JP2023081114A - 無機複合酸化物担体、炭化水素油の水素化処理用触媒およびその製造方法、ならびに炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム、ケイ素および元素Mの非晶質無機複合酸化物と、ゼオライトとを含み、前記元素Mがリン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記ケイ素の含有量がシリカ(SiO2)の含有量に換算して2.0~5.0質量%であり、前記ゼオライトの含有量が3~50質量%である、炭化水素油の水素化処理触媒用の無機複合酸化物担体。
【選択図】なし
Description
[1]
アルミニウム、ケイ素および元素Mの非晶質無機複合酸化物と、ゼオライトとを含み、
前記元素Mがリン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ケイ素の含有量がシリカ(SiO2)の含有量に換算して2.0~5.0質量%であり、
前記ゼオライトの含有量が3~50質量%である、
炭化水素油の水素化処理触媒用の無機複合酸化物担体。
透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674~3678cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770~3774cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15~0.45の範囲にある前記[1]の無機複合酸化物担体。
250℃におけるピリジン脱着法により測定されるルイス酸量およびブレンステッド酸量が、それぞれ150μmol/g以上および15μmol/g以下であり、
前記ルイス酸量/前記ブレンステッド酸量が10以上であり、
アンモニアTPDで測定される固体酸総量が0.40mmol/g以上である
前記[1]または[2]の無機複合酸化物担体。
前記ゼオライトが、FAU型であり、10~300のケイバン比(Al2O3に対するSiO2のモル比)を有する前記[1]~[3]のいずれかの無機複合酸化物担体。
以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1つを満たす前記[1]~[4]のいずれかの無機複合酸化物担体。
(a)前記元素Mとしてリンを含み、リンの含有量がリン酸(P2O5)の含有量に換算して10.0質量%以下である。
(b)前記元素Mとしてチタンを含み、チタンの含有量がチタニア(TiO2)の含有量に換算して18.0質量%以下である。
(c)前記元素Mとしてジルコニウムを含み、ジルコニウムの含有量がジルコニア(ZrO2)の含有量に換算して9.0質量%以下である。
(d)前記元素Mとしてマグネシウムを含み、マグネシウムの含有量が酸化マグネシウム(MgO)の含有量に換算して8.0質量%以下である。
前記[1]~[5]のいずれかの無機複合酸化物担体と、前記無機複合酸化物担体に担持された活性金属成分とを含む、炭化水素油の水素化処理触媒。
前記活性金属成分が、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属、およびコバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である第2の金属を含む、前記[6]の水素化処理触媒。
比表面積が200~380m2/gであり、水銀圧入法で測定した平均細孔径が50~150Åである、前記[6]または[7]の水素化処理触媒。
強熱減量が5.0質量%以下である前記[6]~[8]のいずれかの水素化処理触媒。
硫化処理後に測定される一酸化窒素吸着量が7.5ml/g以上である、前記[6]~[9]のいずれかの水素化処理触媒。
昇温還元法により測定される、450℃以下の範囲において水の脱離スペクトルのピークが現れる温度が、350℃以下である前記[6]~[10]のいずれかの水素化処理触媒。
前記[1]の無機複合酸化物の製造方法であって、
前記非晶質無機複合酸化物と前記ゼオライトとを混合する工程
を含む無機複合酸化物担体の製造方法。
前記[1]の無機複合酸化物の製造方法であって、
塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液(ただし、両水溶液の少なくとも一方はケイ素を含み、両水溶液の少なくとも一方は前記元素Mを含む。)とを混合して、アルミニウム、ケイ素および前記元素Mの複合酸化物の水和物のスラリーを調製する工程(1)、
前記複合酸化物の水和物と前記ゼオライトとを混合して混合物を調製する工程(2)、および
前記混合物を焼成する工程(3)
を含む、無機複合酸化物担体の製造方法。
前記[12]または[13]の製造方法により無機複合酸化物担体を製造する工程、および
前記無機複合酸化物担体に活性金属成分を担持する工程(4)
を含む、炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
前記[6]~[11]のいずれかの水素化処理触媒の存在下において、水素分圧が3~15MPa、温度が260~420℃、液空間速度が0.2~5h-1の条件で炭化水素油の水素化処理を行う、炭化水素油の水素化処理方法。
[無機複合酸化物担体]
本発明に係る無機複合酸化物担体(以下、単に「担体」とも記載する。)は、非晶質無機複合酸化物とゼオライトとを含む。
前記非晶質無機複合酸化物は、非晶質の、アルミニウム、ケイ素および元素Mの複合酸化物である。
前記元素Mは、リン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種である。
前記ゼオライトとしては、FAU型ゼオライトが好ましい。
FAU型ゼオライトとしては、X型、Y型または超安定Y型(USY)ゼオライトが挙げられ、特に超安定Y型ゼオライト(USYゼオライト)が好ましい。
(細孔径)
後述する活性金属成分を前記担体に高分散状態に有効に担持して触媒活性を十分に確保するためには、前記担体として、通常、多孔質の担体が使用され、平均細孔径500Å以下の比較的小さな細孔を有するものが好適に使用される。また、担体あるいは触媒体の機械的強度や耐熱性等の物性を制御するために、担体あるいは触媒体の形成に際して適当なバインダー成分や添加剤を含有させることもできる。
本発明に係る担体の、後述する実施例で採用された方法により測定される細孔容積は、好ましくは0.60mL/g以上、より好ましくは0.70mL/g以上である。細孔容積がこの範囲にあると、この担体を含む触媒を用いた炭化水素油の水素化処理において、生成油中の中間留分(灯軽油)の収率を高めることができる。
本発明の担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674~3678cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770~3774cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが好ましくは0.15~0.45、より好ましくは0.15~0.40の範囲にある。
前記担体の、250℃におけるピリジン脱着法により測定されるルイス酸量およびブレンステッド酸量は、好ましくは、それぞれ150μmol/g以上および15μmol/g以下である。
前記ブレンステッド酸量は、より好ましくは13μmol/g以下である。
前記担体の、アンモニアTPDで測定される固体酸総量は、好ましくは0.40mmol/g以上であり、より好ましくは0.45mmol/g以上である。
本発明に係る炭化水素の水素化処理触媒は、上述した本発明に係る無機複合酸化物担体と、前記無機複合酸化物担体に担持された活性金属成分とを含むことを特徴としている。
前記活性金属成分としては、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方の第1の金属を含む第1の金属成分と、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方の第2の金属を含む第2の金属成分との組み合わせが好ましい。
本発明の触媒中の炭素の含有量を、触媒の量を100質量%として、2.0質量%以下とすることにより、触媒性能の劣化が抑えられて触媒を安定的に使用することができる他、触媒再生時の活性が新規な未使用の触媒(フレッシュな触媒)の脱硫性能の低下を抑制することができる。炭素の含有量が前記上限値以下であると、使用時に活性金属成分が凝集することによる触媒劣化の進行、触媒再生時の焼成工程による活性金属成分の凝集などを抑制することができる。
(比表面積)
本発明の触媒のBET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した比表面積(SA)は、通常200~380m2/g、好ましくは250~350m2/gの範囲にある。比表面積(SA)が、前記下限値以上であると、活性金属成分が凝集し難く、触媒は、水素化性能および分解性能に優れる。一方、比表面積(SA)が前記上限値以下であると、平均細孔径または細孔容積が小さくなることによる水素化性能の低下および分解性能の過度な上昇を抑えることができる。
本発明の触媒の平均細孔径は、通常50~150Å、好ましくは50~120Åの範囲にある。この平均細孔径は、水銀圧入法(水銀の接触角:130度、表面張力:480dyn/cm)により測定した値であり、全細孔容積の50%に相当する細孔直径を表す。なお、細孔容積は細孔直径41Å以上の細孔直径を有する細孔の容積を表す。平均細孔径が前記下限値以上であると、本発明の触媒は、脱硫性能に優れる。平均細孔径が前記上限値以下であると、本発明の触媒は、強度に優れる。
本発明の触媒の、後述する実施例で採用された方法により測定される強熱減量(Ig Loss)は、通常、5.0質量%以下、好ましくは3.0質量%以下である。強熱減量は後述の測定法の項目に記載しているように触媒を高温で加熱することにより算出して得られる。触媒の強熱減量を5.0質量%以下とするためには、無機複合酸化物担体に対して含浸液を噴霧含浸させた後、例えば300℃以上の温度で焼成することが必要である。
本発明の触媒の、後述する実施例で採用された条件下での昇温還元法により測定される、450℃以下の範囲において水の脱離スペクトルのピークが現れる温度(以下「水脱離ピーク温度」と記載する。)は、通常、350℃以下、好ましくは320℃以下である。通常、硫化処理はモリブデン等の第1の金属に対して、水素気流下で硫化水素等によって行われ、反応としては、第1の金属の酸化物から酸素が脱離することが必要になる。水の脱離スペクトルのピークは、第1の金属の酸化物からの酸素の水としての脱離を検出しているものであるため、硫化処理の進行と第1の金属の還元温度には相関関係があると考えられる。従って、水脱離ピーク温度を低温化することにより、第1の金属の硫化処理を十分進行させることができると考えられる。
本発明の触媒の、後述する実施例で採用された条件下での硫化処理の後の一酸化窒素吸着量は、好ましくは7.5ml/g以上、より好ましくは8.0ml/g以上であり、上限値は、たとえば10.0ml/gであってもよい。この一酸化窒素吸着量に基づき、触媒の反応活性点の量を計測することができる。
触媒を硫化処理した後の一酸化窒素吸着量は、担体の物理的特性や化学的特性、活性金属組成等に応じて変化する。一酸化窒素吸着を行うためには、硫化処理が必要となることから、第1の金属の還元温度をある一定温度以下に下げることが好ましい。
a)前記無機複合酸化物担体の比表面積(SA)が200~380m2/gであること、
b)前記無機複合酸化物担体中の、非晶質無機複合酸化物に含まれるアルミニウムの量が、無機複合酸化物担体の量を100質量%とすると、アルミナ換算で45~90質量%であること、
c)本発明の触媒が、前記活性金属成分として、前記第1の金属成分を前述の酸化物換算値として15~27質量%、前記第2の金属成分を前述の酸化物換算値として2.0~7.0質量%で含むこと、が重要である。
本発明の水素化処理触媒は、アルミナとシリカと第三成分とを含む非晶質無機複合酸化物とゼオライトとを含む無機複合酸化物担体を使用しているので、大表面積、高い強度と共に固体酸特性と水素化特性との適切な制御が実現される。特に非晶質部にアルミナとシリカにさらに第三成分を用いた組成の適正化で、上述のとおり担体のブレンステッド酸量とルイス酸量およびそれらの比を制御でき、加えてこの担体を用いた本発明の水素化処理触媒では、アンモニアTPDの固体酸総量を指標とする固体酸特性の最適化を図ることができる。その上、担体のOH基を適切にすることで、担体上の活性金属種を高分散化でき、また活性点量の指標となる一酸化窒素(NO)の吸着量の増量化と共に構造の安定化にも繋がる。
そして本発明の炭化水素油の水素化処理触媒を用いることで、十分な水素化分解能力を保持しつつ高い中間留分の選択性を持つ炭化水素油の水素脱硫方法を実施できる。
本発明の無機酸化物複合担体の製造方法としては、たとえば、
(製造方法A):
前記非晶質無機複合酸化物と前記ゼオライトとを混合する工程
を含む、無機複合酸化物担体の製造方法、および
(製造方法B):
塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液(ただし、両水溶液の少なくとも一方はケイ素を含み、両水溶液の少なくとも一方は前記元素Mを含む。)とを混合して、アルミニウム、ケイ素および前記元素Mの複合酸化物の水和物のスラリーを調製する工程(1)、
前記複合酸化物の水和物と前記ゼオライトとを混合して混合物を調製する工程(2)、および
前記混合物を焼成する工程(3)
を含む、無機複合酸化物担体の製造方法が挙げられる。
これらの方法において、原料中のケイ素の含有量は、製造される前記無機複合酸化物担体において、非晶質無機複合酸化物中のケイ素の含有量がシリカの含有量に換算して2.0~5.0質量%となるように調整される。
≪1.複合酸化物の水和物のスラリーを調製する工程(1)≫
工程(1)では塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液(ただし、両水溶液の少なくとも一方はケイ素を含み、両水溶液の少なくとも一方は前記元素Mを含む。)とを、通常、pHが6.5~9.5、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは6.8~8.0になるように混合して、アルミニウム、ケイ素および前記元素Mの複合酸化物の水和物のスラリーを得る。
前記カルボン酸塩としては、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルコン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの塩が挙げられ、得られる複合酸化物100質量部に対して0.5~4.0質量部となる範囲で添加することが好ましい。
前記元素Mがマグネシウムの場合、マグネシウムとして、たとえば炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムが前記水溶液に供給される。
工程(2)では、工程(1)で得られた複合酸化物の水和物とゼオライトとを混合して混合物を調製する。
また、工程(1)で得られた複合酸化物の水和物には、少なくとも1種の後述する有機化合物(第一有機化合物)を添加してもよく、添加しなくてもよい。
たとえば、工程(1)で得られた複合酸化物の水和物のスラリーは、たとえば還流器付の熟成タンク内において、撹拌しながら、たとえば30℃以上、好ましくは50~100℃で、たとえば1~20時間、好ましくは1~10時間保持することにより熟成される。
第1熟成工程において、スラリー中の複合酸化物の水和物の濃度は、Al2O3換算のアルミニウム濃度として、好ましくは20質量%未満である。
次いで、熟成された水和物のスラリーは、脱水後、たとえばアンモニア水溶液によって洗浄される。
洗浄後の水和物のスラリーは、たとえば還流器付の熟成タンク内において、好ましくは撹拌しながら、たとえば30℃以上、好ましくは80~100℃で、たとえば1~20時間、好ましくは2~10時間保持することにより熟成される。
第2熟成工程において、スラリー中の複合酸化物の水和物の濃度は、Al2O3換算のアルミニウム濃度として、好ましくは20質量%未満である。
第2熟成工程において、スラリーのpHは好ましくは9.0~11.5である。スラリーのpHは、たとえばアンモニア水の添加により調整される。
水和物のスラリー、たとえば第2熟成工程を経たスラリーは、脱水され、脱水物は、たとえばスチームジャケット付双腕式ニーダーにて練りながら、たとえば60~95℃に加温し、所定の水分量となるまで濃縮捏和される。
工程(1)で得られ、任意に熟成され、洗浄され、濃縮混和された複合酸化物の水和物は、前記ゼオライトと混合される。
工程(3)では、前記工程(2)で得られた混合物、好ましくは所望の形状に成型された混合物を焼成して、無機複合酸化物担体を得る。
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法は、
上述した本発明の無機複合酸化物担体の製造方法により無機複合酸化物担体を製造する工程、および
前記無機複合酸化物担体に前記活性金属成分を担持する工程(4)
を含む。
工程(4)では、まず、たとえば、無機複合酸化物担体に、前記活性金属成分の原料を含む含浸液を接触させることにより、前記含浸液を前記無機複合酸化物担体に含浸させる。具体的には、たとえば、前記含浸液を前記無機複合酸化物担体に噴霧することにより含浸させる。
含浸液の溶媒は、通常、イオン交換水等の水である。
またリンを複合酸化物担体に担持させる場合には、前記含浸液は、オルトリン酸(以下、単に「リン酸」ともいう)、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、トリメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸などを含んでいても良い。
また、含浸液は無機酸を含んでいてもよい。前記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、リン酸が挙げられ、好ましくは、硝酸、リン酸が挙げられる。
次に、前記含浸液を接触させた前記無機複合酸化物担体を、たとえば100~300℃、好ましくは110~250℃で、たとえば0.5~24時間、好ましくは1.0~12時間かけて加熱して乾燥させ、次いで300~600℃、好ましくは350~600℃、さらに好ましくは400~600℃で、たとえば0.5~5時間、好ましくは0.5~3時間かけて加熱して、前記無機複合酸化物担体に前記活性金属成分が担持された本発明の水素化処理触媒が得られる。
本発明の水素化処理触媒により脱硫化を図る対象となる炭化水素油は、例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油または直留軽油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油または残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油または減圧重質軽油、脱硫重油を接触分解して得られる接触分解灯油または接触分解軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を水素化分解して得られる水素化分解灯油または水素化分解軽油、コーカー等の熱分解装置から得られる熱分解灯油または熱分解軽油であり、沸点が180~390℃の留分を80容量%以上含んだ留分である。該触媒を使用した水素化処理は、固定床反応装置に触媒を充填して水素雰囲気下、高温高圧条件で行なわれる。処理条件の一例としては、水素分圧が3~15MPa、温度が260~420℃、液空間速度が0.2~5h-1である。
[測定方法]
<担体成分(アルミナ、リン、シリカ、チタニア、ジルコニア)および金属成分(モリブデン、コバルト、ニッケル、リン)の含有量の測定方法>
測定試料3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、加熱処理(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、2gのNa2O2および1gのNaOHを加えて15分間溶融した。さらに、25mlのH2SO4および200mlの水を加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS-8100、解析ソフトウェアICPS-8000)を用いて、各成分の含有量を酸化物換算基準(Al2O3、P2O5、SiO2,TiO2,ZrO2,MoO3、NiO、CoO)で測定した。
透過型フーリエ変換赤外分光計(日本分光(株)製:FT-IR/6100)にて、以下のようにして酸性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度Sa、塩基性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度Sbを測定した。
試料20mgを成型容器(内径20mmφ)に充填して4ton/cm2(39227N/cm2)で加圧圧縮し、薄い円盤状に成型した。この成型体を、真空度が1.0×10-3Pa以下の条件下、500℃で2時間保持した後、室温に冷却して吸光度を測定した。
なお、後述の実施例および比較例のいずれのサンプルにおいても、酸性OH基に対応する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3674~3678cm-1の範囲にあり、塩基性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3770~3774cm-1の範囲にある。
測定されたSaおよびSbから、吸光度比(Sb/Sa)の値を算出した。
測定試料を磁製ルツボ(B-2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、試料の比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
測定試料を570℃で2時間焼成し、焼成による質量減少量から強熱減量を算出した。
昇温還元法においては、日本ベル製触媒分析装置(BEL CAT-A)を用いて、250~710μmに整粒した触媒0.05gを120℃で1時間、ヘリウムガスの流通下で前処理を施した後、水素ガス(99.99%)に切り換え、50℃から900℃まで10℃/分で昇温した。昇温時の水の脱離スペクトルをファイファーバキューム社製四重極質量分析装置(m/z:18.34)にて測定し、得られた、脱離スペクトルから水の脱離ピーク温度を読み取った。
一酸化窒素吸着量の測定は、全自動触媒ガス吸着量測定装置(大倉理研製)を用い、硫化処理した水素化処理触媒に、ヘリウムガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(一酸化窒素濃度10容量%)をパルスで導入し、水素化処理触媒1gあたりの一酸化窒素分子吸着量を測定した。具体的には、60メッシュ以下に粉砕した触媒を約0.02g秤り取り、これを石英製のセルに充填し、当該触媒を360℃に加熱して、硫化水素5容量%/水素95容量%のガスを0.2リットル/分の流量で通流させて1時間硫化処理を行い、その後340℃で1時間保持し、物理吸着している硫化水素を系外に排出した。その後にヘリウムガスと一酸化窒素ガスの前記混合ガスにて一酸化窒素分子を50℃にて吸着させ、一酸化窒素分子吸着量を測定した。
ケイバン比の値は、蛍光X線測定装置(RIX-3000((株)リガク製))を用いて、試料(ゼオライト)のSiおよびAl、それぞれの含有量を測定し、これらをSiO2およびAl2O3、それぞれの物質量に換算することによって求められる値である。
測定試料33mgを、内径20mmのディスクに充填し、測定装置(日本分光社製、FT-IR4600)内に設置した。測定雰囲気を500℃で1時間真空排気し、その後30℃まで冷却した。その後、再び150℃まで昇温し、ピリジンを試料に吸着させてピリジン吸着スペクトルを取得した。更に250℃で測定雰囲気を真空排気した後、ピリジン脱離後のスペクトルを取得した。そしてピリジン吸着前後の差スペクトルをとり、その1450cm-1付近の吸収バンドのピーク値からルイス酸量を求めた。
各測定を3回行い、その平均値を、各触媒のルイス酸量およびブレンステッド酸量として採用した。
昇温脱離(TPD)装置(マイクロトラックベル社製 BELCATB)の試料室内に担体試料を0.2g導入し、試料室内を500℃で1時間排気処理した後、100℃まで降温させ、担体試料に100℃で0.5時間かけてアンモニアガスを吸着させた。
水銀圧入法(水銀の接触角:150度、表面張力:480dyn/cm)によって測定した。細孔容積は細孔直径40Å以上の細孔の容積とし、平均細孔径は細孔容積の50%に相当する細孔直径とした。
<担体の調製>
[実施例1-1:担体Aの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Aを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Bを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Cを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Dを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Eを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Fを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Gを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Gを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Iを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Jを調製した。
0.2kgのUSY-30を0.2kgの日揮触媒化成製ゼオライトMg-USY(ケイバン比40、以下「Mg-USY40」とも記載する。)に変更したこと以外は実施例1-2の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Kを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Nを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Mを調製した。
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Nを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl2O3濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.64kgを入れ、イオン交換水32.43kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.80kgと、リン濃度がP2O5濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液2.00kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al2O3濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液8.86kgをイオン交換水15.94kgで希釈した後、60℃に加温した。
[調製例1:含浸液αの調製]
三酸化モリブデン(モリブデンをMoO3濃度に換算して99.9質量%含む。以下も同様である。)267gおよび炭酸ニッケル(ニッケルをNiO濃度に換算して55.5質量%含む。以下も同様である。)120gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、クエン酸167gを加えて溶解させ、含浸液αを調製した。含浸液αの組成等を表2に示す。
三酸化モリブデン278gおよび炭酸ニッケル125gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸(リンをP2O5濃度に換算して61.1質量%含む。)68gおよびクエン酸118gを加えて溶解させ、含浸液βを調製した。含浸液βの組成等を表2に示す。
タングステン酸アンモニウム(タングステンをWO3濃度に換算して50質量%含む。)533gおよび炭酸ニッケル120gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、クエン酸113gを加えて溶解させ、含浸液γを調製した。含浸液γの組成等を表2に示す。
三酸化モリブデン267g、炭酸ニッケル96gおよび炭酸コバルト(コバルトをCoO濃度に換算して61.5質量%含む。)22gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、クエン酸113gを加えて溶解させ、含浸液δを調製した。含浸液δの組成等を表2に示す。
[実施例2-1:水素化処理触媒(1)の調製]
実施例1-1で調製された無機複合酸化物担体A1000gに調製例1で調製された含浸液aを噴霧含浸させた後、200℃で乾燥し、更に電気炉にて500℃で1時間焼成して水素化処理触媒(以下、単に「触媒」ともいう。以下の実施例についても同様である。)(1)を得た。
無機複合酸化物担体Aと含浸液αとを組み合わせることに替えて、実施例1-2~1-11および比較例1-1~1-4で調製された無機複合酸化物担体B~Oと調製例1~5で調製された含浸液α~δとを後述の表3に記載のように組み合わせたこと以外は実施例2-1と同様にして、水素化処理触媒(2)~(14)および(c1)~(c4)を調製した。
(評価のための確認試験)
実施例2-1~2-14及び比較例2-1~2-4の各触媒について、各触媒性能を評価した。
各触媒を使用して、典型的な中東VGOを処理した。供給原料油を水素化分解反応の前に前処理させるべく、ゼオライトを含まない市販の水素化処理触媒を充填した層に次いで実施例または比較例の水素化分解触媒を充填した層を通過させるよう固定床流通式反応装置内に充填した。
式(1)分解率(%)=(原料油中の沸点が360℃より高い留分(質量%)-生成油中の沸点が360℃より高い留分(質量%))/(原料油中の沸点が360℃より高い留分(質量%))×100
式(2)中間留分収率(%)=(生成油中の沸点が145~360℃の留分(質量%))/(100-(生成油中のC1~C5ガス分(質量%)))×100
ここで、分解率及び中間留分収率の両者において、「%」は「質量%」を意味する。
以上の確認試験の結果を表2に示す。
実施例2-1~2-14は、触媒性能の指標である、分解率が60%以上になる温度が400℃以下であり、反応選択性の指標である中間留分収率が55%以上と、高い分解活性および中間留分収率を示した。これに対して、比較例2-1~2-4は選択性が劣っていた。また比較例2-4は触媒性能も劣っていた。
Claims (15)
- アルミニウム、ケイ素および元素Mの非晶質無機複合酸化物と、ゼオライトとを含み、
前記元素Mがリン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ケイ素の含有量がシリカ(SiO2)の含有量に換算して2.0~5.0質量%であり、
前記ゼオライトの含有量が3~50質量%である、
炭化水素油の水素化処理触媒用の無機複合酸化物担体。 - 透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674~3678cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770~3774cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15~0.45の範囲にある請求項1に記載の無機複合酸化物担体。
- 250℃におけるピリジン脱着法により測定されるルイス酸量およびブレンステッド酸量が、それぞれ150μmol/g以上および15μmol/g以下であり、
前記ルイス酸量/前記ブレンステッド酸量が10以上であり、
アンモニアTPDで測定される固体酸総量が0.40mmol/g以上である
請求項1または2に記載の無機複合酸化物担体。 - 前記ゼオライトが、FAU型であり、10~300のケイバン比(Al2O3に対するSiO2のモル比)を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の無機複合酸化物担体。
- 以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1つを満たす請求項1~4のいずれか一項に記載の無機複合酸化物担体。
(a)前記元素Mとしてリンを含み、リンの含有量がリン酸(P2O5)の含有量に換算して10.0質量%以下である。
(b)前記元素Mとしてチタンを含み、チタンの含有量がチタニア(TiO2)の含有量に換算して18.0質量%以下である。
(c)前記元素Mとしてジルコニウムを含み、ジルコニウムの含有量がジルコニア(ZrO2)の含有量に換算して9.0質量%以下である。
(d)前記元素Mとしてマグネシウムを含み、マグネシウムの含有量が酸化マグネシウム(MgO)の含有量に換算して8.0質量%以下である。 - 請求項1~5のいずれか一項に記載の無機複合酸化物担体と、前記無機複合酸化物担体に担持された活性金属成分とを含む、炭化水素油の水素化処理触媒。
- 前記活性金属成分が、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属、およびコバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である第2の金属を含む、請求項6に記載の水素化処理触媒。
- 比表面積が200~380m2/gであり、水銀圧入法で測定した平均細孔径が50~150Åである、請求項6または7に記載の水素化処理触媒。
- 強熱減量が5.0質量%以下である請求項6~8のいずれか一項に記載の水素化処理触媒。
- 硫化処理後に測定される一酸化窒素吸着量が7.5ml/g以上である、請求項6~9のいずれか一項に記載の水素化処理触媒。
- 昇温還元法により測定される、450℃以下の範囲において水の脱離スペクトルのピークが現れる温度が、350℃以下である請求項6~10のいずれか一項に記載の水素化処理触媒。
- 請求項1に記載の無機複合酸化物の製造方法であって、
前記非晶質無機複合酸化物と前記ゼオライトとを混合する工程
を含む無機複合酸化物担体の製造方法。 - 請求項1に記載の無機複合酸化物の製造方法であって、
塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液(ただし、両水溶液の少なくとも一方はケイ素を含み、両水溶液の少なくとも一方は前記元素Mを含む。)とを混合して、アルミニウム、ケイ素および前記元素Mの複合酸化物の水和物のスラリーを調製する工程(1)、
前記複合酸化物の水和物と前記ゼオライトとを混合して混合物を調製する工程(2)、および
前記混合物を焼成する工程(3)
を含む、無機複合酸化物担体の製造方法。 - 請求項12または13に記載の製造方法により無機複合酸化物担体を製造する工程、および
前記無機複合酸化物担体に活性金属成分を担持する工程(4)
を含む、炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。 - 請求項6~11のいずれか一項に記載の水素化処理触媒の存在下において、水素分圧が3~15MPa、温度が260~420℃、液空間速度が0.2~5h-1の条件で炭化水素油の水素化処理を行う、炭化水素油の水素化処理方法。
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| WO2025218558A1 (zh) * | 2024-04-15 | 2025-10-23 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种加氢催化剂及其制备方法和应用 |
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| JP2021151641A (ja) * | 2020-03-24 | 2021-09-30 | 日揮触媒化成株式会社 | 炭化水素油用水素化分解触媒、およびその製造方法 |
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