JP2026020108A - 多環芳香族化合物 - Google Patents

多環芳香族化合物

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JP2026020108A JP2025121840A JP2025121840A JP2026020108A JP 2026020108 A JP2026020108 A JP 2026020108A JP 2025121840 A JP2025121840 A JP 2025121840A JP 2025121840 A JP2025121840 A JP 2025121840A JP 2026020108 A JP2026020108 A JP 2026020108A
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琢次 畠山
裕之 田中
大輔 馬場
梨香 久田
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Abstract

【課題】有機電界発光素子等の有機デバイス用材料として有用な化合物の提供。
【解決手段】式(1)で表される構造単位の1つ又は2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物;

(Ra1~Ra3、Rb1~Rb4、Rc1~Rc4は、独立に、H又は置換基;但し、Rc1~Rc4のうち少なくとも1つは、式(1-1)で表される基;Yは、B;X及びXは、独立に、>N-RNX;RNXは置換/非置換のアリール;上記構造における、アリール環及びヘテロアリール環の少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、上記構造におけるHはDで置き換えられていてもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、多環芳香族化合物に関する。本発明は特に、窒素とホウ素を含む多環芳香族化合物に関する。本発明はまた、上記多環芳香族化合物を含む有機デバイス用材料、有機電界発光素子、並びに、表示装置および照明装置に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の1つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わず、これまで活発に研究されてきた。
有機電界発光素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
その中で、特許文献1および2では、ホウ素を含有する多環芳香族化合物が、有機電界発光素子等の材料として有用であることが開示されている。
国際公開第2015/102118号 国際公開第2020/251049号
上述のように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、新規化合物からなる材料の開発が望まれている。
本発明は有機EL素子等の有機デバイス用材料として有用な新規化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討し、特許文献1または2に記載の化合物と類似の構造を有する多環芳香族化合物において、より発光特性に優れる新規多環芳香族化合物の製造に成功した。また、この多環芳香族化合物を含有する層を一対の電極間に配置して有機EL素子を構成することにより、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下のような多環芳香族化合物、さらには以下のような多環芳香族化合物を含む有機デバイス用材料等を提供する。
本発明は、具体的には以下の構成を有する。
<1>式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物;
式(1)中、
a1~Ra3、Rb1~Rb4、Rc1~Rc4は、それぞれ独立して、水素または置換基であり、ただし、Rc1~Rc4のうち少なくとも1つは、式(1-1)で表される基であり;
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、前記Si-Rおよび前記Ge-RのRは置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり;
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N-RNX、>C(-RCX、>Si(-RIX、>S、または>Seであり、RNXは水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、RCXはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCXは互いに結合して環を形成していてもよく、RIXはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRIXは互いに結合して環を形成していてもよく、また、RNX、RCX、およびRIXは、それぞれ連結基または単結合によりRa3またはRb1が結合する炭素の少なくとも1つと結合していてもよく、Ra1またはRc4が結合する炭素の少なくとも1つと結合していてもよく;
式(1-1)中、
*は結合位置を示し;
d1~Rd7はそれぞれ独立して、水素または置換基であり;
前記構造における、アリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択される少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンは少なくとも1つの置換基で置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置き換えられていてもよく;
前記構造において、少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの窒素は窒素-15(15N)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの硫黄は硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)または硫黄-36(36S)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの酸素は酸素-17(17O)または酸素-18(18O)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの炭素は炭素-13(13C)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つのホウ素はホウ素-11(11B)で置き換えられていてもよい。
<2>XおよびXが、いずれも>N-RNXである、<1>に記載の多環芳香族化合物。
<3>RNXがそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のフェニル、置換もしくは無置換のビフェニリル、置換もしくは無置換のテルフェニリル、置換もしくは無置換のジベンゾフラニル、または置換もしくは無置換のカルバゾリルであり、RNX中のアリール環またはヘテロアリール環は少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい、<1>または<2>に記載の多環芳香族化合物。
<4>前記YはBである、<1>~<3>のいずれかに記載の多環芳香族化合物。
<5>Ra1~Ra3がそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換シリルである、<1>~<4>のいずれかに記載の多環芳香族化合物。
<6>Ra1およびRa3がいずれも水素であり、Ra2が水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換シリルである、<5>に記載の多環芳香族化合物。
<7>Rb1~Rb4のうち、Rb2またはRb3が置換基であり、Rb1およびRb4がいずれも独立して水素であるか、またはRb2およびRb3が互いに結合して式(B11)または式(B12)で表される部分構造を形成し、かつRb1およびRb4がそれぞれ水素である、<1>~<6>のいずれかに記載の多環芳香族化合物;
式(B11)および式(B12)の各中、Meはメチルであり、*は結合位置を示す。
<8>Rb1~Rb4のうち、Rb2が置換もしくは無置換のジアリールアミノである、<1>~<7>のいずれかに記載の多環芳香族化合物。
<9>Rc2およびRc3のうち少なくとも1つは、式(1-1)で表される基である、<1>~<8>のいずれかに記載の多環芳香族化合物。
<10>式(1-1)中、Rd1~Rd7がそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、または無置換のアルキルである、<1>~<9>のいずれかに記載の多環芳香族化合物。
<11>式(1-1)中、Rd1~Rd3、Rd5~Rd7がいずれも水素であり、Rd4が水素、置換もしくは無置換のアリール、または無置換のアルキルである、<10>に記載の多環芳香族化合物。
<12> 以下のいずれかの式で表される、<1>に記載の多環芳香族化合物;
式中、Meはメチル、tBuはt-ブチル、Dは重水素である。
<13><1>~<12>のいずれかに記載の多環芳香族化合物を含有する、有機デバイス用材料。
<14>陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層とを含み、前記発光層が<1>~<12>のいずれかに記載の多環芳香族化合物を含有する、有機電界発光素子。
<15>前記発光層が、ホストと、ドーパントとしての前記多環芳香族化合物とを含む、<14>に記載の有機電界発光素子。
<16>前記ホストが、アントラセン化合物、フルオレン化合物、またはジベンゾクリセン化合物である、<15>に記載の有機電界発光素子。
<17><14>~<16>のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
本発明により、有機電界発光素子等の有機デバイス用材料として有用な新規多環芳香族化合物が提供される。本発明の多環芳香族化合物は有機電界発光素子等の有機デバイスの製造に用いることができる。
有機電界発光素子の一例を示す概略断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において構造式の説明における「水素」は「水素原子(H)」を意味する。同様に「炭素原子(C)」を「炭素」ということがある。
本明細書において、「隣接する基」というときは、構造式中で隣接する2つの原子(共有結合で直接結合する2つの原子)にそれぞれ結合している2つの基を意味する。
本明細書において「Me」はメチル、「Et」はエチル、「nBu」はn-ブチル(ノルマルブチル)、「tBu」はt-ブチル(ターシャリーブチル)、「iBu」はイソブチル、「secBu」はセカンダリーブチル、「nPr」はn-プロピル(ノルマルプロピル)、「iPr」はイソプロピル、「tAm」はt-アミル、「2EH」は2-エチルヘキシル、「tOct」はt-オクチル、「Ph」はフェニル、「Mes」はメシチル(2,4,6-トリメチルフェニル)、「Ad」は1-アダマンチル、「Tf」はトリフルオロメタンスルホニル、「TMS」はトリメチルシリル、「D」は重水素を表す。
本明細書において、有機電界発光素子を「有機EL素子」ということがある。
本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
本明細書では芳香族化合物の構造式について多数記載している。芳香族化合物は二重結合と単結合を組み合わせて記載しているが、実際にはπ電子が共鳴しているため単一の物質についても、二重結合と単結合が交互に入れ替わるなどする等価な共鳴構造が複数存在する。本明細書においては1つの物質につき1つの共鳴構造式しか記載しないが、特に断らない限りは、有機化学的に等価であるその他の共鳴構造式も含まれているものとする。
なお、本明細書では「~していてもよい」という表現をすることがあるが、「~していないか、または~している」と同じ意味である。
<環および置換基の説明>
まず、本明細書において使用する環および置換基の詳細について以下で説明する。
本明細書における「アリール環」としては、例えば、炭素数6~30のアリール環があげられ、炭素数6~16のアリール環が好ましく、炭素数6~12のアリール環がより好ましく、炭素数6~10のアリール環が特に好ましい。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、インデン環、三環系であるテルフェニル環(m-テルフェニル、o-テルフェニル、p-テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、クリセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。また、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、インデン環には、それぞれフルオレン環、ベンゾフルオレン環、シクロペンタン環などがスピロ結合した構造も含まれる。なお、フルオレン環、ベンゾフルオレン環およびインデン環には、その構造中のメチレンの2つの水素のうちの2つがそれぞれ後述の第1の置換基としてのメチルなどのアルキルに置き換わって、ジメチルフルオレン環、ジメチルベンゾフルオレン環、ジメチルインデン環などとなっているものも含まれる。
本明細書における「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2~25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2~20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリール環が特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄、窒素、ホウ素、セレン、リン、テルルから選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環(フラザン環など)、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環、ジベンゾインドロカルバゾール環、ナフトベンゾフラン環、ジオキシン環、ジヒドロアクリジン環、キサンテン環、チオキサンテン環、ジベンゾジオキシン環、ジオキサボラナフトアントラセン環(5,9-ジオキサ-13b-ボラ-13bH-ナフト[3,2,1-de]アントラセン環など)、ベンゾセレノフェン環、ジベンゾセレノフェン環、アザカルバゾール環、アザジベンゾチオフェン環、アザジベンゾフラン環、アザジベンゾセレノフェン環、アザトリフェニレン環、イミダゾイミダゾール環、インドロインドール環、ベンゾフロカルバゾール環、ベンゾチエノカルバゾール環、インデノカルバゾール環およびセレノフェノカルバゾール環、スピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]環、スピロビ[シラフルオレン]環などがあげられる。また、ジヒドロアクリジン環、キサンテン環、チオキサンテン環は、その構造中のメチレンの2つの水素のうちの2つがそれぞれ後述の第1の置換基としてのメチルなどのアルキルに置き換わって、ジメチルジヒドロアクリジン環、ジメチルキサンテン環、ジメチルチオキサンテン環などとなっているものも好ましい。また二環系であるビピリジン環、フェニルピリジン環、ピリジルフェニル環、三環系であるテルピリジル環、ビスピリジルフェニル環、ピリジルビフェニル環も「ヘテロアリール環」としてあげられる。また、「ヘテロアリール環」にはピラン環も含まれるものとする。
本明細書において、置換基は、さらなる置換基で置換されていることがある。例えば、特定の置換基に関して、「置換もしくは無置換の」と説明がされることがある。これはその特定の置換基が少なくとも1つのさらなる置換基で置換されているか、または置換されていないことを意味する。同様の意味で「置換されていてもよい」ということもある。本明細書において、このときの上記特定の置換基を「第1の置換基」、上記のさらなる置換基を「第2の置換基」ということがある。
本明細書において、置換基群Zαは、置換基群Zの置換基および後述の式(A30)で表される置換基からなる。
本明細書において、置換基群Zは、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアリール、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいヘテロアリール、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいジアリールアミノ(2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールとは互いに連結基を介して結合していてもよい)、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアルキル、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいシクロアルキル、
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアルコキシ、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアリールオキシ、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアリールチオ、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアルケニル、
置換シリル、シアノ、ならびにハロゲンからなる。
置換基群Zの各基における第2置換基であるアリールは、さらにアリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、またはハロゲンで置換されていてもよい、同様に、第2置換基であるヘテロアリールはアリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、またはハロゲンで置換されていてもよい。
本明細書において、「置換基」という場合、置換基の種類は特に限定されないが、特に別途の説明がないときは、置換基群Zから選択されるいずれかの基であればよい。例えば、「置換もしくは無置換の」とされる基が置換されているとき、当該基は置換基群Zから選択される少なくとも1つの基で置換されていればよい。
本明細書において、「アリール」は、例えば炭素数6~30のアリールであり、好ましくは、炭素数6~20のアリール、炭素数6~16のアリール、炭素数6~12のアリール、または炭素数6~10のアリールなどである。
具体的な「アリール」は、上述した「アリール環」から1つの水素を除いた1価の基があげられる。例えば、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル(2-ビフェニリル、3-ビフェニリル、もしくは4-ビフェニリル)、縮合二環系であるナフチル(1-ナフチルもしくは2-ナフチル)、三環系であるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、もしくはp-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系である、アセナフチレン-(1-、3-、4-、もしくは5-)イル、フルオレン-(1-、2-、3-、4-、もしくは9-)イル、フェナレン-(1-もしくは2-)イル、フェナントレン-(1-、2-、3-、4-、もしくは9-)イル、もしくはアントラセン-(1-、2-、もしくは9-)イル、四環系であるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、もしくはm-クアテルフェニル)、縮合四環系である、トリフェニレン-(1-もしくは2-)イル、ピレン-(1-、2-、もしくは4-)イル、もしくはナフタセン-(1-、2-、もしくは5-)イル、または、縮合五環系である、ペリレン-(1-、2-、もしくは3-)イル、もしくはペンタセン-(1-、2-、5-、もしくは6-)イルなどである。その他、スピロフルオレンの1価の基などがあげられる。
なお、第2置換基としてのアリールには、当該アリールが、フェニルなどのアリール(具体例は上述した基)、メチルなどのアルキル(具体例は後述する基)、およびシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどのシクロアルキル(具体例は後述する基)からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換された構造も含まれる。
その一例としては、第2置換基としてのフルオレニルの9位が、フェニルなどのアリール、メチルなどのアルキル、またはシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどのシクロアルキルで置換された基があげられる。
「アリーレン」は、例えば炭素数6~30のアリーレンであり、好ましくは、炭素数6~20のアリーレン、炭素数6~16のアリーレン、炭素数6~12のアリーレン、または炭素数6~10のアリーレンなどである。
具体的な「アリーレン」は、例えば、上述した「アリール」(1価の基)から1つの水素を除いた2価の基があげられる。
「ヘテロアリール」は、例えば炭素数2~30のヘテロアリールであり、好ましくは、炭素数2~25のヘテロアリール、炭素数2~20のヘテロアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、または炭素数2~10のヘテロアリールなどである。「ヘテロアリール」は、環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄、および窒素等から選ばれるヘテロ原子を、1個以上、好ましくは1~5個含有する。
具体的な「ヘテロアリール」としては、上述した「ヘテロアリール環」から1つの水素を除いた1価の基があげられる。例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェナントロリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、ナフトベンゾチエニル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、フラザニル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリル、ジベンゾインドロカルバゾリル、イミダゾリニル、またはオキサゾリニルなどである。その他、スピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]の1価の基、スピロビ[シラフルオレン]の1価の基、ベンゾセレノフェンの1価の基があげられる。
なお、第2置換基としてのヘテロアリールには、当該ヘテロアリールが、フェニルなどのアリール(具体例は上述した基)、メチルなどのアルキル(具体例は後述する基)およびシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどのシクロアルキル(具体例は後述する基)からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換された構造も含まれる。
その一例としては、第2置換基としてのカルバゾリルの9位が、フェニルなどのアリール、メチルなどのアルキル、またはシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどのシクロアルキルで置換された基があげられる。また、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、カルバゾリルなどの含窒素ヘテロアリールがさらにフェニルまたはビフェニリルなどで置換された基も第2置換基としてのヘテロアリールに含まれる。
「ヘテロアリーレン」は、例えば炭素数2~30のヘテロアリーレンであり、好ましくは、炭素数2~25のヘテロアリーレン、炭素数2~20のヘテロアリーレン、炭素数2~15のヘテロアリーレン、または炭素数2~10のヘテロアリーレンなどである。また、「ヘテロアリーレン」は、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄、および窒素から選ばれるヘテロ原子を1~5個含有する複素環などの2価の基である。
具体的な「ヘテロアリーレン」は、例えば、上述した「ヘテロアリール」(1価の基)から1つの水素を除いた2価の基があげられる。
「ジアリールアミノ」は、2つのアリールが置換したアミノであり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。
「ジヘテロアリールアミノ」は、2つのヘテロアリールが置換したアミノ基であり、このヘテロアリールの詳細については上述した「ヘテロアリール」の説明を引用できる。
「アリールヘテロアリールアミノ」は、アリールおよびヘテロアリールが置換したアミノ基であり、このアリールおよびヘテロアリールの詳細については上述した「アリール」および「ヘテロアリール」の説明を引用できる。
第1の置換基としてのジアリールアミノにおける2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、第1の置換基としてのジヘテロアリールアミノにおける2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、第1の置換基としてのアリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい。ここで、「連結基を介して結合」という記載は、下記に示すように例えばジフェニルアミノの2つのフェニルが連結基で結合を形成することを表す。またこの説明はアリールやヘテロアリールで形成された、ジヘテロアリールアミノおよびアリールヘテロアリールアミノについても適用される。
連結基としては具体的には、>O、>N-R、>C(-R、-C(-R)=C(-R)-、>Si(-R、>S、>CO、>CS、>SO、>SO、>SeO、>SeO、>PO、>B(-R)、および>Seがあげられる。Rはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールで置換されていてもよい。また、>C(-R、-C(-R)=C(-R)-、>Si(-Rそれぞれにおける2つのRは、単結合または連結基Xを介して互いに結合して環を形成してもよい。Xとしては>O、>N-R、>C(-R、>Si(-R、>S、>CO、>CS、>SO、>SO、および>Seがあげられ、Rはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールで置換されていてもよい。ただし、Xが>C(-Rおよび>Si(-Rの場合には、2つのRは結合してさらに環を形成することはない。さらに連結基としては、アルケニレンもあげられる。該アルケニレンの任意の水素はそれぞれ独立してR2Xで置換されていてもよく、R2Xはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、置換シリル、アリールおよびヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、置換シリル、アリールで置換されていてもよい。-C(-R)=C(-R)-における2つのRは、互いに結合してそれらが結合するC=Cとともにアリール環(ベンゼン環など)またはヘテロアリール環を形成していてもよい。すなわち、-C(-R)=C(-R)-は、アリーレン(1,2-フェニレンなど)またはヘテロアリーレンとなっていてもよい。
なお、本明細書で単に「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、または「アリールヘテロアリールアミノ」と記載されている場合は、特に断りがない限りは、それぞれ「ジアリールアミノの2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい」、「前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい」および「前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい」という説明が加わっているものであるとする。
「ジアリールボリル」は、2つのアリールが置換したボリルであり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。また、この2つのアリールは、単結合または連結基(例えば、-CH=CH-、-CR=CR-、-C≡C-、>N-R、>O、>S、>CO、>C=S、>S=O、>S(=O)、>Se(=O)、>Se(=O)、>P(=O)、>B(-R)、>C(-R)、>Si(-R)、または>Se)を介して結合していてもよい。ここで、前記-CR=CR-のR、>N-RのR、>B(-R)のR、>C(-R)のR、および>Si(-R)のRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、当該Rにおける少なくとも1つの水素は、さらにアリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルで置換されていてもよい。また、隣接する2つのR同士が結合して環を形成し、シクロアルキレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンを形成していてもよい。ここで列挙した置換基の詳細については、上述した「アリール」、「アリーレン」、「ヘテロアリール」、「ヘテロアリーレン」、および「ジアリールアミノ」の説明、ならびに、後述する「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」、「シクロアルキレン」、「アルコキシ」、および「アリールオキシ」の説明を引用できる。また、本明細書で単に「ジアリールボリル」と記載されている場合は、特に断りがない限りは、「ジアリールボリルの2つのアリールは互いに単結合または連結基を介して結合していてもよい」という説明が加わっているものであるとする。
「アルキル」は、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルであり、好ましくは、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)、炭素数1~5のアルキル(炭素数3~5の分岐鎖アルキル)、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)などである。
具体的な「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-エチル-1,2,2-トリメチルプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-エチルブチル、1,1-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1-ジエチルブチル、1-エチル-1-メチルブチル、1-プロピル-1-メチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、1-エチル-1,3-ジメチルブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル(t-アミル)、1-メチルペンチル、2-プロピルペンチル、1,1-ジメチルペンチル、1-エチル-1-メチルペンチル、1-プロピル-1-メチルペンチル、1-ブチル-1-メチルペンチル、1,1,4-トリメチルペンチル、n-ヘキシル、1-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル、1,1-ジメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルヘキシル、1,1,5-トリメチルヘキシル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-ヘプチル、1-メチルヘプチル、1-ヘキシルヘプチル、1,1-ジメチルヘプチル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、n-オクチル、t-オクチル(1,1,3,3-テトラメチルブチル)、1,1-ジメチルオクチル、n-ノニル、n-デシル、1-メチルデシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、またはn-エイコシルなどである。
「アルキレン」は、「アルキル」のいずれかの水素を除いて得られる2価の基であり、例えばメチレン、エチレン、プロピレンである。
「アルケニル」については、上述した「アルキル」の説明を参考にすることができ、「アルキル」の構造中のC-C単結合をC=C二重結合に置換した基であり、1つだけでなく2つ以上の単結合が二重結合に置換された基(アルカジエン-イルやアルカトリエン-イルとも呼ばれる)も含める。
「アルケニル」として具体的には、炭素数2~30のアルケニルがあげられ、炭素数2~20のアルケニルが好ましく、炭素数2~10のアルケニルがより好ましく、炭素数2~6のアルケニルがさらに好ましく、炭素数2~4のアルケニルが特に好ましい。好ましいアルケニルは、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、または5-ヘキセニルである。
「アルケニレン」は「アルケニル」のいずれかの水素を除いて得られる2価の基であり、例えばビニレンがあげられる。
「アルキニル」については、上述した「アルキル」の説明を参考にすることができ、「アルキル」の構造中のC-C単結合をC≡C三重結合に置換した基であり、1つだけでなく2つ以上の単結合が三重結合に置換された基(アルカジイン-イルやアルカトリイン-イルとも呼ばれる)も含める。
「シクロアルキル」は、例えば炭素数3~24のシクロアルキルであり、好ましくは、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数3~12のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、または炭素数5のシクロアルキルなどである。
具体的な「シクロアルキル」は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、もしくはこれらの炭素数1~5や炭素数1~4のアルキル(特にメチル)置換体、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、またはデカヒドロアズレニルなどである。
「シクロアルキレン」は、例えば炭素数3~24のシクロアルキレンであり、好ましくは、炭素数3~20のシクロアルキレン、炭素数3~16のシクロアルキレン、炭素数3~14のシクロアルキレン、炭素数3~12のシクロアルキレン、炭素数5~10のシクロアルキレン、炭素数5~8のシクロアルキレン、炭素数5~6のシクロアルキレン、または炭素数5のシクロアルキレンなどである。
具体的な「シクロアルキレン」は、例えば、上述した「シクロアルキル」(1価の基)から1つの水素を除いて2価の基にした構造があげられる。
「シクロアルケニル」は、上述した「シクロアルキル」における少なくとも1組の2つの炭素の間の単結合が二重結合となった構造を有する基(例えば、-CH-CH-が-CH=CH-に置き換わった基)であって、アリールに該当しない基があげられる。具体的には、1-シクロヘキセニル、1-シクロペンテニル等があげられる。
「アルコキシ」は、「Alk-O-(Alkはアルキル)」で表される基であり、このアルキルの詳細については上述した「アルキル」の説明を引用できる。
「アリールオキシ」は、「Ar-O-(Arはアリール)」で表される基であり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。
「アリールチオ」は、「Ar-S-(Arはアリール)」で表される基であり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。
「置換シリル」は、例えば、アリール、アルキル、およびシクロアルキルの少なくとも1つで置換されたシリルであり、好ましくは、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、またはアルキルジシクロアルキルシリルである。
「トリアリールシリル」は、3つのアリールで置換されたシリル基であり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。
具体的な「トリアリールシリル」は、例えば、トリフェニルシリル、ジフェニルモノナフチルシリル、モノフェニルジナフチルシリル、またはトリナフチルシリルなどである。
「トリアルキルシリル」は、3つのアルキルで置換されたシリル基であり、このアルキルの詳細については上述した「アルキル」の説明を引用できる。
具体的な「トリアルキルシリル」は、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリn-プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリn-ブチルシリル、トリイソブチルシリル、トリs-ブチルシリル、トリt-ブチルシリル、エチルジメチルシリル、n-プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、n-ブチルジメチルシリル、イソブチルジメチルシリル、s-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、n-プロピルジエチルシリル、イソプロピルジエチルシリル、n-ブチルジエチルシリル、s-ブチルジエチルシリル、t-ブチルジエチルシリル、メチルジn-プロピルシリル、エチルジn-プロピルシリル、n-ブチルジn-プロピルシリル、s-ブチルジn-プロピルシリル、t-ブチルジn-プロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、エチルジイソプロピルシリル、n-ブチルジイソプロピルシリル、s-ブチルジイソプロピルシリル、またはt-ブチルジイソプロピルシリルなどである。
「トリシクロアルキルシリル」は、3つのシクロアルキルで置換されたシリル基であり、このシクロアルキルの詳細については上述した「シクロアルキル」の説明を引用できる。
具体的な「トリシクロアルキルシリル」は、例えば、トリシクロペンチルシリルまたはトリシクロヘキシルシリルなどである。
「ジアルキルシクロアルキルシリル」は、2つのアルキルおよび1つのシクロアルキルで置換されたシリル基であり、このアルキルおよびシクロアルキルの詳細については上述した「アルキル」および「シクロアルキル」の説明を引用できる。
「アルキルジシクロアルキルシリル」は、1つのアルキルおよび2つのシクロアルキルで置換されたシリル基であり、このアルキルおよびシクロアルキルの詳細については上述した「アルキル」および「シクロアルキル」の説明を引用できる。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素、または臭素、より好ましくはフッ素または塩素であり、フッ素がさらに好ましい。
なお、シアノまたはハロゲンが置換するとき、構造中のアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素がシアノまたはハロゲンで置き換えられた態様も好ましい。
式(A30)で表される置換基は以下の構造を有する。
式(A30)中、
Akは水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のシクロアルキルまたは置換もしくは無置換のシクロアルケニルであり、当該アルキル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルにおける少なくとも1つの-CH-は-O-または-S-で置き換えられていてもよく、
Akは、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキルまたは置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、RAkは連結基または単結合によりAkと結合していてもよく、*は結合位置である。
式(A30)中、Akが上記の置換基であることによりN上の非共有電子対と共役しないため、非共有電子対を結合先のπ電子と共役させることができ、同位置にアリール等がある場合と比べてより大きな波長変更が可能である。また、多重共鳴効果への影響についても同様であり、熱活性型遅延蛍光(TADF)性のより大きな改善が可能である。
Akはアルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであることが好ましく、アルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであることがより好ましく、アルキルで置換されていてもよいアリールであることがさらに好ましく、メチルで置換されていてもよいフェニルであることが特に好ましい。
式(A30)中、Akは炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであることが好ましく、炭素数1~4のアルキルまたは炭素数3~8のシクロアルキルであることが好ましく、炭素数1~4のアルキルであることがより好ましく、メチルであることがさらに好ましい。
AkとAkとは、同じであっても異なっていてもよく、異なっていることが好ましい。
Akは連結基または単結合によりAkと結合していてもよい。このときの連結基としては>O、>Sまたは>Si(-R)などがあげられる。>Si(-R)のRは、水素、炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルである。RAkが連結基または単結合によりAkと結合した構造の例としては以下があげられる。
上記各式中、*は結合位置である。
[同一の原子に結合する2つの基が互いに結合する場合]
本明細書において同一の原子に結合する2つの基について互いに結合して環を形成していてもよいという場合、単結合または連結基(これらをまとめて結合基ともいう)により結合していればよく、連結基としては、-CH-CH-、-CHR-CHR-、-CR-CR-、-CH=CH-、-CR=CR-、-C≡C-、-N(-R)-、-O-、-S-、-C(-R)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-Se(=O)-、-Se(=O)-、-P(=O)-、-B(-R)-、-Si(-R)-、または-Se-があげられ、例えば以下の構造があげられる。なお、前記-CHR-CHR-のR、-CR-CR-のR、-CR=CR-のR、-N(-R)-のR、-C(-R)-のR、-B(-R)-のR、および-Si(-R)-のRは、それぞれ独立して、水素、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、シクロアルキルで置換されていてもよいアルキル、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアルケニル、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアルキニル、またはアルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいシクロアルキルである。また、隣接する2つのR同士が結合して環を形成し、シクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンを形成していてもよい。
結合基としては、単結合、連結基としての-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、-S-、-C(-R)-、-Si(-R)-、および-Se-が好ましく、単結合、連結基としての-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、-S-、および-C(-R)-がより好ましく、単結合、連結基としての-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、および-S-がさらに好ましく、単結合が最も好ましい。
結合基により2つのRが結合する位置は、結合可能な位置であれば特に限定されないが、最も隣接する位置で結合することが好ましく、例えば2つの基がフェニルである場合、フェニルにおける「C」や「Si」の結合位置(1位)を基準としてオルト(2位)の位置同士で結合することが好ましい(上記構造式を参照)。
<立体異性体等>
本発明の多環芳香族化合物は置換基の種類等によって、エナンチオマーまたはジアステレオマーが存在し得るが、記載されている構造式にかかわらず、いずれの純粋な形態の任意の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含されるものとする。
<1.多環芳香族化合物>
<全体構造>
芳香環をホウ素、窒素、酸素、硫黄などのヘテロ元素で連結した多環芳香族化合物は、大きなHOMO-LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)を有することがすでに見出されている。これは、ヘテロ元素を含む6員環は芳香族性が低く、共役系の拡張に伴うHOMO-LUMOギャップの減少が抑制されたことが原因である。また、ヘテロ元素の種類および連結方法に応じてHOMO-LUMOギャップを任意に変更できることを見出した。これは、ヘテロ元素の空軌道またはローンペアの空間的広がりおよびエネルギーに応じてHOMO、LUMOのエネルギーを任意に動かせることが原因となっていると考えられる。
これらの多環芳香族化合物は、ヘテロ元素の電子的な摂動により励起状態のSOMO1およびSOMO2が各原子上に局在化することで、蛍光発光ピークの半値幅が狭く、有機EL素子のドーパントとして利用した場合に高い色純度の発光が得られる。同様の理由でΔES1T1が小さくなって熱活性型遅延蛍光を示し、有機EL素子のエミッティングドーパントとして利用した場合に高い効率を得ることができる。
さらには、置換基の導入により、HOMOとLUMOのエネルギーを任意に動かすことができるため、イオン化ポテンシャルや電子親和力を周辺材料に応じて最適化することが可能である。
本発明では、特に、ベンゼン環等の芳香環をホウ素、窒素などのヘテロ元素で連結した多環芳香族化合物であって、特定の位置に置換基を有する式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物が、類似の構造の多環芳香族化合物と比較して、より長寿命の有機電界発光素子の製造を可能とすることを見出した。
本発明の多環芳香族化合物は式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する。なお、本明細書において、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物を、「式(1)で表される構造単位を含む多環芳香族化合物」ということがある。
式(1)中、Rc1~Rc4のうち少なくとも1つは、式(1-1)で表される基であり、その他は水素または置換基である。
各式中の記号の詳細を以下で説明する。
<Rc1~Rc4
式(1)において、Rc1~Rc4のうち少なくとも1つは、式(1-1)で表される基であり、その他は水素または置換基である。本発明者らは、Rc1~Rc4に少なくとも1つの式(1-1)で表される基を導入することにより、より高効率の素子の製造を可能とする化合物が得られることを見出した。
c1~Rc4のうち1つが、式(1-1)で表される基であり、その他の3つが水素または重水素であることがより好ましい。Rc1~Rc4のうち、Rc1、Rc2またはRc3が置換基であることが好ましく、Rc2またはRc3が置換基であることがより好ましく、Rc3が置換基であることが特に好ましい。
c1~Rc4がそれぞれ置換基であるときの置換基としては、置換基群Zαより選択される少なくとも1つの置換基があげられ、置換基群Zより選択される少なくとも1つの置換基が好ましく、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールがより好ましく、アルキル、またはアルキルで置換されていてもよいアリールがさらに好ましく、t-ブチル、またはメチルもしくはt-ブチルで置換されていてもよいフェニルが特に好ましい。ただし、Rc1~Rc4のうち、少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリールまたは置換もしくは無置換のヘテロアリールであることが好ましい。このとき、少なくとも1つは、アルキルで置換されていてもよいアリールであることがより好ましく、メチルもしくはt-ブチルで置換されていてもよいフェニルであることがさらに好ましい。置換基中のアリール環またはヘテロアリール環が後述するようにシクロアルカンで縮合されている構造も好ましい。このとき、特に、後述する式(B11)または式(B12)で表される部分構造が形成されている構造が好ましい。
<Ra1~Ra3
式(1)において、Ra1~Ra3はそれぞれ独立して、水素、または置換基である。
a1~Ra3が置換基であるときの置換基としては、置換基群Zαより選択される少なくとも1つの置換基があげられ、置換基群Zより選択される少なくとも1つの置換基が好ましく、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、または置換シリルがより好ましく、置換もしくは無置換のアルキル、
置換もしくは無置換のアリール、または置換シリルがさらに好ましく、メチル、t-ブチル、トリフェニルメチル、置換もしくは無置換のフェニル、またはトリフェニルシリルが特に好ましい。後述の好ましい置換基の例も参照することができる。Ra1~Ra3のうちの複数が置換基であるときの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
a1およびRa3がいずれも水素であり、Ra2が水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換シリルであることが好ましく、Ra2がt-ブチル、メチル、トリフェニルメチル、置換もしくは無置換のフェニル、またはトリフェニルシリルであることがより好ましく、Ra2がt-ブチル、またはt-ブチルで置換もしくは無置換のフェニルであることがさらに好ましい。
<Rb1~Rb4
式(1)において、Rb1~Rb4はそれぞれ独立して、水素または置換基である。
b1~Rb4が置換基であるときの置換基としては、置換基群Zαより選択される少なくとも1つの置換基があげられ、置換基群Zより選択される少なくとも1つの置換基が好ましく、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、または置換もしくは無置換のジアリールアミノがより好ましい。後述の好ましい置換基の例も参照することができる。Rb1~Rb4のうちの複数が置換基であるときの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
b1~Rb4においては、Rb2またはRb3が水素または置換基であり、かつその他がそれぞれ水素であることが好ましく、Rb2またはRb3が置換基であり、かつその他がそれぞれ水素であることがより好ましい。Rb2またはRb3が置換基であるときの置換基としては、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、または置換もしくは無置換のジアリールアミノが好ましく、t-ブチル、置換もしくは無置換のジフェニルアミノ、置換もしくは無置換のN-フェニル-(1-、もしくは2-)ナフチルアミノ、または置換もしくは無置換のカルバゾリルがより好ましく、t-ブチルまたはt-ブチルもしくはフェニルで置換されていてもよいジフェニルアミノがさらに好ましい。また、Rb2およびRb3が互いに結合してそれらが結合している炭素原子とともにシクロアルケンを形成している構造も好ましい。この構造はアリール環であるb環にシクロアルカンが縮合した構造に該当する。特に、Rb2およびRb3が互いに結合して後述する式(B11)または式(B12)で表される部分構造を形成した構造が好ましい例としてあげられる。
<Y
式(1)中、Yは、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RYI、またはGe-RYGであり、RYIおよびRYGはそれぞれ置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルである。RYIおよびRYGとしては特に炭素数6~10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数1~5のアルキル(例えばメチル、エチルなど)または炭素数5~10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。
は、B、P=O、またはP=Sが好ましく、Bがより好ましい。
<XおよびX
式(1)におけるXおよびXは、それぞれ独立して、>O、>N-RNX、>C(-RCX、>Si(-RIX、>S、または>Seである。
NXは水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルである。RNXは置換もしくは無置換のアリールまたは置換もしくは無置換のヘテロアリールであることが好ましい。
CXはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCXは互いに結合して環を形成していてもよい。RCXはメチルまたはフェニルであることが好ましい。
IXはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRIXは互いに結合して環を形成していてもよい。RIXは置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、または置換もしくは無置換のアルキルが好ましく、置換もしくは無置換のフェニルまたはメチルがより好ましい。
およびXは、いずれも>N-RNXであることが好ましく、このとき、RNXはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであることが好ましく、置換もしくは無置換のフェニル、置換もしくは無置換のナフチル、置換もしくは無置換のビフェニリル、置換もしくは無置換のテルフェニリル、置換もしくは無置換のクアテルフェニリル、置換もしくは無置換のジベンゾフラニル、置換もしくは無置換のジベンゾチエニル、置換もしくは無置換のフルオレニル、または置換もしくは無置換のカルバゾリルであることが好ましく、置換もしくは無置換のフェニル、置換もしくは無置換のビフェニリル、置換もしくは無置換のテルフェニリル、置換もしくは無置換のジベンゾフラニル、または置換もしくは無置換のカルバゾリルであることがより好ましく、置換もしくは無置換のフェニル、置換もしくは無置換のビフェニリル、または置換もしくは無置換のジベンゾフラニルであることがさらに好ましく、アリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいフェニル、アリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいビフェニリル、またはアルキルもしくはシクロアルキルで置換、もしくは無置換のジベンゾフラニルであることが一層好ましく、メチル、t-ブチル、もしくはシクロアルキルで置換されていてもよいフェニル、またはメチル、t-ブチル、もしくはシクロアルキルで置換されていてもよい2-ビフェニリルであることがより一層好ましい。RNXの選択より、耐熱性がより高く、より長寿命の有機EL素子を実現できる化合物を得ることができる。
NX中のアリール環またはヘテロアリール環が後述するようにシクロアルカンで縮合されている構造も好ましい。このとき、特に、後述する式(B11)または式(B12)で表される部分構造が形成されている構造が好ましい。
およびXがいずれも>N-RNXであるとき、2つのRNXは同一でも異なっていてもよい。
<XまたはXと環との結合による環構造の変化の説明>
およびXの少なくとも1つにおけるRNX、RCX、およびRIXは、それぞれ連結基または単結合によりRa3またはRb1が結合する炭素の少なくとも1つと結合していてもよく、Ra1またはRc4が結合する炭素の少なくとも1つと結合していてもよい。「Ra3またはRb1が結合する炭素」および「Ra1またはRc4が結合する炭素」とは、Ra1、Ra3、Rb1及びRc4が結合している環の炭素を意味する。結果として、前記の結合時に連結基または単結合は、Ra1、Ra3、Rb1及びRc4中少なくとも1つを代替する。
NX、RCXおよびRIXがそれぞれ環と結合する場合の連結基としては、-CH-CH-、-CHR-CHR-、-CR-CR-、-CH=CH-、-CR=CR-、-C≡C-、-N(-R)-、-O-、-S-、-C(-R)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-Se(=O)-、-Se(=O)-、-P(=O)-、-B(-R)-、-Si(-R)-、または-Se-などがあげられる。これらのうち、-CH=CH-、-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、-S-、および-C(-R)-が好ましく、-CH=CH-、-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、および-S-がより好ましく、-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、および-S-がさらに好ましい。前記「-CHR-CHR-」のR、「-CR-CR-」のR、「-CR=CR-」のR、「-N(-R)-」のR、「-C(-R)-」のR、「-B(-R)-」のR、および「-Si(-R)-」のRは、それぞれ独立して、水素、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいアルキル、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいアルケニル、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいアルキニル、またはアルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいシクロアルキルである。また、同一の元素に結合する2つのR同士が結合して環を形成していてもよい。さらに、隣接する2つのR同士が結合して、シクロアルキレン環、アリーレン環、およびヘテロアリーレン環を形成していてもよい。これらの環もまた、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
>N-RNX中のRNXがRa3、Rb1、Ra1、またはRc4と結合して形成される縮合環としては、例えば、カルバゾール環(フェニルであるRNXが単結合で結合)、フェノキサジン環(フェニルであるRNXが-O-で結合)、フェノチアジン環(フェニルであるRNXが-S-で結合)、またはアクリドン環(フェニルであるRNXが-C(=O)-で結合)があげられる。
また、上記のような連結により、以下の部分構造(A10)が形成されていてもよい。
式(A10)中、RA1~RA4はそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、RA1~RA4の任意の2~4個は連結基または単結合により互いに結合していてもよく、2つの*の位置でXが結合する2つの環の一方の環に、**の位置で他方の環に結合している。すなわち、式(A10)中のNはXが>N-RNXであるときの>N-RNXのNである。2つの*の位置で結合する環上の原子は互いに隣接する原子(炭素原子が好ましい)であればよい。多環芳香族化合物に式(A10)で表される構造が含まれるとき、その数は1つまたは2つ(好ましくは1つ)であればよい。
式(A10)中、RA1~RA4の任意の2~4個は連結基または単結合により互いに連結していてもよい。
A1~RA4は、任意の2個(RA1およびRA4、RA1およびRA4ならびにRA2およびRA3、RA1およびRA2、RA3およびRA4、RA1およびRA2ならびにRA3およびRA4)が連結基または単結合により互いに結合していることが好ましく、RA1およびRA4が連結基または単結合により互いに結合していることがより好ましい。互いに結合して形成されている2価の基としては、アルキレン、シクロアルキレンなどがあげられる。当該アルキレンにおける少なくとも1つの水素はアルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよく、当該アルキレンにおける少なくとも1つ(好ましくは1つ)の-CH-は-O-および-S-で置換されていてもよい。互いに結合して形成されている2価の基としては、炭素数2~5の直鎖アルキレンが好ましく、炭素数3または4の直鎖アルキレンがより好ましく、炭素数4の直鎖アルキレン(-(CH-)がさらに好ましい。炭素数4の直鎖アルキレン(-(CH-)は無置換であることが特に好ましい。
連結基または単結合による連結に関与していない残りのRA1~RA4は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよいアルキルであることが好ましく、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキルであることがより好ましく、無置換の炭素数1~6のアルキルであることがさらに好ましく、いずれもメチルであることが最も好ましい。
すなわち、式(A10)で表される部分構造としては、以下式(A11)で表される構造が好ましい。
式(A11)中、Meはメチルであり、2つの*の位置でXが結合する2つの環の一方の環に、**の位置で他方の環に結合している。
<Rd1~Rd7
式(1-1)において、Rd1~Rd7はそれぞれ独立して、水素または置換基である。
d1~Rd7が置換基であるときの置換基としては、置換基群Zαより選択される少なくとも1つの置換基があげられ、置換基群Zより選択される少なくとも1つの置換基が好ましく、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換もしくは無置換のジアリールアミノがより好ましく、置換もしくは無置換のアルキルがさらに好ましく、無置換のアルキルが特に好ましい。後述の好ましい置換基の例も参照することができる。Rd1~Rd7のうちの複数が置換基であるときの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
d1~Rd7においては、Rd3、Rd4、Rd5、またはRd7が置換基であることが好ましく、Rd4またはRd7が置換基であること、Rd4とRd7が置換基であること、またはRd3とRd5が置換基であることがより好ましく、Rd4が置換基であることがさらに好ましい。また、Rd3とRd4が互いに結合してそれらが結合している炭素原子とともにシクロアルケンを形成している構造も好ましい。この構造はアリール環である式(1-1)にシクロアルカンが縮合した構造に該当する。特に、Rd3とRd4が互いに結合して後述する式(B11)または式(B12)で表される部分構造を形成した構造が好ましい例としてあげられる。Rd1~Rd7が全て水素または重水素であることもより好ましい。Rd3、Rd4、Rd5、またはRd7が置換基であるときの置換基としては、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換もしくは無置換のジアリールアミノが好ましく、アルキル、またはアルキルで置換されていてもよいシクロアルキルがより好ましく、メチルまたはt-ブチルがさらに好ましい。また、Rd1~Rd7がそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、または無置換のアルキルであることも好ましい。Rd1~Rd3、Rd5~Rd7がいずれも水素であり、Rd4が水素、置換もしくは無置換のアリール、または無置換のアルキルであることもより好ましく、水素、メチルまたはt-ブチルであることもさらに好ましい。
<構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造>
本発明の多環芳香族化合物は式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物である。上記構造単位の1つからなる構造を有する多環芳香族化合物としては、式(1)で表される多環芳香族化合物があげられる。式(1)で表される構造単位の2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物としては、式(1)で表される構造単位として上記で説明した式で表される多環芳香族化合物の多量体に該当する化合物があげられる。多量体は、2~6量体が好ましく、2~3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記構造単位を複数有する形態であればよく、上記構造単位に含まれる任意の環(Ra1~Ra3、Rb1~Rb4、またはRc1~Rc4が結合するベンゼン環)を複数の構造単位で共有するようにして結合した形態であってもよく、また、上記構造単位に含まれる任意の環(Ra1~Ra3、Rb1~Rb4、またはRc1~Rc4が結合するベンゼン環)同士が縮合するようにして結合した形態であってもよい。また、上記構造単位が単結合、炭素数1~3のアルキレン、フェニレン、ナフチレンなどの連結基で複数結合した形態であってもよい。これらのうち、環を共有するようにして結合した形態が好ましい。式(1)で表される構造単位の2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物における2つ以上の構造単位は互いに同一であっても異なっていてもよい。
<好ましい置換基>
エミッティングドーパントとして用いられる多環芳香族化合物において(そのほかドーパントとして用いられる化合物において)、「アルキル」を含む置換基として、下記式(tR)で表されるターシャリ-アルキルは、特に好ましいものの1つである。このような嵩高い置換基により分子間距離が増加するため発光量子収率(PLQY)が向上するからである。また、式(tR)で表されるターシャリ-アルキルが第2の置換基として他の置換基に置換している置換基も好ましい。具体的には、式(tR)で表されるターシャリ-アルキルで置換されたジアリールアミノ、式(tR)で表されるターシャリ-アルキルで置換されたカルバゾリル(好ましくは、N-カルバゾリル)または式(tR)で表されるターシャリ-アルキルで置換されたベンゾカルバゾリル(好ましくは、N-ベンゾカルバゾリル)があげられる。ジアリールアミノ、カルバゾリルおよびベンゾカルバゾリルへの式(tR)の基の置換形態としては、これらの基におけるアリール環またはベンゼン環の一部または全ての水素が式(tR)の基で置き換えられた例があげられる。
式(tR)中、R、R、およびRはそれぞれ独立して炭素数1~24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の-CH-は-O-で置き換えられていてもよく、式(tR)で表される基は*を結合位置とする。
、RおよびRの「炭素数1~24のアルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキル、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)があげられる。
式(tR)におけるR、R、およびRの炭素数の合計は炭素数3~20が好ましく、炭素数3~10が特に好ましい。
、R、およびRの具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
式(tR)で表される基としては、例えばt-ブチル、t-アミル、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1-エチル-1-メチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、1,1,4-トリメチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルオクチル、1,1-ジメチルペンチル、1,1-ジメチルヘプチル、1,1,5-トリメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルヘキシル、1-エチル-1,3-ジメチルブチル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-ブチル-1-メチルペンチル、1,1-ジエチルブチル、1-エチル-1-メチルペンチル、1,1,3-トリメチルブチル、1-プロピル-1-メチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1,2,2-トリメチルプロピル、1-プロピル-1-メチルブチル、1,1-ジメチルヘキシルなどがあげられる。これらのうち、t-ブチルおよびt-アミルが好ましい。
置換基としては式(A30)で表される置換基も好ましい。
ドーパント(アシスティングドーパントまたはエミッティングドーパント)として用いられる化合物が有する置換基の構造の立体障害性、電子供与性および電子求引性によって、発光波長を調整することができる。好ましくは以下の構造式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、ネオペンチル、アダマンチル、フェニル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリル、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、ネオペンチル、アダマンチル、フェニル、o-トリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリル、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリル、およびトリベンゾアゼピニルである。合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、アダマンチル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、*は結合位置を表す。
式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物は、上述の式(tR)で表されるターシャリ-アルキル(t-ブチルあるいはt-アミルなど)、ネオペンチルまたはアダマンチルを少なくとも1つ含む構造であることが好ましく、式(tR)で表されるターシャリ-アルキル(t-ブチルあるいはt-アミルなど)を含むことが好ましい。このような嵩高い置換基により分子間距離が増加するため発光量子収率(PLQY)が向上するからである。また、置換基としては、ジアリールアミノも好ましい。さらに、式(tR)の基で置換されたジアリールアミノ、式(tR)の基で置換されたカルバゾリル(好ましくは、N-カルバゾリル)または式(tR)の基で置換されたベンゾカルバゾリル(好ましくは、N-ベンゾカルバゾリル)も好ましい。ジアリールアミノ、カルバゾリルおよびベンゾカルバゾリルへの式(tR)の基の置換形態としては、これらの基におけるアリール環またはベンゼン環の一部または全ての水素が式(tR)の基で置換された例があげられる。
式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造中、アリール環またはヘテロアリール環の置換基は以下の式(A20)で表される置換基であってもよい。
式(A20)で表される置換基は、2つの*でアリール環またはヘテロアリール環の環上で隣接する2つの原子にそれぞれ結合する。式(A20)中、Lは>N-R、>O、>Si(-R)または>Sであり、前記>N-RのRは、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキルまたは置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、前記>Si(-R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また2つのRは互いに結合して環を形成していてもよく、また、前記>N-Rおよび前記>Si(-R)のRの少なくとも1つは連結基または単結合により前記アリール環またはヘテロアリール環と結合していてもよく、
rは1~4の整数であり、
はそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアルキルまたは置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、任意のRは他の任意のRと連結基または単結合により互いに結合していてもよい。
上記の置換基の例としては以下のいずれかで表される置換基があげられる。
各式中、*で、いずれかのアリール環またはヘテロアリール環の環上で連続(隣接)する2つまたは3つの原子にそれぞれ結合していればよい。
<シクロアルカン縮合>
式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物におけるアリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択される少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
シクロアルカンとしては、炭素数3~24のシクロアルカンであればよい。このときのシクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、炭素数1~24のアルキルまたは炭素数3~24のシクロアルキルで置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置き換えられていてもよい。
シクロアルカンは、炭素数3~20のシクロアルカンであって、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素が、炭素数6~16のアリール、炭素数2~22のヘテロアリール、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよいシクロアルカンであることが好ましい。
「シクロアルカン」としては、炭素数3~24のシクロアルカン、炭素数3~20のシクロアルカン、炭素数3~16のシクロアルカン、炭素数3~14のシクロアルカン、炭素数5~10のシクロアルカン、炭素数5~8のシクロアルカン、炭素数5~6のシクロアルカン、炭素数5のシクロアルカンなどがあげられる。
具体的なシクロアルカンとしては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、ノルボルナン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタン、ジアマンタン、デカヒドロナフタレンおよびデカヒドロアズレン、ならびに、これらの炭素数1~5のアルキル(特にメチル)置換体、ハロゲン(特にフッ素)置換体および重水素置換体などがあげられる。
上記の例の中でも、例えば下記構造式に示すような、シクロアルカンのα位の炭素(アリール環またはヘテロアリール環に縮合するシクロアルカンにおいて、縮合部位の炭素に隣接する位置の炭素)に少なくとも1つの置換基を有する構造が好ましく、α位の炭素に2つの置換基を有する構造がより好ましく、2つのα位の炭素がいずれも2つの置換基を有する(合計4つの置換基を有する)構造がさらに好ましい。この置換基としては、炭素数1~5のアルキル(特にメチル)、ハロゲン(特にフッ素)および重水素などがあげられる。特に、アリール環またはヘテロアリール環において隣接する炭素原子に下記式(B11)または下記式(B12)で表される部分構造が結合した構造となっていることが好ましく、下記式(B11)で表される部分構造が結合した構造となっていることがより好ましい。
式(B11)および式(B12)の各中、*は結合位置を示す。
1つのアリール環またはヘテロアリール環に縮合するシクロアルカンの数は、1~3個が好ましく、1個または2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。例えば1つのベンゼン環(フェニル)に1個または複数のシクロアルカンが縮合した例を以下に示す。*は結合位置を示し、その位置はベンゼン環を構成しかつシクロアルカンを構成していない炭素のいずれであってもよい。式(Cy-1-4)および式(Cy-2-4)のように縮合したシクロアルカン同士が縮合してもよい。縮合される環(基)がベンゼン環(フェニル)以外の他のアリール環またはヘテロアリール環の場合であっても、縮合するシクロアルカンがシクロペンタンまたはシクロヘキサン以外の他のシクロアルカンの場合であっても、同様である。
シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置換されていてもよい。例えば1つのベンゼン環(フェニル)に縮合したシクロアルカンにおける1個または複数の-CH-が-O-で置換された例を以下に示す。縮合される環(基)がベンゼン環(フェニル)以外の他のアリール環またはヘテロアリール環の場合であっても、縮合するシクロアルカンがシクロペンタンまたはシクロヘキサン以外の他のシクロアルカンの場合であっても、同様である。
シクロアルカンは少なくとも1つの置換基で置換されていてもよく、この置換基としては、置換基群Zから選択されるいずれかの置換基をあげることができる。これらの置換基の中でも、アルキル(例えば炭素数1~6のアルキル)、シクロアルキル(例えば炭素数3~14のシクロアルキル)が好ましい。また、いずれかの水素がハロゲン(例えばフッ素)または重水素で置き換えられていることも好ましい。また、シクロアルキルが置換する場合はスピロ構造を形成する置換形態でもよく、例えば1つのベンゼン環(フェニル)に縮合したシクロアルカンにスピロ構造が形成された例を以下に示す。各構造式における*は、ベンゼン環である場合には化合物の骨格構造に含まれるベンゼン環であることを意味し、フェニルである場合には化合物の骨格構造に置換する結合手を意味する。
シクロアルカン縮合の形態としては、まず、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物におけるRa1~Ra3、Rb1~Rb4、またはRc1~Rc4が結合するベンゼン環がシクロアルカンで縮合された形態、Ra1~Ra3、Rb1~Rb4、およびRc1~Rc4のいずれかがアリール環またはヘテロアリール環を含む基である場合のアリール環またはヘテロアリール環がシクロアルカンで縮合された形態があげられる。
シクロアルカン縮合の他の形態としては、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物が、例えば、RNXがシクロアルカンで縮合されたアリールである>N-RNXを有する例があげられる。
なお、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物にシクロアルカン構造を導入することによっては、融点や昇華温度のさらなる低下が期待できる。このことは、高い純度が要求される有機EL素子などの有機デバイス用の材料の精製法としてほぼ不可欠な昇華精製において、比較的低温で精製することができるため材料の熱分解などが避けられることを意味する。またこれは、有機EL素子などの有機デバイスを作製するのに有力な手段である真空蒸着プロセスについても同様であり、比較的低温でプロセスを実施できるため、材料の熱分解を避けることができ、結果として高性能な有機デバイスを得ることができる。また、シクロアルカン構造の導入により有機溶媒への溶解性が向上するため、塗布プロセスを利用した素子作製にも適用することが可能となる。ただし、本発明は特にこれらの原理に限定されるわけではない。
<重い安定同位体への置き換え>
式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物中の各元素は、特に記載が無い場合は天然に存在する複数の同位体が天然における存在比で含まれるものである。ただし、各構造式中の元素の全てまたは一部は天然における存在比を超えて(例えば、ホウ素-11(11B)では90atom%以上で)重い安定同位体を含むものであってもよい。本明細書において、これを単に「重い安定同位体」に「置き換える」という。より具体的には、少なくとも1つの水素は重水素に置き換えることができ、少なくとも1つの窒素は窒素-15(15N)に置き換えることができ、少なくとも1つの硫黄は硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)または硫黄-36(36S)に置き換えることができ、少なくとも1つの酸素は、酸素-17(17O)または酸素-18(18O)に置き換えることができ、少なくとも1つの炭素は炭素-13(13C)に置き換えることができ、少なくとも1つのホウ素はホウ素-11(11B)で置き換えることができる。少なくとも一部の元素を重い安定同位体に置き換えることによって、特に少なくとも1つのホウ素をホウ素-11(11B)で置き換えることによって、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物をドーパントとして用いる有機電界発光素子の長寿命化を図ることができる。
<重水素による置き換え>
式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物中の水素は、その全てまたは一部が重水素であってもよい。
例えば、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物におけるRa1~Ra3、Rb1~Rb4、またはRc1~Rc4における水素が重水素で置き換えられうるが、これらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素が重水素で置き換えられた態様があげられる。また耐久性の観点から、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物中の水素は、その全てまたは一部が重水素化されていることも好ましい。
<多環芳香族化合物の具体例>
式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物の更なる具体例としては、以下の化合物があげられる。
式中、Meはメチル、tBuはt-ブチル、Dは重水素である。
<多環芳香族化合物の製造方法>
式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物は、基本的には、まずRa1~Ra3が結合しているベンゼン環、Rb1~Rb4が結合しているベンゼン環、およびRc1~Rc4が結合している縮合環を結合基(XやXを含む基)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、Ra1~Ra3が結合しているベンゼン環、Rb1~Rb4が結合しているベンゼン環、およびRc1~Rc4が結合している縮合環を結合基(Yを含む基)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応では、例えば、アミノ化反応としてブッフバルト-ハートウィッグ反応、求核置換反応、ゴールドバーグアミノ化などの一般的反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)が利用できる。反応工程のどこかで、所望の縮合環を有する原料を用いたり、環を縮合する工程を追加したりすることで、目的の化合物を製造することができる。
[中間体1を経由する製造方法]
本発明の多環芳香族化合物は以下の工程を含む製造方法で製造することができる。以下各工程については、国際公開第2015/102118号の記載を参照することができる。
ハロゲン化前駆体から下記中間体1を合成し、有機アルカリ化合物を用いて下記中間体1におけるXとXの間のハロゲン原子(Hal)をメタル化する反応工程と、Yのハロゲン化物、Yのアミノ化ハロゲン化物、Yのアルコキシ化物およびYのアリールオキシ化物からなる群から選択される試薬を用いて前記メタルとYとを交換する反応工程と、ブレンステッド塩基を用いて連続的な芳香族求電子置換反応により前記YでRb1~Rb4が結合しているベンゼン環とRc1~Rc4が結合している縮合環とを結合する反応工程とを含む反応を以下に記す。式中のハロゲン原子(Hal)は、F、Cl、Br、Iのいずれでもよく、基質の反応性を考慮して適宜選択することができる。
これまで説明してきたスキームにおけるハロゲン-メタル交換反応で使用されるメタル化試薬としては、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等のアルキルリチウム、塩化イソプロピルマグネシウム、臭化イソプロピルマグネシウム、塩化フェニルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウムおよびターボグリニャール試薬として知られている、塩化イソプロピルマグネシウムの塩化リチウム錯体などがあげられる。
また、これまで説明してきたスキームにおけるオルトメタル交換反応で使用されるメタル化試薬としては、上記の試薬に加えて、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、塩化リチウムテトラメチルピペリジニルマグネシウム・塩化リチウム錯体、トリ-n-ブチルマグネシウム酸リチウムなどの有機アルカリ化合物があげられる。
さらに、メタル化試薬としてアルキルリチウムを使用する場合に反応を促進させる添加剤としては、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N-ジメチルプロピレン尿素などがあげられる。
また、これまで説明してきたスキームで使用するルイス酸としては、AlCl、AlBr、AlF、BF・OEt、BCl、BBr、BI、GaCl、GaBr、InCl、InBr、In(OTf)、SnCl、SnBr、AgOTf、ScCl、Sc(OTf)、ZnCl、ZnBr、Zn(OTf)、MgCl、MgBr、Mg(OTf)、LiOTf、NaOTf、KOTf、MeSiOTf、Cu(OTf)、CuCl、YCl、Y(OTf)、TiCl、TiBr、ZrCl、ZrBr、FeCl、FeBr、CoCl、CoBrなどがあげられる。また、これらのルイス酸を固体に担持したものも同様に使用することができる。
また、これまで説明してきたスキームで使用するブレンステッド酸としては、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロスルホン酸、カルボラン酸、トリフルオロ酢酸、(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、塩化水素、臭化水素、フッ化水素などがあげられる。また固体ブレンステッド酸としてアンバーリスト(商品名:ダウ・ケミカル)、ナフィオン(商品名:デュポン)、ゼオライト、テイカキュア(商品名:テイカ株式会社)などがあげられる。
また、これまで説明してきたスキームで加えてもよいアミンとしては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、2,6-ルチジン、2,6-ジ-t-ブチルアミンなどがあげられる。
また、これまで説明してきたスキームで使用する溶媒としては、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエチレン、ベンゾトリフルオリド、デカリン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、1,2,4-トリメチルベンゼン、キシレン、ジフェニルエーテル、アニソール、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル-t-ブチルエーテルなどがあげられる。
ここでは、Yが、Bである例を記載したが、原料を適宜変更することで、Yが、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rである化合物も合成することができる。
上記スキームでは、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応の促進のためにブレンステッド塩基またはルイス酸を使用してもよい。ただし、Yの三フッ化物、Yの三塩化物、Yの三臭化物、Yの三ヨウ化物などのYのハロゲン化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素といった酸が生成するため、酸を捕捉するブレンステッド塩基の使用が効果的である。一方、Yのアミノ化ハロゲン化物、Yのアルコキシ化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、アミン、アルコールが生成するために、多くの場合、ブレンステッド塩基を使用する必要はないが、アミノやアルコキシの脱離能が低いために、その脱離を促進するルイス酸の使用が効果的である。
また、本発明の多環芳香族化合物には、少なくとも一部の水素が重水素で置き換えられている化合物や種々の置換基で置換されている化合物も含まれるが、このような化合物などは所望の位置が重水素化、誘導化された原料を用いることで、上記と同様に合成することができる。
<2.有機デバイス>
本発明の多環芳香族化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などがあげられる。
本発明に係る多環芳香族化合物およびその多量体は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などがあげられるが、有機電界発光素子であることが好ましい。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機電界発光素子材料であることが好ましく、発光層用材料(発光材料)であることがより好ましく、発光層のドーパント材料であることが最も好ましい。
<2-1.有機電界発光素子>
<2-1-1.有機電界発光素子の構造>
図1は、有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<2-1-2.有機電界発光素子における発光層>
本発明の多環芳香族化合物は、有機電界発光素子における、いずれか1つ以上の有機層を形成する材料として用いられることが好ましく、発光層を形成する材料として用いられることがより好ましい。発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であることが好ましい。本発明の多環芳香族化合物は、発光層用の材料として用いることができ、ドーパント材料として用いてもよく、ホスト材料として用いてもよいが発光層用の材料として用いることが好ましく、ドーパント材料として用いることがより好ましい。
なお、ドーパントとしては、アシスティングドーパントとエミッティングドーパントとを併用して用いる例があるが、本明細書において、単に、「ドーパント」と記載した場合には、アシスティングドーパントを用いない場合のエミッティングドーパントのことを指す。
式(1)で表される構造単位を含む多環芳香族化合物は複数の三重項励起子から一重項励起子が生成する現象(三重項-三重項フュージョン(TTF:Triplet-Triplet Fusion))を利用するTTF素子のエミッティングドーパントとして用いることができる。
また、式(1)で表される構造単位を含む多環芳香族化合物は、「熱活性型遅延蛍光体」としてTADF素子のエミッティングドーパントとして用いることができる。「熱活性型遅延蛍光体」では、最低励起一重項状態と最低励起三重項状態とのエネルギー差を小さくすることで、通常は遷移確率が低い最低励起三重項状態から最低励起一重項状態への逆項間交差を高効率で生じさせ、一重項からの発光(熱活性型遅延蛍光、TADF)が発現する。通常の蛍光発光では電流励起により生じた75%の三重項励起子は熱失活経路を通るため蛍光として取りだすことはできない。一方、TADFでは全ての励起子を蛍光発光に利用することができ、高効率な有機EL素子が実現できる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全質量の50~99.999質量%であり、より好ましくは80~99.95質量%であり、さらに好ましくは90~99.9質量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパント材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全質量の0.001~50質量%であり、より好ましくは0.05~20質量%であり、さらに好ましくは0.1~10質量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
<ドーパント材料>
ドーパント材料としては本発明の多環芳香族化合物を好ましく用いることができる。
ドーパント材料は複数の化合物の組み合わせであってもよい。
ドーパントを複数の組み合わせにする場合の、本発明の化合物と組み合わせるドーパントの具体例を下記に示す。
<ホスト材料>
ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセン、ピレン、ジベンゾクリセンまたはフルオレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。また、ホスト材料としては、例えば、下記式(H1)、(H2)および(H3)のいずれかで表される化合物を用いることができる。
なお、耐久性の観点から、ホスト材料の水素原子は一部または全部が重水素化されていることも好ましい。さらに、一部または全部の水素原子が重水素化されたホスト化合物と、一部または全部の水素原子が重水素化されたドーパント化合物とを組み合わせて発光層を構成することも好ましい。
[式(H1)、(H2)および(H3)のいずれかで表される化合物]
式(H1)、(H2)および(H3)中、Lは、単結合、または少なくともアリーレンもしくはヘテロアリーレンを含む2価の基である。具体的には、Lは単結合であるか、または炭素数6~24のアリーレン、炭素数2~24のヘテロアリーレン、炭素数6~24のヘテロアリーレンアリーレンもしくは炭素数6~24のアリーレンヘテロアリーレンアリーレン、またはこれらのいずれか2つを-O-、-S-、-CH-、-Si(-Arx)-(Arxはアリール)、またはシクロアルキレンで連結して形成される2価の基であればよい。L中のアリーレンとしては、炭素数6~16のアリーレンが好ましく、炭素数6~12のアリーレンがより好ましく、炭素数6~10のアリーレンが特に好ましく、具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、テルフェニル環およびフルオレン環などの2価の基があげられる。L中のヘテロアリーレンとしては、炭素数2~24のヘテロアリーレンが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリーレンがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリーレンがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリーレンが特に好ましく、具体的には、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環(フラザン環等)、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、およびチアントレン環などの2価の基があげられる。上記各式で表される化合物における少なくとも1つの水素は、置換基群Zから選択される少なくとも1つの基または重水素で置換されていてもよく、例えば炭素数1~6のアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
好ましい具体例としては、以下に列挙したいずれかの構造式で表される化合物があげられる。なお、以下に列挙した構造式においては、少なくとも1つの水素が、ハロゲン、シアノ、炭素数1~4のアルキル(例えばメチルやt-ブチル)、フェニルまたはナフチルなどで置換されていてもよい。
(mCP)
[アントラセン化合物]
ホストとしてのアントラセン化合物としては、例えば式(3-H)で表される化合物および式(3-H2)で表される化合物があげられる。
式(3-H)中、
XおよびArは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換されていてもよいジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオまたは置換シリルであり、全てのXおよびArは同時に水素になることはない。
式(3-H)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、重水素または置換されていてもよいヘテロアリールで置換されていてもよい。
また、式(3-H)で表される構造を単位構造として多量体(好ましくは二量体)を形成してもよい。この場合、例えば式(3-H)で表される単位構造同士がXを介して結合する形態があげられ、このXとしては単結合、アリーレン(フェニレン、ビフェニレンおよびナフチレン等)およびヘテロアリーレン(ピリジン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ベンゾカルバゾール環およびフェニル置換カルバゾール環などが2価の結合価を有する基)等があげられる。
上記アントラセン化合物の好ましい態様を以下に説明する。下記構造における符号の定義は上述する定義と同じである。
式(3-H)では、Xはそれぞれ独立して式(3-X1)、式(3-X2)または式(3-X3)で表される基であり、式(3-X1)、式(3-X2)または式(3-X3)で表される基は*において式(3-H)のアントラセン環と結合する。好ましくは、2つのXが同時に式(3-X3)で表される基になることはない。より好ましくは2つのXが同時に式(3-X2)で表される基になることもない。
また、式(3-H)で表される構造を単位構造として多量体(好ましくは二量体)を形成してもよい。この場合、例えば式(3-H)で表される単位構造同士がXを介して結合する形態があげられ、このXとしては単結合、アリーレン(フェニレン、ビフェニレンおよびナフチレン等)およびヘテロアリーレン(ピリジン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ベンゾカルバゾール環およびフェニル置換カルバゾール環などが2価の結合価を有する基)等があげられる。
式(3-X1)および式(3-X2)におけるナフチレン部位は1つのベンゼン環で縮合されていてもよい。このようにして縮合した構造は以下のとおりである。
ArおよびArは、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、または、式(A)で表される基(カルバゾリル、ベンゾカルバゾリルおよびフェニル置換カルバゾリルも含む)である。なお、ArまたはArが式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3-X1)または式(3-X2)中のナフタレン環と結合する。
Arは、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、または、式(A)で表される基(カルバゾリル、ベンゾカルバゾリルおよびフェニル置換カルバゾリルも含む)である。なお、Arが式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3-X3)中の直線で表される単結合と結合する。すなわち、式(3-H)のアントラセン環と式(A)で表される基が直接結合する。
また、Arは置換基を有していてもよく、Arにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、または、式(A)で表される基(カルバゾリルおよびフェニル置換カルバゾリルも含む)で置換されていてもよい。なお、Arが有する置換基が式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3-X3)中のArと結合する。
Arは、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、ナフチル、または炭素数1~4のアルキル(メチル、エチル、t-ブチルなど)および/もしくは炭素数5~10のシクロアルキルで置換されているシリルである。
また、式(3-H)で表されるアントラセン化合物の化学構造中の水素は式(A)で表される基で置換されていてもよい。式(A)で表される基で置換される場合は、式(A)で表される基はその*において式(3-H)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する。
式(A)で表される基は、式(3-H)で表されるアントラセン化合物が有しうる置換基の1つである。
式(A)中、Yは-O-、-S-、>C(-R29-1)2, または>N-R29であり、R21~R28はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、アルキルジシクロアルキルシリル、置換されていてもよいアミノ、ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであり、R21~R28のうち隣接する基は互いに結合して炭化水素環、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、R29は水素または置換されていてもよいアリールである。
式(A)中のYは-O-であることが好ましい。
21~R28における「置換されていてもよいアミノ」の「置換されたアミノ」としては、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ等があげられる。
Yとしての「>N-R29」におけるR29は水素または置換されていてもよいアリールである。
Yとしての「>C(-R29-1」におけるR29-1は、それぞれ独立して、水素、アルキルまたは置換されていてもよいアリールである。また2つのR29-1は互いに結合して炭化水素環、またはアリール環を形成していてもよい。
21~R28のうち隣接する基は互いに結合して炭化水素環、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよい。環を形成しない場合が下記式(A-1)で表される基であり、環を形成した場合としては例えば下記式(A-2)~式(A-14)で表される基があげられる。なお、式(A-1)~式(A-14)のいずれかで表される基における少なくとも1つの水素はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、アルキルジシクロアルキルシリル、ジアリール(2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)置換アミノ、ジヘテロアリール置換アミノ、アリールヘテロアリール置換アミノ、ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノで置換されていてもよい。
隣接する基が互いに結合してできた環としては、炭化水素環であれば例えばシクロヘキサン環があげられ、アリール環やヘテロアリール環としては上述したR21~R28における「アリール」や「ヘテロアリール」で説明した環構造があげられ、これらの環は式(A-1)における1つまたは2つのベンゼン環と縮合するように形成される。
式(A)で表される基は、式(A)のいずれかの位置の1つの水素を除いて得られる基であり、*が該位置を示す。すなわち、式(A)で表される基はいずれの位置を結合位置としていてもよい。例えば、式(A)の構造中の2つのベンゼン環上のいずれかの炭素原子、式(A)の構造中のR21~R28のうち隣接する基が互いに結合して形成されたいずれかの環上の原子、または式(A)の構造中のYとしての「>N-R29」におけるR29中のいずれかの位置、または「>N-R29」におけるN(R29が結合手となる)と直接結合する基となることができる。式(A-1)~式(A-14)のいずれかで表される基においても同様である。
式(A)で表される基としては、例えば式(A-1)~式(A-14)のいずれかで表される基があげられ、式(A-1)~式(A-5)および式(A-12)~式(A-14)のいずれかで表される基が好ましく、式(A-1)~式(A-4)のいずれかで表される基がより好ましく、式(A-1)、式(A-3)および式(A-4)のいずれかで表される基がさらに好ましく、式(A-1)で表される基が特に好ましい。
式(A)で表される基としては、例えば以下の基があげられる。式中のYおよび*は上記と同じ定義である。
式(3-H)で表される化合物においては、式(A)で表される基は、式(3-X1)または式(3-X2)中のナフタレン環、式(3-X3)中の単結合および式(3-X3)中のArのいずれか1つと結合した形態が好ましい。
式(B)で表される基は、式(3-H)で表されるアントラセン化合物が有しうる置換基の1つである。
式(B)中、Yは-O-、-S-、>C(-R42または>N-R41であり、R31~R40はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、アルキルジシクロアルキルシリル、置換されていてもよいアミノ、ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであり、R31~R40のうち隣接する基は互いに結合して炭化水素環、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、R41は水素または置換されていてもよいアリールである。
式(B)中のYは-O-であることが好ましい。
としての「>C(-R41」におけるR41は、それぞれ独立して、水素、アルキルまたは置換されていてもよいアリールである。また2つのR41は互いに結合して炭化水素環、またはアリール環を形成していてもよい。
式(B)中、R31~R40中の2つの隣接する基が互いに結合してできた環としては、炭化水素環であれば例えばシクロヘキサン環があげられ、アリール環やヘテロアリール環としては上述したR31~R40における「アリール」や「ヘテロアリール」で説明した環構造があげられ、これらの環は式(A-1)における1つまたは2つのベンゼン環と縮合するように形成される。
式(B)で表される基は、式(B)のいずれかの位置の1つの水素を除いて得られる基であり、*が該位置を示す。すなわち、式(B)で表される基はいずれの位置を結合位置としていてもよい。例えば、式(B)の構造中の2つのベンゼン環上のいずれかの炭素原子、式(B)の構造中のR31~R40のうち隣接する基が互いに結合して形成されたいずれかの環上の原子、または式(B)の構造中のYとしての「>N-R41」におけるR41中のいずれかの位置、または「>N-R41」におけるN(R41が結合手となる)と直接結合する基となることができる。
式(B)で表される基としては、例えば以下の基があげられる。式中のYおよび*は上記と同じ定義である。
また、式(3-H)で表されるアントラセン化合物の化学構造中の水素は、その全てまたは一部が重水素であってもよい。
ホストとしてのアントラセン化合物は、例えば下記式(3-H2)で表される化合物であってもよい。
式(3-H2)中、Arは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、Rは、水素、アルキル、またはシクロアルキルであり、Ar11、Ar12、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16、Ar17、およびAr18は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいジアリールアミノ(2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、置換されていてもよいジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、置換されていてもよいアリールヘテロアリールアミノ(アリールおよびヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、または置換されていてもよいシリルであり、式(3-H2)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されていてもよい。
「置換されていてもよいアリール」としては、下記式(3-H2-X1)~式(3-H2-X8)のいずれかで表される基であることも好ましい。
式(3-H2-X1)~式(3-H2-X8)において、*は結合位置を示す。式(3-H2-X1)~式(3-H2-X3)において、Ar21、Ar22、およびAr23は、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、アントラセニル、または式(A)で表される基である。なお、式(3-H2)の説明において、式(A)で表される基は、式(3-H)で表されるアントラセン化合物において説明したものと同じである。
式(3-H2-X4)~式(3-H2-X8)において、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28、Ar29、およびAr30は、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、または式(A)で表される基である。また、式(3-H2-X1)~式(3-H2-X8)で表される基のそれぞれにおけるいずれか1つまたは2つ以上の水素は、炭素数1~6のアルキル(好ましくはメチルまたはt-ブチル)で置換されていてもよい。
さらに、「置換されていてもよいアリール」の好ましい例としては、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、および式(A)で表される基からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、テルフェニリル(特に、m-テルフェニル-5’-イル)があげられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」としては、式(A)で表される基もあげられる。そのほか、「置換されていてもよいアリール」および「置換されていてもよいヘテロアリール」の具体例としては、ジベンゾフリル、ナフトベンゾフリル、フェニル置換ジベンゾフリル等があげられる。
式(3-H2)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されていてもよい。この場合の「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素があげられる。特に、式(3-H2)で表される化合物における全ての水素が重水素で置換された化合物が好ましい。
式(3-H2)中、Rは水素、アルキル、またはシクロアルキルであり、水素、メチル、またはt-ブチルであることが好ましく、水素であることがより好ましい。
式(3-H2)中、Ar11~Ar18の少なくとも2つが置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであることが好ましい。すなわち、式(3-H2)で表されるアントラセン化合物は、アントラセン環に、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールからなる群より選択される置換基が少なくとも3つ結合した構造を有することが好ましい。
式(3-H2)で表されるアントラセン化合物は、Ar11~Ar18の2つが置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、他の6つが水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルケニル、または置換されていてもよいアルコキシであることがより好ましい。すなわち、式(3-H2)で表されるアントラセン化合物は、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールからなる群より選択される置換基が、アントラセン環に3つ結合した構造を有することがより好ましい。
式(3-H2)で表されるアントラセン化合物は、Ar11~Ar18のいずれか2つが置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、他の6つが水素、メチル、またはt-ブチルであることがより好ましい。
さらに、式(3-H2)中、Rが水素であり、かつAr11~Ar18のいずれか6つが水素であることが好ましい。
式(3-H2)で表されるアントラセン化合物は下記式(3-H2-A)、(3-H2-B)、(3-H2-C)、(3-H2-D)、または(3-H2-E)で表されるアントラセン化合物であることが好ましい。
式(3-H2-A)、(3-H2-B)、(3-H2-C)、(3-H2-D)または(3-H2-E)中、Ar’、Ar11’、Ar12’、Ar13’、Ar14’、Ar15’、Ar17’、およびAr18’はそれぞれ独立してフェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、または、式(A)で表される基であり、これらの基における少なくとも1つの水素は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、または、式(A)で表される基で置換されていてもよい。ここで、フルオレニルおよびベンゾフルオレニルにおけるメチレンの水素がいずれもフェニルで置換されているときは、これらのフェニルは互いに単結合で結合していてもよい。Ar’、Ar11’、Ar12’、Ar13’、Ar14’、Ar15’、Ar17’、およびAr18’が結合していないアントラセン環の炭素原子には水素の代わりにメチルまたはt-ブチルが結合していてもよい。
Ar’、Ar11’、Ar12’、Ar13’、Ar14’、Ar15’、Ar17’、およびAr18’が、それぞれ置換もしくは無置換のフェニルまたは置換もしくは無置換のナフチルであるときは、上記の式(3-H2-X1)~式(3-H2-X8)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Ar’、Ar11’、Ar12’、Ar13’、Ar14’、Ar15’、Ar17’、およびAr18’はそれぞれ独立してフェニル、ビフェニリル(特に、ビフェニル-2-イルまたはビフェニル-4-イル)、テルフェニリル(特に、m-テルフェニル-5’-イル)、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、または、上記の式(A-1)~式(A-4)のいずれかで表される基であることがより好ましく、このとき、これらの基における少なくとも1つの水素は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、または、上記の式(A-1)~式(A-4)のいずれかで表される基で置換されていてもよい。
また、式(3-H2-A)、(3-H2-B)、(3-H2-C)、(3-H2-D)、または(3-H2-E)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されていてもよい。また重水素化された形態は好ましく、アントラセン環がすべて重水素化された形態、あるいはすべての水素原子が重水素化された形態が好ましい。
特に好ましい式(3-H2)で表されるアントラセン化合物として、下記式(3-H2-Aa)で表されるアントラセン化合物をあげることができる。
式(3-H2-Aa)中、Ar’、Ar14’、およびAr15’はそれぞれ独立して、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、または上記式(A-1)~式(A-11)のいずれかで表される基であり、これらの基における少なくとも1つの水素は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、または式(A-1)~式(A-11)のいずれかで表される基で置換されていてもよい。ここで、フルオレニルおよびベンゾフルオレニルにおけるメチレンの水素がいずれもフェニルで置換されているときは、これらのフェニルは互いに単結合で結合していてもよい。また、Ar’、Ar14’、およびAr15’が結合していないアントラセン環上の炭素原子には水素の代わりにメチルまたはt-ブチルが置換していてもよい。式(3-H2-Aa)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲンまたはシアノで置換されていてもよく、かつ式(3-H2-Aa)で表される化合物における少なくとも1つの水素は重水素で置換されている。
式(3-H2-Aa)中、Ar’、Ar14’、およびAr15’はそれぞれ独立してフェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、または上記式(A-1)~式(A-4)のいずれかで表される基であることが好ましく、これらの基における少なくとも1つの水素は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、または式(A-1)~式(A-4)のいずれかで表される基で置換されていてもよい。
式(3-H2-Aa)で表される化合物においては、少なくとも、アントラセン環の10位の炭素(Ar’が結合する炭素を9位とする)に結合する水素が重水素に置換されていることが好ましい。すなわち、式(3-H2-Aa)で表される化合物は、下記式(3-H2-Ab)で表される化合物であることが好ましい。なお、式(3-H2-Ab)中、Dは重水素であり、Ar’、Ar14’、およびAr15’は式(3-H2-Aa)中の定義と同一である。式(3-H2-Ab)におけるDは少なくともこの位置が重水素であることを示し、式(3-H2-Ab)におけるその他のいずれか1つ以上の水素が同時に重水素であってもよく、式(3-H2-Ab)における水素がいずれも重水素であることも好ましい。
アントラセン化合物の具体的な例としては、例えば、式(3-131-Y)~式(3-182-Y)で表される化合物、式(3-183-N)、式(3-184-Y)~式(3-284-Y)、および式(3-500)~式(3-557)、および式(3-600)~式(3-605)、および式(3-606-Y)~式(3-626-Y)で表される化合物があげられる。これら式中の水素原子は部分的に、またはすべて重水素で置換されていてもよいが、特に好ましい重水素置換の形態に関しては個別に列挙している。式中のYは-O-、-S-、>N-R29(R29は上記と同じ定義)または>C(-R30(R30は連結していてもよいアリール、またはアルキル)のいずれでもよく、R29は例えばフェニル、R30は例えばメチルである。式番号は、例えばYがOの場合は、式(3-131-Y)は式(3-131-O)とし、Yが-S-または>N-R29の場合はそれぞれ式(3-131-S)または式(3-131-N)とする。
上記式中、Dは重水素である。
これらの化合物の中でも、式(3-131-Y)~式(3-134-Y)、式(3-138-Y)、式(3-140-Y)~式(3-143-Y)、式(3-150-Y)、式(3-153-Y)~式(3-156-Y)、式(3-166-Y)、式(3-168-Y)、式(3-173-Y)、式(3-177-Y)、式(3-180-Y)~式(3-183-N)、式(3-185-Y)、式(3-190-Y)、式(3-223-Y)、式(3-241-Y)、式(3-250-Y)、式(3-252-Y)~式(3-254-Y)、式(3-270-Y)~式(3-284-Y)、式(3-501)、式(3-507)、式(3-508)、式(3-509)、式(3-513)、式(3-514)、式(3-519)、式(3-521)、式(3-538)~式(3-547)もしくは式(3-600)~式(3-605)、および式(3-606-Y)~式(3-626-Y)で表される化合物が好ましい。また、Yは、-O-または>N-R29が好ましく、-O-であることがより好ましい。 Yは、-O-であることが好ましい。また重水素置換の形態も好ましい。
上記のアントラセン化合物は、アントラセン骨格の所望の位置に反応性基を有する化合物と、式(3-H)で表されるアントラセン化合物であればX、Arおよび式(A)の構造などの部分構造に反応性基を有する化合物を出発原料として、鈴木カップリング、根岸カップリング、その他の公知のカップリング反応を応用して製造することができる。これらの反応性化合物の反応性基としては、ハロゲンやボロン酸などがあげられる。具体的な製造方法としては、例えば国際公開第2014/141725号の段落[0089]~[0175]における合成法を参考にすることができる。
[フルオレン化合物]
式(4-H)で表される化合物は基本的にはホストとして機能する。
式(4-H)中、
からR10は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは単結合または連結基を介して式(4-H)におけるフルオレン骨格と結合していてもよい)、ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、ジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、アリールヘテロアリールアミノ(アリールおよびヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRまたはRとR10がそれぞれ独立して結合して縮合環またはスピロ環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは単結合または連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、ジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、アリールヘテロアリールアミノ(アリールおよびヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、式(4-H)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
なお、ヘテロアリールの具体例として、下記式(4-Ar1)、式(4-Ar2)、式(4-Ar3)、式(4-Ar4)または式(4-Ar5)の化合物から任意の1つの水素原子を除いて表される1価の基もあげられる。
式(4-Ar1)から式(4-Ar5)中、Yは、それぞれ独立して、O、Sまたは>N-Rであり、Rはフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニルまたは水素であり、式(4-Ar1)から式(4-Ar5)の構造における少なくとも1つの水素はフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルで置換されていてもよい。
これらのヘテロアリールは、単結合または連結基を介して、式(4-H)におけるフルオレン骨格と結合していてもよい。すなわち、式(4-H)におけるフルオレン骨格と上記ヘテロアリールとが直接結合するだけでなく、それらの間に連結基を介して結合してもよい。この連結基としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、-OCHCH-、-CHCHO-、または、-OCHCHO-などがあげられる。
また、式(4-H)中のRとR、RとR、RとR、RとR、RとRまたはRとRがそれぞれ独立して結合して縮合環を、RとR10が結合してスピロ環を形成していてもよい。RからRにより形成された縮合環は、式(4-H)におけるベンゼン環に縮合する環であり、脂肪族環または芳香族環である。好ましくは芳香族環であり、式(4-H)におけるベンゼン環を含めた構造としてはナフタレン環やフェナントレン環などがあげられる。RとR10により形成されたスピロ環は、式(4-H)における5員環にスピロ結合する環であり、脂肪族環または芳香族環である。好ましくは芳香族環であり、フルオレン環などがあげられる。
式(4-H)で表される化合物は、好ましくは、下記式(4-H-1)、式(4-H-2)または式(4-H-3)で表される化合物であり、それぞれ、式(4-H)においてRとRが結合して形成されたベンゼン環が縮合した化合物、式(4-H)においてRとRが結合して形成されたベンゼン環が縮合した化合物、式(4-H)においてRからRのいずれもが結合していない化合物である。
式(4-H-1)、式(4-H-2)および式(4-H-3)におけるRからR10の定義は式(4-H)において対応するRからR10と同じであり、式(4-H-1)および式(4-H-2)におけるR11からR14の定義も式(4-H)におけるRからR10と同じである。
式(4-H)で表される化合物は、さらに好ましくは、下記式(4-H-1A)、式(4-H-2A)または式(4-H-3A)で表される化合物であり、それぞれ、式(4-H-1)、式(4-H-2)または式(4-H-3)においてRとR10が結合してスピロ-フルオレン環が形成された化合物である。
式(4-H-1A)、式(4-H-2A)および式(4-H-3A)におけるRからRの定義は式(4-H-1)、式(4-H-2)および式(4-H-3)において対応するRからRと同じであり、式(4-H-1A)および式(4-H-2A)におけるR11からR14の定義も式(4-H-1)および式(4-H-2)におけるR11からR14と同じである。
また、式(4-H)で表される化合物における水素は、その全てまたは一部がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
本発明のホストとしてのフルオレン化合物のさらに具体的な例としては、以下の構造式で表される化合物があげられる。
[ピレン化合物]
ホストとしてのピレン化合物は、例えば下記式(6-H)で表される化合物である。
上記式(6-H)中、RからR11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、RからR11のうち隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは単結合または連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、そして、
式(6-H)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
ピレン化合物としては例えば、国際公開第2021/210304号、国際公開第2021/210305号、または国際公開第2021/049659号に記載のピレン化合物があげられる。
ピレン化合物の具体例としては以下の化合物があげられる。
[ジベンゾクリセン化合物]
ホストとしてのジベンゾクリセン化合物は、例えば下記式(5-H)で表される化合物である。
式(5-H)中、RからR16は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは単結合または連結基を介して式(5-H)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、RからR16のうち隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは単結合または連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、式(5-H)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
式(5-H)の定義におけるアルケニルとしては、例えば、炭素数2~30のアルケニルがあげられ、炭素数2~20のアルケニルが好ましく、炭素数2~10のアルケニルがより好ましく、炭素数2~6のアルケニルがさらに好ましく、炭素数2~4のアルケニルが特に好ましい。好ましいアルケニルは、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、または5-ヘキセニルである。
なお、ヘテロアリールの具体例として、下記式(5-Ar1)、式(5-Ar2)、式(5-Ar3)、式(5-Ar4)または式(5-Ar5)の化合物から任意の1つの水素原子を除いて表される1価の基もあげられる。
式(5-Ar1)から式(5-Ar5)中、Yは、それぞれ独立して、O、Sまたは>N-Rであり、Rはフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニルまたは水素であり、式(5-Ar1)から式(5-Ar5)の構造における少なくとも1つの水素はフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルで置換されていてもよい。
これらのヘテロアリールは、単結合または連結基を介して、式(5-H)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい。すなわち、式(5-H)におけるジベンゾクリセン骨格と上記ヘテロアリールとが直接結合するだけでなく、それらの間に連結基を介して結合してもよい。この連結基としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、-OCHCH-、-CHCHO-、または、-OCHCHO-などがあげられる。
式(5-H)で表される化合物は、好ましくは、R、R、R、R、R、R12、R13およびR16は水素である。この場合、式(5-H)中のR、R、R、R、R10、R11、R14およびR15は、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、式(5-Ar1)、式(5-Ar2)、式(5-Ar3)、式(5-Ar4)もしくは式(5-Ar5)の構造を有する1価の基(当該構造を有する1価の基は、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、-OCHCH-、-CHCHO-、または、-OCHCHO-を介して、式(5-H)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい)、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルであることが好ましい。
式(5-H)で表される化合物は、より好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R15およびR16は水素である。この場合、式(5-H)中のR、R、R11およびR14の少なくとも1つ(好ましくは1つまたは2つ、より好ましくは1つ)は、単結合、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、-OCHCH-、-CHCHO-、または、-OCHCHO-を介した、式(5-Ar1)、式(5-Ar2)、式(5-Ar3)、式(5-Ar4)または式(5-Ar5)の構造を有する1価の基であり、前記少なくとも1つ以外(すなわち、前記構造を有する1価の基が置換した位置以外)は水素、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルで置換されていてもよい。
また、式(5-H)中のR、R、R、R、R10、R11、R14およびR15として、式(5-Ar1)から式(5-Ar5)で表される構造を有する1価の基が選択された場合には、当該構造における少なくとも1つの水素は式(5-H)中のRからR16のいずれかと結合して単結合を形成していてもよい。
本発明のホストとしてのジベンゾクリセン化合物のさらに具体的な例としては、以下の構造式で表される化合物があげられる。
[フルオランテン化合物]
ホストとしてのフルオランテン化合物は、例えば下記式(7-H)で表される化合物である。
上記式(7-H)中、
からR10は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、RからR10のうち隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは単結合または連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、そして、
式(7-H)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
式(7-H)で表されるフルオランテン化合物としては、下記式(7-H-1)であることも好ましい。
上記式(7-H-1)中、
からR12の定義は、式(7-H)中のRからR10と同じであり、そして、
式(7-H-1)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
本発明のホストとしてのフルオランテン化合物のさらに具体的な例としては、以下の構造式で表される化合物があげられる。
[ベンゾアントラセン化合物]
ホストとしてのベンゾアントラセン化合物は、例えば下記式(8-H)で表される化合物である。
上記式(8-H)中、
からR12は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、RからR12のうち隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは単結合または連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、そして、
式(8-H)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
本発明のホストとしてのベンゾアントラセン化合物のさらに具体的な例としては、以下の構造式で表される化合物があげられる。
上述した発光層用材料(ホスト材料およびドーパント材料)は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、発光層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多環芳香族化合物での説明を引用できる。
<アシスティングドーパントとエミッティングドーパントとを含む発光層>
有機電界発光素子における発光層は、第1成分としてのホスト化合物、第2成分としてのアシスティングドーパント(化合物)、および第3成分としてのエミッティングドーパント(化合物)を含むものであってもよい。本発明の多環芳香族化合物はエミッティングドーパントとして用いることも好ましい。アシスティングドーパント(化合物)としては熱活性型遅延蛍光体を用いることができる。
以下の説明では、熱活性型遅延蛍光体をアシスティングドーパントとして用いる有機電界発光素子を、「TAF素子」(TADF Assisting Fluorescence素子)ということがある。TAF素子における「ホスト化合物」とは、蛍光スペクトルのピーク短波長側の肩より求められる最低励起一重項エネルギー準位が、第2成分としての熱活性型遅延蛍光体、および、第3成分としてのエミッティングドーパントよりも高い化合物のことを意味する。
「熱活性型遅延蛍光体」とは、熱エネルギーを吸収して最低励起三重項状態から最低励起一重項状態への逆項間交差を起こし、その最低励起一重項状態から放射失活して遅延蛍光を放射しうる化合物のことを意味する。ただし、「熱活性型遅延蛍光」とは、最低励起三重項状態から最低励起一重項状態への励起過程で高次三重項を経るものも含む。例えば、Durham大学 Monkmanらによる論文(NATURE COMMUNICATIONS,7:13680,DOI: 10.1038/ncomms13680)、産業技術総合研究所 細貝らによる論文(Hosokai et al., Sci. Adv. 2017;3: e1603282)、京都大学 佐藤らによる論文(Scientific Reports,7:4820, DOI:10.1038/s41598-017-05007-7)および、同じく京都大学 佐藤らによる学会発表(日本化学会第98春季年会、発表番号:2I4-15、DABNAを発光分子として用いた有機電界発光における高効率発光の機構、京都大学大学院工学研究科)などがあげられる。本発明では、対象化合物を含むサンプルについて、300Kで蛍光寿命を測定したとき、遅い蛍光成分が観測されたことをもって該対象化合物が「熱活性型遅延蛍光体」であると判定することとする。ここで、遅い蛍光成分とは、蛍光寿命が0.1μsec以上であるもののことを言う。蛍光寿命の測定は、例えば蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス社製、C11367-01)を用いて行うことができる。
本発明の多環芳香族化合物は、エミッティングドーパントとして機能させることができ、「熱活性型遅延蛍光体」は、本発明の多環芳香族化合物の発光をアシストするアシスティングドーパントとして機能させることができる。
本態様において、ホスト化合物としては、公知のものを用いることができ、例えばカルバゾール環およびフラン環の少なくとも一方を有する化合物をあげることができ、中でも、フラニルおよびカルバゾリルの少なくとも一方と、アリーレンおよびヘテロアリーレンの少なくとも一方とが結合した化合物を用いることが好ましい。具体例として、式(H1)、(H2)および(H3)のいずれかで表される化合物、特にmCPやmCBPなどがあげられる。
ホスト化合物の燐光スペクトルのピーク短波長側の肩より求められる最低励起三重項エネルギー準位E(1,T,Sh)は、発光層内でのTADFの発生を阻害せず促進させる観点から、発光層内において最も高い最低励起三重項エネルギー準位を有するエミッティングドーパントまたはアシスティングドーパントの最低励起三重項エネルギー準位E(2,T,Sh)、E(3,T,Sh)に比べて高い方が好ましく、具体的には、ホスト化合物の最低励起三重項エネルギー準位E(1,T,Sh)はE(2,T,Sh)、E(3,T,Sh)に比べて、0.01eV以上が好ましく、0.03eV以上がより好ましく、0.1eV以上がさらに好ましい。また、ホスト化合物にTADF活性な化合物を用いてもよい。
ホスト化合物には、例えば、上記式(H1)、(H2)および(H3)のいずれかで表される化合物を用いることができる。
<熱活性型遅延蛍光体(アシスティングドーパント)>
TAF素子で用いる熱活性型遅延蛍光体(TADF化合物)は、ドナーと呼ばれる電子供与性の置換基とアクセプターと呼ばれる電子受容性の置換基を用いて分子内のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)とLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)を局在化させて、効率的な逆項間交差(reverse intersystem crossing)が起きるようにデザインされた、ドナー-アクセプター型熱活性型遅延蛍光体(D-A型TADF化合物)であることが好ましい。ここで、本明細書中において「電子供与性の置換基」(ドナー)とは、熱活性型遅延蛍光体分子中でHOMOが局在する置換基および部分構造のことを意味し、「電子受容性の置換基」(アクセプター)とは、熱活性型遅延蛍光体分子中でLUMOが局在する置換基および部分構造のことを意味することとする。
一般的に、ドナーやアクセプターを用いた熱活性型遅延蛍光体は、構造に起因してスピン軌道結合(SOC: Spin Orbit Coupling)が大きく、かつ、HOMOとLUMOの交換相互作用が小さくΔE(ST)が小さいために、非常に速い逆項間交差速度が得られる。本発明の多環芳香族化合物をエミッティングドーパントとして、熱活性型遅延蛍光体(TADF材料)をアシスティングドーパントとして用いることにより、高い効率、高い色純度、および長寿命のいずれかまたは全てを満たす素子を与えることができる。熱活性型遅延蛍光体は、その発光スペクトルが本発明の多環芳香族化合物の吸収スペクトルと少なくとも一部重なる化合物であればよい。本発明の多環芳香族化合物と熱活性型遅延蛍光体とはいずれも同じ層に含まれていてもよく、隣接する層またはその他の近接する層に含まれていてもよい。
TAF素子における熱活性型遅延蛍光体として、例えばドナーおよびアクセプターが直接またはスペーサーを介して結合している化合物を用いることができる。本発明の熱活性型遅延蛍光体に用いられる電子供与性基(ドナー性の構造)および電子受容性基(アクセプター性の構造)としては、例えば、Chemistry of Materials, 2017, 29, 1946-1963に記載の構造を用いることができる。ドナー性の構造としては、カルバゾール、ジメチルカルバゾール、ジ-tert-ブチルカルバゾール、ジメトキシカルバゾール、テトラメチルカルバゾール、ベンゾフルオロカルバゾール、ベンゾチエノカルバゾール、フェニルジヒドロインドロカルバゾール、フェニルビカルバゾール、ビカルバゾール、ターカルバゾール、ジフェニルカルバゾリルアミン、テトラフェニルカルバゾリルジアミン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、フェノチアジン、ジメチルジヒドロアクリジン、ジフェニルアミン、ビス(tert-ブチルフェニル)アミン、N1-(4-(ジフェニルアミノ)フェニル)-N4,N4-ジフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、ジメチルテトラフェニルジヒドロアクリジンジアミン、テトラメチル-ジヒドロ-インデノアクリジンおよびジフェニルージヒドロジベンゾアザシリンなどがあげられる。アクセプター性の構造としては、スルホニルジベンゼン、ベンゾフェノン、フェニレンビス(フェニルメタノン)、ベンゾニトリル、イソニコチノニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリル、パラフタロニトリル、ベンゼントリカルボニトリル、トリアゾール、オキサゾール、チアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビス(チアゾール)、ベンゾオキサゾール、ベンゾビス(オキサゾール)、キノリン、ベンゾイミダゾール、ジベンゾキノキサリン、ヘプタアザフェナレン、チオキサントンジオキシド、ジメチルアントラセノン、アントラセンジオン、5H-シクロペンタ[1,2-b:5,4-b’]ジピリジン、フルオレンジカルボニトリル、トリフェニルトリアジン、ピラジンジカルボニトリル、ピリミジン、フェニルピリミジン、メチルピリミジン、ピリジンジカルボニトリル、ジベンゾキノキサリンジカルボニトリル、ビス(フェニルスルホニル)ベンゼン、ジメチルチオキサンテンジオキシド、チアンスレンテトラオキシドおよびトリス(ジメチルフェニル)ボランがあげられる。特に、TAF素子における熱活性型遅延蛍光を有する化合物は、部分構造として、カルバゾール、フェノキサジン、アクリジン、トリアジン、ピリミジン、ピラジン、チオキサンテン、ベンゾニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリル、ジフェニルスルホン、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールおよびベンゾフェノンから選択される少なくとも1つを有する化合物であることが好ましい。
TAF素子における発光層の第2成分として用いる化合物は、熱活性型遅延蛍光体であって、その発光スペクトルがエミッティングドーパントの吸収ピークと少なくとも一部重なる化合物であることが好ましい。以下において、TAF素子における発光層の第2成分(熱活性型遅延蛍光体)として用いることができる化合物を例示する。ただしTAF素子において熱活性型遅延蛍光体として用いることができる化合物は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。
さらに、熱活性型遅延蛍光体として、下記式(AD1)、(AD2)および(AD3)のいずれかで表される化合物も用いることができる。
上記式(AD1)、(AD2)および(AD3)中、Mは、それぞれ独立して、単結合、-O-、>N-Arまたは>CArであり、形成する部分構造のHOMOの深さおよび最低励起一重項エネルギー準位および最低励起三重項エネルギー準位の高さの観点から、好ましくは、単結合、-O-または>N-Arである。Jはドナー性の部分構造とアクセプター性の部分構造を分けるスペーサー構造であり、それぞれ独立して、炭素数6~18のアリーレンであり、ドナー性の部分構造とアクセプター性の部分構造から染み出す共役の大きさの観点から、炭素数6~12のアリーレンが好ましい。より具体的には、フェニレン、メチルフェニレンおよびジメチルフェニレンがあげられる。Qは、それぞれ独立して、=C(-H)-または=N-であり、形成する部分構造のLUMOの浅さおよび最低励起一重項エネルギー準位および最低励起三重項エネルギー準位の高さの観点から、好ましくは、=N-である。Arは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~24のアリール、炭素数2~24のヘテロアリール、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~18のシクロアルキルであり、形成する部分構造のHOMOの深さおよび最低励起一重項エネルギー準位および最低励起三重項エネルギー準位の高さの観点から、好ましくは、水素、炭素数6~12のアリール、炭素数2~14のヘテロアリール、炭素数1~4のアルキルまたは炭素数6~10のシクロアルキルであり、より好ましくは、水素、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ビフェニル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、カルバゾリル、ジメチルカルバゾリル、ジーtert-ブチルカルバゾリル、ベンゾイミダゾリルまたはフェニルベンゾイミダゾリルであり、さらに好ましくは、水素、フェニルまたはカルバゾリルである。mは、1または2である。nは、(6-m)以下の整数であり、立体障害の観点から、好ましくは、4~(6-m)の整数である。さらに、上記各式で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
本態様の第2成分として用いる化合物は、より具体的に言えば、4CzBN、4CzBN-Ph、5CzBN、3Cz2DPhCzBN、4CzIPN、2PXZ-TAZ、Cz-TRZ3、BDPCC-TPTA、MA-TA、PA-TA、FA-TA、PXZ-TRZ、DMAC-TRZ、BCzT、DCzTrz、DDCzTRz、spiroAC-TRZ、Ac-HPM、Ac-PPM、Ac-MPM、TCzTrz、TmCzTrzおよびDCzmCzTrzであることが好ましい。
本態様の第2成分として用いる化合物は、1つのドナーDと1つのアクセプターAが直接結合または連結基を介して結合しているD-Aで表されるドナーアクセプター型TADF化合物でもよいが、1つのアクセプターAに複数のドナーDが直接結合または連結基を介して結合している下記式(DAD1)で表される構造を有するものであることが、有機電界発光素子の特性がより優れたものになるため好ましい。
(D-L)n-A (DAD1)
式(DAD1)には、下記式(DAD2)で表される化合物が含まれる。
-L-A-L-D (DAD2)
式(DAD1)および式(DAD2)において、D、DおよびDはそれぞれ独立してドナー性基を表す。ドナー性基としては、上記のドナー性の構造を採用することができる。AおよびAはそれぞれ独立してアクセプター性基を表す。アクセプター性基としては、上記のアクセプター性の構造を採用することができる。L、LおよびLはそれぞれ独立して単結合または共役連結基を表す。共役連結基はドナー性基とアクセプター性基を分けるスペーサー構造であり、炭素数6~18のアリーレンであることが好ましく、炭素数6~12のアリーレンがより好ましい。L、LおよびLは、それぞれ独立してフェニレン、メチルフェニレンまたはジメチルフェニレンであることがさらに好ましい。式(DAD1)におけるnは2以上であって、Aが置換しうる最大数以下の整数を表す。nは例えば2~10の範囲内で選択したり、2~6の範囲内で選択したりしてもよい。nが2であるとき、式(DAD2)で表される化合物になる。n個のDは同一であっても異なっていてもよく、n個のLは同一であっても異なっていてもよい。式(DAD1)および式(DAD2)で表される化合物の好ましい具体例として、2PXZ-TAZや下記の化合物をあげることができるが、本発明で採用することができる第2成分はこれらの化合物に限定されない。
本態様において、発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよい。また、ホスト化合物、熱活性型遅延蛍光体および本発明の多環芳香族化合物は、同一の層内に含まれていてもよく、複数層に少なくとも1成分ずつ含まれていてもよい。発光層が含むホスト化合物、熱活性型遅延蛍光体および本発明の多環芳香族化合物は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。アシスティングドーパントおよびエミッティングドーパントは、マトリックスとしてのホスト化合物中に、全体的に含まれていてもよいし、部分的に含まれていてもよい。アシスティングドーパントおよびエミッティングドーパントがドープされた発光層は、ホスト化合物とアシスティングドーパントとエミッティングドーパントを三元共蒸着法によって成膜する方法、ホスト化合物とアシスティングドーパントとエミッティングドーパントを予め混合してから同時に蒸着する方法、ホスト化合物とアシスティングドーパントとエミッティングドーパントを有機溶媒に溶解して調製した発光層形成用組成物(塗料)を塗布する、湿式成膜法等により形成することができる。
ホスト化合物の使用量はホスト化合物の種類によって異なり、そのホスト化合物の特性に合わせて決めればよい。ホスト化合物の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全質量の40~99質量%であり、より好ましくは50~98質量%であり、さらに好ましくは60~95質量%である。上記の範囲であれば、例えば、効率的な電荷の輸送と、ドーパントへの効率的なエネルギーの移動の点で好ましい。
アシスティングドーパント(熱活性型遅延蛍光体)の使用量はアシスティングドーパントの種類によって異なり、そのアシスティングドーパントの特性に合わせて決めればよい。アシスティングドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全質量の1~60質量%であり、より好ましくは2~50質量%であり、さらに好ましくは5~30質量%である。上記の範囲であれば、例えば、効率的にエネルギーをエミッティングドーパントへ移動させられるという点で好ましい。
エミッティングドーパント(ホウ素原子を有する化合物)の使用量はエミッティングドーパントの種類によって異なり、そのエミッティングドーパントの特性に合わせて決めればよい。エミッティングドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全質量の0.001~30質量%であり、より好ましくは0.01~20質量%であり、さらに好ましくは0.1~10質量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
エミッティングドーパントの使用量は低濃度である方が濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。アシスティングドーパントの使用量が高濃度である方が熱活性型遅延蛍光機構の効率の点からは好ましい。さらには、アシスティングドーパントの熱活性型遅延蛍光機構の効率の点からは、アシスティングドーパントの使用量に比べてエミッティングドーパントの使用量が低濃度である方が好ましい。
<2-1-3.有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機EL素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<2-1-4.有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および正孔輸送層104のいずれか1つが設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3-メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100~5Ω/□、好ましくは50~5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50~300nmの間で用いられることが多い。
<2-1-5.有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N-アリールカルバゾール)またはビス(N-アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン、芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pfeiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、または、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。本発明の多環芳香族化合物は正孔注入層形成用材料または正孔輸送層形成用材料として用いてもよい。
<2-1-6.有機電界発光素子における電子阻止層>
正孔注入・輸送層と発光層との間には発光層からの電子の拡散を防ぐ電子阻止層を設けてもよい。電子阻止層の形成には、上述の式(H1)、(H2)および(H3)のいずれかで表される化合物を用いることができる。本発明の多環芳香族化合物は電子阻止層形成用材料として用いてもよい。
<2-1-7.有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、アリールニトリル誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3-ビス[(4-t-ブチルフェニル)1,3,4-オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N-ナフチル-2,5-ジフェニル-1,3,4-トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’-ビス(ベンゾ[h]キノリン-2-イル)-9,9’-スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3-ビス(2,2’:6’,2”-テルピリジン-4’-イル)ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1-ナフチル)-4-(1,8-ナフチリジン-2-イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、インドール誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体などがあげられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリノール系金属錯体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体が好ましい。
本発明の多環芳香族化合物は電子注入層形成用材料または電子輸送層形成用材料として用いてもよい。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0~2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属があげられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
<2-1-8.有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム-リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<2-1-9.各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<2-1-10.有機電界発光素子の作製方法>
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm~5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50~+400℃、真空度10-6~10-3Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-150~+300℃、膜厚2nm~5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として印加すればよく、電圧2~40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<2-1-11.有機電界発光素子の応用例>
有機EL素子は表示装置または照明装置などにも応用することができる。
有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよびセグメント方式のいずれか1つなどがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、有機EL素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
<2-2.その他の有機デバイス>
本発明に係る多環芳香族化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多環芳香族化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造があげられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多環芳香族化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
<3.波長変換材料>
本発明の多環芳香族化合物は、波長変換材料として使用することができる。
現在、色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明などへ応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長の光へと波長変換することであり、例えば、紫外光や青色光を緑色光や赤色発光へと変換することを表す。この色変換機能を有する波長変換材料をフィルム化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有する波長変換フィルムを組み合わせた白色光源を光源ユニットとし、液晶駆動部分と、カラーフィルターと組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また、液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、例えばLED照明などの白色光源として応用できる。また、青色有機EL素子を光源として、青色光を緑色光および赤色光に変換する波長変換フィルムと組み合わせて用いることでメタルマスクを用いないフルカラー有機ELディスプレイの作製が可能になる。さらに、青色マイクロLEDを光源として、青色光を緑色光および赤色光に変換する波長変換フィルムと組み合わせて用いることで低コストのフルカラーマイクロLEDディスプレイの作製が可能になる。
本発明の多環芳香族化合物は、この波長変換材料として使用することができる。本発明の多環芳香族化合物を含む波長変換材料を用いて、紫外光やより短波長の青色光を生成する光源や発光素子からの光を、表示装置(有機EL素子を利用した表示装置や液晶表示装置)での利用に適した色純度の高い青色光や緑色光に変換することができる。変換される色の調整は、本発明の多環芳香族化合物の置換基、後述の波長変換用組成物で用いるバインダー樹脂等を適宜選択することにより行うことができる。波長変換材料は本発明の多環芳香族化合物を含む波長変換用組成物として調製することができる。また、この波長変換用組成物を用いて波長変換フィルムを形成してもよい。
波長変換用組成物は、本発明の多環芳香族化合物のほか、バインダー樹脂、その他の添加剤、および溶媒を含んでいてもよい。バインダー樹脂としては、例えば国際公開第2016/190283号の段落0173~0176に記載のものを用いることができる。その他の添加剤としては、国際公開第2016/190283号の段落0177~0181に記載の化合物を用いることができる。溶媒としては、上記の発光層形成用組成物に含まれる溶媒の記載を参照することができる。
波長変換フィルムは波長変換用組成物の硬化により形成される波長変換層を含む。波長変換用組成物からの波長変換層の作製方法としては公知のフィルム形成方法を参照することができる。波長変換フィルムは本発明の多環芳香族化合物を含む組成物から形成される波長変換層のみからなっていてもよく、他の波長変換層(例えば、青色光を緑色光や赤色光に変換する波長変換層、青色光や緑色光を赤色光に変換する波長変換層)を含んでいてもよい。さらに波長変換フィルムは基材層や、色変換層の酸素、水分、または熱による劣化を防ぐためのバリア層を含んでいてもよい。
以下,実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが,本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例において、APCI-MSは大気圧化学イオン化質量分析を意味する。
<<合成例>>
<合成例(1):化合物(1-015)の合成>
窒素雰囲気下、5-ブロモベンゾ[b]チオフェン(68.6g)、2-(6-(tert-ブチル)ナフタレン‐2-イル)-4,4,5,5-テトラメチル‐1,3,2-ジオキサボロラン(100g)、パラジウム触媒としてジクロロビス[ジ-t-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)(Pd-132)(0.685g)、炭酸カリウム(66.8g)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)(100ml)、および水(300mL)をフラスコに入れ、90℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に水とトルエンを加え撹拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して得た粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。さらにエタノール(200ml)から再結晶して、中間体(Int-1-1)を得た(87.6g)。
窒素雰囲気下、中間体(Int-1-1)(87.6g)およびTHF(440mL)をフラスコに入れ、0℃に冷却した。そこへN-ブロモスクシンイミド(NBS)(54.2g)を加え、45℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に亜硫酸ナトリウム水溶液とトルエンを加え撹拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して得た粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:ヘプタン)で精製した。さらにエタノール(200ml)から再結晶して、中間体(Int-1-2)を得た(91.4g)。
窒素雰囲気下、中間体(Int-1-2)(30.0g)、4-(tert-ブチル)アニリン(11.3g)、パラジウム触媒としてPd-132(1.07g)、tBuONa(10.9g)、およびトルエン(240ml)をフラスコに入れ、還流温度で2時間撹拌した。反応終了後、反応液に水とトルエンを加え撹拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して得た粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/4(容量比))で精製することで、中間体(Int-1-3)を得た(29.6g)。
窒素雰囲気下、中間体(Int-1-4)(30.0g)、5-(tert-ブチル)-1,2,3-トリクロロベンゼン(21.1g)、パラジウム触媒としてPd-132(1.89g)、tBuONa(12.8g)、およびトルエン(240ml)をフラスコに入れ、還流温度で4時間撹拌した。反応終了後、反応液に水とトルエンを加え撹拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して得た粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/9(容量比))で精製した。更にエタノールから再結晶して、中間体(Int-1-5)を得た(37.3g)。
窒素雰囲気下、中間体(Int-1-5)(30.0g)、中間体(Int-1-3)(25.8g)、パラジウム触媒としてPd-132(1.18g)、tBuONa(10.7g)、およびトルエン(240ml)をフラスコに入れ、還流温度で2時間撹拌した。反応終了後、反応液に水と酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して得た粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/3(容量比))で精製することで、中間体(Int-1-015)を得た(40.9g)。
中間体(Int-1-015)(15.0g)およびt-ブチルベンゼン(150ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.60Mのt-ブチルリチウムペンタン溶液(19.4ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t-ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。-50℃まで冷却して三臭化ホウ素(7.78g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.01g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、70℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/2(容量比))で精製した。得られた粗成生物をトルエンから再結晶して、化合物(1-015)を得た(2.62g)。
APCI-MSによりm/z(M+H)=939.61の目的物であることを確認した。
<合成例(2):化合物(1-103)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-103)から化合物(1-103)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=923.51の目的物であることを確認した。
<合成例(3):化合物(1-022)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-022)から化合物(1-022)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=973.70の目的物であることを確認した。
<合成例(4):化合物(1-082)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-082)から化合物(1-082)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1123.74の目的物であることを確認した。
<合成例(5):化合物(1-133)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-133)から化合物(1-133)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1014.53の目的物であることを確認した。
<合成例(6):化合物(1-151)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-151)から化合物(1-151)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=869.56の目的物であることを確認した。
<合成例(7):化合物(1-071)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-071)から化合物(1-071)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1238.80の目的物であることを確認した。
<合成例(8):化合物(1-056)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-056)から化合物(1-056)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1104.52の目的物であることを確認した。
<合成例(9):化合物(1-173)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-173)から化合物(1-173)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1090.56の目的物であることを確認した。
<合成例(10):化合物(1-170)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-170)から化合物(1-170)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1045.67の目的物であることを確認した。
<合成例(11):化合物(1-203)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-203)から化合物(1-203)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1156.68の目的物であることを確認した。
<合成例(12):化合物(1-205)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-205)から化合物(1-205)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1104.63の目的物であることを確認した。
<合成例(13):化合物(1-211)の合成>
化合物(1-015)の合成と同様にして、中間体(Int-1-211)から化合物(1-211)を得た。
APCI-MSによりm/z(M+H)=1306.55の目的物であることを確認した。
<有機EL素子への応用の可能性>
本発明の化合物は、適切なエネルギーギャップ(Eg)、高い三重項励起エネルギー(E)および小さいΔESTを特徴として有するため、例えば発光層および電荷輸送層への適用が期待でき、特に発光層への適用が期待できる。
<B.蒸着型有機EL素子の評価>
次に、本発明の多環芳香族化合物を用いた有機EL素子の作製と評価について記載する。
<有機EL素子の構成>
実施例B1~B13、および比較例B1~B4の有機EL素子における各層の材料構成を下記表1および表2に示す。
表1および表2における、「HI」、「HAT-CN」、「HT-1」、「HT-2」、「ET-1」、「ET-2」、「BH」、「Liq」、および CN115925731Aに記載の「比較化合物(1)および比較化合物(2)」、WO2022050710A1に記載の「比較化合物(3)」、CN117209461Aに記載の「比較化合物(4)」の化学構造を以下に示す。
<実施例B1の素子>
スパッタリングにより180nmの厚さに成膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、HAT-CN、HT-1、HT-2、BH、化合物(1-015)、ET-1およびET-2をそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、HAT-CNを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT-1を加熱して膜厚45nmになるように蒸着し、次に、HT-2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して、4層からなる正孔層を形成した。次に、BHと化合物(1-015)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BHと化合物(1-015)の質量比がおよそ97対3になるように蒸着速度を調節した。さらに、ET-1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET-2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して、2層からなる電子層を形成した。ET-2とLiqの質量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒であった。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。
<実施例B2~B13、および比較例B1~B4の素子>
化合物(1-015)の代わりに、表1~表2に記載の各ドーパント材料を用いた以外は実施例B1と同様にして、実施例B2~B13、および比較例B1~B4の有機EL素子を得た。
<有機EL特性の評価>
実施例B1~B13、および比較例B1~B4の有機EL素子について、ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m発光時の駆動電圧、外部量子効率、および素子寿命を測定した。なお、素子寿命は、1000cd/m発光時の電圧で連続駆動をして、初期輝度の95%以上の輝度を保持する時間である。結果を表3および表4に示す。
発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、内部量子効率は、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示している。一方、外部量子効率は、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出され、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりあるいは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/mになる電圧を印加して素子を発光させる。TOPCON社製分光放射輝度計SR-3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。
以上、本発明に係る化合物の一部について、有機EL素子用材料としての評価を行い、優れた材料であることを示したが、評価を行っていない他の化合物も同じ基本骨格を有し、全体としても類似の構造を有する化合物であり、当業者においては同様に優れた有機EL素子用材料であることを理解できる。
本発明の多環芳香族化合物は有機デバイス用材料、特に有機電界発光素子の発光層形成のための発光層用材料として有用である。本発明の多環芳香族化合物を発光層用ドーパントとして用いることで、長寿命、低駆動電圧または高効率発光、特に長寿命または高効率発光の有機電界発光素子が得られる。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (17)

  1. 式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物;
    式(1)中、
    a1~Ra3、Rb1~Rb4、Rc1~Rc4は、はそれぞれ独立して、水素または置換基であり、ただし、Rc1~Rc4の 少なくとも1つは、式(1-1)で表される基であり;
    は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、前記Si-Rおよび前記Ge-RのRは置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり;
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N-RNX、>C(-RCX、>Si(-RIX、>S、または>Seであり、RNXは水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、RCXはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCXは互いに結合して環を形成していてもよく、RIXはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRIXは互いに結合して環を形成していてもよく、また、RNX、RCX、およびRIXは、それぞれ連結基または単結合によりRa3またはRb1が結合する炭素の少なくとも1つと結合していてもよく、Ra1またはRc4が結合する炭素の少なくとも1つと結合していてもよく;
    式(1-1)中、
    *は結合位置を示し;
    d1~Rd7はそれぞれ独立して、水素または置換基であり;
    前記構造における、アリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択される少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンは少なくとも1つの置換基で置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置き換えられていてもよく;
    前記構造において、少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの窒素は窒素-15(15N)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの硫黄は硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)または硫黄-36(36S)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの酸素は酸素-17(17O)または酸素-18(18O)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの炭素は炭素-13(13C)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つのホウ素はホウ素-11(11B)で置き換えられていてもよい。
  2. およびXが、いずれも>N-RNXである、請求項1に記載の多環芳香族化合物。
  3. NXがそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のフェニル、置換もしくは無置換のビフェニリル、置換もしくは無置換のテルフェニリル、置換もしくは無置換のジベンゾフラニル、または置換もしくは無置換のカルバゾリルであり、RNX中のアリール環またはヘテロアリール環は少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい、請求項2に記載の多環芳香族化合物。
  4. 前記YはBである、請求項1に記載の多環芳香族化合物。
  5. a1~Ra3がそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換シリルである、請求項1に記載の多環芳香族化合物。
  6. a1およびRa3がいずれも水素であり、Ra2が水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換シリルである、請求項5に記載の多環芳香族化合物。
  7. b1~Rb4のうち、Rb2またはRb3が置換基であり、Rb1およびRb4がいずれも水素であるか、または
    b2およびRb3が互いに結合して式(B11)または式(B12)で表される部分構造を形成し、かつRb1およびRb4がいずれも水素である、請求項1に記載の多環芳香族化合物;
    式(B11)および式(B12)の各中、Meはメチルであり、*は結合位置を示す。
  8. b1~Rb4のうち、Rb2が置換もしくは無置換のジアリールアミノである、請求項1に記載の多環芳香族化合物。
  9. C2およびRC3のうち少なくとも1つは、式(1-1)で表される基である、請求項1に記載の多環芳香族化合物。
  10. 式(1-1)中、Rd1~Rd7がそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、または無置換のアルキルである、請求項1に記載の多環芳香族化合物。
  11. 式(1-1)中、Rd1~Rd3、Rd5~Rd7がいずれも水素であり、Rd4が水素、置換もしくは無置換のアリール、または無置換のアルキルである、請求項10に記載の多環芳香族化合物。
  12. 以下のいずれかの式で表される、請求項1に記載の多環芳香族化合物;

    式中、Meはメチル、tBuはt-ブチル、Dは重水素である。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物を含有する、有機デバイス用材料。
  14. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層とを含み、前記発光層が請求項1~12のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物を含有する、有機電界発光素子。
  15. 前記発光層が、ホストとドーパントとを含み、前記ドーパントは多環芳香族化合物を含む、請求項14に記載の有機電界発光素子。
  16. 前記ホストが、アントラセン化合物、フルオレン化合物、またはジベンゾクリセン化合物である、請求項15に記載の有機電界発光素子。
  17. 請求項14に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
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