JP2024171237A - 肌焼鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸炭時の結晶粒粗大化を抑制可能な肌焼鋼について提案する。
【解決手段】C:0.10~0.35質量%、Si:0.01~2.00質量%、Mn:0.20~1.90質量%、P:0.1質量%以下、S:0.5質量%以下、Cr:0.20~2.00質量%、Al:0.010~0.090質量%、N:0.0010~0.0250質量%およびNb:0.010~0.100質量%を含み、残部はFe及び不純物からなる成分組成を有し、Nb偏析度(CNb/C0Nb)の標準偏差σNbがσNb≦75を満足する肌焼鋼。
【選択図】なし

Description

本発明は、建産機や自動車分野で用いられる機械構造用部品に供する肌焼鋼に関するものである。
浸炭焼入れ焼戻しは鋼部品の疲労特性を向上させる熱処理であり、自動車用の歯車をはじめとし様々な部品に適用されている。上記の浸炭は高温長時間で処理されるため、オーステナイト結晶粒が粗大に成長する場合がある。オーステナイト結晶粒の粗大化は疲労特性に悪影響を与えるため、これの防止が重要である。
オーステナイト結晶粒の粗大化を防止する技術として、鋼中に微細析出物を分散させ結晶粒界の移動を阻止させる方法がある。例えば、特許文献1では、Ti及びNbを含有する円相当径10nm未満の炭化物及び炭窒化物の密度と、Ti及びSを含有する円相当径200nm以上の析出物の密度を規定した浸炭処理時の異常粒成長が抑制可能な肌焼鋼が提案されている。また、特許文献2では、熱処理条件を規定することでCrやMoといった元素を拡散させ熱間加工後の組織における偏析を軽減し、高温で浸炭処理を行っても結晶粒の粗大化が生じない肌焼鋼の製造方法が提案されている。
特開2015-160979号公報 特開2016-74951号公報
近年、効率的な部品製造のために、熱間鍛造の冷間鍛造への移行および冷間鍛造成形量の増大、さらには浸炭処理の高温化に伴う浸炭処理時間の短縮などが進められており、結晶粒の粗大化抑制が困難なケースが増えている。このような背景において、特許文献1や特許文献2に記載の技術では結晶粒の粗大化を安定して抑制することが難しいところに課題を残していた。
本発明は、上記の実情に鑑み開発されたものであり、浸炭時の結晶粒粗大化を抑制可能な肌焼鋼について提案することを目的とする。
発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋼の浸炭時における結晶粒成長に及ぼす浸炭前組織の影響を鋭意研究した結果、浸炭前の鋼組織においてピン止め効果を有する析出物を形成する、合金元素の偏析が小さいほど、浸炭時の結晶粒粗大化を抑制可能であることを知見した。本発明は、この知見に由来するものであり、その要旨は次の通りである。
1.C:0.10~0.35質量%、
Si:0.01~2.00質量%、
Mn:0.20~1.90質量%、
P:0.1質量%以下、
S:0.5質量%以下、
Cr:0.20~2.00質量%、
Al:0.010~0.090質量%、
N:0.0010~0.0250質量%および
Nb:0.010~0.100質量%
を含み、残部はFe及び不純物からなる成分組成を有し、Nb偏析度(CNb/C0Nb)の標準偏差σNbが次式(1)を満足する肌焼鋼。
σNb≦75 …(1)
2.前記成分組成はさらに、
Mo:0.35質量%以下、
Cu:1.00質量%以下、
Ni:1.00質量%以下、
V:0.10質量%以下、
B:0.0100質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する前記1に記載の肌焼鋼。
3.前記成分組成はさらに、
Sn:0.100質量%以下および
Sb:0.100質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種を含有する前記1または2に記載の肌焼鋼。
4.前記成分組成はさらに、
Ca:0.300質量%以下、
Se:0.300質量%以下、
Te:0.300質量%以下、
Pb:0.30質量%以下および
Bi:0.30質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する前記1から3のいずれかに記載の肌焼鋼。
本発明によれば、浸炭時の結晶粒粗大化を抑制可能な肌焼鋼を提供することができる。
以下、本発明の肌焼鋼について、成分組成から順に説明する。
C:0.10~0.35質量%
Cは、浸炭熱処理後の焼入れにより中心部の硬度を高めるために、0.10質量%以上を必要とする。一方、含有量が0.35質量%を超えると、焼入れ後の芯部の靭性が低下するため、C量は0.10~0.35質量%の範囲に限定した。好ましくは、0.13~0.27質量%の範囲である。より好ましくは、0.15~0.25質量%の範囲である。
Si:0.01~2.00質量%
Siは、脱酸剤として必要であり、少なくとも0.01質量%以上の添加が必要である。しかしながら、過剰なSiの添加は鋼の変形抵抗を増大させ冷間鍛造性に悪影響を与えるため、上限を2.00質量%に規定する。好ましくは、0.04~0.70質量%である。さらに好ましくは、0.05~0.35質量%である。
Mn:0.20~1.90質量%
Mnは、焼入性の向上に有効な元素で有り、少なくとも0.20質量%の添加を必要とする。しかし、Mnの過剰な添加は、鋼の変形抵抗の上昇を招くため、上限を1.90質量%とした。好ましくは、0.40~1.30質量%である。
P:0.1質量%以下
Pは、結晶粒界に偏析し、靭性を低下させるため、その混入は低いほど望ましいが、0.1質量%までは許容される。好ましくは、0.02質量%以下である。また、下限については特に限定せずとも問題はないが、無駄な低P化は精錬時間の増長や精錬コストを上昇させてしまうため、0.003質量%以上とするとよい。
S:0.5質量%以下
Sは、硫化物系介在物として存在し、被削性の向上に有効な元素であるが、過剰な添加は冷間鍛造性の低下を招くため、上限を0.5質量%とした。また、下限については特に限定しないが、過度の低S化は精錬コストを上昇させてしまうため、0.003質量%以上とするとよい。好ましくは、0.004~0.3質量%であり、さらに好ましくは、0.005~0.09質量%である。
Cr:0.20~2.00質量%
Crは、焼入性と焼戻し軟化抵抗の向上に寄与し、さらには炭化物の球状化促進にも有用な元素であるが、含有量が0.20質量%に満たないと、その添加効果に乏しいものとなる。一方、2.00質量%を超えると、過剰浸炭や残留オーステナイトの生成を促進し、疲労強度に悪影響を与える。よって、Cr量は0.20~2.00質量%の範囲に限定した。好ましくは、0.7~1.9質量%の範囲である。
Al:0.010~0.090質量%
Alは、Nと結合して窒化物(AlN)を生成してピン止めの役目を担う元素として、有用な元素である。また、酸化物を形成し脱酸に有効な元素でもあるが、含有量が0.010質量%に満たないと、その添加効果に乏しいものとなる。しかし、過剰な添加は介在物の増加を招き、疲労破壊の起点を増やして疲労強度低下の原因となることから、上限を0.090質量%とした。好ましくは、0.015~0.080質量%であり、さらに好ましくは、0.015~0.060質量%である。また、Bを添加した場合は、固溶Bによる焼入れ性向上並びに疲労強度向上に寄与するものであり、その場合は0.045~0.075質量%の範囲が好適である。
N:0.0010~0.0250質量%
Nは、Alと結合し窒化物(AlN)を形成する。かようなAlNは微細に析出し浸炭加熱時の結晶粒を微細化させ疲労特性を改善させる作用を有する。しかし、過剰なNの添加はAlNの熱力学的安定性を向上させ過ぎて粗大なAlNを生成させてしまう。粗大なAlNが存在すると、微細なAlNの体積率が減少し、結晶粒微細化効果が発揮されなくなる。このため、Nは0.0250質量%を上限とする。Nの下限については0.0010質量%とする。好ましくは、0.0050~0.0180質量%である。さらに好ましくは、0.0100~0.0170質量%である。
Nb:0.010~0.100質量%
Nbは、Cと結合し炭化物(NbC)を形成する。NbCが微細かつ均一に分散するほど浸炭加熱時の結晶粒粗大化が抑制される。この効果を得るために、少なくとも0.010質量%の添加が必要である。一方、0.100質量%を超える添加は、その効果が飽和するのみであるため、上限量は0.100質量%とする。好ましくは、0.015~0.06質量%である。さらに好ましくは、0.020~0.045質量%である。
以上、本発明の基本成分について説明したが、必要に応じて更に以下に示す各成分を適宜添加してもよい。
Mo:0.35質量%以下、
Cu:1.00質量%以下、
Ni:1.00質量%以下、
V:0.10質量%以下および
B:0.0100質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上
Mo:0.35質量%以下
Moは、焼入性と焼戻し軟化抵抗性の向上に寄与し、さらには浸炭異常層を低減する効果も示し、有用な元素であるため添加してもよい。しかし、含有量が0.35質量%超えでは、焼入性が過剰となり、圧延後の硬度が上昇し、鍛造性や被削性が低下する懸念がある。そのため、Mo含有量は0.35質量%以下の範囲に制限することが好ましい。なお、Moによる上記の焼入性、焼戻し軟化抵抗性の向上、浸炭異常層の低減の各効果を発現させるためには、Moは0.01質量%以上で含有されることが好ましい。さらに、好ましくは0.03~0.25質量%の範囲である。より好ましくは、0.05~0.22質量%である。
Cu:1.00質量%以下
Cuは、焼入性の向上に寄与する元素である。この効果を得るためには、Cuは0.01質量%以上で含有されることが好ましい。一方、Cu含有量が1.00質量%を超えると、圧延材の表面肌が荒れてしまい、疵として残存する懸念がある。そこで、Cu量は1.00質量%以下の範囲に限定することが好ましい。より好ましくは、0.015~0.500質量%の範囲である。更に好ましくは、0.030~0.300質量%である。
Ni:1.00質量%以下
Niは、焼入性の向上に寄与するとともに、靱性の向上に有用な元素である。これらの効果を得るためには、Niは0.01質量%以上で含有されることが好ましい。一方、1.00質量%を超えて含有されても、上記の効果が飽和する。よって、Ni含有量は1.00質量%以下の範囲に限定することが好ましい。より好ましくは、0.015~0.500質量%の範囲である。更に好ましくは、0.030~0.300質量%である。
V:0.10質量%以下
Vは、浸炭加熱中に固溶し、急冷時における焼入れ性を向上させる効果がある。この効果を得るためには、少なくとも0.003質量%以上でVを含有させることが好ましい。一方、0.1質量%を超えて添加してもその効果は飽和するのみであるため、上限量は0.10質量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.005~0.08質量%である。さらに好ましくは、0.01~0.06質量%である。
B:0.0100質量%以下
Bは、粒界に偏析し、拡散型変態を抑制することで、焼入性の向上に有効であり、加えて粒界を強化し、疲労亀裂の発生および進展を抑制し疲労強度を向上させる効果もある。Bによるこの効果を得るためには、0.0003質量%以上でBを含有させることが好ましい。一方、0.0100質量%を超えると、靱性が低下するため、B量は0.0100質量%以下の範囲に限定することが好ましい。より好ましくは、0.0005~0.0050質量%の範囲である。更に好ましくは、0.0007~0.0020質量%である。
さらに、必要に応じて以下に示す各成分を適宜添加してもよい。
Sn:0.100質量%以下および
Sb:0.100質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種
Sb:0.100質量%以下
Sbは、鋼材表面の脱炭を抑制し、表面硬度の低下を防止するために有効な元素である。この効果を発現させるためには、Sbは0.0003質量%以上含有させることが好ましい。一方、過剰な添加は鍛造性を劣化させることから、Sbの含有量は0.100質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.001~0.050質量%である。更に好ましくは、0.0015~0.035質量%である。
Sn:0.100質量%以下
Snは、鋼材表面の耐食性を向上させるために有効な元素である。耐食性向上の観点からは、Snは0.0003質量%以上含有させることが好ましい。一方、過剰な添加は鍛造性を劣化させることから、Snの含有量は0.100質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.001~0.050質量%である。更に好ましくは、0.0015~0.035質量%である。
さらにまた、必要に応じて以下に示す各成分を適宜添加してもよい。
Ca:0.300質量%以下
Se:0.300質量%以下
Te:0.300質量%以下
Pb:0.30質量%以下および
Bi:0.30質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上
Ca、Se、Te、PbおよびBiは、鋼の被削性を向上させる快削元素であり、必要に応じて添加してよい。この効果を得るため、Ca、Se、Te、PbおよびBiはそれぞれ0.010質量%以上の添加が好ましい。しかしながら、これらの元素を過度に添加しても被削性の向上効果は飽和する。従って、合金コスト上昇を抑えるため、Ca、SeおよびTeの上限値を0.300質量%並びにPbおよびBiの上限値を0.30質量%とする。好ましくは0.010~0.200質量%である。更に好ましくは、0.03~0.100質量%である。
以上説明した元素以外の残部はFeおよび不純物である。不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ又は製造環境などから混入され、本発明の肌焼鋼の特性に悪影響を与えない範囲で許容される。
<Nb偏析度(CNb/C0Nb)の標準偏差σNbが次式(1)を満足する>
σNb≦75 …(1)
Nbは、Cと結合し炭化物(NbC)を形成することにより、結晶粒界の移動を阻止するピン止め効果を発揮することができる。そのためには、Nb偏析度の標準偏差が小さいことが有利である。すなわち、Nb偏析度の標準偏差が75以下と小さいことは、鋼中においてNb原子がより均一に分散しており、一様なピン止め力を発揮することを意味する。鋼の結晶粒径はピン止め力に対応して変化し、ピン止め力が大きいほど微細化する。従って、ピン止め力が一様である場合、結晶粒径の分布が均一であることを意味しており、粒径差を駆動力とした結晶粒成長が抑制されるのである。
ここで、Nb偏析度(CNb/C0Nb)における、CNbおよびC0Nbは電子線マイクロアナライザー(EPMA)で求めることができる。すなわち、C0NbはEPMA分析範囲における平均Nb濃度(質量%)であり、CNbは同範囲内における最大Nb濃度(質量%)である。そして、このEPMA分析範囲は、鋼材の表面から1mm以上の深さにおける、異なる10箇所とする。すなわち、鋼材の表面から1mm以上の深さにおいて、各分析範囲が相互に1mm以上離れた、10箇所でのNb偏析度(CNb/C0Nb)の測定を行い、これらの標準偏差を求める。
なお、Nb偏析度の標準偏差を75以下とするには、鋼中におけるNbの拡散を促進すればよく、例えば熱間圧延において、加熱温度や保持時間を増加することが有効である。また、結晶粒径を微細化させNbの粒界拡散を促進する意味では、熱間圧延において、加熱回数を増加することも有効である。すなわち、一回目加熱でオーステナイト化させた後、一旦冷却することで相変態を生じさせ、二回目の加熱で再度オーステナイト化させ圧延を開始するとよい。この場合、二回の加熱を行ったことになる。したがって、加熱回数は、圧延開始前に鋼をオーステナイト単相域の温度まで昇温そして保持することを何回繰り返したかを示しており、複数回加熱後の圧延は通常の条件によって行えばよい。かように、熱間圧延時に所定の加熱温度および保持時間での加熱処理を複数回行うことによってNbの拡散を促進できればよく、所定の加熱温度までの昇温速度および一旦冷却する際の冷却温度までの冷却速度は如何なる速度でも良く、設備能力にあわせて適宜調整可能である。なお、一旦冷却する際の温度は、冷却速度に依存して変化するため、設備能力にあわせて適宜調整可能であるが、相変態させるための目安として650℃を上限とするとよい。
本発明の肌焼鋼が用いられる部品として、建産機分野では、例えば、走行減速機のギア(プラネタリーギアおよびサンギア等の歯車)、大型減速機のギア、油圧ポンプのバルブプレート、ボールねじのナット、サイクロン減速機の曲線板およびピン、並びに、直動軸受けのブロック等が挙げられ、同様に、自動車分野では、各種軸受、エンジンのピストンピン、カムシャフトおよびタイミングギア、変速機の歯車類(ミッシングギア、リングギア、サンギアおよびプラネリタギア等)、並びに、駆動系のデフベベルギア、トリポート、インナおよびボール等が挙げられる。また、建産機や自動車分野以外では、電気機器分野の風力発電機用の軸受や減速ギア等である。
以下、実施例に従って、本発明の構成および作用効果をより具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲内にて適宜変更することも可能であり、これらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1に示す成分組成の鋼を150kgインゴットにて溶製し、1200℃で1時間加熱後に熱間鍛伸を行うことで直径70mmの丸棒に成形した。得られた丸棒について、Nbの偏析度を変化させるため、1000℃以上の種々温度で加熱後、1時間以上の種々時間で保持する加熱を複数回実施し、最終的に50mm以下の種々直径を有する丸棒に熱間圧延した。ここでの熱間圧延条件は表2に示す通りである。
Figure 2024171237000001
得られた丸棒について表面から径方向へ直径の1/4部よりEPMA用試験片を採取後、該試験片におけるNbの偏析度を調査した。EPMAの条件は、加速電圧15.0kV、照射電流5.0×10-7A、ビーム形状は2.0μmの円とし、2μmステップで1mm×1mmの範囲を測定した。1ステップの時間は50msとした。Nbの定量値は検量線法にて濃度変換して求めた。以上の測定を異なる視野10箇所(丸棒の長手(軸)方向に垂直な断面の、表面から深さ1mm以上の位置にて、各分析範囲を相互に1mm以上離した箇所)について行った。このようにしてCNb(最大Nb濃度)およびC0Nb(平均Nb濃度)を、上記の異なる視野10箇所について同様に測定した結果からNb偏析度(CNb/C0Nb)を求めた後、その標準偏差σNbを評価した。
また、浸炭時の異常粒成長抑制能を評価するため、得られた丸棒のd/2(d:丸棒直径)より、φ15×22.5mmの試験片を採取し、該試験片に対して累積高さ減少率80%の冷間圧縮を施した。この冷間圧縮後の試験片について、加熱温度1000℃で9時間保持後に水冷する浸炭熱処理を行った。熱処理後の試験片の中心位置において、旧オーステナイト粒径の観察を行い、その最大直径を評価した。なお、最大直径として、顕微鏡写真を画像解析して旧オーステナイト粒の最大幅を求めた。
表2に、標準偏差σNbと旧オーステナイト粒径の評価結果を示す。ここで、旧オーステナイト粒径の評価は、最大直径45μm超の粒が観察された場合に異常粒成長を生じたと判定し、表2中には×と記載した。一方、最大直径45μm以下の粒が観察された場合には異常粒成長が抑制されたと判定し、表中では〇と記載した。表2に示すように、本発明に従うことによって、浸炭時の結晶粒粗大化を抑制可能な肌焼鋼が得られる。
Figure 2024171237000002

Claims (2)

  1. C:0.10~0.35質量%、
    Si:0.01~2.00質量%、
    Mn:0.20~1.90質量%、
    P:0.1質量%以下、
    S:0.5質量%以下、
    Cr:0.20~2.00質量%、
    Al:0.010~0.090質量%、
    N:0.0010~0.0250質量%および
    Nb:0.010~0.100質量%
    を含み、残部はFe及び不純物からなる成分組成を有し、Nb偏析度(CNb/C0Nb)の標準偏差σNbが次式(1)を満足する肌焼鋼。
    σNb≦75 …(1)
  2. 前記成分組成はさらに、以下のA~C群のいずれか1以上の群より選ばれる1種以上を含有する請求項1に記載の肌焼鋼。
    A群
    Mo:0.35質量%以下、
    Cu:1.00質量%以下、
    Ni:1.00質量%以下、
    V:0.10質量%以下、
    B:0.0100質量%以下
    B群
    Sn:0.100質量%以下、
    Sb:0.100質量%以下
    C群
    Ca:0.300質量%以下、
    Se:0.300質量%以下、
    Te:0.300質量%以下、
    Pb:0.30質量%以下、
    Bi:0.30質量%以下


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