JP2025041224A - 水硬性組成物用起泡剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】気泡含有水硬性組成物中の気泡径の大きさを維持しつつ、気泡含有水硬性組成物の比重を低下させることができる、水硬性組成物用起泡剤、気泡含有水硬性組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記(A)成分、及び(B)成分を含有する、水硬性組成物用起泡剤。
(A)成分:アニオン界面活性剤
(B)成分:脂肪酸部分の炭素数が8以上24以下である、脂肪酸アルカノールアミド
【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性組成物用起泡剤、気泡含有水硬性組成物及びその製造方法に関する。
セメントや石膏を硬化剤とする水硬性組成物に気泡を導入して軽量化することが行われている。通常は、起泡剤と水とを含有する液体組成物を起泡させて得た泡沫と水硬性組成物、あるいは、細骨材や各種の混和材料とを混合することで軽量化された気泡含有水硬性組成物が製造される。
特許文献1には、(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩、及び(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミドを含むことで、水に対してチキソトロピー性と粘性を付与する、レオロジー改質剤が開示されている。
特許文献2には、下記(A1)成分、任意に下記(A2)成分、及び下記(B)成分を含有し、(A1)成分の含有量と、(A1)成分及び(A2)成分の合計含有量との質量比(A1)/[(A1)+(A2)]が0.8以上1以下である、同じ比重の水硬性組成物であっても水硬性組成物中の気泡径を大きくさせることで、水硬性組成物硬化体の強度を高めることができる、水硬性組成物用起泡剤組成物が開示されている。
(A1)成分:炭素数8以上10以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル、及びその塩から選ばれる1種以上
(A2)成分:(A1)成分以外の界面活性剤から選ばれる1種以上
(B)成分:炭素数6以上10以下の一価アルコール
特許文献3には、セメントまたは石膏と結合した繊維含有建築材料混合物を水によって湿潤化する方法であり、少なくとも部分的には少なくとも一種の界面活性剤および少なくとも一種の気泡安定剤を含む気泡の形状で水を該建築材料混合物に加えるか、または該建築材料混合物を界面活性剤および少なくとも一種の気泡安定剤を接触させて少なくとも一部分を気泡に変えて水を該建築材料混合物に加え、かつ該建築材料混合物の水の量が該建築材料混合物が湿潤状態で粉末状でくずれやすい状態になるような量であることを特徴とするセメントまたは石膏とこれに結合した繊維との建築材料混合物を湿潤化する方法が開示され、気泡安定剤として、脂肪酸アルカノールアミドを用いてもよいことが開示されている。
特開2018-83931号公報 特開2023-070662号公報 特開平1-306206号公報
セメントや石膏を硬化剤とする気泡含有水硬性組成物の硬化体には、製造、輸送、原料調達による環境(CO)低減効果やコストの観点から、更なる軽量化が求められている。
気泡含有水硬性組成物は、気泡を含有することにより水硬性組成物の硬化体の比重を低下させ軽量化できる。しかしながら、水硬性組成物の硬化体を更に軽量化するために気泡の体積(割合)を多くすると、水硬性組成物の割合が少なくなるため硬化体の強度は低下傾向にある。一方、特開平10-330174号公報の段落0004に記載の通り、同じ比重の気泡含有水硬性組成物において、気泡含有水硬性組成物中の気泡径を大きくすることで、気泡含有水硬性組成物の硬化体の強度を高めることができる。また気泡含有水硬性組成物中の気泡径を大きくした場合、気泡含有水硬性組成物の硬化体を得る際の乾燥が早くなり、乾燥にかかる燃料費削減、CO排出量低減などのメリットがある。また気泡含有水硬性組成物中の気泡径を大きくした場合、気泡間距離が増加し、気泡の連通が生じにくく、断熱性や遮音性を向上することができる。
そのため、気泡含有水硬性組成物中の気泡径の大きさを維持しつつ、気泡含有水硬性組成物の比重を低下させる技術が求められる。
本発明は、気泡含有水硬性組成物中の気泡径の大きさを維持しつつ、気泡含有水硬性組成物の比重を低下させることができる、水硬性組成物用起泡剤、気泡含有水硬性組成物及びその製造方法を提供する。
本発明は、下記(A)成分、及び(B)成分を含有する、水硬性組成物用起泡剤に関する。
(A)成分:アニオン界面活性剤
(B)成分:脂肪酸部分の炭素数が8以上24以下である、脂肪酸アルカノールアミド
また本発明は、水硬性粉体、水、前記(A)成分、及び(B)成分を含有する、気泡含有水硬性組成物に関する。
また本発明は、次の工程1及び工程2を含む、気泡含有水硬性組成物の製造方法に関する。
<工程1>
本発明の水硬性組成物用起泡剤と水とを含有する液体組成物を起泡させて泡沫を得る工程。
<工程2>
水硬性粉体と、水と、工程1で得られた泡沫とを混合する工程。
本発明によれば、気泡含有水硬性組成物中の気泡径の大きさを維持しつつ、気泡含有水硬性組成物の比重を低下させることができる、水硬性組成物用起泡剤、気泡含有水硬性組成物及びその製造方法が提供される。
本発明の水硬性組成物用起泡剤、並びに気泡含有水硬性組成物及びその製造方法が、気泡含有水硬性組成物中の気泡径の大きさを維持しつつ、気泡含有水硬性組成物の比重を低下させることができる理由は必ずしも定かではないが、以下のように推定される。
本発明の(B)成分である脂肪酸アルカノールアミドは、その高い疎水性から気液界面への吸着速度が速く、高い泡立ち性を与えるために、本発明の(A)成分であるアニオン界面活性剤と併用することにより、水硬性組成物中に多くの気泡を導入することができ、気泡含有水硬性組成物の比重を低下させることができる。一方で、水硬性組成物中に多くの気泡を導入すると、気泡径が小さくなるが、(A)成分と(B)成分による泡膜は、(B)成分の親水基が小さく、過度に泡膜を安定化しないため、水硬性組成物と混合する時には適度に気泡の合一が進むことから、気泡含有水硬性組成物中の気泡径の大きさを維持しつつ、気泡含有水硬性組成物の比重を低下させることができる。
なお、本発明は、上記の発現機構に限定されるものではない。
[水硬性組成物用起泡剤]
<(A)成分>
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、(A)成分として、アニオン界面活性剤を含有する。
(A)成分のアニオン界面活性剤としては、炭素数8以上18以下の炭化水素基を有する、スルホン酸化合物、エーテル硫酸エステル化合物、カルボン酸化合物、ホスホン酸化合物、リン酸化合物等が挙げられる。例えば、アルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル、アルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルスルホン酸、アルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、アルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらアニオン界面活性剤の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
(A)成分は、水系での泡性能の中でも特に起泡性の観点から、炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル、炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルスルホン酸、炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が好ましい。
これらのアニオン界面活性剤の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
(A)成分は、水系での泡性能の中でも特に起泡性の観点から、(A1)炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有する、アルキル又はアルケニル硫酸エステル又はその塩(以下、(A1)成分という)、及び(A2)炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有する、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩(以下、(A2)成分という)から選ばれる1種以上が好ましい。
(A1)成分は、水硬性組成物中の気泡径維持の観点から、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基を有する。
(A1)成分の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
(A1)成分は、具体的には、オクチル硫酸エステル、デシル硫酸エステル、ドデシル硫酸エステル、テトラデシル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、オクタデシル硫酸エステル、2-エチルヘキシル硫酸エステル、2-プロピルへプチル硫酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が挙げられ、水硬性組成物中の気泡径維持の観点から、デシル硫酸エステル、ドデシル硫酸エステル、テトラデシル硫酸エステル、及びその塩から選ばれる1種以上の化合物を含有することが好ましく、デシル硫酸エステル、ドデシル硫酸エステル、及びその塩から選ばれる1種以上の化合物を含有することがより好ましい。
(A)成分は、水系での泡性能の中でも特に起泡性の観点から、(A1)成分として、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が異なる、2種のアルキル又はアルケニル硫酸エステル又はその塩を含んでよい。
(A2)成分は、水硬性組成物中の気泡径維持の観点から、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基を有する。
(A2)成分のオキシアルキレン基は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基であり、好ましくはオキシエチレン基であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、水系での泡性能の中でも特に起泡性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、水系での泡性能の中でも特に起泡性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。
(A2)成分の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
(A2)成分は、具体的には、ポリオキシエチレンオクチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンオクチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレントリデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンミリスチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンミリスチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル硫酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が挙げられ、水硬性組成物中の気泡径維持の観点から、好ましくはポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシプロピレンミリスチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンミリスチルエーテル硫酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上である。
<(B)成分>
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、(B)成分として、脂肪酸部分の炭素数が8以上24以下である、脂肪酸アルカノールアミドを含有する。脂肪酸部分とはアシル基のことであり、脂肪酸部分の炭素数とはアシル基の炭素数のことである。
脂肪酸部分の炭化水素基は、脂肪酸アルカノールアミドの原料脂肪酸においてカルボキシル基の炭素原子を含む炭化水素基であり、好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、より好ましくは直鎖のアルキル基又は直鎖のアルケニル基、更に好ましくは直鎖アルキル基である。
脂肪酸部分の炭素数は、脂肪酸アルカノールアミドの原料脂肪酸においてカルボキシル基の炭素原子を含む炭素数であり、水硬性組成物中の気泡径維持および水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、24以下、好ましくは18以下であり、更に好ましくは16以下である。
脂肪酸アルカノールアミドとしては、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸メチルモノエタノールアミド、脂肪酸エチルモノエタノールアミド、脂肪酸プロピルモノエタノールアミド、脂肪酸メタノールエタノールアミド、及び脂肪酸ジエタノールアミド等から選ばれる1種以上が挙げられ、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸メチルモノエタノールアミド、及び脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上が好ましく、脂肪酸ジエタノールアミドがより好ましい。
(B)成分は、例えば、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、及びラウリン酸ジエタノールアミド等から選ばれる1種以上が挙げられる。(B)成分は、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、好ましくはパーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、及びオレイン酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上であり、より好ましくはパーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはパーム核油脂肪酸ジエタノールアミドである。
(B)成分は、高級脂肪酸とアルカノールアミンを反応させることにより得られるが、脂肪酸アルカノールアミド以外の副産物が同時に生成される。副産物としては、脂肪酸アルカノールアミドと脂肪酸が脱水縮合した脂肪酸アルカノールアミド脂肪酸モノエステル、脂肪酸アルカノールアミド脂肪酸ジエステル、並びにアルカノールアミンと脂肪酸が脱水縮合した脂肪酸アルカノールアミンモノエステル、脂肪酸アルカノールアミンジエステル等が挙げられる。本発明の(B)成分には、本発明の効果を損なわない限り、前記の副産物を微量に含んでも良い。(B)成分中の前記副産物の含有量は、(B)成分100質量部中、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
<組成等>
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、(A)成分を、水硬性組成物中の気泡径維持、水硬性組成物硬化体の低比重化、及び起泡剤の取り扱い性の観点から、該起泡剤中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下含有する。
本発明において、(A)成分、並びに(A)成分に含まれる(A1)成分、(A2)成分の質量は、ナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、(B)成分を、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、該起泡剤中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下含有する。
本発明の水硬性組成物用起泡剤中、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比(A)/(B)は、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは2以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは18以上、そして、好ましくは300以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは50以下、より更に好ましくは25以下、より更に好ましくは22以下である。
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、(C)成分として、LogPが0以上7.0以下の1価の非イオン性アルコールを含有することができる。
本発明において、logP値とは、水と1-オクタノールに対する有機化合物の親和性を示す係数である。1-オクタノール/水分配係数Pは、1-オクタノールと水の2液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPの形で示すのが一般的である。多くの化合物のlogP値が報告されており、Daylight Chemical Information Systems, Inc. (Daylight CIS)等から入手しうるデータベースには多くの値が掲載されているので参照できる。実測のlogP値がない場合には、Daylight CISから入手できるプログラム「ClogP」等で計算することができる。このプログラムは、実測のlogP値がある場合にはそれと共に、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出される「計算logP(ClogP)」の値を出力する。
フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(cf.A. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch,P.G.Sammens, J.B.Taylor and C.A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。このClogP値を、化合物の選択に際して実測のlogP値の代わりに用いることができる。本発明では、logPの実測値があればそれを、無い場合はプログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値を用いる。
(C)成分としては、LogPが0以上3.0以下の1価の非イオン性アルコールとしては、1-プロパノール、2-プロパノール(LogP:0.05)、1-ブタノール(logP:0.88)、2-ブタノール(LogP:0.61)、2-メチル-1-プロパノール(LogP:0.76)、2-メチル-2-プロパノール(LogP:0.35)、1-ペンタノール(LogP:1.51)、2-ペンタノール(LogP:1.19)、3-ペンタノール(LogP:1.21)、2-メチル-1-ブタノール(logP:1.29)、2-メチル-2-ブタノール(LogP:0.89)、3-メチル-2-ブタノール(LogP:1.28)、3-メチル-1-ブタノール(LogP:1.16)、シクロペンタノール(LogP:0.71)、ベンジルアルコール(logP:1.1)、2-ヘキサノール(LogP:1.76)、3-ヘキサノール(LogP:1.65)、2-メチル-1-ペンタノール(LogP:1.75)、3-メチル-1-ペンタノール(LogP:1.75)、4-メチル-1-ペンタノール(LogP:1.75)、2-メチル-2-ペンタノール(LogP:1.57)、3-メチル-2-ペンタノール(LogP:1.57)、4-メチル-2-ペンタノール(LogP:1.57)、2-メチル-3-ペンタノール(LogP:1.57)、3-メチル-3-ペンタノール(LogP:1.57)、2,2-ジメチル-1-ブタノール(LogP:1.57)、2-エチル-1-ブタノール(LogP:1.75)、シクロヘキサノール(logP:1.23)、1-へプタノール(LogP:2.62)、1-ヘキサノール(logP:2.03)、2-エチル-1-ヘキサノール(logP:2.73)、6-メチル-1-へプタノール(LogP:2.73)、1‐オクタノール(logP:3)、1‐デカノール(logP:4.23)、1‐ドデカノール(logP:5.13)、1‐テトラデカノール(logP:5.5)、及び1‐ヘキサデカノール(logP:6.7)から選ばれる1種以上が挙げられる。
(C)成分は、水硬性組成物中の気泡径維持、水硬性組成物硬化体の低比重化、及び起泡剤のハンドリングの観点から、好ましくはベンジルアルコール、1-ヘキサノール、1-オクタノール、1-デカノール、及び1-ドデカノールから選ばれる1種以上、より好ましくはベンジルアルコール、1-ヘキサノール、及び1-オクタノールから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはベンジルアルコールである。
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、(C)成分を含有する場合、(C)成分を、水硬性組成物中の気泡径維持、水硬性組成物硬化体の低比重化、及び起泡剤のハンドリングの観点から、該起泡剤中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下含有する。
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、(D)成分として、アルキルグリコシド型ノニオン界面活性剤を含有することができる。
(D)成分は、水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、下記一般式(D1)で表されるアルキルグリコシド型ノニオン界面活性剤が好ましい。
1d-(OR2d (D1)
〔式中、R1dは炭素数6以上18以下のアルキル基、R2dは炭素数2以上4以下のアルキレン基、Gは還元糖に由来する残基、pはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す0以上10以下の数であり、p個のR2dは同一でも異なっていても良い。qはGの平均縮合度を示す1以上3以下の数である。〕
式(D1)中、R1dの炭素数は、起泡性を向上させる観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
2dは、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、より好ましくはエチレン基である。
pは、好ましくは5以下、より好ましくは2以下であり、0であってよい。
qは、好ましくは2.5以下、より好ましくは2以下である。
Gとしては、単糖類ではグルコース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノース、フルクトース又はこれらの混合物等に由来する残基が挙げられ、2糖類以上ではマルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチビオース、ラクトース、スクロース、ニゲロース、ツラノース、ラフィノース、ゲンチアノース、メンジトース又はこれらの混合物等に由来する残基が挙げられる。これらのうち好ましい原料は、入手容易性の観点から、単糖類ではグルコース及びフルクトースであり、2糖類以上ではマルトース及びスクロースである。
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、(D)成分を含有する場合、(D)成分を、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、該起泡剤中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下含有する。
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、水を含有してよい。本発明の水硬性組成物用起泡剤は、水を、該起泡剤中、好ましくは40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは85質量%以下含有する。
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、任意に、増粘剤、キレート剤、重金属捕捉剤、防錆剤、防腐剤、着色剤、香料、消泡剤、溶剤、分散剤、凝集剤、水溶性ポリマーなどを含有することができる。但し、これらは、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分に該当しないものが用いられる。
本発明の水硬性組成物用起泡剤は、(A)成分、(B)成分、及び前記した任意成分を混合することで得られる。混合の際には溶液粘度を低減するために適宜加熱してもよい。
本発明の水硬性組成物用起泡剤が対象とする用途としては、石膏スラリー、軽量ミルク(気泡ミルク、エアミルク)、軽量モルタル(気泡モルタル、エアーモルタル)、軽量コンクリート(気泡コンクリート、エアーコンクリート)、裏込め充填材、中込め充填材、建築用コンクリートブロック、ALC(軽量気泡コンクリート)、グラウト材、セラミックス多孔体、レンガ、耐火物、軽量盛土、ポンプ圧送用モルタルなどの気泡を含有する水硬性組成物が挙げられる。これらの気泡を含有する水硬性組成物において、気泡の混合による、軽量化、強度向上、流動性向上、断熱性、耐熱性、粘性付与、流動性制御、といった機能の付与が期待される。
これらの気泡を含有する水硬性組成物の中で、本発明の水硬性組成物用起泡剤は、石膏スラリー用として好適である。
[気泡含有水硬性組成物、及びその製造方法]
気泡を含有する水硬性組成物の製造方法は、本発明の水硬性組成物用起泡剤を発泡させ、泡沫として水硬性物質に配合して配合・軽量化する方法が均一な気泡が連行する事から好ましい。本発明の水硬性組成物用起泡剤又はそれを水で希釈した混合液として、直接セメントや石膏を水硬性物質としたペースト、スラリー、モルタル、コンクリートに練り込んでもよい。本発明の水硬性組成物用起泡剤を水硬性組成物に添加する方法については限定するものではなく、また本発明の水硬性組成物用起泡剤又はそれを水で希釈した混合液を泡沫化させる方法についても限定するものではない。
本発明は、水硬性粉体、水、(A)成分、及び(B)成分を含有する、気泡含有水硬性組成物を提供する。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、更に(C)成分を含有することができる。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、更に(D)成分を含有することができる。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、本発明の水硬性組成物用起泡剤で記載した事項を適宜適用することができる。
(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分は、本発明の水硬性組成物用起泡剤で記載した態様と同じである。
水硬性粉体とは、水和反応により硬化する物性を有する粉体のことであり、セメント、石膏等が挙げられ、石膏が好ましい。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、ビーライトセメント、中庸熱セメント、早強セメント、超早強セメント、耐硫酸セメント等が挙げられ、これらに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石粉(炭酸カルシウム粉末)等が添加された高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等でもよい。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、水/水硬性粉体比が、スラリー流動性の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは65質量%以上、そして、硬化体強度の観点から、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは75質量%以下である。
ここで、水/水硬性粉体比は、水硬性組成物中の水と水硬性粉体の質量百分率(質量%)であり、水/水硬性粉体×100で算出される。水/水硬性粉体比は、水和反応により硬化する物性を有する粉体の量に基づいて算出される。水和反応により硬化する物性を有する粉体が、高強度混和材を含有する場合、高強度混和材の量も水硬性粉体の量に算入する。水硬性粉体に関する、水硬性組成物の他の量的関係についても同様である。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、(A)成分を、水硬性粉体100質量部に対して、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.003質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上、そして、好ましくは0.1質量部以下、より好ましくは0.08質量部以下、更に好ましくは0.07質量部以下含有する。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、(B)成分を、水硬性粉体100質量部に対して、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、好ましくは0.00015質量部以上、より好ましくは0.0002質量部以上、更に好ましくは0.0003質量部以上、そして、好ましくは0.03質量部以下、より好ましくは0.01質量部以下、更に好ましくは0.005質量部以下、より更に好ましくは0.001質量部以下含有する。
本発明の気泡含有水硬性組成物中、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比(A)/(B)は、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは2以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは18以上、そして、好ましくは300以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは50以下、より更に好ましくは25以下、より更に好ましくは22以下である。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、(C)成分を含有する場合、(C)成分を、水硬性粉体100質量部に対して、水硬性組成物中の気泡径維持、及び水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.00015質量部以上、更に好ましくは0.0002質量部以上、そして、好ましくは0.05質量部以下、より好ましくは0.03質量部以下、更に好ましくは0.02質量部以下含有する。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、(D)成分を含有する場合、(D)成分を、水硬性粉体100質量部に対して、水硬性組成物硬化体の低比重化の観点から、好ましくは0.00015質量部以上、より好ましくは0.0002質量部以上、更に好ましくは0.0003質量部以上、そして、好ましくは0.03質量部以下、より好ましくは0.01質量部以下、更に好ましくは0.005質量部以下含有する。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、細骨材及び/又は粗骨材を含有することができる。また本発明の気泡含有水硬性組成物は、当業界で公知の混和剤や混和材を含有することができる。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、乾燥及び養生することで硬化体が得られる。
本発明の気泡含有水硬性組成物の硬化体の比重は、強度の観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上、そして、取り扱い性の観点から、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下である。
本発明の気泡含有水硬性組成物は気泡を含有する。本発明の気泡含有水硬性組成物の硬化体の平均気泡径は、硬化体強度向上の観点から、好ましくは230μm以上、より好ましくは250μm以上、そして、断面美観の観点から、好ましくは800μm以下、より好ましくは700μm以下、更に好ましくは600μm以下、より更に好ましくは500μm以下、より更に好ましくは400μm以下である。
平均気泡径は、気泡含有水硬性組成物の硬化体を作製し、その硬化体を任意に切り出して断面を作成し、その断面をデジタルマイクロスコープで観察して、任意に200~400個の気泡断面の直径を測定し、それらの値の平均値(算術平均)から算出する。なお気泡断面の直径の測定は、気泡断面が円の場合は直径を、気泡断面が楕円の場合は、長軸を、気泡断面が不定形の場合は、最長部分を直径とする。なお、気泡含有水硬性組成物の硬化体の気泡径は、硬化前の気泡含有水硬性組成物の気泡径と一致する。
本発明の気泡含有水硬性組成物は、本発明の水硬性組成物用起泡剤を用いて製造することができる。
すなわち、本発明は、次の工程1及び工程2を含む、気泡含有水硬性組成物の製造方法を提供する。
<工程1>
本発明の水硬性組成物用起泡剤と水とを含有する液体組成物を起泡させて泡沫を得る工程。
<工程2>
水硬性粉体と、水と、工程1で得られた泡沫とを混合する工程。
なお、工程2において、水硬性粉体と水とを含有する水硬性組成物を調製し、水硬性組成物と、工程1で得られた泡沫とを混合してもよい。
この製造方法により本発明の気泡含有水硬性組成物を調製できる。
本発明の気泡含有水硬性組成物の製造方法は、本発明の水硬性組成物用起泡剤組成物、及び本発明の気泡含有水硬性組成物で記載した態様を適宜適用することができる。
本発明の気泡含有水硬性組成物の製造方法において、本発明の気泡含有水硬性組成物で述べた各成分の含有量及びそれらの質量比は、各成分の含有量を混合量に置き換えて適宜適用することができる。
工程1では、前記液体組成物の発泡倍率は、水硬性組成物の用途などにもよるが、経済性の観点から、好ましくは5倍以上、より好ましくは7倍以上、更に好ましくは10倍以上、そして、混錬性の観点から、好ましくは30倍以下、より好ましくは25倍以下、更に好ましくは20倍以下である。
工程2では、水硬性組成物の用途などにもよるが、泡沫を、水硬性組成物に対して、硬化体の比重低減の観点から、好ましくは50体積%以上、より好ましくは100体積%以上、更に好ましくは150体積%以上、そして、硬化体強度の観点から、好ましくは400体積%以下、より好ましくは300体積%以下、更に好ましくは200体積%以下、混合する。この製造方法では、工程1及び/又は工程2で、当業界で公知の混和剤や混和材を混合することができる。
工程2の後は、更に下記工程3を行い、気泡含有水硬性組成物の硬化体を製造する。
工程3:工程2により得られた気泡含有水硬性組成物スラリーを成形し、硬化させる工程。
本発明の気泡含有水硬性組成物の製造方法で得られる気泡含有水硬性組成物の硬化体の比重は、強度の観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上、そして、取り扱い性の観点から、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下である。
本発明の気泡含有水硬性組成物の製造方法で得られる気気泡含有水硬性組成物の硬化体の平均気泡径は、硬化体強度向上の観点から、好ましくは230μm以上、より好ましくは250μm以上、そして、断面美観の観点から、好ましくは800μm以下、より好ましくは700μm以下、更に好ましくは600μm以下、より更に好ましくは500μm以下、より更に好ましくは400μm以下である。
[気泡含有石膏スラリー、及びその製造方法]
本発明の気泡含有水硬性組成物において、水硬性粉体は石膏が好ましい。本発明では、水硬性粉体が石膏である気泡含有水硬性組成物を、気泡含有石膏スラリーともいう。
すなわち本発明は、石膏、水、(A)成分、及び(B)成分を含有する、気泡含有石膏スラリーを提供する。本発明の気泡含有石膏スラリーは、石膏ボード用として好適である。
本発明の気泡含有石膏スラリーは、本発明の水硬性組成物用起泡剤、本発明の気泡含有水硬性組成物、及び本発明の気泡含有水硬性組成物の製造方法で記載した事項を適宜適用することができる。
本発明の気泡含有石膏スラリーは、更に(C)成分を含有することができる。
本発明の気泡含有石膏スラリーは、更に(D)成分を含有することができる。
(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分は、本発明の水硬性組成物用起泡剤で記載した態様と同じである。
本発明の気泡含有石膏スラリーにおいて、本発明の気泡含有水硬性組成物で述べた各成分の含有量及びそれらの質量比は、水硬性粉体を石膏に置き換えて適宜適用することができる。
本発明の気泡含有石膏スラリーの硬化体において、比重、及び平均気泡径の範囲は、本発明の気泡含有水硬性組成物で記載した範囲と同じである。
石膏は、高品質の中和石膏、リン酸の副産物であるリン酸石膏、火力発電で発生する排煙脱硫石膏、さまざまな不純物や粘土を含む天然石膏、それらの混合物などのいずれの石膏も用いることが出来る。
石膏が含む粘土は、層状構造をもった含水珪酸塩鉱物(以降、粘土鉱物と呼ぶ)を主体としたものであり、この粘土中に微粒の鉱物として含まれる粘土鉱物としては、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト及びナクライト)、蛇紋石(リザーダイト、アンチゴライト、クリソタイル)、雲母粘土鉱物(イライト、セリサイト、海緑石、セラドナイト)、クロライト、バーミキュライト、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト)が挙げられる。
石膏は、無水石膏、半水石膏、二水石膏などがある。原料石膏としては、天然石膏または中和石膏もしくは副産石膏などの化学石膏を単独で、あるいはそれらの二種以上を混合したものが使用できる。主な化学石膏としてはリン酸石膏、フッ酸石膏、チタン石膏または排煙脱硫石膏などが例示される。また、原料石膏には、リサイクル石膏を含んでもよい。リサイクル石膏は、石膏ボードメーカーで自家発生する廃石膏ボード、新築時及び解体時に発生する廃石膏ボード等から回収されるリサイクル石膏であればいずれでも良い。本発明はこれらのいずれの原料石膏に対しても好適に用いることができ、また種々の割合でブレンドされたものに対しても優れた効果が得られる。
本発明の気泡含有石膏スラリーは、石膏ボード用等に使用される添加剤を含有することができる。そのような添加剤としては汎用減水剤、消泡剤、整泡剤、硬化調整剤、撥水剤、接着剤、遅延剤などがあり、更に強化繊維としてガラス繊維、炭素繊維、古紙、バージンパルプ等を添加する、或いは、軽量骨材であるパーライト、発泡スチール等とともに石膏ボードを作製することも行なわれる。
本発明の気泡含有石膏スラリーは、本発明の水硬性組成物用起泡剤を用いて製造することができる。
すなわち、本発明は、次の工程1及び工程2を含む、気泡含有石膏スラリーの製造方法を提供する。
<工程1>
本発明の水硬性組成物用起泡剤と水とを含有する液体組成物を起泡させて泡沫を得る工程。
<工程2>
石膏と、水と、工程1で得られた泡沫とを混合する工程。
なお、工程2において、石膏と水とを含有する石膏スラリーを調製し、石膏スラリーと、工程1で得られた泡沫とを混合してもよい。
この製造方法により本発明の気泡含有石膏スラリーを調製できる。
本発明の気泡含有石膏スラリーの製造方法は、本発明の水硬性組成物用起泡剤、本発明の気泡含有水硬性組成物及びその製造方法、並びに本発明の気泡含有石膏スラリーで記載した態様を適宜適用することができる。
本発明の気泡含有水硬性組成物の製造方法において、本発明の気泡含有水硬性組成物で述べた各成分の含有量及びそれらの質量比は、水硬性粉体を石膏に置き換え、更に各成分の含有量を混合量に置き換えて適宜適用することができる。混合に用いる泡沫及び石膏スラリーの温度は、それぞれ15℃以上40℃以下が好ましい。
工程1、工程2は、本発明の気泡含有水硬性組成物の製造方法に準じて行うことができる。
工程2の後は、更に下記工程3を行い、石膏ボードを製造する。
工程3:工程2により得られた気泡含有石膏スラリーを成形し、硬化させる工程。
成型や硬化は公知の方法で行うことができる。例えば、『石膏石灰ハンドブック』(石膏石灰学会編)第322~324頁に記載の「石膏ボード製造」を参照することにより、石膏ボードを調製することができる。
本発明の気泡含有石膏スラリーの製造方法で得られる気泡含有水硬性組成物の硬化体の比重は、強度の観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上、そして、取り扱い性の観点から、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下である。
本発明の気泡含有石膏スラリーの製造方法で得られる気気泡含有水硬性組成物の硬化体の平均気泡径は、硬化体強度向上の観点から、好ましくは230μm以上、より好ましくは250μm以上、そして、断面美観の観点から、好ましくは800μm以下、より好ましくは700μm以下、更に好ましくは600μm以下、より更に好ましくは500μm以下、より更に好ましくは400μm以下である。
実施例、比較例で用いた成分を以下に示す。
(A)成分
・C10AS:デシル硫酸エステルナトリウム
・C12AS:ドデシル硫酸エステルナトリウム
・AES:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(アルキル基の炭素数の質量比:C12/C14=75/25(質量%)(原料アルコール換算)、オキシエチレン基の平均付加モル数2)
(B)成分
・B-1:ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド(脂肪酸部分の炭素数が8~18のアルキル基である化合物)、アミノーンC-11S、花王(株)製
・B-2:ラウリン酸ジエタノールアミド、アミノーンL-02、花王(株)製
・B-3:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(脂肪酸部分の炭素数が8~18のアルキル基である化合物)、アミゾールCME、川研ファインケミカル(株)製
・B-4:オレイン酸ジエタノールアミド、アミゾールODE、川研ファインケミカル(株)製
・B-5:パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド(脂肪酸部分の炭素数が8~18のアルキル基である化合物)、アミノーンPK-02S、花王(株)製
(C)成分
・BzA:ベンジルアルコール、LogP:1.1
・ROH:脂肪族アルコール(脂肪族アルコールの各炭素数の質量比:C8/C10/C12/C14/C16=33.3/33.3/22.7/8.7/2(質量%)、脂肪族アルコールの各炭素数のLogP:C8/C10/C12/C14/C16=3/4.23/5.13/5.5/6.7)
(1)水硬性組成物用起泡剤の調製
表1に示す水硬性組成物用起泡剤を以下の方法により調製した。
50mLスクリュー管に合計30gとなるよう各原料を所定の割合で加え、撹拌子を用いて1000rpmで30分間撹拌し、均一透明な性状の水硬性組成物用起泡剤を調製した。
(2)石膏スラリーの調製
調製した表1の水硬性組成物用起泡剤と水とを0.25対99.75の質量比で混合し、水硬性組成物用起泡剤の濃度(有姿)が0.25質量%の水溶液を調製した、調製した水溶液19gを1Lディスポカップ中に加え、フラット6枚パドル翼(FP-50、アズワン(株)製)を用いて、2000rpm(EUROSTAR200 control、IKAジャパン 株 製)で15秒間手で容器を回しながら撹拌し、容器を置いて更に45秒間撹拌することで、泡沫を得た。
500mLディスポカップに焼き石膏(桜印焼石膏A級、吉野石膏(株)製)200g、二水石膏(富士フィルム和光純薬(株)製)4g、硫酸カリウム(富士フィルム和光純薬(株)製)が1.5g溶解した水道水127g、減水剤(マイテイ150、花王(株)製0.36gを加え、ハンドミキサー(MK-H4、パナソニック(株)製)を用いてメモリ3で5秒間撹拌し、泡沫投入前の石膏スラリーを調製した。1Lディスポカップ中で調製した泡沫19gに、調製した前記石膏スラリーを全量投入し、1Lディスポカップ中で前記フラット6枚パドル翼を用いて、1150rpmで10秒間混錬し、気泡を含有する石膏スラリーを得た。混練に用いた泡沫と石膏スラリーの温度はいずれも20℃で行った。
(3)石膏硬化体の比重測定
得られた気泡を含有する石膏スラリーを、直径5cm、高さ10cmの円柱供試体用の型枠(プラモールド、(株)ニフコ製)に流し込み、1時間以上室温で静置した。円柱供試体用の型枠から硬化した石膏スラリーを脱型し、80℃の恒温槽で17時間静置して乾燥した後、得られた硬化体の重量を測定した。得られた硬化体の重量を型枠の容積で除することで石膏硬化体の比重を算出した。結果を表1に示す。
(4)石膏中の平均気泡径の測定
得られた石膏硬化体の高さ5cmの部分に切れ込みを入れて、硬化体の断面を作成した。その断面をデジタルマイクロスコープ(DSX1000、OLYMPUS(株)製、42倍)で撮影し、得られた画像からソフトウェアを用いて気泡をランダムに200から400個抽出して気泡断面の直径を測定し、それらの値の算術平均から平均気泡径を算出した。なお気泡断面の直径の測定は、気泡断面が円の場合は直径を、気泡断面が楕円または不定形の場合は、最長部分を直径とする。結果を表1に示す。
表1から、(A)成分を含有し、(B)成分を含有しない比較例1~2の水硬性組成物用起泡剤は、得られた石膏硬化体の比重がそれぞれ0.80及び0.82であるのに対して、(A)成分と(B)成分を含有する実施例1~12の水硬性組成物用起泡剤は、得られた石膏硬化体の比重が0.72~0.65に低減できていることがわかる。また、実施例1~12及び比較例1~2の水硬性組成物用起泡剤は、得られた石膏硬化体の気泡径が、230~280μmの範囲に維持されていることがわかる。

Claims (12)

  1. 下記(A)成分、及び(B)成分を含有する、水硬性組成物用起泡剤。
    (A)成分:アニオン界面活性剤
    (B)成分:脂肪酸部分の炭素数が8以上24以下である、脂肪酸アルカノールアミド
  2. (A)成分が、炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル、炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルスルホン酸、炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の水硬性組成物用起泡剤。
  3. (B)成分が、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸メチルモノエタノールアミド、及び脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の水硬性組成物用起泡剤。
  4. (A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比(A)/(B)が、0.1以上300以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の水硬性組成物用起泡剤。
  5. 更に(C)成分として、LogPが0以上7.0以下の1価の非イオン性アルコールを含有する、請求項1~4の何れか1項に記載の水硬性組成物用起泡剤。
  6. 石膏スラリー用である、請求項1~5の何れか1項に記載の水硬性組成物用起泡剤。
  7. 水硬性粉体、水、下記(A)成分、及び(B)成分を含有する、気泡含有水硬性組成物。
    (A)成分:アニオン界面活性剤
    (B)成分:脂肪酸部分の炭素数が8以上24以下である、脂肪酸アルカノールアミド
  8. (A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比(A)/(B)が、0.1以上300以下である、請求項7に記載の気泡含有水硬性組成物。
  9. 水硬性粉体が石膏である、請求項8に記載の気泡含有水硬性組成物。
  10. 次の工程1及び工程2を含む、気泡含有水硬性組成物の製造方法。
    <工程1>
    請求項1~6の何れか1項に記載の水硬性組成物用起泡剤と水とを含有する液体組成物を起泡させて泡沫を得る工程。
    <工程2>
    水硬性粉体と、水と、工程1で得られた泡沫とを混合する工程。
  11. 水硬性粉体が石膏である、請求項10に記載の気泡含有水硬性組成物の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の気泡含有水硬性組成物の製造方法の工程1及び工程2に加えて、更に下記工程3を含む、気泡含有水硬性組成物の硬化体の製造方法。
    <工程3>
    工程2により得られた気泡含有水硬性組成物スラリーを成形し、硬化させる工程。

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