JP2025152809A - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズの製造方法

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Takuya Shimada
隆哉 山田
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Abstract

【課題】プラスチックレンズの内外周方向における温度勾配を抑制して、熱変形が少ないプラスチックレンズを製造可能なプラスチックレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法であって、前記レンズ基材の他方の表面の少なくとも一部を放熱シートで被覆する放熱シート被覆工程と、前記レンズ基材の一方の表面に光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、前記光硬化性組成物に光照射して前記硬化被覆層を形成する光照射工程と、を含み、前記放熱シートは金属化合物及び金属の少なくともいずれかを含む、プラスチックレンズの製造方法。
【選択図】なし

Description

本開示は、プラスチックレンズの製造方法に関し、特に、プラスチックレンズの内外周方向における温度勾配を抑制して、熱変形が少ないプラスチックレンズを製造可能なプラスチックレンズの製造方法に関する。
所定の波長域の光の下(例えば、屋外)で発色し、所定の波長域外の光の下(例えば、屋内)では退色する性質(フォトクロミック性)を有するプラスチックレンズを備えた眼鏡は、屋内外の移動時に伴う眼鏡の付け替えが必要なくなる点で利便性が高い眼鏡である。プラスチックレンズにフォトクロミック性を付与する方法としては、フォトクロミック性を有するフォトクロミック化合物と重合性化合物とを含む組成物(フォトクロミック層形成用重合性組成物)をレンズ基材表面上に塗布し、塗布したフォトクロミック層形成用重合性組成物に光を照射して硬化させ、フォトクロミック性を有する硬化被覆層(フォトクロミック層)を形成する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2003/011967号
しかしながら、塗布したフォトクロミック層形成用重合性組成物を硬化させる際の光照射に由来する熱によりプラスチックレンズの内外周方向において温度勾配が発生して、基材レンズが局所的に軟化するため、塗布したフォトクロミック層形成用重合性組成物が硬化するときに発生する応力に耐え切れずに、プラスチックレンズが熱変形してしまうという問題がある。
本開示の一様態は、プラスチックレンズの内外周方向における温度勾配を抑制して、熱変形が少ないプラスチックレンズを製造可能なプラスチックレンズの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の実施形態は、以下の[1]~[9]に関する。
〔1〕レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法であって、前記レンズ基材の他方の表面の少なくとも一部を放熱シートで被覆する放熱シート被覆工程と、前記レンズ基材の一方の表面に光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、前記光硬化性組成物に光照射して前記硬化被覆層を形成する光照射工程と、を含み、前記放熱シートは金属化合物及び金属の少なくともいずれかを含む、プラスチックレンズの製造方法。
〔2〕前記金属化合物及び金属の少なくともいずれかの熱伝導率が1.0~500Wm-1-1である、上記〔1〕に記載のプラスチックレンズの製造方法。
〔3〕前記金属化合物及び金属の少なくともいずれかが、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ビスマス、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、鉛、カドミウム、銅、及び銀からなる群より選択される少なくとも1種である、上記〔1〕又は〔2〕に記載のプラスチックレンズの製造方法。
〔4〕前記放熱シートにおける金属化合物及び金属の少なくともいずれかの含有量が65~100質量%である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
〔5〕前記レンズ基材は、中心部分の厚さが2mm未満であり、周縁部分が前記中心部分より厚い、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
〔6〕前記中心部分を前記放熱シートで被覆する、上記〔5〕に記載のプラスチックレンズ製造方法。
〔7〕前記硬化被覆層が、プライマー層と、フォトクロミック層と、保護層とを有する、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
〔8〕前記塗布はスピンコートであり、前記スピンコートにおける回転速度が100rpm以上である、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
〔9〕前記硬化被覆層の厚さが5~100μmである、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、レンズ基材の他方の表面の少なくとも一部を、金属化合物及び金属の少なくともいずれかを含む放熱シートで被覆することで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本開示の一様態によれば、プラスチックレンズにおける温度勾配を抑制して、熱変形が少ないプラスチックレンズを製造可能なプラスチックレンズの製造方法を提供することができる。
以下、本開示の実施形態の一例に基づいて説明する。但し、以下に示す実施態様は、本開示の技術思想を具体化するための例示であって、本開示は以下の記載に限定されない。
本開示及び本明細書における記載事項を任意に選択した態様又は任意に組み合わせた態様も本開示に含まれる。
本開示及び本明細書において、好ましいとする規定は任意に選択でき、好ましいとする規定同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本開示及び本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本開示及び本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。また、本開示及び本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示及び本明細書において、重合性組成物とは、重合性化合物を含む組成物を意味する。また、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物を意味する。
本開示及び本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートとを包含することを意味する。「アクリレート」とは、1分子中にアクリロイル基を1つ以上有する化合物である。「メタクリレート」とは、1分子中にメタクリロイル基を1つ以上有する化合物である。(メタ)アクリレートについて、官能数は、1分子中に含まれるアクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる基の数である。また、「メタクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基としてメタクリロイル基のみを含むものをいうものとし、(メタ)アクリロイル基としてアクリロイル基とメタクリロイル基の両方を含むものは(メタ)アクリレートと呼ぶ。アクリロイル基はアクリロイルオキシ基の形態で含まれていてもよく、メタクリロイル基はメタクリロイルオキシ基の形態で含まれていてもよい。
本開示及び本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを包含する意味で用いられ、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基とを包含することを意味する。
本開示及び本明細書において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1~6の直鎖アルキル基又は炭素数1~6の分岐アルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1~6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシ基、アリール基、ポリエーテル基等が挙げられる。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味する。
本開示及び本明細書において、「直鎖アルキル基又は分岐アルキル基」は、シクロアルキル基を包含しない。直鎖アルキル基又は分岐アルキル基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。直鎖アルキル基又は分岐アルキル基が置換基としてシクロアルキル基(例えばシクロヘキシル基等)を有することは許容されるものとする。一形態としては、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基は、置換基としてシクロアルキル基を有さないことが好ましい。
本開示及び本明細書における「粘度」とは、温度25℃の大気雰囲気中で振動式粘度計によって測定される値である。
本開示及び本明細書における「全量」とは、溶剤を含む場合については、溶剤を除く全成分の合計量をいうものとする。
本開示及び本明細書において、「プラスチックレンズの内外周方向における温度勾配」とは、プラスチックレンズの各領域(中心部分、周縁部分、中周部分等)間での温度差を意味し、プラスチックレンズの中心部分から中周部分にかけて温度差が大きくなる(即ち、温度勾配が大きい)傾向がある。
本開示及び本明細書における「レンズ基材の中心部分」とは、レンズ基材の中心から半径5mm以下の部分を意味する。
本開示及び本明細書における「レンズ基材の周縁部分」とは、レンズ基材の中心から半径15mm以上の部分を意味する。
本開示及び本明細書における「レンズ基材の中周部分」とは、レンズ基材の中心から半径5mm超15mm未満の部分を意味する。
本開示及び本明細書における「プラスチックレンズ」は、フィニッシュレンズであってもよく、セミフィニッシュレンズであってもよい。なお、セミフィニッシュレンズは、研磨や研削によって実使用されるレンズへと加工されるものである。
本開示及び本明細書における「フィニッシュレンズ」とは、セミフィニッシュレンズを研磨や研削によって実使用されるレンズへと加工されているもの、又は、実使用されるレンズとしてレンズ成形されるものを意味する。
本開示及び本明細書における「レンズ基材の厚さ」とは、高機能ABSデジマチックインジケータ(株式会社ミツトヨ社製、ID-FNXシリーズ)を用いてレンズ基材の凸面と凹面とに端子を接続し測定された値を意味する。
本開示及び本明細書における「硬化被覆層における厚さ」とは、非接触膜厚測定器(株式会社システムロード社製、FF8シリーズ)を用いてサンプルの反射率(干渉波形)を測定し、FFT(高速フーリエ変換)によって膜厚値の解析から算出された値を意味する。
本開示及び本明細書における「金属化合物及び金属の少なくともいずれかの含有率」は、一般的な分析手法である蛍光X線分析法を用いて定量的に金属含有量を分析して含有率として算出された値である。
なお、本開示及び本明細書において、「金属」には、半金属も包含されるものとする。
本開示及び本明細書における「光照射の強度」とは、光量計(株式会社USHIO社製、UIT―250)を用いて光源の中心から受光部(中心波長365mm)まで300mm離れたレンズ台座にて電灯することによって測定された値である。
本開示及び本明細書における「光照射の暴露量」とは、光量計(株式会社USHIO社製、UIT―250)を用いて光源の中心から受光部(中心波長365mm)まで300mm離れたレンズ台座にて電灯することによって測定された照射時間積算値(光照射の強度(mW/cm)×照射時間(秒))である。
[プラスチックレンズの製造方法]
以下に、本開示の一態様にかかるプラスチックレンズの製造方法について、更に詳細に説明する。
本開示及び本明細書において、プラスチックレンズの製造方法は、レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層を有するプラスチックレンズを製造する方法であって、レンズ基材の他方の表面の少なくとも一部を放熱シートで被覆する放熱シート被覆工程と、レンズ基材の一方の表面に光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、光硬化性組成物に光照射して硬化被覆層を形成する光照射工程と、を含み、必要に応じて、その他の工程をさらに含んでいてもよい。
<プラスチックレンズ>
プラスチックレンズは、レンズ基材と、レンズ基材の一方の表面に形成された硬化被覆層と、を備える限り、特に制限はないが、レンズ基材の他方の表面の少なくとも一部を放熱シートで被覆する必要がある点で、レンズ基材の他方の表面には他の硬化被覆層が形成されていないことが好ましい。
(レンズ基材)
以下、レンズ基材について、更に詳細に説明する。
本開示及び本明細書において、レンズ基材の材質としては、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル樹脂;スチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;アリル樹脂;ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR-39)等のアリルカーボネート樹脂;ビニル樹脂;ポリエステル樹脂;ポリエーテル樹脂;イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂;イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂;分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する硬化性組成物を硬化した硬化物(一般に透明樹脂と呼ばれる。);等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記レンズ基材の種類としては、特に制限はなく、例えば、眼鏡に使用するレンズ基材、ゴーグルに使用するレンズ基材等が挙げられる。
上記レンズ基材の色としては、特に制限はなく、無色(染色されていないレンズ)であってもよく、染色されていてもよい。
上記レンズ基材の屈折率としては、特に制限はなく、例えば、1.50~1.75等が挙げられる。なお、本開示及び本明細書において、屈折率とは、水銀e線546.07nmの光に対する屈折率を意味する。
上記レンズ基材の焦点としては、特に制限はなく、例えば、単焦点、多焦点、累進屈折カレンズ等が挙げられる。
上記レンズ基材の表面としては、特に制限はなく、例えば、凸面、凹面、平面等が挙げられる。通常のレンズ基材では、物体側表面は凸面、眼球側表面は凹面であるが、本開示は、これに限定されるものではない。
上記レンズ基材の中心部分の厚さとしては、特に制限はないが、光学設計の観点から、好ましくは9.1mm未満、より好ましくは0.8~2.4mm、特に好ましくは0.8以上2.0mm未満である。
上記レンズ基材の周縁部分の厚さとしては、特に制限はないが、光学設計の観点から、好ましくは中心部分より厚く、より好ましくは0.8~16.5mm、特に好ましくは1.6~13.0mmである。
(硬化被覆層)
以下、硬化被覆層について、更に詳細に説明する。
本開示及び本明細書において、硬化被覆層としては、レンズ基材の一方の表面に形成される層である限り、特に制限はなく、例えば、プライマー層、フォトクロミック層、保護層、ハードコート層、その他の機能性層等が挙げられる。これらの層は、1種単独で有していてもよく、2種以上有していてもよい。これらの中でも、被覆層の密着性の観点から、プライマー層、フォトクロミック層、及び保護層を有する3層構造の硬化被覆層、プライマー層及びフォトクロミック層を有する2層構造の硬化被覆層が好ましく、プライマー層、フォトクロミック層、及び保護層を有する3層構造の硬化被覆層がより好ましい。
上記硬化被覆層の厚さとしては、特に制限はないが、好ましくは5~100μm、より好ましくは10~95μm、特に好ましくは15~90μmである。上記範囲の下限値以上であると、密着性を維持しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、被覆層の透過性(透明度)を維持しやすくなる。
((プライマー層))
以下、プライマー層について、更に詳細に説明する。
本開示及び本明細書において、プライマー層とは、プライマー層形成用重合性組成物(以下、単に、「プライマー層用組成物」と称することもある。)を硬化させたものをいう。
上記プライマー層は、例えば、プライマー層用組成物をレンズ基材の一方の表面上に塗布し、塗布されたプライマー層用組成物に光照射することによって、レンズ基材の一方の表面上に形成することができる。
上記プライマー層の位置としては、特に制限はないが、レンズ基材とフォトクロミック層との密着性を向上させる観点から、レンズ基材とフォトクロミック層との間が好ましい。
上記プライマー層の厚さとしては、特に制限はないが、好ましくは1~20μm、より好ましくは3~15μm、特に好ましくは5~10μmである。上記範囲の下限値以上であると、レンズ基材及びフォトクロミック層との密着性が良好になり、上記範囲の上限値以下であると、フォトクロミック層への侵襲を抑制しやすくなる。
上記プライマー層用組成物の一形態としては、例えば、ポリイソシアネートと、ヒドロキシ基含有重合性化合物と、(メタ)アクリレート及びビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であり粘度100cP以下である重合性化合物と、を含むプライマー層用組成物が挙げられる。
なお、プライマー層用組成物に含まれる成分としては、特に制限はないが、プライマー層に起因するフォトクロミック性の減衰を抑制する観点、及びフォトクロミック層との密着性の観点から、上記3種の成分を含むことが好ましい。
以下、上記プライマー層用組成物に含まれる各種成分について、更に詳細に説明する。
-ポリイソシアネート-
上記ポリイソシアネートとは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。
上記ポリイソシアネート1分子中に含まれるイソシアネート基の数としては、特に制限はないが、好ましくは2~6、より好ましくは3~5、特に好ましくは3~4である。上記範囲の下限値以上であると、プライマー層の耐水性が向上しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、レンズ基材と密着しやすくなる。
上記ポリイソシアネートの分子量としては、特に制限はないが、好ましくは200~800、より好ましくは300~700、特に好ましくは400~600である。上記範囲の下限値以上であると、レンズ基材と密着しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、プライマー層の耐水性が向上しやすくなる。
上記ポリイソシアネートの具体例としては、特に制限はなく、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネート;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
また、上記で例示したポリイソシアネートは、アロファネート体でもよく、アダクト体でもよく、ビュウレット体でもよく、イソシアヌレート体でもよい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
さらに、ポリイソシアネートの市販品としては、特に制限はなく、例えば、コロネートHX、コロネートHXR、コロネートHXLV、コロネートHK,コロネート2715、コロネートHL、コロネートL,コロネート2037、HDI、TDI、MDI(東ソー社製)、タケネート500、タケネート600、デュラネート24A-100、TPA-100、TKA-100、P301-75E、タケネートD-110N、D-120N、D-127N、D-140N、D-160N、D15N、D-170N、D-170HN、D-172N、D-177N、D-178N、D-101E(三井化学社製)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
-ヒドロキシ基含有重合性化合物-
上記ヒドロキシ基含有重合性化合物1分子中に含まれるヒドロキシ基の数としては、特に制限はないが、好ましくは1~6、より好ましくは1~5、特に好ましくは2~4である。上記範囲の下限値以上であると、ポリイソシアネートとの反応効率が良好になりやすく、上記範囲の上限値以下であると、フォトクロミック層と密着しやすくなる。
なお、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基と、ヒドロキシ基含有重合性化合物が有するヒドロキシ基と、を反応させることにより形成したウレタン結合が、プライマー層の密着性向上に寄与しているものと本発明者は推察している。
上記ヒドロキシ基含有重合性化合物1分子中に含まれる重合性基の数としては、特に制限はないが、重合反応の効率の観点から、好ましくは2以上である。
上記ヒドロキシ基含有重合性化合物の一形態としては、(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヒドロキシ基含有重合性化合物が(メタ)アクリレートである場合、(メタ)アクリレートの官能基数としては、特に制限はないが、密着性の観点から、好ましくは1(単官能)~3、より好ましくは2~3である。なお、上記官能基である(メタ)アクリロイル基としては、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。一形態としては、密着性の観点から、ヒドロキシ基含有重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基としてアクリロイル基のみを含むことが好ましい。
上記ヒドロキシ基含有重合性化合物の分子量としては、特に制限はないが、好ましくは100~600、より好ましくは200~500、特に好ましくは300~400である。上記範囲の下限値以上であると、ポリイソシアネートとの反応効率が良好になりやすく、上記範囲の上限値以下であると、フォトクロミック層と密着しやすくなる。
上記(メタ)アクリレートの具体例としては、特に制限はなく、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2-ヒドロキシ-1-アクリロキシ-3-メタドリロキシプロパン、2-ヒドロキシ1-3ジメタクリロキシプロパン、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、モノアクリロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-アクリロイルオキシエチルフタレート、2-(アクリロキシオキシ)エチル2-ヒドロキシエチルフタレート、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
・・・(1)
上記ヒドロキシ基含有重合性化合物の一形態としては、アミド基を有するヒドロキシ基含有重合性化合物が挙げられる。
上記アミド基を有するヒドロキシ基含有重合性化合物としては、特に制限はなく、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド等が挙げられる。
上記ヒドロキシ基含有重合性化合物の一形態としては、エポキシエステル構造を有するヒドロキシ基含有重合性化合物が挙げられる。エポキシエステル構造とは、エポキシ基とカルボキシ基との反応により生成される構造であり、「-CH(OH)-CH-O-C(=O)-」で表すことができる。
エポキシエステル構造を有するヒドロキシ基含有重合性化合物の市販品としては、特に制限はなく、例えば、エポキシエステル40EM(共栄社化学製)、エポキシエステル70PA(共栄社化学製)、エポキシエステル80MFA(共栄社化学製)、エポキシエステル200PA(共栄社化学製)、エポキシエステル3002M(N)(共栄社化学製)、エポキシエステル3002A(N)(共栄社化学製)、エポキシエステル3000MK(共栄社化学製)、エポキシエステル3000A(共栄社化学製)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
-(メタ)アクリレート及びビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であり粘度100cP以下である重合性化合物-
上記プライマー層用組成物は、(メタ)アクリレート及びビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であり粘度100cP(センチポアズ)以下である重合性化合物(以下、単に、「低粘度重合性化合物」と称することもある。)を含むことが好ましい。上記低粘度重合性化合物を含むプライマー層用組成物が、プライマー層に起因するフォトクロミック性の減衰を抑制するものと、本発明者は推察している。
上記低粘度重合性化合物の粘度としては、100cP以下である限り、特に制限はないが、取り扱い性の観点、及び光学的欠陥が発生することを抑制する観点から、好ましくは5~70cP、より好ましくは10~50cPである。
上記低粘度重合性化合物の一形態である(メタ)アクリレートの官能基数としては、特に制限はないが、密着性の観点から、好ましくは1(単官能)~3、より好ましくは1(単官能)~2である。
上記低粘度重合性化合物の一形態である(メタ)アクリレートとしては、アリール基(例えばフェニル基)、アミド基等を含むことができる。本開示及び本明細書において、「ビニルエーテル」とは、1分子中に1個以上のビニル基及び1個以上のエーテル結合を有する化合物であり、1分子中にビニル基を2個以上有することが好ましく、2~4個有することがより好ましい。また、ビニルエーテルに含まれるエーテル結合の数は、1分子中、2~4個であることが好ましい。
上記低粘度重合性化合物の分子量としては、特に制限はないが、好ましくは100~300、より好ましくは150~250である。上記範囲の下限値以上であると、光学的欠陥の発生を抑制しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、フォトクロミック層と密着しやすくなる。
上記低粘度重合性化合物の具体例としては、特に制限はなく、例えば、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールブチルエーテル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノビニルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、2-プロペノイックアシッド、2-[2-(エテニロキシ)エトキシ]エチルエステル、2-(2-エテノキシエトキシ)エチル2-メチルプロプ-2-エノエート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記低粘度重合性化合物の含有量としては、特に制限はないが、低粘度重合性化合物とポリイソシアネートとヒドロキシ基含有重合性化合物との合計100質量%中、好ましくは30.0~90.0質量%、より好ましくは35.0~80.0質量%、特に好ましくは40.0~70.0質量%である。
上記範囲の下限値以上であると、取り扱いやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、レンズ基材と密着しやすくなる。
上記低粘度重合性化合物の含有量の一形態としては、低粘度重合性化合物、ポリイソシアネート及びヒドロキシ基含有重合性化合物を含むプライマー層用組成物において最も多く含まれる成分である。
上記ポリイソシアネートの含有量としては、特に制限はないが、低粘度重合性化合物とポリイソシアネートとヒドロキシ基含有重合性化合物との合計100質量%中、好ましくは10.0~70.0質量%、より好ましくは20.0~60.0質量%、特に好ましくは30.0~50.0質量%である。
上記範囲の下限値以上であると、プライマー層の耐水性が向上しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、レンズ基材と密着しやすくなる。
上記ヒドロキシ基含有重合性化合物の含有量としては、特に制限はないが、低粘度重合性化合物とポリイソシアネートとヒドロキシ基含有重合性化合物との合計100質量%中、好ましくは3.0~30.0質量%、より好ましくは5.0~25.0質量%、特に好ましくは7.0~20.0質量%である。
上記範囲の下限値以上であると、ポリイソシアネートとの反応効率が良好になりやすく、上記範囲の上限値以下であると、フォトクロミック層と密着しやすくなる。
上記プライマー層用組成物は、必要に応じて、重合開始剤をさらに含むことができる。
上記重合開始剤の配合量としては、特に制限はなく、プライマー層形成効率の観点から、低粘度重合性化合物とポリイソシアネートとヒドロキシ基含有重合性化合物との合計100質量部に対して、好ましくは0.01~3.0質量部である。
上記重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の重合開始剤を使用することができる。
上記公知の重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、光ラジカル重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、短時間で重合反応を進行させる観点から、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例については、後述するフォトクロミック層形成用重合性組成物に含まれ得る重合開始剤を参照できる。
上記プライマー層用組成物は、溶剤を含んでもよく、含まなくてもよい。
上記プライマー層用組成物が溶剤を含む場合、使用可能な溶剤としては、重合性組成物の重合反応の進行を阻害しないものである限り、特に制限はなく、任意の溶剤を使用することができる。
上記プライマー層用組成物が溶剤を含む場合、溶剤の配合量としては、特に制限はないが、光学的欠陥が発生することを抑制する観点から、低粘度重合性化合物とポリイソシアネートとヒドロキシ基含有重合性化合物との合計100質量部に対して、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、特に好ましくは3.0質量部以下である。
上記プライマー層用組成物は、必要に応じて、プライマー層形成のための組成物に通常添加され得る公知の添加物をさらに含むことができる。
上記公知の添加物の配合量としては、プライマー層の効果を発揮する限り、特に制限はなく、低粘度重合性化合物とポリイソシアネートとヒドロキシ基含有重合性化合物との合計100質量部に対して、好ましくは1.0~20.0質量部、より好ましくは1.5~10.0質量部、特に好ましくは2.0~5.0質量部である。
上記低粘度重合性化合物とポリイソシアネートとヒドロキシ基含有重合性化合物の含有量としては、プライマー層の効果を発揮する限り、特に制限はなく、プライマー層用組成物(ただし、重合開始剤を除く)100質量%中、好ましくは80.0~100.0質量%、より好ましくは85.0~100.0質量%、より好ましくは90.0~100.0質量%である。
上記プライマー層用組成物は、以上説明した各種成分を同時又は任意の順序で順次混合して調製することができる。
((フォトクロミック層))
以下、フォトクロミック層について、更に詳細に説明する。
本開示及び本明細書において、フォトクロミック層とは、フォトクロミック層形成用重合性組成物(以下、単に、「フォトクロミック層用組成物」と称することもある。)を硬化させたものをいう。
上記フォトクロミック層は、例えば、フォトクロミック層用組成物をプライマー層の表面上に塗布し、塗布されたフォトクロミック層用組成物に光照射することによって、プライマー層の表面上に形成することができる。
上記フォトクロミック層の位置としては、特に制限はないが、レンズ基材との密着性、及びフォトクロミック層の保護の観点から、上述したプライマー層と後述する保護層の間が好ましい。
上記フォトクロミック層の厚さとしては、特に制限はないが、好ましくは5~80μm、より好ましくは10~70μm、特に好ましくは15~60μmである。上記範囲の下限値以上であると、発色濃度が濃くなりやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、透明度を維持しやすくなる。
上記フォトクロミック層用組成物の一形態としては、2種以上の(メタ)アクリレートと、フォトクロミック化合物と、を含むフォトクロミック層用組成物が挙げられる。上記2種以上の(メタ)アクリレートは、フォトクロミック層用組成物内で重合性化合物として機能する。
以下、上記フォトクロミック層用組成物に含まれる各種成分について、更に詳細に説明する。
-2種以上の(メタ)アクリレート-
上記2種以上の(メタ)アクリレートとしては、特に制限はないが、退色速度の観点から、分子量500以上の多官能(メタ)アクリレート(以下、「成分A」と称することもある)を少なくとも含むことが好ましい。
上記2種以上の(メタ)アクリレート中の成分A以外の(メタ)アクリレートとしては、特に制限はないが、例えば、単官能(メタ)アクリレート(以下、「成分B」と称することもある)、環状構造及び分岐構造を有さない多官能(メタ)アクリレート(以下、「成分C」と称することもある)、環状構造及び分岐構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含む2官能(メタ)アクリレート(以下、「成分D」と称することもある)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
--成分A--
上記成分Aの分子量としては、500以上である限り、特に制限はないが、好ましくは600~2000、より好ましくは650~1500、特に好ましくは700~1300である。上記範囲の下限値以上であると、退色速度を向上しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、フォトクロミック層が高硬度化しやすくなる。
上記成分Aとしては、特に制限はなく、例えば、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4官能(メタ)アクリレート、5官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、耐候性の観点から、好ましくは2官能又は3官能(メタ)アクリレートである。
上記成分Aの(メタ)アクリロイル基としては、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。即ち、成分Aは、アクリレート又はメタクリレートであることができる。
上記成分Aの一形態としては、非環状の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。本開示及び本明細書において、「非環状」とは、環状構造を含まないことを意味する。これに対し、「環状」とは、環状構造を含むことを意味する。非環状の多官能(メタ)アクリレートとは、環状構造を含まない2官能以上の(メタ)アクリレートをいうものとする。
成分Aの具体例としては、特に制限はなく、例えば、下記式(2)で表されるポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
・・・(2)
式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rはアルキレン基を表し、nはROで表されるアルコキシ基の繰り返し数を示し、2以上である。
式(2)におけるRで表されるアルキレン基の炭素数としては、特に制限はないが、好ましくは1~5、より好ましくは2~4である。
式(2)におけるRで表されるアルキレン基としては、特に制限はなく、例えば、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
式(2)におけるnとしては、特に制限はないが、好ましくは2~30、より好ましくは2~25、特に好ましくは2~20である。
式(2)で表されるポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
また、成分Aの具体例としては、下記式(3)で表されるトリ(メタ)アクリレートを挙げることもできる。
式(3)で表されるトリ(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基としては、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。
・・・(3)
式(3)中、R40、R41、R44、R45、R47及びR48は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、R43はアルキル基を表し、R42、R46及びR49は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。
式(3)中、n1は、OR41で表されるアルコキシ基の繰り返し数を示し、2以上である。
式(3)中、n2は、OR45で表されるアルコキシ基の繰り返し数を示し、2以上である。
式(3)中、n3は、OR48で表されるアルコキシ基の繰り返し数を示し、2以上である。
式(3)におけるR41、R45及びR48については、式(2)におけるRについて先に記載した通りである。式(3)におけるn1、n2及びn3については、式(2)におけるnについて先に記載した通りである。式(3)中、R41、R45及びR48は、同一であってもよく、2つ又は3つが異なってもよい。この点は、n1、n2及びn3についても同様である。
式(3)におけるR42、R46及びR49は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
式(3)で表されるトリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基として、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。
式(3)におけるR43で表されるアルキル基の炭素数としては、特に制限はないが、好ましくは1~5、より好ましくは1~4である。
式(3)におけるR43で表されるアルキル基は、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基である。
式(3)におけるR43で表されるアルキル基の具体例としては、特に制限はなく、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
式(3)におけるR40、R44及びR47は、それぞれ独立に、アルキレン基を表す。
式(3)におけるR40、R44及びR47で表されるアルキレン基の炭素数としては、特に制限はないが、好ましくは1~5、より好ましくは1~4である。
式(3)におけるR40、R44及びR47で表されるアルキレン基の具体例としては、特に制限はなく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
式(3)で表されるトリ(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、例えば、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンエーテルトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
--成分B--
成分Bは、下記式(4)で表される単官能(メタ)アクリレートである。
・・・(4)
式(4)中、R10は水素原子又はメチル基を表す。
式(4)で表される単官能(メタ)アクリレートは、アクリレートであってもよく、メタクリレートであってもよい。
式(4)中、R11は、炭素数3以上の直鎖アルキル基、又は炭素数3以上の分岐アルキル基を表す。
式(4)におけるR11で表されるアルキル基は、無置換であってもよく置換基を有していてもよい。置換基としては、特に制限はなく、例えば、先に記載した各種置換基が挙げられる。
式(4)におけるR11で表される直鎖又は分岐のアルキル基の炭素数としては、特に制限はないが、好ましくは3~15、より好ましくは3~14、特に好ましくは3~12である。
上記範囲の上限値以下であると、フォトクロミック化合物がフォトクロミック層用組成物に溶解しやすくなる。
式(4)で表される単官能(メタ)アクリレートの分子量は、例えば、100~300であってもよい。ただし、上記範囲に限定されるものではない。先に記載したように、一形態では、式(4)で表される単官能(メタ)アクリレートが、分子量150以下の単官能(メタ)アクリレートであってもよい。
式(4)で表される単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、特に制限はなく、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
2種以上の(メタ)アクリレートに含まれ得る成分A以外の多官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限はないが、フォトクロミック層用組成物中の(メタ)アクリロイル基含有量を高め、分子間に剛直なポリマーネットワークを形成させる観点から、分子中に占める(メタ)アクリロイル基の割合が高い(メタ)アクリレートが好ましい。この点からは、成分Aより分子量が小さい多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
上記成分A以外の多官能(メタ)アクリレートの分子量としては、特に制限はないが、上記観点から、好ましくは100以上500未満、より好ましくは100以上400以下、特に好ましくは100以上350以下である。
上記成分A以外の多官能(メタ)アクリレートの官能基数としては、特に制限はないが、耐候性の観点から、成分Aとして使用される多官能(メタ)アクリレートよりも官能数が大きい多官能(メタ)アクリレートが好ましい。また、多官能(メタ)アクリレートの官能基数としては、例えば、10~15とすることができる。官能基数が10~15の多官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、例えば、ポリ[(3-メタクリロイルオキシプロピル)シルセスキオキサン]誘導体等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、例えば、環状構造及び分岐構造を有さない多官能(メタ)アクリレート(成分C)、環状構造及び分岐構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含む2官能(メタ)アクリレート(成分D)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
以下、成分C及び成分Dについて、更に詳細に説明する。
--成分C--
成分Cは、下記式(5)で表される環状構造及び分岐構造を有さない多官能(メタ)アクリレートである。
・・・(5)
式(5)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
式(5)中、mは1以上の整数を表し、10以下、9以下、8以下、7以下又は6以下であってもよい。
上記成分Cがメタクリロイル基を有する場合、メタクリロイル基に含まれる分岐構造は考慮されないものとする。
上記成分Cの分子量としては、特に制限はないが、好ましくは100~400、より好ましくは140~350、特に好ましくは160~300である。上記範囲の下限値以上であると、退色速度を向上しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、フォトクロミック層の発色濃度が高くなりやすくなる。
上記成分Cは、(メタ)アクリロイル基として、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。
上記成分Cの具体例としては、特に制限はなく、例えば、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
--成分D--
成分Dは、環状構造及び分岐構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含む2官能(メタ)アクリレートである。
上記成分Dは、フォトクロミック層用組成物に含まれることにより、フォトクロミック層用組成物から形成されたフォトクロミック層の発色濃度の向上に寄与すると推察される。
上記成分Dの一形態としては、1分子中に1つ以上の環状構造を含み分岐構造を含まず、他の一形態では1分子中に1つ以上の分岐構造を含み環状構造を含まず、また他の一形態では1分子中に1つ以上の環状構造と1つ以上の分岐構造とを含むことができる。
上記成分D中に含まれる環状構造及び分岐構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造の数は、特に制限はないが、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、特に好ましくは1である。
上記成分Dがメタクリロイル基を有する場合、メタクリロイル基に含まれる分岐構造は考慮されないものとする。
1以上の環状構造を含む成分Dの一形態としては、例えば、脂環式の2官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂環式の2官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、例えば、R111-(L11n11-Q-(L22n22-R222で表される構造を有する化合物等が挙げられる。
ここで、Qは二価の脂環式基を表し、R111及びR222はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、L11及びL22はそれぞれ独立に連結基を表し、n11及びn22はそれぞれ独立に0又は1を表す。
Qで表される二価の脂環式基としては、特に制限はなく、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、トリシクロデカニレン基、アダマンチレン基等の炭素数3~20の脂環式炭化水素基が好適に挙げられる。
11及びL22で表される連結基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数1~6のアルキレン基等が挙げられる。
脂環式の2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、特に制限はなく、例えば、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
1つ以上の分岐構造を含む成分Dの一形態としては、例えば、分岐アルキレン基を含む2官能(メタ)アクリレートが挙げられる。分岐アルキレン基の炭素数としては、特に制限はないが、好ましくは1~10、より好ましくは2~9、さらに好ましくは3~8、特に好ましくは4~7である。分岐アルキレン基の一形態としては、第4級炭素(即ち4つの炭素と結合している炭素)を含んでいてもよい。
1つ以上の分岐構造を含む成分Dの具体例としては、特に制限はなく、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記成分Dの分子量としては、特に制限はないが、好ましくは200~400である。
上記成分Dは、(メタ)アクリロイル基として、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。
重合性化合物の含有量(即ち、複数の重合性化合物の合計含有量)としては、特に制限はないが、フォトクロミック層用組成物100質量%中、好ましくは70~99質量%、より好ましくは80~95質量%である。上記範囲の下限値以上であると、フォトクロミック化合物がフォトクロミック層用組成物に溶解しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、調光特性が向上しやすくなる。
上記フォトクロミック層用組成物は、溶剤を含んでもよく、含まなくてもよい。溶剤を含む場合、使用可能な溶剤としては、重合性組成物の重合反応の進行を阻害しないものであれば、任意の溶剤を任意の量で使用することができる。
上記成分Aの含有量としては、特に制限はないが、フォトクロミック層用組成物に含まれる全重合性化合物100質量%中、好ましくは50~95質量%、より好ましくは55~92質量%、特に好ましくは60~90質量%である。上記範囲の下限値以上であると、退色速度が向上しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、耐候性が向上しやすくなる。なお、本開示及び本明細書において、成分A及び成分C、又は成分A及び成分Dのいずれにも該当する成分は、成分Aとみなすものとする。成分Aの一形態としては、組成物に含まれる複数の重合性化合物の中で、最も多くを占める成分であることができる。
上記フォトクロミック層用組成物の一形態としては、成分Aを1種のみ含むことができ、他の一形態では成分Aを2種以上含むことができる。2種以上の成分Aが含まれる場合、上記の成分Aの含有量は、2種以上の合計含有量である。この点は、他の成分に関する含有量についても同様である。
上記成分Bの含有量としては、特に制限はないが、フォトクロミック層用組成物に含まれる全重合性化合物100質量%中、好ましくは1~30質量%、より好ましくは5~27質量%、特に好ましくは10~25質量%である。上記範囲の下限値以上であると、耐候性が向上しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、退色速度が向上しやすくなる。
上記フォトクロミック層用組成物の一形態としては、成分Bを1種のみ含むことができ、他の一形態では成分Bを2種以上含むことができる。2種以上の成分Bが含まれる場合、上記の成分Bの含有量は、2種以上の合計含有量である。
上記成分Cの含有量としては、特に制限はないが、フォトクロミック層用組成物に含まれる全重合性化合物100質量%中、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~27質量%である。上記範囲の下限値以上であると、発色濃度が高くなりやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、退色速度が向上しやすくなる。
上記フォトクロミック層用組成物の一形態としては、成分Cを1種のみ含むことができ、他の一形態では成分Cを2種以上含むことができる。2種以上の成分Cが含まれる場合、上記の成分Cの含有量は、2種以上の合計含有量である。
上記成分Dの含有量としては、特に制限はないが、フォトクロミック層用組成物に含まれる全重合性化合物100質量%中、好ましくは1~30質量%、より好ましくは5~27質量%である。
上記フォトクロミック層用組成物の一形態としては、成分Dを1種のみ含むことができ、他の一形態では成分Dを2種以上含むことができる。2種以上の成分Dが含まれる場合、上記の成分Dの含有量は、2種以上の合計含有量である。
上記フォトクロミック層用組成物は、必要に応じて、成分A~D以外の他の(メタ)アクリレートを含んでもよく、含まなくてもよい。上記組成物に成分A~D以外の他の(メタ)アクリレートが含まれる場合、成分A~D以外の他の(メタ)アクリレートの含量としては、特に制限はないが、退色速度の観点から、上記フォトクロミック層用組成物に含まれる全(メタ)アクリレート100質量%中、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。
上記フォトクロミック層用組成物は、必要に応じて、(メタ)アクリレート以外の重合性化合物を含んでもよく、含まなくてもよい。
-フォトクロミック化合物-
上記フォトクロミック層用組成物の一形態としては、上記重合性化合物とともにフォトクロミック化合物を含むことができる。
上記フォトクロミック化合物は、特に制限はなく、例えば、紫外線に対してフォトクロミック性を示す公知の化合物を使用することができる。
上記フォトクロミック化合物の具体例としては、特に制限はなく、例えば、アゾベンゼン類、スピロピラン類、スピロオキサジン類、ナフトピラン類、インデノナフトピラン類、フェナントロピラン類、ヘキサアリルビスイミダゾール類、ドナー-アクセプターステンハウス付加物(DASA)類、サリシリデンアニリン類、ジヒドロピレン類、アントラセンダイマー類、フルギド類、ジアリールエテン類、フェノキシナフタセンキノン類、スチルベン類等のフォトクロミック性を示す公知の骨格を有する化合物;フルギミド化合物;スピロオキサジン化合物;クロメン化合物;インデノ縮合ナフトピラン化合物;WO2022/138966に記載されている一般式Aで表されるフォトクロミック化合物、一般式Bで表されるフォトクロミック化合物及び一般式Cで表されるフォトクロミック化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記フォトクロミック化合物の含有量としては、特に制限はないが、好ましくは、フォトクロミック層用組成物100質量%中、0.1~15質量%程度である。
-他の成分-
上記フォトクロミック層用組成物は、2種以上の(メタ)アクリレート及びフォトクロミック化合物に加えて、必要に応じて、重合性組成物に通常含まれ得る各種添加剤の1種以上を任意の含有量で含むことができる。上記フォトクロミック層用組成物に含まれ得る添加剤としては、特に制限はなく、例えば、重合反応を進行させるための重合開始剤等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、光ラジカル重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、短時間で重合反応を進行させる観点から、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンゾインケタール;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等のα-ヒドロキシケトン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノケトン;1-[(4-フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタジオン-2-(ベンゾイル)オキシム等のオキシムエステル;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9、9’-アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物;N-フェニルグリシン;クマリン;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、硬化性、透明性及び耐熱性の観点から、α-ヒドロキシケトン、ホスフィンオキシドが好ましい。
なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体においては、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基が、同一で対称な化合物であってもよく、相違して非対称な化合物であってもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸との組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。
重合開始剤の含有量としては、特に制限はないが、好ましくは、フォトクロミック層用組成物100質量%中、0.1~5.0質量%程度である。
上記フォトクロミック層用組成物は、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤、シランカップリング剤等の通常添加され得る公知の添加剤を任意の量でさらに添加できる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記フォトクロミック層用組成物は、以上説明した各種成分を同時又は任意の順序で順次混合して調製することができる。
((保護層))
以下、保護層について、更に詳細に説明する。
本開示及び本明細書において、保護層とは、保護層形成用重合性組成物(以下、単に、「保護層用組成物」と称することもある。)を硬化させたものをいう。
保護層は、例えば、保護層用組成物をフォトクロミック層の表面上に塗布し、塗布された保護層用組成物に光照射することによって、フォトクロミック層の表面上に形成することができる。また、必要に応じて、フォトクロミック層と保護層との密着性向上の観点から、フォトクロミック層と保護層との間にプライマー層等をさらに形成してもよい。
上記保護層の位置としては、特に制限はないが、フォトクロミック層を保護する観点から、フォトクロミック層上が好ましい。また、かかる観点から、保護層は、高い硬度を有することが好ましい。
上記保護層としては、特に制限はないが、溶剤耐性に優れることが好ましい。光学物品の製造工程においては、通常、層を形成した後、形成された層の表面の清浄化のために溶剤による拭き取り処理が行われるが、この拭き取り処理において保護層がダメージを受けてしまうと、プラスチックレンズに曇りや光学的欠陥が発生する原因となってしまうからである。
上記保護層の厚さとしては、特に制限はないが、好ましくは10~50μm、より好ましくは12~45μm、特に好ましくは15~40μmである。上記範囲の下限値以上であると、プラスチックレンズの耐久性が良好になり、上記範囲の上限値以下であると、被覆層の透過性(透明度)を維持しやすくなる。
上記保護層用組成物の一形態としては、1種以上の(メタ)アクリレートを含み、かつ全(メタ)アクリレート100質量%中、脂環式の2官能(メタ)アクリレートを70.0質量%以上含む重合性組成物が挙げられる。
なお、保護層用組成物に含まれる成分としては、特に制限はないが、保護層の硬度及び溶剤耐性の観点から、脂環式の2官能(メタ)アクリレート成を含むことが好ましい。
上記保護層用組成物に含まれる脂環式の2官能(メタ)アクリレートとしては、上述したフォトクロミック層形成用重合性組成物の一例としての脂環式の2官能(メタ)アクリレートを参照できる。
上記脂環式の2官能(メタ)アクリレートの含有量としては、全(メタ)アクリレート100質量%中、特に制限はないが、保護層がより高い硬度及びより優れた溶剤耐性を得る観点から、好ましくは70.0質量%以上、より好ましくは75.0質量%以上、さらに好ましくは85.0質量%以上、特に好ましくは95.0質量%以上である。上記脂環式の2官能(メタ)アクリレートの含有量の一形態としては、(メタ)アクリレートの全量が、脂環式の2官能(メタ)アクリレートであってもよい。
上記保護層用組成物の一形態としては、(メタ)アクリレートとして脂環式の2官能(メタ)アクリレートに加えて1種以上の他の(メタ)アクリレートを含むことができ、他の一形態では、(メタ)アクリレートとして脂環式の2官能(メタ)アクリレートのみを含むことができる。前者の形態の場合、脂環式の2官能(メタ)アクリレートとともに含まれる他の(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、各種(メタ)アクリレートの1種又は2種以上を使用することができる。他の(メタ)アクリレートの具体例としては、特に制限はなく、例えば、単官能、2官能、3官能、4官能及び5官能(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは非環状であっても環状であってもよい。環状構造を含む(メタ)アクリレートとしては、環状構造として脂環構造を有するものであってもよく、他の環状構造を有するものであってもよい。脂環構造については、脂環式の2官能(メタ)アクリレートに関する先の記載を参照できる。
上記他の(メタ)アクリレートの含有量としては、特に制限はないが、本開示の保護層が高い硬度及び優れた溶剤耐性を得る観点から、全(メタ)アクリレート100質量%中、好ましくは0~30質量%、より好ましくは1.0~25.0質量%、特に好ましくは5.0~20.0質量%である。
上記保護層用組成物は、重合性化合物として少なくとも1種の(メタ)アクリレートを含み、一形態では(メタ)アクリレート以外の他の重合性化合物を1種以上含むことができ、他の一形態では重合性化合物として(メタ)アクリレートのみを含むことができる。他の重合性化合物については、特に制限はなく、公知の重合性化合物の1種以上を使用することができる。
上記(メタ)アクリレートの含有量としては、特に制限はないが、耐久性の観点から、保護層用組成物内の全重合性化合物100質量%中、好ましくは80.0質量%以上、より好ましくは90.0質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
一形態では、上記(メタ)アクリレートの含有量(2種以上の(メタ)アクリレートを含む場合にはそれらの合計量)としては、保護層用組成物100質量%中、好ましくは80.0質量%以上、より好ましくは90.0質量%以上、特に好ましくは95.0質量%以上である。
上記保護層用組成物は、溶剤を含んでもよく、含まなくてもよい。溶剤を含む場合、使用可能な溶剤としては、重合性組成物の重合反応の進行を阻害しない限り、特に制限はなく任意の溶剤を任意の量で使用することができる。
上記保護層用組成物は、必要に応じて、各種添加剤を1種以上、任意の含有量でさらに含んでいてもよい。
上記添加剤としては、特に制限はなく、例えば、重合反応を進行させるための重合開始剤、組成物の塗布適性向上のためのレベリング剤等の公知の各種添加剤が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の重合開始剤を使用することができ、好ましくは光ラジカル重合開始剤、より好ましくは重合開始剤として光ラジカル重合開始剤のみを使用することができる。
また、上記重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、光ラジカル重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、短時間で重合反応を進行させる観点から、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤の具体例については、上述したフォトクロミック層形成用重合性組成物に含まれ得る重合開始剤を参照できる。
上記重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、保護層の形成効率の観点から、保護層用組成物100質量%中、好ましくは0.1~5.0質量%である。
上記保護層用組成物としては、必要に応じて、紫外線吸収剤をさらに含むことができる。
上記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、例えば、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニル]-4,6-ジビフェニル-s-トリアジン、2-[[2-ヒドロキシ-4-[1-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)エチルオキシ]フェニル]]-4,6-ジフェニル-s-トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン化合物;2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール等のベンゾトリアゾール化合物;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記紫外線吸収剤は、上記保護層用組成物に含有されることにより、保護層の耐候性向上に寄与し得る。
上記保護層用組成物が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、特に制限はなく、透明度などの光学特性の観点から、保護層用組成物100質量%中、好ましくは0.1~1.0質量%である。
上記保護層用組成物は、以上説明した各種成分を同時又は任意の順序で順次混合して調製することができる。
本開示の一態様にかかるプラスチックレンズは、「フォトクロミック層/保護層」の層構成を有することができる。層構成に関して、「/」は、他の層を介さずに直接接している形態と、他の層の一層以上を介して設けられている形態とを包含する意味で使用される。また、一形態では、上記光学物品は、「フォトクロミック層/保護層/他の硬化被覆層」の層構成を有することができる。他の硬化被覆層としては、特に制限はないが、例えば、一般にハードコート層と呼ばれる硬化層等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。保護層に加えてハードコート層を設けることにより、光学物品の耐久性をより一層高めることができる。また、一形態では、ハードコート層を設けることにより、光学物品の耐衝撃性を高めることもできる。一形態では、上記の他の硬化被覆層は、上記保護層と他の層を介さずに直接接することができる。
上記他の硬化被覆層の厚さとしては、特に制限はないが、屈折率などの光学特性の観点から、好ましくは1~10μm、より好ましくは1~8μm、特に好ましくは1~5μmである。一形態では、上記の他の硬化被覆層は、上記保護層より薄い層であることができる。
上記の他の硬化被覆層としては、特に制限はなく、例えば、有機ケイ素系硬化層等が挙げられる。有機ケイ素系硬化層は、一般的に耐衝撃性に優れるため好ましい。また、一形態として反射防止層をさらに設ける場合、有機ケイ素系硬化層は一般的に反射防止層との密着性に優れる点からも好ましい。
上記有機ケイ素系硬化層とは、有機ケイ素化合物を含む重合性組成物を硬化した硬化層である。
有機ケイ素化合物としては、特に制限はなく、例えば、重合処理が施されることによりシラノール基を生成可能な有機ケイ素化合物;シラノール基と縮合反応するハロゲン原子やアミノ基等の反応性基を有するオルガノポリシロキサン;ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性基とアルコキシ基等の加水分解性基とを有するシランカップリング剤;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
有機ケイ素化合物を含む重合性組成物には、屈折率の調整等のために、必要に応じて、ケイ素酸化物;チタン酸化物等の無機物質の粒子;等がさらに含まれていてもよい。有機ケイ素化合物を含む重合性組成物の詳細については、ハードコート層として機能し得る有機ケイ素系硬化層に関する公知技術を適用できる。有機ケイ素化合物を含む重合性組成物は、組成物に含まれる成分の種類に応じて、光照射及び/又は加熱処理によって重合反応を進行させて硬化させることができる。
上記保護層の上に上記の他の硬化被覆層を設ける場合、特に制限はないが、上記保護層と上記の他の硬化被覆層との間に異物が介在すること防ぐ観点から、保護層の表面を溶剤による拭き取り処理を施すことが好ましい。ただし、保護層が溶剤耐性に劣る場合、溶剤拭き取り処理によって保護層がダメージを受けてしまい(例えば、面荒れの発生)、保護層を含むプラスチックレンズの曇りや光学的欠陥が発生する原因になる。これに対し、上述した保護層用組成物から形成された保護層は、優れた溶剤耐性を示すことから、上記保護層の上に上記の他の硬化被覆層を設ける場合に適しているといえる。
溶剤による拭き取り処理としては、特に制限はなく、公知の方法によって行うことができ、例えば、溶剤を浸み込ませた布で保護層表面を拭き取ること等が挙げられる。上記溶剤としては、特に制限はなく、例えば、アセトン等のケトン溶剤;エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶剤;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。一形態では、保護層は、光学物品の製造時に拭き取り用の溶剤として汎用されるケトン溶剤に対して高い耐性を有することが好ましい。
((その他の機能性層))
上記被覆硬化層は、上述したプライマー層、フォトクロミック層及び保護層以外に、必要に応じて、その他の機能性層をさらに含んでもよく、含まなくてもよい。
上記その他の機能性層としては、特に制限はなく、例えば、反射防止層、撥水性又は親水性の防汚層、防曇層等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
以下、本開示のプラスチックレンズの製造方法における各工程(放熱シート被覆工程、塗布工程、光照射工程、その他の工程)について、更に詳細に説明する。
<放熱シート被覆工程>
以下、放熱シート被覆工程について、更に詳細に説明する。
放熱シート被覆工程は、レンズ基材の他方の表面の少なくとも一部を放熱シートで被覆する工程である。
放熱シートの被覆部分としては、特に制限はないが、プラスチックレンズの温度勾配を効率よく抑制する観点で、レンズ基材の他方の表面の少なくとも中心部分を含むことが好ましく、また、光硬化性組成物のスプラッシュ飛沫がレンズ基材の他方の表面に付着するのを抑制する観点で、レンズ基材の他方の表面の少なくとも周縁部分を含むことが好ましく、さらに、プラスチックレンズの温度勾配を効率よく抑制し、且つ、光硬化性組成物のスプラッシュ飛沫がレンズ基材の他方の表面に付着するのを抑制する観点で、レンズ基材の他方の表面の全面であることがより好ましい。
(放熱シート)
放熱シートとしては、金属化合物及び金属の少なくともいずれかを含むものである限り、特に制限はなく、例えば、樹脂、無機化合物、その他の成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
放熱シートは、粘着層と粘着層上に形成された放熱層(金属層)との2層構造であってもよく、金属化合物及び金属の少なくともいずれかを含む放熱層の1層構造であってもよく、金属化合物粒子及び金属粒子の少なくともいずれかと樹脂とを含む放熱層の1層構造であってもよい。
((金属化合物、金属(単体)))
「金属化合物」は、ビスマス等の「金属単体」を含まず、酸化アルミニウム等の「金属含有化合物」を含む概念である。
金属化合物及び金属の少なくともいずれかの熱伝導率としては、特に制限はないが、好ましくは1.0~500Wm-1-1、より好ましくは10~430Wm-1-1、特に好ましくは15~100Wm-1-1である。上記範囲の下限値以上であると、放熱しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、温度が安定化しやすくなる。
なお、熱伝導率は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
金属化合物及び金属の少なくともいずれかとしては、特に制限はなく、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ビスマス、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、鉛、カドミウム、銅、銀等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、有毒性の観点から、酸化アルミニウムが好ましい。
放熱シートにおける金属化合物及び金属の少なくともいずれかの含有量としては、好ましくは65~100質量%、より好ましくは65~95質量%、特に好ましくは70~85質量%である。上記範囲の下限値以上であると、放熱しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、柔軟性を維持しやすくなる。
((樹脂))
樹脂としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、耐久性の観点から、シリコーン樹脂が好ましい。
なお、これらの樹脂は、通常、放熱層に含まれる。
((無機化合物))
無機化合物としては、例えば、窒化ホウ素等の窒化物、酸化物、炭化物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、熱伝導率の観点から、窒化ホウ素が好ましい。
<塗布工程>
以下、塗布工程について、更に詳細に説明する。
塗布工程は、レンズ基材の一方の表面に光硬化性組成物を塗布する工程である。
上記塗布の方法としては、特に制限はなく、公知の塗布方法を採用することができ、例えば、スピンコート法、ディップコート法等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、塗布の均一性の観点から、スピンコート法が好ましい。
スピンコートにおける最高回転速度としては、特に制限はなく、好ましくは100rpm以上、より好ましくは500~3000rpm、特に好ましくは1000~2500rpmである。上記範囲の下限値以上であると、薄膜化しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、回転が安定しやすくなる。
((光硬化性組成物))
光硬化性組成物としては、特に制限はなく、例えば、上述のプライマー層用組成物、上述のフォトクロミック層用組成物、上述の保護層用組成物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
<光照射工程>
以下、光照射工程について、更に詳細に説明する。
光照射工程は、光硬化性組成物に光照射して硬化被覆層を形成する工程である。
光照射条件は、光硬化性組成物に含まれる各種成分の種類や光硬化性組成物の組成に応じて決定することができる。
上記光照射の強度としては、特に制限はないが、光硬化性組成物の硬化反応の観点から、好ましくは150~350mW/cm、より好ましくは190~310mW/cm、特に好ましくは220~280mW/cmである。
上記光照射の照射時間としては、特に制限はないが、光硬化性組成物の硬化反応の観点から、好ましくは1~180秒、より好ましくは3~120秒、特に好ましくは5~60秒である。
上記光照射の暴露量としては、特に制限はないが、光硬化性組成物の硬化反応の観点から、好ましくは0.1~63.0J/cm、より好ましくは0.5~37.2J/cm、特に好ましくは1.1~16.8J/cmである。
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、例えば、光照射工程後に行うアニール処理工程(加熱処理工程)、塗布工程前の洗浄工程、アルカリ処理工程、プラズマ前処理工程等が挙げられる。
アニール処理の条件としては、特に制限はないが、雰囲気温度90~130℃程度の熱処理炉にて行うことが好ましい。
以下、本開示を実施例により更に説明する。ただし本開示は実施例に示す実施形態に限定されるものではない。
[フォトクロミック層形成用重合性組成物の調製]
以下に示す通り、フォトクロミック層形成用重合性組成物であるフォトクロミック層用組成物1~2を製造した。
(フォトクロミック層用組成物1)
プラスチック製容器内で、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンエーテルトリメタクリレート(分子量1264)65質量部、n-ラウリルメタクリレート(分子量254)5質量部、1、9-ノナンジオールジメタクリレート(分子量296)5質量部、n-ブチルメタクリレート(分子量142)20質量部、ポリ[(3-メタクリロイルオキシプロピル)シルセスキオキサン]誘導体(下記式(6)の構造式で示される化合物)5質量部を混合し、重合性化合物の混合物を得た。こうして得られた重合性化合物の混合物に、フォトクロミック化合物(米国特許第5645767号明細書に記載の下記式(7)の構造式で示されるインデノ縮合ナフトピラン化合物)、光ラジカル重合開始剤(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、IGM Resin B.V.社製、Omnirad819)、酸化防止剤(エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート))、光安定化剤(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートとの混合物)を混合し十分に撹拌した。その後、自転公転方式撹拌脱泡装置で脱泡した。こうして、フォトクロミック層用組成物1を得た。各種成分の含有量は、フォトクロミック層用組成物1 100質量%中、上記重合性化合物の混合物は94.9質量%、フォトクロミック化合物は3.0質量%、光ラジカル重合開始剤は0.3質量%、酸化防止剤は0.9質量%、光安定化剤は0.9質量%である。
・・・(6)
・・・(7)
(フォトクロミック層用組成物2)
プラスチック製容器内で、トリメチロールプロパントリメタクリレート(分子量338)20質量部、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン)(分子量541)35質量部、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ダイセル社製、EBECRYL1830、分子量1500)10質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(数平均分子量532)10質量部、グリシジルメタクリレート(分子量142)10質量部を混合し、重合性化合物の混合物を得た。
こうして得られた重合性化合物の混合物100質量部に対し、フォトクロミック化合物(下記式(8)の構造式で示されるクロメン化合物(A))3質量部、光ラジカル重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ製、CGI-1870)0.6質量部、酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ製、イルガキュア245)5質量部、光安定化剤(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートとの混合物)5質量部を添加して十分に撹拌混合した後、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製KBM503)を攪拌しながら6質量部滴下した。その後、自転公転方式撹拌脱泡装置で2分間脱泡し、ポリエチレングリコールジアクリレート(数平均分子量708)40質量部を追加した。こうして、フォトクロミック層用組成物2を得た。
・・・(8)
[プライマー層形成用重合性組成物の調製]
プラスチック製容器内で、下記構造式(1)で表される化合物を有するヒドロキシ基含有2官能アクリレート(10質量部)、ポリイソシアネート(東ソー社製、コロネート2715)(40質量部)、及び2-フェノキシエチルアクリレート(粘度:13cP)(50質量部)を混合した。こうして得られた混合物に、混合物の全量100質量部に対して0.02質量部の量で光ラジカル重合開始剤(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、IGM Resin B.V.社製、Omnirad819)を添加混合し十分に撹拌した。その後、自転公転方式撹拌脱泡装置で脱泡した。こうして、プライマー層用組成物1を得た。
・・・(1)
[保護層形成用形成用重合性組成物の調製]
プラスチック製容器内で、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(脂環式の2官能(メタ)アクリレート)99.0質量部、光ラジカル重合開始剤(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、IGM Resin B.V.社製、Omnirad819)1.0質量部を混合して十分に撹拌した後、自転公転方式撹拌脱泡装置で脱泡した。こうして保護層用組成物1を得た。
なお、上記保護層用組成物1において、(メタ)アクリレートは脂環式の2官能(メタ)アクリレートのみであるため、脂環式の2官能(メタ)アクリレートの含有量は、全(メタ)アクリレート100質量%中、100質量%である。
[放熱シート1~4の準備]
下記4種の放熱シート1~4を準備した。
(1)放熱シート1:積水化学工業株式会社製PT-CUS(商品名):2層構造(粘着層、放熱層(シリコーン樹脂と酸化アルミニウムの混合物)1.0mm±0.1mm):酸化アルミニウムの熱伝導率37Wm-1-1:放熱シートの熱伝導率2.2Wm-1-1:金属化合物(酸化アルミニウム)含有率85質量%:シリコーン樹脂含有率15質量%
(2)放熱シート2:1層構造(放熱層(金属アロイ1(Bi32.5質量%、In51.0質量%、Sn16.5質量%)層)1.0mm):金属アロイ1(放熱シート)の熱伝導率57Wm-1-1:金属(金属アロイ1)含有率100質量%
(3)放熱シート3:ニラコ製Uアロイ58(商品名):1層構造(放熱層(金属アロイ2(Bi、Pb、Cd、Sn、In)層)1.0mm):金属アロイ2(放熱シート)の熱伝導率16Wm-1-1:金属(金属アロイ2)含有率100質量%
(4)放熱シート4:積水化学工業株式会社製FEATHER-S3S(商品名):2層構造(粘着層、放熱層(シリコーン樹脂と酸化アルミニウムの混合物)0.5mm±0.05mm):酸化アルミニウムの熱伝導率37Wm-1-1:放熱シートの熱伝導率1.4Wm-1-1:金属化合物(酸化アルミニウム)含有率70質量%:シリコーン樹脂含有率30質量%
なお、熱伝導率、金属化合物含有率、及び金属含有率は、下記方法により測定し、放熱シート(放熱層)の厚さは、接触式の市販の厚み測定機を用いて放熱シートの中心部分および周辺部分5か所の厚さの平均値を算出した値である。
<金属化合物及び金属の熱伝導率>
ホットディスク法による熱伝導率測定方法(ISO/CD 22007-2に準ずる)で金属化合物及び金属の熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
<金属化合物含有率及び金属含有率>
蛍光X線分析で金属化合物含有率及び金属含有率を測定した。金属化合物含有率及び金属含有率の合計を表1に示す。
[プラスチックレンズの製造]
(実施例1)
レンズ基材(HOYA社製、HILUX1.67(商品名)、中心部分の厚さ1.0mm、周縁部分の厚さ9.1mm)を10質量%水酸化ナトリウム水溶液(液温60℃)に5分間浸漬処理した後に純水で洗浄し乾燥させた。
次に、レンズ基材の凹面(眼球側表面)の全面を放熱シート1で被覆した。
その後、プライマー層用組成物1を温度25℃、相対湿度50%の環境において、レンズ基材の凸面(物体側表面)にスピンコート法により最高速度2500rpmで塗布した後、レンズ基材上に塗布されたプライマー層用組成物1に対して窒素雰囲気中(酸素濃度500体積ppm以下)、光照射(光の波長:405nm、光照射の強度:250mW/cm、光照射の時間:5秒、光照射の暴露量:1.25J/cm)し、この組成物を硬化させてプライマー層を形成した。形成されたプライマー層の厚さは10μmであった。
上記プライマー層の上に、フォトクロミック層用組成物1をスピンコート法により最高速度1000rpmで塗布した。スピンコートは、特開2005-218994号公報に記載の方法により行った。その後、プライマー層上に塗布された上記フォトクロミック層用組成物1に対して窒素雰囲気中(酸素濃度500体積ppm以下)、光照射(光の波長:405nm、光照射の強度:250mW/cm、光照射の時間:25秒、光照射の暴露量:6.25J/cm)し、この組成物を硬化させてフォトクロミック層を形成した。形成されたフォトクロミック層の厚さは25μmであった。
上記フォトクロミック層の上に、保護層用組成物1をスピンコート法により最高速度1500rpmで塗布して塗布層を形成した。この塗布層の表面に向かって窒素雰囲気中(酸素濃度500体積ppm以下)、光照射(光の波長:405nm、光照射の強度:250mW/cm、光照射の時間:15秒、光照射の暴露量:3.75J/cm)し、この塗布層を硬化させて保護層を形成した。形成された保護層の厚さは15μmであった。
こうして、実施例1のプラスチックレンズを得た。
なお、レンズ基材の中心部分の「厚さ」は、接触式のレンズ中心厚測定機を用いてレンズ基材の中心部分の1か所の厚さを測定、及び周縁部分の「厚さ」はノギスを用いて測定された値である。
(実施例2~4)
実施例1において、放熱シート1の代わりに放熱シート2~4をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例2~4のプラスチックレンズを得た。
(実施例5)
実施例1において、レンズ基材の凹面(眼球側表面)の全面を放熱シート1で被覆する代わりに、レンズ基材の凹面(眼球側表面)の中心部分のみを放熱シート1で被覆したこと(周縁部分は非被覆状態としたこと)以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例5のプラスチックレンズを得た。
(実施例6)
実施例1において、レンズ基材の凹面(眼球側表面)の全面を放熱シート1で被覆する代わりに、レンズ基材の凹面(眼球側表面)の周縁部分のみを放熱シート1で被覆したこと(中心部分は非被覆状態としたこと)以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例6のプラスチックレンズを得た。
(実施例7)
実施例1において、フォトクロミック層用組成物1の代わりにフォトクロミック層用組成物2を用いたこと、プライマー層の厚さを6μmとしたこと、フォトクロミック層の厚さを40μmとしたこと、及び保護層を設けていないこと以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例7のプラスチックレンズを得た。
(比較例1)
実施例1において、レンズ基材の凹面(眼球側表面)を放熱シート1で被覆していないこと以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例1のプラスチックレンズを得た。
(比較例2)
実施例7において、レンズ基材の凹面(眼球側表面)の全面を放熱シート1で被覆する代わりにアクリルプレートを保持体として、テープ(3M社製、Scotch600(商品名))でレンズ基材の凹面(眼球側表面)の全面に5質量%の寒天を充填させて固定した以外は、実施例7と同様の方法にて、比較例2のプラスチックレンズを得た。
(比較例3)
実施例1において、レンズ基材の凹面(眼球側表面)の全面を放熱シート1で被覆する代わりにアクリルプレートを保持体として、テープ(3M社製、Scotch600(商品名))でレンズ基材の凹面(眼球側表面)の全面にシリコーンゴム(信越化学工業社製、KS609(商品名))を充填させて固定した以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例3のプラスチックレンズを得た。
[プラスチックレンズの評価]
得られた各プラスチックレンズを用いて、以下の評価を行った。評価結果は表1に示す。
<温度勾配>
フォトクロミック層組成物の光照射直後の「レンズ基材の中心から半径5mmの部分」と「レンズ基材の中心から半径15mmの部分」との10mmの範囲での温度差を測定した。レンズ基材の温度分布は市販のサーモグラフィカメラで測定した。
測定したプラスチックレンズの温度勾配について、以下の評価基準で評価した。
A:1.00℃/mm以下
B:1.00℃/mm超1.25℃/mm以下
C:1.25℃/mm超1.50℃/mm以下
D:1.50℃/mm超
評価A~Cの場合は、温度勾配が少ないと言える。一方、評価Dの場合は、温度勾配が少ないとは言えない。
<熱変形>
塗布工程前後でのレンズ基材の中心部分(中心から半径5mm以内の部分)の度数変化を「プラスチックレンズの熱変形」とした。度数はトプコン社製CL-300(商品名)を用いて球面屈折率Sと加入度Cの合計S+Cの差を算出した。
測定したプラスチックレンズの熱変形について、以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
A:0.06以下
B:0.06超0.09以下
C:0.09超0.12以下
D:0.12超
評価A~Cの場合は、熱変形が少ないと言える。一方、評価Dの場合は、熱変形が少ないとは言えない。
<飛沫(スプラッシュ)>
レンズ基材の凹面側の周縁部分(中心から半径15mm以上の部分)に付着した塗布時の組成物を目視及び最大倍率10倍での拡大評価を行った。
測定したプラスチックレンズの飛沫(スプラッシュ)について、以下の評価基準で評価した。
A:全く付着物がないレベル
B:最大倍率まで拡大して付着物を確認できるレベル
C:拡大して付着物を確認できるレベル
D:目視のみで付着物を確認できるレベル
評価A~Cの場合は、飛沫(スプラッシュ)抑制効果が大きいと言える。一方、評価Dの場合は、飛沫(スプラッシュ)抑制効果が大きいとは言えない。
表1に示す結果から、実施例1~7のプラスチックレンズは、比較例1~3のプラスチックレンズと比べ、プラスチックレンズの内外周方向における温度勾配を抑制して、熱変形が少ないことが確認できる。
本明細書に記載の各種態様及び各種形態は、任意の組み合わせで2つ以上を組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本開示のプラスチックレンズの製造方法で製造されたプラスチックレンズは、眼鏡、ゴーグル等の技術分野において有用である。
上記眼鏡は、上記プラスチックレンズを備えることにより、例えば屋外ではフォトクロミック層に含まれるフォトクロミック化合物が太陽光の照射を受けて発色することでサングラスのように防眩効果を発揮することができ、屋内に戻るとフォトクロミック化合物が退色することで透過性を回復することができる。
上記眼鏡のフレーム等の構成としては、特に制限はなく、公知技術を適用することができる。

Claims (9)

  1. レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法であって、
    前記レンズ基材の他方の表面の少なくとも一部を放熱シートで被覆する放熱シート被覆工程と、
    前記レンズ基材の一方の表面に光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、
    前記光硬化性組成物に光照射して前記硬化被覆層を形成する光照射工程と、を含み、
    前記放熱シートは金属化合物及び金属の少なくともいずれかを含む、プラスチックレンズの製造方法。
  2. 前記金属化合物及び金属の少なくともいずれかの熱伝導率が1.0~500Wm-1-1である、請求項1に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  3. 前記金属化合物及び金属の少なくともいずれかが、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ビスマス、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、鉛、カドミウム、銅、及び銀からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  4. 前記放熱シートにおける金属化合物及び金属の少なくともいずれかの含有量が65~100質量%である、請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  5. 前記レンズ基材は、中心部分の厚さが2mm未満であり、周縁部分が前記中心部分より厚い、請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  6. 前記中心部分を前記放熱シートで被覆する、請求項5に記載のプラスチックレンズ製造方法。
  7. 前記硬化被覆層が、プライマー層と、フォトクロミック層と、保護層とを有する、請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  8. 前記塗布はスピンコートであり、
    前記スピンコートにおける最高回転速度が100rpm以上である、請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  9. 前記硬化被覆層の厚さが5~100μmである、請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの製造方法。
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