JP2026048044A - 傾斜圧延方法、傾斜圧延設備および金属管の製造方法 - Google Patents

傾斜圧延方法、傾斜圧延設備および金属管の製造方法

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Abstract

【課題】傾斜圧延方法、傾斜圧延設備および金属管の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、素管を管周方向に回転させると共に管軸方向に進行させながら、2個以上の圧延ロールで素管を縮径圧延する傾斜圧延方法であって、素管の先端領域を軽圧下する第1工程と、先端領域を除く領域を縮径圧延する第2工程を有し、第1工程では、Gapをロールギャップ、Diを素管の外直径としたとき、2個以上の圧延ロールのロールギャップが式(2)を満たすように制御して、先端領域の軽圧下を行う。
Di≧Gap≧Di×0.92 …(2)
【選択図】図1

Description

本発明は、金属管を縮径圧延する傾斜圧延方法、傾斜圧延設備および金属管の製造方法に関する。
シームレス金属管製品を使用する分野において、特に優れた耐食性と高強度が求められる分野では、耐食性能を向上させるために、Cr、Mo、Ni等の耐食性向上元素を多く添加した2相ステンレス鋼(具体的にはJIS G3459 SUS 329J1、329J3L、329J4L相当)やオーステナイト系ステンレス鋼(具体的にはJIS G3459 SUS 301、302、304、305、309、310、312、315、316、317、836、890、321、347相当)のシームレス鋼管ならびにNi基合金(具体的にはJIS H4552 NW4400、NW6007、NW0276、NW6022、NW6002相当)のシームレス管が使用されている。
これらの鋼種および合金は、優れた耐食性能を発揮させるために添加される合金元素を多量に含有する。そのため、組織としては、オーステナイト相単相またはオーステナイト相を多く含む多相組織となる。結晶構造が面心立方格子(fcc)構造であるオーステナイト相は、低温~常温程度の使用環境では、結晶構造が体心立方格子(bcc)構造であるフェライト相やマルテンサイト相に比べて、降伏強度が低い場合が多い。そのため、オーステナイト相が含まれる材料で、更に高い降伏強度が求められる場合には、当該材料に冷間で加工を付加し、加工による転位強化を利用して高降伏強度化を図っている。
例えば、油井管などに使われる高強度高耐食性鋼管では、冷間引抜加工や冷間ピルガー加工といった冷間加工が多用されており、降伏強さが125ksi以上である高強度高耐食性鋼管が実用化されている(非特許文献1を参照)。
非特許文献1に記載の冷間引抜加工法は、鋼管長手方向の強度向上に加え、鋼管の長手方向における肉厚分布の均一化にも有効な手法である。しかしながら、引抜加工前に、鋼管の軟化熱処理や、酸洗、潤滑被膜付与のための化成処理や、引抜時のつかみ部を作るための管端加工などの多くのプロセスが必要となる。また、引抜加工に必要な圧力の制限や工具への焼付き防止の観点から、減肉率が20%程度しか得られない。さらに、1回の引抜加工で減肉量が足りない場合は、再度前述の軟化熱処理からの一連のプロセスを繰り返す必要がある。また、引抜加工後の鋼管の形状は引抜に使用される工具寸法により一義的に決定されるため、サイズ変更の際には工具の交換が必要となり、少量多品種の製造には不向きである。さらに、引抜加工を実施する際に必要なプロセスが多いため、設備投資やエネルギー消費量も多大になるという問題がある。
一方の冷間ピルガー加工は、鋼管の予備処理が不要で、かつ高い減肉率が得られる。しかしながら、1パスでの送り量が数十mmと小さく、生産能率が悪い。また、圧延ロールの形状が複雑であり、工具製造負荷(具体的には、圧延ロールを製造するための作業負荷や経済的負荷)が大きい。
これらの問題を解決する技術として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1に記載の技術では、回転軸が金属管の圧延パス方向センターライン(以下、「パスライン」と称する場合もある)に対して傾斜して配置した2個以上の圧延ロールを有する傾斜圧延機のロールギャップに金属管を通過させて圧延する冷間圧延方法を提案している。これにより、加工前の被圧延管に対して表面被膜付与や、管端の加工などの予備処理を必要とせず、かつ高い加工能率で冷間加工による金属管の強度向上が可能になり、環境保護や、産業上において良好な効果を得られるとしている。また、内面を自由変形とすることで工具に生ずる面圧が過大になることを防ぎ、冷間引抜で発生する焼き付きのような表面疵の発生もなく所望の加工歪みを付加できるため、多品種少量生産にも好適である。
特許第6432614号公報
日本鉄鋼協会、「鋼管の製造技術の現状と将来」、社団法人 日本鉄鋼協会出版、昭和61年5月6日、p.115-145
上述のように、特許文献1に記載の冷間圧延方法には多数の利点がある。しかしながら、特許文献1で用いられる傾斜圧延機は、圧延の際に、圧延ロールからの圧延荷重によって管周方向に大きな応力が付与され、管材に過大な変形が加わる恐れがある。それゆえに、特許文献1では、圧延後の金属管の断面形状をより真円に近づけること、すなわち金属管の真円度を向上させる技術としては、まだ十分とは言えない。
また、圧延後の金属管の真円度を向上する技術の提供は、冷間圧延だけでなく、熱間圧延や温間圧延などでも求められている。さらに、シームレス金属管だけでなく、溶接鋼管や鍛接鋼管などにも、この技術を適用可能とすることが求められている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、圧延後の金属管の断面形状をより真円に近づけることが可能な傾斜圧延方法、傾斜圧延設備および金属管の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、金属管の真円度を向上させる傾斜圧延方法および金属管の製造方法について鋭意検討を行うとともに、この方法を実現可能にする傾斜圧延設備についても鋭意検討を行った。その結果、縮径圧延に先立って行う、被圧延管先端部の加工における加工条件を真円度が悪化しないように設定することで、圧延後の金属管全長の断面形状をより真円に近づける方法があることが分かった。
本発明者らは、さらなる検討により、以下の要旨からなる発明を完成した。
[1] 素管を管周方向に回転させると共に管軸方向に進行させながら、2個以上の圧延ロールで当該素管を縮径圧延する傾斜圧延方法であって、
前記素管の先端領域を軽圧下する第1工程と、
前記先端領域を除く前記素管の領域を縮径圧延する第2工程を有し、
前記第1工程では、
前記素管の最先端を始点、当該始点から管軸方向に式(1)で表される値Lだけ離間した位置を終点としたとき、当該始点から当該終点までの範囲内の領域を前記先端領域とし、
前記2個以上の圧延ロールのロールギャップが式(2)を満たすように制御して、前記先端領域の軽圧下を行う、傾斜圧延方法。
L=Di×6.00 …(1)
Di≧Gap≧Di×0.92 …(2)
ここで、式(2)に示す、
Gap:ロールギャップ[mm]、
Di:素管の外直径[mm]、である。
[2] パスラインを中心とした円周上に傾斜して配設された2個以上の圧延ロールと、
前記2個以上の圧延ロールのロールギャップを制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
素管の最先端を始点、当該始点から管軸方向に式(1)で表される値Lだけ離間した位置を終点としたとき、当該始点から当該終点までの範囲内の領域を先端領域とし、
当該先端領域を軽圧下する際に、前記ロールギャップが式(2)を満たすように制御する、傾斜圧延設備。
L=Di×6.00 …(1)
Di≧Gap≧Di×0.92 …(2)
ここで、式(2)に示す、
Gap:ロールギャップ[mm]、
Di:素管の外直径[mm]、である。
[3] 上記[1]に記載の傾斜圧延方法を用いて素管に縮径圧延を行い、金属管を得る製管工程を有する、金属管の製造方法。
本発明によれば、圧延後の金属管全長の断面形状をより真円に近づけることが可能となるため、金属管の真円度の低下を抑制することができる。
図1は、本発明の傾斜圧延設備の一実施形態を説明する模式図である。 図2は、図1に示す傾斜圧延設備を側面視した模式図である。 図3は、図1に示す傾斜圧延設備を上面視した模式図である。 図4は、本発明の傾斜圧延設備における圧延ロールの面角を説明する模式図である。 図5は、圧延後の金属管の断面形状の一例を説明する模式図である。 図6(A)は、本発明の「接触箇所」を説明する模式図であり、図6(B)は、本発明の「先端領域」を説明する模式図である。
各図を参照して、本発明の傾斜圧延設備、傾斜圧延方法および金属管の製造方法について説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な各実施形態を示すものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
〔傾斜圧延設備〕
図1~4を参照して、本発明の傾斜圧延設備について説明する。
図1は、本発明の傾斜圧延設備の一実施形態を示す図であり、傾斜圧延設備を圧延出側から正面視したものである。なお、図1には、一例として、2個の圧延ロールを有する傾斜圧延設備(すなわち、2ロール型の傾斜圧延設備)によって被圧延管に圧延を施している状態を示している。図2は、図1に示す傾斜圧延設備や被圧延管などを側面から視た模式図である。図3は、図1に示す傾斜圧延設備や被圧延管などを上方から視た模式図である。図4は、本発明の傾斜圧延設備に用いる圧延ロールの面角を説明する図である。なお、理解しやすくするために、図3では2個の圧延ロール3のうち下側の圧延ロールの図示を省略し、また図2~図4では素管1および被圧延管2を断面図としている。
本発明の傾斜圧延設備とは、金属管の製造プロセスで利用する圧延設備の一つである。以下には、「圧延設備」の一例として、被圧延材に冷間圧延を行うための冷間圧延設備について説明する。例えば、圧延ロールの回転軸が素管の圧延パス方向センターライン(パスライン。すなわち管軸方向。)に対して傾斜して配置された2個以上の圧延ロールを有する傾斜圧延設備が挙げられる。また、「圧延」の一例として、冷間圧延を行う場合について説明するが、本発明は、冷間圧延だけでなく、熱間圧延や温間圧延を行う場合にも適用可能である。なお、本発明における「金属管」とは、継目無鋼管や、溶接鋼管や、鍛接鋼管や、UOE管を指すものとする。
本発明の傾斜圧延設備10は、パスライン6を中心とした円周上に傾斜して配設された2個以上の圧延ロール3を備える設備である。この傾斜圧延設備10は、当該圧延ロール3のロールギャップを制御する制御手段4を有する。図1等に示すように、圧延ロール3は、素管1および被圧延管2の管周方向に2個以上配設される。この傾斜圧延設備10のロールギャップに、当該傾斜圧延設備の入側(すなわち圧延入側)から素管1を供給する。そして、2個以上の圧延ロール3に当該素管1を挟圧させつつ圧延方向に通過させることで、管材に傾斜圧延(以下、単に「圧延」と称する場合もある)を施し、所望の外径寸法に縮径された金属管とする。この素管には、縮径圧延を施す前の、継目無鋼管、溶接鋼管、鍛接鋼管およびUOE管が含まれる。
なお、図1~図4に示す、冷間圧延を行う2ロール型の傾斜圧延設備の例では、2個の圧延ロール3で素管1を挟圧させつつ圧延方向に通過させることとなる。この冷間圧延設備の例では、圧延終了後に得られる金属管は冷間圧延管となる。
まず、圧延ロール3について説明する。
図2および図3には、圧延ロール3の交叉角γ、傾斜角βを説明する図を示す。図2は、図1に示すA-A線断面図であり、圧延ロール3や被圧延管2などを側面からみた図である。図3は、図2に示すB-B矢視図であり、圧延ロール3や被圧延管2などを上方からみた図である。
図2および図3等に示すように、圧延ロール3とは、傾斜圧延設備10に供給された素管1を圧延するロールである。圧延ロール3は圧延部3aを有し、この圧延部3aで素管に傾斜圧延を施す。圧延ロール3の形状は、例えば樽型ロールや、円錐型ロールが挙げられる。なお、図1~4には、圧延ロール3として樽型ロールを用いた一例を示している。
圧延ロール3は、その回転軸7がパスライン6に対して傾斜角βを設けて配置される。傾斜角βとは、図3に示すように圧延ロール3を上面視した場合に(すなわち、管軸方向に垂直な方向であって、素管1への圧延荷重のかかる方向に視た場合に)、管軸方向(パスライン6)の直線と、圧延ロール3の回転軸7とがなす角度(単位:°)を指す。
このように、2個以上の圧延ロール3を傾斜した配置とすることにより、圧延ロール3の回転軸7を中心に回転する圧延ロール3が、圧延ロール3と素管1との接触によって生じる摩擦力を利用し、ロールギャップに供給された素管1を圧延方向(すなわち圧延パス方向)に引き込む。ここでは、引き込まれる側の素管端部を先端とする。そのため、素管1は圧延ロール3によって回転を受けながららせん状に圧延される。すなわち、素管1は、管周方向に回転しつつ、管軸方向に進行しながら、縮径圧延される。このような圧延形態は、傾斜圧延設備の圧延ロール3のロールギャップを、素管1の外径より小さくし、かつ上述したように圧延ロール3のそれぞれを傾斜配置すれば実現可能である(図1を参照)。
なお、本発明では、この縮径圧延に先立って、素管1の先端部に対して後述の第1工程を施す。
素管1および被圧延管2を安定して圧延方向に進行させる観点からは、傾斜角βを0.5~40.0°の範囲に設定することが好ましい。
圧延ロール3は、傾斜角βを設けることに加えて、圧延出側で交差角(交叉角)γを設けて配置してもよい。交叉角γとは、図2に示すように圧延ロール3を側面視した場合に(すなわち、管軸方向に垂直な方向であって、且つ素管1への圧延荷重のかかる方向に垂直な方向で視た場合に)、パスライン6と圧延ロール3の回転軸7とがなす角度(単位:°)を指す。交叉角γは特に規定しない。管軸方向におけるロール周速の変化を小さくし、素管の進行を安定化させることで、断面形状の真円度悪化を防止する観点からは、交叉角γを0~45.0°の範囲に設定することが好ましい。なお、真円度については、後述するため、ここでの説明は省略する。
図1等に示すように一対の圧延ロール3を有する傾斜圧延設備の場合、各圧延ロールは、管軸方向(パスライン6)に対して傾斜角βおよび交叉角γが形成される方向を互いに反対の方向としてよい。図示は省略するが、圧延ロール3を3個以上有する場合でも、同様に、圧延ロール毎に傾斜角βおよび交叉角γが形成される方向を変えてよい。
図4を参照して、圧延ロール3における面角(具体的には入側面角Mおよび出側面角N)について説明する。
圧延ロール3の入側面角Mとは、図4に示すように圧延ロール3を側面視した場合に、管の圧延方向に対して圧延入側となる圧延ロール3の側面(すなわち、圧延入側に向けて漸次断面形状が小さくなる圧延ロール3のテーパ側面)と管軸方向(パスライン6)に平行な直線6aとがなす角度(単位:°)を指す。また、圧延ロール3の出側面角Nとは、図4に示すように圧延ロール3を側面視した場合に、管の圧延方向に対して圧延出側となる圧延ロール3の側面(すなわち、圧延出側に向けて漸次断面形状が小さくなる圧延ロール3のテーパ側面)と管軸方向に平行な直線6aとがなす角度(単位:°)を指す。上記の「圧延ロール3を側面視した場合」とは、管軸方向に垂直な方向であって、且つ素管1への圧延荷重のかかる方向に垂直な方向で視た場合を意味する。
入側面角Mおよび出側面角Nは特に規定しない。素管の噛み込み性および被圧延管の進行の安定性の観点から、適宜、入側面角Mおよび出側面角Nを設定すればよい。製造設備によるが、各面角は入側面角Mを0.2~20.0°の範囲に設定することが好ましく、また出側面角Nを0.2~20.0°の範囲に設定することが好ましい。
続いて、制御手段4について説明する。
制御手段4では、後述する本発明の傾斜圧延方法の各条件に基づいて、各圧延ロール3のロールギャップの制御を行う。本発明では、特に、制御手段4により被圧延管2の先端部の真円度が悪化しないように第1工程の加工条件を設定することで、縮径圧延後(すなわち第2工程終了後)の金属管の断面形状を全長に亘ってより真円に近づけることができる。
以上のとおり、図1等を用いて2ロール型の傾斜圧延機について説明したが、本発明によれば、管周方向に3個以上の圧延ロールが配設された傾斜圧延機で素管を圧延する場合であっても、同様の作用効果を得ることができる。
次に、図5を参照して、本発明における真円度について説明する。図5には、傾斜圧延後の金属管の管軸方向垂直の断面形状の一例として、楕円形に変形したものを示す。
図5に示す、傾斜圧延後の金属管21の管軸方向垂直断面において、金属管21の外径のうち最大値(すなわち楕円形の長径)をDmaxとし、外径のうち最小値(すなわち楕円形の短径)をDminとするとき、両者の差すなわち金属管21の管軸方向垂直断面における外径最大値と外径最小値の差(Dmax-Dmin)を、Cpとする。なお、外径の目標値はDとする。そして、当該Cpの値と当該Dの値を式(5)に代入し、得られる値(R)を真円度と称する。本発明では、この真円度(R)の値が予め設定されるCp/Dの値以下である場合に、「良好な真円度」(すなわち「優れた真円度」)であると定義する。
R=Cp/D …(5)
ここで、式(5)に示す、R:真円度、Cp:圧延終了後の金属管の管軸方向垂直断面における、外径最大値と外径最小値の差、D:圧延終了後の金属管の管軸方向垂直断面における外径目標値、とする。
なお、金属管の外径(単位:mm)は、例えばノギスを用いて測定することができる。管端部の外径を測定する場合には、定規を用いてもよい。
また、管端部以外の外径を測定する場合には、測定箇所で金属管を管軸方向に対して垂直となるように切断し、切断面の形状を測定する。本発明では、上記の外径の最大値および最小値は、切断面における管の外径を、管周方向に等間隔で24点測定し、それらの最大値をDmax、それらの最小値をDminとすることにより得る。なお、ノギス又は定規を用いて外径を測定する際、管軸方向垂直断面において、管周上の測定位置(すなわち、ノギス又は定規の設置位置)となる2点間の管周方向における距離は、管周長の1/2となるように設定する。
金属管の管軸方向での測定位置は、式(2)に示すロールギャップで圧延した箇所(すなわち軽圧下した領域)を除いていずれの箇所でもよい。ただし、金属管の先尾端を含む領域には非定常部変形が起こりやすいため、先尾端からそれぞれ20mmを除いた箇所、より好ましくは先尾端からそれぞれ40mmを除いた箇所で、外径を測定することが望ましい。また、管軸方向での測定位置を複数個所とし、得られた値の平均値を用いてもよい。例えば、測定箇所の数を10点とし、当該10点での測定値の平均値を用いてもよい。
〔傾斜圧延方法〕
続いて、本発明の傾斜圧延方法について説明する。この傾斜圧延方法は、上述の本発明の傾斜圧延設備10に適用できる。なお、圧延ロールおよび制御手段に関する説明は、既述しているため省略する。
最初に、図6を参照して、本発明者らが被圧延管先端領域における圧延時のロールギャップを制御することに着目した理由について説明する。図6(A)は、被圧延管の圧延中における圧延部およびその周辺を拡大した図であり、図6(B)は、被圧延管の先端領域を説明する図である。
図6(A)に示すように、圧延中における圧延ロール3のテーパ側面3bと被圧延管2の管表面との接触している範囲を、「接触箇所」と称する。図6(A)に示す例では、圧延ロール3の圧延部3aに対して圧延入側と圧延出側で接触している。本発明者らの検討により、当該接触箇所と、圧延出側で当該接触箇所に隣接している被圧延管長手方向部分(図6(A)中に示す、白抜き矢印の箇所)とによる拘束が、真円度の悪化に影響していることが分かった。その理由は、次の通りである。接触箇所の断面形状の真円度が悪化するとき、隣接している部分(すなわち上記の被圧延管長手方向部分)は当該接触箇所と連続した一つの管であるために、当該接触箇所と同一もしくは近い断面形状へと変化する。この時、当該接触箇所が変形する前に、当該被圧延管長手方向部分の断面形状が既に真円度の悪化した状態となっている場合、当該接触箇所の断面形状のみが真円度の悪化した状態に変化することになる。これに対し、当該接触箇所が変形する前に、当該被圧延管長手方向部分の断面形状が真円度の悪化した状態になっていない場合、当該接触箇所の断面形状が真円度の悪化した状態に変化するとともに、当該被圧延管長手方向部分の断面形状も同時に真円度が悪化した状態に変化する必要がある。すなわち、より多くの範囲の断面形状が変化する必要があるため、真円度が悪化しづらいと言える。
さらに、当該被圧延管長手方向部分における真円度が高い場合には、当該接触箇所における加工後の真円度も良好となることも分かった。
すなわち、金属管の先端部分の真円度が良好であれば、先端部分の拘束によって当該先端部分の後ろに続く管長手方向部分も真円度が良くなり、その結果、管全体の加工後真円度が良好となることを見出した。上記の「管全体の加工後真円度」とは、先端部分以外の定常部を含めた金属管の加工後真円度を指す。
そして、上記の知見に基づき、金属管の先端部分に対して真円度が悪化しないような加工条件で加工を施す方法を見出した。
ここで、図6(B)を参照して、上記の先端部分について説明する。
本発明では、図6(B)に示すように、被圧延管の最先端(すなわち素管の最先端)を始点とし、当該始点から式(1)で表される値Lだけ管軸方向に離間した位置を終点としたとき、当該始点から当該終点までの範囲内にある特定領域を「先端領域」と定義する。この先端領域の始端は、上述の最先端(すなわち始点)と一致する。一方、先端領域の終端は、上記特定領域内の1点となる。
L=Di×6.00 …(1)
ここで、式(1)に示すDi:素管の外直径(mm)である。
後述の各式に示すロールギャップで第1工程を行う。管長手方向の範囲については、図6(B)に示すように金属管の最先端(始点)から、式(1)で表されるLの値、すなわち「圧延前の素管の外直径Diの600%で計算される値」だけ管軸方向に離間した位置(終点)までの範囲内における特定領域とする。管長手方向の広い範囲を対象に第1工程を行っても作用効果は得られるが、式(1)を超える広範囲を対象としても作用効果は同等である。また、加工(軽圧下)されない部分が大きくなると歩留まりの低下を招く。すなわち、第1工程で軽圧下する先端領域が狭まるほど、歩留まりの観点では歩留まりが低下しないので好ましい。一方で、該被圧延管長手方向部分の拘束により真円度の悪化を防ぐ効果を得るためには、先端領域が狭すぎるのは好ましくない。
そのような理由から、式(1)に基づく上記終点の上限値は、「素管の外直径Diの600%」とした。上記終点は、「素管の外直径Diの500%」とすることがより好ましい。また、上記終点の下限値は、「素管の外直径Diの10%」の位置とすることが好ましく、「素管の外直径Diの25%」の位置とすることがより好ましい。
すなわち、上記終点は、素管の外直径Diの10%以上、素管の外直径Diの600%以下の範囲内に位置することが好ましい。また、素管の外直径Diの25%以上が好ましく、素管の外直径Diの500%以下が好ましい。
ここでは、管の先端部分に対して真円度が悪化しない加工条件で加工を施す傾斜圧延方法を説明する。
金属管の先端部分の真円度が悪化しないような加工条件について、本発明者らは検討した。その結果、被圧延管の縮径圧延の前に、上述の先端領域に対して式(2)に示すロールギャップで加工(軽圧下)を施すことで、得られる金属管の先端部分の真円度の悪化を防げることを見出した。なお、本発明における「軽圧下」とは、式(2)を満たす条件で圧下することを指す。
具体的には、素管の先端領域を軽圧下する第1工程と、先端領域を除く領域を縮径圧延する第2工程とを含む傾斜圧延方法とする。
この第1工程では、2個以上の圧延ロールのロールギャップが式(2)を満たすように制御して、先端領域の軽圧下を行う。
Di≧Gap≧Di×0.92 …(2)
ここで、式(2)に示す、
Gap:ロールギャップ[mm]、
Di:圧延前の金属管(すなわち素管)の外直径[mm]、である。
第1工程の加工条件として、式(2)を規定した理由は、次の通りである。
ロールギャップの下限は式(2)に示すように「Di×0.92」以上とする必要がある。その理由は、この下限値より小さいロールギャップで加工すると、当該加工により真円度が悪化するためである。ロールギャップの下限は、「Di×0.95」以上とすることが好ましい。なお、第1工程では、軽圧下での加工の実施が目的であるためのため、ロールギャップの上限は「Di」以下とする。ロールギャップの上限は、「Di×0.99」以下とすることが好ましい。
上述のように、制御手段4によって、式(2)を満たすようにロールギャップが設定された第1工程であれば、上述の作用効果を得られる
なお、本発明は、縮径圧延に先立って行う被圧延管先端部の軽圧下を、上述の第1工程に規定した加工条件で行うことによって、最終的製品としての金属管の管全長における真円度を向上できる。
本発明では、特に、先端領域より後端側(すわなち先端領域を除く領域)に縮径圧延を行う第2工程の圧延条件は規定せず、製品寸法および強度に応じて、適宜、当該圧延条件を設定すればよい。なお、金属管の強度を十分に得る観点からは、第2工程の圧延条件は、少なくとも次の条件、例えば「加工後の金属管外直径/素管の外直径」で計算される値を0.92以下とすることが好ましい。この値は、0.76以上とすることが好ましい。
またこの条件に加えて、第2工程の縮径圧延でのロールギャップは、第1工程の上記ロールギャップより小さくなるように設定することがより好ましい。すなわち、第2工程のロールギャップは、第1工程の上記ロールギャップ未満とすることがより好ましい。さらに好ましくは、第2工程のロールギャップは、第1工程でのロールギャップを基準値としたとき、この値に対して76~99%の範囲に設定する。
上述のように、例えば、制御手段4は、傾斜圧延設備10の制御装置(図示せず)によって制御することも可能であり、この場合には、当該制御装置は、金属管の製造プロセスの操業を管理するプロセスコンピュータ(図示せず)からの命令によって、傾斜圧延設備10の動作の制御を行えばよい。
以上に説明した本発明の傾斜圧延方法では、圧延ロール3の回転軸7がパスライン6(管軸方向)に対して傾斜角βを設けて配置された2個以上の圧延ロール3を備えた傾斜圧延設備10を用いて、当該傾斜圧延設備が有する圧延ロール3のロールギャップを制御する制御手段4によって第1工程の条件を設定し、素管1を管周方向に回転させると共に管軸方向に進行させながら圧延する。なお、圧延ロール3は、さらに交叉角γを設けて配置してもよい。入側面角Mや出側面角Nも、上述の数値範囲内となるように適宜設定してもよい。
図4等に示すように、この傾斜圧延設備10のロールギャップに、該傾斜圧延設備10の入側(すなわち、図4に示す紙面右側)から素管1を供給する。各圧延ロール3で素管1を挟圧させつつ、該素管1を圧延方向に通過させることで、素管1に傾斜圧延を施す。これにより、所望の外径寸法に縮径された、金属管を得られる。
〔金属管の製造方法〕
続いて、上述の本発明の傾斜圧延設備を用いて金属管を製造する金属管の製造方法について説明する。すなわち、この製造方法は、上述の傾斜圧延方法によって被圧延管に圧延を施して金属管を製造する方法である。なお、ロールギャップの制御手段に関する説明は、傾斜圧延設備や傾斜圧延方法の説明で既にしているため省略する。
本発明の金属管の製造方法は、素管1を管周方向に回転させると共に管軸方向に進行させながら、2個以上の圧延ロール3のロールギャップに当該素管1を通過させて傾斜圧延することで、金属管を得る製管工程を有する。
製管工程では、制御手段4により圧延ロール3のロールギャップを制御する。具体的には、制御手段により、予め設定された素管の外直径に基づいて、圧延ロール3のロールギャップを設定し、当該ロールギャップに設定された圧延ロール3で素管1に第1工程および第2工程の処理を施す。これにより、金属管全長に亘って圧延後の断面形状の真円度低下を抑制することができる。なお、真円度を向上させる観点から、制御手段は上述の第1実施形態あるいは第2実施形態における第1工程の各式を満たすようにロールギャップを制御する。
なお、上記の素管の外直径は、例えば金属管の製品規格に基づいて定めることができる。
本発明の金属管の製造方法では、例えば、上記の製管工程後の金属管に熱処理を施してもよい。また例えば、上記の製管工程後の金属管を酸洗して金属管表面のスケールを取り除く処理を施してもよい。熱処理や酸洗処理の条件は、金属管の組成などに応じて、適宜設定すればよい。
なお、本発明では、上述の製管工程を行う前の素管の製造条件は、特に限定されず、通常公知の製造条件を採用することができる。また、製管工程を行う前の素管についても特に限定されず、例えば中空の管材であってよい。
以上に説明したとおり、本発明によれば、圧延ロールのロールギャップを適切に制御できる制御手段を有する傾斜圧延設備を用いて素管に傾斜圧延を行うことで、得られる金属管の圧延後の断面形状の真円度の低下を抑制することができる。特に、傾斜圧延前の素管に対して、表面被膜付与や、管端の加工などの予備処理を必要としない。また、傾斜圧延による金属管の硬度向上も実現しつつ、傾斜圧延後の断面形状の真円度の低下を抑制することが実現できる。
以下、本発明の実施例について説明する。しかし、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲内にて適宜変更することも可能である。
まず、表1に示すJIS G 4303:2012規格のステンレス鋼棒(素材:SUS329J3L)から機械加工により外径100mm(外径最大値と外径最小値の差:0mm)、肉厚8mm、長さ1000mmの素管を採取した。
次いで、採取した素管に、上述の傾斜圧延方法に基づいて圧延を施した。当該圧延には、冷間圧延を行う設備として、表2に示すロール数の設備(すなわち、2ロール型傾斜圧延設備および3ロール型傾斜圧延設備)を用いた。これらの圧延ロールには、入側面角Mが8.0°、出側面角Nが4.0°である樽型ロールを用いた。ここでは、圧延ロールのロールギャップGapを表2に示すように種々変更して圧延した。圧延に際して、圧延ロールの傾斜角βを3°とし、交叉角γを0°とした。圧延ロールのロールギャップは、被圧延管の先端領域では表2に示す値とし、それ以外の部分(すなわち先端領域以外の領域)では89.0mmとした。なお、第1工程の加工条件は表2に示す条件とし、第2工程の圧延条件は上述の数値範囲とした。表2に示した「管の最先端からの管軸方向の長さ」が、上述の先端領域となる。
常温の素管に対して1パス圧延を施し、金属管を得た。
次いで、圧延後の金属管(ここでは、冷間圧延管)を用いて、上述の方法で真円度(R)の評価を行った。なお、金属管の外径の測定にはノギスを用いた。上述のように、外径を管周方向に等間隔に24点測定することで得た外径最大値Dmax(実測値)および外径最小値Dmin(実測値)から両者の差Cpを算出した。式(5)を用いて、Cp/Dの値を算出し、表2に示した。
本実施例では、圧延後に測定されたCp/Dの値が、予め設定される目標値である0.009以下となる場合に、「合格(すなわち、優れた真円度)」であると評価した。具体的には、0以上0.006以下となる場合には表2の評価結果欄の記号「◎」を記し、0.006より大きく0.009以下となる場合には記号「○」を記した。一方、Cp/Dの値が0.009を超える場合に、「不合格」と評価し、表2の評価結果欄に記号「×」を記した。
なお、管軸方向での測定位置は、金属管の中央位置(すなわち、管端から管全長の半分の長さの位置)とした。
表2に結果を示す。
表2に示す管No.1~16は、ロール数が2個の2ロール型傾斜圧延設備で圧延を実施して得られた管である。管No.1~3は、先端領域におけるロールギャップGapの値が式(2)を満たさない値となっている。その結果、真円度が目標値を満たしていない。これに対し、管No.4~16では、先端領域におけるロールギャップGapの値が式(2)を満たしている。その結果、真円度の目標値を満たしている。
表2に示す管No.17~32は、ロール数が3個の3ロール型傾斜圧延設備で圧延を実施して得られた管である。管No.17~19は、先端領域におけるロールギャップGapの値が式(2)を満たさない値となっている。その結果、真円度が目標値を満たしていない。これに対し、管No.20~32では、先端領域におけるロールギャップGapの値が式(2)を満たしている。その結果、真円度の目標値を満たしている。
以上のことから、本発明例では、真円度の低下を抑制できることが分かった。
1 素管
2 被圧延管
3 圧延ロール
3a 圧延部
3b テーパ側面
4 制御手段
6 パスライン
7 圧延ロールの回転軸
10 傾斜圧延設備
21 金属管
β 傾斜角
γ 交叉角
M 入側面角
N 出側面角
Gap ロールギャップ
Dmax 外径最大値
Dmin 外径最小値

Claims (3)

  1. 素管を管周方向に回転させると共に管軸方向に進行させながら、2個以上の圧延ロールで当該素管を縮径圧延する傾斜圧延方法であって、
    前記素管の先端領域を軽圧下する第1工程と、
    前記先端領域を除く前記素管の領域を縮径圧延する第2工程を有し、
    前記第1工程では、
    前記素管の最先端を始点、当該始点から管軸方向に式(1)で表される値Lだけ離間した位置を終点としたとき、当該始点から当該終点までの範囲内の領域を前記先端領域とし、
    前記2個以上の圧延ロールのロールギャップが式(2)を満たすように制御して、前記先端領域の軽圧下を行う、傾斜圧延方法。
    L=Di×6.00 …(1)
    Di≧Gap≧Di×0.92 …(2)
    ここで、式(2)に示す、
    Gap:ロールギャップ[mm]、
    Di:素管の外直径[mm]、である。
  2. パスラインを中心とした円周上に傾斜して配設された2個以上の圧延ロールと、
    前記2個以上の圧延ロールのロールギャップを制御する制御手段と、を有し、
    前記制御手段は、
    素管の最先端を始点、当該始点から管軸方向に式(1)で表される値Lだけ離間した位置を終点としたとき、当該始点から当該終点までの範囲内の領域を先端領域とし、
    当該先端領域を軽圧下する際に、前記ロールギャップが式(2)を満たすように制御する、傾斜圧延設備。
    L=Di×6.00 …(1)
    Di≧Gap≧Di×0.92 …(2)
    ここで、式(2)に示す、
    Gap:ロールギャップ[mm]、
    Di:素管の外直径[mm]、である。
  3. 請求項1に記載の傾斜圧延方法を用いて素管に縮径圧延を行い、金属管を得る製管工程を有する、金属管の製造方法。
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