以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
図1は、本発明による電気車両の構成を示した図である。
図1を参照すると、電気車両1は、車両コントローラ2と、バッテリーパック10と、電気負荷30と、を含む。バッテリーパック10の充放電端子P+、P-は、充電ケーブルなどによって充電器40に電気的に結合し得る。充電器40は、電気車両1に含まれるか、または電気車両1の外部の充電スチーションに設けられたものであり得る。
車両コントローラ2(例えば、ECU:Electronic Control Unit)は、電気車両1に設けられた始動ボタン(図示せず)が使用者によってオン位置に切り換えられたことに応じて、キーオン(key-on)信号をバッテリー管理システム100に伝送するように構成される。車両コントローラ2は、始動ボタンが使用者によってオフ位置に切り換えられたことに応じて、キーオフ信号をバッテリー管理システム100に伝送するように構成される。充電器40は、車両コントローラ2と通信して、バッテリーパック10の充放電端子P+、P-を介して充電電力(例えば、定電流、定電圧、定電力)を供給し得る。
バッテリーパック10は、バッテリー群11、リレー20及びバッテリー管理システム100を含む。
バッテリー群11は、複数のバッテリーB1~BN(Nは2以上の自然数)の直列接続体を含む。即ち、バッテリー群11内で、複数のバッテリーB1~BNは、互いに直列に接続される。複数のバッテリーB1~BNは、互いに同じ電気化学的仕様を有するように製造された一つの単位セルまたは二つ以上の直列、並列または直・並列に接続された単位セルを含み得る。単位セルとは、独立的に充放電が可能な蓄電要素の最小単位である。例えば、リチウムイオンセルのように反復的な充放電が可能なものであれば、単位セルの種類は特に限定されない。
以下では、複数のバッテリーB1~BNに共通する内容を説明するに際し、バッテリーに対して符号「B」を付与する。
リレー20は、バッテリー群11及び電気負荷30を接続する電力経路を通して、バッテリー群11に電気的に直列に接続される。図1では、リレー20がバッテリー群11の正極端子と充放電端子P+との間に接続されたことが示されている。リレー20は、バッテリー管理システム100及び/または車両コントローラ2からのスイチング信号に応じて、オンオフ制御される。リレー20は、コイルの磁気力によってオンオフされる機械式コンテックトであるか、またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect transistor)のような半導体スイッチであり得る。
電気負荷30は、インバータ31及び電気モーター32を含む。インバータ31は、バッテリー管理システム100または車両コントローラ2からの命令に応じて、バッテリーパック10に含まれたバッテリー群11からの直流電流を交流電流に切り換えるように提供される。電気モーター32は、インバータ31からの交流電力を用いて駆動する。電気モーター32としては、例えば三相交流モーターを用い得る。
リレー20がオンされてバッテリーBが充放電中にある状態を負荷状態(サイクル状態)と称し得る。
リレー20がオンからオフに切り換えられる場合、バッテリーBは、無負荷状態(休止状態、カレンダー状態)になり、無負荷状態にあるバッテリーBのバッテリー電圧を無負荷電圧(no-load voltage)と称し得る。無負荷電圧は、緩和電圧(relaxation voltage)と開路電圧(OCV:open circuit voltage)を総称する用語である。具体的には、バッテリーBが負荷状態から無負荷状態へ切り換えられた場合、バッテリーBに発生した分極が自然解消されながらバッテリーBの無負荷電圧が変化する。OCVは、バッテリーBが無負荷状態で所定時間(例えば、2時間)以上維持され、バッテリーBの電圧変化率が一定の値未満になったときの無負荷電圧を示す。即ち、OCVは、バッテリーBの分極が無視できるほどに小さくなった状態での無負荷電圧である。緩和電圧は、分極が自然解消されていく間の無負荷電圧を示す。
バッテリー管理システム100は、バッテリーモニター110、バランサー130及び制御回路140を含む。バッテリー管理システム100は、通信回路150をさらに含み得る。以下では、バッテリー管理システム100がバッテリーモニター110と、制御回路140と、通信回路150と、を含み得る。
バッテリーモニター110は、電圧検出回路112を含む。バッテリーモニター110は、電流検出器114をさらに含み得る。
電圧検出回路112は、バッテリー群11に含まれた複数のバッテリーB1~BNの各々の正極端子及び負極端子に接続され、バッテリーBの両端にかかった電圧(バッテリー電圧と称することがある。)を検出し、検出されたバッテリー電圧を示す電圧信号を生成するように構成される。
電流検出器114は、バッテリー群11とインバータ30との間の電流経路を通してバッテリー群11に直列に接続される。電流検出器114は、シャント抵抗、ホール効果素子などのような公知の電流検出素子の一つまたは二つ以上の組合せによって具現され得る。複数のバッテリーB1~BNは、直列に接続されているため、複数のバッテリーB1~BNには共通する充放電電流が流れる。
図1においては、シャント抵抗が電流検出器114として用いられたことを示している。この場合、電圧検出回路112は、シャント抵抗の両端にかかった電圧に基づき、充放電電流の方向及び大きさを示す電流信号を制御回路140に出力し得る。勿論、電流検出器114は、バッテリー群11を通して流れる充放電電流を示す電流信号を直接生成して制御回路140に出力することも可能である。
バランサー130は、制御回路140からのバランシング実施命令に応じて、複数のバッテリーB1~BNのうちバランシングが必要なバッテリーBに対するバランシング処理を行うように構成される。以下では、バランシングが必要であると判定されたバッテリーBを「ターゲットバッテリー」と称する。バランシング実施命令は、複数のバッテリーB1~BNのうちターゲットバッテリーBに対する目標時間を含み得る。目標時間は、ターゲットバッテリーBに対して要求されるバランシング処理の継続時間を意味する。
図1においては、バランサー130の一例として、バランサー130が複数のバランシング回路D1~DNを含む場合を示している。複数のバランシング回路D1~DNは、複数のバッテリーB1~BNに一対一に並列に接続され得る。以下では、複数のバランシング回路D1~DNに共通する内容を説明するに際し、バッテリーに対して符号「D」を付与する。
バランシング回路Dは、放電抵抗131と放電スイッチ132の直列回路である。放電スイッチ132は、バランシング実施命令に応じて、ターンオンされる。放電スイッチ132がターンオンされている間に、バッテリーBは、放電抵抗131によって放電される。放電スイッチ132は、MOSFETのような半導体スイッチであり得る。
制御回路140は、リレー20、バッテリーモニター110、バランサー130及び通信回路150に動作可能に結合し得る。二つの構成が動作可能に結合するということは、単方向または双方向に信号を送受信可能に二つの構成が直・間接的に接続していることを意味する。
制御回路140は、「バッテリーコントローラ」と称することがあり、ハードウェア的に、ASIC(application specific integrated circuit,特定用途向け集積回路)、DSP(digital signal processor,デジタルシグナルプロセッサ)、DSPD(digital signal processing device,デジタル信号処理デバイス)、PLD(programmable logic device,プログラマブルロジックデバイス)、FPGA(field programmable gate array,フィールドプログラマブルゲートアレイ)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、その他の機能遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。
制御回路140は、バッテリーモニター110からの電圧信号及び/または電流信号を収集し得る。一例で、制御回路140は、内部に設けられたADC(Analog to Digital Converter)を用いて、バッテリーモニター110から収集されたアナログ信号をデジタル値に変換及び記録し得る。または、バッテリーモニター110は、その自体でアナログ信号をデジタル値に変換した結果を制御回路140に伝達し得る。
メモリー141は、例えば、フラッシュメモリー(登録商標)タイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、SSDタイプ(Solid State Disk type,ソリッドステートディスクタイプ)、SDDタイプ(Silicon Disk Drive type,シリコンディスクドライブタイプ)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、RAM(random access memory,ランダムアクセスメモリー)、SRAM(static random access memory,スタティックランダムアクセスメモリー)、ROM(read‐only memory,リードオンリーメモリー)、EEPROM(electrically erasable programmable read‐only memory,エレクトリカリーイレーサブルプログラマブルリードオンリーメモリー)、PROM(programmable read‐only memory,プログラマブルリードオンリーメモリー)の少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。メモリー部141は、制御回路140による演算動作に要求されるデータ及びプログラムを保存し得る。メモリー部141は、制御回路140による演算動作の結果を示すデータを保存し得る。メモリー141は、バッテリーBの内部短絡故障を検出するのに利用されるように予め与えられた関数、ロジッグ、アルゴリズムを保存し得る。メモリー141は、制御部140内に集積化され得る。
制御回路140は、車両コントローラ2からのキーオン信号に応じて、リレー20をターンオンし得る。制御回路140は、車両コントローラ2からのキーオフ信号に応じて、リレー20をターンオフし得る。キーオン信号は、無負荷状態から負荷状態への切り換えを要請する信号である。キーオフ信号は、負荷状態から無負荷状態への切り換えを要請する信号である。または、リレー20のオンオフ制御は、制御回路140の代わりに車両コントローラ2が担当し得る。
制御回路140は、バッテリーモニター110によって検出されたバッテリーBの電圧に基づいてバランサー130を制御するように構成される。
制御回路140は、複数のバッテリーB1~BNの各々の電圧をモニターして、複数のバッテリーB1~BNの最大電圧及び最小電圧を識別し得る。最大電圧とは、複数のバッテリーB1~BNの電圧のうち最大のものを指す。最小電圧とは、複数のバッテリーB1~BNの電圧のうち最小のものを指す。
通信回路150は、制御回路140と車両コントローラ2との間の有線通信または無線通信を支援するように構成される。有線通信は、例えば、CAN(contoller area network)通信であり、無線通信は、例えば、ジグビー(登録商標)やブルートゥース(登録商標)通信であり得る。勿論、制御回路140と車両コントローラ2との間の有無線通信を支援するものであれば、通信プロトコールの種類は特に限定されない。通信回路150は、制御回路140及び/または車両コントローラ2から受信された情報を使用者(運転者)が認識可能な形態で提供する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー)を含み得る。
以下、制御回路140が内部短絡故障のバッテリーを検出するために行う動作について具体的に説明する。
制御回路140は、バッテリーBの無負荷電圧の電圧値を決定する。
制御回路140は、バッテリーBが無負荷状態である場合、バッテリーモニター110によって検出されたバッテリーBの電圧の電圧値と同一にバッテリーBの無負荷電圧の電圧値を決定し得る。
制御回路140は、バッテリーBが負荷状態である場合、バッテリー状態推定アルゴリズムを用いて、バッテリーモニター110によって検出されたバッテリーBのバッテリー電圧及び電流検出器114によって検出されたバッテリーBの充放電電流に基づいて、バッテリーBの無負荷電圧の電圧値を決定(推定)し得る。一例で、オームの法則に従って、バッテリーBの充放電電流とバッテリーBの内部抵抗との積に対応する電圧をバッテリーモニター110によって検出されたバッテリーBのバッテリー電圧から減算することで、バッテリーBの無負荷電圧を推定し得る。
または、制御回路140は、バッテリーBが無負荷状態と負荷状態のどの状態であるかとは無関係に、所定のバッテリー状態推定アルゴリズムを用いて、バッテリーBの充電状態(SOC:State Of Charge)の推定値を決定した後、バッテリーBのSOCの推定値に関わるOCVの値を予め与えられたSOC-OCVマップ(図5参照)から取得し得る。バッテリー状態推定アルゴリズムとしては、公知のアルゴリズム(例えば、カルマンフィルターなど)を採用し得る。
制御回路140は、複数のバッテリーB1~BNのうちターゲットバッテリーBを決定する。制御回路140は、バッテリー群11が負荷状態から無負荷状態に切り換えられる場合、複数のバッテリーB1~BNのうち少なくとも一つのバッテリーBに対するバランシング処理が必要であるか否かを判定し得る。ターゲットバッテリーBの存在有無に対する判定は、バッテリー群11が負荷状態から無負荷状態に切り換えられた時点、即ち、無負荷状態の開始時から無負荷状態の継続中に周期的に行われ得る。
一例で、制御回路140は、無負荷電圧が複数のバッテリーB1~BNの最小無負荷電圧より基準値以上に高いバッテリーBをターゲットバッテリーに設定し得る。他の例で、制御回路140は、SOCの推定値が複数のバッテリーB1~BNの最小SOCよりも基準値以上に高いバッテリーBをターゲットバッテリーに設定し得る。
制御回路140は、ターゲットバッテリー(例えば、Bi)と基準バッテリー(例えば、Bj)との電圧差(またはSOCの差)に対応する容量と同一にターゲットバッテリーBの目標容量を決定し得る。基準バッテリーは、複数のバッテリーB1~BNのうち最小無負荷電圧(または最小SOC)に対応するバッテリーを指す。制御回路140は、目標容量と目標時間との相関関係として予め与えられたマップを用いてターゲットバッテリーBに対する目標時間を決定し得る。目標容量と目標時間との相関関係は、バッテリーBと同じ電気化学的性能を有するように製造されたバッテリーに対する実験によって決定され得る。
または、バランサー130は、バランシング実施命令が受信される度に、ターゲットバッテリーBに対するバランシング処理を第1時間の間に行った後、第2時間の間にバランシング処理を停止し得る。制御回路140は、バランサー130のバランシング処理が停止されている期間毎に、複数のバッテリーB1~BNのうちターゲットバッテリーBをさらに識別し、ターゲットバッテリーBに対するバランシング実施命令をバランサー130に伝達し得る。
バランシング実施命令は、放電スイッチ132に直接印加され、放電スイッチ132をオフ状態からオン状態へ誘導するハイレベル電圧であり得る。放電スイッチ132は、バランシング実施命令が受信されない間には、オフ状態に維持され得る。
一方、制御回路140は、ターゲットバッテリーBに対するバランシング処理が行われる間に無負荷状態から負荷状態への切り換えが要請される場合、バランサー130からバランシング停止命令を出力し得る。バランサー130は、バランシング停止命令に応じて、複数のバッテリーB1~BN全体に対するバランシング処理を終了し得る。
図2は、バッテリーの例示的な等価回路を説明するための参照図である。本明細書において、正常バッテリーとは、複数のバッテリーB1~BNのうち内部短絡故障のないバッテリーを指し、故障バッテリーとは、複数のバッテリーB1~BNのうち内部短絡故障のバッテリーを指す。
図2を参照すると、正常バッテリーは、直流電圧源VDC、内部抵抗R0及び RCペアR1、Cの直列回路として等価化され得る。これに対し、故障バッテリーは、正常バッテリーに対応する直列回路の両端の間に追加的な抵抗RISCが接続されたことで等価化され得る。追加的な抵抗RISCは、漏洩電流IISCの経路として作用する。参照までに、直流電圧源VDCの電圧は、バッテリーBのOCVであり、バッテリー電圧は、直流電圧源VDC、内部抵抗成分R0及びRCペアR1、Cの直列回路の総電圧である。RCペアR1、Cの電圧がゼロ(0V)である場合、緩和電圧とOCVは同一である。
故障バッテリーの充電時、充電電力の一部は、故障バッテリーに貯蔵されなかったままで漏洩電流IISCとして消耗されてしまう。また、故障バッテリーの放電時、放電電力の一部は電気負荷30に供給されなかったままで漏洩電流IISCとして消耗されてしまう。抵抗RISCの抵抗値の減少は、内部短絡故障がひどくなることを意味し、内部短絡故障がひどくなるほど漏洩電流IISCとして消耗される電力量が増加し得る。
結果的には、充電において、故障バッテリーの電圧変化(即ち、SOCの上昇量)は、正常バッテリーよりも小さい。一方、放電において、故障バッテリーの電圧変化(即ち、SOCの低下量)は、正常バッテリーよりも大きい。さらに、無負荷状態においても、故障バッテリーに貯蔵されたエネルギーが漏洩電流IISCとして消耗されてしまう。
図3~図6は、バッテリーの内部短絡故障の検出原理を説明するための参照図である。
図3は、バッテリー群11に対する負荷状態(充電)、無負荷状態、負荷状態(放電)及び無負荷状態が順次に行われる期間にわたる、バッテリーBiとバッテリーBjの各々の無負荷電圧の経時変化を示している。図3においては、バッテリーBiが正常バッテリーであり、バッテリーBjが故障バッテリーであることに仮定している。
図3を参照すると、カーブ310はバッテリーBiの無負荷電圧を、カーブ320はバッテリーBjの無負荷電圧を示す。時点tBは、検出タイミング、即ち、制御回路140が複数のバッテリーB1~BNより故障バッテリーを検出する時点である。時点tAは、時点tBから基準時間ΔtREFだけ先立つ過去の時点である。基準時間ΔtREFの長さは予め決められ得る。理解を助けるために、時点tAでは、バッテリーBiとバッテリーBjの無負荷電圧が同一であると仮定した。
時点tAから時点t1までは充電期間であって、バッテリーBiとバッテリーBjの無負荷電圧は上昇し続ける。但し、バッテリーBjは、バッテリーBiより無負荷電圧の上昇が遅く、充電期間tA~t1にかけてバッテリーBiとバッテリーBjの電圧差は、次第に大きくなる。即ち、充電期間tA~t1の間、複数のバッテリーB1~BNの電圧不均衡状態が次第にひどくなる。
時点t1から時点t4までは無負荷期間であって、バッテリーBiとバッテリーBjの充放電が中断される。バッテリーBjの無負荷電圧は、漏洩電流(図2参照)によって無負荷期間t1~t4でも徐々に下降する。一方、時点t2から時点t3までは、バッテリーBiに対するバランシング処理が行われる期間、即ち、バッテリーBiのバランシング期間である。制御回路140は、時点t1と時点t2の間で、複数のバッテリーB1~BNのうちでバッテリーBiをターゲットバッテリーに設定する。一例で、時点t1でバッテリーBjの無負荷電圧が複数のバッテリーB1~BNの最小無負荷電圧である場合、バッテリーBiの無負荷電圧は、バッテリーBjの無負荷電圧より高いので、バッテリーBiはターゲットバッテリーに設定される。勿論、残りのバッテリーうち、最小の無負荷電圧より低い無負荷電圧が検出された少なくとも一つのバッテリーがターゲットバッテリーとしてさらに設定され得る。バッテリーBiに対するバランシング処理が行われることによって、バッテリーBiの無負荷電圧は、バランシング期間t2~t3にかけて下降し続ける。即ち、バランシング期間t2~t3の間、複数のバッテリーB1~BNの電圧不均衡状態が次第に解消される。
時点t4から時点t5までは放電期間であって、バッテリーBiとバッテリーBjの無負荷電圧は下降し続ける。バッテリーBjは、バッテリーBiよりも無負荷電圧の下降が速く、放電期間t4~t5にかけてバッテリーBiとバッテリーBjの電圧差は次第に増加する。即ち、放電期間t4~t5の間、複数のバッテリーB1~BNの電圧不均衡状態が次第にひどくなる。
時点t5から時点tBまでは、無負荷期間である。バッテリーBjの無負荷電圧は、無負荷期間t5~tBにかけて徐々に下降する。一方、時点t6から時点 t7までは、バッテリーBiのバランシング期間である。制御回路140は、時点t5と時点t6の間で、複数のバッテリーB1~BNよりターゲットバッテリーを設定する。一例で、時点t6では、時点t2と同様に、バッテリーBiはターゲットバッテリーに設定される。バッテリーBiに対するバランシング処理が行われることによって、バッテリーBiの無負荷電圧は、バランシング期間t6~t7にかけて下降し続ける。即ち、バランシング期間t6~t7の間、複数のバッテリーB1~BNの電圧不均衡状態がさらに解消されていく。
図3を参照して上述された説明によれば、バッテリーBiに対するバランシング処理が行われる度に、バッテリーBiとバッテリーBjとの無負荷電圧の差が減少する。これによって、時点tB(内部短絡故障の検出タイミング)で複数のバッテリーB1~BNの無負荷電圧をある臨界値と比較するだけでは、バッテリーBjが故障バッテリーであるか否かを識別することが不可能であるという課題がある。
本発明は、内部短絡故障の検出タイミング(時点tB)を基準にして、最近の基準時間ΔtREFの期間(即ち、tA~tB)での複数のバッテリーB1~BNの各々のバランシング容量を用いて、検出タイミング(時点tB)での複数のバッテリーB1~BNの各々の無負荷電圧の電圧値を補償する。バッテリーBの補償された電圧値は、期間tA~tBにかけてバッテリーBに対するバランシング処理が行われなかった場合の検出タイミング(時点tB)でのバッテリーBの無負荷電圧の推定値を示す。これによって、検出タイミング(時点tB)での複数のバッテリーB1~BN間の電圧不均衡状態が非常に弱いとしても、バッテリーBjが故障バッテリーとして検出され得る。
制御回路140は、所定の時間間隔の検出タイミング毎に、複数のバッテリーB1~BNより故障バッテリーを検出し得る。一例で、基準時間ΔtREFは、隣接する二つの検出タイミングの時間間隔の100倍であることがあり、最近の基準時間ΔtREFの期間は、ムービングウィンドウを用いて特定され得る。制御回路140は、検出実施条件が満たされる場合に内部短絡故障の検出を行い得る。検出実施条件は、例えば、複数のバッテリーB1~BN全部に対してバランシング処理が停止されている無負荷状態であり得る。
期間tA~tBでのバッテリーBのバランシング容量とは、期間tA~tBで行われたバランシング処理によるバッテリーBの放電容量の累算値、即ち、期間tA~tBにわたる総放電容量である。期間tA~tBでバランシング処理が一回も行われていないバッテリー(例えば、Bj)のバランシング容量は、0Ahに決定される。
以下、バランシング処理が一回行われる度に放電容量を決定する原理について説明する。
図4は、図3での無負荷期間t1~t4内でバッテリーBiに対して行われたバランシング処理についての説明のための図である。カーブ410とカーブ411は各々、バッテリーBiの無負荷電圧及び放電容量の経時変化を示す。バッテリーBiの無負荷電圧の電圧値は、時点t1から時点t2までV2として一定であり、時点t2から時点t3まで下降し続け、時点t3ではV3に到達している。時点t3は、バッテリーBiに対するバランシング処理が終了した時点である。
制御回路150は、バランシング処理の第1バランシングデータに容量推定関数を適用し、バランシング処理によるバッテリーBiの放電容量を決定し得る。第1バランシングデータは、バランシング処理の開始電圧値及び継続時間を含む。開始電圧値は、バランシング処理の開始時点t2でのバッテリーBiの無負荷電圧を示し、図4ではV2である。継続時間は、バランシング処理の開始時点t2から終了時点t3までの時間間隔を示し、図4ではΔtBC=t3-t2である。
容量推定関数は、開始電圧値、継続時間及び放電容量の間の相関関係を規定するものであり、バッテリーBと同じ電気化学的性能を有するように製造されたバッテリーに対する実験によって決定され得る。下記の数1は、容量推定関数の一例である。
数1において、Vstartは開始電圧値、ΔtBCは継続時間、Rは放電抵抗131の予め決められた抵抗値(resistance)、Qdisはバランシング処理当りの放電容量である。Vstart/Rはバランシング処理の開始時に放電抵抗131を通して流れるバランシング電流を示す。
数2において、Vendは終了電圧値であり、残りのファクターは数1と同一である。
または、制御回路150は、バランシング処理の第2バランシングデータにSOC-OCVマップを適用して、バランシング処理によるバッテリーBiの放電容量を決定し得る。第2バランシングデータは、バランシング処理の開始電圧値及び終了電圧値を含む。終了電圧値は、バランシング処理の終了時点t3での無負荷電圧を示し、図4ではV3である。図5は、SOC-OCVマップの一例である。図5を参照すると、Z2は開始電圧値V2に対応するSOCであり、Z3は終了電圧値V3に対応するSOCである。制御回路140は、二つの SOCの差、即ちZ2-Z3にバッテリーBiの完全充電容量(FCC:Full Charge Capacity)を掛け算して、バランシング期間t2~t3で行われたバランシング処理によるバッテリーBiの放電容量を決定し得る。完全充電容量の推定法は公知であるので、具体的な説明は省略する。
または、バランシング処理の開始時から終了時まで、放電抵抗131の電圧と抵抗値にオームの法則を適用して周期的に計算されるバランシング電流を積算することで、バッテリーBのバランシング容量を直接的に計算することも可能である。
前述したバランシング容量の決定は、バランシング処理が一回行われる度に行われ得る。
期間tA~tBにおいて、バッテリーBiに対するバランシング処理は二回行われた。これによって、制御回路140は、バランシング期間t2~t3での放電容量とバランシング期間t6~t7での放電容量を合わせて、期間tA~tBの間にバッテリーBiから消耗した総容量であるバッテリーBiのバランシング容量を決定し得る。
図5を参照すると、制御回路140は、検出タイミング(時点tB)で、複数のバッテリーB1~BN各々のSOCの推定値を決定し得る。一例で、時点tBで検出されたバッテリーBiの無負荷電圧の電圧値がViである場合、制御回路140は、電圧値ViにSOC-OCVマップを適用して、電圧値Viに対応するZiをバッテリーBiのSOCの推定値として決定し得る。
制御回路140は、検出タイミング(時点tB)を基準にして最近の基準時間ΔtREFの間の複数のバッテリーB1~BN各々のバランシング容量に後述する所定の電圧補償ロジッグを適用して、複数のバッテリーB1~BNの各々の無負荷電圧の電圧値を補償し得る。具体的には、制御回路140は、バッテリーBiのバランシング容量をバッテリーBiの完全充電容量に割り、バッテリーBiのSOC変化量ΔZiを決定し得る。制御回路140は、SOCの推定値ZiにSOC変化量ΔZiを合わせて、バッテリーBiのSOCの推定値をZiからZi+に補償する。制御回路140は、補償されたSOCの推定値Zi+にSOC-OCVマップを適用して、Zi+に対応する電圧値Vi+を決定する。電圧値Vi+は、バッテリーBiのバランシング容量を用いて電圧値Viを補償した結果である。一方、バッテリーBjに対しては、期間tA~tBにかけてバランシング処理が一回も行われていないので、バッテリーBjの補償された電圧値Vj+は、時点tBで検出された電圧値Vjと同一である。
図3をさらに参照すると、カーブ311は、カーブ310にバッテリーBiのバランシング容量の経時変化を適用して、カーブ310を補償した結果である。即ち、カーブ311は、期間tA~tBの間にバッテリーBiに対するバランシング処理が全然行われなかったときのバッテリーBiの無負荷電圧の経時変化を示す。充電期間tA~t1では、バランシング処理が行われないため、カーブ310とカーブ320は、充電期間tA~t1で完全に重ねられている。また、放電期間t4~t5においてもバランシング処理が行われないため、カーブ310とカーブ320の差は、放電期間t4~t5にかけて同一に維持される。図5で説明したとおり、検出タイミングtBでのバッテリーBiの電圧値がViからVi+に補償されることによって、バッテリーBjの電圧値Vjとの差が拡大されたことを確認することができる。
前述した一連の過程(電圧補償ロジッグ)は、検出タイミング毎に複数のバッテリーB1~BNに対して全て共通に適用される。制御回路140は、検出タイミング毎に、複数のバッテリーB1~BNのうち二つ以上のバッテリーの補償された電圧値の平均値または中央値と同一に基準電圧値を決定し得る。即ち、基準電圧値は、検出タイミング毎に新たに更新され得る。一例で、基準電圧値は、複数のバッテリーB1~BNに対して決定された、(i)複数の補償された電圧値全部または(ii)複数の補償された電圧値のうち大きい順に所定の個数の補償された電圧値の平均値または中央値であり得る。図3を参照すると、VRは時点tBでの基準電圧値である。または、基準電圧値は、複数のバッテリーB1~BNの電圧変化にかかわらず、予め与えられた値であり得る。
制御回路140は、検出タイミング毎に、基準電圧値とバッテリーBの補償された電圧値との差である電圧差を決定し得る。また、制御回路140は、最近の基準時間ΔtREFの期間tA~tBにわたる、順次に複数回決定されたバッテリーBの電圧差の経時変化を示す時系列をメモリー141に記録しておき得る。期間tA~tB内の幾つかの検出タイミングでのバッテリーBの電圧差が脱落する場合、時系列内の残りの電圧差の値にインターポレーションを適用して、脱落した電圧差の値が時系列に追加され得る。図6において、カーブ610及びカーブ620は各々、バッテリーBiの電圧差とバッテリーBjの電圧差の経時変化を示す。
制御回路140は、最近基準時間ΔtREFの間のバッテリーBの電圧差の変化量を決定し得る。図6において、ΔViA及びΔViBは各々、時点tA及びtBでのバッテリーBiの電圧差であり、バッテリーBiの電圧差の変化量はΔViA-ΔViBである。また、ΔVjA及びΔVjBは各々、時点tA及びtBでのバッテリーBjの電圧差であり、バッテリーBjの電圧差の変化量はΔVjA-ΔVjBである。因みに、図3を参照すると、ΔViB=Vi+-VRであり、ΔVjB=Vj+-VRである。
制御回路140は、検出タイミング毎に、バッテリーBの電圧差の変化量を臨界値と比較して、バッテリーBが内部短絡故障であるか否かを判定する。一例で、時点tBで、ΔViA-ΔViB<臨界値≦ΔVjA-ΔVjBである場合、バッテリーBiは正常バッテリーとして判定され、バッテリーBjは故障バッテリーとして判定される。
制御回路140は、検出タイミング毎に、バッテリーBの電圧差の変化量を臨界値と比較して、バッテリーBの電圧差の変化量が臨界値以上であるものが連続した回数をカウントし、カウントされた回数が所定の回数に到達すると、バッテリーBに対して内部短絡故障に判定し得る。
図7及び図8は、本発明の第1実施例によるバッテリー管理方法を示すフローチャートである。図7の方法は、所定の時間間隔を置いて反復して行われ得る。理解を助けるために、図7の方法が、時点tBで行われたと仮定して説明する。
図1~図7を参照すると、段階S700で、制御回路140は、バッテリーBの無負荷電圧を示す第1電圧値を決定する。例えば、図3のVi及びVjは各々、バッテリーBiとバッテリーBjの第1電圧値を示す。
段階S710で、制御回路140は、バッテリーBのバランシング容量を用いて、バッテリーBの第1電圧値を補償する。段階S710は、サブルーチンとして図8に示した段階S810、S820、S830及びS840を含み得る。
段階S810で、制御回路140は、バッテリーBの第1電圧値にSOC-OCVマップを適用して、バッテリーBのSOCの推定値を決定する。図5を参照すると、ZiはバッテリーBiの第1電圧値Viに対応するバッテリーBiの SOCの推定値である。
段階S820で、制御回路140は、バッテリーBのバランシング容量を決定する。バッテリーBのバランシング容量は、最近の基準時間ΔtREFの間にバッテリーBに対して行われたバランシング処理による放電容量の累算値であり得る。
段階S830で、制御回路140は、バッテリーBのSOCの推定値にバランシング容量に対応するSOC変化量を合わせて、バッテリーBのSOCの推定値を補償する。図5を参照すると、ZiにΔZiが加えられ、バッテリーBiの補償されたSOCの推定値Zi+が得られる。
段階S840で、制御回路140は、バッテリーBの補償されたSOCの推定値にSOC-OCVマップを適用して、バッテリーBの補償された第1電圧値を決定する。図5を参照すると、バッテリーBの補償された第1電圧値は、Zi+に対応するVi+と同一に決定される。
段階S720で、制御回路140は、基準電圧値を決定する。図3のVRは時点tBでの基準電圧値である。
段階S730で、制御回路140は、バッテリーBの補償された第1電圧値と基準電圧値との差と同一にバッテリーBの電圧差を決定する。図6を参照すると、ΔViB及びΔVjBは各々、バッテリーBiの電圧差とバッテリーBjの電圧差である。
段階S740で、制御回路140は、最近基準時間ΔtREFの間のバッテリーBの電圧差の変化量を決定する。図6を参照すると、ΔViA-ΔViBはバッテリーBiの電圧差の変化量であり、ΔVjA-ΔVjBはバッテリーBjの電圧差の変化量である。
段階S750で、制御回路140は、バッテリーBの電圧差の変化量が臨界値以上であるか否かを判定する。段階S750の値が「はい」である場合、段階S760へ進む。
段階S760で、制御回路140は、バッテリーBを内部短絡故障として検出する。さらに、制御回路140は、所定の保護動作を行い得る。保護動作は、バッテリーBが内部短絡故障であることを知られる診断メッセージの出力であり得る。診断メッセージは、通信回路150によって車両コントローラ2に伝送され得る。通信回路150は、診断メッセージを受信すると、使用者に警告信号を出力し得る。
図9は、本発明の第2実施例によるバッテリー管理方法を示すフローチャートである。図9の方法は、所定の時間間隔を置いて反復して行われ得る。理解を助けるために、図9の方法が時点tBで行われたと仮定して説明する。
図9を参照すると、段階S700から段階S740までの過程は、第1実施例と共通する。段階S740が行われた後、段階S910へ進む。段階S910で、制御回路140は、バッテリーBの電圧差の変化量が臨界値以上であるか否かを判定する。段階S910の値が「はい」である場合、段階S920へ進む。段階S910の値が「いいえ」である場合、段階S922へ進む。
段階S920で、制御回路140は、バッテリーBの故障カウントを1だけ増加させる。段階S922で、制御回路140は、バッテリーBの故障カウントを初期値(例えば、0)と同一にリセットする。
段階S930で、制御回路140は、バッテリーBの故障カウントが所定の値以上であるか否かを判定する。即ち、バッテリーBの電圧差の変化量が臨界値以上であって、所定の回数が連続してカウントされたか否かが判定される。段階S930の値が「はい」である場合、段階S940へ進む。
段階S940で、制御回路140は、バッテリーBを内部短絡故障として検出する。第1実施例と同様に、制御回路140は、所定の保護動作を行い得る。
第2実施例は第1実施例の変形例であって、故障バッテリーの呉検出を防止し得る。
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。