JP2023070902A - エアフィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタである。不織布の繊維表面に、ペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2~90nmの金属酸化物粒子(B)と自己反応型のカルボキシル基含有物等(C)と増粘剤(D)とを含む多機能塗膜が形成される。多機能塗膜中に、フッ素系官能基成分(A)が1.5~15質量%の割合で、増粘剤(D)が0.3質量%~3.0質量%の割合で含まれ、成分(A)と粒子(B)とは、合計して多機能塗膜中、15~70質量%の割合で含まれ、質量比(A/B)が0.02~0.5の範囲にあり、エアフィルタの通気度が1~30ml/cm2/秒である。
【選択図】図1
Description
図1に示すように、本実施形態のエアフィルタ10は、不織布20とこの不織布の繊維表面に形成された弱親水性と撥油性を有する多機能塗膜21とを備える。このエアフィルタ10の主たる構成要素である不織布20は、オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面20aと、この一面20aに対向し前記空気が流出する他面20bを有し、単一層からなる。図2に示すように、上層の不織布30と下層の不織布40の二層の積層体により構成されるエアフィルタ50でもよい。この場合、上層の不織布30の上面がオイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面30aとなり、下層の不織布40の下面がこの一面30aに対向する他面40bとなる。なお、積層体は二層に限らず、三層、四層等の複数層から構成することもできる。
エアフィルタは次の方法により、概略製造される。
図3に示すように、金属酸化物粒子の水分散液51にフッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物52を混合してフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液54を調製する。分散液のpHが中性の場合には、フッ素系化合物52を混合した後、触媒53を添加混合してフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液54を調製することができる。この水分散液54に、バインダ成分としてのカルボキシル基含有物等55を混合して混合液56を調製した後、水と炭素数1~4のアルコールとの混合溶媒57を混合して、混合液56を希釈し、更に増粘剤水溶液又は増粘剤水分散液58を混合することにより、多機能塗膜形成用液組成物60を調製する。この液組成物60に不織布20をディッピングする。続いて不織布20を脱液し、乾燥することによりエアフィルタ10を製造する。
〔不織布の準備〕
先ず、1.1ml/cm2/秒~40ml/cm2/秒の通気度を有する不織布を準備する。具体的には、後述する多機能塗膜が不織布の繊維表面に形成されたエアフィルタになった状態で、1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒の通気度を有する不織布を準備する。多機能塗膜が厚膜に形成される場合には、通気度の大きい不織布が選定され、多機能塗膜が薄膜に形成される場合には、通気度の小さい不織布が選定される。また多機能塗膜を厚膜にする作用のある増粘剤の含有割合に応じて準備する不織布の通気度が選定される。
〔金属酸化物粒子の水分散液の調製〕
先ず、先ず、水性溶媒中に、金属酸化物粒子を分散させて金属酸化物粒子の水分散液を調製する。金属酸化物粒子は、2nm~90nm、好ましくは2nm~85nmの平均粒子径を有する。平均粒子径が2nm未満では、金属酸化物粒子の凝集が起こりやすくなり、媒体中に分散しにくくなる。90nmを超えると、液組成物を成膜したときに、金属酸化物粒子が多機能塗膜から脱落しやすくなる。金属酸化物粒子としては、SiO2、Al2O3、MgO、CaO、TiO2、ZnO、ZrO2の粒子等が例示される。市販品として、二酸化ケイ素の水分散液(商品名:ST-ZL(日産化学社製、SiO2濃度40%)、商品名:ST-C(日産化学社製、SiO2濃度20%)、商品名:ST-CM(日産化学社製、SiO2濃度30%))、二酸化ジルコニウムの水分散液(商品名:SZR-W(堺化学社製、ZrO2濃度30%))、二酸化チタンの水分散液(商品名:TKS-203(テイカ社製、TiO2濃度20%))、酸化亜鉛の水分散液(商品名:MZ-500(テイカ社製、ZnO濃度30%))等が例示される。
次に、調製された金属酸化物粒子の水分散液中に、上述した式(1)又は式(2)で表されるフッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物を添加して、金属酸化物粒子とフッ素系官能基成分とがナノコンポジット化された複合材料を合成する。ここで、更に反応を促進するために、触媒を添加してもよい。これにより、フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液が調製される。
バインダ成分としての自己反応型のカルボキシル基含有物等(C)は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体である。市販品として、エチレン-酢酸ビニル系のものとしては、セポルジョンVA406N、セポルジョンVA407N(いずれも住友精化社製)、スミカフレックスS-201HQ、S-355HQ、S-401HQ、S-465HQ、S-951HQ、S3950(いずれも住化ケムテックス社製)、アクアテックスEC-1800、EC-1200(いずれもジャパンコーティングレジン社製が挙げられる。またエチレン-アクリル酸共重合体としては、ザイクセンA、ザイクセンL、ザイクセンN(いずれも住友精化社製)などが、エチレン-酢酸ビニル-アクリル酸系のものとしてはスミカフレックスS-900HL(住化ケムテックス社製)などが挙げられる。また、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体であるスミカフレックスS-830や、エチレン-酢酸ビニル-バーサチック酸ビニル共重合であるスミカフレックスS-950HQ(いずれも住化ケムテックス社製)も挙げられる。更に、アクリル系のものとしてはTOCRYL BCX-1160R-2(トーヨーケム社製)が挙げられる。
本実施の形態の多機能塗膜形成用液組成物は、上記製造方法で製造され、前述したフッ素系官能基成分(A)が結合した金属酸化物粒子(B)と、バインダ成分としての自己反応型のカルボキシル基含有物等(C)と、混合溶媒と、増粘剤水溶液又は増粘剤水分散液とを含む。このフッ素系官能基成分(A)は、上記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を有する。上記液組成物は、溶媒を除く全成分量を100質量%とするとき、フッ素系官能基成分(A)が1.5質量%~15質量%含まれる。フッ素系官能基成分が1.5質量%未満では形成した膜に撥油性を付与できず、15質量%を超えると膜の弾き等が発生し成膜性に劣る。好ましいフッ素系官能基成分(A)の含有割合は2質量%~13質量%である。またフッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)とを合計した含有割合は、溶媒を除く全成分量を100質量%とするとき、15質量%~70質量%、好ましくは20質量%~65質量%である。更に金属酸化物粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.02~0.5、好ましくは0.05~0.4の範囲にある。
本実施形態の不織布の繊維表面に多機能塗膜を形成するには、多機能塗膜形成用液組成物に不織布をディッピングして希釈液から引上げ、大気中、室温で不織布を水平な金網等の上に拡げて一定の液分量になるまで脱液する。別法として、引き上げた不織布を振り払って余分な液を除去するか、或いは引き上げた不織布をマングルロール(絞り機)に通して脱液する。脱液した不織布は、大気中、25℃~140℃の温度で0.5時間~24時間乾燥する。これにより、図1中央の拡大図に示すように、不織布20を構成している繊維20cの表面に多機能塗膜21が形成される。脱液量が少ない場合には、多機能塗膜は厚膜に不織布の繊維表面に形成され、脱液量が多い場合には、多機能塗膜は薄膜に不織布の繊維表面に形成される。
<合成例1>
平均粒子径が70nmの二酸化ケイ素の水分散液(商品名:ST-ZL(日産化学社製、SiO2濃度40%))が50g入ったビーカーに、上述した式(19)で表されるフッ素系化合物を2.00g添加し混合し、40℃で2時間混合し、二酸化ケイ素粒子がフッ素系化合物に結合した二酸化ケイ素(シリカ)粒子の水分散液(フッ素含有シリカ粒子の水分散液)を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化ケイ素に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.09であった。
以下の表1に合成例1のフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液の調製条件を示す。
合成例2~6及び比較合成例1~3では、金属酸化物粒子の種類を合成例1と異なる種類に変更し、フッ素系化合物を合成例1と異なる種類に変更した。合成例4~6及び比較合成例1ではフッ素系化合物を混合した後、触媒として硝酸を使用した。触媒の使用量は、表1に示す値にした。金属酸化物粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)を合成例1とは異なるように変更した。それ以外は合成例1と同様にして、上記表1に示すように、合成例2~6及び比較合成例1~3の各フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液を調製した。なお、表1において、フッ素系化合物として式(19)~式(21)及び式(27)で表わされるフッ素含有シランの式中のRはすべてエチル基である。
<実施例1>
合成例1で得られたフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液13.0gに、バインダ成分であるアセチル基を有するエチレン-酢酸ビニル系のカルボキシル基含有物等(商品名:スミカフレックス S-355HQ(住友化学社製))10.00gを混合して混合液を調製した。この混合液に、混合溶媒(水19.9gと工業用アルコール(商品名:ソルミックスAP-7(日本アルコール販売社製))3.8gとを混合した溶媒)23.7gと、増粘剤(商品名:モイストナイトS(クニミネ工業社製))0.55gを含む水分散液を混合し、多機能塗膜形成用液組成物を調製した。この液組成物には、液組成物を100質量%とするとき、増粘剤は0.28質量%の割合で含まれていた。エアフィルタの基材として、PET繊維からなるからなる、通気度が15ml/m2/sの不織布G2260-1S(東レ社製)を用いた。上記多機能塗膜形成用液組成物にこの不織布をディッピングし、余分な液を振り払い、室温で24時間乾燥させ、通気度が6.0ml/cm2/秒のエアフィルタを作製した。この内容を以下の表2~表4に示す。
表3には、『溶媒を除く液組成物中のフッ素系官能基成分(A)』の含有割合、『溶媒を除くカルボキシル基含有物等(C)』の含有割合及び『溶媒を除くフッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)との合計』の含有割合を示す。
表2に示すように、実施例2~7及び比較例1~4では、表1に示す合成例1~6又は比較合成例1~3で得られたフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液をそれぞれ用いて、それぞれの秤量を決定した。実施例2~7及び比較例1~4では、表2に示すように、バインダ成分である自己反応型のカルボキシル基含有物等、混合溶媒及び増粘剤を用いて、それぞれの秤量を決定した。増粘剤の含有割合は、液組成物を100質量%とするときの液組成物に含まれる増粘剤の割合を示す。 このようにして、実施例2~7及び比較例1~4の各多機能塗膜形成用液組成物を調製した。
(1) 通気度
実施例1~7及び比較例1~4で得られた11種類のエアフィルタの通気度を前述したように、JIS-L1913:2000に記載のフラジール形試験機を用いて測定した。
実施例1~7及び比較例1~4で得られた11種類のエアフィルタの撥油性を次の方法で測定し、評価した。金属製品を切削油を用いて加工する工作機械から飛散するオイルミストと粉塵に模して、n-ヘキサデカンと酸化鉄(III)(富士フイルム和光純薬社製)を質量比で80:20の割合で自転公転撹拌機(シンキー社製ARE-310)に投入して撹拌混合し、模擬液を得た。得られた模擬液1mlを、実施例1~7及び比較例1~4で得られた11種類の水平に置いたエアフィルタのそれぞれに上方から滴下した後、エアフィルタを鉛直に立てて、模擬液の転落性を確認した。模擬液がエアフィルタに捕集された後、エアフィルタを通過するものは、エアフィルタの撥油性が『不良』であるとし、模擬液がエアフィルタに捕集された後、エアフィルタを若干通過し、かつ模擬液がエアフィルタの表面から転落するが、その転落量が減少するものは、エアフィルタの撥油性が『やや良好』であるとし、模擬液がエアフィルタに捕集されるとともに、エアフィルタを通過せず、エアフィルタの表面から転落するものをエアフィルタの撥油性が『良好』であるとした。
実施例1~7及び比較例1~4で得られた11種類の水平に置いたエアフィルタのそれぞれに0.1mLの水を上方から滴下した後、60秒以上水を保持し、1時間後に水がエアフィルタに浸透する場合を弱親水性が『良好』であるとし、60秒未満の保持時間でエアフィルタに浸透する場合を親水性であると判定し、1時間後も水を保持する場合を撥水性である判定し、それぞれ弱親水性が『不良』であるとした。
実施例1~7及び比較例1~4で得られた11種類のエアフィルタを構成する不織布繊維表面の多機能塗膜の強度を静動摩擦測定機(トリニティーラボ社製、TL201Tt)を使用してJIS K7136に準拠して測定した。測定条件は、接触子:ウレタンゴム、荷重;500gf、移動速度;50mm/秒、移動距離;30mmとした。水平に置いたエアフィルタのの表面において、接触子を10往復させた後、上記撥油性を測定するときに用いた模擬液を滴下し、上記(2)と同じ方法で、撥油性を評価した。撥油性が接触子移動後も変化しない場合を膜強度が『良好』であるとし、模擬液がエアフィルタにしみ込んで撥油性が変化する場合を膜強度が『不良』であるとした。
20 不織布
20a 不織布の一面
20b 不織布の他面
20c 不織布の繊維
20d 不織布の気孔
21 多機能塗膜
21a フッ素含有金属酸化物粒子
21b カルボキシル基含有物等
22 オイルミストの油粒子
23 粉塵の粒子
Claims (8)
- オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し前記空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタであって、
前記不織布の繊維表面に多機能塗膜が形成され、
前記多機能塗膜は、下記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2nm~90nmの金属酸化物粒子(B)と自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(C)と増粘剤(D)とを含み、
前記多機能塗膜を100質量%とするとき、前記フッ素系官能基成分(A)が1.5質量%~15質量%の割合で前記多機能塗膜に含まれ、かつ前記増粘剤(D)が0.3質量%~3.0質量%の割合で含まれ、
前記フッ素系官能基成分(A)と前記金属酸化物粒子(B)とは、合計して前記多機能塗膜を100質量%とするとき、15質量%~70質量%の割合で含まれ、
前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.02~0.5の範囲にあり、
前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であることを特徴とするエアフィルタ。
上記式(1)及び式(2)中、p、q及びrは、それぞれ同一又は互いに異なる1~6の整数であって、炭素骨格は、直鎖状又は分岐状であってもよい。また上記式(1)及び式(2)中、Xは、炭素数2~10の炭化水素基であって、エーテル結合、CO-NH結合、O-CO-NH結合及びスルホンアミド結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。更に上記式(1)及び式(2)中、Yはシランの加水分解体又はシリカゾルゲルの主成分である。 - 前記金属酸化物粒子(B)は、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種の金属の酸化物粒子である請求項1記載のエアフィルタ。
- 前記自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(C)は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体である請求項1記載のエアフィルタ。
- 前記増粘剤(D)が、層状無機化合物又は増粘多糖類である請求項1記載のエアフィルタ。
- 前記不織布が単一層により構成されるか、又は複数層の積層体により構成される請求項1記載のエアフィルタ。
- 前記不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維である請求項1又は5記載のエアフィルタ。
- フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液と、自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物と、水と炭素数1~4のアルコールとの混合溶媒と、増粘剤水溶液又は増粘剤水分散液とを混合して多機能塗膜形成用液組成物を調製する工程と、
前記多機能塗膜形成用液組成物に不織布をディッピングする工程と、
前記ディッピングした不織布を脱液し乾燥する工程と
を含むエアフィルタの製造方法。 - 前記フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液が、金属酸化物粒子の水分散液にフッ素系化合物を添加混合して、調製される請求項7記載のエアフィルタの製造方法。
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