い上げて、圧油を吐出する。油圧ポンプ2は、方向切換弁3を介して、アクチュエータである油圧シリンダ4に接続されている。図示の主リリーフ弁6は、油圧ポンプ2の最高圧力を制限するために設けられている。パイロットポンプ7は油圧ポンプ2の軸に連結されており、パイロットポンプ7の吐出油は、操作レバー8とポンプレギュレータ9に供給される。操作レバー8には減圧弁が内蔵されており、操作方向それぞれの操作量に比例した2次圧力を発生する。この2次圧力は方向切換弁3のパイロットポート3a、3bに供給されており、方向切換弁3の開度はこの2次圧力によって制御される。以上の油圧回路は、タンク5から油圧ポンプ2が油を吸い上げて、吐出した油を方向切換弁3を経て、油圧シリンダ4あるいはセンタバイパスからタンク5に戻る開回路システムである。開回路システムは、主にフロントアクチュエータを駆動する回路に用いられる。
一方、エンジン1は、前記開回路システムの油圧ポンプ2と同時に、歯車等を介して本実施形態の可変容量型斜板式油圧(ピストン)ポンプ10を駆動するようになっている。該油圧ポンプ10は、走行用の油圧モータ11と閉回路を構成している。このように、油圧ポンプ10と走行用の油圧モータ11とを閉回路構成とすることにより、ホイールローダ50の車体12の前進・後進(前後方向走行)およびその速度を油圧ポンプ10の斜板の傾転角度によって制御することができ、装置構成の簡素化、エネルギー効率の向上等を図ることができる。
上記閉回路用の油圧ポンプ10は、図2に示すように、内部が空洞の有底筒状のフロントケーシング21と底蓋状のリヤケーシング22とからなるポンプケーシング(単にケーシングとも呼ぶ)20を備える。このポンプケーシング20の両端に設けられた軸受21A、22Aに回転軸25の両端近くが回転可能に支持され、この回転軸25の一端側(フロント側)に設けられたスプライン軸部25aが動力源に連結されるようになっている。回転軸25の中間スプライン軸部25bには、厚肉短円筒状のシリンダブロック23が外嵌固定されており、回転軸25とシリンダブロック23とは一体回転するようになっている。
シリンダブロック23には、回転軸25の回転軸線Oを中心とする同心円上に(換言すれば、シリンダブロック23の周方向に離間して)複数個(通常は奇数個、例えば9個)のシリンダ(穴)24が所定角度間隔をあけて回転軸25と平行に(換言すれば、軸方向に伸びるように)形成されている。各シリンダ24には、リヤ側が開口した有底円筒状のピストン27が往復摺動可能に嵌挿されている。
また、ピストン27の先端(軸方向のフロント側端部)はシリンダ24から突出し、このピストン27の先端(シリンダ24からの突出端部)には球面継手付きシュー28が揺動可能に連結されている。なお、球面継手は、ピストン27側に設けられてもよい。ブッシング29は、バネによってリテーナ30を介してシュー28を斜板31の平面からなる表面側の平滑な摺動面31cに押し付けている。斜板31における摺動面31cの裏側には、凸状の円筒面で構成される傾転用の円筒凸面部31a、31b(図3参照)が回転軸線Oを挟んで両側(左右一対)に形成されている。この円筒凸面部31a、31bに合せるように凹状の円筒面で構成される円筒凹面部32a、32b(図3参照)を有するクレイドル32がフロントケーシング21(つまり、ケーシング20のフロント側)に取り付けられている。円筒凸面部31a、31bと円筒凹面部32a、32bとは滑り嵌合し、これによって、クレイドル32は斜板31を傾転可能に支持する。なお、円筒凸面部31a、31bと円筒凹面部32a、32bの形状は逆、つまり、斜板31の裏面を凹状の円筒面で構成し、クレイドル32の表面を凸状の円筒面で構成して嵌合させてもよい。シリンダ24内は、ピストン27及び球面継手付きシュー28の中心に形成された油路39を介して、シュー28と斜板31の摺動面31cとの間の部分に連通する。
斜板31の傾転角は、傾転アクチュエータとしての図示しないサーボピストンにより斜板31を押し引きすることで制御される。斜板31の傾転角を変えることによって、ピストン27のストローク量を可変、つまり、ポンプ容量を制御することができる。各シリンダ24のリヤ側(ピストン27側とは反対側)には長円からなるシリンダポート24bが形成されており、ピストン27がシリンダ24内で往復摺動することによりシリンダポート24bを介して油の吐出吸入が行われる。
リヤケーシング22(ケーシング20のリヤ側であって、シリンダブロック23を挟んで斜板31とは軸方向の反対側)には、シリンダブロック23のリヤ側の面が摺接するバルブプレート34が固定されている。バルブプレート34には、図6を参照すればよく分かるように、左右一対の円弧状の長穴(周方向に長い穴)からなる給排用のAポート34aとBポート34bとが一対の切換ランド34td、34bdを挟んで形成されている。また、リヤケーシング22には、バルブプレート34のAポート(給排ポート)34aに繋がる給排用のA通路22aと、バルブプレート34のBポート(給排ポート)34bに繋がる給排用のB通路22bとが設けられている。ここでは、Aポート34a、A通路22aは車体12が前進する側に油を吐出し、Bポート34b、B通路22bは車体12が後進する側に油を吐出するようになっており、Aポート34a、A通路22aの吐出時のピストン上死点をTDC、下死点をBDCと呼ぶことにする(図6参照)。
次に、斜板31周りの構成を図3を用いて説明する。斜板31の2つの円筒凸面部31a、31bの中央にはそれぞれ比較的長い矩形状の圧力ポケット35a、35bが形成されている。Aポート34a側において、圧力ポケット35aに対してAポート吐出時のピストン上死点TDC側に副ポケット36at、下死点BDC側に副ポケット36abが設けられ、同様にBポート34b側において、圧力ポケット35bに対して上死点TDC側に副ポケット36bt、下死点BDC側に副ポケット36bbが設けられている。4つの副ポケット36at、36ab、36bt、36bbは、ここでは、圧力ポケット35a、35bと同幅で深さも同じだが長さは短い矩形の小ポケットとなっている。
ここで、上記4つの副ポケット36at、36ab、36bt、36bbの位置、大きさ等は、次のように設定される。すなわち、図4(a)に示すように、斜板31の傾転が中立(傾転角0度)のとき、及び、図4(b)に示すように、予め定められた所定角度(最小傾転角)では、副ポケット36at、36ab、副ポケット36bt、36bbは、クレイドル32の円筒凹面部32a、32b内に収まるが、前記所定角度を超えると、上死点TDC側の副ポケット36at、36btが円筒凹面部32a、32bから少なくともその一部がはみ出し、傾転角がある角度以上となると、図4(c)に示すように、上死点TDC側の副ポケット36at、36btが円筒凹面部32a、32bから完全にはみ出して外れるように、上死点TDC側の副ポケット36at、36btの位置、大きさ等が設定されている。
圧力ポケット35aには、Aポート34aの圧油がポンプケーシング20に形成された給排路37A及び固定絞り37aを経て導かれる。同様に圧力ポケット35bには、Bポート34bの圧油がポンプケーシング20に形成された給排路37B及び固定絞り37bを経て導かれる。これにより、斜板31側の円筒凸面部31a、31bとクレイドル32側の円筒凹面部32a、32bとの間を潤滑する。
また、図5を参照すればよく分かるように、斜板31のシュー28を案内する摺動面31c側にはシュー28が摺動する軌道上の上死点TDC側(図6のバルブプレート34における切換ランド34tdに相当)に連通孔38tの一端が開口し、下死点BDC側(図6のバルブプレート34における切換ランド34bdに相当)に連通孔38bの一端が開口している。連通孔38tの他端は副ポケット36ab、36bbに、連通孔38bの他端は副ポケット36at、36btにそれぞれ連通している。
言い換えれば、斜板31に設けられた連通孔38tは、摺動面31cにおけるシュー28(の中央部)が摺動する軌道上の上死点TDC付近と下死点BDC側の(左右両方の)副ポケット36ab、36bbとを連通し、斜板31に設けられた連通孔38bは、摺動面31cにおけるシュー28(の中央部)が摺動する軌道上の下死点BDC付近と上死点TDC側の(左右両方の)副ポケット36at、36btとを連通している。
次に動作について説明する。ここでは、車体12の前進時で、斜板31の傾転角が所定角度以上とされ、図3及び図4(c)に示される如くに、上死点TDC側の副ポケット36at、36btが円筒凹面部32a、32bから完全にはみ出して外れているものとする。
まず、油圧ポンプ10においてAポート34aがBポート34bよりも高圧でポンプ作用しているとき(Aポート34aが吐出ポートのとき)について説明する。このAポート34a吐出時には、Aポート34a側では、シリンダブロック23に形成されたシリンダ24内の油をピストン27が押し出す方向に変位している。逆にBポート34b側では、ピストン27が油を吸い込む方向に変位している。
このようにバルブプレート34は油の出し入れを切り換えているが、切換えはピストン27のTDCとBDC付近で行われる。シリンダ24内の圧力はBDCでは低圧から高圧、TDCでは高圧から低圧に急激に切り換わる。ここで、本実施形態では、TDC付近に連通孔38tの一端が開口し、BDC付近に連通孔38bの一端が開口しており、それら連通孔38t、38bの開口部上をシュー28(の中央部)が摺動する。
一方、シリンダ24内の油はピストン27とシュー28の中心に形成された油路39を通してシュー28と斜板31の摺動面31cとの間の部分に導かれる。そのため、シリンダ24内の油は、シリンダポート24bからバルブプレート34のAポート34a、Bポート34bに導かれるだけでなく、シュー28(と斜板31の摺動面31cとの間)から連通孔38t、連通孔38bにも導かれる。
これによって、シリンダ24内は、TDC側で高圧から低圧に切り換わる際に、連通孔38tを介してBDC側の副ポケット36ab、36bbに連通する。その結果、副ポケット36ab、36bbに圧力が発生し、円筒摺動面(円筒凸面部31a、31b、円筒凹面部32a、32b)のうちの圧力ポケットの無い端部寄りの部位を潤滑することができ、さらに、シリンダ24内圧の急激な変化が緩和される。
また、シリンダ24内は、BDC側で低圧から高圧に切り換わる際に、連通孔38bを介してTDC側の副ポケット36at、36btに連通する。ところが、副ポケット36at、36btは円筒凹面部32a、32bから外れており、低圧のシリンダ24内はケーシングドレンに連通するだけで、何も動作しない。以上のようにポンプ動作では斜板31及びクレイドル32の円筒摺動面のうちの圧力ポケットの無い端部寄りの部位を潤滑することができるので、摺動面の焼付き等のリスクを軽減でき、ポンプの信頼性向上の効果が得られる。
次に、坂道の下り時などのように、油圧ポンプ10においてAポート34aから吐出しているが、Bポート34bの方がAポート34aよりも高圧でモータ作用しているときについて説明する。モータ作用しているときは、吐出側よりも吸込側の方が高圧であるため、上記ポンプ作用の時と圧力関係が逆になる。よって、TDC側では、シリンダ24内は低圧から高圧に切り換わる。連通孔38tは、副ポケット36ab、36bbと連通する。しかし、低圧状態で連通するため、何も動作しない。
BDC側では、連通孔38bが副ポケット36at、36btと連通するが、副ポケット36at、36btは円筒凹面部32a、32bから外れているので、シリンダ24内圧を副ポケット36at、36btからケーシングドレンに逃がすことができる。
モータ作用時は高圧から低圧に切り換わるのがBDC側のため、シリンダ24内の容積が最大のときに切り換える必要がある。そのため、シリンダ24内が高圧から低圧に切り換わるときにはポンプ作用時よりも長い時間を要する。しかし、上記のように、シリンダ24内圧を連通孔38bから副ポケット36at、36btを介して逃がすことができるので、バルブプレート34のみの切換えと比較すると早めることができる。その結果、モータ作用時のピストン合力の作用点の移動を減らすことができるので、傾転モーメントを低減することができる。その結果、斜板31の傾転応答性を高めることができ、車体12の操作性及び安全性向上の効果が得られる。
このように本実施形態の可変容量型斜板式油圧ポンプ10では、図3等に示すように、斜板31には2つの円筒凸面31a、31bが存在し、圧力ポケット35a、35bが形成される。Aポート34a側において、圧力ポケット35aに対してAポート吐出時のピストン上死点TDC側に副ポケット36at、下死点BDC側に副ポケット36abが設けられ、同様にBポート34b側において、圧力ポケット35bに対して上死点TDC側に副ポケット36bt、下死点BDC側に副ポケット36bbが設けられる。副ポケット36at、36ab、36bt、36bbの位置、大きさ等は、斜板31の傾転が中立のとき、副ポケット36at、36ab、副ポケット36bt、36bbは、クレイドル32の円筒凹面部32a、32b内に収まるが、予め設定された所定角度(最小傾転角)以上では、上死点TDC側の副ポケット36at、36btが円筒凹面部32a、32bから少なくともその一部がはみ出して外れるように設定される。圧力ポケット35aには、Aポート34aの圧油がポンプケーシング20に設けられた給排路37A及び固定絞り37aを経て導かれる。同様に圧力ポケット35bには、Bポート34bの圧油がポンプケーシング20に設けられた給排路37B及び固定絞り37bを経て導かれる。また、斜板31のシュー28を案内する摺動面31c側にはシュー28が摺動する軌道上の上死点TDC側に連通孔38tの一端が開口し、下死点BDC側に連通孔38bの一端が開口する。連通孔38tの他端は副ポケット36ab、36bbに、連通孔38bの他端は副ポケット36at、36btにそれぞれ連通する。
上記構成を有する本実施形態の可変容量型斜板式油圧ポンプ10によれば、傾転アクチュエータ等は従前のままでよいので、油圧ポンプの大型化、重量増、コストアップを招くことはなく、また、振動・騒音を増大させることはなく、特定時において、傾転モーメントを低減することができる。そのため、傾転応答性を高めることができ、信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態の可変容量型斜板式油圧ポンプ10が搭載されたホイールローダ50においては、坂道の下り時などにおける傾転応答性を高めることができるので、走行操作性がアップするとともに、安全性の向上も図ることができる。
なお、上記実施形態では、副ポケットとして矩形状のものを形成しているが、それに限られることはなく、例えば図7に示すように、周方向端部側ほど狭くなる三角形状、台形状等に形成してもよい。これにより、斜板31の傾斜角に応じて副ポケット36at、36btと円筒凹面部32a、32bとのラップ量、つまり、シリンダ24内圧の逃がし量を変化させることができる。さらに、例えば図8に示すように、副ポケットを、複数個の小ポケットで構成し、これにより、斜板31の傾斜角に応じて副ポケット36at、36btと円筒凹面部32a、32bとのラップ量、つまり、シリンダ24内圧の逃がし量を変化させてもよい。
上述した実施形態では、油圧ポンプをホイールローダ等の建設機械における走行用油圧回路に適用し、走行用の油圧モータと閉回路を構成した場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、旋回用の油圧回路に適用し、旋回用の油圧モータと閉回路を構成してもよい。その場合、車体の旋回およびその速度を油圧ポンプの斜板の傾転角によって制御する。
上述した実施形態では、油圧ポンプをホイールローダに適用する場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、油圧クレーン、油圧ショベル等のホイールローダ以外の建設機械に適用してもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1:エンジン
2:油圧ポンプ
3:方向切換弁
4:油圧シリンダ
5:タンク
6:主リリーフ弁
7:パイロットポンプ
8:操作レバー
9:ポンプレギュレータ
10:可変容量型斜板式油圧ポンプ
11:油圧モータ
12:車体
20:ポンプケーシング
21:フロントケーシング
22:リヤケーシング
22a:A通路(給排通路)
22b:B通路(給排通路)
23:シリンダブロック
24:シリンダ(穴)
24b:シリンダポート
25:回転軸
27:ピストン
28:シュー
29:ブッシング
30:リテーナ
31:斜板
31a、31b:円筒凸面部(斜板側円筒面部)
31c:摺動面
32:クレイドル
32a、32b:円筒凹面部(クレイドル側円筒面部)
34:バルブプレート
34a:Aポート(給排ポート)
34b:Bポート(給排ポート)
34td、34bd:切換ランド
35a、35b:圧力ポケット
36at、36bt:副ポケット(第1副ポケット)
36ab、36bb:副ポケット(第2副ポケット)
37A、37B:給排路
37a、37b:固定絞り
38t:連通孔(第1連通孔)
38b:連通孔(第2連通孔)
39:油路
50:ホイールローダ(建設機械)

Claims (5)

  1. ケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられたシリンダブロックと、該シリンダブロックの周方向に離間して軸方向に伸びる複数個のシリンダと、該シリンダ内に往復動可能に挿嵌されて軸方向の一端側が前記シリンダから突出するピストンと、該ピストンの突出端部に装着されたシューと、表面側が前記シューを案内する平滑な摺動面とされ裏面側に傾転用の斜板側円筒面部が設けられた斜板と、前記ケーシングの一端側に設けられ前記斜板を傾転可能に支持すべく前記斜板側円筒面部が滑り嵌合するクレイドル側円筒面部が設けられたクレイドルと、前記斜板を傾転させるための傾転アクチュエータと、前記ケーシング内の前記斜板とは軸方向の反対側に設けられ前記各シリンダと間欠的に連通する一対の給排ポートが一対の切換ランドを挟んで形成されたバルブプレートとを備え、
    前記シリンダ内と、前記シューと前記摺動面との間の部分が前記ピストン及び前記シューに形成された油路を介して連通しており、
    前記斜板側円筒面部と前記クレイドル側円筒面部との間を潤滑すべく前記斜板側円筒面部に圧力ポケットが設けられ、前記斜板の前記摺動面における前記シューの軌道上の上死点側及び下死点側にそれぞれ第1連通孔及び第2連通孔の一端が開口し、前記斜板側円筒面部における前記圧力ポケットより上死点側の部位及び下死点側の部位にそれぞれ第1副ポケット及び第2副ポケットが設けられ、前記第1連通孔の他端が前記第2副ポケットに連通するとともに、前記第2連通孔の他端が前記第1副ポケットに連通し、
    前記第1副ポケットは、前記斜板の傾転角が予め定められた所定角度以下のときは前記クレイドル側円筒面部に収まり、前記斜板の傾転角が前記所定角度を超えるとその一部が前記クレイドル側円筒面部からはみ出すように設定されていることを特徴とする可変容量型斜板式油圧ポンプ。
  2. 請求項1に記載の可変容量型斜板式油圧ポンプにおいて、
    前記斜板に前記斜板側円筒面部が左右一対で設けられるとともに、前記クレイドルに前記クレイドル側円筒面部が左右一対で設けられ、前記左右一対の斜板側円筒面部のそれぞれに前記第1副ポケット及び前記第2副ポケットが設けられ、前記第1連通孔の他端が前記左右両方の第2副ポケットに連通するとともに、前記第2連通孔の他端が前記左右両方の第1副ポケットに連通していることを特徴とする可変容量型斜板式油圧ポンプ。
  3. 請求項1に記載の可変容量型斜板式油圧ポンプにおいて、
    前記第1副ポケット及び前記第2副ポケットのうちの少なくとも一つは、周方向端部側ほど狭くなる形状に形成されていることを特徴とする可変容量型斜板式油圧ポンプ。
  4. 請求項1に記載の可変容量型斜板式油圧ポンプにおいて、
    前記第1副ポケット及び前記第2副ポケットのうちの少なくとも一つは、複数個の小ポケットで構成されていることを特徴とする可変容量型斜板式油圧ポンプ。
  5. 走行用又は旋回用の油圧モータと、該油圧モータを駆動する請求項1に記載の可変容量型斜板式油圧ポンプとが搭載され、前記油圧ポンプは、前記油圧モータと閉回路を構成しており、車体の前後方向走行及びその速度又は旋回及びその速度を前記油圧ポンプの前記斜板の傾転角によって制御するようになっていることを特徴とする建設機械。
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