JP2025010102A - 全熱交換素子用仕切部材、それを用いた全熱交換素子、及び全熱交換素子用仕切部材の製造方法 - Google Patents

全熱交換素子用仕切部材、それを用いた全熱交換素子、及び全熱交換素子用仕切部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、熱交換効率の優れた全熱交換器用仕切部材、およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、疎水性多孔質基材と、前記疎水性多孔質基材の少なくとも孔部分に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維とを含有し、透気度が10000秒以上であり、20℃、65%RHの条件下での透湿度が2500g/m2・24Hr以上である全熱交換素子用仕切部材、および疎水性多孔質基材に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維を含有する塗工液を塗工、乾燥する全熱交換素子用仕切部材の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、全熱交換素子用仕切部材と、それを備えた全熱交換素子と、全熱交換素子用仕切部材の製造方法に関する。
従来、冷房や暖房の効果を損なわずに換気できる装置として、換気の際に給気と排気との間で熱交換させる熱交換換気装置(全熱交換器)が提案されている。この全熱交換器としては、間隔保持部材を介して複数の仕切部材(ライナー)を積層させ、室外の空気を室内に導入する給気経路と、室内の空気を室外に排出する排気経路とが区画され、顕熱(温度)と潜熱(湿度)との熱交換を同時に行う全熱交換素子を組み込まれたものが広く採用されている。
例えば、冬季の場合、間隔保持部材によって隔てられた各流路には、給気としての室外空気と、排気としての室内空気とが導かれる。この際、給気と排気とは、仕切部材を介して温度及び湿度の交換を行う。熱交換が行われる仕切部材は、水蒸気を通すが空気は通さない透湿性を有する。また、仕切部材は、給気と排気との隔絶による気体遮蔽性を有する。その結果、給気は暖められ加湿されて室内に供給され、排気は冷やされ減湿されて室外へ排出される。仕切部材が、透湿性と、気体遮蔽性とを併せ持つことにより、全熱交換による換気が実現されている。
このような仕切部材としては、伝熱性と透湿度との両方を有する必要があるため、多くの場合、天然パルプを主成分とする紙、例えばグラシン紙等が用いられている(特許文献1)。
また、近年、ガスバリアー性を有するセルロースナノファイバーを仕切部材に適用する試みもなされている(特許文献2)。
特許4252892号公報 特開2021-155865号公報
地球温暖化、省エネルギーが要望されるなか、全熱交換素子が注目されているが、全熱交換素子の熱交換効率を更に高めるためには、これまで以上に仕切部材を更に薄くすること、全熱交換素子の積層段数の増加することが有効であると考えられるが、特許文献1,2に記載の仕切部材等では、達成することが困難であった。
本発明者等は、熱交換効率の優れた全熱交換器用仕切部材を提供すべく、鋭意研究の結果、疎水性多孔質基材と、特定の繊維幅を有する高分子多糖類の微細繊維とを含有する新たな仕切部材を見出し発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<15>に関する。
<1> 疎水性多孔質基材と、
前記疎水性多孔質基材の少なくとも孔部分に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維とを含有し、
透気度が10000秒以上であり、透湿度が2500g/m2・24Hr以上である全熱交換素子用仕切部材。
<2> 前記微細繊維が微細セルロース繊維である<1>に記載の全熱交換素子用仕切部材。
<3> 前記微細繊維の繊維幅が1~10nmである<1>又は<2>に記載の全熱交換素子用仕切部材。
<4> 前記疎水性多孔質基材の透気度が1000秒以下である<1>~<3>のいずれかに記載の全熱交換素子用仕切部材。
<5> 前記疎水性多孔質基材の厚みが5μm以上30μm以下である<1>~<4>のいずれかに記載の全熱交換素子用仕切部材。
<6> 前記微細繊維は、前記疎水性多孔質基材付着している<1>~<5>のいずれかにの全熱交換素子用仕切部材。
<7> 前記微細繊維の塗工量が0.03g/m2以上3g/m2以下である<1>~<6>のいずれかに記載の全熱交換素子用仕切部材。
<8> <1>~<7>のいずれかに記載の全熱交換素子用仕切部材を複数備えると共に、
前記複数の全熱交換素子用仕切部材の間に配置されて隣り合う前記全熱交換素子用仕切部材の間隔を保持する間隔保持部材を備え、
前記全熱交換素子用仕切部材と、その上に設けられた前記間隔保持部材とが形成する第1空気流路と、前記第1空気流路を形成する前記全熱交換素子用仕切部材と、その下に設けられた前記間隔保持部材とが形成する第2空気流路とを有する全熱交換素子。
<9> 疎水性多孔質基材に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維を含有する塗工液を塗工、乾燥する全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
<10>前記塗工液が界面活性剤を含有する<9>に記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
<11> 前記微細繊維の塗工量が0.03g/m2以上3g/m2以下である<9>又は<10>に記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
<12> 前記微細繊維の繊維幅が1~10nmである<9>~<11>のいずれかに記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
<13> 前記微細繊維が微細セルロース繊維である<9>~<12>のいずれかに記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
<14> 前記疎水性多孔質基材の透気度が1000秒以下である<9>~<13>のいずれかに記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
<15> 前記疎水性多孔質基材に表面親水化処理を行った後、前記塗工液を塗工する<9>~<14>のいずれかに記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
本発明によれば、熱交換効率が優れた全熱交換素子用仕切部材、それを用いた全熱交換素子、及び全熱交換素子用仕切部材の製造方法が提供される。
図1は、全熱交換素子の構造を説明する概略図である。
[全熱交換素子用仕切部材]
本発明の全熱交換素子用仕切部材(以下、仕切部材ともいう。)は、疎水性多孔質基材(以下、基材ともいう)と、前記疎水性多孔質基材の少なくとも孔部分に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維とを含有し、透気度が10000秒以上であり、透湿度が2500g/m2・24Hr以上である全熱交換素子用仕切部材である。
本発明において、「透気度」は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5-2:2000の王研式透気度法に準拠して測定した値である。好ましい透気度は40000秒以上である。透気度の数値が大きい方がガスバリアー性に優れていることを意味する。
また、本発明において「透湿度」は、JIS Z 0208:1976に準じて測定される。透湿度の数値が大きい方が熱交換効率に優れていることを意味する。好ましい透湿度は2800g/m2・24Hr以上、より好ましい透湿度は3000g/m2・24Hr以上である。
使用する基材としては、特に限定しないが、厚みが5μm以上30μm以下であれば好ましく、10~25μmであれば更に好ましい。厚みの下限値以上とすることで仕切部材としての強度を維持し、上限値以下とすることで、顕熱(温度)の熱交換効率を高めるとともに、軽量化を可能とする。
なお、厚みは、JIS P 8118:2014に準拠して測定した値である。
基材の面密度は29g/m2以下であることが好ましい。好ましくは25g/m2以下であり、より好ましくは20g/m2以下である。下限値は特に限定するものではなく、2g/m2以上であり、より好ましくは5g/m2以上である。
なお、疎水性多孔質基材の面密度は単位面積当たりの重量を測定した値である。
基材は、疎水性であるため軽量化することができる。例えば、親水性である紙を用いた場合、ガスバリアー性を高めるために、高分子多糖類の微細繊維を多量に塗工する必要があり、軽量化が困難となる。
また、基材の透気度は、1000秒以下が好ましい。基材が、透気度が1000秒以下の多孔質であれば、潜熱(湿度)の熱交換をスムーズに行える。基材の透気度は、好ましくは500秒以下である。透気度の下限値は特に限定しないが、10秒以上、好ましくは30秒以上、更に好ましくは50秒以上である。
基材としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂によるフィルムや不織布などで、透気度が1000秒以下、好ましくは500秒以下のものが使用できる。
本発明は、上記透気度および透湿度の両物性を満足するように、疎水性多孔質基材の少なくとも孔部分に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維を含有する。高分子多糖類の微細繊維の基材への付着量(塗工量と言い換えることができる)は特に限定しないが、0.03g/m2以上3g/m2以下程度、好ましくは0.03g/m2以上2g/m2以下である。
付着することで基材の孔部分を親水性材料で塞ぐことができ、また透湿度の低下を抑制することができる。高分子多糖類の微細繊維の付着量が多くなると、ガスバリアー性は優れるが、透湿性が損なわれる傾向にあり、付着量は3g/m2以下であることが好ましい。一方、高分子多糖類の微細繊維の付着量が少なくなると、孔部分の被覆が不十分となり、十分なガスバリアー性が得られない傾向にあり、付着量は0.03g/m2以上であることが好ましい。
高分子多糖類の微細繊維としては、基材に付着することにより膜が形成され、ガスバリアー性を発現する水不溶性の材料であれば特に限定するものではない。例えば、セルロース、キチン、キトサンなどの高分子多糖類を挙げることができる。高分子多糖類はヒドロキシ基(-OH)を多数持つ分子構造であることから吸湿作用を有するとともに、形成される皮膜はガスバリアー性を有する。この中で、繊維幅1~1000nmの微細繊維を用いることで透気度及び透湿度を高くすることができる。中でも、ガスバリアー性の点から繊維幅1~500nmが好ましく、繊維幅1~100nmがより好ましい。特に、微細セルロース繊維は、塗工、乾燥により付着すると緻密な構造を形成されるのでガスバリアー性に優れ好ましい。
高分子多糖類の微細繊維としては、繊維幅1~1000nmの微細セルロース繊維を使用することが好ましい。微細セルロース繊維の中でも、ガスバリアー性の点から繊維幅1~500nmが好ましく、繊維幅1~100nmがより好ましく、繊維幅1~10nmが更に好ましく、繊維幅1~10nmが特に好ましい。微細セルロース繊維の繊維幅を1nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、微細セルロース繊維による透気度及び透湿度の向上という効果を発現しやすい。
高分子多糖類の微細繊維の繊維幅は、電子顕微鏡観察を用いて以下のようにして測定される。
まず、濃度0.05質量%以上0.1質量%以下の高分子多糖類の微細繊維の水系懸濁液を調製し、この懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。
次いで、観察対象となる繊維の幅に応じて1,000倍、5,000倍、10,000倍、又は50,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。平均繊維幅は、読み取った高分子多糖類の微細繊維の繊維幅の平均値である。
高分子多糖類の微細繊維の繊維長は、特に限定されないが、好ましくは0.1μm以上であり、そして、好ましくは1,000μm以下、より好ましくは800μm以下、更に好ましくは600μm以下である。高分子多糖類の微細繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、高分子多糖類の微細繊維の結晶領域の破壊を抑制できる。また、高分子多糖類の微細繊維のスラリー粘度を適切な範囲とすることも可能となり、繊維層の形成が容易となる。
なお、高分子多糖類の微細繊維の繊維長は、例えばTEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
高分子多糖類の微細繊維の軸比(繊維長/繊維幅)は、特に限定されないが、好ましくは20以上、より好ましくは50以上であり、そして、好ましくは10,000以下、より好ましくは1,000以下である。軸比を前記範囲内とすることにより、繊維層の形成に適したスラリー粘度が得られる。
本発明において、高分子多糖類の微細繊維はイオン性基及び非イオン性基のうちの少なくとも1種の基が導入されていることが好ましい。また、イオン性基及び非イオン性基は、親水性基であることが好ましい。分散媒中における繊維の分散性を向上させ、解繊処理における解繊効率を高める観点からは、微細セルロース繊維がイオン性基を有することがより好ましい。イオン性基としては、アニオン性基及びカチオン性基のいずれか一方又は双方を含むことができる。本発明においては、イオン性基としてアニオン性基を有することが特に好ましい。
アニオン性基としては、リン酸基又はリン酸基に由来する基、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する基、カルボキシ基又はカルボキシ基に由来する基、及びスルホン酸基又はスルホン酸基に由来する基から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の全熱交換素子用仕切部材は、疎水性多孔質基材と、前記疎水性多孔質基材の少なくとも孔部分に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維とを含有し、透気度が10000秒以上であり、透湿度が2500g/m2・24Hr以上である。本発明の全熱交換素子用仕切部材は、透気度及び透湿度が高く、二酸化炭素ガスバリアー性にも優れ、結露は生じても機械的強度の低下がしにくい。また、軽量であるので、全熱交換素子の積層段数の増加が可能となる。
[仕切部材の製造方法]
本発明は、疎水性多孔質基材に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維を含有する塗工液を塗工、乾燥する全熱交換素子用仕切部材の製造方法である。
疎水性多孔質基材、高分子多糖類の微細繊維の詳細については上記のとおりである。
高分子多糖類の微細繊維の付着は、塗工により行われる。例えば、高分子多糖類の微細繊維を含む塗工液を、疎水性多孔質基材に塗工、乾燥することで高分子多糖類の微細繊維を付着させることができる。
塗工方法については公知の塗工機が使用でき、特に限定するものではないが、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等が使用できる。中でもブレードコーター、バーコーターは、塗工の際のブレードやバーの押付力により、多孔質基材の孔への塗工液の浸透が生じるため好ましい。
なお、乾燥についても、塗工機に付属のドライヤーが使用できる。乾燥温度は、表面温度が90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。高温での乾燥は塗工液の突沸が生じる恐れがある。
また、高分子多糖類の微細繊維を含有する塗工液は、疎水性多孔質基材の少なくとも片面に塗工すればよい。
高分子多糖類の微細繊維の付着量が0.03g/m2以上3g/m2以下であると、均質な塗膜が形成できるため、基材の孔部分を親水性材料で塞ぐことができ、また透湿度の低下を抑制することができる。高分子多糖類の微細繊維の付着量が多くなると、ガスバリアー性は優れるが、透湿性が損なわれる傾向にあり、付着量は3g/m2以下であることが好ましい。一方、高分子多糖類の微細繊維の付着量が少なくなると、十分なガスバリアー性が得られない傾向にあり、付着量は0.03g/m2以上であることが好ましい。
塗工により高分子多糖類の微細繊維を付与すると、疎水性多孔質基材の表面だけでなく、孔の内部に高分子多糖類の微細繊維が浸透するためか、透湿度を高めることができるので好ましい。
疎水性多孔質基材に高分子多糖類の微細繊維を含む塗工液を塗工する際、基材が塗工液をはじく場合には、塗工液に界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤などを添加したり、基材に予めコロナ放電処理などの表面親水化処理を施したり、或いはこれらを併用したりするとよい。塗工の際にはじきが生じると、透気度が10000秒以上の全熱交換素子用仕切部材は得られない傾向にある。界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤等は、発泡性の抑制されたものを用いることが好ましい。
本発明の仕切部材は、高分子多糖類の微細繊維の付着量が少量であるため、吸湿剤を付着せずとも潜熱(湿度)の熱交換は行われるが、更に透湿度を高めるために吸湿剤を配合してもよい。吸湿剤としては、無機酸塩、有機酸塩、多価アルコール、尿素類などが挙げられる。例えば、無機酸塩としては、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。有機酸塩としては、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリグリセリン等が挙げられる。尿素類としては、尿素、ヒドロキシエチル尿素等が挙げられる。
また、塗工液には、本発明の効果を阻害しない範囲において、防腐剤、防カビ剤、難燃剤、粘度調製剤、pH調整剤、着色剤、保存性改良剤、高分子樹脂などの助剤を加えてもよい。
高分子多糖類の微細繊維を含む塗工液を塗工する際、得られた全熱交換素子用仕切部材の透気度が10000秒以上となるように、付着量を調製するとよい。また、全熱交換素子用仕切部材の透湿度が2500g/m2・24Hr以上となるように付着量を調製することが好ましい。
[全熱交換素子]
本発明の全熱交換素子は、上記本発明の熱交換素子用仕切部材を用いた全熱交換素子である。すなわち、複数の上記全熱交換素子用仕切部材と、上記全熱交換素子用仕切部材の間に配置されて隣り合う上記全熱交換素子用仕切部材の間隔を保持する間隔保持部材とを備え、前記全熱交換素子用仕切部材と、その上に設けられた前記間隔保持部材とが形成する第1空気流路と、前記第1空気流路を形成する前記全熱交換素子用仕切部材と、その下に設けられた前記間隔保持部材とが形成する第2空気流路とを有する全熱交換素子である。
以下、全熱交換素子について図1を用いて説明するが、本発明は図1の構造の全熱交換素子に限定されるものではない。
図1は、全熱交換素子10の構造を説明する概略図である。図1に示されるように、全熱交換素子10は、複数の仕切部材1と、複数の仕切部材1間に空気流路を形成するとともに、仕切部材1同士の間隔を保持する複数の間隔保持部材2とで構成されている。
仕切部材1は、正方形や菱形等の平板である。
[間隔保持部材]
間隔保持部材は、仕切部材同士の間隔を保持するものであれば特に限定するものではない。間隔保持部材は、仕切部材同士の間隔を保持することで、複数の仕切部材と、複数の仕切部材間に空気流路を形成する。
間隔保持部材2は、例えば、投影平面形状が仕切部材1の形状に一致する鋸波状又は正弦波状等の波形を成形した波板である。間隔保持部材2は、例えば、段ボールの中芯のような形状で、コルゲート加工により形成される。
間隔保持部材は、紙基材、フィルム、不織布などコルゲート状物に限らず、樹脂製のリブであっても構わない。中でも、紙基材が好ましい。紙基材は、調湿機能を有するため、疎水性多孔質基材を用いた仕切部材の調湿機能の低下を補うことができる。
間隔保持部材2の波形の稜線部分と谷線部分は、接着剤等によって仕切部材1に接合されている。間隔保持部材2は、仕切部材1の一方の面には波形の稜線の方向が第1の方向(例えば縦方向)に延在した状態で仕切部材1に接合されており、他方の面には、波形の稜線の方向が第2の方向(例えば横方向)に延在した状態で仕切部材1に接合されている。すなわち、仕切部材1を挟んで隣接した2つの間隔保持部材2において、一方の面側に接合された間隔保持部材2の波形の稜線の方向、つまり第1空気流路と、他方の面に接合された間隔保持部材2の波形の稜線の方向、つまり第2空気流路とは直交するように、間隔保持部材2は仕切り部材1を挟んで交互に積層されている。
波形の稜線の方向が第1の方向(例えば縦方向)とされた間隔保持部材2と両側の仕切部材1の間には、第1の方向に沿って複数の第1の空気流路4が形成されている。また、波形の稜線の方向が第2の方向(例えば横方向)とされた間隔保持部材2と両側の仕切部材1の間には、第2の方向に沿って複数の第2の空気流路5が形成されている。なお、図1における矢印6は、第1の空気流路4における空気の流れ方向を示しており、図1における矢印7は、第2の空気流路5における空気の流れ方向を示している。
波形の稜線の方向が第1の方向とされた間隔保持部材2と、波形の稜線の方向が第2の方向とされた間隔保持部材2とは、仕切部材1を挟みながら稜線方向が直交するように交互に積層されているので、第1の空気流路4の延在方向と、第2の空気流路5の延在方向も、直交する。例えば第1の空気流路4には給気が通気され、第2の空気流路5には排気が通気され、仕切部材1や間隔保持部材2を介して、給気と排気との間で熱交換が行われる。
なお、図1に示す例では、第1空気流路と、第2空気流路とは直交するように、間隔保持部材2が設けられている。しかしながら、第1空気流路と、第2空気流路とは必ずしも直交するように間隔保持部材2を配置させる必要はなく、対向するなど異なる方向であればよい。
仕切部材と間隔保持部材とを接合する方法としては、接着剤を用いる方法や、接着剤を用いない熱接着方法など公知の方法を採用することができる。中でも、接着剤を用いる方法は、間隔保持部材と仕切部材を強固に接着することができるため好適である。接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤など公知の接着剤を用いることができる。
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<基材の準備>
基材A:疎水性多孔質基材として、厚み20μmのポリエチレンフィルム(商品名:SW320H、深セン市星源材質科技株式会社(Shenzhen Senior Technology Material co.,Ltd.)製を準備した。なお、面密度は10.0g/m2であった。
基材B:疎水性多孔質基材として、厚み16μmのポリプロピレンフィルム(商品名:SD216101+、深セン市星源材質科技株式会社(Shenzhen Senior Technology Material co.,Ltd.)製)を準備した。なお、面密度は9.4g/m2であった。
(実施例1)
<微細セルロース繊維Aの製造>
(リン酸基導入工程)
原料パルプとして、王子製紙(株)製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量210g/m2シート状、離解してJIS P 8121:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が690ml)を使用した。
この原料パルプに対してリン酸化処理を次のようにして行った。
まず、上記原料パルプに、リン酸二水素アンモニウムと尿素との混合水溶液を添加して、原料パルプ100質量部(絶乾質量)に対して、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で200秒加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
(洗浄工程)
次いで、得られたリン酸化パルプに対して洗浄処理を行った。
洗浄処理は、リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注ぎ、パルプが均一に分散するよう撹拌してパルプ分散液を得た後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
(アルカリ処理工程)
次いで、洗浄後のリン酸化パルプに対してアルカリ処理(中和処理)を次のようにして行った。
まず、洗浄後のリン酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下のリン酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該リン酸化パルプスラリーを脱水して、アルカリ処理(中和処理)が施されたリン酸化パルプを得た。
次いで、アルカリ処理後のリン酸化パルプに対して、上記洗浄処理を行った。
これにより得られたアルカリ処理後のリン酸化パルプに対しFT-IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1230cm-1付近にリン酸基に基づく吸収が観察され、パルプにリン酸基が付加されていることが確認された。
また、得られたリン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近との2箇所の位置にセルロースI型結晶に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
(解繊処理工程)
上記アルカリ処理工程を経て得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細セルロース繊維Aを含む微細セルロース繊維分散液を得た。X線回折により、この微細セルロース繊維AがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細セルロース繊維Aの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3~5nmであった。
<全熱交換素子用仕切部材の製造>
得られた微細セルロース繊維Aの0.4%水分散液99.2部に、ポリエーテル系の界面活性剤(商品名:SN ウェット 985、サンノプコ社製、76%水分散液)を0.8部添加して塗工液とした。
上記基材Aの一方の面に、コロナ放電処理を施したのち、塗工液をメイヤーバーで、乾燥後の微細セルロース繊維Aの付着量(塗工量)が0.03g/m2となるように塗工、乾燥して、全熱交換素子用仕切部材を得た。
(実施例2)
実施例1の全熱交換素子用仕切部材の製造において、乾燥後の微細セルロース繊維Aの付着量(塗工量)が0.08g/m2となるように塗工、乾燥した以外は実施例1と同様にして、全熱交換素子用仕切部材を得た。
(比較例1)
全熱交換素子用仕切部材として基材Aをそのまま使用した。
(比較例2)
実施例1の全熱交換素子用仕切部材の製造において、乾燥後の微細セルロース繊維Aの付着量(塗工量)が0.02g/m2となるように塗工、乾燥した以外は実施例1と同様にして、全熱交換素子用仕切部材を得た。
(実施例3)
実施例1の全熱交換素子用仕切部材の製造において、以下のとおり行った以外は実施例1と同様にして、全熱交換素子用仕切部材を得た。
<全熱交換素子用仕切部材の製造>
上記で得られた微細セルロース繊維Aの0.4%水分散液99.2部に、ポリエーテル系の界面活性剤(商品名:SN ウェット 985、サンノプコ社製、76%水分散液)を0.8部添加して塗工液とした。
上記基材Aの一方の面に、塗工液をメイヤーバーで、乾燥後の微細セルロース繊維Aの付着量(塗工量)が0.17g/m2となるように塗工、乾燥して、全熱交換素子用仕切部材を得た。
(実施例4)
実施例1において、基材Aを基材Bに変更した。更に、乾燥後の微細セルロース繊維Aの付着量(塗工量)が0.09g/m2となるように塗工、乾燥した以外は実施例1と同様にして、全熱交換素子用仕切部材を得た。
(比較例3)
全熱交換素子用仕切部材として基材Bをそのまま使用した。
(実施例5)
実施例1において、以下のとおり行った以外は実施例1と同様にして、全熱交換素子用仕切部材を得た。
<微細セルロース繊維Bの製造>
(解繊処理工程)
上記アルカリ処理工程を経て得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細セルロース繊維Bを含む微細セルロース繊維分散液を得た。X線回折により、この微細セルロース繊維BがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細セルロース繊維Bの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、繊維幅3~500nmであることが確認できた。
<全熱交換素子用仕切部材の製造>
上記で得られた微細セルロース繊維Bの0.4%分散液を塗工液とした。
上記基材Aの一方の面に、コロナ放電処理を施したのち、塗工液をメイヤーバーで、乾燥後の微細セルロース繊維Bの付着量(塗工量)が0.28g/m2となるように塗工、乾燥して、全熱交換素子用仕切部材を得た。
(実施例6)
実施例5において、乾燥後の微細セルロース繊維Bの付着量(塗工量)が0.10g/m2となるように塗工、乾燥した以外は実施例5と同様にして、全熱交換素子用仕切部材を得た。
(実施例7)
実施例5において、基材を基材Bに変更した。更に、乾燥後の微細セルロース繊維Bの付着量(塗工量)が0.28g/m2となるように塗工、乾燥した以外は実施例5と同様にして、全熱交換素子用仕切部材を得た。
(評価)
実施例、比較例で得られた全熱交換素子用仕切部材について、透湿度、透気度を測定し、表1、表2に示す。
「透湿度」
20℃、65%RHの条件下で、JIS Z0208:1976に準拠して測定した。但し、下記式により算出した。
透湿度=(a+b)/2
ここで、a=測定開始1時間後の質量増分
b=測定開始1時間後から測定開始2時間後の1時間の質量増分
「透気度」
JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5-2:2000の王研式透気度法に準拠して測定した。
「二酸化炭素ガスバリアー性」
12cm角の仕切部材を用意し、高濃度のCO2を供試し、CO2濃度を測定する容器Aと、常に外気を通気させる容器Bと、容器Aおよび容器Bの間に用意した仕切部材を配置させた測定装置を用いた。常温・常圧条件下で、容器AにCO2を20000ppm封入した後、15分間放置し、その後容器A内のCO2濃度をCO2分析計を用いて測定した。仕切部材を介して15分間に通過したCO2の透過量は、容器A内のCO2濃度低下として求められる。容器A内のCO2濃度が2500ppm以上のとき、仕切部材の二酸化炭素ガスバリアー性は良好であると判定し〇を、2500ppm未満のときは不良として×の判断とした。評価結果を下記表1および表2に示す。
Figure 2025010102000002
Figure 2025010102000003
1 仕切部材
2 間隔部材
4 第1の空気流路
5 第2の空気流路
10 全熱交換素子

Claims (15)

  1. 疎水性多孔質基材と、
    前記疎水性多孔質基材の少なくとも孔部分に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維とを含有し、
    透気度が10000秒以上であり、20℃、65%RHの条件下での透湿度が2500g/m2・24Hr以上である全熱交換素子用仕切部材。
  2. 前記微細繊維が微細セルロース繊維である請求項1記載の全熱交換素子用仕切部材。
  3. 前記微細繊維の繊維幅が1~10nm以下である、請求項1記載の全熱交換素子用仕切部材。
  4. 前記疎水性多孔質基材の透気度が1000秒以下である請求項1記載の全熱交換素子用仕切部材。
  5. 前記疎水性多孔質基材の厚みが5μm以上30μm以下である請求項4記載の全熱交換素子用仕切部材。
  6. 前記微細繊維が、前記疎水性多孔質基材に付着している請求項1記載の全熱交換素子用仕切部材。
  7. 前記微細繊維の塗工量が0.03g/m2以上3g/m2以下である請求項6記載の全熱交換素子用仕切部材。
  8. 請求項1~7のいずれか一つに記載の全熱交換素子用仕切部材を複数備えると共に、
    前記複数の全熱交換素子用仕切部材の間に配置されて隣り合う前記全熱交換素子用仕切部材の間隔を保持する間隔保持部材を備え、
    前記全熱交換素子用仕切部材と、その上に設けられた前記間隔保持部材とが形成する第1空気流路と、前記第1空気流路を形成する前記全熱交換素子用仕切部材と、その下に設けられた前記間隔保持部材とが形成する第2空気流路とを有する全熱交換素子。
  9. 疎水性多孔質基材に、繊維幅1~1000nmの高分子多糖類の微細繊維を含有する塗工液を塗工、乾燥する全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
  10. 前記塗工液が界面活性剤を含有する請求項9記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
  11. 前記微細繊維を含有する塗工液を塗工し、前記微細繊維の塗工量が0.03g/m2以上3g/m2以下である請求項9記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
  12. 前記微細繊維の繊維幅が1~10nm以下である、請求項9記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
  13. 前記微細繊維が微細セルロース繊維である請求項9記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
  14. 前記疎水性多孔質基材の透気度が1000秒以下である請求項9記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
  15. 前記疎水性多孔質基材が表面親水化処理を行った後、前記塗工液を塗工する請求項9記載の全熱交換素子用仕切部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019026823A1 (ja) * 2017-07-31 2019-02-07 王子ホールディングス株式会社 全熱交換器用シート、全熱交換器用素子、及び全熱交換器

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