以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る加湿装置1の構成例を示す図である。実施の形態1に係る加湿装置1は、図1に示すように、加湿部2と、給水部3と、空気供給部4と、空気導入部5と、空気排出部6と、排水部7と、筐体10とを備えている。この加湿装置1は、全館空調住宅あるいは小規模オフィス等における中央式空気調和システムに付加され、主に暖房時に使用されるものである。
ここで、加湿装置1は、わずかな水分量を蒸発させて加湿に用いる。例えば、高気密断熱住宅における水分量の損失は、加湿開始の初期に壁などに吸収される分を除くと、ほとんどが換気によるものである。したがって、加湿装置1は、換気による損失量相当の水分補給(加湿)を行えばよい。
一例として、延べ床面積が150m2、天井高さが2.5m、換気回数が0.5回/時、温湿度条件が室内で21℃、40%RH、屋外で0℃、50%RHである全館空調住宅での換気を考える。この場合、換気による損失水分量は、全熱交換器による潜熱(湿度)回収が無い場合でもわずか15cc/min程度と計算できる。よって、加湿装置1は、1分間に15ccの水を蒸発させ、水蒸気を空調機から送出される暖房空気に混ぜればよい。これは、視点を変えると、1分間に15ccの水を加湿装置1の中で乾燥(蒸発)させればよいということになる。つまり、空調機から送出される暖房空気を搬送する給気ダクトからバイパスして引き込んだ暖房空気を用いて、加湿装置1内で1分間に15ccの水を乾燥(蒸発)させ、水蒸気を給気ダクトに戻して暖房空気に混ぜればよいということになる。
このように、わずかな水の乾燥(蒸発)という目的であれば、親水性の表面を有する部材、例えば、表面の少なくとも一部に親水性の部分を有する部材に必要最低限量の水を供給し、この水をできるだけ薄い液膜状に広げることが効果的である。例えば図2に示すように、この液膜202の表面では水が蒸発して水蒸気203となり、水蒸気203の拡散によって境膜(水蒸気の濃度境界層)204が生成される。なお、図2において、符号201は液膜202が表面に形成された固体を示し、符号205は空気対流層を示している。
境膜204内の水蒸気203は、液膜202の表面と空気対流層205との間にできる水蒸気の圧力差が推進力となり移動(拡散)する。例えば、液膜202の表面の水蒸気203は飽和しているので、液膜202の表面の水蒸気203の圧力は液膜202の表面温度における飽和水蒸気圧となる。そして、この飽和水蒸気圧は、液膜202の表面温度に比例し、液膜202の表面温度が高いほど大きくなる。例えば、液膜202の表面温度が20℃のとき飽和水蒸気圧は23.4hPaであるのに対し、液膜202の表面温度が40℃のとき飽和水蒸気圧は73.8hPaとなる。
一方、空気対流層205の水蒸気203の圧力は空気の湿度に比例する。例えば、21℃、40%RHの空気の場合、空気対流層205の水蒸気203の圧力は10hPaである。したがって、液膜202の表面温度が高いほど、液膜202の表面と空気対流層205との間にできる水蒸気の圧力差が大きくなり、水蒸気203の移動(拡散)が促進される。よって、液膜202にあてる空気(特に暖房空気)によって液膜202の表面温度を上げ、液膜202の飽和水蒸気圧を高くすることが重要となる。
一方、上述した水蒸気の圧力差により、境膜204の中には水蒸気濃度の差が生まれており、その濃度の勾配に沿って水蒸気203は移動するという言い方もできる。境膜204の厚みは、表面の広さ、形状、及び接している空気の流れの状態によって異なり、1mm~10mm以上になる。境膜204の厚みは水の蒸発速度に影響し、薄ければ薄いほど水蒸気濃度の勾配が大きくなるため、水蒸気203が液膜202の表面から境膜204を通過して空気対流層205へ排出される速度が速くなる。つまり、蒸発速度が速くなる。よって、液膜202にあてる空気によって境膜204の厚さを薄くし、境膜204内の水蒸気濃度の勾配を大きくして蒸発を促進することが重要となる。
実施の形態1に係る加湿装置1は、このような点に着目してなされた発明である。すなわち、実施の形態1に係る加湿装置1は、装置の内部に流下する液膜202を形成し、この液膜202の少なくとも一部に空気をあてることにより、液膜202の表面と空気対流層205の間にできる境膜204の厚さを薄くし、境膜204内の水蒸気濃度の勾配を大きくして、空気の流れ(気流)による水の蒸発を促進する。
また、加湿装置1はこれに加えて、液膜202にあてる空気の風速と方向を流体力学的に工夫することにより、境膜204の厚さを薄くして水蒸気濃度の勾配を大きくするとともに、境膜204から出た水蒸気203を空気対流層205で速やかに運び去ることができるようにする。また、加湿装置1は、液膜202にあてる空気により液膜202の表面温度を上げて、境膜204内の水蒸気203の移動が速やかに行われるようにする。加湿装置1は、このような原理により、気流による水の蒸発を従来よりも促進するものである。以下、加湿装置1の詳細な構成例について説明する。
なお、以下では、説明を容易にするため、図1に示すように、紙面の上側を上方、下側を下方、左側を前方(正面)、右側を後方(背面)、手前側を左方、奥側を右方と定義する。また、図1Aは加湿装置1の正面図であり、図1Bは図1AにおけるA-A´線断面図である。また、以下では、加湿装置1が、空調空気を室内へ供給する主流路(給気ダクト)の内部ではなく、この主流路から分岐した分岐流路内に、主流路と並列に設けられている場合を例に説明する。
加湿部2は、筐体10の内部に設けられており、例えば図1A及び図1Bに示すような平面部21を有している。平面部21は、水平方向に対して傾斜して延在する面(傾斜面)を有する部材であり、例えば水平方向に対して上方に所定角度だけ傾斜して設けられた平板部材で構成される。平面部21は、平板部材で構成される場合、例えば図1Aに示すように、幅方向(左右方向)の長さが筐体10の幅方向の長さと略一致するように形成される。ただし、これは一例であり、平面部21の幅方向の長さは設計等に応じて適宜の長さに設定され得る。また、平面部21は、一方の面(空気供給部4と対向する面)の少なくとも一部に親水性の部分211(図3A参照)を有している。なお、平面部21が平板部材で構成された場合の具体的な構成例については後述する。なお、平面部21は、水平方向に対して傾斜して延在する面(傾斜面)を有し、当該面の少なくとも一部に親水性の部分を有する部材であれば、上記した平板部材以外の部材で構成されてもよい。例えば、平面部21は、側方(左方又は右方)から見て三角形状を呈する部材で構成され、その傾斜面(上方を向いた面)の少なくとも一部に親水性の部分を有するものであってもよい。
給水部3は、筐体10の内部における平面部21の上端部に設けられている。給水部3は、例えば平面部21の幅方向の一部又は全体にわたって水を供給する。これにより、平面部21の親水性の部分211には流下する薄い液膜が形成される。なお、給水部3の具体的な構成例については後述する。
空気供給部4は、筐体10の内部において、平面部21における親水性の部分211を有する面に対向して配置されている。空気供給部4は、平面部21の親水性の部分211に形成された液膜の少なくとも一部にあたる空気を送出する。この空気は、後述する空気導入部5から導入される。空気供給部4は、例えば図1Bに示すようなノズル形状に構成される。なお、空気供給部4の具体的な構成例については後述する。
空気導入部5は、筐体10の外部背面(空気供給部4の後方)に設けられている。空気導入部5は、空気供給部4と連通して設けられており、空気供給部4から平面部21の親水性の部分211に形成された液膜の少なくとも一部に向かって送出される空気を導入する。例えば、空気導入部5は、空調機から送出された空調空気(特に暖房空気)を搬送する給気ダクトから分岐した分岐ダクトに接続されている。空気導入部5は、給気ダクトから分岐ダクトへ分岐した暖房空気を空気供給部4へ導入する。なお、空気導入部5から空気供給部4へ導入する暖房空気の温度は、およそ45℃前後になることが想定されるが、温度がおよそ45℃前後の温かい空気であれば、空気導入部5から空気供給部4へ導入される空気は、必ずしも空調機から送出されたものでなくてもよい。図1Bでは、空気導入部5から空気供給部4へ導入される空気、及び空気供給部4から送出される空気を白抜きの矢印で示している。なお、効率は低くなるが、室温程度の送風でも加湿することは可能である。
空気排出部6は、筐体10の外部上面に設けられている。空気排出部6は、筐体10の内部と連通して設けられている。空気排出部6は、空気供給部4から送出され、平面部21の親水性の部分211に形成された液膜の少なくとも一部にあたった空気を筐体10の外部へ排出する。図1A及び図1Bでは、空気供給部4から送出されて液膜の少なくとも一部にあたった空気、及び空気排出部6から筐体10の外部へ排出される空気をグレーの矢印で示している。なお、空気排出部6は、空気供給部4から送出されて液膜の少なくとも一部にあたった空気だけでなく、空気供給部4から送出されて液膜にあたらなかった空気も筐体10の外部へ排出してよい。
排水部7は、筐体10の内部における平面部21の下端側に設けられている。排水部7は、平面部21で蒸発できずに平面部21を流下した水を回収して筐体10の外部へ排出する。排水部7は、例えば図1Bに示すように、平面部21の下端に向けて開口した開口部を有する形状に構成される。なお、排水部7から排出された水は給水部3に戻して給水に再利用するようにしてもよい。
次に、平面部21、給水部3、及び空気供給部4の各部についてのより詳細な構成例について説明する。
(平面部21)
平面部21は、例えば図3Aに示すような、正面視矩形状の平板部材で構成される。この場合、平面部21は、一方の面(空気供給部4と対向する面)の少なくとも一部に親水性の部分211を有している。この親水性の部分211には、給水部3からの水の供給により、流下する薄い液膜202が形成される。
ここで、「平面部が親水性である」とは、固体表面(平面部21)と水との親和性が高く、接触した水が水滴状にならずに面に沿って薄い膜状に濡れ広がる性質を持っているということであり、固体表面(平面部21)と水の接触角が90°以下の状態を一般的に親水性と言うが、実施の形態1に係る加湿装置1では、接触角が20~30°程度以下の親水性が高いと言われる状態が好ましく、さらに好ましくは、接触角が10°程度以下の超親水性と呼ばれる状態がよい。なお、親水性の程度は、平面部21の傾斜角度、流下する水の量、水質、水垢の付着が発生する程度、空気供給部4から送出される空気の風速など、様々な観点から考慮して選択する。
親水性が高い状態の平面部21を形成するためには、平面部21の表面に無機または有機の親水性材料のコーティング、酸化チタンのコーティングとUV光照射、プラズマ処理、コロナ放電、フッ素ガス処理、ナノインプリントなど、表面を改質するための様々な方法があり、樹脂などの親水性が低い材料でも高い親水性面を形成することができる。また、平面部21に親水性加工がされたフィルムを貼り付けたり、平面部21の材料自体に親水化付与剤を配合して成型したりすることもできる。
なお、平面部21の材質は、耐食性及び剛性が高いという点で、例えばステンレスとするのが好ましい。ただし、平面部21の材質はこれに限られない。また、平面部21を構成する平板部材の厚さは、0.3~1mm程度とするのが好ましく、材質をステンレスとする場合は、0.5mm程度とするのがより好ましい。
なお、平面部21は、親水性の部分211以外の部分に撥水性(または疎水性)の部分212を有していてもよい。例えば、図3Aの例では、平面部21の長手方向(上下方向)のうち上方約3分の2が親水性の部分211で構成され、それ以外の約3分の1が撥水性の部分212で構成されている。このようにすると、給水部3からの水の供給を平面部21の上方側から開始した場合に、平面部21の下方側(撥水性の部分212側)における水切れが良好となるため、水垢の付着及びカビの発生を抑制することができる。なお、図3Aの符号213は、撥水性の部分212で生じた水滴である。
ここで、「平面部が撥水性(または疎水性)である」とは、固体表面(平面部21)と水との親和性が低く、接触した水が水滴状になる性質であることを示し、固体表面(平面部21)と水の接触角が90°以上になる状態、さらに好ましくは、接触角が150°程度以上の超撥水性と呼ばれる状態がよい。なお、撥水性(疎水性)の程度は、平面部21の傾斜角度、流下する水の量、水質、水垢の付着が発生する程度など、様々な観点から考慮して選択する。
また、平面部21は、図3Bに示すように、図3Aの構成において下端部をV字状に形成してもよい。この場合も、給水部3からの水の供給を平面部21の上方側から開始した場合に、平面部21の下方側における水(液膜及び水滴)を中央部に集めて排出でき、水切れが良好となるため、水垢の付着及びカビの発生を抑制することができる。また、平面部21は、図3A及び図3Bのような平板部材で構成されることにより、構造の簡易化が可能となるほか、洗浄及び交換などのメンテナンス性も向上する。
また、平面部21は、図3Cに示すように、図3Aの構成において長手方向(上下方向)のうちの下方、例えば、10~20mm程度の長さの部分に形成された撥水性の部分212をV字状に形成してもよい。この場合も、給水部3からの水の供給を平面部21の上方側から開始した場合に、平面部21の下方側における水(液膜及び水滴)を中央部に集めて排出でき、水切れが良好となるため、水垢の付着及びカビの発生を抑制することができる。
(給水部3)
給水部3は、図4に示すように、給水パイプ31と、リザーバータンク32と、オーバーフローチャンバー33と、給水口34とを備えている。
給水パイプ31は、不図示の流量調整弁などの流量調整機器を介して水道管に接続されており、水道管から供給された水をリザーバータンク32に送る。なお、流量調整機器の前または後に水質調整器などを設けてもよい。また、水道管からではなく、不図示の給水タンクとポンプなどで給水パイプ31に水を供給してもよい。
リザーバータンク32は、水道管から給水パイプ31を経由して送られた水を貯留する。リザーバータンク32の上端には、オーバーフローチャンバー33が接続されている。リザーバータンク32に貯留された水の量が、リザーバータンク32の貯留可能量を超えると、その超過分の水はオーバーフローチャンバー33に流れ込む。
オーバーフローチャンバー33のリザーバータンク32と反対側の端部には、給水口34が接続されている。給水口34は、リザーバータンク32の貯留可能量を超えてオーバーフローチャンバー33に流れ込んだ水を流出させる。このようにして、給水部3は、リザーバータンク32の貯留可能量を超えてオーバーフローチャンバー33に流れ込んだ水だけを給水口34から流出させる。これにより、平面部21では、親水性の部分211に流下する薄い液膜202が形成される。
なお、給水口34の形状は、例えば幅方向の長さが平面部21の幅方向の長さと同程度の長方形に構成される。この場合、平面部21の幅方向全体にわたって水が供給される。または、給水口34の形状は、例えば幅方向に複数に分割した矩形状、あるいは幅方向に複数に分割した円形状などに構成されてもよい。その他、給水口34の形状は、平面部21に形成する液膜202の大きさ及び形状等に応じて適宜選択してよい。
なお、親水性の部分211に形成される液膜202の幅は、加湿装置1のサイズの制約、液膜202の厚さ、及び給水部3からの給水量などを考慮して設計されるが、例えば100~200mm程度である。また、液膜202の流下速度は、例えば給水部3からの給水量が15cc/min、液膜202の幅が150mm、液膜202の厚さが0.1mmの場合、16.7mm/s程度になる。
(空気供給部4)
空気供給部4は、例えば図5Aに示すように、ノズル形状に形成された本体部40を有する。
本体部40は、複数の面により正面視矩形状に形成された、空気の送出口を有している。例えば、本体部40は、図5Aに示すように、上面41と、下面42と、左側面43と、右側面44との4つの面により、正面視矩形状に形成された送出口45を有している。なお、上面41は、第1上面411と、第2上面412と、第3上面413とにより構成されている。また、下面42は、第1下面421と、第2下面422とにより構成されている。そして、上面41と下面42との間隔は、後方から前方(送出口45側)に向かうにつれて徐々に狭まるように構成されている。送出口45の幅は、平面部21の親水性の部分211の幅方向の長さと同程度またはそれ以上の長さで、送出口45の高さは液膜の流下方向の長さを考慮して適宜設計される。
また、送出口45を構成する面のうち、空気排出部6に最も近い面(ここでは上面41)は、平面部21寄りの部分(ここでは第3上面413)が、平面部21の延在方向(図5AのR方向)に対して直交寄りの方向(図5AのP方向)に延びている。また、送出口45を構成する面のうち、空気排出部6に最も遠い面(ここでは下面42)は、平面部21寄りの部分(ここでは第2下面422)が、平面部21の延在方向に対して平行寄りの方向(図5AのQ方向)に延びている。
ここで、「平面部21の延在方向に対して直交寄りの方向」とは、平面部21の延在方向に対して直交する方向と、平面部21の延在方向に対して直交する方向からわずかにずれた方向とを含む概念である。また、「平面部21の延在方向に対して平行寄りの方向」とは、平面部21の延在方向に対して平行な方向と、平面部21の延在方向に対して平行な方向からわずかにずれた方向とを含む概念である。なお、平面部21の延在方向に対して直交する方向からのずれとして許容される角度の範囲は、送出口45から送出される空気の温度、速度、風量、あるいは目標とする液膜202の厚さ、液膜202の温度等に応じて適宜設定され得る。同様に、平面部21の延在方向に対して平行する方向からのずれとして許容される角度の範囲も、上記の各値に応じて適宜設定され得る。
また、空気供給部4は、図5Bに示すように構成されていてもよい。図5Bに示す空気供給部4の本体部40は、上面41と、下面42と、左側面43と、右側面44との4つの面により、正面視矩形状に形成された送出口45を有している。上面41は、第1上面411と、第2上面412とにより構成されている。また、下面42は、第1下面421により構成されている。このうち第2上面412は、本体部40の内側に窪むように湾曲した曲面状に形成されている。また、第1下面421は、本体部40の外側に膨らむように湾曲した曲面状に形成されている。そして、上面41と下面42との間隔は、後方から前方(送出口45側)に向かうにつれて徐々に狭まるように構成されている。
また、送出口45を構成する面のうち、空気排出部6に最も近い面(ここでは上面41)は、平面部21寄りの部分(ここでは第2上面412)が、平面部21の延在方向(図5BのR方向)に対して直交寄りの方向(図5BのP方向)に延びている。また、送出口45を構成する面のうち、空気排出部6に最も遠い面(ここでは下面42)は、平面部21寄りの部分(ここでは第1下面421)が、平面部21の延在方向に対して平行寄りの方向(図5BのQ方向)に延びている。
上記のような構成により、空気供給部4は、平面部21の延在方向に対して直交寄りの方向からの気流(以下、衝突噴流という)と、平面部21の延在方向に平行な方向寄りの気流(以下、コアンダ気流という)とを、平面部21の親水性の部分211に形成された液膜202の少なくとも一部に対して、加速させた状態で吹き付けることができる。なお、衝突噴流とは、壁面(平面部など)に直交寄りの方向から吹き付けられて、壁面(平面部など)に勢いよく衝突する気流のことをいう。また、コアンダ気流とは、壁面(平面部など)近傍に平行寄りの方向から勢いよく吹き付けられた気流が、コアンダ効果により壁面(平面部など)に付着し、周りの空気を引き込みながら壁面(平面部など)に付着して沿うように流れる気流のことをいう。なお、本発明における衝突噴流は、最終的にはコアコアンダ気流と混合してコアンダ気流の一部になり、空気排出部6から排出される。
このうち、衝突噴流は、液膜202の表面と空気対流層205との間にできる境膜204を上から押さえつけて薄くする効果がある(図2参照)。また、衝突噴流には、液膜202に圧力をかけて液膜202を物理的に潰して薄くする効果もある。このように、加湿装置1では、空気供給部4から液膜202に吹き付ける衝突噴流によって液膜202の厚さを薄くし、かつ境膜204の厚さを薄くして水蒸気濃度の勾配を大きくすることにより、境膜204内の水蒸気203の移動が速やかに行われるようにして、水の蒸発を促進する。
また、このように、衝突噴流により境膜204の厚さが薄くなるような気流の状態にすることは、液膜202の表面と空気対流層205との間にできる不図示の温度境界層を薄くすることにもなる。その結果、空気供給部4から吹き付けられた空気(衝突噴流及びコアンダ気流)による液膜202の表面への伝熱効率も向上する。なお、衝突噴流による伝熱効果は、コアンダ気流による伝熱効果の数倍から10倍程度になる。したがって、衝突噴流は、液膜202の表面温度を上昇させて飽和水蒸気圧を増加させるとともに、液膜202に対する蒸発熱の供給も円滑にして、蒸発の促進に大きく寄与する。
また、加湿装置1では、空気供給部4からコアンダ気流を吹き付けることにより、境膜204から出た水蒸気203を空気対流層205で速やかに下流方向(空気排出部6方向)へ運び去ることができる。
なお、コアンダ気流を流すだけの場合、下流方向(空気排出部6側)に行くにつれて速度境界層が発達して、液膜202近傍の気流の速度が低下する。その結果、境膜204も急激に厚くなり、蒸発速度の低下につながる。そこで、このような不具合を回避するため、加湿装置1では、コアンダ気流だけでなく衝突噴流も吹き付けている。すなわち、加湿装置1では、液膜202近傍における速度境界層(厚さ)の発達を、衝突噴流で直交寄りの方向から押さえつけて抑制することにより、液膜202の表面と空気対流層205との間にできる境膜204の厚さが厚くなるのを抑制しつつ、境膜204から出た水蒸気203をコアンダ気流で効率よく空気排出部6側へ運搬する。
なお、空気供給部4の送出口45の大きさは、送出口45から吹き出す気流の風速及び方向、あるいは平面部21に形成される液膜202の形状等に合わせて適宜設定されればよい。また、上記では、衝突噴流とコアンダ気流とが同一の送出口45から送出される例を示したが、空気供給部4はこれに限らず、衝突噴流を吹き出すための送出口と、コアンダ気流を吹き出すための送出口とを別々に備えていてもよい。
また、送出口45から吹き出す気流の風速は、蒸発効率を上げるためには速ければ速いほど好ましいが、騒音又は圧損とのトレードオフで適切な値に設定されるのがより好ましい。例えば、衝突噴流の速度は2~5m/s程度、コアンダ気流の速度は3~6m/s程度が好ましく、かつ衝突噴流よりもコアンダ気流を速くするのが好ましい。
また、加湿装置1では、液膜202の厚さは薄ければ薄いほど水が蒸発しやすくなるが、液膜202の厚さを薄くした分だけ、平面部21を流れる液膜202の流速を速くしたり、流下する液膜202の幅を広くしたりする必要がある。その場合、水の必要量の供給に支障が出る場合がある。したがって、液膜202の厚さには妥当な厚さがある。例えば、液膜202の厚さとしては0.1mm程度が目標値になるが、液膜202の厚さはおよそ0.05~0.2mmの範囲であると好ましい。液膜202が厚くなった場合は、吹き付ける空気の風速を速くしたり、衝突噴流の角度をより直交寄りの方向から吹き付けたりするなどの方法で、液膜202の厚さを薄くすることになる。一方で、液膜202を薄く出来れば、吹き付ける空気の風速は低くてもよい。
また、空気供給部4は、空気の流れを整える整流部材を備えていてもよい。例えば、空気供給部4は、図6A及び図6Bに示すように、(図5A及び図5Bにおける)本体部40の内部、より具体的には、第1上面411と第1下面421との間に、整流部材としての整流メッシュ(メッシュ部材)51を備えていてもよい。これにより、加湿装置1は、本体部40の内部における空気の流れを整流する、すなわち面風速を均一化することができる。
例えば、空気供給部4に接続されている空気導入部5には、上述したように給気ダクトから分岐した分岐ダクトが接続される場合があるが、この分岐ダクトは例えば図6Bの上方にL字状に屈曲した形状である場合がある。この場合、分岐ダクトから空気導入部5を経て空気供給部4に導入される空気は、分岐ダクトの屈曲部分に沿って曲がりながら流れてくるため、面風速が均一でない場合が多い。そこで、加湿装置1は、空気供給部4の本体部40の内部に整流メッシュ51を備えることにより、本体部40の内部における空気の流れを整流する(面風速を均一化する)とよい。
また、整流メッシュ51は、本体部40の内部における空気の流れを整流するという効果に加え、気流の微小な渦を発生させて、境膜204内の水蒸気203及び熱の移動を活発にし、水の蒸発を促進させる効果もある。
なお、整流メッシュ51は、具体的には金網又は樹脂網で構成される。この場合、金網又は樹脂網は開口率が40%~60%程度のものが好ましい。また、整流メッシュ51は、気流方向(前後方向)に所定の間隔を空けて複数枚配置してもよい。なお、整流部材として多孔板又はハニカム板(整流格子)を用いた場合でも、整流メッシュ51を用いた場合と同様の効果を得ることができるが、整流部材としては整流メッシュ51を用いるのが最も効果があり好ましい。
また、空気供給部4は、図7A及び図7Bに示すように、本体部40の内部、より具体的には、第2上面412及び第3上面413と第2下面422との間に、整流部材としての気流方向調整ガイド(羽根部材)61を備えていてもよい。この場合でも、加湿装置1は、本体部40の内部における気流方向を最適な状態に調整して水の蒸発を促進させることができる。
また、空気供給部4は、図8A及び図8Bに示すように、本体部40の内部、より具体的には、気流方向(前後方向)における略中央部にダンパ71を備えていてもよい。ダンパ71は、開度を調整することにより、空気供給部4の送出口45から送出される気流の速度及び気流方向の少なくとも一方を調整する。また、ダンパ71は、送出口45のダンパ71の上側と下側における気流の速度及び気流方向のバランスを調整する。この場合でも、加湿装置1は、送出口45から送出される気流の速度及び気流方向の少なくとも一方、さらに、送出口45のダンパ71の上側と下側における気流の速度及び気流方向のバランス、つまり、衝突噴流とコアンダ気流とのバランスを調整することで、水の蒸発を促進させることができる。
また、空気導入部5は、図9A及び図9Bに示すように、内部にファン81を備えていてもよい。ファン81は、空気導入部5から空気供給部4に導入される空気の風速を加速させる。これにより、空気供給部4から液膜202に吹き付けられる気流の速度も速くなり、水の蒸発が促進される。
なお、上記では、空気導入部5が筐体10の外部側面(背面)に設けられ、空気排出部6が筐体10の外部上面に設けられた例を説明した。しかしながら、これとは逆に、空気導入部5が筐体10の外部上面に設けられ、空気排出部6が筐体10の外部側面(背面)に設けられていてもよい。ただし、空気導入部5が筐体10の外部側面に設けられ、空気排出部6が筐体10の外部上面に設けられた方が、加湿装置1の小型化及び気流の圧損低減につながるほか、空気供給部4から吹き出される気流と液膜202の流下方向(給水部3により供給された水の流下方向)とが逆向きになるため、気流から液膜202の表面への伝熱効率及び蒸発効率が向上するので望ましい。
また、上記では、加湿装置1が、空調空気を室内へ供給する主流路(給気ダクト)から分岐した分岐流路内に、主流路と並列に設けられた例を説明したが、加湿装置1はこれに限らず、主流路内に設けられていてもよい。ただし、加湿装置1は、主流路から分岐した分岐流路内に、主流路と並列に設けられた方が、装置を小型化した際の主流路の圧損(流体抵抗)への影響が少なく、設計の自由度が高くなるほか、メンテナンス時に空調機を停止する必要が無いため望ましい。
以上のように、実施の形態1によれば、加湿装置1は、水平方向に対して傾斜して延在する面を有し、当該面の少なくとも一部に親水性の部分211を有する平面部21と、平面部21の親水性の部分211に水を供給する給水部3と、平面部21に対向して配置され、給水部3により供給された水により平面部21の親水性の部分211に形成された液膜202の少なくとも一部にあたる空気を送出する空気供給部4と、液膜202の少なくとも一部にあたった空気を排出する空気排出部6と、を備えた。これにより、加湿装置1は、気流による水の蒸発を従来よりも促進可能となる。
また、加湿装置1は、空気供給部4がノズル形状である。これにより、加湿装置1は、平面部21の親水性の部分211に形成された液膜202の少なくとも一部に対し、加速した気流を吹き付け可能となる。
また、空気供給部4は、平面部21の少なくとも一部に吹き付ける衝突噴流と、平面部21に付着して沿うように流れるコアンダ気流とを送出可能である。これにより、加湿装置1は、液膜202の厚さを薄くして水の蒸発を促進するとともに、水蒸気を速やかに空気排出部6方向へ送り出すことができる。
また、空気供給部4は、複数の面により正面視矩形状に形成された空気の送出口45を有し、送出口45を構成する面のうち、空気排出部6に最も近い面は、平面部21寄りの部分が平面部21の延在方向に直交する方向に延びており、本体部40を構成する面のうち、空気排出部6に最も遠い面は、平面部21寄りの部分が平面部21の延在方向に平行な方向に延びている。これにより、加湿装置1は、平面部21の延在方向に対して直交寄りの方向からの気流(衝突噴流)と、平面部21の延在方向に平行な方向寄りの気流(コアンダ気流)とを空気供給部4から吹き付けることができる。
また、加湿装置1は、空気供給部4の内部に、空気供給部4の内部における空気の流れを整える整流メッシュ51が設けられている。これにより、加湿装置1は、本体部40の内部における空気の流れを整流するとともに、気流の微小な渦を発生させて水の蒸発を促進させることができる。
また、加湿装置1は、空気供給部4の内部に、空気供給部4の内部における空気の流れを整える気流方向調整ガイド61が設けられている。これにより、加湿装置1は、本体部40の内部における気流方向を最適な状態に調整して水の蒸発を促進させることができる。
また、加湿装置1は、空気供給部4の内部に、空気供給部4から送出される空気の速度及び送出方向の少なくとも一方を調整するダンパ71が設けられている。これにより、加湿装置1は、空気供給部4の送出口45から送出される気流の速度及び気流方向の少なくとも一方を調整するとともに、送出口45のダンパ71の上側と下側における気流の速度及び気流方向のバランス、つまり、衝突噴流とコアンダ気流とのバランスを調整して水の蒸発を促進させることができる。
また、加湿装置1は、平面部21(加湿部2)と、給水部3と、空気供給部4とを収容する筐体10を備え、空調機から送出された空気を空気供給部4に導入する空気導入部5が筐体10の側面に設けられ、空気排出部6が筐体10の上面に設けられている。これにより、加湿装置1は、小型化及び気流の圧損低減が可能となり、気流から液膜202の表面への伝熱効率及び蒸発効率も向上する。
また、加湿装置1は、水と空気の接触面積を増やすために複雑な3次元構造の加湿エレメントを使用する一般的な気化式の加湿器に比べて、2次元構造であるため水の均一な供給が容易であり、空調停止時のカビ又は菌の発生を抑制するための乾燥時間を短くでき、ダクト内への水(水滴)の飛散リスクが低い。また、加湿装置1は、水と空気の接触面積の大きさではなく、気流の速度や方向で水の蒸発を促進する方式であるため小型化しやすい。
実施の形態2.
実施の形態1では、給水部3を備えた加湿装置1について説明した。実施の形態2では、給水部3がさらに給水量調整部材を備えた加湿装置1について説明する。
図10Aは、実施の形態2に係る加湿装置1の構成例を示す図である。図10Aに示す実施の形態2に係る加湿装置1は、図1に示す実施の形態1に係る加湿装置1に対し、給水量調整部材としての給水量調整板501が追加されている。実施の形態2に係る加湿装置1のその他の構成については、実施の形態1に係る加湿装置1と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図10Aは、給水量調整板501の周辺部分のみを拡大して示している。
図10Aに示すように、給水量調整板501は、加湿部2の平面部21とともに、給水部3の給水口34を挟むような位置に設けられた板状部材である。給水量調整板501は、一方の面(前方側の面)がオーバーフローチャンバー33及び給水口34の端面に固定されている。また、給水量調整板501は、下端部が平面部21の表面との間に隙間を形成するように配置されている。給水量調整板501は、この隙間を形成することで、平面部21に供給する水の量を調整し、液膜202の厚さ及び水の流下速度などを適切な値に調整することができる。また、給水量調整板501は、加湿装置1が平面部21の幅方向に傾いた場合でも、幅方向の水の供給量を均一化(幅方向の水の供給量が不均一になるのを抑制)することができる。また、給水量調整板501は、空気供給部4から送出された気流が給水口34に当たることによって給水が妨げられたり、給水量が変動したりするのを防ぐ役割も果たす。
なお、給水量調整板501は、上下方向に移動可能に設けることで、下端部と平面部21の表面との間に形成する隙間の大きさを調整可能な構造にしてもよい。
また、給水量調整板501は、他方の面(後方側の面)に、図10Bに示すような気流ガイド502が取り付けられてもよい。気流ガイド502は、例えば図10Bに示すような断面三角形状の部材であり、一つの側面が給水量調整板501の他方の面(後方側の面)に固定されている。このとき、気流ガイド502のもう一つの側面は、筐体10の上面内側に固定され、気流ガイド502の底面は空気供給部4側を向くように配置される。
空気供給部4から送出され、平面部21の親水性の部分211に形成された液膜202の少なくとも一部にあたった空気は、気流ガイド502の底面にあたって空気排出部6の方向へ向きを変える。気流ガイド502はこのようにして、空気供給部4から送出されて液膜202の少なくとも一部にあたった空気の流れが空気排出部6側へ向くようにガイドする。これにより、加湿装置1では、気流が乱れることを抑制し、気流を空気排出部6からスムーズに排気することができる。
なお、上記では、給水量調整板501と気流ガイド502とが別部材で構成された例を示したが、これらを一体的に構成し、気流ガイド502に給水量調整板501の役割をもたせてもよい。
また、給水量調整板501は、隙間調整部材503を有していてもよい。隙間調整部材503は、給水量調整板501の下端部と平面部21の表面との間に形成された隙間の形状及び大きさを適切に設定し、保持するものである。
隙間調整部材503は、例えば図11Aに示すように、給水量調整板501の下端部から下方にわずかに突出した凸部で構成され、この凸部の下端が平面部21に当接するように設けられる。この隙間調整部材503は、給水量調整板501の幅方向の一部に1つ以上(図11Aでは2つ)設けられる。
また、隙間調整部材503は、例えば図11Bに示すように、給水量調整板501の下端部を鋸状に形成した部分で構成され、この鋸状の刃の先端が平面部21に当接するように設けられる。この隙間調整部材503は、給水量調整板501の幅方向の少なくとも一部(図11Bでは幅方向の全体)に設けられる。
なお、上記では、給水量調整板501が隙間調整部材503を有する例を示したが、これらを別部材として構成してもよい。例えば、隙間調整部材503を給水量調整板501に取り付け可能な部材として構成し、隙間の形状及び大きさを適宜調整可能に構成してもよい。
以上のように、実施の形態2によれば、加湿装置1は、平面部21との間に隙間を形成して給水部3から供給される水の量を調整する給水量調整板501を備える。これにより、加湿装置1は、平面部21に供給する水の量を調整可能となる。
また、加湿装置1は、給水量調整板501と平面部21との間に形成された隙間の大きさを調整する隙間調整部材503を備える。これにより、加湿装置1は、給水量調整板501の下端部と平面部21の表面との間に形成された隙間の形状及び大きさを適切に設定可能となる。
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2では、気流による水の蒸発を従来よりも促進可能な加湿装置1について説明した。実施の形態3では、液膜の温度低下に起因する、液膜からの水の蒸発速度の低下を抑制可能な加湿装置1について説明する。
実施の形態1及び実施の形態2に係る加湿装置1では、平面部21の親水性の部分211に形成された液膜202から水が蒸発する際の気化熱により、液膜202の温度が低下し、この液膜202の温度低下により、液膜202からの水の蒸発速度が低下する場合がある。実施の形態3に係る加湿装置1では、このような液膜202の温度低下に起因する、液膜202からの水の蒸発速度の低下を抑制可能とする。
図12は、実施の形態3に係る加湿装置1の構成例を示す図である。図12Aは実施の形態3に係る加湿装置1の正面図であり、図12Bは図12AにおけるA-A´線断面図である。なお、実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、図12の上側を上方、下側を下方、左側を前方(正面)、右側を後方(背面)、手前側を左方、奥側を右方と定義する。
図12に示す実施の形態3に係る加湿装置1は、図1に示す実施の形態1に係る加湿装置1に対し、平面部21が平面部21cに変更され、水受け部材1201が追加されている。実施の形態3に係る加湿装置1のその他の構成については、実施の形態1に係る加湿装置1と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
平面部21cは、実施の形態1における平面部21と同様に、水平方向に対して傾斜して延在する面(傾斜面)を有する部材であり、例えば水平方向に対して上方に所定角度だけ傾斜して設けられた平板部材で構成される。また、平面部21cは、実施の形態1における平面部21と同様に、一方の面(空気供給部4と対向する面)の少なくとも一部に親水性の部分211(図3A参照)を有し、この親水性の部分211には、給水部3からの水の供給により、流下する薄い液膜202が形成される。
一方、平面部21cは、実施の形態1における平面部21と異なり、例えば図12Aに示すように、幅方向(左右方向)の長さが筐体10の幅方向の長さよりも短く形成される。これにより、実施の形態3に係る加湿装置1では、平面部21cの幅方向における両側方の端部と、筐体10の内周面との間に、所定間隔の隙間Sが形成される。
この場合、実施の形態3に係る加湿装置1では、空気供給部4から、平面部21cの親水性の部分211に形成された液膜202の少なくとも一部にあたる空気が送出される。ここで、空気供給部4から送出された空気は、上記隙間Sを経由して、筐体10内の空間Tに流れ込む。この空間Tは、筐体10の内部空間のうち、平面部21cの親水性の部分211を有する面とは反対側の面、すなわち、平面部21cの空気供給部4と対向する側の面とは反対側の面が臨む空間である。
なお、以下では、説明を容易にするため、上記空間Tに臨む平面部21cの面、すなわち、平面部21cの空気供給部4と対向する側の面とは反対側の面を「平面部21cの裏面」ともいい、平面部21cの空気供給部4と対向する側の面を「平面部21cの表面」ともいう。
ここで、空気供給部4から送出された空気が暖房空気であるとき、上記隙間Sから空間Tに流れ込んだ暖房空気は、平面部21cの裏面の少なくとも一部にあたり、平面部21cを加熱する。これにより、平面部21cでは、当該平面部21cの表面に形成された液膜202から水が蒸発する際の気化熱による、液膜202の温度低下が抑制される。したがって、実施の形態3に係る加湿装置1では、液膜202の温度低下による、液膜202からの水の蒸発速度の低下が抑制される。
なお、上記の説明では、平面部21cの幅方向における両側方の端部と、筐体10の内周面との間に、所定間隔の隙間Sが形成される例を説明した。しかしながら、当該隙間Sは、平面部21cの幅方向における両側方のうち少なくとも一方の端部と、筐体10の内周面との間に形成されていればよい。また、当該隙間Sの間隔は、空気供給部4から空間Tに送る暖房空気の量等に応じて適宜設定されればよい。
なお、平面部21cの材質は、実施の形態1で述べたように、耐食性及び剛性が高いという点で、例えばステンレスとするのが好ましいが、熱伝導率が高いという点では、例えばアルミ又は銅とするのがより好ましい。
なお、水受け部材1201は、例えば図12Bに示すように、筐体10の底部に設けられる。水受け部材1201は、例えば、底面12011と、幅方向(左右方向)の側面12012とを有するトレイ状の部材であり、給水部3から平面部21cに供給された水が隙間Sから流れ落ちてしまった場合に、その水を受けるための部材である。
水受け部材1201の底面12011は、例えば図12Bに示すように、前方側(排水部7とは反対側)の高さが、後方側(排水部7側)の高さに比べてやや高くなるような傾斜を有している。これにより、水受け部材1201で受けられた水は、底面12011を排水部7側へ流れ、当該排水部7からスムーズに排水されるようになる。
図13は、実施の形態3に係る加湿装置1の他の構成例を示す図である。図13Aは実施の形態3に係る他の構成例による加湿装置1の正面図であり、図13Bは図13AにおけるA-A´線断面図である。
図13に示す実施の形態3に係る他の構成例による加湿装置1は、図12に示す実施の形態3に係る加湿装置1に対し、筐体10の前後方向の長さが長くなっており、かつ、平面部21cの水平方向に対する上方への傾斜角度が小さくなっている。
また、図13に示す加湿装置1は、図12に示す加湿装置1に対し、空気供給部4の形状が変更されている。ただし、図13に示す空気供給部4も、図12に示す空気供給部4と同様に、平面部21cの親水性の部分211に形成された液膜202の少なくとも一部に対して、衝突噴流及びコアンダ気流を加速させた状態で吹き付ける。
また、図13に示す加湿装置1は、図12に示す加湿装置1に対し、気流ガイド502(図10B参照)が省略され、空気排出部6がより前方に位置している。また、図13に示す加湿装置1は、図12に示す加湿装置1に対し、気流ガイド1301が追加されている。
気流ガイド1301は、例えば図13Bに示すように、空気供給部4の送出口の上方側の縁部と、空気排出部6の空気供給部4側の縁部とを連結する部材である。なお、図13Aでは、空気の流れを分かり易くするため、気流ガイド1301の表示を省略している。
図13に示す加湿装置1では、図12に示す加湿装置1よりも、水平方向に対する平面部21cの上方への傾斜角度が小さい。したがって、図13に示す加湿装置1では、図12に示す加湿装置1よりも、空間Tにおいて平面部21cの裏面にあたる暖房空気の空気量が増加する。これにより、図13に示す加湿装置1では、図12に示す加湿装置1よりも、平面部21cの加熱効率が向上し、液膜202の温度低下による水の蒸発速度の低下がさらに効率よく抑制される。
また、図13に示す加湿装置1では、気流ガイド1301が設けられているため、平面部21cの表面及び裏面にあたった空気が効率よく空気排出部6へ導かれ、筐体10の外部へスムーズに排出される。
なお、上記の説明では、実施の形態3に係る加湿装置1が、実施の形態1に係る加湿装置1をベースとして構成された例を説明した。しかしながら、実施の形態3に係る加湿装置1はこれに限らず、実施の形態2に係る加湿装置1をベースとして構成されてもよい。
以上のように、実施の形態3によれば、平面部21cは、平板部材で構成され、空気供給部4と対向する側の面の少なくとも一部に、親水性の部分211を有し、空気供給部4が、平面部21cの親水性の部分211に形成された液膜の少なくとも一部にあたる空気を送出し、当該空気が、平面部21cの空気供給部4と対向する側の面とは反対側の面の少なくとも一部にあたるように構成されている。これにより、加湿装置1は、実施の形態1及び実施の形態2の効果に加え、液膜202の温度低下に起因する、液膜202からの水の蒸発速度の低下を抑制可能となる。
また、実施の形態3によれば、加湿装置1は、平面部21cと、給水部3と、空気供給部4とを収容する筐体10を備え、平面部21cは、平板部材で構成され、空気供給部4と対向する側の面の少なくとも一部に、親水性の部分211を有し、平面部21cの両側方のうち少なくとも一方の端部と、筐体10の内周面との間に隙間Sが形成され、空気供給部4が、平面部21cの親水性の部分211に形成された液膜の少なくとも一部にあたる空気を送出し、当該空気が、隙間Sを経由して、平面部21cの空気供給部4と対向する側の面とは反対側の面の少なくとも一部にあたるように構成されている。これにより、加湿装置1は、実施の形態1及び実施の形態2の効果に加え、液膜202の温度低下に起因する、液膜202からの水の蒸発速度の低下を抑制可能となる。
実施の形態4.
実施の形態3では、液膜の温度低下に起因する、液膜からの水の蒸発速度の低下を抑制可能な加湿装置1について説明した。実施の形態4では、液膜の温度低下に起因する、液膜からの水の蒸発速度の低下をさらに効率良く抑制可能な加湿装置1について説明する。
図14は、実施の形態4に係る加湿装置1の構成例を示す図である。図14Aは実施の形態4に係る加湿装置1の正面図であり、図14Bは図14AにおけるA-A´線断面図である。なお、実施の形態4においても、実施の形態1と同様に、図14の上側を上方、下側を下方、左側を前方(正面)、右側を後方(背面)、手前側を左方、奥側を右方と定義する。
図14に示す実施の形態4に係る加湿装置1は、図12に示す実施の形態3に係る加湿装置1に対し、気流ガイド1401が追加されている。実施の形態4に係る加湿装置1のその他の構成については、図12に示す実施の形態3に係る加湿装置1と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
気流ガイド1401は、例えば矩形の板状部材で構成された、気流をガイドするための部材であり、空間Tの内部に設けられる。気流ガイド1401は、例えば図14Bに示すように、幅方向(左右方向)に延びる2つの長辺のうちの一方の辺が、筐体10の前方側の内周面に固定され、他方の辺が、空間Tにおいて平面部21cの裏面を向くように取り付けられる。
この場合、実施の形態4に係る加湿装置1では、実施の形態3と同様に、空気供給部4から送出された暖房空気が、隙間Sから空間Tにも流れ込む。さらに、実施の形態4に係る加湿装置1では、空間Tに流れ込んだ暖房空気は、気流ガイド1401により、平面部21cの裏面にあたるようにガイドされる。これにより、実施の形態4に係る加湿装置1では、空間Tに流れ込んだ暖房空気による平面部21cの加熱効率が向上し、液膜202の温度低下に起因する、液膜202からの水の蒸発速度の低下をさらに効率良く抑制できる。
図15は、実施の形態4に係る加湿装置1の他の構成例を示す図である。図15Aは実施の形態4に係る他の構成例による加湿装置1の正面図であり、図15Bは図15AにおけるA-A´線断面図である。
図15に示す加湿装置1は、図13に示す実施の形態3に係る他の構成例による加湿装置1に対し、気流ガイド1501及び気流ガイド1502が追加されている。
気流ガイド1501及び気流ガイド1502は、気流ガイド1401と同様に、例えば矩形の板状部材で構成された、気流をガイドするための部材であり、空間Tの内部に設けられる。
気流ガイド1501は、例えば図15Bに示すように、幅方向(左右方向)に延びる2つの長辺のうちの一方の辺が、筐体10の前方側の内周面に固定され、他方の辺が、リザーバータンク32(図4参照)の縁部に取り付けられている。
また、気流ガイド1502は、例えば図15Bに示すように、幅方向(左右方向)に延びる2つの長辺のうちの一方の辺が、水受け部材1201の左右の側面12012の上端に固定され、他方の辺が、空間Tにおいて平面部21cの裏面を向くように設けられている。
この場合でも、加湿装置1では、隙間Sから空間Tに流れ込んだ暖房空気が、気流ガイド1501及び気流ガイド1502により、平面部21cの裏面にあたるようにガイドされる。これにより、実施の形態4に係る加湿装置1では、空間Tに流れ込んだ暖房空気による平面部21cの加熱効率が向上し、液膜202の温度低下に起因する、液膜202からの水の蒸発速度の低下をさらに効率良く抑制できる。
なお、ここで示した気流ガイド1401、1501、及び1502の形状及び設置態様はあくまで一例である。気流ガイド1401、1501、及び1502は、空間Tに流れ込んだ暖房空気を平面部21cの裏面にあたるようにガイド可能であれば、上記以外の形状及び設置態様で加湿装置1に設けられてもよい。
以上のように、実施の形態4によれば、加湿装置1は、筐体10の内部空間のうち、平面部21cの空気供給部4と対向する側の面とは反対側の面が臨む空間Tに、空気供給部4から送出された空気の流れを当該反対側の面に向けてガイドする気流ガイド1401、1501、及び1502が設けられている。これにより、加湿装置1は、実施の形態1~3の効果に加え、空間Tに流れ込んだ暖房空気による平面部21cの加熱効率が向上し、液膜202の温度低下に起因する、液膜202からの水の蒸発速度の低下をさらに効率良く抑制できる。
実施の形態5.
実施の形態1~実施の形態4では、給水部3を備えた加湿装置1について説明した。実施の形態5では、給水部3をより簡易に構成するとともに、液膜の温度低下に起因する、液膜からの水の蒸発速度の低下をさらに効率良く抑制可能な加湿装置1について説明する。
図16は、実施の形態5に係る加湿装置1の構成例を示す図である。図16Aは実施の形態5に係る加湿装置1の正面図であり、図16Bは図16AにおけるA-A´線断面図である。また、図16Cは、後述する気流ガイド1602の上面図である。
図16に示す実施の形態5に係る加湿装置1は、図13に示す実施の形態3に係るその他の構成例による加湿装置1に対し、給水部3が給水部3eに変更され、気流ガイド1601及び気流ガイド1602が追加されている。また、図16に示す実施の形態5に係る加湿装置1は、図13に示す実施の形態3に係るその他の構成例による加湿装置1に対し、排水部7の位置が後方から前方に変更され、水受け部材1201の前後方向の向きも逆になっている。実施の形態5に係る加湿装置1のその他の構成については、図13に示す実施の形態3に係るその他の構成例による加湿装置1と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
給水部3eは、実施の形態1における給水部3と同様に、筐体10の内部における平面部21cの上端部に設けられており、例えば平面部21cの幅方向の一部又は全体にわたって水を供給する。
給水部3eの構成例を図17に示す。図17Aは給水部3eの正面図であり、図17Bは平面部21cの一部を含む給水部3eの側面図である。給水部3eは、例えば図17Bに示すように、給水パイプ31eと、給水スリット35とを備えている。
給水パイプ31eは、不図示の流量調整弁などの流量調整機器を介して水道管に接続されており、水道管から供給された水を給水スリット35に送る。
給水スリット35は、例えば図17Bに示すように、2枚の平板35a、35bをわずかに間隔をおいて略平行に配置して構成される。給水スリット35を構成する2枚の平板のうち、上流側(給水パイプ31e側)に配置される平板35aには、給水パイプ31eの断面形状と同形状の穴が設けられており、この穴に給水パイプ31eが接続される。また、平板35aは、下端部が平面部21cの表面に接している。
一方、下流側(空気供給部4側)に配置される平板35bは、下端部と平面部21cの表面との間に隙間を形成している。これにより、給水部3eでは、給水パイプ31eから供給された水が、給水スリット35を構成する2枚の平板35a、35bの間を流れ、さらに、平板35bの下端部と平面部21cの表面との間の隙間を通って、平面部21cの表面に供給される。
なお、実施の形態5では、給水部3eは、2枚の平板35a、35bの間の間隔を変更したり、下流側に配置される平板35bの下端部と平面部21cの表面との間に形成される隙間の大きさを変更したりすることで、平面部21cの表面に供給する水の量を調整することもできる。
なお、上記2枚の平板35a、35bのそれぞれの面のうち、他方の平板に対向する側の面は、いずれも親水性であることが好ましい。また、上記2枚の平板35a、35bの材質は、耐食性及び剛性が高いという点でステンレスが好ましいが、平板35a、35bの材質はこれに限られない。また、上記2枚の平板35a、35bの間の間隔は、例えば0.1~0.3mm程度とし、それぞれの平板35a、35bの板厚は、例えば0.1~0.5mm程度とするのが好ましい。
なお、給水部3eは、例えば図18A及び図18Bに示すように構成することもできる。図18A及び図18Bは、実施の形態5における給水部3eの他の構成例を示す図である。
例えば、図18A及び図18Bに示す給水部3eは、給水パイプ31e´と、給水量調整板36とから構成されている。
給水パイプ31e´は、例えば図18A及び図18Bに示すように、T字型に分岐した形状を呈し、幅方向(左右方向)の両側方の開口から平面部21cの表面に水を供給する。
給水量調整板36は、例えば矩形の板状部材で構成され、図18Aに示すように、平面部21cの表面に対して略直交に設けられる。または、給水量調整板36は、例えば図18Bに示すように、平面部21cの表面に対して略平行に設けられる。
図18A及び図18Bのいずれの場合でも、給水量調整板36は、平面部21cの表面との間に間隔を空けて設けられる。そして、給水部3eでは、この間隔を調整することにより、平面部21cの表面に供給する水の量及び流速を調整することができる。一例として、図18A及び図18Bの場合における、給水量調整板36と平面部21cの表面との間の間隔は、例えば0.1~0.3mm程度とするのが好ましい。
なお、給水量調整板36の材質は、耐食性及び剛性が高いという点でステンレスが好ましいが、給水量調整板36の材質はこれに限られない。また、給水量調整板36の厚さは、例えば0.1~0.5mm程度とするのが好ましい。また、図18Bに示す場合において、給水量調整板36の2つの面のうち、水に接する側の面(平面部21c側の面)は親水性であることが好ましい。
このように、実施の形態5では、給水部3eをより簡易に構成することができる。また、実施の形態5では、液膜の温度低下に起因する、液膜からの水の蒸発速度の低下をさらに効率良く抑制可能となる。
例えば、実施の形態5に係る加湿装置1では、上述のように、気流ガイド1601及び気流ガイド1602が設けられている。このうち、気流ガイド1601は、例えば矩形の板状部材で構成され、例えば図16Aに示すように、平面部21cの上流側(給水部3e側)において、平面部21cの幅方向(左右方向)の両側部に取り付けられる。
これにより、実施の形態5に係る加湿装置1では、平面部21cの上流側における、平面部21cの幅方向の両側部では、空間Tに流れ込んだ暖房空気が気流ガイド1601に堰き止められ、空間Tから排出されにくくなる。一方、給水部3eの幅方向における中央部分の上方には隙間U(図16A参照)が形成されており、空間Tに流れ込んだ暖房空気は、この隙間Uを通って空間Tから排出される。
このとき、暖房空気は、給水パイプ31e(給水パイプ31e´)にあたって空間Tから排出される。これにより、実施の形態5に係る加湿装置1では、平面部21cに加え、給水パイプ31e(給水パイプ31e´)と、この給水パイプ31e(給水パイプ31e´)の内部を流れる水とをそれぞれ加熱することができる。したがって、実施の形態5に係る加湿装置1では、液膜の温度低下に起因する、液膜からの水の蒸発速度の低下をさらに効率良く抑制可能となる。
また、気流ガイド1602は、例えば図16Cに示すように、上面視で略コ字状に形成された板状部材である。気流ガイド1602は、開口部Fを構成する2か所の縁部E1、E2の幅方向(左右方向)の長さL1、L2が、平面部21cの両側方の端部と、筐体10の内周面との間に形成された隙間Sの大きさと略同じとなっている。
そして、気流ガイド1602は、例えば図16Bに示すように、前方側の辺が筐体10の前方側の内周面に固定され、両側方の辺が筐体10の両側方の内周面に固定され、2か所の縁部E1、E2が隙間Sに嵌まるようにして、空間T内に取り付けられる。
この気流ガイド1602により、実施の形態5に係る加湿装置1では、空間Tに流れ込んだ暖房空気が、効率良く平面部21cの裏面にあたるようにガイドされる。特に、空間Tにおいて、気流ガイド1602よりも下方に流れ込んだ暖房空気は、気流ガイド1602の開口部F経由でしか上昇できないため、この開口部Fからより多くの暖房空気が上昇するようになる。これにより、実施の形態5に係る加湿装置1では、より多くの暖房空気が平面部21cの裏面にあたるようにガイドされ、平面部21cの加熱効率が向上し、液膜202の温度低下に起因する、液膜202からの水の蒸発速度の低下をさらに効率良く抑制可能となる。
なお、気流ガイド1602は、例えば図19に示すように、開口部Fの端部に、上方に延びる壁Gを有していてもよい。この場合でも、気流ガイド1602は、気流ガイド1602よりも下方に流れ込んだ暖房空気を、開口部Fを経て、平面部21cの裏面に向けて効率良くガイドすることができる。
実施の形態6.
実施の形態1~実施の形態5では、平面部21及び21cが平板部材で構成された加湿装置1について説明した。実施の形態6では、当該平面部21及び21cの他の構成例について説明する。
図20は、実施の形態6における平面部21及び21cの構成例を示す図であり、当該平面部21及び21cを短辺方向から見た断面図である。なお、図20及び以下の説明では、平面部21を例にとって説明する。
例えば、平面部21が、表面に親水性の部分211を有する場合、給水部3から供給された水は、基本的にはこの親水性の部分211に吸着するように流れ、液膜202となって平面部21の表面を流下する。したがって、平面部21は、例えば図20Aに示すように、平板状に構成されていても、幅方向の両側部から水がこぼれ落ちる可能性は低い。
一方で、空気供給部4から供給された気流の流速が大きい場合、あるいは、給水部3から供給された水の量が多い場合などでは、平面部21の幅方向の両側部から水がこぼれ落ちる可能性がある。そこで、例えば図20Bに示すように、平面部21の幅方向の両側部を略直角に折り曲げて壁を形成したり、例えば図20Cに示すように、平面部21の幅方向の両側部を湾曲させて、曲面状の壁を形成してもよい。これにより、実施の形態6では、空気供給部4から供給された気流の流速が大きい場合、あるいは、給水部3から供給された水の量が多い場合などでも、平面部21の幅方向の両側部から水がこぼれ落ちる不具合を回避可能となる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合わせ、或いは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
例えば、実施の形態1~実施の形態6において、水道水に含まれているカルシウム、マグネシウム、及びケイ素等が、水が蒸発する際にスケールとして析出して平面部21に付着してしまう場合は、給水部3から供給する水を少し多めにして洗い流すか、所定の時間ごとに洗浄のために給水部3から供給する水を増やすような制御をして、スケールの平面部21への付着を抑制するとよい。
また、実施の形態1~実施の形態6では、筐体10の外壁または内壁に断熱材が配置されているとよい。これにより、加湿装置1では、筐体10が外部に対する断熱性を有することができ、筐体10の内部の熱が外部へ逃げることによるエネルギーロスを防止できる。
また、実施の形態1~実施の形態6では、空調機のサーモオフ又はデフロスト時には、空調機から供給される暖房空気の温度が低くなり、加湿装置1による加湿量が低下する。そのため、実施の形態1~実施の形態6では、サーモオフ又はデフロスト時以外の通常運転時の加湿量を増やしておき、加湿量の低下分を補うようにしてもよい。または、サーモオフ又はデフロスト時は、空調機から供給される空気の供給量を増加させて、加湿装置1による加湿効率を向上させてもよい。
また、実施の形態1~実施の形態6では、エアクリーナーを通した後の暖房空気を空気導入部5から導入して加湿に使用することにより、カビ又は菌の繁殖によるスライムの発生を抑制することができる。また、実施の形態1~実施の形態6では、カビ又は菌の発生を抑制するために、給水部3に次亜塩素酸発生機能又は銀イオン発生機能などの抗菌水生成機能を付加し、抗菌水を流下させてもよい。
また、実施の形態1~実施の形態6では、特許文献1で示した従来例のように、給水部3から供給される水、又は平面部21及び21cを加熱する方法を併用してもよい。
また、実施の形態1~実施の形態6では、平面部21及び21cは、当該平面部21及び21cを構成する平板部材に防汚効果を持たせるために、空気供給部4と対向する面の全面に親水性の部分211を有していてもよい。また、同様に、平面部21及び21cは、空気供給部4と対向する面と、空気供給部4と対向する面とは反対側の面との両面の、少なくとも一部又は全面に、親水性の部分211を有していてもよい。
また、実施の形態3~実施の形態5では、加湿装置1が空気供給部4を1つ備え、当該空気供給部4から、平面部21cの表面の少なくとも一部にあたる空気が送出されると、当該空気が、平面部21cの裏面の少なくとも一部にあたる構成について説明した。この構成について、実施の形態3~実施の形態5では、例えば加湿装置1が空気供給部4を2つ備え、一方が平面部21cの表面の少なくとも一部にあたる空気を送出し、他方が平面部21cの裏面の少なくとも一部にあたる空気を送出するように構成されていてもよい。この場合でも、加湿装置1は、液膜202の温度低下に起因する、液膜202からの水の蒸発速度の低下を抑制可能となる。