JP2023039480A - せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ、既設コンクリート構造物のせん断補強方法 - Google Patents

せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ、既設コンクリート構造物のせん断補強方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023039480000001
【課題】せん断補強工法に用いられるせん断補強鉄筋のかぶり厚の確保の用途に適したスペーサを提供する。
【解決手段】このスペーサは、第一面と、スペーサが埋設される削孔部の深さ方向に関して第一面と反対側に位置する第二面と、第一面と第二面とを削孔部の深さ方向に連絡する側面と、側面のうち、少なくとも深さ方向に見て最も外径の大きい第一領域に位置する側面上に実質的に深さ方向に沿って形成された溝部とを備える。少なくとも第一領域に位置するスペーサの側面は、削孔部の深さ方向と実質的に平行な方向に延在している。
【選択図】図2

Description

本発明は、せん断補強鉄筋工法の実施の際に切削孔に挿入されるせん断補強鉄筋に対して、所定のかぶり厚を確保させるためのスペーサに関する。また、本発明は、このスペーサを用いて行われる既設コンクリート構造物のせん断補強方法に関する。
従来、既設コンクリート構造物に対する耐震補強方法として、せん断補強鉄筋工法が知られている。せん断補強鉄筋工法とは、既設構造物の表面に孔を形成し、その内部に鋼材を埋め込むことで、せん断応力を高める方法である(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開2014-181473号公報 特開2015-218465号公報
せん断補強工法を実施する際には、既設コンクリート構造物に設けられた切削孔に、補強用の鋼材としての鉄筋が挿入される場合が多い。しかし、鉄筋が外気に接触する状態に置かれると、錆等による腐食が進行する。このため、鉄筋の端部が露出することのないよう、鉄筋の全体を切削孔内に完全に位置させた上で、所定の充填材(補修材)が充填される。
ところで、耐震補強のために既設構造物に対してせん断補強工法を行うに際しては、既設構造物の大きさによっては、構造物に対して数百本以上の補強用鉄筋を挿入することがある。このため、全ての箇所に補強用鉄筋を適切に挿入させるためには、補強用鉄筋のかぶり厚を簡易な方法で確保できることが好ましい。
本発明者らは、この観点から、せん断補強工法を行うに際して、せん断補強鉄筋に対するかぶり厚を確保するために、スペーサを利用することを新たに検討した。この検討の結果、せん断補強工法の実施にスペーサを利用するにあたっては、コンクリート構造物を新設する際に鉄筋のかぶり厚を確保する目的でスペーサを利用する場合とは異なる新たな課題を着想するに至った。より詳細には、スペーサの形状や構造によっては、補修材の硬化過程でスペーサの位置が変動し、場合によってはスペーサの端部が構造物の壁面から突出したり、スペーサが補修材に対して十分に密着できない事象が起こり得ることを新たに突き止めた。
本発明は、上記の課題に鑑み、特にせん断補強工法に用いられるせん断補強鉄筋のかぶり厚の確保の用途に適したスペーサを提供することを目的とする。また、本発明は、このようなスペーサを用いた、既設コンクリート構造物のせん断補強方法を適用することを目的とする。
本発明は、せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサであって、
第一面と、
前記スペーサが埋設される削孔部の深さ方向に関して前記第一面と反対側に位置する第二面と、
前記第一面と前記第二面とを、前記削孔部の前記深さ方向に連絡する側面と、
前記側面のうち、少なくとも前記深さ方向に見て最も外径の大きい第一領域に位置する前記側面上に、実質的に前記深さ方向に沿って形成された溝部とを備え、
少なくとも前記第一領域に位置する前記側面は、前記削孔部の前記深さ方向と実質的に平行な方向に延在していることを特徴とする。
スペーサの最も外径の大きい箇所(第一領域)の側面を、削孔部の深さ方向と実質的に平行とすることで、補修材の硬化過程で埋設されたスペーサが削孔部内で移動しにくくなる。ここで、実質的に平行であるとは、削孔部の深さ方向と、スペーサの第一領域の側面の延在方向とがなす角度が、±10°以内である場合を指すものとしてよく、±7°以内であればより好ましく、±5°以内であれば特に好ましい。
更に、上記のスペーサによれば、最も外径の大きい第一領域内の側面には、深さ方向に沿った溝部が形成されている。このため、仮にスペーサの第一領域における外径が、削孔部の内径に限りなく近い場合であっても、補修材をこの溝部に沿って深さ方向に浸透させることができ、補修材とスペーサの密着性が高められる。更に、この溝部が設けられることで、当該溝部内に留められた補修材によって、スペーサと削孔部との密着性が高められる。
前記深さ方向に見たときに、前記第一領域の外径は、前記削孔部の内径の0.7倍~0.98倍であるのが好ましい。
このような寸法で形成されたスペーサを削孔部内に埋設させることで、補修材の硬化過程でスペーサの位置が削孔部内で移動するという現象が、更に生じにくくなる。
前記スペーサは、前記深さ方向に見たときに、前記第一領域は、周方向に離間した3以上の箇所で、前記削孔部の内壁面に向かって突出する突出部を有し、
前記溝部は、少なくとも前記突出部に形成されているものとしても構わない。
上記構成によれば、少なくとも3箇所において削孔部の内側面とスペーサの外周面とを近接させることができる。このため、補修材の硬化過程においても、削孔部内でスペーサの位置を安定化させる作用が高められる。
前記スペーサは、前記深さ方向に関して前記第一領域に隣接した第二領域に、前記深さ方向の位置に応じて外径が逓減するテーパ部を有し、
前記第一領域は、前記第一面を含む領域であり、
前記第一領域の外径は、前記深さ方向の位置に応じて実質的に均一であるものとしても構わない。
上記構成によれば、スペーサがテーパ部を有していることで、スペーサを削孔部内に挿入する際の作業が容易化される。また、スペーサの外径が大きい第一領域は、テーパ部が形成されている領域(第二領域)に対して深さ方向に隣接した位置であって、この第一領域は、深さ方向の位置に応じて実質的に均一となっている。つまり、スペーサの外側面と、削孔部の内側面とが最も近接している領域が、深さ方向に関して一定距離以上確保される。この結果、補修材の硬化過程においても、削孔部内でスペーサの位置を安定化させる作用が高められる。
なお、上記において、第一領域の外径が深さ方向の位置に応じて実質的に均一であるとは、変動幅が外径の5%未満程度の微小な変動が許容される意図である。
スペーサがテーパ部を備える場合、テーパの向き、すなわち外径が逓減する方向は、コンクリート構造物の壁面側(手前側)に向かっていても構わないし、コンクリート構造物の内部側(奥側)に向かっていても構わない。
つまり、第一の態様として、テーパ部が形成されている第二領域に隣接した位置である第一領域に属する面(前記第一面)が、せん断補強鉄筋に対して直接又は治具を介して接触される面であっても構わない。この場合、テーパの向きすなわち外径が逓減する方向は、コンクリート構造物の壁面側(手前側)に向かう。
また、第二の態様として、テーパ部が形成されている第二領域に属する面(前記第二面)が、せん断補強鉄筋に対して直接又は治具を介して接触される面であっても構わない。この場合、テーパの向きすなわち外径が逓減する方向は、既設コンクリート構造物の内部側(奥側)に向かう。
なお、第一の態様の場合は、切削孔内にスペーサを埋設した後に、補修材を充填させるのが好適である。これにより、補修材がテーパ部の側面と切削孔との間の空間を通じて深さ方向に関して、既設コンクリート構造物の内部に浸透しやすくなる。
一方、第二の態様の場合は、切削孔内に補修材を充填させた後にスペーサを埋設するのが好適である。これにより、スペーサが埋設されることで、すでに充填された補修材がテーパ部の側面と切削孔との間の空間を通じて押し出され、深さ方向に関して既設コンクリート構造物の壁面側(手前側)に浸透しやすくなる。
前記スペーサは、リーダ又はリーダライタとの間で通信可能なICタグが内蔵されているものとしても構わない。
補修材が充填された後は、せん断補強鉄筋は完全にコンクリート構造物内に埋設されているため、その内部を確認することができない。しかし、上記のように、ICタグが内蔵されたせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサが利用されることで、せん断補強作業の施工後に、コンクリート構造物に対してリーダ又はリーダライタを近づけてICタグを読み取ることで、せん断補強鉄筋に適切なかぶり厚が確保されていることを容易に確認でき、管理の利用に供することができる。
本発明に係る既設コンクリート構造物のせん断補強方法は、
上述したせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサを準備する工程(a)と、
既設コンクリート構造物を深さ方向に切削して削孔部を形成する工程(b)と、
前記削孔部の内底を含む領域に定着材を充填する工程(c)と、
前記深さ方向に関して前記削孔部の開口面よりも前記内底側に完全に収容されるように、前記開口面から前記内底に向かって、前記深さ方向にせん断補強鉄筋を挿入する工程(d)と、
前記工程(b)~(d)の実行後に、前記工程(a)で準備された前記せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサを、前記削孔部内の前記せん断補強鉄筋と前記開口面との間の領域に位置させる工程(e)と、
前記工程(b)~(d)の実行後であって、前記工程(e)の実行前又は実行後に、前記削孔部内の前記せん断補強鉄筋と前記開口面との間の領域に補修材を充填する工程(f)とを有することを特徴とする。
上記方法によれば、スペーサを削孔部内の所望の位置で安定的に保持しつつ、せん断補強鉄筋に対して適切なかぶり厚を確保できる。
本発明によれば、簡易な方法で、せん断補強鉄筋に対して適切なかぶり厚を確保できる。
既設コンクリート構造物に対してせん断補強を行う手順を模式的に示す概念図である。 既設コンクリート構造物に対してせん断補強を行う手順を模式的に示す概念図である。 定着用治具が付設されたせん断補強鉄筋を、スペーサと共に模式的に図示した図面である。 定着用治具が付設されていないせん断補強鉄筋を、スペーサと共に模式的に図示した図面である。 せん断補強鉄筋のかぶり厚を説明するための図面である。 スペーサに内蔵されたICタグと、リーダライタとの通信状態を模式的に示す図面である。 ICタグを内蔵したスペーサの製造方法の一例を模式的に示す図面である。 ICタグを内蔵したスペーサの製造方法の一例を模式的に示す図面である。 スペーサの第一実施形態の形状を模式的に示す斜視図である。 スペーサの第一実施形態の形状を模式的に示す平面図である。 スペーサに形成された溝部の形状の一例を模式的に示す断面図である。 スペーサに形成された溝部の別の形状の一例を模式的に示す断面図である。 スペーサに形成された溝部の更に形状の一例を模式的に示す断面図である。 スペーサの外径と削孔部の内径との関係を説明するための図面である。 スペーサの第二実施形態の形状を模式的に示す平面図である。 スペーサの第三実施形態の形状を模式的に示す斜視図である。 スペーサの第三実施形態の形状を模式的に示す平面図である。 スペーサの第四実施形態の形状を模式的に示す平面図である。 削孔部内に埋設されるスペーサの向きを説明するための図面である。 削孔部内に埋設されるスペーサの向きを説明するための別の図面である。 実施例1及び実施例2のスペーサが埋設されたコンクリート供試体の模式的な上面図である。 参考例1のスペーサが埋設されたコンクリート供試体の模式的な上面図である。 実施例1及び実施例2のスペーサが埋設されたコンクリート供試体の模式的な断面図である。 参考例1のスペーサが埋設されたコンクリート供試体の模式的な断面図である。
本発明に係る、せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ、及び既設コンクリート構造物のせん断補強方法の実施形態につき、以下において図面を参照しながら説明する。ただし、以下の図面は模式的に図示されたものであり、実際の寸法比と図面上の寸法比は必ずしも一致しておらず、図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
図1~図2は、既設コンクリート構造物に対してせん断補強を行う手順を模式的に示す概念図である。図1~図2に示すように、以下では、既設コンクリート構造物1(以下、「既設構造物1」と略記する。)に対して挿入されるせん断補強鉄筋5の延伸方向をX方向とし、既設構造物1の高さ方向(典型的には鉛直方向)をY方向とする。
以下の説明では、方向を表現する際に正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。
[せん断補強方法]
まず、本発明に係るせん断補強方法の実施形態について、図面を参照して説明する。その後、本発明に係るせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサの実施形態について、図面を説明する。
(ステップS1)
本発明に係るせん断補強方法の実行に際しては、図6A~図12を参照して後述される、せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ10(以下、単に「スペーサ10」と略記する。)が利用される。このため、せん断補強を行う対象となる既設構造物1(図1参照)に対する作業を行う前に、予めスペーサ10が準備される。
なお、本実施形態のスペーサ10は、図5を参照して後述するように、リーダ又はリーダライタ(以下、「リーダライタ40」と総称する)との間で通信可能なICタグ30が内部に内蔵されている。
このステップS1が工程(a)に対応する。
(ステップS2)
既設構造物1に対してせん断補強を行うに際しては、まず、図1に示すように、既設構造物1に対して壁面1a側から深さ方向(X方向)に向かう、有底の削孔部3を形成する。削孔部3の形成に際しては、コアドリル等の穿孔装置や、ウォータージェット等の高圧水噴射装置を利用することができる。
削孔部3は、その後にせん断補強鉄筋5を埋設する目的で設けられる。そのため、既設構造物1内に設けられている主筋や配力筋を避けた場所に削孔部3を形成する必要がある。したがって、削孔部3を形成する前に、例えばRCレーダ等の電磁波を利用した鉄筋探査装置によって、主筋や配力筋の設置箇所を事前に把握しておくのが好ましい。
なお、削孔部3を形成する際には、壁面1aに近い位置、すなわち開口面に近い箇所の削孔部3の内径を広くする拡幅処理を行ってもよい。また、削孔部3の形成後には、必要に応じてエアコンプレッサ等を用いて高圧空気を削孔部3内に送り込み、削孔部3内の削孔屑等の異物を除去するものとしてもよい。
このステップS2が工程(b)に対応する。
(ステップS3)
次に、図2に示すように、削孔部3内に、後からせん断補強部材としてのせん断補強鉄筋5が挿入された状態においても、削孔部3の開口面を通じて外側に溢れ出ない程度の量の定着材(グラウト材)7を注入する。この工程により、定着材7は、削孔部3内の内底3aを含む所定の領域に充填される。定着材7としては、モルタル、セメントミルク(セメントと水の混練体)、又は樹脂が好適に利用でき、この中ではモルタルが特に好ましい。後のステップS4において、定着材7が内部に注入された状態の削孔部3内にせん断補強鉄筋5を挿入するため、定着材7としては、硬化前の状態では流動性が高く、その後の時間経過と共に硬化される性質を有する材料が用いられる。
このステップS3が工程(c)に対応する。
(ステップS4)
次に、図2に示すように、削孔部3内に+X方向の向きにせん断補強鉄筋5を挿入する。せん断補強鉄筋5は、ステップS3で注入された定着材7を押しのけながら、削孔部3内を+X方向に侵入する。
なお、図2の例では、せん断補強鉄筋5の長手方向の両端に定着用の治具(5a,5b)が付設されている構造が示されているが、図3A~図3Bを参照して後述されるように、この治具(5a,5b)の有無は任意である。せん断補強鉄筋5は、-X側の端部(治具5aが付設されている場合には治具5a)が、削孔部3内に完全に収容される位置まで挿入される。より詳細には、次のステップS5においてせん断補強鉄筋5の-X側に隣接した位置にスペーサ10を完全に埋設するための空間を確保できる位置まで、せん断補強鉄筋5は深さ方向(+X方向)に挿入される。
このステップS4が工程(d)に対応する。
(ステップS5)
次に、図2に示すように、削孔部3内にスペーサ10を挿入する。このスペーサ10は、上述したステップS1において準備されたものである。
スペーサ10は、せん断補強鉄筋5の-X側の端部(治具5aが付設されている場合には治具5a)に当接されるまで、スペーサ10が挿入される。このスペーサ10は、-X側の端部が既設構造物1の壁面1a側に露出することのないように挿入される。
図3Aに示すように、せん断補強鉄筋5に治具(5a,5b)が付設されている場合には、スペーサ10の+X側の端面(第一面11)が、治具5aに当接される。また、図3Aに示すように、せん断補強鉄筋5に治具(5a,5b)が付設されていない場合には、スペーサ10の+X側の端面(第一面11)が、せん断補強鉄筋5の-X側の端部に当接される。
図9を参照して後述されるように、スペーサ10は、深さ方向(X方向)に直交する面方向の最大外径が、削孔部3の同方向の内径に対してある程度の比率を有するような形状である。好ましくは、スペーサ10の前記最大外径は、削孔部3の内径の0.7倍~0.98倍であり、より好ましくは、0.8倍~0.98倍である。言い換えれば、スペーサ10が削孔部3内に挿入されると、スペーサ10の外径の最も大きい箇所は、削孔部3の内壁に極めて近接した状態である。
このステップS5が工程(e)に対応する。
(ステップS6)
次に、図2に示すように、削孔部3内の残りの空間に補修材8を充填し、削孔部3の開口面を既設構造物1の壁面1aと連続させることで、開口面を塞ぐ。補修材8は、定着材7と同じ材料であっても異なっていても構わない。ただし、補修材8は、定着材7とは異なり、既設構造物1の壁面1aとの連続性を確保する目的で注入されるため、その一部が外に露出される。かかる観点から、大気に接触しても安定的な性質を示す材料であることが好ましい。好適には、モルタル又はセメントミルクが利用される。
なお、特に補修材8として、定着材7と共通の材料が用いられる場合には、図2において、補修材8と定着材7とは一体化されているものとして構わない。
このステップS6が工程(f)に対応する。
なお、スペーサ10を埋設させるステップS5と、補修材8を注入するステップS6とは、その順序を逆転させても構わない。つまり、補修材8を先に注入してからスペーサ10を削孔部3内に埋設させてもよい。この場合、スペーサ10を深さ方向(X方向)に侵入させることで、補修材8の一部が押し出されて、スペーサ10と削孔部3との間の空間を通じて既設構造物1の壁面1a側(すなわち削孔部3の開口面側)に向かう。これにより、補修材8が削孔部3の開口面を覆い、補修される。なお、削孔部3の外側に位置する既設構造物1の壁面1a上に付着した一部の補修材8は、露出量に応じて適切に除去されるものとして構わない。
上記ステップS1~S6を経て、既設構造物1内に、鉛直方向(Y方向)とは異なる方向(ここではX方向)にせん断補強鉄筋5が挿入されるため、既設構造物1に対するせん断耐力が上昇し、耐震性が高められる。
また、ステップS5においてスペーサ10が埋設されているため、せん断補強鉄筋5は、少なくともスペーサ10のX方向に係る長さ分だけ、かぶり厚が確実に確保される。作業の際には、ステップS5において、スペーサ10を埋設するための長さ分だけせん断補強鉄筋5を挿入し、その後のステップS6においてスペーサ10を埋設するだけでよい。このため、複雑な作業は不要である。
なお、せん断補強鉄筋5のかぶり厚とは、施工後における、せん断補強鉄筋5の既設構造物1の、壁面1aに近い側(-X側)の端部と、既設構造物1の壁面1aとの距離L5である(図4参照)。なお、図4に示すように、せん断補強鉄筋5の端部に治具(5a,5b)が付設されている場合には、この治具の-X側の端面と既設構造物1の壁面1aとの距離L5をもって、せん断補強鉄筋5のかぶり厚として構わない。また、せん断補強鉄筋5の端部に治具(5a,5b)が付設されていない場合には、せん断補強鉄筋5の自体の-X側の端面と既設構造物1の壁面1aとの距離L5をもって、せん断補強鉄筋5のかぶり厚として構わない。
(ステップS7)
更に、本実施形態のように、スペーサ10がICタグ30を備えることで、せん断補強鉄筋5が適切なかぶり厚が確保された状態で埋設されていることを、既設構造物1の壁面1aの外側から容易に確認できる。
すなわち、図5に示すように、ステップS1~S6の作業が完了した後、リーダライタ40を既設構造物1の壁面1aに近づける。既設構造物1内に、上記ステップS1~S6の手順を経てせん断補強鉄筋5が埋設されている場合には、スペーサ10に内蔵されたICタグ30との間で通信W1が可能となる。この結果、ICタグ30に記載された情報がリーダライタ40によって読み取られ、適切なかぶり厚が確保された状態でせん断補強鉄筋5が埋設されていることを確認できる。
かかる観点から、ICタグ30には、予めかぶり厚、せん断補強鉄筋5の仕様、埋設位置、作業日等に関する情報等が記載されているものとしても構わない。なお、ICタグ30に記載される情報は、管理に利用可能な情報であれば上記の例に挙げた情報以外のものを含んでも構わないし、上記の例に挙げた情報の一部を含むものとしても構わない。
なお、このステップS7は、上記のステップS1~S6に係るせん断補強作業が完了した直後に、確認のために行われるものとしても構わないし、上記作業が完了してから所定の日数が経過した後に、点検等を目的として行われるものとしても構わない。
[せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ]
次に、上記せん断補強方法で利用されるスペーサ10の構造について、図面を参照して説明する。
図6A~図6Bは、スペーサ10がICタグ30を内蔵する場合における、スペーサ10の製造方法の一例を模式的に示す図面である。
スペーサ10の本体は、モルタル、セラミックス、又はプラスチック等で形成され、モルタル又はセラミックスであるのが好ましい。スペーサ10の本体をモルタルで形成する場合には、高強度モルタルが好適に利用される。スペーサ10の本体をセラミックスで形成する場合には、Al23やZrO2が好適に利用される。
スペーサ10の形状については、柱状体、柱状体と錐台体とが結合された形状等が利用可能である。スペーサ10の詳細な形状については、後述される。
スペーサ10を製造するに際しては、例えば、図6Aに示すように2つの部分スペーサ(10A,10B)を接着する方法が利用できる。一方の部分スペーサ10Aの一方の面10a側に、ICタグ30を埋め込むための孔部31を設けておき、この孔部31内にICタグ30を設置する。その後、他方の部分スペーサ10Bの面10bと、部分スペーサ10Aの面10aとを例えばモルタル等を介して接着させる。これにより、図6Bに示すように、ICタグ30が内蔵されたスペーサ10が得られる。
ICタグ30としては公知のものを利用でき、リーダライタ40(図5参照)を用いて、電源供給と同時にメモリへの書込みと読取りが行えるものであればよい。ICタグ30によって送受信される電波の周波数帯は、一般的な数百kHz~3GHzを利用できる。
ICタグ30は、不図示のアンテナを内蔵しており、このアンテナによってリーダライタ40からの電波を受信する。図5を参照して上述したように、スペーサ10に内蔵されたICタグ30は、既設構造物1の壁面1aの外側に位置するリーダライタ40から、電波を受信する。このため、受信に必要な電波感度を確保する観点から、既設構造物1の壁面1aに近い側、すなわち図6Bにおける第二面12からの、ICタグ30の埋設深さd30はある程度の範囲内に制限される。好適には、削孔部3の深さ方向(すなわちX方向)と平行な方向に係るスペーサ10の長さをd10とすると、ICタグ30の埋設深さd30は、d30<0.6×d10に設定されるのが好ましい。また、d30<0.2×d10の場合には、スペーサ10自体の強度が小さくなるおそれがある。よって、ICタグ30の埋設深さd30は、0.2×d10<d30<0.6×d10と設定されるのが好ましい。
また、受信感度を高める観点から、ICタグ30の受信面は、削孔部3の開口面(図1参照)と実質的に平行となるように設置されるのが好ましい。より詳細には、第一面11又は第二面12とほぼ平行な面上にICタグ30が内蔵された状態のスペーサ10が、第一面11又は第二面12に直交する方向に沿って削孔部3内に挿入されるのが好ましい。
[第一実施形態]
図7A~図7Bは、スペーサ10の第一実施形態の形状を模式的に示す図面であり、図7Aは斜視図、図7Bは平面図に対応する。なお、図7Bは、スペーサ10を異なる2方向から見たときの平面図が併記されている。図7Bにおいて、(a)は、図2に示す図面と同じ方向からスペーサ10を見たときの平面図であり、側面図に対応する。また、図7Bにおいて、(b)は、削孔部3の深さ方向すなわちX方向からスペーサ10を見たときの平面図であり、上面図に対応する。
図7A~図7Bに示すスペーサ10は、ほぼ円柱形状を呈している。すなわち、X方向の位置によらずその外径はほぼ共通である。したがって、スペーサ10を削孔部3の深さ方向(X方向)に見たときに、その外径が最も大きい領域(「第一領域21」という。)は、X方向に関してスペーサ10の全域に対応している。
スペーサ10は、第一領域21内において、X方向に沿って延伸する溝部14がスペーサ10の側面13に設けられている。上述したように、図7A~図7Bに示すスペーサ10の場合、第一領域21は、X方向に係るスペーサ10の全域に対応するため、溝部14はX方向の全域にわたって設けられている。ただし、この溝部14は、スペーサ10の周方向に関しては離間した位置に複数形成されている(図7B参照)。
溝部14の形状は、任意である。例えば、図8Aに示すように溝部14の底面及び内側面が全体的に曲面であっても構わないし、図8Bに示すように一部の側面が平面状であっても構わないし、図8Cに示すように溝部14の底面及び内側面が全体的に平面であっても構わない。また、溝部14の幅も任意であるが、典型的な一例としては1mm~3mm程度である。後述される第二実施形態以下においても同様である。
図9は、削孔部3の内径とスペーサ10の外径の関係を説明するための図であり、スペーサ10を削孔部3に埋設させたときの様子を、深さ方向(X方向)に見たときの図面に対応する。ただし、図9では、説明の都合上、定着材7や補修材8の図示が省略されている。
スペーサ10の第一領域21における外径D21は、削孔部3の内径D3に対して、好ましくは0.7倍~0.98倍であり、より好ましくは、0.8倍~0.98倍である。つまり、スペーサ10の外径が最も大きい箇所では、削孔部3の内側面に対してほぼ近接しつつも、一部の空間が確保されている。よって、この空間を通じて補修材8の一部がX方向に移動することができる。
更に、図7B(b)に示すように、スペーサ10の第一領域21においては、側面13上に、X方向に延伸する溝部14が形成されている。このため、溝部14を通じて補修材8の一部がX方向に侵入・移動しやすい。そして、この溝部14内にも補修材8が留められるため、スペーサ10と削孔部3の内壁との間が、補修材8を介して安定的に固着される。
[第二実施形態]
図10は、第二実施形態のスペーサ10を、図7Bにならって図示したものである。本実施形態のスペーサ10は、側面13上の周方向に離間した複数の位置において、径方向に突出する突出部15が形成されている。この場合、突出部15が形成されている位置におけるスペーサ10の外径D21が、削孔部3の内径D3に対して、好ましくは0.7倍~0.98倍である。突出部15は、周方向に離間した3箇所以上の位置に設けられているのが好ましい。
図10に示す形状の場合には、この突出部15が形成されている箇所のスペーサ10の側面13上に、X方向に延伸する溝部14が形成されている。
図10に示す形状の場合、突出部15が形成されていない箇所においては、スペーサ10の側面13と削孔部3の内壁との間に空間が確保される。このため、この空間を通じて補修材8の一部がX方向に移動できる。そして、図10(b)に示すように、スペーサ10の側面13と削孔部3の内壁とが最も近接する位置に対応する突出部15には、その側面13上にX方向に延伸する溝部14が形成されている。このため、溝部14を通じて補修材8の一部がX方向に侵入・移動しやすい。そして、この溝部14内にも補修材8が留められるため、スペーサ10と削孔部3の内壁との間が、補修材8を介して安定的に固着される。
[第三実施形態]
図11A~図11Bは、スペーサ10の第三実施形態の形状を模式的に示す図面であり、図7A~図7Bにならって図示したものである。すなわち、図11Aはスペーサ10の斜視図に対応し、図11Bはスペーサ10の平面図に対応する。なお、図11Bは、スペーサ10を異なる2方向から見たときの平面図が併記されており、その図示方法は、図7Bと共通である。
図11A~図11Bに示すスペーサ10は、ほぼ円柱形状を呈した第一領域21と、この第一領域21に隣接して外径が逓減する第二領域22とを有する。つまり、スペーサ10の側面13は、X方向の位置にかかわらず外径がほぼ均一な柱状側面部13aと、X方向の位置に応じて外径が逓減するテーパ部13bとを有している。
この実施形態のスペーサ10の場合、柱状側面部13aを有する第一領域21は、深さ方向(X方向)に見て最も外径の大きい領域であり、テーパ部13bを有する第二領域22は、第一領域21よりも外径が縮小されている。テーパ部13bの最小外径は任意だが、スペーサ10の強度維持の観点から、最大外径(柱状側面部13aの外径)の50%以上であるのが好ましい。なお、図11Aに示す例では、ICタグ30がスペーサ10の第二領域22内に埋設されている場合が図示されているが、第一領域21と第二領域22のそれぞれのX方向に係る長さを適切に設定することで、スペーサ10の第一領域21内に埋設させることも可能である。
本実施形態のスペーサ10は、第一領域21内において、X方向に沿って延伸する溝部14がスペーサ10の側面13に設けられている。一方、スペーサ10の第二領域22内には側面13に溝部14が形成されてない。ただし、本実施形態において、第二領域22内の側面13に溝部14を形成する構成を排除するものではない。
本実施形態のスペーサ10の場合、第二領域22においては第一領域21よりも外径が縮小されている。このため、第二領域22内においては、スペーサ10の側面13と削孔部3の内壁との間に空間が確保されている。よって、この空間を通じて補修材8の一部がX方向に移動することができる。
一方、スペーサ10の外径の大きい領域である第一領域21においては、側面13上、すなわち柱状側面部13a上に、X方向に延伸する溝部14が形成されている。このため、溝部14を通じて補修材8の一部がX方向に侵入・移動しやすい。そして、この溝部14内にも補修材8が留められるため、スペーサ10と削孔部3の内壁との間が、補修材8を介して安定的に固着される。
スペーサ10の外径の大きい領域である第一領域21は、図12(a)に示すように、X方向に関して一定程度の距離が確保されている。このため、削孔部3内においてスペーサ10の外側面と削孔部3の内壁との間が近接する箇所が、X方向に関してある程度の領域にわたって確保される。よって、本実施形態のスペーサ10のように、側面13がテーパ部13bを有する形状であっても、第一実施形態や第二実施形態のスペーサ10と同様に、削孔部3内における移動自由度は極めて低い。
[第四実施形態]
図12は、第四実施形態のスペーサ10を、図10にならって図示したものである。本実施形態のスペーサ10は、第三実施形態のスペーサ10と同様に、ほぼ円柱形状を呈した第一領域21と、この第一領域21に隣接して外径が逓減する第二領域22とを有する。更に、本実施形態のスペーサ10は、第二実施形態のスペーサ10と同様に、周方向に離間した複数の位置に突出部15が形成されている。ただし、この突出部15が第二領域22内には形成されていない点が、第二実施形態とは異なる。
本実施形態のスペーサ10においても、第三実施形態と同様に、第二領域22においては第一領域21よりも外径が縮小されている。このため、第二領域22内においては、スペーサ10の側面13と削孔部3の内壁との間に空間が確保されている。よって、この空間を通じて補修材8の一部がX方向に移動することができる。
そして、第一領域21のうち、突出部15が形成されていない箇所においては、スペーサ10の側面13と、削孔部3の内壁との間には空間が確保される。このため、この空間を通じて形成されている。補修材8の一部がX方向に移動することができる。
更に、図12(b)に示すように、第一領域21のうち、スペーサ10の側面13と削孔部3の内側面とが最も近接する位置に対応する突出部15には、その側面13上にX方向に延伸する溝部14が形成されている。このため、溝部14を通じて補修材8の一部がX方向に侵入・移動しやすい。そして、この溝部14内にも補修材8が留められるため、スペーサ10と削孔部3の内壁との間が、補修材8を介して安定的に固着される。
なお、第三実施形態及び第四実施形態のスペーサ10のように、外径がほぼ均一な第一領域21と、外径が逓減する第二領域22を有する場合、ステップS5において、第一領域21がせん断補強鉄筋5側となるようにスペーサ10を挿入しても構わないし(図13A参照))、逆に、第二領域22がせん断補強鉄筋5側となるようにスペーサ10を挿入しても構わない(図13B参照)。
ただし、図13Aの向きにスペーサ10を埋設させる場合には、スペーサ10を埋設させるステップS5の実行後に、補修材8を注入するステップS6を実行するのが好ましい。これにより、補修材8がスペーサ10の第二領域22の側面(テーパ部13b)と削孔部3の内壁との間の空間を通じて、せん断補強鉄筋5側に向かって侵入しやすくなる。
一方、図13Bの向きにスペーサ10を埋設させる場合には、補修材8を注入するステップS6を実行した後に、スペーサ10を埋設させるステップS5を実行するのが好ましい。図13Bの向きにスペーサ10を埋設させた場合には、削孔部3の内壁とスペーサ10の外壁とが最も近接した箇所が、既設構造物1の壁面1aに近い箇所となるため、スペーサ10を埋設させた後に補修材8を注入すると、補修材8が+X方向に係る奥まで侵入しにくい可能性があるためである。一方で、先に補修材8を注入しておき、後にスペーサ10を挿入することで、スペーサ10によって押し出された補修材8の一部が、スペーサ10のテーパ部13bと削孔部3の内壁との間の空間を通じて露出面側(-X方向)に進みやすい。これによって、削孔部3内において、スペーサ10よりも-X側の位置にも補修材8を浸透させることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1のスペーサ10を作製した。このスペーサ10は、上述した第一実施形態のスペーサ10と同形状であり、外径が3.5cm、X方向に係る長さが5.0cmであった。また、スペーサ10に内蔵されているICタグ30の位置は、第一面11からの深さ位置が2.5cmの箇所とされた。
(実施例2)
外径が4.9cmである点を除いて、実施例1と同様の条件で実施例2のスペーサ10を作製した。
(参考例1)
外径が3.0cmである点を除いて、実施例1と同様の条件で参考例1のスペーサ70を作製した。
[検証方法]
底面及び上面が直径10cm四方の矩形状で高さが40cmの、柱形状のコンクリート供試体を準備し、上面の中央に直径5cmで深さ20cmの削孔部3を設けた。この削孔部3内に、直径13mm×長さ15cmの異型鉄筋を、その一端が削孔部3の底部に当接するまで挿入した後、定着材7としてのモルタルを、前記鉄筋の他端が隠れない程度にまで充填した。
次に、鉄筋の他端に上記実施例1、実施例2、及び参考例1のそれぞれのスペーサ(10,10,70)を当接させた後、補修材8としてのモルタルで削孔部3内を充填させた。その後、28日養生した。
28日経過後に、実施例1、実施例2、及び参考例1のスペーサ(10,10,70)が埋設された各コンクリート供試体に対して、それぞれ以下の確認作業を行った。
(確認1)
コンクリート供試体の施工部表面の状態を観察した。実施例1及び実施例2の場合、スペーサ10は、その外側面が、削孔部3の内壁面に対してほぼ同等の離間を有した状態で位置していた(図14A参照)。これに対し、参考例1の場合、スペーサ70は削孔部3内においてY方向に関して移動した状態で固定されていた(図14B参照)。
更に、参考例1の場合、スペーサ10の一部がコンクリート供試体の壁面1a(上面に対応)から-X方向に突出していた(図15B参照)。これに対し、実施例1及び実施例2の場合、スペーサ10は、削孔部3内に留まった状態で保持されていた(図15A参照)。
(確認2)
実施例1、実施例2、及び参考例1のスペーサ(10,10,70)が埋設された各コンクリート供試体に対して、図5と同様にリーダライタ40を近付けて通信させた。この結果、いずれの場合もスペーサ10に内蔵されたICタグ30との間で正常に通信が行え、ICタグ30に記載された情報が読み取られた。
(確認3)
実施例1、実施例2、及び参考例1のスペーサ(10,10,70)が埋設された各コンクリート供試体を、XY平面に平行な面で切断し、切断面を観察した。この結果、参考例1の場合には、図15Bに示すように、スペーサ70が傾いた状態で固定されていることが確認された。また、削孔部3の内壁とスペーサ70の外側面の間には一部の空隙が確認された。これに対し、実施例1及び実施例2の場合には、図15Aに示すように、スペーサ10が削孔部3の深さ方向(X方向)にほぼ平行な状態を維持したまで固定されていることが確認された。
この結果から、外径が、削孔部3の内径の0.6倍と比較的小さいスペーサ70を用いた参考例1の場合、モルタルの硬化過程でスペーサ70が削孔部3内で移動したものと推察される。これに対し、外径が削孔部3の内径の0.7倍のスペーサ10を用いた実施例1、外径が削孔部3の内径の0.98倍のスペーサ10を用いた実施例2の場合には、スペーサ10の外壁と削孔部3の内壁との間の空間が比較的狭いことから、モルタルの硬化過程でもスペーサ70が削孔部3内で移動しにくく、硬化前の状態で保持されたものと推察される。
[別実施形態]
上記実施携帯では、スペーサ10がICタグ30を内蔵する場合について説明した。しかし、本発明は、スペーサ10がICタグ30を内蔵しない場合を排除するものではない。
1 :既設コンクリート構造物
1a :壁面
3 :削孔部
3a :内底
5 :せん断補強鉄筋
5a,5b :治具
7 :定着材
8 :補修材
10 :せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ
10A,10B :部分スペーサ
11 :第一面
12 :第二面
13 :側面
13a :柱状側面部
13b :テーパ部
14 :溝部
15 :突出部
21 :第一領域
22 :第二領域
30 :ICタグ
31 :孔部
40 :リーダライタ
70 :参考例のスペーサ

Claims (8)

  1. せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサであって、
    第一面と、
    前記スペーサが埋設される削孔部の深さ方向に関して前記第一面と反対側に位置する第二面と、
    前記第一面と前記第二面とを、前記削孔部の前記深さ方向に連絡する側面と、
    前記側面のうち、少なくとも前記深さ方向に見て最も外径の大きい第一領域に位置する前記側面上に、実質的に前記深さ方向に沿って形成された溝部とを備え、
    少なくとも前記第一領域に位置する前記側面は、前記削孔部の前記深さ方向と実質的に平行な方向に延在していることを特徴とする、せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ。
  2. 前記深さ方向に見たときに、前記第一領域の外径は、前記削孔部の内径の0.7倍~0.98倍であることを特徴とする、請求項1に記載のせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ。
  3. 前記深さ方向に見たときに、前記第一領域は、周方向に離間した3以上の箇所で、前記削孔部の内壁面に向かって突出する突出部を有し、
    前記溝部は、少なくとも前記突出部に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ。
  4. 前記深さ方向に関して前記第一領域に隣接した第二領域に、前記深さ方向の位置に応じて外径が逓減するテーパ部を有し、
    前記第一領域は、前記第一面を含む領域であり、
    前記第一領域の外径は、前記深さ方向の位置に応じて実質的に均一であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ。
  5. 前記第一面は、せん断補強鉄筋に対して直接又は治具を介して接触される面であることを特徴とする、請求項4に記載のせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ。
  6. 前記第二面は、せん断補強鉄筋に対して直接又は治具を介して接触される面であることを特徴とする、請求項4に記載のせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ。
  7. リーダ又はリーダライタとの間で通信可能なICタグが内蔵されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサ。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のせん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサを準備する工程(a)と、
    既設コンクリート構造物を深さ方向に切削して削孔部を形成する工程(b)と、
    前記削孔部の内底を含む領域に定着材を充填する工程(c)と、
    前記深さ方向に関して前記削孔部の開口面よりも前記内底側に完全に収容されるように、前記開口面から前記内底に向かって、前記深さ方向にせん断補強鉄筋を挿入する工程(d)と、
    前記工程(b)~(d)の実行後に、前記工程(a)で準備された前記せん断補強鉄筋のかぶり厚確保用スペーサを、前記削孔部内の前記せん断補強鉄筋と前記開口面との間の領域に位置させる工程(e)と、
    前記工程(b)~(d)の実行後であって、前記工程(e)の実行前又は実行後に、前記削孔部内の前記せん断補強鉄筋と前記開口面との間の領域に補修材を充填する工程(f)とを有することを特徴とする、既設コンクリート構造物のせん断補強方法。
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