JP2024005643A - 難燃性コーティング剤及び難燃性シート材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パーフォレーション処理を行った人工皮革であっても十分な難燃性を付与することが可能な、非ハロゲン系難燃性コーティング剤、及びその難燃性コーティング剤を用いた難燃性シート材料の製造方法を開示する。
【解決手段】下記式(1)で示されるホスホロアミデート(a1)を含む難燃成分(A)と、アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位を含むアクリル樹脂(B)と、を含む、難燃性コーティング剤。

Description

本願は難燃性コーティング剤及び難燃性シート材料の製造方法を開示する。
織物、編物、不織布等に樹脂を含侵させたシート材料は、衣料、家具、自動車等の様々な分野で使用されている。特に、人工皮革(例えば、極細熱可塑性合成繊維等から製造された不織布に、ポリウレタン樹脂などの高分子弾性体を含浸させたもの)や、その表面をバフィングして極細熱可塑性合成繊維の立毛を表面に形成させたスエード調立毛人工皮革は、ソフトなタッチと風合い、高級な外観を有することから、高級衣料用素材として広く利用されており、近年は、自動車や鉄道車両のシートなどの車両シート材料用途にも展開されている。
車両シート材料用途分野においては、特に、優れた難燃性能が要求されるので、シート材料に対し難燃剤を含有する樹脂をバックコーティングすること、すなわち難燃バッキング加工を行うことが知られている。このような難燃剤として、デカブロモジフェニルエーテル等のハロゲン系難燃剤が従来から使用されていたが、近年、環境保護の側面からハロゲン系難燃剤の代わりに非ハロゲン系難燃剤を使用することが求められている。ところが、非ハロゲン系難燃剤は一般にハロゲン系難燃剤に比べて難燃性に劣り、難燃性を得るために多量の難燃剤を使用することが必要であることが多い。過剰な難燃剤の使用は種々の問題を引き起こす場合があり、好ましくない。
一方で、近年、人工皮革で構成されるシート素材では、意匠性に特徴を出すため、穿孔処理で穴を開けた素材、いわゆるパーフォレーション処理を行った人工皮革の裏側に、これと異なる色のトリコット素材を貼り付けてコントラスト感を演出する形態のデザインが多用されている。従来から公知である難燃加工剤では、パーフォレーション処理を行っていない無地のシート材料に難燃化性能を付与することはある程度可能であるものの、パーフォレーション処理を行ったシート材料に対して十分な難燃化性能を付与することは難しい。
例えば、特許文献1には、水に対する溶解度が1%以下の燐酸化合物Aと、燃焼時に炭化骨格のできるビニル基含有樹脂Cと、水不溶性増粘剤Dとを少なくとも含む難燃加工剤、及び、当該難燃加工剤が熱可塑性合成繊維布帛の片面に付与されてなるスエード調人工皮革が記載されている。また、特許文献2には、特定構造のホスホロアミデート化合物を有する難燃剤と水性樹脂エマルジョンとを含有してなる難燃性水性樹脂組成物が記載されている。さらに、特許文献3には、有機カルボン酸構成単位と特定の炭化水素構成単位とを有する共重合体の界面活性剤を用いて特定構造のホスホロアミデートを水に分散させた難燃加工剤が記載されている。しかしながら、特許文献1~3に記載された難燃加工剤は、いずれも、パーフォレーション処理を行ったシート材料に対して十分な難燃化性能を付与することが難しい。
尚、特許文献4のように、パーフォレーション加工された人工皮革からなる表面層に対して難燃性フィルムを貼り合わせて樹脂層を形成する技術についても公知である。しかしながら、難燃性フィルムを貼り合わせる場合、加工工程の追加によるコスト増、所要時間増の観点で課題が残る。
特開2007-016357号公報 国際公開第2014/002958号 特開2018-145224号公報 特開2016-193503号公報
以上の背景技術に鑑み、本願は、例えば、無地のシート材料だけでなくパーフォレーション処理されたシート材料に対しても十分な難燃性を付与することが可能な難燃性コーティング剤、及び、当該難燃性コーティング剤を用いた難燃性シート材料の製造方法を開示する。
本願は上記課題を解決するための手段として、以下の複数の態様を開示する。
(態様1)
下記式(1)で示されるホスホロアミデート(a1)を含む難燃成分(A)と、
アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位を含むアクリル樹脂(B)と、
を含む、難燃性コーティング剤。
(態様2)
前記アクリル樹脂(B)を構成する単量体全量に対して、前記アクリロニトリル類(b1)が5~30質量%含まれ、
前記難燃成分(A)と前記アクリル樹脂(B)との質量比が、(A):(B)=99:1~50:50である、
態様1の難燃性コーティング剤。
(態様3)
前記難燃成分(A)が、前記ホスホロアミデート(a1)以外のリン系化合物(a2)をさらに含む、
態様1又は2の難燃性コーティング剤。
(態様4)
増粘剤(C)をさらに含む、
態様1~3のいずれかの難燃性コーティング剤。
(態様5)
態様1~4のいずれかの難燃性コーティング剤によってシート材料の一方の面を処理した後、乾燥することで、前記シート材料の表面及び前記シート材料の内部のうちの一方又は両方に前記難燃成分(A)と前記アクリル樹脂(B)とを含む皮膜を形成させること、
を含む、難燃性シート材料の製造方法。
本開示の難燃性コーティング剤によれば、シート材料に対して十分な難燃性を付与することが可能である。例えば、パーフォレーション処理されていない無地シート材料のほか、パーフォレーション処理されたシート材料等に対しても十分な難燃性を付与することが可能である。また、本開示の難燃性コーティング剤によれば、人工皮革表面又は人工皮革中の染料がブリードすること(例えば、パーフォレーション処理を行ったシート材料の人工皮革部分からトリコット素材部分に染料がブリードすること=色移行)も抑制し易い。
1.難燃性コーティング剤
以下、一実施形態に係る難燃性コーティング剤について説明する。一実施形態に係る難燃性コーティング剤は、下記式(1)で示されるホスホロアミデート(a1)を含む難燃成分(A)と、アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位を含むアクリル樹脂(B)と、を含む。
1.1 難燃成分(A)
難燃成分(A)は、上記式(1)で示されるホスホロアミデート(a1)を含む。また、難燃成分(A)は、ホスホロアミデート(a1)に加えて、それ以外の難燃成分を含んでいてもよい。例えば、難燃成分(A)は、ホスホロアミデート(a1)に加えて、ホスホロアミデート(a1)以外のリン系化合物(a2)及びその他の難燃成分(a3)のうちの一方又は両方をさらに含んでいてもよい。
1.1.1 ホスホロアミデート(a1)
難燃性コーティング剤において、ホスホロアミデート(a1)は、例えば、粒子として存在し得る。ホスホロアミデート(a1)の粒子は、例えば、0.1μm~20μmの平均粒子径を有するものであってもよい。平均粒子径は、好ましくは0.3μm以上10μm以下、より好ましくは0.5μm以上5μm以下である。ホスホロアミデート(a1)の粒子径が小さ過ぎると、難燃性の面では問題は生じ難いものの、微粒子化に要する機械的粉砕処理の時間が長くなり、製造コストの面で不利となる場合がある。一方、ホスホロアミデート(a1)の粒子径が大き過ぎると、難燃性コーティング剤の分離が生じ易くなり、貯蔵安定性が低下する場合がある。また、ホスホロアミデート(a1)の粒子径が大き過ぎると、難燃性が低下する場合があるほか、難燃性コーティング剤を塗布した面の白化による品位低下が生じる場合がある。尚、難燃性コーティング剤に含まれるホスホロアミデート(a1)の「平均粒子径」とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて積算体積粒度分布を測定し、積算体積が50%となる粒子径(メジアン径、D50)を意味する。
ホスホロアミデート(a1)として市販品を使用してもよい。ホスホロアミデート(a1)の市販品としては、例えば、大八化学工業社製のダイガード850等が挙げられる。
1.1.2 リン系化合物(a2)
難燃性と難燃性以外の物性とのバランスの観点から、難燃成分(A)は、ホスホロアミデート(a1)以外のリン系化合物(a2)をさらに含むことが好ましい。リン系化合物(a2)は、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、9,10-ジヒドロ-10-ベンジル-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(BCA)、リン酸アミド、ホスファゼン化合物、レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート(RDP)、ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート(BDP)、及び、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート(RDX)から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
ホスホロアミデート(a1)以外のリン系化合物(a2)は、20℃のイオン交換水に対する溶解度が1重量%以下であるものが好ましい。また、リン系化合物(a2)は、難燃化性能の観点から、ポリリン酸アンモニウムであることが好ましく、ポリリン酸アンモニウムの中でも、キワツキ抑制の観点と貯蔵安定性の観点から、表面が被覆されたポリリン酸アンモニウムであることがより好ましい。キワツキとは、難燃性コーティング剤で処理されたシート材料に水や蒸気が付着した後に乾燥した場合、水や蒸気が付着していた部分が斑点状や輪染み状になる現象である。この現象は、付着した水や蒸気に、難燃性シート材料に含まれる成分が溶解することにより生じる。
表面が被覆されたポリリン酸アンモニウムは、シラン被覆ポリリン酸アンモニウム及びメラミン被覆ポリリン酸アンモニウムのうちの一方又は両方であることがより好ましい。揮発性有機化合物(VOC)の発生がないという観点から、シラン被覆ポリリン酸アンモニウムがさらに好ましい。
シラン被覆ポリリン酸アンモニウムの市販品としては、FR CROS486(ブーデンハイム社製)、 Exflam APP-204(Wellchem社製)、APP-102、APP-105(JLS社製)、APP-5(西安化工社製)、FRX-304(信越化学工業株式会社製)等が挙げられ、メラミン被覆ポリリン酸アンモニウムの市販品としては、Exolit AP462(Clariant社製)、TERRAJU C-60(CBC社製)、Exflam APP202(Wellchem社製)等が挙げられる。
また、難燃成分(A)が、リン系化合物(a2)としてリン酸エステルを含む場合、中でも、レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート(RDP)及びビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート(BDP)のうちの一方又は両方を含む場合、比較的ソフトな風合の人工皮革を得ることができる。さらに、難燃成分(A)が、リン系化合物(a2)としてレゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート(RDX)を含む場合、比較的ハードな風合の人工皮革を得ることができる。
1.1.3 その他の難燃成分
難燃成分(A)は、上記のホスホロアミデート(a1)やリン系化合物(a2)以外の、その他の難燃成分(a3)を含んでいてもよい。その他の難燃成分(a3)は、例えば、臭素系難燃剤及び無機系難燃剤のうちの一方又は両方であってもよい。
1.1.4 難燃成分(A)に含まれる各成分の比率
難燃成分(A)に含まれるホスホロアミデート(a1)の量は特に限定されるものではない。例えば、難燃成分(A)は、ホスホロアミデート(a1)を0質量%超100質量%以下、好ましくは5~99質量%、より好ましくは15~90質量%、さらに好ましくは20~90質量%含んでいてもよい。
難燃成分(A)が、ホスホロアミデート(a1)と、ホスホロアミデート(a1)以外のリン系化合物(a2)とを含む場合、(a1)と(a2)との質量比は特に限定されるものではない。例えば、(a1):(a2)=99:1~5:95であることが好ましく、90:10~15:85であることがより好ましく、90:10~20:80であることがさらに好ましい。ホスホロアミデート(a1)の質量比が多いと、コストが高くなり易い。また、リン系化合物(a2)の質量比が多いと、難燃性不足、摩擦堅牢度の低下、色移行の悪化(色移行しやすくなる)、キワツキが生じるなどの虞がある。
難燃成分(A)が、ホスホロアミデート(a1)と、ホスホロアミデート(a1)以外のリン系化合物(a2)及びその他の難燃成分(a3)のうちの一方又は両方とを含む場合、(a1)と(a2)及び(a3)との質量比は特に限定されるものではない。例えば、(a1):[(a2)+(a3)]=99:1~5:95であることが好ましく、90:10~15:85であることがより好ましく、90:10~20:80であることがさらに好ましい。ホスホロアミデート(a1)の質量比が多いと、コストが高くなり易い。また、ホスホロアミデート(a1)以外のリン系化合物(a2)やその他の難燃成分(a3)の質量比が多いと、難燃性不足、摩擦堅牢度の低下、色移行の悪化(色移行しやすくなる)、キワツキが生じるなどの虞がある。
1.2 アクリル樹脂(B)
アクリル樹脂(B)は、アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位を含む。アクリル樹脂(B)は、アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位に加えて、それ以外の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。例えば、アクリル樹脂(B)は、アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位と、下記一般式(2)で示される単量体(b2)に由来する構成単位、下記一般式(3)で示される単量体(b3)に由来する構成単位、及び、その他の単量体(b4)に由来する構成単位のうちの少なくとも1種の構成単位と、を含んでいてもよい。
1.2.1 アクリロニトリル類(b1)
アクリロニトリル類(b1)の具体例としては、(メタ)アクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル及びα-エチルアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ここで、(メタ)アクリロ二トリルとは、アクリロニトリル及びメタアクリロニトリルのいずれか一方又は両方を意味する。
1.2.2 単量体(b2)
アクリル樹脂(B)は、下記一般式(2)で示される単量体(b2)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
CH=C(R)-C(O)-O-R ・・・(2)
式(2)において、Rは水素又はメチル基であり、Rは炭素数1から12のアルキル基又は炭素数2から12のアルケニル基である。
上記式(2)において、Rは直鎖状アルキル基若しくはアルケニル基、又は分岐状アルキル基若しくはアルケニル基であることが好ましい。Rを構成する炭素数1から12のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基などが挙げられる。風合硬化防止の観点から、Rは炭素数1から12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1から10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1から8のアルキル基であることがさらに好ましい。単量体(a)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-プロペニル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、風合硬化防止の観点から好ましくはメチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートである。単量体(b2)は、1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
1.2.3 単量体(b3)
アクリル樹脂(B)は、下記一般式(3)で示される単量体(b3)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
CH=C(R)-X-R-OH ・・・(3)
式(3)において、Rは水素又はメチル基であり、XはC(O)O又はC(O)N(H)であり、Rは炭素数1~8のアルキレン基である。
上記式(3)において、Rは直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素数1~8のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。難燃性の観点から、Rは炭素数1から6のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1から5のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1から4のアルキレン基であることが更に好ましい。同様の観点から、Rはメチル基であることが好ましい。単量体(b3)の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、難燃性の観点から好ましくは2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。本開示において、(メタ)アクリルとはアクリルとメタクリルのいずれかを意味し、また(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートのいずれかを意味する。単量体(b3)は、1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
1.2.4 その他の単量体(b4)
アクリル樹脂(B)は、上記の単量体(b1)~(b3)以外のその他の単量体(b4)を含んでいてもよい。その他の単量体(b4)としては、単量体(b1)~(b3)と共重合可能な単量体であれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有不飽和単量体(カルボキシル基を分子内に有する単量体)、スチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族系不飽和単量体などが挙げられる。アクリロニトリル類(b1)との重合のし易さや、乳化分散液の安定性の観点からは、その他の単量体(b4)はカルボキシル基含有不飽和単量体を含むことが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸のうちの一方又は両方を含むことがより好ましい。また、難燃性の観点からは、スチレンを含むことが好ましい。その他の単量体(b4)は、1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
1.2.5 アクリル樹脂(B)における各単量体の比率
アクリル樹脂(B)に占める上記の単量体に由来する構成単位の比率は、特に限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂(B)を構成する単量体全量に対して、アクリロニトリル類(b1)が5~30質量%含まれることが好ましく、5~20質量%含まれることがより好ましく、8~16質量%含まれることが更により好ましい。すなわち、アクリル樹脂(B)において、[アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位]:[アクリロニトリル類(b1)以外の単量体に由来する構成単位]=5:95~30:70であることが好ましく、5:95~20:80であることがより好ましく、8:92~16:84であることが更により好ましい。アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位が少な過ぎると、摩擦堅牢度や色移行が悪化する場合や、加工薬剤の貯蔵安定性が低下する場合がある。また、アクリル樹脂(B)を構成する単量体全量に対して、アクリロニトリル類(b1)が30質量%以下含まれる場合、にちゃつきの発現が少ない傾向にある。すなわち、アクリル樹脂(B)を構成する単量体全量に対して、アクリロニトリル類(b1)が5~30質量%含まれることで、シート材料に優れた難燃性を付与できるほか、優れた摩擦堅牢度が確保され、色移行が抑えられ、貯蔵安定性が向上し、にちゃつきも発現し難い。
アクリル樹脂(B)が単量体(b2)に由来する構成単位、単量体(b3)に由来する構成単位、及び、その他の単量体(b4)に由来する構成単位のうちの少なくとも1種を含む場合、これら単量体(b2)~(b4)の比率は特に限定されるものではない。例えば、単量体(b2)と単量体(b3)との質量比は、(b2):(b3)=100:0~90:10であることが好ましく、(b2):(b3)=100:0~95:5であることがより好ましい。また、例えば、単量体(b2)とその他の単量体(b4)との質量比は、(b2):(b4)=99.5:0.5~70:30であることが好ましく、99.5:0.5~80:20であることがより好ましい。
1.2.6 アクリル樹脂(B)のガラス転移温度
アクリル樹脂(B)は、-50℃~5℃のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましく、-40℃~-10℃のTgを有することがより好ましく、-40℃~-20℃のTgを有することが更により好ましい。Tgが-50℃未満の場合、難燃性シート材料表面のタック性(にちゃつき)が大きくなり、得られるシート材料の取り扱いが難しくなる場合がある。Tgが高いほど風合が硬くなる傾向があるため、Tgは5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、-5℃以下であることが更に好ましい。尚、アクリル樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は、各単量体のガラス転移温度と構成比率から計算することができる。
1.2.7 アクリル樹脂(B)の市販品
アクリル樹脂Bは市販品を用いてもよい。市販品としては、ボンコートシリーズ、ウォーターゾールシリーズ(DIC(株)製)の中でアクリロニトリル類に由来する構成単位を含んでいるもの、ニカゾールシリーズ(日本カーバイド工業(株)製)の中でアクリロニトリル類に由来する構成単位を含んでいるもの、サイビノールシリーズ(例えばサイビノールEC-072、サイデン化学(株)製)の中でアクリロニトリル類に由来する構成単位を含んでいるものなどが挙げられる。
1.2.8 アクリル樹脂(B)の合成方法
アクリル樹脂(B)は、例えば以下の方法により合成することができる。特に限定されないが、例えば、必要に応じて水、界面活性剤、乳化分散剤、連鎖移動剤0.01~5質量部(単量体の合計100質量部当たり)及び重合開始剤等の存在下に、単量体(b1)と単量体(b2)~(b4)とを前記の質量割合で乳化分散重合することで、アクリル樹脂(B)の乳化分散液を得ることができる。尚、本開示では、乳化と分散をまとめて乳化分散と表現する。
乳化分散重合には、場合によって、溶媒として水に加えて有機溶剤を併用することができる。このような有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール等のグリコール類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。
上記乳化分散重合において、非イオン、アニオン、カチオン、又は両性界面活性剤などの通常使用される公知の非反応性界面活性剤やビニル基又はアリル基等の重合性基を有する反応性界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の含有量は、単量体の合計100質量部当たり、0.1~10質量部の範囲が好ましく、アクリル樹脂(B)作製時のエマルジョン中の単量体の合計の濃度は30~73質量%が好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8~24のアルコール類又はアルケノール類のアルキレンオキサイド付加物、単環又は多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8~44の脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8~44の脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8~24の脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物、多価アルコールと直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8~24の脂肪酸とアルキレンオキサイドとの反応物、油脂類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、前記非イオン界面活性剤の硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、カルボン酸塩及びスルホコハク酸型アニオン界面活性剤、高級アルコールの硫酸エステル塩及びリン酸エステル塩、油脂類のスルホン化物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物などが挙げられる。
カチオン界面活性剤の例としては、脂肪族アミン塩及びその4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩などを、両性界面活性剤の例としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などを挙げることができる。
これらの中でも、乳化分散性と安定性の観点から、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8~24のアルコール類のアルキレンオキサイド付加物、単環又は多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物及びそれらのアニオン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
単環又は多環フェノール類としては、フェノール、4-クミルフェノール、4-フェニルフェノール、又は2-ナフトールの、(3~8モル)スチレン付加物、(3~8モル)α-メチルスチレン付加物、又は(3~8モル)ベンジルクロライド反応物が好ましい。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、メルカプタン系化合物やアルコールなどを用いることができる。前記メルカプタン系化合物としては、例えば、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、t-オクチルメルカプタン、n-デシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタンなどが挙げられ、また、メルカプタン系化合物にはメルカプトエタノール、メルカプトプロパノールなどのメルカプト基含有アルコールなども含まれる。前記アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコールなどのC1~C6程度の脂肪族アルコール、ベンジルアルコールなどのC7~C13程度の芳香族アルコールなどが挙げられる。これら以外の連鎖移動剤としては、α-メチルスチレンダイマーが挙げられる。連鎖移動剤は1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。好ましくはメルカプト基を有する連鎖移動剤である。
重合開始剤としては、特に限定されないが、通常アクリル樹脂の乳化分散重合で使用される公知の開始剤が使用できる。例えば、水溶性の重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素などを単独又は併用して使用することができる。油溶性の重合開始剤として、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾビス化合物及び高分子アゾ重合開始剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤は、併用して使用することもできる。また、上記の過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸などの還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始剤なども使用することができる。
上記乳化分散重合は、単量体混合物を水性液中で、必要に応じて連鎖移動剤、重合開始剤及び乳化分散剤などの存在下、撹拌下に加熱することによって実施できる。反応温度は、例えば、30~100℃程度、反応時間は、例えば、1~10時間程度である。水と重合開始剤とを仕込んだ反応容器に単量体混合液又は単量体乳化分散液を一括添加又は暫時滴下することによって反応温度の調節を行うことができる。
乳化分散重合の方法としては、通常の一段連続モノマー均一滴下法、多段モノマーフィード法であるコア・シェル重合法、重合中にフィードするモノマー組成を連続的に変化させるパワーフィード重合法など、いずれの重合法も採ることができる。
アクリル樹脂(B)のエマルジョンがより安定なエマルジョンを保持するといった観点から、乳化分散液におけるアクリル樹脂(B)の含有量を40~60質量%とし、乳化分散液のpHを6.0~9.0に調整することが好ましい。pHの調整は重合反応の前、途中、後のいずれでもよい。
1.3 増粘剤(C)
難燃性コーティング剤は、増粘剤(C)を含んでいてもよい。増粘剤(C)は、難燃性コーティング剤の粘度と粘性を調整し、シート材料に対する塗工性を調整するものである。増粘剤(C)としては、アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン等の天然の有機高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成の有機高分子;ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、アルカリ増粘型アクリル樹脂、エチレンオキサイド高級脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド等の合成の有機高分子等を使用することができる。増粘剤(C)は1種又は2種以上を使用することができる。
増粘剤(C)はキワツキ抑制の観点からは、非水溶性であることが好ましい。「非水溶性」とは、増粘剤(C)が固形の場合は粉末とした後、増粘剤(C)10gを20℃のイオン交換水100gの中に入れ、20℃±0.5℃で1分間強く振り混ぜた場合の、イオン交換水100gに対する増粘剤(C)の溶解する度合い(g)が1.0g以下であることをさす。「溶解する」とは、透明な溶液を与えるか、または任意の割合で透明に混和することをいう。非水溶性の増粘剤(C)としては、アルカリ増粘型アクリル樹脂、エチレンオキサイド高級脂肪酸エステル、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
アルカリ増粘型アクリル樹脂は、従来公知のアルカリ増粘型アクリル樹脂の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。かかるアルカリ増粘型アクリル樹脂としては、カルボキシル基含有モノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物の重合物であることが好ましい。なお、当該重合物がアクリル樹脂(B)とアルカリ増粘型アクリル樹脂のいずれにも該当する場合、アクリル樹脂(B)であるものとみなす。
このようなアルカリ増粘型アクリル樹脂の中でも、カルボキシル基含有モノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物を、重合開始剤、界面活性剤及び必要により連鎖移動剤、架橋剤等の存在下に、乳化重合して得られたものであることが好ましい。重合温度は5~100℃、好ましくは50~80℃であり、他の条件、方法等は、一般的な重合の条件、方法に従って重合を実施すればよく、例えば、モノマー等の重合系への添加方法としては、一括添加法、連続添加法、分割添加法等を挙げることができ、それらを採用すればよい。
アルカリ増粘型アクリル樹脂の構成成分であるカルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アトロパ酸等のモノカルボン酸系モノマー;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等のジカルボン酸系モノマー及びそれらの酸無水物;さらにジカルボン酸モノアルキルエステル系モノマー等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸オクタデセニル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられ、好ましくはアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルであり、特に好ましくはアクリル酸エチルである。
アルカリ増粘型アクリル樹脂には、その構成成分として、カルボキシル基含有モノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー以外に、それらと共重合可能なモノマーを使用することができる。このような共重合可能なモノマーとしては、例えば、カルボン酸ビニル系モノマー、スチレン系モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、シアノ基含有モノマーを挙げることができる。
カルボン酸ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、パビリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ウンデカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、トリデカン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられ、好ましくは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルである。スチレン系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、o-イソプロピルスチレン、m-イソプロピルスチレン、p-イソプロピルスチレン、o-tert-ブチルスチレン、m-tert-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレンが挙げられ、好ましくはスチレンである。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシドデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシヘキサデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシオクタデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシイコシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシトリアコンチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。アミド基含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-エチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。シアノ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル、α-エチルアクリロニトリル等が挙げられる。なお、前記において、(メタ)アクリルとはアクリルとメタクリルのいずれかを意味し、また(メタ)アクリロ二トリルとはアクリロニトリルとメタアクリロニトリルのいずれかを意味し、(メタ)アリルとはメタリルとアリルのいずれかを意味する。
アルカリ増粘型アクリル樹脂の製造時に使用可能な重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、レドックス系開始剤(過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸アンモニウム-酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等)、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-2-メチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、水溶性アゾ系開始剤等のラジカル供与剤が例示される。また、紫外線、電子線、放射線等による光重合によって、ラジカルを発生させてもよく、この場合には光増感剤等を使用してもよい。
アルカリ増粘型アクリル樹脂の製造時に使用可能な界面活性剤としては、前述の水酸基含有アクリル樹脂Bを乳化分散重合する際に使用することができる非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤と同様のものを使用することができる。また、これらの界面活性剤以外に、反応性界面活性剤と呼ばれるビニル基又はアリル基等の重合性基と、スルホン酸塩基、ポリオキシエチレン基等の親水性基とを併せ持つ化合物も有効に利用することができる。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。界面活性剤の添加量は、モノマーの合計量に対して0.1~10質量%の量で使用することが好ましい。添加量が0.1質量%未満では、重合反応が不良となり、目的とするアルカリ増粘型アクリル樹脂が得られない傾向がある。10質量%を超える場合は、重合反応をさらに良好にする効果は少なく、難燃性シート材料の難燃性やキワツキが低下する傾向にある。
アルカリ増粘型アクリル樹脂の製造時に使用可能な連鎖移動剤としては、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルルメルカプタン、n-ステアリルメルカプタン等のメルカプタン類、ペンタフェニルエタン、ターピノーレン、α-メチルスチレンダイマー等の通常の乳化重合で使用可能なものを、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、使用方法としては、一括添加、分割添加または連続添加のいずれの方法をとってもよい。連鎖移動剤の使用量は、モノマーの合計量に対して2質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。添加量が2質量%を超えると、アルカリ増粘型アクリル樹脂が低分子量化するため十分な粘度と粘性が得られなくなる傾向がある。
アルカリ増粘型アクリル樹脂の製造時に使用可能な架橋剤としては、ラジカル重合性の二重結合を2つ以上持つ化合物であれば、特に限定されないが、あえて例示するならば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられ、必要に応じて使用することができる。
その他、pH緩衝剤、キレート剤等を、重合時に使用してもよい。pH緩衝剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が例示でき、キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロトリ酢酸ナトリウム等が例示できる。
このようなアルカリ増粘型アクリル樹脂は、通常、樹脂の乳化分散物として得られ、市場に流通している。アルカリ増粘型アクリル樹脂は、このように乳化分散させた状態で用いることが好ましい。アルカリ増粘型アクリル樹脂(C)としては、市販品を使用することができ、例えば、ニカゾールVT-253A(日本カーバイド工業(株)製)、アロンA-20P、アロンA-7150、アロンA-7070、アロンB-300、アロンB-300K、アロンB-500(以上東亞合成(株)製)、ジュリマーAC-10LHP、ジュリマーAC-10SHP、レオジック250H、レオジック835H、ジュンロンPW-110、ジュンロンPW-150(以上日本純薬(株)製)、プライマルASE-60、プライマルTT-615、プライマルRM-5(以上ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製)、SNシックナーA-818、SNシックナーA-850(以上サンノプコ(株)製)、パラガム500(パラ-ケム・サザン(株)製)、レオレート430(エレメンティス・ジャパン(株)製)、ネオステッカーV-500(日華化学(株)製)などを挙げることができる。
また、難燃性コーティング剤の塗工性を調整するために、アルカリ増粘型アクリル樹脂にポリウレタン樹脂が併用されてもよい。かかるポリウレタン樹脂は、難燃性コーティング剤に対して0.3~1質量%の量で使用することができる。
アルカリ増粘型アクリル樹脂に併用可能なポリウレタン樹脂としては、非イオン系のポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーを挙げることができる。
かかるポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーとしては、市販品を使用することができ、例えば、アデカノールUH-420、アデカノールUH-450、アデカノールUH-540、アデカノールUH-752(以上旭電化工業(株)製)、SNシックナー601、SNシックナー612、SNシックナー621N、SNシックナー623N(以上サンノプコ(株)製)、レオレート244、レオレート278、レオレート300(以上エレメンティス・ジャパン(株)製)、DKシックナーSCT-275(第一工業製薬(株)製)などを挙げることができる。
エチレンオキサイド高級脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコールモノ高級脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジ高級脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールひまし油エステル、ポリエチレングリコール硬化ひまし油エステルなどを挙げることができる。ポリエチレングリコールの重合度は好ましくは4~100である。高級脂肪酸は、好ましくは炭素数10~24のアルキル基又はアルケニル基を有する。
エチレンオキサイド高級脂肪酸エステルの市販品としては、例えばイオネットDO-4000、イオネットDO-800、イオネットDO-1000、エマルミン862(三洋化成(株)製)、エマノーン1112、エマノーン3199VB、エマノーン3299VB、エマノーン4110(花王(株)製)などを挙げることができる。
1.4 難燃成分(A)、アクリル樹脂(B)及び増粘剤(C)の比率
難燃性コーティング剤における難燃成分(A)、アクリル樹脂(B)及び増粘剤(C)の比率は、特に限定されるものではない。例えば、難燃性コーティング剤における難燃成分(A)とアクリル樹脂(B)との質量比は、(A):(B)=99:1~50:50であることが好ましく、95:5~65:35、95:5~75:25、又は95:5~80:20であることがより好ましい。(A)と(B)との質量比がこの範囲であることで、パーフォレーション処理されたシート材料等に対しても一層優れた難燃性を付与することが可能である。難燃性コーティング剤における増粘剤(C)の配合量は、コーティング機の加工適性に合わせて適宜設定すればよい。
1.5 その他の事項
1.5.1 その他の成分
難燃性コーティング剤は、上記の難燃成分(A)、アクリル樹脂(B)、増粘剤(C)以外の成分(例えば、その他の樹脂)を含んでいてもよい。また、発泡コーティングを行う場合は、N,N-ジメチルドデシルアミンオキサイドやドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどの発泡剤を含んでいてもよい。さらに、乳化のための分散媒や界面活性剤等を含んでいてもよい。
1.5.2 粘度及び粘性(PVI値)
難燃性コーティング剤は、使用する加工装置に適した粘度に調整して、使用することができる。粘度は特に限定されるものではないが、1,000~50,000mPa・sであることが好ましく、3,000~30,000mPa・sであることがより好ましく、6,000~12,000mPa・sであることが更により好ましい。粘度が1,000mPa・s未満である場合、裏抜けを起こす場合があり、粘度が50,000mPa・sを超える場合はかすれが発生する場合がある。
難燃性コーティング剤をシート材料に発泡コートする場合は、難燃性コーティング剤の粘度は500~15,000mPa・sであることが好ましく、6,000~12,000mPa・sであることがより好ましい。500mPa・s未満では難燃性コーティング剤の製品安定性が不良となる傾向があり、15,000mPa・sを超える場合は発泡が不良となる場合がある。
尚、難燃性コーティング剤の粘度(単位:mPa・s)は、内径50mmのガラス瓶に難燃性コーティング剤を200ml入れ、B型粘度計((株)トキメック、BM型粘度計、4号ローター、12rpm、測定温度20℃)を用いて測定した値である。
難燃性コーティング剤のシート材料への良好な塗工性を得る観点から、粘性を特定範囲に調整することが好ましい。粘性はPVI値により評価することができる。PVI値とは、捺染粘性指数のことであり、本開示において、難燃性コーティング剤の粘度を前記の粘度測定条件で、回転数60rpmと6rpmで測定し、下記式により計算される値である。
PVI値=回転数60rpmでの測定値÷回転数6rpmでの測定値
難燃性コーティング剤のPVI値は、0.15~0.60であることが好ましく、より好ましくは0.19~0.40であり、更により好ましくは0.19~0.25であり、最も好ましくは0.19~0.21でる。PVI値が0.15以上である場合、コーティング時にかすれを生じさせることなく十分な塗布量を与えることができ、加工適性が示される。また、PVI値が0.60より大きい場合、塗布量が過剰となったり、風合が硬化する虞がある。
難燃性コーティング剤の粘度、粘性は上記増粘剤(C)の種類や配合量を変更することで調整すればよい。
1.5.3 難燃性コーティング剤の製造条件
難燃性コーティング剤を得る方法としては、特に制限されず、難燃成分(A)、アクリル樹脂(B)、及び、増粘剤(C)等の任意成分とを配合、撹拌混合し、粘度、pH、固形分などを調整する方法が挙げられる。各成分を配合する順番や方法は適宜変更することができる。
撹拌混合する方法としては、従来公知の撹拌装置や乳化分散装置を使用することができる。従来公知の撹拌装置や乳化分散装置としては、特に制限はなく、プロペラ、コロイドミル、ビーズミル、マイルダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ホモミキサー、ホモディスパー、ナノマイザー、アルチマイザー、スターバーストなどの撹拌装置や乳化分散機を挙げることができる。
難燃性コーティング剤で処理した処理面に斑点状の汚れが発生することを防止する観点からは、難燃成分(A)を予め微粒子状に粉砕してから用いることが望ましい。
1.5.4 乳化分散液
難燃性コーティング剤として、難燃成分(A)、アクリル樹脂(B)、増粘剤(C)を予め乳化分散したもの(乳化分散液)を使用することもできる。難燃成分(A)、アクリル樹脂(B)、増粘剤(C)を乳化する場合、前記と同様の従来公知の撹拌装置や乳化分散装置を使用することができる。
難燃成分(A)、アクリル樹脂(B)、増粘剤(C)を乳化分散させる際には、界面活性剤を使用することができる。界面活性剤を使用することにより安定に乳化分散することができ、各成分の混合性が向上し、難燃性コーティング剤を製造しやすくなる。
このような界面活性剤としては、特に限定されず、前記と同様の公知の非イオン、アニオン、カチオン、及び両性界面活性剤から選択される少なくとも1種を使用することができる。
これらの中でも、乳化分散性と安定性の観点から、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8~24のアルコール類のアルキレンオキサイド付加物、単環又は多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物及びそれらのアニオン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
単環又は多環フェノール類としては、フェノール、4-クミルフェノール、4-フェニルフェノール、又は2-ナフトールの、(3~8モル)スチレン付加物、(3~8モル)α-メチルスチレン付加物、又は(3~8モル)ベンジルクロライド反応物が好ましい。
難燃性コーティング剤に含まれる界面活性剤量は、有効成分の合計100質量部に対して0.1~3質量部であることが好ましい。0.1質量部未満である場合、難燃性コーティング剤の製品安定性が低下する恐れがあり、3質量部を超える場合、難燃性シート材料のキワツキ、堅牢度、難燃性が低下する虞がある。
1.5.5 有効成分量
難燃性コーティング剤は、有効成分の合計が20~60質量%であることが好ましい。合計が20質量%未満である場合、シート材料に対するこれらの成分の塗布量が不足し、難燃性が低下する場合がある。60%を超える場合には、塗布量過多となり、それ以上の難燃性向上が少なくなることに加え、各種堅牢度が低下する場合がある。
1.5.6 平均粒子径
難燃性コーティング剤は、例えば、平均粒子径D50が0.5~30μmで、最大粒子径Dmaxが200μm以下であることが好ましく、平均粒子径D50が0.5~20μmで、最大粒子径Dmaxが100μm以下であることがより好ましい。平均粒子径D50や最大粒子径Dmaxが大き過ぎると、難燃性コーティング剤の製品安定性が低下したり、難燃性シート材料の難燃性が低下したり、難燃性シート材料の表面に粉状物が現れる場合がある。平均粒子径D50が小さ過ぎると、粒径を小さくするために多大の時間とコストが必要となるため、工業的に好ましくない場合がある。尚、平均粒子径の測定方法については上述した通りである。すなわち、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて積算体積粒度分布を測定し、積算体積が50%となる粒子径(メジアン径)を平均粒子径D50とし、積算体積が100%となる粒径(最大粒径)を最大粒子径Dmaxとすることで求めることができる。
1.5.7 pH
難燃性コーティング剤のpHは、6.0~10.0であることが好ましく、7.0~9.0であることがより好ましい。pHが6.0未満の場合、難燃性コーティング剤の粘度が低下し、製品安定性が低下したり、シート材料に対する塗布量のコントロールが困難になったり、裏抜けが生じる場合がある。10.0を超える場合、難燃性低下や生地劣化の場合がある。尚、pHは、JIS Z 8802:2011に準拠して測定した値である。
1.6 難燃性コーティング剤の用途
本開示の難燃性コーティング剤は、様々なシート材料に対して優れた難燃性を付与することができる。例えば、一実施形態に係る難燃性コーティング剤は、無地のシート材に難燃性を付与するために用いられるものであってもよいし、パーフォレーション処理されたシート材料に難燃性を付与するために用いられるものであってもよい。本開示の難燃性コーティング剤によれば、無地のシート材料だけでなくパーフォレーション処理されたシート材料に対しても優れた難燃性を付与することが可能である。以下、難燃性コーティング剤を用いて難燃性シート材料を製造する方法について説明する。
2.難燃性シート材料の製造方法
本開示の技術は、上述した難燃性コーティング剤としての側面に加えて、難燃性シート材料の製造方法としての側面も有する。すなわち、一実施形態に係る難燃性シート材料の製造方法は、上記本開示の難燃性コーティング剤によってシート材料の一方の面を処理した後、乾燥することで、前記シート材料の表面及び前記シート材料の内部のうちの一方又は両方に前記難燃成分(A)と前記アクリル樹脂(B)とを含む皮膜を形成させること、を含む。
2.1 難燃性コーティング剤の希釈の有無
難燃性コーティング剤によってシート材料の一方の面を処理する場合、難燃性コーティング剤をそのまま用いてもよいし、適宜希釈して用いてもよい。
2.2 シート材料
シート材料としては、織物、編物、不織布等の基材;織物、編物、不織布等の基材に樹脂を含侵又は塗布した材料;などが挙げられる。上記本開示の難燃性コーティング剤は、極細熱可塑性合成繊維等から製造された不織布に高分子弾性体を含侵させたシート材料(人工皮革)に対し、特に優れた難燃性を付与することができる。シート材料は、パーフォレーション加工が施されたものであってもよい。
2.3 難燃性シート材料の製造方法の具体例
難燃性シート材料の製造方法の例として、難燃性コーティング剤によって人工皮革を処理する方法を以下に例示する。
難燃性コーティング剤によって人工皮革を処理する方法としては、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、スリットコーター、コンマコーター、エアナイフコーター、フローコーター、ロータリースクリーン、刷毛、発泡、スプレーなどのコーティング法を挙げることができる。
難燃性コーティング剤によって人工皮革を処理した後に、得られた難燃性人工皮革に、ラミネート加工やボンディング加工を行うこともできる。
難燃性コーティング剤によって人工皮革の一方の面を処理した後に乾燥させる方法としては、特に制限されず、例えば、熱風を利用した乾式乾燥;ハイテンパルチャースチーマー(H.T.S.)、ハイプレッシャースチーマー(H.P.S.)を用いた湿式乾燥;マイクロ波照射式乾燥機などを用いることができる。これらの乾燥方法は、1種を単独で用いることができ、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、乾燥温度及び乾燥時間は使用する難燃性コーティング剤や付与量等により適宜調整することができるが、乾燥温度80℃~130℃、乾燥時間1分~30分とすることが好ましい。乾燥温度90℃~100℃、乾燥時間2分~10分とすることがより好ましい。乾燥温度が低かったり、乾燥時間が短いと十分な乾燥が得られず、また乾燥温度が高かったり、乾燥時間が長いと堅牢度の低下などが懸念される。このような乾燥をすることにより、人工皮革の処理面及び/又はシート材料中に、難燃性被膜を形成させることができる。
人工皮革に対する難燃性コーティング剤の付与量(DRY)は、有効成分の合計が、20~100g/mであることが好ましく、40~80g/mであることがより好ましい。付与量(DRY)が20g/m未満である場合、難燃性が低下する虞があり、100g/mを越える場合、さらなる難燃性の向上は少ない傾向にある。
難燃性コーティング剤によって処理される人工皮革は、例えば、単繊維繊度が1デシテックス以下、好ましくは0.5デシテックス以下、更に好ましくは0.3デシテックス以下の極細の熱可塑性合成繊維からなる不織布に、ポリウレタン樹脂などの高分子弾性体を含浸させたものであってよく、表面に起毛又は立毛を形成したスエード調人工皮革であってもよい。また、分散染料などで染色されているものであってもよい。
かかる人工皮革としては、ウルトラスエード、エクセーヌ(東レ株式会社、登録商標)、ラムース(旭化成せんい株式会社、登録商標)、クラリーノ(クラレトレーディング株式会社、登録商標)、パトラ、ベレザ、ベルエース、ベルリア、エアクール、セルシオーネ(いずれも株式会社FILWEL)、ハイテラックス(ハイテラックス株式会社)、コードレ(帝人株式会社、登録商標)、シャムート(コーロン社、登録商標)、アルカンターラ(アルカンターラ社、登録商標)などが挙げられる。
上記の不織布を構成する極細合成繊維は、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合ポリエステル系繊維に代表されるポリエステル系合成繊維、ナイロン6やナイロン6,6に代表されるポリアミド系合成繊維である。なかでも染色性、染色堅牢度ならびに耐摩耗性に優れるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また上記の高分子弾性体も特定の材質に限定されず、例えば、アクリロニトリルブタジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニルなども使用することができる。
以下、実施例を示しつつ本開示の難燃性コーティング剤及び難燃性シート材料の製造方法についてさらに説明するが、本開示の技術は以下の実施例に限定されるものではない。本開示の技術においては、その要旨を逸脱せず、その目的を達する限りにおいて、種々の条件が採用され得る。
1.原料
実施例及び比較例では以下の原料を用いた。
1.1 難燃成分(A)
・ホスホロアミデート(a1):
DAIGUARD850:下記式(1)で示されるホスホロアミデート化合物(平均粒径4μm、大八化学工業(株)社製)
・水に対する溶解度が1.0%以下であるリン系化合物(a2):
FR CROS 486:シラン被覆ポリリン酸アンモニウム(II型)(平均粒子径18μm、CBC社製)
TERRAJU C-30:メラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム(II型)(CBC社製)
BCA:9,10-ジヒドロ-10-ベンジル-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(三光(株)製)
アデカスタブFP-600:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(油状、(株)ADEKA社製)
・水に対する溶解度が1.0%を超えるリン系化合物(a2):
FR CROS 484:ポリリン酸アンモニウム(II型)(ノンコートタイプ、CBC社製)
アピノン303:リン酸グアニジン(株式会社三和ケミカル製)
1.2 アクリル樹脂(B)を構成する単量体
単量体(b1):
AN:アクリロニトリル(ガラス転移温度97℃)
単量体(b2):
BA:ブチルアクリレート(ガラス転移温度-55℃)、
その他の単量体(b4):
AA:アクリル酸(ガラス転移温度106℃)、
1.3 増粘剤(C)
ネオステッカーV-420:アルカリ増粘型アクリル樹脂(日華化学(株)製、固形分28質量%)
1.4 界面活性剤
ニューコール(登録商標)707SF:ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の50質量%溶液(日本乳化剤(株)製)
ニューコール(登録商標)723:ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(日本乳化剤(株)製)
TSP20E(トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド20モル付加物)、
TSP10ES(トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステル塩、50質量%溶液)
2.アクリル樹脂(B)の合成
[合成例1]
反応装置に、イオン交換水220質量部、ニューコール707SFを15質量部、ニューコール723を15質量部、単量体(b1)としてアクリロニトリル46.72質量部、単量体(b2)としてブチルアクリレート432.04質量部、単量体(b3)としてアクリル酸6.25質量部を仕込み、攪拌混合し、乳化混合液を調製した。反応装置内を窒素ガスに置換した後、攪拌しながら、装置の内温を80±5℃に加温した。別容器にイオン交換水204質量部、ニューコール707SFを5質量部、過硫酸アンモニウム(10質量%水溶液)20質量部を仕込み、開始剤溶液を作製した。次に、上記乳化混合液に開始剤溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、上記装置の内温を80±5℃に保ちながら、更に3時間反応を行った。その後、内温を25±5℃まで冷却した。次いで、25%アンモニア水6質量部で中和し、樹脂分濃度50質量%になるように調整して、アクリル樹脂エマルジョン(B-1)を得た。アクリル樹脂(B)中のアクリロニトリル類に由来する構造単位の含有量(計算値)は9.6%、ガラス転移温度(Tg)(計算値)は-36.7℃であった。
[合成例2~6]
各成分を下記表1のようにした以外は、合成例1と同様に操作を行って、合成例2~7に係るアクリル樹脂エマルジョン(B-2)~(B-7)を得た。下記表1に、それぞれの樹脂のアクリロニトリル類に由来する構造単位の含有量(計算値)とガラス転移温度(Tg)(計算値)とを示す。
3.難燃性コーティング剤の製造
[実施例5]
ホスホロアミデート(a1)としてのDAIGUARD850(平均粒径4μm、大八化学工業(株)社製)を10質量部と、イオン交換水を40質量部と、TSP20Eを0.1質量部と、TSP10ESを0.1質量部とを混合均一化し、ビーズミル粉砕機(IGARASHI KIKAI SEIZO CO.LTD製造、ガラスビーズ粒子径0.8-1.2mm)を用いて、平均粒子径0.6μm、最大粒子径30μmとした。次いで、リン系化合物(a2)としてのFR CROS486を35質量部と、アクリル樹脂(B)としての合成例1のアクリル樹脂エマルジョンを10質量部と、増粘剤(C)としてのネオステッカーV-420を5質量部とを混合均一化し、25%アンモニア水にて粘度調整を行い、難燃性コーティング剤を得た。この難燃性コーティング剤の粘度は8000mPa・s、PVI値は0.20であった。
[実施例1~4、6~20、比較例1~7]
下記表4~7に示される組成(質量部)となるように調整したこと以外は、実施例5と同様にして、粘度6000~12000mPa・s、PVI値0.19~0.21の範囲になるようにして難燃性コーティング剤を得た。
4.難燃性人工皮革の製造
上記の難燃性コーティング剤を以下の供試布A又は供試布Bの裏面に、塗付量(DRY)が60±5g/mになるようにナイフコーターを用いて塗付し、100℃で3分間乾燥して、難燃性人工皮革布を作成した。尚、塗布量は[難燃性人工皮革の質量(g)-塗付前の人工皮革の質量(g)]÷人工皮革の面積(m)より計算して求めた。
供試布A:
目付370g/m、厚み1mmのポリエステル基布 スエード調 無地柄布 水系ポリウレタン樹脂含浸タイプの人工皮革 黒色染色布
供試布B:
供試布Aをパーフォレーション加工機で穿孔密度が30000個/mとなるようにパーフォレーション加工し、裏面となる面にポリエステル100%のトリコット生地(目付70g/m、厚み0.2m、白)を用いたもの
5.難燃性コーティング剤の貯蔵安定性の評価
上記の難燃性コーティング剤の貯蔵安定性を以下の方法により評価した。難燃性コーティング剤200gを直径65mmのガラス容器に入れ、蓋をして20℃±5℃の環境下で静置保管した。6か月後の難燃性コーティング剤の状態を確認して、以下の基準により評価した。
○(合格):分離や沈降物や浮遊物などの発生がなく均一、かつ、粘度変化が初期粘度の±30%以下
×(不合格):分離や沈降物や浮遊物などの発生があるか、もしくは、均一であっても、粘度変化が初期粘度の±30%を超える
6.難燃性人工皮革の評価
6.1 燃焼性
FMVSS-302(米国自動車安全基準)に従い試験片5枚のタテ方向の燃焼速度を測定した。試験片5枚の各々について「評価点」を特定し、その最下位の評価点を「全体評価点」とした。各評価点は下記表2に従って特定した。全体評価点が3以上である場合を合格と判断した。尚、下記表3に「全体評価点」の特定方法の一例を示す。下記表3において、1枚目~5枚目の各評価点については順不同である。下記表3に示されるように、試験片5枚のうち、4枚が評価点5で1枚のみが評価点4の場合は、全体評価点を例外的に4.5とした。
6.2 摩擦堅牢度
学振形摩擦堅牢度試験機(大栄科学精器製作所)を用い、JIS L 0849:2013の方法で摩擦堅牢度の測定を行った。評価の級数が大きいほど堅牢度が良好で、級数が3級以上である場合を合格判定とした。
6.3 色移行性
110℃に設定したオーブン乾燥機内に難燃性人工皮革布(供試布B)をクリップで吊るした状態で4時間保持した。4時間後、人工皮革布からトリコット生地への汚染度合いを評価、判定した。判定はトリコット生地の色相変化を汚染グレースケール(JIS L0805:2005)で判定した。5級はもっとも汚染がなく良好で意匠性が維持された状態であること示し、1級はもっとも汚染が強く、意匠性が損なわれた状態であることを示す。3級以上を合格判定とした。
7.評価結果
評価結果を下記表4~7に示す。
表4~7に示される結果から以下のことが分かる。
(1)比較例1、2に係る難燃性コーティング剤ついては、難燃成分(A)がホスホロアミデート(a1)を含んでおらず、パーフォレーション加工が施された供試布Bに対して十分な難燃性を付与することができなかった。
(2)比較例3~5に係る難燃性コーティング剤については、アクリル樹脂(B)がアクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位を含んでおらず、パーフォレーション加工が施された供試布Bに対して十分な難燃性を付与することができなかった。
(3)比較例6に係る難燃性コーティング剤については、難燃成分(A)がホスホロアミデート(a1)を含んでおらず、且つ、アクリル樹脂(B)を含んでおらず、パーフォレーション加工が施された供試布Bに対して十分な難燃性を付与することができなかった。
(4)比較例7に係る難燃性コーティング剤については、アクリル樹脂(B)を含んでおらず、パーフォレーション加工が施された供試布Bに対して十分な難燃性を付与することができなかった。
(5)これに対し、実施例1~22に係る難燃性コーティング剤については、パーフォレーション加工が施されていない無地の供試布Aだけでなく、パーフォレーション加工が施された供試布Bに対しても十分な難燃性を付与することができた。実施例1~22に係る難燃性コーティング剤は、上記式(1)で示されるホスホロアミデート(a1)を含む難燃成分(A)と、アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位を含むアクリル樹脂(B)と、を含むことにより、優れた難燃性を付与できたものと考えられる。
本開示の難燃性コーティング剤を使用することにより、優れた難燃性を有するシート材料を得ることができる。本開示の難燃性コーティング剤によれば、パーフォレーション加工が施されたシート材料に対しても優れた難燃性を付与することができる。本開示の難燃性コーティング剤によって難燃性が付与されたシート材料は、例えば、車両シート材料(例えばカーシートや鉄道車両のシート)として好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で示されるホスホロアミデート(a1)を含む難燃成分(A)と、
    アクリロニトリル類(b1)に由来する構成単位を含むアクリル樹脂(B)と、
    を含む、難燃性コーティング剤。
  2. 前記アクリル樹脂(B)を構成する単量体全量に対して、前記アクリロニトリル類(b1)が5~30質量%含まれ、
    前記難燃成分(A)と前記アクリル樹脂(B)との質量比が、(A):(B)=99:1~50:50である、
    請求項1に記載の難燃性コーティング剤。
  3. 前記難燃成分(A)が、前記ホスホロアミデート(a1)以外のリン系化合物(a2)をさらに含む、
    請求項1又は2に記載の難燃性コーティング剤。
  4. 増粘剤(C)をさらに含む、
    請求項1又は2に記載の難燃性コーティング剤。
  5. 請求項1又は2に記載の難燃性コーティング剤によってシート材料の一方の面を処理した後、乾燥することで、前記シート材料の表面及び前記シート材料の内部のうちの一方又は両方に前記難燃成分(A)と前記アクリル樹脂(B)とを含む皮膜を形成させること、
    を含む、難燃性シート材料の製造方法。
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