JP2799672B2 - 脳皮質活動追跡装置 - Google Patents

脳皮質活動追跡装置

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JP2799672B2 JP35087793A JP35087793A JP2799672B2 JP 2799672 B2 JP2799672 B2 JP 2799672B2 JP 35087793 A JP35087793 A JP 35087793A JP 35087793 A JP35087793 A JP 35087793A JP 2799672 B2 JP2799672 B2 JP 2799672B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ME(メディカル・エ
レクトロニクス:医用電子機器)分野において、人間の
脳波を計測し脳皮質の電気的な、あるいは磁気的な活動
を経時的に追跡する脳皮質活動追跡装置(Cortical A
ctivity Tracing System.CAT−System )、特
に、思考・認識・記憶の想起・快・不快および精神的な
疲労緊張等に伴い、脳皮質がいかなる範囲の領域に広が
って経時的に活動するかについての知見を得ようとする
脳皮質活動追跡装置に関するものである。
【0002】また、本発明は、臨床医学的には「てんか
ん」の発作時の焦点位置および脳内状態の推定、脳死の
判定、精神病における脳内の異常の推定、老人性痴呆の
進行状態のモニター等に用いられ、これらの内容と現象
論的に対応づけられて今までに得られなかった新しい診
断技術の確立が期待される。
【0003】さらに、本発明は、基礎医学・脳生理学的
には、認識、意識、感情、および知的活動のメカニズム
の解明のための強力な手段になり得る。従って、本発明
、臨床応用、および基礎医学に貢献するものであるの
みならず、快・不快、精神的な疲労、ストレス等の客観
的、かつ、定量的な推定に利用され、過労死の防止、ス
トレスの解消方法の開発など産業上にも益するところが
大きい。
【0004】
【従来の技術】例えば、頭皮上に現れる電位は、脳内に
ある多数のニューロン(神経細胞)の電気的な活動を反
映しており、思考過程、認識、記憶の想起、また、ある
種の感情にともなって、これら脳内のニューロン(以
下、脳内ニューロンという)の活動に連携が発生するこ
とは医学者らにより既に広く知られていた。つまり、こ
頭皮上に現れる電位は意識状態および心理的な状態に
従い局所的に強まることが、研究者らにより電気信号の
波形において観測され学会等に発表されていた。
【0005】本願の発明者は、前記の事実に基づき、
ニューロンの活動による頭皮上に 現れる電位の波形を
頭皮上において計測する測定装置、および脳内の活動部
位の位置・強度を双極子近似法によって推定する装置
既に開発していた。双極子近似法は、活動ニューロンが
空間的に限定されて存在する場合にのみ有効である。
こで、活動ニューロンとは、脱分極または過分極しつつ
あるニューロンをいう。また、脳波による電位の変化は
自発的なもの(頭皮上電位)と外部の要因による誘発電
位とがあり、本願の発明者により開発されたこれらの装
置および方法はこのいずれにも適用するようになってい
る。
【0006】これらの装置および方法は特許出願済であ
り、その詳細については次のそれぞれの公報に記載され
ている。 (a)計測方法:特開平2−31739号公報 (b)計測装置:特開平2−31736号公報 (c)計測方法:特開平3−99630号公報
【0007】図6は、これらの計測結果を表示する従来
の表示方法の一例である。図6において、この方法は例
えば、核磁気共鳴画像装置、およびX線装置などの形状
計測装置によりZ軸方向に断面Ziを走査して断面を計
測し、その断面のX・Y軸の平面において得られたデー
タから脳内の断層画像CTを形成し、この断層画像CT
に電流双極子DPをマーキングして表示するようになっ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記先行技術
の方法および装置は、得られる貴重なデータを実際に充
分に活用し得るとは言えず、次のような問題点があっ
た。 (1)脳皮質構造に関しての生理学的な知識は考慮され
ておらず、全てを計算に任せているので、本来の目標で
ある推定内容が貧弱になってしまい、前記のように活動
ニューロンが限定された狭い領域内にある場合にのみ有
効であって、脳皮質の灰白質内に広がりをもって形成さ
れる電気2重層の広がりを推定する際には全く効果のな
いものである。 (2)また、単純に等価的な電流双極子を求め、これを
マーキングして表示するのみでは、前記の電気2重層の
面的な広がりを表していないので、活動ニューロンの脳
皮質における実際の分布を推定することができない。 (3)さらに、脳内での局地的な電流双極子の発生を観
察するのみでは、この電流双極子の発生母体である脳皮
自体の論理的な密着性が存在せず、電気2重層がこの
脳皮質全体に分布する空間的な変化を捕らえていないの
で、脳内ニューロンが実際に活動する状態を正確に診断
することができない。 (4)推定された等価双極子は、脳内ニューロン群の活
動におけるベクトル的な加重平均であるから、脳内ニュ
ーロンが本来的に存在すべき灰白質の内部とはかなり異
なる位置を占めると共に、この脳内ニューロン群の活動
における強度分布が変わる際の位置が不自然に大きく移
動する場合が多い。 (5)活動ニューロンの位置が空間的な局所に存在して
いるときでも、脳皮質が小さな曲率半径で折れ曲がって
いると、前記の電流双極子は実際の活動ニューロンとは
別の位置を占める。 (6)等価双極子の位置と強度を推定する際に、実際に
計測して求める値を数値演算して近似するための近似度
が定量的に定まらない。
【0009】つまり、このような従来の電流双極子を近
似する技術は、脳内ニューロンの活動集団を数個の電流
双極子で近似し、その電流双極子の位置を推定するもの
であり、活動ニューロンが局所的に偏在している場合に
は役立つが、空間的に広がっている場合には無効であ
る。また、この位置は仮想的なものであり、限られた電
極数により頭皮上の電位波形を計測して多数の小領域に
ついて活動ニューロンを推定するのには極めて不正確と
ならざるを得ず、等価双極子の生理学的、基礎医学的、
あるいは臨床医学的な応用が限定されていた。
【0010】そもそも、大脳において高度な精神活動に
伴うこの電気的な活性状態は、表面層である大脳皮質に
最も著しく現れており、この大脳皮質は多数の谷状の襞
を有する複雑な表面構造をとっているために、従来の単
純な重ね合わせ技術では充分に表現しきれないのであ
る。
【0011】そこで、本願の発明者は次の仮定を提起し
た。 (イ)脳皮質の灰白質にある多数のニューロンは相互に
コラム構造をなすので、その活動ニューロンは面的な広
がりを有し、脳皮質に沿って電気2重層が形成される。 (ロ)また、その電気的な活動の分布は分散と収斂を繰
り返しつつ時々刻々に変化し、この灰白質における単位
面積当たりの双極子モーントの密度はマクロ的には不均
一である。 (ハ)つまり、この電気的な活動はもはや孤立する電流
双極子ではなく、実は灰白質に沿って面的な広がりを有
する電気2重層を形成しており、この灰白質が立体的に
複雑な曲面を有するので、この電気2重層も同様に複雑
な形態を呈することとなる。 (ニ)そこで、灰白質を一様な双極子モーメントの密度
を有する小さな領域に区分し、これら小領域の集合体と
して脳皮質を近似することにより、この活動を数学的に
容易な手法で能率的に推定することができる。
【0012】従って、脳皮質構造を既知の知識として計
算に組み込み、その中で何処が活動しているかを頭皮上
の電位分布、あるいは脳磁場の分布から求める本発明の
脳皮質活動追跡装置は、従来の双極子推定法とは元々異
質なものなのである。本発明は、以上の問題点に鑑み、
空間的に広がりをもった活動ニューロンの強度分布を推
定するもので、従来技術にはない新しい脳皮質活動追跡
装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は前記目的を達
成するために、頭皮上における電位の分布である頭皮電
位分布から脳内に皮質における電位の分布である脳皮質
電位分布を推定し、前記皮質における活動ニューロンの
空間的な分布を追跡する脳皮質活動追跡装置であって、
頭部の多重的な内部構造を模擬的に現す多重領域頭部モ
デルを形成し、前記多重領域頭部モデルの内部に電気的
な両極を有する電気2重層を設定して、前記電気2重層
を電気的に均一強度を有する複数の小区域に区分する設
定段階と、前記複数の小区域のそれぞれについて前記
強度を演算し、前記頭皮電位分布に変換して基準頭皮
電位分布を求め、前記基準頭皮電位分布をニューラル・
ネットワークに学習させて各ニューラル・ネットワーク
係数を調整し、前記各ニューラル・ネットワーク係数を
使用して、実際に計測される頭皮電位分布である計測頭
皮電位分布から脳皮質での電位分布である脳皮質電位分
布を推定して追跡する演算手段とを含んで構成している
ことを特徴とする脳皮質活動追跡装置としたものであ
る。
【0014】また、前記脳皮質電位分布の推定は、脳皮
における脳内ニューロン活動を代表する電気的な等価
双極子を予め推定してその存在する位置を求め、前記存
在する位置の近傍における小区域を前記複数の小区域に
含める処理を含んでいる脳皮質活動追跡装置としたもの
である。
【0015】また、前記演算手段に続けて、この演算手
段で決定される前記それぞれの小区域を前記頭部の多重
的な内部構造と立体的に合成する合成画像を形成し、こ
の合成画像において前記それぞれの小区域を前記その強
度に基づいて強調する強調画像に変換して作画する作画
手段を付加して構成しており、前記脳皮質電位分布を時
間を追って変化する分布図として記憶しつつ表示するよ
うになっている脳皮質活動追跡装置としたものである。
【0016】
【作用】以上のような脳皮質活動追跡装置としたことに
よって、頭部が多重領域頭部モデルに形成され、この多
重領域頭部モデルに脳皮質が電気2重層として設定され
て、この電気2重層により基準頭皮電位分布が求めら
れ、この基準頭皮電位分布がニューラル・ネットワーク
に学習され、各ニューラル・ネットワーク係数が調整さ
れて使用され、計測頭皮電位分布から脳皮質電位分布が
推定されて追跡される。また、脳内ニューロン活動を代
表する位置が求められ、この位置の近傍が含まれて脳皮
質電位分布が推定される。さらに、この電気2重層の電
位分布が多重領域頭部モデルと立体的に合成され、この
電位分布の強度に基づき強調されて、脳皮質電位分布が
経時的に表示される。
【0017】
【実施例】以下、本発明の脳皮質活動追跡装置の実施例
を図面を参照して説明する。図1は、本発明の脳皮質活
動追跡装置の原理図である。この脳皮質活動追跡装置
の主要部6は、電気的な頭部モデルにより脳皮質に電気
2重層を設定する第1の設定段階(第2の設定段階
部は後述する)と、この電気2重層により脳皮質電位分
布を推定して経時的に追跡する第1の推定段階(第
2の推定段階部は後述する)と、この脳皮質電位分布を
画像処理によって作画する第1の作画段階(第2の
作画段階部は後述する)とを順に設けて構成しており、
公知の測定装置DETから計測頭皮電位分布が導入さ
れ、操作員が観測して脳皮質電位分布を整理する整理段
10に脳皮質電位分布が送出されるようになってい
る。
【0018】前記の第1の設定段階7は、頭部の外形
画像と内部の断層画像に基づいて、後述する頭部モデル
を形成し、この頭部モデルの内部に電気的な両極を有す
る電気2重層を設定すると共に、この電気2重層を複数
の小区域に分割する。前記の第1の推定段階8は、こ
の複数の小区域における電気2重層から、前記の頭部モ
デルを使用して脳皮質電位分布を推定して経時的に追跡
する。前記の第1の作画段階9は、この脳皮質電位分
布を画像処理して前記の多重領域頭部モデルに立体的に
合成する合成画像を作成し、この合成画像において各小
領域をその強度に基づいて強調して表示する。なお、
1は測定値を前処理して補正する補正段階部である。
【0019】従って、図1に示すように脳波による頭皮
上の電位分布を、前記の測定装置DETで検知して電気
信号に変換し、得られるデータにおいて測定時の誤差を
補正し、その結果を脳皮質活動追跡装置5に導入する。
この脳皮質活動追跡装置5では、本願の発明者が仮定し
た前記の脳内モデルに基づいて前記の脳皮質電位分布を
推定し、この推定した脳皮質電位分布を頭部の外形およ
び断層画像に合成して立体的に表示し、この立体的な画
面を医学者等が観察して各種の症状を診断すると共に、
これらの画像および画面等を必要に応じて記憶できるよ
うになっている。
【0020】脳皮質活動追跡装置5には、その他、前記
主要部6で予備処理をするための図示しない予備段階
が前置されており、導入される頭皮電位分布の波形に
含まれる成分を分類し分析するようになっている。ここ
で、この予備段階について簡単に述べ、以降の説明に
おける理解の助けとする。脳波を測定して得られた電位
の波形は、時間と共に変化する関数である振幅と位相と
の成分を有しており、推定すべき脳内ニューロンの活動
を情報源として、それぞれの計測するチャネル相互に関
連し合いつつ、この活動に伴ってこれらの成分を変化さ
せるようになっている。
【0021】このような電位の波形は、脳の精神活動に
よる特異な変化の存在しないコントロール状態と、この
特異な変化が生ずる活性化された状態とでは、これらの
成分の値が大きく変動し、それぞれの特有な分布に従っ
て極値化する変化を時間的に形成しており、脳の精神活
動が変遷するに連れ、時間と共に頭皮上の電位分布にお
けるこれらの成分に独特の特徴を生ずるようになってい
る。
【0022】従って、この変遷を把握するために、前記
の補正段階では、例えば、前記の電位の波形を所定の
期間においてフィルタリング演算し、このフィルタリン
グされた周波数を含む所定の帯域を選別し、この帯域の
信号が有するそれぞれの電気的な成分について電位の分
布を予め求めておいてから、図1における脳皮質活動追
跡装置5に導入するようになっている。
【0023】次に、本発明の脳皮質活動追跡装置によ
り、脳内ニューロンの活動を推定するための等価モデル
である脳内モデルについて概略的に説明する。図2は、
前記の脳内モデルを脳の構造により説明する図であり、
図2(a)は頭部の縦断面を示し、図2(b)は図2
(a)における襞を部分的に拡大したものである。
【0024】図2(a)において、頭部HDは、最外部
の頭皮(Scalp)SCと、この頭皮の内側の頭蓋骨(S
kull)SKとを外側に有し、眼孔、鼻孔、耳孔等の構造
上の間隙、および脳漿、脳膜等の中間物質により形成さ
れる中間層GPを介して、脳内ニューロンの活動する領
域である脳皮質(Brain-cortex )BCをこれらの内側
に有して構成されており、この脳皮質の表面は褶曲して
多数の襞FLを形成するようになっている。
【0025】図2(b)において、脳皮質BCは、脳内
ニューロンを主体とする灰白色の灰白質NCを外側に、
神経繊維を主体とする白色の白質OCを内側に配置し、
その表面に対してほぼ垂直なコラム構造をもち、活動ニ
ューロンによる等価的な電流双極子モーメントは、この
コラム群に対しほぼ平行に発生するので、この灰白質
は自身の中心面に沿って電気的な両極を有する電気2
重層を形成するとみなすことができる。
【0026】従って、前記の脳内モデルは、前記の灰白
質NCに着目して、前記の電気2重層により前記の脳皮
質BCにおける脳内ニューロンの活動を代表させ、前記
の頭皮SCと頭蓋骨SKと中間層GPとを、導電率が厚
み方向に均一な層構造とみなして、前記の電気2重層で
の脳皮質電位分布を頭皮SCの電位分布から推定して構
成されている。
【0027】こうして、頭部HDの電気的な状態を等価
的に現し、前記の電気2重層の状態を前記の電位分布か
ら推定して、脳内ニューロンの電気的な活動を外部から
診断できるようになっている。以上の説明における脳内
モデルは、Scalp Skull Brain-cortex 等価モデル
(以下、SSBモデルという)である。
【0028】ところが、このSSBモデルは、頭蓋骨S
Kと脳皮質BCの間に存在する脳脊髄液を考慮しておら
ず、頭皮、頭蓋骨、および脳皮質と比べて大きな導電率
を有する脳脊髄液を無視することは、頭部の電気的な等
価モデルによる活動ニューロンの推定精度を著しく低下
させていた。そこで、前記の脳内モデルは脳脊髄液を
慮し、前記の電気的な活動を生理学的な知識により脳の
灰白質のみに限定して、この灰白質自体での活動度を逆
算するようになっており、仮にこれを、Scalp Skull
Cerebro spinal Brain-cortex等価モデルである多
重領域頭部モデル、以下、MCHMモデルと呼称するこ
とにする。
【0029】さて、話を元に戻し、本発明の脳皮質活動
追跡装置の実施例について詳細に説明する。図3は、
の脳皮質活動追跡装置の実施例を概略的に示すブロック
図であり、この実施例は、電位の波形を公知の測定装置
DETで検出し、前記の補正する段階を有する補正段階
を介して、補正した電位分布のデータを導入するイン
タフェースINを設けている。
【0030】さらに、この導入した電位分布のデータ
を、手順を管理するシーケンサ27に従い処理する処理
部23と、処理して得られた数値と画像とのデータをフ
ァイルし格納するファイル・メモリFMと、このファイ
ル・メモリFMからデータを随時に取り出して表示する
表示部24と、これらのデータを印刷するプリンタ25
と、処理する手順を指示しパラメータを設定するキーボ
ード26とを設け、前記各部材を相互にバス接続して構
成されている。
【0031】前記処理部23は、第1の設定段階の手段
11と、第1の推定段階部の手段12,13,14と、
合成する段階の手段15と、表示部24と、プリンタ2
5と、キーボード26とを入出力処理する手段I/Oと
をプログラム・モジュール化して設けて構成しており、
指示されるコマンドを複合化し、脳皮質活動追跡装置
体を管理するシーケンサ27に従ってそれぞれを処理す
るようになっている。
【0032】ファイル・メモリFMは、数値データをそ
れぞれのテーブルに分類して格納する数値データのファ
イル(以下、数値ファイルという)28と、イメージ・
データをそれぞれの画面に分類して格納する画像データ
のファイル(以下、画像ファイルという)29とを設け
て構成している。
【0033】数値ファイルは、所定の時間領域における
それぞれ前記の要素を分析した分布のデータと、後述す
変換関数に従って変換する係数とを配列する変換テー
ブルGTと、キーボードから指定するパラメータを配列
するパラメータ・テーブルPTとを有して構成してお
り、処理部におけるそれぞれのプログラム・モジュール
によりアドレス制御してそれぞれのファイルをアクセス
するようになっている。
【0034】画像ファイルは、変換により求めて、前記
のMCHMモデルにおける脳皮質電位分布を推定して展
開した推定の画像と、核磁気共鳴画像装置、およびX線
装置などの形状計測装置により求める断層画像CTと
これら推定および断層画像CTを相互に合成した合成画
像とを有して構成されており、この断層画像CTには、
前記の頭部内の画像群の他に頭部外形の画像を含むよう
になっている。
【0035】前記頭部外形の画像を求める方法は、公知
のPOLHEMUS社製のISOTRAK (登録商標)測定器などを使
用して行われており、この測定器による被計測体外形の
画像の求め方は、本願と同一出願人による下記の特許出
願「磁場による立体形状の計測および表示装置」に詳し
く記載されている。 特許出願:特願平5−282320号 なお、核磁気共鳴画像装置、X線装置、およびISOTRAK
(登録商標)測定器などの形状計測装置を、以下、まと
めてMRIと総称する。
【0036】続いて、前記のMCHMモデルにより推定
した皮質電位画面を立体的に表示するプログラムについ
て、図1乃至図4を参照して詳しく説明する。図4は、
このプログラムを概略的に示す流れ図であり、図1にお
ける第1の設定段階部7と第1の推定段階部8と第1の
作画段階部9とをモジュールに細分化して構成してお
り、それぞれのモジュールは分析者が指定するコマンド
を判定して実行するようになっている。
【0037】図4において、先ず、第1の設定段階部7
は、図3に示す脳皮質活動追跡装置を始動し所定のメニ
ュー画面を立ち上げて起動し、前記の電位分布の数値デ
ータと前記の断層画像CT等の画像データとのファイル
をロードするFL手段71と、このFL手段71でファ
イル・ロードした前記の画像データから、公知の技術に
よりその輪郭面等の特徴を抽出する抽出手段72と、こ
の抽出手段72で抽出されたこれらの特徴を数値解析
し、前記の脳皮質での電気2重層を設定すると共に、検
査すべき頭部を前記のMCHMモデルに標準化して現す
標準化手段73とを順に設けて構成している。
【0038】続いて、前記の第1の推定段階部8は、前
記の第1の設定段階部7で現されるMCHMモデルでの
電気2重層の電位分布から基準となる基準頭皮電位分布
を求め、実際に計測される計測頭皮電位分布に近時する
近似手段81と、この基準頭皮電位分布を演算して推定
すべき脳皮質電位分布に変換する変換手段82とを順に
設けて構成している。
【0039】最後に、前記の第1の作画段階部9は、前
記の第1の推定段階部8で演算して求めた脳皮質電位分
布を、前記の位置に基づいて新たな画像データに展開
し、この画像データの配色または濃度を、前記の位置に
おける前記の脳皮質電位分布の強度に基づいて階調化し
て強調し、脳皮質電位分布の強調画像を形成する強調手
段91と、この強調手段91で形成した前記の強調画像
を前記の断層画像CTに合成して合成画像を形成すると
共に、この合成画像を、前記の脳内ニューロンが活動す
る活動期間での別の時間領域における、別の合成画像に
さらに合成して新たな合成画像を形成する合成手段92
と、この合成手段92で形成したそれぞれの合成画像
が、求める症状を診断するのに必要な活動期間内の全て
の測定値を網羅しているか否かを判断する期間判断手段
93とを順に設けて構成しており、この期間判断手段9
3で否定された際には、実行する手順の流れを分岐し、
前記のFL手段71へ処理を戻すようになっている。
【0040】さらに、この期間判断手段93で肯定され
た際には、前記の合成手段92でのこれらの合成画像の
画像データを、前記の画像ファイルIF(図3参照)
格納しつつ前記の表示装置24(図3参照)に表示する
表示手段94を最後に設けて構成している。また、この
表示手段94を実行した後、前述した整理段階部10へ
処理を移行するようになっている。
【0041】ここで、一旦、前記のMCHMモデルから
離れ、頭部を電気的に一様な媒質により形成されるもの
であるとみなす実形状一様頭部モデルであるとみなす。
すると、脳皮質を単位面積当たり1の単位双極子モーメ
ントを有する電気2重層と仮定し、この電気2重層をJ
個の小区域に分割し、この小区域jが電極nの位置につ
くる電位をΦnjとする。この小区域 jがPj なる双極子
モーメントをもつときに、電極 n に現れる電位は下記
の式(1)による変換行列式により求めることができ
る。 〔Un 〕=〔Φnj〕〔Pj 〕・・・・(1) ここで、j=1,2,3,・・・,J、n=1,2,3,・・・,Nである。
【0042】従って、この変換行列〔Φnj〕の逆行列が
存在するとすれば、これを変換パラメータ群として使用
し、計測される頭皮上の電位群〔Un 〕から双極子モー
メント群〔Pj 〕を求める逆問題を解くことにより、求
められる解は脳皮質における活動ニューロンの分布を示
すことになる。具体的な数値演算の方法については、有
限要素法を使用しても境界要素法でも、あるいはこれら
を混用する方法でもよい。
【0043】さて、以上述べた数値解析を援用して使用
し、本発明を図面を参照して詳しく説明する。前記の
CHMモデルは、頭部の多重的な内部構造を現す多重領
域頭部モデルであり、前記の実形状一様頭部モデルを多
重的に援用することにより、前記の電気2重層から推定
演算の際に基準となる基準頭皮電位分布を求めることが
できるが、多重的な内部構造での各所の導電率を適切に
初期設定すれば他の演算方程式を用いてもよい。
【0044】図5(a)は、図4における標準化手段
を、図5(b)は、同じく推定段階部8を説明する流
れ図である。図5(a)において、標準化手段は、診断
すべき電気的な特徴が存在することを操作員が予想する
頭部の仮定領域に前記の3次元脳モデルを設定する領域
処理731と、この3次元脳モデルに設定される脳皮質
全体に、前記の電気2重層を展開する展開処理732
と、この展開される脳皮質全体の電気2重層を、適用す
脳皮質活動追跡装置の規模に従う所定数の範囲で分割
する分割処理733とを順に設けている。
【0045】続いて、これらの分割される範囲につい
て、前記の数値解析により、電気2重層から各計測点で
の電位を求めて電位分布を解析する解析処理734と、
この解析される電位分布について、それぞれの分割され
る区域における各成分の数値を、変換テーブルに配列し
てファイルする配列処理735とを順に設けて構成して
いる。なお、結合子730はこれらの処理の開始を、結
合子739は終了をそれぞれ示している。
【0046】従って、この変換テーブルは、頭部の構造
を標準化して決定される汎用的なものと、個々の頭部を
その都度計測して得られる個々の物理的構造により決定
される専用的なものとがあり、前記MRIなどの頭部断
層像がないときには前者を、高精度な診断や研究目的の
際には後者を選択してそれぞれを使い分けるようになっ
ている。
【0047】また、このように逆行列による変換演算
は、限られた電極数による少ない測定値からそれ以上の
多数の推定値を推定する際には、かなりの曖昧さを避け
ることができない。そこで、前記の式(1)における電
気2重層を小区域に分割するための個数Jを減らし変換
演算して推定される区域を限定すれば、測定電極の個数
と比べて相対的に演算精度を向上させることができる。
例えば、この個数Jが測定電極の個数と同一であれば活
動ニューロンの分布は一義的に求まるものである。
【0048】図5(b)は、このための補正を含む第1
の推定段階部を具体的に示す流れ図である。図5(b)
において、先ず、前記の第1の設定段階(図1参
照)で区分される複数の小区域のそれぞれについて各設
定強度を演算し、この演算結果をMCHMモデルにより
頭皮電位分布に変換して基準となる基準頭皮電位分布を
求め、この基準頭皮電位分布と実際に計測される計測頭
皮電位分布との2乗誤差を計算する誤差処理811と、
この2乗誤差の値を計数して最小にするための各区域の
電気2重層の強度を求める計数処理812と、この求め
られる強度を所定の範囲内での分布に加重して推定すべ
き小区域を決定し、この推定すべき小区域での位置とそ
の成分の数値を演算する演算処理821と、この2乗誤
差の数値と目標とする限界値とを照合し、この際の精度
を検証する精度検証処理822とを順に設けて構成して
いる。
【0049】また、この精度検証処理822で未だ目標
とする限界値に到達していない際には、前記の決定され
る小区域の周辺における周辺区域を分割すべき新たな範
囲とし、この範囲とその範囲での分割すべき個数とを指
定した後に、前記の領域処理731へ実行の流れを分岐
して処理を戻すようになっている。なお、結合子80は
推定の段階を開始し、結合子89はこれを終了すること
を示している。
【0050】各被験者毎に多数の核磁気共鳴画像装置や
X線装置の断層画像CTを取る過程を省略するために標
準的な大脳皮質構造を予め構築しておき、被験者の頭部
形状からこの標準を変形してその本人の脳構造に近い型
にすることができる。あるいは、代表的な頭部形状に対
する脳構造を全て調べておき、その中から選ぶ方法も可
能である。
【0051】以上は、第1の推定段階に2乗平均誤差を
最小にして近似する方法を使用するものであるが、その
他にもニューラル・ネットワークに学習させて近似する
バック・プロパゲーションによる方法を使用することも
できる。このニューラル・ネットワークは、各測定電極
での頭皮電位分布が入力端に設定され、推定すべき脳皮
質の各小区域での脳皮質電位分布が出力端に設定されネ
ットワークを形成しており、このネットワークの構成要
素である各非線形回路には各重み係数とバイアス係数と
が設定されるようになっている。このニューラル・ネッ
トワークを使用する第2の推定段階部における第2の近
似手段と第2の変換手段について概略的に述べる。
【0052】前記の第2の近似手段は、先ず、これら各
小区域から特定の一個を選択して、この一個の小区域の
みに単位強度をもつ電気2重層を与える。このときの頭
皮電位分布を、前記のMCHMモデルを使用して求め、
同様に全ての小区域に対して各分布を順次求め、これら
を各小区域の番号毎に対応させてファイルする。
【0053】次に、このネットワークを学習モードに設
定し、特定の頭皮電位分布の数値群をファイルから読み
取って各入力端に設定し、対応する出力端に単位強度の
電気2重層をもつ小区域を指示するように各係数の値を
調整する。同様に全ての出力端に対する各係数の値を順
次に求め、前記のMCHMモデルに等価なニューラル・
ネットワークを形成している。
【0054】続いて、第2の変換手段は、先ず、ネット
ワークを演算モードに切り換え、実際の頭皮電位分布を
測定して各入力端に与え、このニューラル・ネットワー
クを起動して演算処理を遂行し、この実際の頭皮電位分
布に基づく実際の脳皮質電位分布の値を各出力端に形成
する。
【0055】つまり、この脳内ニューロンの電気的な活
動を推定および表示する脳皮質活動追跡装置では、前記
のMCHMモデルを使用して、頭皮上の電位分布から脳
皮質の表面における電気的な状態を推定し、この推定し
た結果から求めた画像を頭部の断層画像に合成し、脳皮
質の表面における前記の個々の襞においてさえも精確に
密着して表示することができるようになっている。
【0056】なお、本発明の脳皮質活動追跡装置は、前
述にのみ限定されるものでなく、前記の抽出および分析
するそれぞれの段階において、時間および位置を処理す
る順序はいずれを先に実行してもよいし、ニューラル・
ネットワークは2層以上が好ましいが単層でもよく、ネ
ットワークの構成要素は線形回路のみ、あるいは線形
および非線形回路を合成するものであってもよく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲で変更を加え得ることは勿
論である。
【0057】
【発明の効果】本発明の脳皮質活動追跡装置を用いて、
頭皮上において計測した電位の波形から、立体的な曲面
における等価モデルを時間を追って推定し、実際の脳内
構造上に活動部位を表示するので、分析者が現実的な診
断を下すことができ、大脳皮質におけるニューロンの電
気的な活動状態を多面的で確実に行うことができるよう
になった。従って、この頭皮上における電位の分析につ
いて、各種の信号処理により分布を立体的に表示し、脳
内の情報処理の詳細な状態を実態に則した位置、ベクト
ル、および時間との関係で識別し、現実的で再現性のあ
脳活動に関する知見を得ることができるようになる。
また、特定の被験者について、前記のMCHMモデルを
ニューラル・ネットワークに学習させ、その精神活動に
よるコントロール状態と活性状態とに現れるそれぞれの
相関の分布パターンを時間を追って比較して、その相違
を識別し定量化することができ、不特定の被験者につい
てはエキスパート・システムを適用し、精神の活動状態
を指摘することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脳皮質活動追跡装置の原理を示す図で
ある。
【図2】等価モデルを脳構造から説明する図である。
【図3】本発明の脳皮質活動追跡装置を概略的に示すブ
ロック図である。
【図4】本発明の脳皮質活動追跡装置を起動するプログ
ラムを概略的に示す流れ図である。
【図5】図4の流れ図を部分的に詳しく示す流れ図であ
る。
【図6】従来例を説明する図である。
【符号の説明】
1 補正段階部 5 脳皮質活動追跡装置 6 主要部 7 設定段階部 8 推定段階部 9 作画段階部 10 整理段階部 11 設定段階の手段 12 推定段階部の手段 13 推定段階部の手段 14 推定段階部の手段 15 合成する段階の手段 23 処理部 24 表示部 25 プリンタ 26 キーボード 27 シーケンサ 28 数値データのファイル 29 画像データのファイル 71 FL手段 72 抽出手段 73 標準化手段 731 領域処理 732 展開処理 733 分割処理 734 解析処理 735 配列処理 81 近似手段 82 変換手段 811 誤差処理 812 計数処理 821 演算処理 822 精度検証処理 91 強調手段 92 合成手段 93 期間判断手段 94 表示手段 HD 頭部 SC 頭皮 SK 頭蓋骨 GP 中間層 BC 脳皮質 FL 襞 NC 灰白質 OC 白質 CT 断層画像 DP 電流双極子 FM ファイル・メモリ DET 測定装置 MRI 核磁気共鳴画像装置

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 頭皮上における電位の分布である頭皮電
    位分布から脳内の皮質における電位の分布である脳皮質
    電位分布を推定し、前記皮質における活動ニューロンの
    空間的な分布を追跡する脳皮質活動追跡装置であって、 頭部の多重的な内部構造を模擬的に現す多重領域頭部モ
    デルを形成し、前記多重領域頭部モデルの内部に電気的
    な両極を有する電気2重層を設定して、前記電気2重層
    を電気的に均一強度を有する複数の小区域に区分する設
    定手段と、 前記複数の小区域のそれぞれについて前記均一強度を演
    算し、前記頭皮電位分布に変換して基準頭皮電位分布を
    求め、前記基準頭皮電位分布をニューラル・ネットワー
    クに学習させて各ニューラル・ネットワーク係数を調整
    し、前記各ニューラル・ネットワーク係数を使用して、
    実際に計測される頭皮電位分布である計測頭皮電位分布
    から脳皮質での電位分布である脳皮質電位分布を推定し
    て追跡する演算手段とを含んで構成していることを特徴
    とする脳皮質活動追跡装置。
  2. 【請求項2】 前記脳皮質電位分布の推定は、脳皮質
    おけるニューロン活動を代表する電気的な等価双極子を
    予め推定してその存在する位置を求め、前記存在する位
    置の近傍における小区域を前記複数の小区域に含める処
    理を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の脳皮
    質活動追跡装置。
  3. 【請求項3】 前記演算手段に続けて、この演算手段で
    決定される前記それぞれの小区域を前記頭部の多重的な
    内部構造と立体的に合成する合成画像を形成し、この合
    成画像において前記それぞれの小区域を前記その強度に
    基づいて強調する強調画像に変換して作画する作画手段
    を付加して構成しており、 前記脳皮質電位分布を時間を追って変化する分布図とし
    て記憶しつつ表示するようになっていることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載の脳皮質活動追跡装
    置。
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