JP2026032006A - 炭化ケイ素単結晶の製造方法、回帰モデル生成装置、組成推定装置、プログラム、記録媒体、回帰モデル生成方法および組成推定方法 - Google Patents
炭化ケイ素単結晶の製造方法、回帰モデル生成装置、組成推定装置、プログラム、記録媒体、回帰モデル生成方法および組成推定方法Info
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Abstract
【課題】溶液成長法において、SiC単結晶の製造に使用した使用済みの溶液を、再度SiC単結晶の製造の原料として再利用するSiC単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)ケイ素および炭素を含有する溶液20を準備する工程と、(b)溶液20に、炭化ケイ素の種結晶30を接触させ、種結晶30の結晶成長面30a上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を備える炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、(a)工程における溶液20の原料として、先に行われた炭化ケイ素単結晶の製造方法にて使用済みの溶液の固化物を用いる、炭化ケイ素単結晶の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】(a)ケイ素および炭素を含有する溶液20を準備する工程と、(b)溶液20に、炭化ケイ素の種結晶30を接触させ、種結晶30の結晶成長面30a上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を備える炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、(a)工程における溶液20の原料として、先に行われた炭化ケイ素単結晶の製造方法にて使用済みの溶液の固化物を用いる、炭化ケイ素単結晶の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、炭化ケイ素からなる単結晶の製造方法に関する。
例えば、自動車や家電製品などに含まれるモータを制御する回路として、インバータ回路が使用される。このインバータ回路には、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に代表されるパワー半導体素子が使用される。
このようなパワー半導体素子には、例えば、高耐圧の他に低オン抵抗や低スイッチング損失であることが要求される。ここで、パワー半導体素子の現在の主流は、シリコンを主成分とする半導体基板に形成された電界効果トランジスタであるが、このパワー半導体素子は、理論的な性能限界に近づいている。
この点に関し、シリコンよりもバンドギャップの大きな半導体材料を主成分とする半導体基板に形成された電界効果トランジスタを含む半導体素子(以下では、ワイドバンドギャップパワー半導体素子と呼ぶ)が注目されている。
なぜなら、バンドギャップが大きいということは、高い絶縁破壊強度を有していることを意味するから高耐圧を実現しやすくなるからである。
そして、半導体材料自体が高い絶縁破壊強度を有していると、耐圧を保持するドリフト層を薄くしても耐圧を確保できることから、例えば、ドリフト層を薄くするとともに、不純物濃度を高くすることにより、パワー半導体素子のオン抵抗を低減することができる。
すなわち、ワイドバンドギャップパワー半導体素子は、互いにトレードオフの関係にある耐圧の向上とオン抵抗の低減とを両立できる点で優れている。したがって、ワイドバンドギャップパワー半導体素子は、高性能を実現できる半導体素子として期待されている。
シリコンよりもバンドギャップの大きな半導体材料とは、例えば、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga2O3)またはダイヤモンドなどを挙げることができる。以下、炭化ケイ素に着目して説明する。
炭化ケイ素からなる単結晶(以下、SiC単結晶とも呼ぶ)は、例えば、昇華法、高温ガス成長法、溶液成長法、などにより製造できる。
昇華法は、2000℃以上の高温にて原料からシリコンと炭素を蒸発させ、原料よりも低温となっている炭化ケイ素の種結晶上にSiC単結晶を凝結させる方法である。この方法は成長界面が気相と固相であり、かつその温度差が大きいため、育成した結晶は転位密度が大きく結晶品質に課題がある。
高温ガス成長法は、2000℃以上の高温でガス原料を導入し、炭化ケイ素の種結晶上に化学反応によって、SiC単結晶を成長させる方法である。この方法は、昇華法と同様に成長界面が気相と固相であり、かつ温度差が大きいため、育成した結晶は転位密度が大きく結晶品質に課題がある。
これらの方法に対し、溶液成長法は、ケイ素と炭素を含む溶液に、炭化ケイ素の種結晶を浸漬し、溶液内に温度勾配をつけ、成長界面近傍を炭素過飽和状態とすることで、SiC単結晶を成長させる方法である。この方法は、成長界面が液相と固相であり、その温度差が上記方法に比べて小さく、熱平衡状態に近いため、育成した結晶は転位密度が小さく、結晶品質が良いことが分かっている。
しかし、溶液成長法は、昇華法と比較して結晶成長速度が遅いという課題がある。これに対して、成長速度を向上させるため、炭素溶解度を高めることが考えられ、その方法として、クロム(Cr)等の遷移元素を溶液に用いる方法が知られている。
さらに、Si-Cr溶液に表面張力が小さなアルミニウム(Al)を添加することにより結晶成長界面の荒れを抑制し、結晶品質を向上させることができることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、イットリウム(Y)が、CrやTiと比べてSiC単結晶内に取り込まれにくいことから、溶液にYを含有させることで金属の取り込みを少なくして、SiC単結晶における金属不純物濃度の低減を可能とする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、ケイ素の融点よりも低い融点を有する希土類元素を含有させることで多結晶の混入を抑制して高品質なSiC単結晶を成長させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
T. Mitani, et al.: J. Cryst. Growth, 401 (2014) p681-685.
上記した溶液成長法によるSiC単結晶の製造においては、一般に、黒鉛(C)または炭化ケイ素(SiC)からなる坩堝が用いられる。この坩堝を炭素源として、坩堝中に所定の濃度の炭素とケイ素とを含む溶液を保持している。
そして、SiC単結晶を十分に育成した後、そのSiC単結晶の製造装置を高温加熱状態から室温にまで冷却してその製造工程が終了する。このとき、使用した溶液は、冷却により固化するが、冷却時の坩堝との熱収縮率の差に起因して、坩堝の変形や崩壊が生じることがある。また、坩堝は、SiC単結晶の製造においては炭素(C)の溶解が進行するため坩堝の内部形状が変化し、使用した溶液ではケイ素(Si)や炭素(C)が消費されることに加え、冷却時には雑晶の析出等により組成が変化する。雑晶とは、種結晶から成長したSiC結晶以外に発生した4H-SiCや多型の異なるSiCのことである。
そのため、SiC単結晶の製造に用いられた使用後の溶液と坩堝は廃棄され、次のSiC単結晶の製造においては、新規の溶液と坩堝を用意して行われる。上記のように、溶液成長法では炭素の溶解度を向上させる等のために、CrやAlなどの元素を添加しているが、製造する度に新規の溶液が用いられるため、これら添加元素は使用後の溶液と一緒に廃棄されてしまっている。
しかしながら、CrやAlなどの添加元素は、SiC単結晶の製造時には消費されない成分であり、これら添加元素を再度SiC単結晶の製造に使用される原料として再利用できると、資源を有効利用でき、製造コストを低減することもできる。
そこで、本発明は、溶液成長法において、SiC単結晶の製造に使用した使用済みの溶液を、再度SiC単結晶の製造の原料として再利用するSiC単結晶の製造方法を提供することを課題とする。
なお、昇華再結晶法を用いた炭化珪素単結晶インゴットの製造方法において、一旦インゴットを製造した後、坩堝に残留する原料残留物から再生原料粉末を再生処理して得る方法が知られている(特許文献3参照)。
一実施の形態における炭化ケイ素単結晶の製造方法は、(a)ケイ素および炭素を含有する溶液を準備する工程と、(b)前記溶液に、炭化ケイ素の種結晶を接触させ、前記種結晶の結晶成長面上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を備える炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、前記(a)工程における前記溶液の原料として、先に行われた炭化ケイ素単結晶の製造方法にて使用済みの溶液の固化物を用いる。
一実施の形態における回帰モデル生成装置は、溶液成長法による単結晶成長に用いられた使用済みの溶液の組成を推定する組成推定システムに含まれる。この回帰モデル生成装置は、使用前の溶液の組成を示す使用前組成値および単結晶を成長させるための製造条件を入力すると、使用済みの溶液の組成に対する推定値を出力する回帰モデルを生成する回帰モデル生成部を備える。
一実施の形態におけるプログラムは、溶液成長法による単結晶成長に用いられた使用済みの溶液の組成を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。このプログラムは、使用前の溶液の組成を示す使用前組成値および単結晶を成長させるための製造条件を入力すると、使用済みの溶液の組成に対する推定値を出力する回帰モデルを生成する回帰モデル生成処理を備える。
上述したプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
一実施の形態における回帰モデル生成方法は、溶液成長法による単結晶成長に用いられた使用済みの溶液の組成を推定する回帰モデルをコンピュータが生成する方法である。この回帰モデル生成方法は、使用前の溶液の組成を示す使用前組成値および単結晶を成長させるための製造条件を入力すると、使用済みの溶液の組成に対する推定値を出力する前記回帰モデルをコンピュータが生成する回帰モデル生成工程を備える。
一実施の形態における組成推定装置は、溶液成長法による単結晶成長に用いられた使用済みの溶液の組成を推定する組成推定システムに含まれる。この組成推定装置は、使用前の溶液の組成を示す使用前組成値、単結晶を成長させるための製造条件および回帰モデルに基づいて、使用済みの溶液の組成を推定する推定部を備える。ここで、回帰モデルとは、使用前組成値および製造条件を入力すると、使用済みの溶液の組成に対する推定値を出力する関数である。
一実施の形態におけるプログラムは、溶液成長法による単結晶成長に用いられた使用済みの溶液の組成を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。このプログラムは、使用前の溶液の組成を示す使用前組成値、単結晶を成長させるための製造条件および回帰モデルに基づいて、使用済みの溶液の組成を推定する処理を備える。ここで、回帰モデルとは、使用前組成値および製造条件を入力すると、使用済みの溶液の組成に対する推定値を出力する関数である。
上述したプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
一実施の形態における組成推定方法は、溶液成長法による単結晶成長に用いられた使用済みの溶液の組成をコンピュータが推定する方法である。この組成推定方法は、使用前の溶液の組成を示す使用前組成値、単結晶を成長させるための製造条件および回帰モデルに基づいて、コンピュータが使用済みの溶液の組成を推定する工程を備える。ここで、回帰モデルとは、使用前組成値および製造条件を入力すると、使用済みの溶液の組成に対する推定値を出力する関数である。
一実施の形態の炭化ケイ素単結晶の製造方法によれば、溶液成長法におけるSiC単結晶の製造原料を再利用することで、使用する原料の使用量を低減し、効率的に炭化ケイ素単結晶を製造できる。
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために、平面図であってもハッチングを付す場合や、断面図であってもハッチングを省略する場合がある。
<改善の検討>
炭化ケイ素単結晶(SiC単結晶)を溶液成長法で成長させる場合、SiC単結晶を析出させるために、結晶製造に使用する溶液において炭素過飽和状態を作り出す必要がある。したがって、SiC単結晶を成長させる溶液成長法では、炭素過飽和状態を作り出すために、溶液に温度勾配を形成することが行われている。
炭化ケイ素単結晶(SiC単結晶)を溶液成長法で成長させる場合、SiC単結晶を析出させるために、結晶製造に使用する溶液において炭素過飽和状態を作り出す必要がある。したがって、SiC単結晶を成長させる溶液成長法では、炭素過飽和状態を作り出すために、溶液に温度勾配を形成することが行われている。
この場合、溶液には、高温領域と低温領域とが形成され、低温領域において炭素過飽和状態が実現される。このことから、炭化ケイ素の種結晶と接する溶液の領域を炭素過飽和状態が実現される低温領域とするように、溶液に温度勾配を形成することにより、種結晶に結晶を成長させることができる。
上記低温領域の炭素過飽和状態は、主として、炭素(C)とケイ素(Si)を含む溶液の表面において形成され、この溶液表面に種結晶を接触させ、上記のようにSiC単結晶を成長させることができる。このSiC単結晶の製造は、溶液を収容した坩堝を取り囲むように配置された断熱部材(断熱容器)の内部で行われ、この断熱部材内の温度を単結晶製造に適した温度に維持するようにして行われる。
上記課題でも記載しているように、ここで使用する溶液として、SiC単結晶の成長速度や生成する結晶成長界面の荒れを抑制するために、CrやAlを含有するものが知られているが、これら元素を含有させた場合、製造する度に新規の溶液が用いられるため、これら元素も使用後の溶液と共に廃棄されてしまっている。
そこで、本発明者らは、これら元素を再利用して、資源を有効活用するとともに、再利用した場合においても、同様の元素濃度となるように組成を調製して、新たなSiC単結晶の製造を可能とするSiC単結晶の製造方法を見出した。
<実施の形態>
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
この実施の形態について説明するにあたっては、まず、SiC単結晶の製造方法に使用する製造装置について説明する。
[炭化ケイ素単結晶の製造装置]
図1は、本実施の形態のSiC単結晶の製造方法に使用する炭化ケイ素の単結晶製造装置101を説明するために、その構成を模式的に示した図である(使用時の状態)。
図1は、本実施の形態のSiC単結晶の製造方法に使用する炭化ケイ素の単結晶製造装置101を説明するために、その構成を模式的に示した図である(使用時の状態)。
図1において、単結晶製造装置101は、坩堝10と、炉11と、誘導コイル12と、坩堝保持軸13と、結晶保持軸14と、を有して構成されている。
坩堝10は、その内部に、SiC単結晶を成長させるための原料となる結晶製造用の溶液20を収容する容器である。この坩堝10は、例えば、黒鉛(C)または炭化ケイ素(SiC)から構成することで、結晶成長を行う際には、内部にケイ素(Si)および炭素(C)を含む高温の溶液20とできる。
炉11は、その内部に坩堝10を載置可能であり、単結晶を製造するための場を形成する部材である。この炉11は、坩堝10を取り囲むような形状となっており、その内部を所定の高温状態(ホットゾーン)に維持できるようになっている。なお、この炉11には、後述する、坩堝10を取り付けることができる坩堝保持軸13がその下部から、先端部に炭化ケイ素の種結晶30を取り付けることができる結晶保持軸14がその上部から、それぞれ配置される。
そして、この炉11の外周部には、高周波電流が流れる誘導コイル12が設けられており、誘導コイル12を流れる高周波電流に基づく誘導加熱によって坩堝10を加熱できるようになっている。具体的には、炉11を挟んで、坩堝10の側面と対向する位置に誘導コイル12を設け、この誘導コイル12に高周波電流を流すことによって生じる誘導加熱現象で坩堝10を加熱するように構成されている。なお、図1では、図示していないが、誘導コイル12は、内部に冷却水を流すことができるように構成されている。
また、図示を省略したが、この炉11および誘導コイル12を取り囲むように単結晶製造装置の筐体が形成され、その内部空間には、単結晶製造を行うために、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスが充填できるようになっている。この筐体は、例えば、SUSなどの鉄系材料から構成される。
なお、アルゴンガスの充填構造としては、例えば、炉11と誘導コイル12との間に石英管を通し、石英管の上下端をフランジで密閉することにより、アルゴンガスを充填する構造を採用することもできる。
坩堝保持軸13は、その上端に坩堝10を固定して保持する部材であり、上下方向に移動可能に構成されている。さらに、時計回り、あるいは、反時計回りのいずれにも回転することができるように構成されていてもよい。これにより、坩堝保持軸13に取り付けられた坩堝10を上下方向に移動させることができ、さらに、必要に応じて回転させることもできる。なお、坩堝保持軸13に台座を取り付け、この台座に坩堝10を固定できるようにしてもよい。
また、坩堝保持軸13は、その内部を中空構造とし、熱電対を挿入、または、放射温度計の測定光を通すための経路として用いることで、坩堝底部(坩堝近傍)の温度測定が可能なように構成してもよい。
結晶保持軸14は、その下端(先端部)に、炭化ケイ素の種結晶30を取り付けることができ、さらに炉11の内部にその先端部を配置可能とする部材である。また、この結晶保持軸14は、上下方向に移動が可能なように構成される。図1では、種結晶30を取り付けた状態を示している。この結晶保持軸14を上下方向に移動させることによって、その先端部に取り付けられた種結晶30も連動して上下方向に移動し、その高さ位置を調節することによって単結晶の製造が行われる。
この結晶保持軸14も坩堝保持軸13と同様に、時計回り、あるいは、反時計回りに回転できるように構成されていてもよい。つまり、結晶保持軸14および坩堝保持軸13において、回転機構の有無は任意である。
[炭化ケイ素単結晶の製造方法]
次に、炭化ケイ素単結晶の製造方法について、上記説明した炭化ケイ素の単結晶製造装置101を用い、坩堝10として、黒鉛(C)または炭化ケイ素(SiC)からなる坩堝を用いる場合を例に説明する。
次に、炭化ケイ素単結晶の製造方法について、上記説明した炭化ケイ素の単結晶製造装置101を用い、坩堝10として、黒鉛(C)または炭化ケイ素(SiC)からなる坩堝を用いる場合を例に説明する。
(a)溶液を準備する工程
上記のように、溶液20を、坩堝10内に収容するようにする。そのため、まず、坩堝10に、溶液20とするための原料、例えば、ケイ素(Si)の原料と、必要に応じて、炭素(C)の原料と、クロム(Cr)やアルミニウム(Al)などの添加元素の原料とを、所望の組成比となるように秤量し、坩堝10に入れる。なお、炭素はSiC単結晶の必須成分であるが、ここで原料として加えなくてもよい。
上記のように、溶液20を、坩堝10内に収容するようにする。そのため、まず、坩堝10に、溶液20とするための原料、例えば、ケイ素(Si)の原料と、必要に応じて、炭素(C)の原料と、クロム(Cr)やアルミニウム(Al)などの添加元素の原料とを、所望の組成比となるように秤量し、坩堝10に入れる。なお、炭素はSiC単結晶の必須成分であるが、ここで原料として加えなくてもよい。
その後、誘導コイル12に電力を投入し、誘導加熱によって、結晶成長の温度まで加熱して原料を溶解させる。この加熱を継続していくと、原料の溶液中に、坩堝10を構成している炭素が溶け出し、炭素を含んだ溶液20を得ることができる。
なお、この溶液を準備するにあたって、結晶保持軸14の先端部に炭化ケイ素の種結晶30を取り付けておき、この種結晶30を炉11内(坩堝10の上方)に導入しておくことが好ましい。
このようにして得られた溶液20は、Si、Cの他、必要に応じて添加したCr、Al等の元素を含む。さらに、必要に応じてその他の元素を添加してもよい。なお、SiC単結晶の製造溶液として必要のない元素は実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、Si源、C源、Cr源、Al源、やその他添加してもよい元素源の原料中に不純物として含まれる他の元素、または、炭化ケイ素の種結晶の製造中に、製造装置から不可避的に含まれる他の元素が溶液20に含まれていてもよいことを意味する。
不可避的に含まれる他の元素としては、例えば、N、B、Feなどが挙げられる。これら元素について、実質的に含まないとは、それらの含有量を、それぞれ1原子%以下とすることを言う。
また、本実施の形態においては、この(a)工程において、溶液の原料として、先だって行われた炭化ケイ素単結晶の製造方法にて使用済みの溶液の固化物を用いる。このように、使用済みの溶液の固化物を用いることで、CrやAl等の消費されない成分を再利用して資源の有効活用を図ることができる。
この溶液20の原料として、使用済みの溶液の固化物を用いている以外は、従来公知のSiC単結晶の製造方法と同様に、SiC単結晶の製造を行えばよい。
ただし、この使用済みの溶液の固化物においては、各成分の組成が、所望のSiC結晶の製造を行うための組成とは異なっている。そのため、この溶液を準備する工程において、所望の組成となるように各成分の含有量の調整を行う必要がある。
そして、本実施の形態のSiC単結晶の製造方法では、使用済みの溶液の固化物に不足している元素を添加してから、SiC単結晶の成長、育成を開始する。このとき、不足する元素の添加量は、使用済みの溶液の固化物における組成分析を行い、その結果に基づいて算出すればよい。
組成分析は、公知の組成分析法であれば特に限定されない。この組成分析には、例えば、X線照射を用いた蛍光X線分析装置(XRF)、分析型走査電子顕微鏡(SEM-EDS)、ICP発光分光分析法(ICP-AES)(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)を利用した分析装置などの組成分析装置が好ましいものとして使用できる。これら組成分析装置は、含有する元素を同時に分析でき好ましい。
この組成分析に用いるサンプルは、使用済みの溶液の固化物から任意の箇所の固化物を切出すなどして得ればよいが、固化物の中央近辺のものをサンプルとすることが、元素濃度が安定している点で好ましい。すなわち、この固化物は、SiC単結晶の製造を行った後、室温程度まで冷却して得られるが、その冷却の過程で、溶液と坩堝との界面(特に、坩堝の底部との界面)や溶液の液面において比較的早く温度が低下し、その際に、SiCの雑晶が生成するなどして、含有する元素濃度が変動する場合があるためである。
このような組成分析により、得られるスペクトルから、使用済みの溶液の固化物中に含まれる、Si、Cr、Al等の元素について、その含有割合を算出する。
なお、使用済みの溶液の固化物中にはCも含まれるが、Cは上記組成分析では検出が難しいことや、Cの供給源は、主として坩堝であるため、ここで不足する元素として、必ずしもその添加量を算出しなければならない元素ではない。そのため、この組成分析では、Cの含有割合は考慮しなくてもよい。
そして、算出された含有割合から、再利用するにあたっては、例えば、先だって行ったSiC単結晶の製造に用いた新規の溶液と同等の組成となるように、不足する元素を添加して、所望の組成の溶液とする。新規の溶液は、坩堝内で原料を溶解した直後の溶液に相当する。
SiC単結晶の製造により、Siは単結晶の主成分として消費されるため、溶液中からその量が減少していく。一方、CrやAlはSiC単結晶を構成せず、消費される成分ではないため溶液中に残る。そして、上記のようにSiは消費されていくが、CrやAlは消費されないため、使用済みの溶液中にはこれら成分が濃縮され、存在することとなる。なお、Alは、消費されないものの、SiC単結晶の製造時には1800℃以上のような高温での操作となるため、蒸発してその含有量が減ってしまい、濃度変動が小さい場合もある。
ここで、再利用する使用済みの溶液の固化物は、その全てを再利用してもよいし、その一部を再利用してもよい。例えば、使用済みの溶液の固化物としたとき、坩堝が崩壊せず、再度SiC単結晶の製造に利用可能である場合、その坩堝に収容された固化物全てをそのまま坩堝ごと再利用できる。また、溶液が固化する過程で上記のように雑晶が生じるため、その雑晶が含まれる固化物を除去してから再利用することもできる。雑晶を除去する場合は、例えば、固化物から再利用する固化物を切出し、新たな坩堝に収容して再利用する。
次に、再利用する固化物には不足する元素を添加するが、例えば、一部を再利用する場合、Cを除くSi、Cr、Alなどの元素は、全ての元素が不足する状態となるため、それら元素の必要量をそれぞれ算出し、不足する元素の原料を添加した後、それらを坩堝中で加熱してSiC単結晶の製造用の溶液を準備する。
上記不足の元素の添加量を算出するには、各成分において、次の式(1)の計算を行い算出すればよい。
成分の添加質量(A)=育成開始時の溶液組成の成分質量(A’)-再利用する溶液の成分質量(AR) ・・・(1)
ここで、育成開始時の溶液組成の成分質量(A’)は、次に行うSiC単結晶の製造に用いる溶液の所望(目標)の組成であるため、その数値は各成分においてわかっている。一方、再利用する溶液の成分質量(AR)は、そのSiC単結晶の製造において、使用した溶液、製造条件等により変動するため、不明である。そこで、上記した組成分析を行うことで、各成分の含有割合を算出する。具体的には、組成分析で得られたスペクトルから、再利用する溶液の固化物中の各成分のモル分率を算出し、再利用する溶液中の各成分の含有質量を算出できる。なお、このモル分率を算出するにあたっては、炭素(C)成分は無視してよい。
ここで、育成開始時の溶液組成の成分質量(A’)は、次に行うSiC単結晶の製造に用いる溶液の所望(目標)の組成であるため、その数値は各成分においてわかっている。一方、再利用する溶液の成分質量(AR)は、そのSiC単結晶の製造において、使用した溶液、製造条件等により変動するため、不明である。そこで、上記した組成分析を行うことで、各成分の含有割合を算出する。具体的には、組成分析で得られたスペクトルから、再利用する溶液の固化物中の各成分のモル分率を算出し、再利用する溶液中の各成分の含有質量を算出できる。なお、このモル分率を算出するにあたっては、炭素(C)成分は無視してよい。
例えば、新規の溶液として、Si-40mol%Cr-2mol%Alで全体の質量が500gの溶液を使用し、SiC単結晶の製造を行い、単結晶の製造終了後に、使用済みの溶液の固化物を200g切出して再利用する場合を想定する。
このとき、使用済みの溶液の固化物においては、その組成が不明であるため、組成分析用のサンプルを作成し、蛍光X線分析装置(XRF)や分析型走査電子顕微鏡(SEM-EDS)などにより組成分析を行う。ここでは、組成分析により算出された各成分のモル分率として、Crが50mol%、Alが2mol%(Si-50mol%Cr-2mol%Al)であった場合を例示する(Siは残部として含有、Cは考慮していない)。
そして、この溶液の固化物200g中における各成分の含有量は、その原子量と上記モル分率から算出できる。さらに、それらの結果を用いて、各成分の添加量は次のように算出できる。ここで、再利用する際に準備する溶液は、新規の溶液と同様の組成を同量(500g)とする場合を示すが、その都度変更して、任意の組成、質量とすることもできる。
〈Siの添加量〉
・育成開始時の溶液組成の成分質量(A’):216.46g
・再利用する溶液の成分質量(AR):67.37g
・添加質量(A):149.09g(=A’-AR)
〈Crの添加量〉
・育成開始時の溶液組成の成分質量(A’):276.37g
・再利用する溶液の成分質量(AR):129.93g
・添加質量(A):146.44g(=A’-AR)
〈Alの添加量〉
・育成開始時の溶液組成の成分質量(A’):7.17g
・再利用する溶液の成分質量(AR):2.70g
・添加質量(A):4.47g(=A’-AR)
このように各成分の追加分として必要な量を算出して、再利用する溶液の固化物と各成分の添加質量分の原料とを新たな坩堝に収容し、上記のようにSiC単結晶の製造操作を行うことで、本実施の形態のSiC単結晶の製造方法を実施できる。これにより、元素を有効活用し、製造コストを低減できる。
・育成開始時の溶液組成の成分質量(A’):216.46g
・再利用する溶液の成分質量(AR):67.37g
・添加質量(A):149.09g(=A’-AR)
〈Crの添加量〉
・育成開始時の溶液組成の成分質量(A’):276.37g
・再利用する溶液の成分質量(AR):129.93g
・添加質量(A):146.44g(=A’-AR)
〈Alの添加量〉
・育成開始時の溶液組成の成分質量(A’):7.17g
・再利用する溶液の成分質量(AR):2.70g
・添加質量(A):4.47g(=A’-AR)
このように各成分の追加分として必要な量を算出して、再利用する溶液の固化物と各成分の添加質量分の原料とを新たな坩堝に収容し、上記のようにSiC単結晶の製造操作を行うことで、本実施の形態のSiC単結晶の製造方法を実施できる。これにより、元素を有効活用し、製造コストを低減できる。
(b)炭化ケイ素単結晶を成長させる工程
次いで、炉11内に導入した、種結晶30が取り付けられた結晶保持軸14を下降させて、溶液と接触させ、結晶成長面30a上にSiC単結晶を成長させる。このとき、まず、図1に示すように、結晶保持軸14に取り付けられた種結晶30の結晶成長面30aを溶液20に接するように配置する。
次いで、炉11内に導入した、種結晶30が取り付けられた結晶保持軸14を下降させて、溶液と接触させ、結晶成長面30a上にSiC単結晶を成長させる。このとき、まず、図1に示すように、結晶保持軸14に取り付けられた種結晶30の結晶成長面30aを溶液20に接するように配置する。
この(b)工程において、種結晶30は、溶液20に接触させることができればよく、特に、溶液20の表面に接触させて(種結晶30を溶液20内に潜らせずに)、単結晶の成長を開始することができる。
単結晶の成長は、結晶保持軸14を上または下方向に移動させながら、あるいは接触させた位置で維持して、これにより、種結晶30の下面に炭化ケイ素単結晶(SiC単結晶)が成長していく。一方、結晶成長を終了する場合、結晶保持軸14を引き上げることにより、SiC単結晶と溶液20とを隔離させる。これにより、SiC単結晶の成長を終了させる。
以上のようにして、単結晶製造装置101を動作させることにより、SiC単結晶を製造することができる。なお、結晶保持軸14を引き上げて、SiC単結晶と溶液20とを隔離させることによって、結晶成長を終了すると記載したが、これに限らず、例えば、結晶保持軸14を引き上げる替わりに、坩堝保持軸13を引き下げることにより、SiC単結晶と溶液20とを隔離させて、結晶成長を終了することもできる。
上述した動作は、そのように動作させる制御部を設けることにより達成でき、単結晶製造装置101では、「溶液成長法」によってSiC単結晶が製造される。
具体的には、制御部は、誘導コイル12による誘導加熱、結晶保持軸14の上下方向への移動および回転、坩堝保持軸13の上下方向への移動および回転、などを制御し、上記単結晶製造方法が円滑に進行するように動作させる。
ここで用いる種結晶30は、炭化ケイ素単結晶として知られている、2H、3C、4H、6Hなどの公知のポリタイプがいずれも使用できる。なお、ポリタイプの違いは原子配列の差異であり、ポリタイプの種類によってこの結晶成長方法による効果に差異が出ることがある。本実施の形態においては、例えば、4Hの炭化ケイ素単結晶を種結晶として用いることが好ましく、このとき、得られる炭化ケイ素単結晶は、パワー半導体デバイス用として好適である。
図2は、炭化ケイ素の種結晶30の断面を模式的に示した図の一例である。この図2では、種結晶30は、4H炭化ケイ素単結晶であり、オフ角θを有するオフ基板である。具体的には、結晶成長面30a(あるいは、結晶成長面30aの法線30n)が、c面(<0001>方向)から<11-20>方向にθ傾いていることが好ましい。このオフ角θは、0.5°以上8°以下であることが好ましく、0.5°以上5°以下であることがより好ましい。種結晶30は、結晶成長面がc面であるオン基板でもよい。オン基板はオフ角が0°であるが、オン基板として種結晶を作製する際、不可避的に0.5°未満のオフ角が形成されることがある。このため、オン基板は実質的には、0~0.5°未満のオフ角を有する。
炭化ケイ素単結晶は、その結晶品質を高めるために、転位密度を小さくすることが求められる。ところで、炭化ケイ素の種結晶に存在するc軸に平行な貫通刃状転位などの貫通系の転位は、成長した炭化ケイ素単結晶にも伝播し残る。このため、結晶品質を炭化ケイ素の種結晶以上に高めることは一般に容易ではない。
しかし、このような課題を解決する方法として、c軸に平行な貫通系の転位をステップフロー成長によって、転位の進む方向を曲げる、つまり、a軸に平行な転位に変換して転位を結晶成長方向から除外し、転位密度を減少させ得ることが知られている。このためには、上記したようなオフ角を有する基板を種結晶に用いて結晶成長面のマイクロステップを大きくすることが有効である。すなわち、このようなオフ角を有する種結晶を用いることにより、転位(欠陥)密度を低減させることができる。一方でオン基板でも凹面成長を行うことによりステップフロー成長をさせて転位密度の低減が可能である。
また、SiC単結晶の成長時の温度は、1800℃以上2200℃以下が好ましく、1900℃以上2100℃以下がより好ましい。さらに1950℃以上2050℃の温度で結晶を成長させることが好ましい。結晶成長面30a近傍の温度勾配の条件、成長時の炉11内の雰囲気、圧力等の条件は、従来の溶液成長法に用いられる条件と同様の条件に設定することができる。
SiC単結晶の育成中、炭化ケイ素の種結晶30は回転軸14によって回転させてもよい。同様に坩堝10も回転軸13によって回転させてもよい。
このように、上記説明した工程(a)および(b)によって、炭化ケイ素単結晶を製造することができる。そして、十分に炭化ケイ素単結晶を成長させた後、成長を停止させ、SiC単結晶インゴットを得る。このとき、炭化ケイ素単結晶の製造装置において誘導コイル等による加熱を停止し、使用済みの溶液は、室温まで冷却され、固化物となる。このようにして得られた固化物は、次に、炭化ケイ素単結晶の製造を行う際に、上記説明したように溶液の原料として再利用できる。
(使用済みの溶液の固化物について)
上記のように、本実施の形態では、使用済みの溶液の固化物を、次に行うSiC単結晶の製造方法における溶液の原料として再利用する点に特徴を有している。この使用済みの溶液の固化物は、上記のように、その全てを再利用してもよいし、その一部を再利用してもよいが、雑晶を除去してその一部を利用することが好ましい。これは、雑晶がSiC単結晶の製造用の溶液中に含まれると、種結晶30だけではなく、雑晶にも結晶成長が進んでしまい、効率的なSiC単結晶の製造を行うことができない場合があるためである。
上記のように、本実施の形態では、使用済みの溶液の固化物を、次に行うSiC単結晶の製造方法における溶液の原料として再利用する点に特徴を有している。この使用済みの溶液の固化物は、上記のように、その全てを再利用してもよいし、その一部を再利用してもよいが、雑晶を除去してその一部を利用することが好ましい。これは、雑晶がSiC単結晶の製造用の溶液中に含まれると、種結晶30だけではなく、雑晶にも結晶成長が進んでしまい、効率的なSiC単結晶の製造を行うことができない場合があるためである。
使用済みの溶液の固化物から雑晶を除去するには、例えば、固化物中の雑晶が含まれる領域を切断することにより除去できる。図3には、一旦SiC単結晶の製造を行い、使用済みの溶液を冷却して得られる固化物21を収容している坩堝10の断面図を示している。
図3では、坩堝10のSiC単結晶の製造溶液と接触していた内面は、単結晶製造時の溶解や加熱後の冷却操作等により変形している。また、溶液中には、雑晶22が生成している。雑晶22は、上記説明したように、溶液20において坩堝10の底面との接触界面付近と溶液20の液面における坩堝10に近い領域に形成されやすい。
そして、図3に示したように、使用済みの溶液の固化物21に、雑晶22が生成している場合、その雑晶22を除去するように、例えば、水平方向には切断線X1、X2で、垂直方向には切断線Y1、Y2で切断するようにして、雑晶22が含まれない領域R(切断線X1、X2および切断線Y1、Y2で囲まれた領域)を切出し、次のSiC単結晶の製造方法で溶液の原料として再利用する。
ここで切出した固化物21は、そのまま再利用できるが、次に溶液を準備するにあたっては、小さく切断しておき、加熱により溶解が容易になるようにしておくことが好ましい。このとき、例えば、固化物21をその最大寸法が、坩堝内径の2/3以下となるように切断することが好ましい。
〔変形例〕
上記の実施の形態では、不足する元素について、組成分析を行い、その組成分析結果から不足量を算出して、不足分の原料を添加することで、次に行うSiC単結晶の製造方法を行うものとして説明している。
上記の実施の形態では、不足する元素について、組成分析を行い、その組成分析結果から不足量を算出して、不足分の原料を添加することで、次に行うSiC単結晶の製造方法を行うものとして説明している。
ところで、先に同条件で使用済みの溶液の固化物を用いたSiC単結晶の製造を行っている場合には、上記組成分析を省略することができる。例えば、使用済みの溶液の固化物を原料として、次に行う予定の製造条件と同一の製造条件(溶液組成およびSiC単結晶の成長条件)でSiC単結晶の製造方法を行っている場合、先に行ったときに得られた組成分析した結果を利用することで、組成分析を行わずに不足する元素の添加量を算出できる。
例えば、上記組成分析で説明したのと同条件でSiC製造を繰り返す場合、再利用におけるSiC製造前の溶液としては、Si-40mol%Cr-2mol%Alの組成原料を500g用意し、SiC単結晶の製造終了後の使用済みの溶液の固化物は、Si-50mol%Cr-2mol%Alの組成となる。このとき、再利用する固化物の量は一定ではなく、その都度、増減することになると思われるが、得られる固化物に含まれる各成分のモル分率がわかっているため、その再利用する質量から各成分の含有量を算出できる。そのため、上記式(1)により、各成分の添加質量を、組成分析を行うことなく算出できる。
これは、特に、再利用する条件(溶液組成およびSiC単結晶の製造条件)を同一のものとして複数回繰り返してSiC単結晶を製造する場合に有用である。なお、このとき、再利用の繰り返し回数は特に限定されず、何回でも繰り返して使用済みの溶液の再利用が可能である。
<実施例>
以下では、具体的な実施例について説明する。
以下では、具体的な実施例について説明する。
本明細書でいう「仕込み溶液」とは、炭化ケイ素からなる種結晶に接触させて炭化ケイ素からなる単結晶を成長させるために使用される溶液である。つまり、溶液成長法での単結晶の成長に使用される溶液である。特に、「仕込み溶液」は、初めて使用される溶液である。これに対し、「再利用溶液」とは、既に溶液成長法での単結晶の成長に使用された使用済みの「仕込み溶液」を回収して再び単結晶の成長に利用される溶液である。
まず、「仕込み溶液」を作製した。具体的には、例えば、シリコン(Si)を53.5原子%、クロム(Cr)を40原子%、その他の元素(Al、Y、Mo、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Gd、Wなど)を6.5原子%の割合で含む「仕込み溶液」を作製した。
その後、作成した「仕込み溶液」を黒鉛坩堝に入れて単結晶の育成を実施した。そして、単結晶の育成に使用された「仕込み溶液」を固化させた固化物を黒鉛坩堝とともに切断した。具体的には、例えば、図3に示すように、切断線X1、X2および切断線Y1、Y2で切断するようにして、雑晶が含まれない領域Rの固化物を切り出した。
続いて、切り出された固化物は、アルミナ製坩堝に入れられ、1500℃で5分間加熱することにより再溶融させた後、凝固させた。ここで、再溶融させた溶液を「再利用溶液」とし、この「再利用溶液」に含まれるSi、Crおよびその他の元素の組成を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法((ICP-AES:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)によって測定した。同様に、「仕込み溶液」のSi、Crおよびその他の元素の組成も測定した。
表1は、「仕込み溶液」および「再利用溶液」のそれぞれにおけるSi、Crおよびその他の元素の組成の測定結果を示す表である。
表1に示すように、「再利用溶液」の組成と「仕込み溶液」の組成とは、異なっており、「再利用溶液」を再び単結晶の育成に使用するためには、「再利用溶液」の組成を「仕込み溶液」の組成と一致させる必要がある。このため、「再利用溶液」に追加試料を加える必要がある。具体的には、Siが53.5原子%、Crが40原子%およびその他の元素が6.5原子%となるように、「再利用溶液」に追加試料を追加する。
表2は、追加試料および「再利用溶液」を構成する再利用試料のそれぞれの組成重量を示す表である。
ここで、例えば、Siの追加試料の重量は、以下に示す計算式から求められる。
Siの追加試料の重量=(仕込み組成のSiの重量(g/mol))-(1mol当たりのSiの再利用試料の重量)×(再利用試料の重量)/(1mol当たりの合金の重量)
なお、ここでいう合金とは、Si、Crおよびその他の元素を含む合金を意味し、再利用試料と同一組成の合金を意味する。ここでは、Siの追加試料の重量を算出する計算式について説明したが、Crの追加試料の重量およびその他の元素の追加試料の重量も同様に考えることができる。このようにして、再利用試料に追加試料を追加できる。
なお、ここでいう合金とは、Si、Crおよびその他の元素を含む合金を意味し、再利用試料と同一組成の合金を意味する。ここでは、Siの追加試料の重量を算出する計算式について説明したが、Crの追加試料の重量およびその他の元素の追加試料の重量も同様に考えることができる。このようにして、再利用試料に追加試料を追加できる。
例えば、表2に示す例では、再利用試料の重量が327.4gであり、追加試料の重量が301.0gである。したがって、表2に示す例でのリサイクル率は、52%である。
ここで、本明細書では、再利用試料に追加試料して溶融した溶液を「リサイクル溶液」と呼ぶ。この「リサイクル溶液」の組成は、「仕込み溶液」の組成と同様である。
以下では、「リサイクル溶液」を使用して単結晶を成長させる例を説明する。
例えば、内径90mmで外径110mmの黒鉛坩堝に「リサイクル溶液」を溶液高さが約25mmとなるように入れた。また、φ=40mmで厚みが800μmであり、1°オフ角を有する4H-SiC単結晶からなる種結晶を用意して、成長面が(000-1)面となるように、(0001)面を黒鉛の接着剤によって、直径約40mmの黒鉛ホルダに接着した。この黒鉛ホルダは、黒鉛からなる棒に取り付けて結晶軸とした。
高周波加熱炉(単結晶育成装置)において、炉内を真空引きした後、大気圧までアルゴン(Ar)を導入して、Ar雰囲気中で単結晶の育成を実施した。なお、高周波加熱炉の炉内構成は、例えば、図1に示す構成をしている。
単結晶の育成は、黒鉛坩堝および黒鉛坩堝に入っている「リサイクル原料」を昇温して、「リサイクル原料」を溶融させることにより行われた。ここで、本明細書でいう「リサイクル原料」とは、「リサイクル溶液」を固化させたものをいう。言い換えれば、「リサイクル溶液」とは、「リサイクル原料」を溶融させることにより形成される溶液である。
その後、単結晶の育成は、種結晶を「リサイクル溶液」に浸漬し、約1900℃にて16時間保持することにより行われた。このとき、結晶軸と黒鉛坩堝は回転させた。「リサイクル溶液」の温度分布は、黒鉛坩堝の側面が高温で、種結晶が低温となるように調整された。そして、この状態を16時間保持した後、成長した単結晶を「リサイクル溶液」の溶液面から持ち上げて離してから1時間かけてゆっくり温度を下げながら冷却した。
このようにして、「リサイクル溶液」を使用して単結晶を成長させることができる。
表3は、「リサイクル溶液」で育成させた単結晶の成長速度と育成面の状態を「仕込み溶液」で育成させた単結晶の成長速度と育成面の状態と比較して示す表である。
表3に示すように、「リサイクル溶液」と「仕込み溶液」において、成長速度は、ほとんど変わらず、「リサイクル溶液」を使用した場合の成長速度は、83(μm/h)となり、「リサイクル溶液」を使用しても、成長速度を確保できることが確認された。
また、結晶面の品質を比較すると、「リサイクル溶液」と「仕込み溶液」において、レーザ顕微鏡で計測した結晶面のステップ高さの平均値は、ほとんど変わらず、「リサイクル溶液」を使用した場合のステップ高さは、5μm以下となり、「リサイクル溶液」を使用しても、低いステップ高さを確保できることが確認された。なお、ステップ高さの平均値は、レーザ顕微鏡画像36枚(結晶全面)から計測されたステップ高さの平均値である。
以上のことから、「リサイクル溶液」を使用しても、成長速度および品質を維持した単結晶の育成が可能であることが裏付けられている。
<さらなる工夫>
上述した実施例に記載されているように、「仕込み溶液」と同一の組成を有する「リサイクル溶液」を作製するためには、「再利用溶液」(再利用試料)に追加試料を追加する必要がある。このとき、例えば、ICP分析などによって、「再利用溶液」の組成を測定する必要がある。なぜなら、「再利用溶液」の組成を測定しなければ、「仕込み溶液」と同一の組成を有する「リサイクル溶液」を作製することができないからである。言い換えれば、「再利用溶液」の組成を測定しなければ、不足する元素の添加量を把握することができないからである。
上述した実施例に記載されているように、「仕込み溶液」と同一の組成を有する「リサイクル溶液」を作製するためには、「再利用溶液」(再利用試料)に追加試料を追加する必要がある。このとき、例えば、ICP分析などによって、「再利用溶液」の組成を測定する必要がある。なぜなら、「再利用溶液」の組成を測定しなければ、「仕込み溶液」と同一の組成を有する「リサイクル溶液」を作製することができないからである。言い換えれば、「再利用溶液」の組成を測定しなければ、不足する元素の添加量を把握することができないからである。
この点に関し、ICP分析などの測定を行わなくても、「再利用溶液」の組成を把握できれば、「リサイクル溶液」の作製効率を向上できる。そこで、本実施の形態では、ICP分析などの測定を行わなくても、「再利用溶液」の組成を把握するための工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想について説明する。
具体的に、本実施の形態におけるさらなる工夫点は、使用前の溶液(「仕込み溶液」)の組成を示す使用前組成値および単結晶を成長させるための製造条件を入力すると、使用済みの溶液(「再利用溶液」)の組成に対する推定値を出力する回帰モデルを使用することにより、使用済みの溶液の組成を推定するシステムを構築する点にある。
以下では、主に、上述した組成推定システムを単体のコンピュータ(組成推定装置)から構成する例を取り上げて説明するが、本実施の形態における組成推定システムは、複数のコンピュータからなる分散システムで実現することも可能である。
<<組成推定装置の構成>
<<<ハードウェア構成>>>
まず、本実施の形態おける組成推定装置のハードウェア構成について説明する。
<<<ハードウェア構成>>>
まず、本実施の形態おける組成推定装置のハードウェア構成について説明する。
図4は、本実施の形態における組成推定装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、図4に示す構成は、あくまでも組成推定装置100のハードウェア構成の一例を示すものであり、組成推定装置100のハードウェア構成は、図4に記載されている構成に限らず、他の構成であってもよい。
図4において、組成推定装置100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)101Aを備えている。このCPU101Aは、バス113を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、および、ハードディスク装置112と電気的に接続されており、これらのハードウェアデバイスを制御するように構成されている。
また、CPU101Aは、バス113を介して入力装置や出力装置とも接続されている。入力装置の一例としては、キーボード105、マウス106、通信ボード107、および、スキャナ111などを挙げることができる。一方、出力装置の一例としては、ディスプレイ104、通信ボード107、および、プリンタ110などを挙げることができる。さらに、CPU101は、例えば、リムーバルディスク装置108やCD/DVD-ROM装置109と接続されていてもよい。
組成推定装置100は、例えば、ネットワークと接続されていてもよい。例えば、組成推定装置100がネットワークを介して他の外部機器と接続されている場合、組成推定装置100の一部を構成する通信ボード107は、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)やインターネットに接続されている。
RAM103は、揮発性メモリの一例であり、ROM102、リムーバルディスク装置108、CD/DVD-ROM装置109、ハードディスク装置112の記録媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらの揮発性メモリや不揮発性メモリによって、組成推定装置100の記憶装置が構成される。
ハードディスク装置112には、例えば、オペレーティングシステム(OS)201、プログラム群202、および、ファイル群203が記憶されている。プログラム群202に含まれるプログラムは、CPU101Aがオペレーティングシステム201を利用しながら実行する。また、RAM103には、CPU101Aに実行させるオペレーティングシステム201のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一次的に格納されるとともに、CPU101Aによる処理に必要な各種データが格納される。
ROM102には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが記憶され、ハードディスク装置112には、ブートプログラムが記憶されている。組成推定装置100の起動時には、ROM102に記憶されているBIOSプログラムおよびハードディスク装置112に記憶されているブートプログラムが実行され、BIOSプログラムおよびブートプログラムにより、オペレーティングシステム201が起動される。
プログラム群202には、組成推定装置100の機能を実現するプログラムが記憶されており、このプログラムは、CPU101Aにより読み出されて実行される。また、ファイル群203には、CPU101Aによる処理の結果を示す情報、データ、信号値、変数値やパラメータがファイルの各項目として記憶されている。
ファイルは、ハードディスク装置112やメモリなどの記録媒体に記録される。ハードディスク装置112やメモリなどの記録媒体に記録された情報、データ、信号値、変数値やパラメータは、CPU101Aによりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・処理・編集・出力・印刷・表示に代表されるCPU101Aの動作に使用される。例えば、上述したCPU101Aの動作の間、情報、データ、信号値、変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリなどに一次的に記憶される。
組成推定装置100の機能は、ROM102に記憶されたファームウェアで実現されていてもよいし、あるいは、ソフトウェアのみ、素子・デバイス・基板・配線に代表されるハードウェアのみ、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実現されていてもよい。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ハードディスク装置112、リムーバルディスク、CD-ROM、DVD-ROMなどに代表される記録媒体に記録される。プログラムは、CPU101Aにより読み出されて実行される。すなわち、プログラムは、コンピュータを組成推定装置100として機能させるものである。
このように、組成推定装置100は、処理装置であるCPU101A、記憶装置であるハードディスク装置112やメモリ、入力装置であるキーボード105、マウス106、通信ボード107、出力装置であるディスプレイ104、プリンタ110、通信ボード107を備えるコンピュータである。そして、組成推定装置100の機能は、処理装置、記憶装置、入力装置、および、出力装置を利用して実現される。
<<<機能ブロック構成>>>
次に、組成推定装置100の機能ブロック構成について説明する。
次に、組成推定装置100の機能ブロック構成について説明する。
図5は、組成推定装置100の機能を示す機能ブロック図である。
組成推定装置100は、入力部301と、回帰モデル生成部302と、推定部303と、出力部304と、データ記憶部305とを有している。
入力部301は、関連データを入力するように構成されている。
ここで、「関連データ」とは、使用前組成データ、製造条件データおよび使用済組成データから構成されるデータであり、使用前組成データ、製造条件データおよび使用済組成データを関連付けるデータである。使用前組成データとは、使用前の溶液(「仕込み溶液」)の組成を示す使用前組成値から構成されるデータである。製造条件データとは、溶液成長法で単結晶を製造する際の製造条件から構成されるデータである。使用済組成データとは、使用済みの溶液(「再利用溶液」)の組成を示す使用済組成値から構成されるデータである。
例えば、図6は、関連データの一例を示す表である。
図6において、関連データは、使用前組成データ、製造条件データおよび使用済組成データから構成されていることがわかる。
使用前組成データは、使用前の溶液に含まれる元素の組成値(使用前組成値)から構成されている。例えば、図6に示す例において、使用前の溶液は、少なくとも、Si、CrおよびAlを含んでおり、それぞれの元素の組成値が規定されている。図6に示す「No1」の関連データに着目すると、使用前組成データは、Siの組成値「53.5」、Crの組成値「40」およびAlの組成値「6.5」を含んでいる。同様に、図6に示す「No2」の関連データに着目すると、使用前組成データは、Siの組成値「60」、Crの組成値「40」およびAlの組成値「0」を含んでいる。
次に、製造条件データは、項目として、例えば、「育成温度」、「育成時間」、「坩堝径」、「溶液高さ」および「回転速度(坩堝および結晶軸)」を有している。
続いて、使用済組成データは、使用済みの溶液に含まれる元素の組成値(使用済組成値)から構成されている。例えば、図6に示す例において、使用済みの溶液は、少なくとも、Si、CrおよびAlを含んでおり、それぞれの元素の組成値が規定されている。図6に示す「No1」の関連データに着目すると、使用済組成データは、Siの組成値「43.2」、Crの組成値「45.5」およびAlの組成値「11.3」を含んでいる。
このように構成されている関連データは、入力部301から入力された後、データ記憶部305に記憶される。このデータ記憶部305は、複数の関連データを記憶するデータベースとして機能する。また、入力部301は、関連データ以外の各種データを入力するように構成されている。例えば、入力部301に入力されるデータとしては、単独の使用前組成データ、単独の製造条件データなどを挙げることができる。これらの各種データも入力部301から入力された後、データ記憶部305に記憶される。
回帰モデル生成部302は、データ記憶部305に記憶されている関連データに基づいて、回帰モデルを生成する機能を有する。つまり、回帰モデル生成部302は、使用前組成値と製造条件と使用済組成値とを関係付ける回帰モデルを生成するように構成されている。具体的に、図7に示すように、回帰モデル生成部302は、関連データを教師データとする機械学習によって、入力を使用前組成値および製造条件とするとともに出力を使用済組成値(推定値)とする回帰モデルを生成するように構成されている。
ここで、「回帰モデル」とは、使用前組成値および製造条件を入力すると、これらの使用前組成値および製造条件に応じた使用済組成値(推定値)を出力する関数として定義される。すなわち、「回帰モデル」とは、使用済組成値との対応関係が未知の使用前組成値および製造条件が入力された場合に、これらの使用前組成値および製造条件で実現されると推測される使用済組成値の推定値を出力する関数として定義される。このように、回帰モデルは、使用済みの溶液の組成との対応関係が未知の使用前の溶液を使用して単結晶の育成を行う場合に、使用済みの溶液の組成値を推定するために使用される関数ということができる。
推定部303は、使用前の溶液の組成を示す使用前組成値、単結晶を成長させるための製造条件および回帰モデルに基づいて、使用済みの溶液の組成を推定するように構成されている。すなわち、推定部303は、回帰モデル生成部302で生成した回帰モデルを使用して、使用済みの溶液の組成を示す使用済組成値の推定値を取得するように構成されている。例えば、推定部303は、使用済みの溶液の組成との対応関係が未知の使用前の溶液を使用するとともに、所定の製造条件を使用して単結晶の育成を行う場合、機械学習で精度が高められた回帰モデルに基づいて、使用済みの溶液の組成値を推定する機能を有する。
出力部304は、推定部303で推定された使用済組成値の推定値を出力する。
このようにして、組成推定装置100が構成されている。
なお、本実施の形態では、組成推定装置100に回帰モデルを生成する回帰モデル生成部302と、使用済みの溶液の組成値を推定する推定部303とを設けている。つまり、本実施の形態では、種結晶を接触させて単結晶を成長させるために用いられた使用済みの溶液の組成を推定する組成推定システムを単体の組成推定装置100で実現している。
ただし、本実施の形態における技術的思想は、この構成に限らず、回帰モデル生成部302を備える回帰モデル生成装置と、推定部303を備える推定装置とを別々のコンピュータで構成し、例えば、ネットワークを使用して回帰モデル生成装置と推定装置とを接続するという分散システムによって、組成推定システムを構成することも可能である。
<<組成推定装置の動作>>
組成推定装置100は、上記のように構成されており、以下のその動作について説明する。組成推定装置100の動作は、「回帰モデルの生成動作」と「使用済みの溶液の組成を推定する動作」がある。このため、以下では、これらの動作について説明する。
組成推定装置100は、上記のように構成されており、以下のその動作について説明する。組成推定装置100の動作は、「回帰モデルの生成動作」と「使用済みの溶液の組成を推定する動作」がある。このため、以下では、これらの動作について説明する。
<<<回帰モデルの生成動作>>>
図8は、回帰モデルの生成動作を説明するフローチャートである。
図8は、回帰モデルの生成動作を説明するフローチャートである。
図8において、まず、入力部301は、使用前組成データ、製造条件データおよび使用済組成データを関連付けた複数の関連データを入力する(S101)。そして、入力部301に入力された複数の関連データは、データ記憶部305に記憶される(S102)。
次に、回帰モデル生成部302は、データ記憶部305に記憶されている関連データに基づいて、回帰モデルを生成する(S103)。具体的に、回帰モデル生成部302は、関連データを教師データとした機械学習によって、入力を使用前組成値および製造条件とするとともに出力を使用済組成値の推定値とする回帰モデルを生成する(図7参照)。
そして、回帰モデル生成部302で生成された回帰モデルは、データ記憶部305に記憶される(S104)。このようにして、回帰モデルの生成動作が行われる。
<<<使用済みの溶液の組成を推定する動作>>>
続いて、使用済みの溶液の組成を推定する動作について説明する。
続いて、使用済みの溶液の組成を推定する動作について説明する。
図9は、使用済みの溶液の組成を推定する動作を説明するフローチャートである。なお、回帰モデルは、既にデータ記憶部305に記憶されている。
図9において、まず、入力部301は、使用済みの溶液の組成との対応が未知の使用前の溶液の組成(使用前組成値)を入力するとともに、この使用前の溶液を使用した溶液成長法での製造条件も入力する(S201)。
その後、推定部303は、回帰モデルに対して、上述した使用前組成値および製造条件を代入する(S202)。この結果、回帰モデルからは、入力した使用前組成値および製造条件に応じて、使用済みの溶液の組成を示す使用済組成値の推定値が出力される。これにより、推定部303は、推定値を取得できる(S203)。そして、出力部304は、推定部303で取得された推定値を出力する(S204)。
このようにして、組成推定装置100によれば、使用済みの溶液の組成との対応が未知の組成(使用前組成値)を有する使用前の溶液を使用し、所定の製造条件での溶液成長法によって単結晶を育成する場合において、実現される可能性が高い使用済みの溶液の組成(使用済組成値)の推定値を取得できる。これにより、本実施の形態によれば、ICP分析などの測定を行わなくても、実現可能性が高い使用済みの溶液(「再利用溶液」)の組成を把握できるため、「リサイクル溶液」の作製効率を向上できる。この点において、本実施の形態における技術的思想は、単結晶の製造コストを削減する観点から有用である。
<組成推定プログラム>
上述した組成推定装置100で実施される組成推定方法は、組成推定処理をコンピュータに実行させる組成推定プログラムにより実現することができる。
上述した組成推定装置100で実施される組成推定方法は、組成推定処理をコンピュータに実行させる組成推定プログラムにより実現することができる。
例えば、図4に示すコンピュータからなる組成推定装置100において、ハードディスク装置112に記憶されているプログラム群202の1つとして、本実施の形態における組成推定プログラムを導入することができる。そして、この組成推定プログラムを組成推定装置100であるコンピュータに実行させることにより、本実施の形態における組成推定方法を実現することができる。
組成推定処理に関するデータを作成するための各処理をコンピュータに実行させる組成推定プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して頒布することができる。記録媒体には、例えば、ハードディスクやフレキシブルディスクに代表される磁気記憶媒体、CD-ROMやDVD-ROMに代表される光学記憶媒体、ROMやEEPROMなどの不揮発性メモリに代表されるハードウェアデバイスなどが含まれる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
10 坩堝
11 炉
12 誘導コイル
13 坩堝保持軸
14 結晶保持軸
20 溶液
21 固化物
22 雑晶
30 種結晶
30a 結晶成長面
100 組成推定装置
101 単結晶製造装置
101A CPU
102 ROM
103 RAM
104 ディスプレイ
105 キーボード
106 マウス
107 通信ボード
108 リムーバルディスク装置
109 CD/DVD-ROM装置
110 プリンタ
111 スキャナ
112 ハードディスク装置
201 オペレーティングシステム
202 プログラム群
203 ファイル群
301 入力部
302 回帰モデル生成部
303 推定部
304 出力部
305 データ記憶部
R 雑晶が含まれない領域
11 炉
12 誘導コイル
13 坩堝保持軸
14 結晶保持軸
20 溶液
21 固化物
22 雑晶
30 種結晶
30a 結晶成長面
100 組成推定装置
101 単結晶製造装置
101A CPU
102 ROM
103 RAM
104 ディスプレイ
105 キーボード
106 マウス
107 通信ボード
108 リムーバルディスク装置
109 CD/DVD-ROM装置
110 プリンタ
111 スキャナ
112 ハードディスク装置
201 オペレーティングシステム
202 プログラム群
203 ファイル群
301 入力部
302 回帰モデル生成部
303 推定部
304 出力部
305 データ記憶部
R 雑晶が含まれない領域
Claims (8)
- (a)ケイ素および炭素を含有する溶液を準備する工程と、
(b)前記溶液に、炭化ケイ素の種結晶を接触させ、前記種結晶の結晶成長面上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、
を備える炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、
前記(a)工程における前記溶液の原料として、先に行われた炭化ケイ素単結晶の製造方法にて使用済みの溶液を室温程度まで冷却して得られる固化物を用いる、
炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
前記(a)工程において、前記固化物に不足する元素を添加して組成を調製する、炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 請求項2に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
前記不足する元素として、ケイ素を添加する、炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 請求項2に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
前記不足する元素の添加量を、前記固化物の組成分析の結果に基づいて算出する、炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 請求項4に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
前記組成分析を、蛍光X線分析装置(XRF)、分析型走査電子顕微鏡(SEM-EDS)またはICP発光分光分析法を利用した分析装置により行う、炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
前記使用済みの溶液の固化物は、含有する雑晶を除去してから用いられる、炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 請求項6に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
前記雑晶の除去を、前記使用済みの溶液の固化物の内部を切出すことにより行う、炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 請求項2に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
先に同条件で前記使用済みの溶液の固化物を用いた炭化ケイ素単結晶の製造を行っている場合、前記不足する元素の添加量を、前記同条件で行った前記炭化ケイ素単結晶の製造で得られた組成分析結果に基づいて算出する、炭化ケイ素単結晶の製造方法。
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