JP2523183Z - - Google Patents
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Description
【考案の詳細な説明】
〈産業上の利用分野〉
本考案は、例えば自動車用エンジンのコンロッドの大端部とクランクピンとの
間の軸受などとして用いられるもので、保持器ところのみから構成されるいわゆ
るケージアンドローラタイプのころ軸受を対象として、そのころの脱落防止を図
るころ脱落防止具に関する。 〈従来の技術〉 ケージアンドローラタイプの例えば針状ころ軸受は、通常、保持器における柱
部の内周側および外周側からそれぞれポケットに突出する抜け止め片(ころ止め
)をプレスやローレットかしめによって形成し、この内外の抜け止め片で針状こ
ろがポケットから脱落するのを防止している。 しかし、このような抜け止め片を形成すると、ポケット内に充填され針状ころ
の外周面に付着されているグリースが針状ころの転動に伴って抜け止め片にこす
り取られる油膜切りの問題のほか、針状ころのスキュー(軸線の傾き)、保持器 の強度不足などの問題が生じる。 そこで、抜け止め片を省略して上記の各問題を避ける一方、複数の針状ころ軸
受を比較的長尺な内側チューブと外側チューブとの間に挟み込むことで、輸送時
に生じやすい針状ころの脱落を防止するようにしたものが開発された。 ところが、上記のようにして輸送されてきた針状ころ軸受を需要者(組立て工
場)において例えばコンロッドなどの装着対象に組み付けるに際して、針状ころ
が保持器から脱落しないように充分に注意を払いながら内外両チューブから1つ
ずつ針状ころ軸受を取り出し、かつ、装着対象に対する組み付けが完了するまで
針状ころの脱落防止に気を配らなければならないという取り扱い上の煩雑さがあ
った。 近年、このような不都合を解消するために、第9図に示すようなころ脱落防止
具A0が開発された。 第9図において、20は抜け止め片を有しない保持器、22は保持器20のポ
ケットに保持された針状ころであり、この保持器20と複数の針状ころ22とで
内外輪レスの針状ころ軸受B0が構成されている。 24は針状ころ22が内側に脱落するのを防止するために、針状ころ22群の
内周部に当接させる状態で内嵌させた合成樹脂製の内筒、26は針状ころ22の
外側への脱落を防止するために、針状ころ22群の外周部に当接させる状態で外
嵌させた外筒であり、これら内筒24と外筒26とのペアでもってころ脱落防止
具A0を構成している。 このころ脱落防止具A0は、前記の場合のように長尺な内外両チューブで複数
の針状ころ軸受B0をまとめて保持するのとは異なり、1個の針状ころ軸受B0ご
とに用いられるものである。 針状ころ軸受B0に内筒24と外筒26とを嵌着させたままの状態で装着対象
であるコンロッド28に近づけ、矢印Y1方向に打ち込むことにより、針状ころ
軸受B0および内筒24をコンロッド28の装着孔28aに嵌合する。 この打ち込み時に、外筒26はコンロッド28の側面28bによって受け止め
られ、装着孔28a内に進入する針状ころ軸受B0との相対移動により外筒26
が針状ころ軸受B0から自動的に抜き出される。 打ち込み途中において、針状ころ22は外筒26に支持されつつ、装着孔28 aによる支持状態に移行するため、外筒26の抜き出しにもかかわらず針状ころ
22は保持器20から外方に脱落することが規制される。 装着孔28aに対する針状ころ軸受B0および内筒24の嵌合が完了すると、
今度は、クランクピン30を矢印Y2方向に打ち込むことにより、内筒24を押
し出しながらクランクピン30を針状ころ軸受B0に嵌合する。この場合も、内
筒24は押し出されつつ針状ころ22を支持しており、その状態でクランクピン
30による支持状態に移行するため、針状ころ22が保持器20から内方に脱落
することが規制される。 以上のように、第9図の方式によれば、装着対象に対する組み付けにおいて針
状ころ22が脱落する心配が全くないので、組み件け作業性が大幅に改善される
。 〈考案が解決しようとする課題〉 しかしながら、第9図に示した従来のころ脱落防止具A0の場合、装着孔28
aに対する針状ころ軸受B0の嵌合の際の芯合わせがなかなかうまく行えず、多
大な手間を要するという問題を有していた。 装着孔28aに対する針状ころ軸受B0の嵌合を強力な安定状態とするために
、装着孔28aの内周面と針状ころ22群の外周部との間にはある適当な締め代
が確保されていなければならない。このため、針状ころ22群の外接円の半径を
装着孔28aの内周面の半径よりもわずかに大きく設計してある。 その結果、針状ころ22群の中心が装着孔28aの中心に対してほんのわずか
でも偏心していると、針状ころ22群を保持している保持器20の端面がコンロ
ッド28の側面28bに突き当たった状態となり、その状態からそれ以上装着孔
28aへ針状ころ軸受B0を進入させることができなくなる。 したがって、針状ころ軸受B0を装着孔28aへスムーズに進入させるために
は、前もって保持器20と装着孔28aとの芯合わせをきわめて高精度に行って
おくことが必要となる。 しかし、第9図の従来例の場合には、その芯合わせを行うための明確な基準と
なるものがないために、特に、外筒26が保持器20の全長範囲を覆っていて保
持器20を直接見ることができないために、芯合わせに多大な手間を要すること
となっており、この点で組み付け作業性の一層の改善が求められているのである 。 また、針状ころ軸受B0および内筒24が装着孔28aに嵌合された後に、ク
ランクピン30を針状ころ軸受B0に嵌合する際にも、それに先立つ芯合わせに
手間を要している。ただ、この場合は、保持器20が見えるので、針状ころ軸受
B0を装着孔28aに嵌合する場合ほどには手間取らない。 本考案は、上記の要請に応えるべく創案されたものであって、装着孔に対する
針状ころ軸受の嵌合に先立つ芯合わせを単純な作業でもって容易に行えるように
し、組み付け作業性をさらに合理化させることを目的とする。 〈課題を解決するための手段〉 本考案は、このような目的を達成するために、複数のころとこれらを保持する
保持器とからなる内外輪なしタイプのころ軸受に対し、そのころ群の内周部に密
着する状態で内嵌される内筒と、前記ころ群の外周部に密着する状態で外嵌され
る外筒とをペアとして構成されるころ脱落防止具において、次のような構成をと
る。 本考案のころ脱落防止具は、前記内筒と外筒とのうち少なくとも外筒の軸方向
長さが、ころの軸方向長さよりも長くかつ保持器の軸方向長さよりも短い寸法に
設定され、当該外筒が、複数のころ全体を覆った上で保持器の軸方向一端側外周
面を露出する状態に外嵌されることにより、この保持器の露出部分を装着孔に対
する引っ掛かり代としたことに特徴を有する。 なお、ころ軸受に対する外筒の外嵌の際に前記の引っ掛かり代を確実に確保す
るため、外筒の軸方向他端に半径方向内側に延出するフランジを一体形成してお
き、このフランジを保持器の軸方向他端面に当接させるようにすることが好まし
い。 〈作用〉 第9図の従来例の場合に芯合わせがむずかしい原因として外筒が保持器の全長
範囲を覆っていることを挙げたが、これは言い換えると、外筒の軸方向一端面と
保持器の軸方向一端面とが面一となっているために、装着孔の周囲近傍における
装着対象の側面上でころ脱落防止具付きのころ軸受の端面を滑らせたとき、芯合
わせの基準として装着孔の開口縁に引り掛かるものが何もないということである
(外筒の外周面の端縁は引っ掛かるがこれは芯合わせの基準ではない)。 本考案の上記構成は、この点に鑑みて、芯合わせの基準とすべく保持器の軸方
向一端面と外筒の軸方向一端面との間に引っ掛かり代を設けたのであり、それに
よる作用は次のようになる。 装着孔に対するころ軸受の嵌合に先立って、保持器の軸方向一端面を装着孔の
周囲近傍において装着対象の側面上で滑らせる。保持器の軸方向一端面は外筒の
軸方向一端面よりも突出しているため、前記のように滑らせることにより、保持
器端面の外周端縁が装着孔の開口縁に引っ掛かる。この引っ掛かりにより、保持
器が装着孔に対して芯合わせされることになる。 〈実施例〉 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 第1図はころ脱落防止具を針状ころ軸受にセットした状態の断面図である。 針状ころ軸受B0は、ポケットが周方向等配状態に形成された筒状の保持器2
0と、この保持器20における各ポケット内に転動自在に嵌め込まれた複数の針
状ころ22のみから構成される、いわゆるケージアンドローラタイプとなってい
る。 ころ脱落防止具A1は、針状ころ22群の内周部に密着する状態で内嵌される
フランジ2a付きの内筒2と、針状ころ22群の外周部に密着する状態で外嵌さ
れるフランジ4a付きの外筒4とをペアとして構成されている。 なお、内筒2も外筒4もポリプロピレンなどの弾性、耐油性、機械的強度に優
れた合成樹脂で成形されている。 内筒2および外筒4は、その軸方向長さが針状ころ22の軸方向長さよりも長
くかつ保持器20の軸方向長さよりも短い寸法に設定されている。そのため、こ
の内筒2および外筒4を針状ころ軸受B0に装着した状態では、図1に示すよう
に、すべての針状ころ22全体を覆った上で保持器20の軸方向一端測の外周面
および内周面を露出する状態になり、保持器20の軸方向一端面20aが、内筒
2の軸方向一端面2bおよび外筒4の軸方向一端面4bよりもわずかに軸方向外
方に突出する突出部となっている。 保持器20の軸方向一端面20aと外筒4の軸方向一端面4bとの寸法差がコ
ンロッド28における装着孔28aに対する保持器20の引っ掛かり代L1とな
っており、保持器20の軸方向一端面20aと内筒2の軸方向一端面2bとの寸 法差がクランクピン30(第4図参照)の保持器20に対する引っ掛かり代L2
となっている。 外筒4のフランジ4aを保持器20の軸方向他端面20bに当接させることで
前記の装着孔28aに対する引っ掛かり代L1を確保し、内筒2のフランジ2a
を同様に当接させることで前記のクランクピン30に対する引っ掛かり代L2を
確保するようにしてある。 なお、針状ころ22群から内筒2および外筒4が軸方向に沿って不測に抜け出
さないようにするため、内筒2と針状ころ22群との間および針状ころ22群と
外筒4との間にそれぞれ適当な締め代(半径方向の弾性押圧力)が確保されてい
る。 また、針状ころ軸受B0をコンロッド28の装着孔28aに嵌合した状態で針
状ころ22群と装着孔28aの内周面との間に適当な締め代が確保されるよう寸
法調整が行われている。装着孔28aに対する針状ころ22群の嵌合を容易なも
のとし、かつ、前記のように両者間に適当な締め代を確保するため、外筒4が針
状ころ22群を内側へ押圧する力に比べて、内筒2が針状ころ22群を外側へ押
圧する力の方を小さくしてある。 次に、ころ脱落防止具A1によって保持された針状ころ軸受B0をコンロッド2
8の装着孔28aにセットする際の作業要領を第2図ないし第6図に従って順次
説明する。 第2図に示すように、保持器20の軸方向一端面20aを装着孔28aの
周囲近傍においてコンロッド28の側面28b上で矢印のように滑らせる。引っ
掛かり代L1によって保持器20の軸方向一端面20aが外筒4の軸方向一端面
4bよりも突出しているため、保持器20の軸方向一端面20aの外周端縁20
a1が装着孔28aの開口縁28a1に引っ掛かり、保持器20が装着孔28aに
対して芯合わせされる。 すなわち、保持器20の軸方向一端面20aをコンロッド28の側面28b上
で滑らせるだけの単純な作業で芯合わせを容易に実現することができる。 第3図に示すように、針状ころ軸受B0および内筒2を矢印Y1方向に打ち
込んで装着孔28aに嵌合する。このとき、針状ころ22群の外周部が装着孔2
8aの内周面に圧接されながら摺動する。 このとき、外筒4の軸方向一端面4bがコンロッド28の側面28bに当接し
て位置規制され、針状ころ軸受B0および内筒2との相対移動により外筒4は針
状ころ軸受B0から自動的に抜き出されていく。 しかし、その抜き出しの途中において、針状ころ22群は、軸方向の一方が外
筒4に保持され、他方が装着孔28aに保持されることから、その全長範囲が常
に保持されていることになり、針状ころ22の外側への脱落が防止されるととも
に、スムーズな嵌合が行われる。 第4図に示すように、針状ころ軸受B0がコンロッド28に完全に嵌合さ
れた後、クランクピン30の軸方向一端面30aを保持器20に対して芯合わせ
する。引っ掛かり代L2により内筒2の軸方向一端面2bが保持器20の軸方向
一端面20aよりも凹入しているため、その芯合わせは容易に行える。 第5図に示すように、クランクピン30を矢印Y2方向に打ち込んで、ク
ランクピン30によって内筒2を針状ころ軸受B0から抜き出させながらクラン
クピン30を針状ころ22群に嵌合する。このとき、クランクピン30の外周部
が針状ころ22群の内周部を圧接しながら摺動する。 このとき、内筒2の抜き出しの途中において、針状ころ22群は、軸方向の一
方が内筒2に保持され、他方がクランクピン30に保持されることから、その全
長範囲が常に保持されていることになり、針状ころ22の内側への脱落が防止さ
れるとともに、スムーズな嵌合が行われる。第6図は組み付け完成状態を示す。 なお、内筒2としては、第7図に示すように、フランジ2a付きの筒状本体2
cにおいて少なくとも1個以上の軸方向に沿ったスリット2dを形成したものを
用いたり、あるいは、第8図に示すように、筒状本体2cに少なくとも1個以上
のV溝状の弾性凹条部2eを形成し、フランジ2aにおいて弾性凹条部2eに対
応する箇所を幅狭フランジ部分2fとなし、この幅狭フランジ部分2fに弾性凹
条部2eに連続するVカット2gを形成したものを用いてもよい。 また、上記実施例では内筒2も外筒4もフランジ2a,4aを有していたが、
クランクピン30の保持器20に対する芯合わせが比較的容易なことから、引っ
掛かり代L2は必ずしも必要ではなく、これを省略する場合には、内筒2におい
てフランジ2aを省略してもよい。 〈考案の効果〉 本考案によれば、次の効果が発揮される。 すなわち、保持器の軸方向一端面を外筒の軸方向一端面よりも突出させて両端
面間に引っ掛かり代を設けたので、装着孔の近傍において装着対象の側面上で保
持器の軸方向一端面を滑らせると、保持器端面の外周端縁が装着孔の開口縁に引
っ掛かり、装着孔に対して保持器を芯合わせすることができる。 つまり、保持器端面を装着対象側面上で滑らせるだけの単純な作業により芯合
わせを容易に行うことができ、ころ軸受の組み付け作業性をさらに向上させるこ
とができる。
間の軸受などとして用いられるもので、保持器ところのみから構成されるいわゆ
るケージアンドローラタイプのころ軸受を対象として、そのころの脱落防止を図
るころ脱落防止具に関する。 〈従来の技術〉 ケージアンドローラタイプの例えば針状ころ軸受は、通常、保持器における柱
部の内周側および外周側からそれぞれポケットに突出する抜け止め片(ころ止め
)をプレスやローレットかしめによって形成し、この内外の抜け止め片で針状こ
ろがポケットから脱落するのを防止している。 しかし、このような抜け止め片を形成すると、ポケット内に充填され針状ころ
の外周面に付着されているグリースが針状ころの転動に伴って抜け止め片にこす
り取られる油膜切りの問題のほか、針状ころのスキュー(軸線の傾き)、保持器 の強度不足などの問題が生じる。 そこで、抜け止め片を省略して上記の各問題を避ける一方、複数の針状ころ軸
受を比較的長尺な内側チューブと外側チューブとの間に挟み込むことで、輸送時
に生じやすい針状ころの脱落を防止するようにしたものが開発された。 ところが、上記のようにして輸送されてきた針状ころ軸受を需要者(組立て工
場)において例えばコンロッドなどの装着対象に組み付けるに際して、針状ころ
が保持器から脱落しないように充分に注意を払いながら内外両チューブから1つ
ずつ針状ころ軸受を取り出し、かつ、装着対象に対する組み付けが完了するまで
針状ころの脱落防止に気を配らなければならないという取り扱い上の煩雑さがあ
った。 近年、このような不都合を解消するために、第9図に示すようなころ脱落防止
具A0が開発された。 第9図において、20は抜け止め片を有しない保持器、22は保持器20のポ
ケットに保持された針状ころであり、この保持器20と複数の針状ころ22とで
内外輪レスの針状ころ軸受B0が構成されている。 24は針状ころ22が内側に脱落するのを防止するために、針状ころ22群の
内周部に当接させる状態で内嵌させた合成樹脂製の内筒、26は針状ころ22の
外側への脱落を防止するために、針状ころ22群の外周部に当接させる状態で外
嵌させた外筒であり、これら内筒24と外筒26とのペアでもってころ脱落防止
具A0を構成している。 このころ脱落防止具A0は、前記の場合のように長尺な内外両チューブで複数
の針状ころ軸受B0をまとめて保持するのとは異なり、1個の針状ころ軸受B0ご
とに用いられるものである。 針状ころ軸受B0に内筒24と外筒26とを嵌着させたままの状態で装着対象
であるコンロッド28に近づけ、矢印Y1方向に打ち込むことにより、針状ころ
軸受B0および内筒24をコンロッド28の装着孔28aに嵌合する。 この打ち込み時に、外筒26はコンロッド28の側面28bによって受け止め
られ、装着孔28a内に進入する針状ころ軸受B0との相対移動により外筒26
が針状ころ軸受B0から自動的に抜き出される。 打ち込み途中において、針状ころ22は外筒26に支持されつつ、装着孔28 aによる支持状態に移行するため、外筒26の抜き出しにもかかわらず針状ころ
22は保持器20から外方に脱落することが規制される。 装着孔28aに対する針状ころ軸受B0および内筒24の嵌合が完了すると、
今度は、クランクピン30を矢印Y2方向に打ち込むことにより、内筒24を押
し出しながらクランクピン30を針状ころ軸受B0に嵌合する。この場合も、内
筒24は押し出されつつ針状ころ22を支持しており、その状態でクランクピン
30による支持状態に移行するため、針状ころ22が保持器20から内方に脱落
することが規制される。 以上のように、第9図の方式によれば、装着対象に対する組み付けにおいて針
状ころ22が脱落する心配が全くないので、組み件け作業性が大幅に改善される
。 〈考案が解決しようとする課題〉 しかしながら、第9図に示した従来のころ脱落防止具A0の場合、装着孔28
aに対する針状ころ軸受B0の嵌合の際の芯合わせがなかなかうまく行えず、多
大な手間を要するという問題を有していた。 装着孔28aに対する針状ころ軸受B0の嵌合を強力な安定状態とするために
、装着孔28aの内周面と針状ころ22群の外周部との間にはある適当な締め代
が確保されていなければならない。このため、針状ころ22群の外接円の半径を
装着孔28aの内周面の半径よりもわずかに大きく設計してある。 その結果、針状ころ22群の中心が装着孔28aの中心に対してほんのわずか
でも偏心していると、針状ころ22群を保持している保持器20の端面がコンロ
ッド28の側面28bに突き当たった状態となり、その状態からそれ以上装着孔
28aへ針状ころ軸受B0を進入させることができなくなる。 したがって、針状ころ軸受B0を装着孔28aへスムーズに進入させるために
は、前もって保持器20と装着孔28aとの芯合わせをきわめて高精度に行って
おくことが必要となる。 しかし、第9図の従来例の場合には、その芯合わせを行うための明確な基準と
なるものがないために、特に、外筒26が保持器20の全長範囲を覆っていて保
持器20を直接見ることができないために、芯合わせに多大な手間を要すること
となっており、この点で組み付け作業性の一層の改善が求められているのである 。 また、針状ころ軸受B0および内筒24が装着孔28aに嵌合された後に、ク
ランクピン30を針状ころ軸受B0に嵌合する際にも、それに先立つ芯合わせに
手間を要している。ただ、この場合は、保持器20が見えるので、針状ころ軸受
B0を装着孔28aに嵌合する場合ほどには手間取らない。 本考案は、上記の要請に応えるべく創案されたものであって、装着孔に対する
針状ころ軸受の嵌合に先立つ芯合わせを単純な作業でもって容易に行えるように
し、組み付け作業性をさらに合理化させることを目的とする。 〈課題を解決するための手段〉 本考案は、このような目的を達成するために、複数のころとこれらを保持する
保持器とからなる内外輪なしタイプのころ軸受に対し、そのころ群の内周部に密
着する状態で内嵌される内筒と、前記ころ群の外周部に密着する状態で外嵌され
る外筒とをペアとして構成されるころ脱落防止具において、次のような構成をと
る。 本考案のころ脱落防止具は、前記内筒と外筒とのうち少なくとも外筒の軸方向
長さが、ころの軸方向長さよりも長くかつ保持器の軸方向長さよりも短い寸法に
設定され、当該外筒が、複数のころ全体を覆った上で保持器の軸方向一端側外周
面を露出する状態に外嵌されることにより、この保持器の露出部分を装着孔に対
する引っ掛かり代としたことに特徴を有する。 なお、ころ軸受に対する外筒の外嵌の際に前記の引っ掛かり代を確実に確保す
るため、外筒の軸方向他端に半径方向内側に延出するフランジを一体形成してお
き、このフランジを保持器の軸方向他端面に当接させるようにすることが好まし
い。 〈作用〉 第9図の従来例の場合に芯合わせがむずかしい原因として外筒が保持器の全長
範囲を覆っていることを挙げたが、これは言い換えると、外筒の軸方向一端面と
保持器の軸方向一端面とが面一となっているために、装着孔の周囲近傍における
装着対象の側面上でころ脱落防止具付きのころ軸受の端面を滑らせたとき、芯合
わせの基準として装着孔の開口縁に引り掛かるものが何もないということである
(外筒の外周面の端縁は引っ掛かるがこれは芯合わせの基準ではない)。 本考案の上記構成は、この点に鑑みて、芯合わせの基準とすべく保持器の軸方
向一端面と外筒の軸方向一端面との間に引っ掛かり代を設けたのであり、それに
よる作用は次のようになる。 装着孔に対するころ軸受の嵌合に先立って、保持器の軸方向一端面を装着孔の
周囲近傍において装着対象の側面上で滑らせる。保持器の軸方向一端面は外筒の
軸方向一端面よりも突出しているため、前記のように滑らせることにより、保持
器端面の外周端縁が装着孔の開口縁に引っ掛かる。この引っ掛かりにより、保持
器が装着孔に対して芯合わせされることになる。 〈実施例〉 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 第1図はころ脱落防止具を針状ころ軸受にセットした状態の断面図である。 針状ころ軸受B0は、ポケットが周方向等配状態に形成された筒状の保持器2
0と、この保持器20における各ポケット内に転動自在に嵌め込まれた複数の針
状ころ22のみから構成される、いわゆるケージアンドローラタイプとなってい
る。 ころ脱落防止具A1は、針状ころ22群の内周部に密着する状態で内嵌される
フランジ2a付きの内筒2と、針状ころ22群の外周部に密着する状態で外嵌さ
れるフランジ4a付きの外筒4とをペアとして構成されている。 なお、内筒2も外筒4もポリプロピレンなどの弾性、耐油性、機械的強度に優
れた合成樹脂で成形されている。 内筒2および外筒4は、その軸方向長さが針状ころ22の軸方向長さよりも長
くかつ保持器20の軸方向長さよりも短い寸法に設定されている。そのため、こ
の内筒2および外筒4を針状ころ軸受B0に装着した状態では、図1に示すよう
に、すべての針状ころ22全体を覆った上で保持器20の軸方向一端測の外周面
および内周面を露出する状態になり、保持器20の軸方向一端面20aが、内筒
2の軸方向一端面2bおよび外筒4の軸方向一端面4bよりもわずかに軸方向外
方に突出する突出部となっている。 保持器20の軸方向一端面20aと外筒4の軸方向一端面4bとの寸法差がコ
ンロッド28における装着孔28aに対する保持器20の引っ掛かり代L1とな
っており、保持器20の軸方向一端面20aと内筒2の軸方向一端面2bとの寸 法差がクランクピン30(第4図参照)の保持器20に対する引っ掛かり代L2
となっている。 外筒4のフランジ4aを保持器20の軸方向他端面20bに当接させることで
前記の装着孔28aに対する引っ掛かり代L1を確保し、内筒2のフランジ2a
を同様に当接させることで前記のクランクピン30に対する引っ掛かり代L2を
確保するようにしてある。 なお、針状ころ22群から内筒2および外筒4が軸方向に沿って不測に抜け出
さないようにするため、内筒2と針状ころ22群との間および針状ころ22群と
外筒4との間にそれぞれ適当な締め代(半径方向の弾性押圧力)が確保されてい
る。 また、針状ころ軸受B0をコンロッド28の装着孔28aに嵌合した状態で針
状ころ22群と装着孔28aの内周面との間に適当な締め代が確保されるよう寸
法調整が行われている。装着孔28aに対する針状ころ22群の嵌合を容易なも
のとし、かつ、前記のように両者間に適当な締め代を確保するため、外筒4が針
状ころ22群を内側へ押圧する力に比べて、内筒2が針状ころ22群を外側へ押
圧する力の方を小さくしてある。 次に、ころ脱落防止具A1によって保持された針状ころ軸受B0をコンロッド2
8の装着孔28aにセットする際の作業要領を第2図ないし第6図に従って順次
説明する。 第2図に示すように、保持器20の軸方向一端面20aを装着孔28aの
周囲近傍においてコンロッド28の側面28b上で矢印のように滑らせる。引っ
掛かり代L1によって保持器20の軸方向一端面20aが外筒4の軸方向一端面
4bよりも突出しているため、保持器20の軸方向一端面20aの外周端縁20
a1が装着孔28aの開口縁28a1に引っ掛かり、保持器20が装着孔28aに
対して芯合わせされる。 すなわち、保持器20の軸方向一端面20aをコンロッド28の側面28b上
で滑らせるだけの単純な作業で芯合わせを容易に実現することができる。 第3図に示すように、針状ころ軸受B0および内筒2を矢印Y1方向に打ち
込んで装着孔28aに嵌合する。このとき、針状ころ22群の外周部が装着孔2
8aの内周面に圧接されながら摺動する。 このとき、外筒4の軸方向一端面4bがコンロッド28の側面28bに当接し
て位置規制され、針状ころ軸受B0および内筒2との相対移動により外筒4は針
状ころ軸受B0から自動的に抜き出されていく。 しかし、その抜き出しの途中において、針状ころ22群は、軸方向の一方が外
筒4に保持され、他方が装着孔28aに保持されることから、その全長範囲が常
に保持されていることになり、針状ころ22の外側への脱落が防止されるととも
に、スムーズな嵌合が行われる。 第4図に示すように、針状ころ軸受B0がコンロッド28に完全に嵌合さ
れた後、クランクピン30の軸方向一端面30aを保持器20に対して芯合わせ
する。引っ掛かり代L2により内筒2の軸方向一端面2bが保持器20の軸方向
一端面20aよりも凹入しているため、その芯合わせは容易に行える。 第5図に示すように、クランクピン30を矢印Y2方向に打ち込んで、ク
ランクピン30によって内筒2を針状ころ軸受B0から抜き出させながらクラン
クピン30を針状ころ22群に嵌合する。このとき、クランクピン30の外周部
が針状ころ22群の内周部を圧接しながら摺動する。 このとき、内筒2の抜き出しの途中において、針状ころ22群は、軸方向の一
方が内筒2に保持され、他方がクランクピン30に保持されることから、その全
長範囲が常に保持されていることになり、針状ころ22の内側への脱落が防止さ
れるとともに、スムーズな嵌合が行われる。第6図は組み付け完成状態を示す。 なお、内筒2としては、第7図に示すように、フランジ2a付きの筒状本体2
cにおいて少なくとも1個以上の軸方向に沿ったスリット2dを形成したものを
用いたり、あるいは、第8図に示すように、筒状本体2cに少なくとも1個以上
のV溝状の弾性凹条部2eを形成し、フランジ2aにおいて弾性凹条部2eに対
応する箇所を幅狭フランジ部分2fとなし、この幅狭フランジ部分2fに弾性凹
条部2eに連続するVカット2gを形成したものを用いてもよい。 また、上記実施例では内筒2も外筒4もフランジ2a,4aを有していたが、
クランクピン30の保持器20に対する芯合わせが比較的容易なことから、引っ
掛かり代L2は必ずしも必要ではなく、これを省略する場合には、内筒2におい
てフランジ2aを省略してもよい。 〈考案の効果〉 本考案によれば、次の効果が発揮される。 すなわち、保持器の軸方向一端面を外筒の軸方向一端面よりも突出させて両端
面間に引っ掛かり代を設けたので、装着孔の近傍において装着対象の側面上で保
持器の軸方向一端面を滑らせると、保持器端面の外周端縁が装着孔の開口縁に引
っ掛かり、装着孔に対して保持器を芯合わせすることができる。 つまり、保持器端面を装着対象側面上で滑らせるだけの単純な作業により芯合
わせを容易に行うことができ、ころ軸受の組み付け作業性をさらに向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第6図は本考案の一実施例に係り、第1図はころ脱落防止具を針
状ころ軸受にセットした状態を示す断面図、第2図ないし第6図はころ脱落防止
具によって保持された針状ころ軸受を装着孔に嵌合する際の作業要領を順次的に
説明する半断面図である。 第7図および第8図は内筒についての他の実施例を示す斜視図である。 第9図は従来例のころ脱落防止具を用いた場合の組み付け作業の様子を示す断
面図である。 A1…ころ脱落防止具、B0…針状ころ軸受、2…内筒、2a…フランジ、2b
…内筒の軸方向一端面、4…外筒、4a…フランジ、4b…外筒の軸方向一端面
、20…保持器、20a…保持器の軸方向一端面、22…針状ころ、28…コン
ロッド(装着対象)、28a…装着孔、L1,L2…引っ掛かり代。
状ころ軸受にセットした状態を示す断面図、第2図ないし第6図はころ脱落防止
具によって保持された針状ころ軸受を装着孔に嵌合する際の作業要領を順次的に
説明する半断面図である。 第7図および第8図は内筒についての他の実施例を示す斜視図である。 第9図は従来例のころ脱落防止具を用いた場合の組み付け作業の様子を示す断
面図である。 A1…ころ脱落防止具、B0…針状ころ軸受、2…内筒、2a…フランジ、2b
…内筒の軸方向一端面、4…外筒、4a…フランジ、4b…外筒の軸方向一端面
、20…保持器、20a…保持器の軸方向一端面、22…針状ころ、28…コン
ロッド(装着対象)、28a…装着孔、L1,L2…引っ掛かり代。
Claims (1)
- 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 複数のころとこれらを保持する保持器とからなる内外輪なしタイプのこ
ろ軸受に対し、そのころ群の内周部に密着する状態で内嵌される内筒と、前記こ
ろ群の外周部に密着する状態で外嵌される外筒とをペアとして構成されるころ脱
落防止具であって、 前記内筒と外筒とのうち少なくとも外筒の軸方向長さが、ころの軸方向長さよ
りも長くかつ保持器の軸方向長さよりも短い寸法に設定され、当該外筒が、複数
のころ全体を覆った上で保持器の軸方向一端側外周面を露出する状態に外嵌され
ることにより、この保持器の露出部分を装着孔に対する引っ掛かり代としたこと
を特徴とするころ軸受におけるころ脱落防止具。 (2) 請求項(1)において、外筒の軸方向他端に半径方向内側に延出するフ
ランジを一体形成し、このフランジを保持器の軸方向他端面に当接させるように
構成したことを特徴とするころ軸受におけるころ脱落防止具。
Family
ID=
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