JP2575507B2 - 還元性雰囲気炉の操炉方法 - Google Patents

還元性雰囲気炉の操炉方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、酸素分圧計を用いた還元性雰囲気炉の操炉
方法に係り、特に炉気中のカーボンポテンシャルを高精
度に制御することのできる還元性雰囲気炉の操炉方法に
関するものである。
(背景技術) 従来から、金属の化学組成や組織の変成、或いは内部
応力の除去等の目的をもって行なわれる金属処理の一種
として、還元性雰囲気での熱処理が知られている。具体
的には、炭素を鋼材表面に浸透拡散させることによって
金属表面を硬化せしめる浸炭処理や、浸炭された鋼材に
光輝処理を施す焼きなまし処理等が、それである。
そして、このような熱処理を行なうに際しては、通
常、還元性雰囲気炉が用いられることとなるが、かかる
炉内の雰囲気を調節、制御することは、目的とする処理
効果を有利に且つ安定して得るために、極めて重要なこ
とであり、例えば、浸炭炉では、目的とする炭素含有量
の鋼材を安定して得るために、その炉気中のカーボンポ
テンシャル(CP)の高精度な制御が要求されることとな
る。
そこで、かかる浸炭炉等では、従来から、酸素濃淡電
池の原理により生ずる起電力に基づいて酸素分圧を検出
する酸素分圧計を用いて炉気中のO2濃度を測定し、その
測定値をもとに、炉内雰囲気の化学平衡反応式から算出
される炉気中のカーボンポテンシャルに基づいて、炉内
雰囲気を制御することが行なわれている。なお、炉気中
のカーボンポテンシャルは、酸素分圧計以外の計器、例
えばCO2計や露点計、抵抗式カーボンポテンシャル計等
によっても測定することが可能であるが、それらの計器
は、酸素分圧計に比べて、保守管理が面倒で、使用条件
が限定されることがあり、また計測に時間がかかる等と
いった不具合を有するために、余りいられていないのが
現状である。
ところが、かかる酸素分圧計の測定値からのカーボン
ポテンシャルの算出は、実際には化学平衡状態に達して
いない炉内雰囲気中で測定された測定値を用いて、化学
平衡条件下に成立する演算式に基づいて行なわれるもの
であり、その演算に際して条件とされる炉内雰囲気の化
学平衡状態は、炉の操業時には存在していないところか
ら、そのような手法にて得られるカーボンポテンシャル
値は、当然に、大きな誤差を内在しているのである。
そこで、例えば、かかる誤差を除去する一手法とし
て、酸素分圧計の測定値から得られる演算CPと、炉内雰
囲気中の真のCPとの関係(差)を予め求めておき、実際
の炉気測定結果から得られた演算CPを、かかる関係に基
づいて補正することが、考えられる。
しかしながら、かかる演算CPと真のCPとの関係は、炉
内雰囲気の温度毎に、それぞれ異なるために、そのよう
な補正を行なうには、それら演算CPと真のCPとの関係
を、温度の異なる多数のケースについて各々求めておか
なければならず、その操作が極めて面倒であったのであ
り、更にそれに加えて、それら演算CPと真のCPとの関係
は、酸素分圧計の経時的変化や計器間の誤差によっても
異なるために、所定時間経過時や計器交換時には、それ
らの関係を、各温度毎に再測しなくてはならず、多大な
時間と労力を要することとなり、実用的ではなかったの
である。
(解決課題) ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景とし
て為されたものであって、その解決課題とするところ
は、酸素分圧計の出力値に内在する誤差の除去が、簡略
な操作にて有利に為され得、それによって還元性雰囲気
炉における炉気中のカーボンポテンシャルの制御を、容
易に且つ高精度に行なうことのできる還元性雰囲気炉の
操炉方法を明らかにすることにある。
(解決手段) そして、かかる課題を解決するために、本発明にあっ
ては、酸素濃淡電池の原理により生ずる起電力に基づい
て酸素分圧を検出する酸素分圧計を用いて、炉気中のカ
ーボンポテンシャルを制御する還元性雰囲気炉の操炉方
法であって、(a)前記酸素分圧計を用いて、特性既知
の標本炉気を測定することにより、該酸素分圧計から実
際に出力される起電力を出力EMFとして計測する一方、
かかる炉気特性にて理論的に発生せしめられる起電力を
理論EMFとして算出し、それら出力EMFと理論EMFとの関
係式を一次関数として求める工程と、(b)かかる酸素
分圧計を用いて操炉内の炉気を測定することにより得ら
れる起電力を、実測EMFとして計測すると共に、該実測E
MFを、前記関係式を用いて、補正された理論EMFとして
換算し、更に該補正された理論EMFから理論演算により
操炉内の炉気特性を求めて、目標とする炉気特性と比較
するか、或いは該補正された理論EMFと、該目標とする
炉気特性から理論演算により求められる理論EMFとを比
較する工程とを、含み、かかる比較結果に基づいて、炉
気中のカーボンポテンシャルを制御するようにしたこと
を、その特徴とするものである。
(具体的構成・作用) このような本発明は、前述の如き問題点に鑑み、本発
明者らが、酸素分圧計を用いての炉気測定の実験を、各
種条件下に繰り返し行ない、該酸素分圧計から出力され
る起電力(出力EMF)および該起電力から算出される演
算CPをそれぞれ求める一方、実際の炉気特性から求めら
れる真のCPおよび該CPから逆算される酸素分圧計にて出
力されるべき起電力(理論EMF)をそれぞれ求めて、そ
れらを詳細に比較、検討した結果、出力EMFと理論EMFと
の間に、或る特定の関係を見い出し得たことに基づい
て、かかる知見をもとに、更なる検討を加えることによ
り、完成されるに至ったものである。
すなわち、還元性雰囲気炉の操炉に際して、従来の如
く、出力EMFから算出される演算CPと、真のCPとを、比
較することによって得られる関係を用い、かかる関係か
ら求められる補正量を加味して、操炉時に酸素分圧計の
実測EMFから求められるCP値を、目標とする炉気特性と
比較することとすると、かかる補正量は、CPの大きさの
みならず、雰囲気の温度によっても強い影響を受けて変
化することとなるが、出力EMFと理論EMFとを直接に比較
すると、それらの差の大きさは、起電力の大きさに強く
影響され、雰囲気の温度には殆ど影響されないという、
極めて特徴ある事実が見い出され得たのであり、それ
故、かかる出力EMFと理論EMFとを比較することによって
得られる関係を用い、かかる関係から求められる補正量
を加味して、操炉時における酸素分圧計の実測EMFを、
目標とする炉気特性と比較するようにすれば、補正量の
大きさに対する雰囲気温度の影響が回避され得ることと
なり、以て炉気中のカーボンポテンシャルの容易な且つ
高精度な制御が可能となるのである。
より具体的には、かかる本発明手法に従い、所定の還
元性雰囲気炉を、その炉気中のカーボンポテンシャルを
制御することにより、操炉するに際しては、先ず、炉気
特性の計測に使用する酸素分圧計を用いて、特性既知の
標本炉気の測定が行なわれる。
そこにおいて、かかる酸素分圧計としては、ジルコニ
ア等の高温において酸素イオン伝導性のある固体電解質
を用いて、電気化学反応を利用した酸素濃淡電池の原理
により、被測定ガス中の酸素濃度(酸素分圧)に応じた
起電力を出力するようにした、公知の各種構造のものが
用いられる。そして、そのような酸素分圧計を用いて、
標本炉気の測定が行なわれ、実際に出力される起電力
(出力EMF)が計測されるのである。
また、かかる標本炉気としては、酸素分圧計による測
定時における特性、即ちカーボンポテンシャルが既知の
ものが用いられる。なお、通常は、かかる標本炉気とし
て、通常の操業時における炉気が採用され、酸素分圧計
による測定と同時に、炉気中のカーボンポテンシャルを
該酸素分圧計よりも正確に測定し得る別の間接測定器、
例えばCO2計や露点計、抵抗式カーボンポテンシャル計
等を用いて、該露気中のカーボンポテンシャルを直接的
乃至は間接的に測定することにより、その特性が既知と
されることとなる。
次いで、かかる標本炉気における既知特性、即ちカー
ボンポテンシャルから、該特性の炉気を酸素分圧計にて
測定した場合に出力されるべき起電力(理論EMF)が算
出される。なお、かかる理論EMFの算出は、一般に、下
記に示される、公知の化学平衡反応式(1)およびネル
ンストの式(2)に基づいて、為されることとなる。
但し、 CP:炉気中のカーボンポテンシャル F(T):ガス温度によって定まる関数 Pco:炉気中のCO分圧 Po2:炉気中のO2分圧 但し、 E:酸素分圧計から出力される起電力 R:気体定数 T:絶対温度 n:イオン数 F:ファラデー常数 Po2 A:基準エア中のO2分圧 Po2 S:炉気中のO2分圧 そして、この算出された理論EMFと、前記酸素分圧計
から直接に検出された出力EMFとを比較し、以てそれら
両EMFの関係式が求められる。即ち、理論EMFは、かかる
標本炉気の測定に際して、酸素分圧計にて出力されるべ
き、誤差を殆ど含まない起電力とみなすことができるの
であり、一方、出力EMFが該理論EMFと一致しないのは、
前述の如く、炉内雰囲気が実際には化学平衡状態に達し
ていないために誤差を内在しているからである。
また、ここにおいて、注目すべきことは、上記出力EM
Fと理論EMFとの差、即ち出力EMFに内在する誤差の大き
さは、炉気の温度には殆ど影響されず、発生起電力の大
きさに強く影響されているということであり、且つそれ
ら出力EMFと理論EMFとは、起電力の大きさに関して、略
比例関係にあり、それらの関係式が、おおよそ一次関数
として表され得るということである。なお、出力EMFと
理論EMFとの間に、常に、かかる関係が成立すること
は、本発明者らの行なった多数の実験によって確認され
ているところであるが、その理由については、未だ充分
に解明されていない。
また、かかる関係式を求めるに際しては、該関係式に
おける定数項を求めるために、起電力値が異なる二つの
炉気について、出力EMFと理論EMFとを求めることが望ま
しいが、本発明者らが検討したところ、それら出力EMF
と理論EMFとの関係を一つの条件でのみ求め、それらの
関係式を、定数項が0である一次関数として求めること
によって、有効な補正が可能であり、特に操炉時におけ
る炉内雰囲気条件の変化が少ない連続炉等では、有効で
あることが、確認されている。
そして、それ故、実際の炉の操業時において、上述の
如き操作によって、予め得られた関係式を用いて、酸素
分圧計から出力される起電力(実測EMF)を、目標とす
る炉気特性と比較し、その比較結果に基づいて、炉気中
のカーボンポテンシャルを制御することとすれば、かか
る実測EMFに内在する誤差が有利に除去され得、以て容
易な且つ高精度な制御が可能となるのである。
また、そこにおいて、特に、かかる本発明手法に従え
ば、実測EMFに含まれる誤差を除去するための関係式
が、炉内温度による変数項を含まないことから、従来の
ように、各種温度下にそれぞれ関係式を求めるような煩
わしさがなく、炉の制御が極めて容易に為され得るので
あり、炉内雰囲気の温度が変化した場合は勿論、酸素分
圧計の出力特性の経時的変化や交換操作等によって補正
値を変更する場合でも、迅速な対応が採られ得ることと
なり、保守に関して必要とされる時間や費用が、極めて
有効に削減され得ることとなるのである。
なお、上述の如き関係式を用いての、実測EMFと目標
とする炉気特性との比較操作としては、例えば、かかる
関係式により、実測EMFを前記出力EMFとして理論EMFに
換算することによって、補正量を加味した補正EMFを求
め、該補正EMFから、公知の手法に従い、前記ネルンス
トの式(2)および化学平衡反応式(1)に基づいて、
O2分圧、更にカーボンポテンシャル(実測CP)が求めら
れ、そして、この実測CPを、目標とする炉気のカーボン
ポテンシャル(目標CP)と比較することによって、カー
ボンポテンシャルの直接的な比較操作として行なわれる
こととなる。或いはまた、かかる実測EMFと目標とする
炉気特性との比較操作は、例えば、前述の関係式によ
り、実測EMFから補正EMFを求める一方、目標CPから、前
記化学平衡反応式(1)およびネルンストの式(2)に
基づいて、O2分圧、更に理論EMFを求め、そして、これ
ら補正EMFと理論EMFとを比較することによって、起電力
値(EMF)の比較操作として行なわれることとなる。
(実施例) 以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本
発明手法に従う、浸炭炉の操炉方法の実際について、一
具体例に基づき、詳細に説明することとするが、本発明
は、以下の実施例、更には前記構成の具体的説明の記載
によって、何等限定して解釈されるものではないこと
が、理解されるべきである。なお、本実施例において
は、浸炭炉内に供給する変成ガス(Rxガス)としてブタ
ン変成ガスを用いた、変成炉式ガス浸炭操作に対して、
本発明手法を適用したものについて、説明する。
先ず、かかる浸炭炉の操業時において、相異なるカー
ボンポテンシャル条件下に、それぞれ、酸素分圧計を用
いて出力EMFを計測すると共に、CO2計を用いてCO2濃度
を計測し、該CO2濃度から、炉気中のカーボンポテンシ
ャル、更に理論EMFを算出した。その結果を下記第1表
に示す。なお、かかる測定時における炉内雰囲気のCO濃
度は、キャリヤガスとしてブタン変成ガスが用いられて
いることから、23.5%一定であり、且つ温度は、何れも
930℃であった。
次いで、これらの得られた結果から、出力EMFと理論E
MFとの関係を表す連立方程式を解くことにより、関係式
を求めた結果、下記(3)式で表される一次方程式を得
た。
理論EMF=0.8765×出力EMF+132.6 ……(3) 因みに、かかる方程式にて表される出力EMFと理論EMFと
の関係をグラフで示したものが、第1図に示されてい
る。
而して、このような関係式を与える酸素分圧計を用い
て、該酸素分圧計から出力される実測EMFを、前記関係
式を用いて、目標とする炉気特性と比較し、かかる比較
結果に基づいて、実際の浸炭操作時における炉内雰囲気
中のカーボンポテンシャルの制御を、各種温度条件下に
おいて実施した。なお、かかる操作に際しては、上記
(3)式に基づいて、酸素分圧計にて実測される実測EM
Fを前記出力EMFとして前記理論EMFに換算することによ
り、補正量を加味した補正EMFを求め、そして、かかる
補正EMFから算出されるカーボンポテンシャル(測定C
P)に基づいて、該測定CPが目標とする炉気特性のカー
ボンポテンシャルに等しくなるように、炉内にエンリッ
チガスを供給することによって、炉内雰囲気中のカーボ
ンポテンシャルを制御した。かかる制御結果を、下記第
2表に示す。なお、かかる表中、鋼箔分析値とは、炉内
に配した鋼箔から求められた、炉気中の真のカーボンポ
テンシャルを示すものである。
かかる第2表の結果からも、前記(3)式によって得
られた補正EMFを用いて算出された測定CPを指標とする
ことによって、各種温度条件下に、何れも、炉気中のカ
ーボンポテンシャルの制御が高精度に為され得ること
が、明らかなところである。
(発明の効果) 上述の説明から明らかなように、本発明手法において
は、酸素分圧計の検出値(実測EMF)に含まれる誤差の
除去操作が、炉気温度に関する変数項を含まない、理論
EMFとの一次関数にて表わされる関係式に基づいて行わ
れるところから、従来のように、各種温度条件下にそれ
ぞれ関係式を求める必要がないのであり、それ故、炉の
操業時における炉気特性の検出および制御が、各種温度
条件下において、容易に且つ迅速に為され得ることとな
るのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明手法に従って浸炭炉のカーボンポテン
シャルを制御するに際し、標本炉気としての浸炭炉内の
雰囲気測定時に、酸素分圧計にて検出された出力EMF
と、CO2計の測定値から算出される理論EMFとの関係を表
すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素濃淡電池の原理により生ずる起電力に
    基づいて酸素分圧を検出する酸素分圧計を用いて、炉気
    中のカーボンポテンシャルを制御する還元性雰囲気炉の
    操炉方法であって、 前記酸素分圧計を用いて、特性既知の標本炉気を測定す
    ることにより、該酸素分圧計から実際に出力される起電
    力を出力EMFとして計測する一方、かかる炉気特性にて
    論理的に発生せしめられる起電力を理論EMFとして算出
    し、それら出力EMFと理論EMFとの関係式を一次関数とし
    て求める工程と、 かかる酸素分圧計を用いて操炉内の炉気を測定すること
    により得られる起電力を、実測EMFとして計測すると共
    に、該実測EMFを、前記関係式を用いて、補正された理
    論EMFとして換算し、更に該補正された理論EMFから理論
    演算により操炉内の炉気特性を求めて、目標とする炉気
    特性と比較するか、或いは該補正された理論EMFと、該
    目標とする炉気特性から理論演算により求められる理論
    EMFとを比較する工程とを、 含み、かかる比較結果に基づいて、炉気中のカーボンポ
    テンシャルを制御することを特徴とする還元性雰囲気炉
    の操炉方法。
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