JP2801085B2 - ヒト細胞を植えた気道上の異種移植片を有する非ヒト動物 - Google Patents

ヒト細胞を植えた気道上の異種移植片を有する非ヒト動物

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、国立衛生研究所により与えらえた承認番号
RO1 HL49040の政府の援助で行われた。政府は、本発明
において所定の権利を有する。
発明の技術背景 本発明は、開放末端を有するヒト気道を特徴とする非
ヒト動物、および開放末端気道そのものに関する。好ま
しくは、この気道は罹患ヒト気道である。さらに好まし
くは、この気道はヒト嚢胞性線維症(CF)の気道であ
る。最も好ましくは、本発明の非ヒト動物は、ヒト肺の
近位または遠位の気道由来の細胞、あるいはこれらの細
胞の混合物により植えられた(populated)気道であっ
て、気道末端が大気に開放されている気道の異種移植片
を特徴とする。
本発明の非ヒト動物およびそれが有するヒト気道は、
ヒト気道のモデルとして、そしてさらに好ましくは罹患
ヒト気道のモデルとして、最を好ましくはヒトCF気道の
モデルとして有用である。これらは、一般にはヒト気道
中、さらに好ましくは嚢胞性線維症および他の罹患気道
中の、種々の細胞型の相互関係および機能、ならびにこ
のような機能を制御する遺伝子および他の分子を研究す
るためのモデルとして特に有用である。本発明はまた、
ヒト気道における種々の因子の効果、特に治療薬、他の
因子、方法、および組成物(特に、ヒトにおける肺疾
患、特に嚢胞性線症を治療するのに用いられ得る、遺伝
子導入および遺伝子操作に含まれるもの)の有効性また
は毒性についてアッセイするための、ヒト気道モデルと
して有用である。
発明の背景 ヒト気道を冒す周知の疾患が多くある。このような疾
患には、例えば癌、嚢胞性線維症、気腫、喘息、結核、
および肺炎が含まれる。しかし、これらの疾患およびそ
の治療の研究は、ヒト気道、特に罹患ヒト気道、さらに
詳細にはヒトCF気道の予測動物モデルがないため遅れて
いた。
嚢胞性線維症(CF)は、上皮細胞機能の異常により引
き起こされる致死に至る遺伝疾患である。嚢胞性線維症
の最も病的なおよび生命を限ぎる局面には、肺の徴候が
含まれる。主な徴候は、異常な粘液繊毛クリアランス
(mucocilliary clearance)が生じるこである。CF患者
は厚い粘膜を発達させ、それは取り除くのが困難であ
り、そして結局は気道の障害となる。さらに、CF患者の
肺はブドウ球菌およびシュードモナスとコロニーを形成
し、そしてこの患者は生命を脅かす肺感染を再発し患
う。
CFの遺伝子は約250kbpであり、1480個のアミノ酸のタ
ンパク質をコードする。CFの個体の約70%において、CF
遺伝子が1つのアミノ酸(Phe−508)の欠損を生じる結
果になる3bpが欠損するため一見機能不全である。しか
し、残る30%の患者では170を超える異なる変異が確認
されている。
CF遺伝子産物の「嚢胞性線維症トランスメンブレンコ
ンダクタンスレギュレーター(CFTR)」は、上皮細胞頂
端表面上に通常発現される塩素チャネルであると考えら
れている。CF遺伝子が、嚢胞性線維症におけるように機
能不全である場合、上皮細胞は塩素をうまく輸送し得
ず、そしてナトリウムおよび水の輸送に調整障害を生じ
る。
CFにおける主要な病原プロセス(pathogenic proces
s)には、粘膜に寄与する肺の成分が含まれる:表面上
皮に沿って並ぶ杯細胞、および、近位の気道(proximal
airway)に見出される粘膜下腺(この機能は粘膜の生
成および気道管腔へのその輸送である)。CFTRの発現は
最近、両細胞型に局在している。しかし、齧歯類および
ウサギを含むほとんどの動物モデルは、気道中の粘膜下
腺を欠失しており、ヒトの嚢胞性線維症および他の肺疾
患の研究に適さない。
現在入手し得るヒト嚢胞性線維症の肺の動物モデルが
欠けていることは、Science[J.N.Snouwaerlら、「遺伝
子ターゲティングにより作られた嚢胞性線維症の動物モ
デル」、Science,257,1083−88頁(1992)]に最近報告
された研究により最も良く示されており、そこで、研究
者らはCF遺伝子に欠損を有するマウスの変異種を開発し
た。これらの動物は嚢胞性線維症の多くの徴候を現して
いるが、ヒトCF疾患の特徴である肺の病理を欠いてい
た。
従って、嚢胞性線維症および他のヒト肺疾患の原因お
よび肺の徴候を研究するために、ヒト気道における種々
の因子(環境その他)の影響を研究するために、および
特にヒト肺疾患(特にCF)に対する種々の可能な治療ま
たは因子の有効性を研究するために、有用なヒト気道の
動物モデルが緊急に必要とされている。
発明の要旨 本発明は、開放末端を有するヒト気道を特徴とする非
ヒト動物を提供することにより上記の問題を解決する。
さらに好ましくは、ヒト気道は罹患ヒト気道である。最
も好ましくは、このヒト気道はヒトCF気道である。
代表的には、本発明の非ヒト動物は、ヒト呼吸器系の
気道由来の細胞により植えられた気道の異種移植片を特
徴とする。好ましくは、この細胞は、肺疾患を有する患
者の気道由来である。さらに好ましくは、この細胞はCF
患者の気道由来である。
本発明の非ヒト動物およびヒト気道は、ヒト肺疾患の
間および特にヒトにおけるCFの進行中におこる特定の病
原プロセスを研究するために、ヒト気道、好ましくは罹
患ヒト気道、そしてさらに好ましくはCFヒト気道のモデ
ルとして使用され得る。それらはまた、正常ヒト気道ま
たは罹患ヒト気道の細胞における薬剤または他の因子の
作用、有効性または毒性のメカニズムを研究するために
も有用である。本発明の非ヒト動物およびそのヒト気道
はまた、ヒトにおける、特にヒトCF患者および他の肺疾
患を有する患者における、このような因子の有効性また
は毒性を予測するためのモデルとしても有用である。
図面の簡単な説明 図1Aは、開放末端異種移植片、すなわち可撓性プラス
チック管に接続し、そして管の末端が首の後ろを通って
出て行くように皮下に移植した異種移植片を示す。
図1Bは、正常なヒト肺由来の異種移植片の電子顕微鏡
写真を示す。
発明の詳細な説明 本発明は、開放末端をするヒト気道を特徴とする非ヒ
ト動物に関する。好ましくは、この気道は罹患ヒト気道
である。最も好ましくは、これはヒトCF気道である。
本発明の開放末端ヒト気道における細胞は独特の分化
をするので、これらの気道はこの細胞が由来するヒト患
者の気道を実質的に再生する。本発明の気道の開放末端
もまた、これらの気道およびそれらを特徴付ける細胞へ
の因子の容易な導入、ならびにこれらの気道(特にCF気
道)粘液、および他の体液の容易なクリアランスを可能
にする。従って、本発明の気道は、特定の因子とヒト肺
疾患との間の関係(ポジティブおよびネガティブの両
方)を研究するに有用である。この気道はまた、ヒト以
外の動物の肺において不在になり得るかまたは変化し得
る特定の細胞機能および相互作用の観察および研究も可
能にする。
本発明に好ましい実施態様の罹患ヒト気道およびこれ
を有する動物は、その疾患のモデルとして、ならびにそ
の疾患における種々の治療および因子の効果をアッセイ
するためのモデルとして有用である。本発明のさらに好
ましい実施態様のヒトCF気道およびこれを有する動物
は、特定のCF遺伝子型から得られる特定のCF表現型のモ
デルとして特に有用である。従って、種々の可能な治療
および他の因子への特定のCF遺伝子型の応答を研究する
のに有用である。
本発明がより良く理解され得るために、次の用語およ
び定義を本発明細書中に提供する。
「非ヒト動物」はヒト以外の動物であり、移植片を拒
絶せずに、本発明に定義されるようなヒト気道の移植片
を受容し得る動物である。好ましい実施態様では、非ヒ
ト動物は霊長類ではない動物である。さらに好ましい実
施態様では、非ヒト動物は齧歯類である。最も好ましい
実施態様では、非ヒト動物は無胸腺症nu/nuマウスであ
る。
「気道」は、ヒトを含む動物の呼吸器系の任意の空気
を含む管を包含する。それは、気管、気管支、および細
気管支を含むがこれらに限定されない。
「モデルヒト気道」は、ヒト呼吸器系の気道、すなわ
ちヒト肺の近位および遠位の気道由来の細胞により植え
られた気道である。細胞が由来する気道は、正常ヒト気
道または罹患ヒト気道であり得る。好ましくは、この細
胞は罹患ヒト気道由来であり、最も好ましくはヒトCF気
道由来である。あるいは、細胞は健常ヒト由来であり
得、そして次にインビトロで一時的または遺伝学的のい
ずれか(例えば、変異、あるいは、外来DNAまたは他の
因子でのトランスフェクションまたは形質転換による)
で、疾患(好ましくはCF)の表現型に変化し得る。
好ましくは本発明のモデルヒト気道は、細胞が、本発
明に従って気道を植え、その中で正しく分化するように
末端が開放されている。さらに、この開放末端は、因子
が気道へ導入されることおよび気道が粘液ならびに他の
体液およびデブリを洗い流すこと、すなわち「咳」を可
能にする。
「罹患ヒト気道」は、ヒト気道疾患表現型の細胞によ
り植えられた、本発明に定義されるようなモデルヒト気
道である。このような疾患には、癌性および前癌症状、
喘息、嚢胞性線維症、気腫、結核、および肺炎が含まれ
るが、これらに限定されない。好ましくは、この細胞は
罹患ヒト呼吸器系の気道由来である。
「ヒトCF気道」は、ヒトCF表現型由来の細胞により植
えられた、本発明に定義されるような罹患ヒト気道であ
る。好ましくは、この細胞はヒトCF呼吸器系の気道由来
である。
「開放末端移植片」は、開放末端を有するモデルヒト
気道である。好ましくは、本発明に従って可撓性プラス
チック管に気道を連結し、そして管の末端が動物組織を
通って外に出て、空気に開放されるように、非ヒト動物
の皮下(好ましくはその背中)に気道を移植することに
より達成される。図1を参照のこと。
「露出気道」は、実質的に全ての生来の上皮細胞を除
去した気道である。本発明の好ましい実施態様による
と、露出気道は、数回の連結融解により露出したラット
気管である。しかし、当業者は、ヒトを含む他の動物由
来の気道もまた、本発明において有用であり得ることを
理解する。以下の開示から明らかなように、気道の起源
において主に考慮することは、切除、露出、再接種(re
seeding)、移植、および移植後の操作の容易さであ
る。
モデルヒト気道および本発明のモデルヒト気道を特徴
とする非ヒト動物は、当該技術分野で周知の入手可能な
技術および出発物質を用いて調製される。
元となる気道は、ヒトを含む任意の動物から得られ得
る。本発明の好ましい実施態様では、気道はラット由来
である。この気道は、従来の方法を用いて動物から単離
される。例えば、最も好ましいラット気管を単離するた
めの種々の周知の方法がある。
本発明の好ましい実施態様では、ヒト細胞を接種する
前に、気道を従来の方法により露出される。さらに好ま
しくは、数回の凍結融解を用いて露出させる。
次いで、露出気道には、ヒト呼吸器系の気道由来、す
なわちヒト肺の遠位または近位の気道由来のヒト細胞が
接種される。これらの細胞を、正常または罹患(特にC
F)ヒト気道組織から従来の方法を用いて単離し、当該
技術分野で周知の適切な増殖因子および抗生物質ととも
にインビトロで増殖させ、次いで再懸濁し、そして露出
気道に接種する。
本発明に従って開放末端移植片を製造するために、気
道の各末端を、管(好ましく可撓性プラスチック管)
に、非ヒト動物に移植した場合に管が表面に開放された
ままとなるように連結する。この連結は細胞の接種の前
または後に行い得る。
次いで、接種し、かつ連続した気道を、従来の方法を
用いて非ヒト動物に移植し、移植片の末端の動物の外側
に、そして大気に開放したままにする。この動物は、移
植片を拒絶せずに受容し得ねばならない。好ましくは、
この動物は、遺伝学的または一時的に免疫不全である。
このような動物を製造する方法は周知である。
次いで、この移植片はインビボでインキュベートされ
る。好ましいインキュベーションは、1〜6週間であ
る。この期間、接種した細胞は分化し、そして露出気を
再植して(repopulate)、この細胞が由来するヒト気道
と実質的に同じ気道を形成する。ここで、「露出気道を
再植する」とは、露出気道に上皮細胞を接種し、そして
増殖させて上皮を生成させることを意味する。従って、
この細胞が正常なヒト気道由来である場合、再植した気
道は正常ヒト気道のモデルとなる。この細胞が罹患ヒト
気道、好ましくはCF気道由来である場合、再植した気道
はこの疾患のモデルとなる。
本発明のモデルヒト気道および非ヒト動物は、種々の
方法に有用である。1つの実施態様では、本発明は、ヒ
ト肺疾患(特に嚢胞性線維症)、およびこれらの疾患に
付随し得る肺症状の治療剤の送達、作用機序、有効性、
または毒性を研究する方法を提供する。この実施態様の
方法は、治療剤を本発明のヒト気道に、好ましくは気道
の開放末端を通して導入する工程、ならびに、気道およ
びその中の細胞の機能における薬剤の効果を評価する工
程を包含する。
例えば、本発明のモデルヒト気道は、肺機能またはヒ
ト肺疾患の進行に影響すると思われる、液体、ガス、ま
たは固体の形態中の因子に曝され得る。例えば、本発明
のヒトCF気道は以下のような因子に曝され得る:呼吸器
上皮によるナトリウムイオンの取り込みに影響し得るア
ミロライドおよび他の因子;塩素流入を生じ得るATP、U
TP、および他の因子、あるいは、粘膜の粘度またはクリ
アランスに影響し得るDNアーゼおよび他の因子。
さらに、ヒト肺疾患、特にCFの遺伝子治療の有効性ま
たは毒性を、組換えウイルス、リポソーム、DNA−タン
パク質複合体、または外来DNAを有する他のビヒクル
に、本発明の気道を曝すことにより評価し得る。本発明
の気道の細胞によるDNAの取り込みの後、気道およびそ
の中の細胞を、インビボあるいは取り出して研究し、細
胞および疾患状態における量、細胞特異的な局在、およ
び遺伝子治療の効果を決定し得る。
本発明の他の実施態様では、本発明の罹患ヒト気道
は、ヒト肺疾患の進行を悪化させることが知られている
因子に曝され得る。例えば、本発明のヒトCF気道は、ニ
ューモコッカス(Pneumococcus)、シュードモナス(Ps
eudomonas)、および他の感染因子に曝され得る。次い
で、これらの因子の罹患気道における効果は、このよう
な因子に対する生理学的応答での差異を評価するため
に、本発明の正常ヒト気道における因子の効果と比較し
得る。
本発明の他の実施態様では、これらの因子のヒト肺に
おける可能な効果を研究するために、正常モデルヒト気
道を、種々の因子、例えば、環境因子、可能性のある毒
素、およびタバコの煙に曝し得る。このような気道はま
た、種々の治療および処置が、このような毒素および因
子の効果(もしあれば)を無くすまたは低下させる能力
を評価するためにも用いられ得る。
他の実施態様では、本発明は、嚢胞性線維症のような
遺伝学に基づく疾患を治療するために用いられ得る治療
剤の作用機序、有効性、または毒性を決定する方法に関
する。この実施態様では、ヒト呼吸器系の気道由来の細
胞は、この細胞を用いて露出気道に接種する前に、因子
または治療に曝される。次いで、細胞が分化して露出気
道を再植する能力、あるいは露出気道の再植後に細胞が
機能する能力における、因子または治療の効果を評価す
る。この実施態様は、子宮内にあるいは肺組織の分化前
または分化中に投与され得る遺伝子治療、または他の治
療の可能な効果を評価するに有用である。
本発明の1つの特定の利点は、CF気道を所望の特定の
遺伝子型に合わせる能力である。CF気道はそれが由来す
るCF細胞と実質的に同じであるので、CF遺伝子中の特定
の変異は生じた疾患の表現型と関連し得、特定の表現型
が、所定の治療剤に応答するあるいは所定の感染因子ま
たは悪化因子と相互作用する能力を含む。
本発明がより良く理解され得るために、次の実施例を
記載する。これらの実施例は例示のみを目的としてお
り、そしていかなるようにも本発明の範囲を限定するよ
うに解釈されるべきではない。
実施例 I.気管支上皮細胞の単離および培養 約5〜20グラムのヒト気管支上皮組織のサンプルを、
移植予定の正常ヒト肺、あるいは、ユニバーシティオブ
ノースカロラナメディカルセンター、肺疾患部門で肺移
植を行う嚢胞性線維症患者の肺のいずれかの大きな気管
支気道から単離した。50μg/mLのペニシリン、50μg/mL
のストレプトマイシン、40μg/mLのトブラマイシン、50
μg/mLのセフタジジム、2.5μg/mLのアムホテリンシン
B(amphoteracin B)、10μg/mLのDNアーゼ、および0.
5mg/mLのジチオスレイトールを添加した改変イーグル培
地(MEM)で、4℃で4〜12時間組織を浸し、そしてす
すいだ。次いで、この組織を0.1%のプロアーゼ−14を
添加したMEM培地に移し、そして4℃で30〜34時間イン
キュベートした。次いで、ウシ胎児血清(FCS)を10%
の最終濃度になるように加え、激しく撹拌して先の鋭く
ないもので掻きとる(blunt scraping)ことより培地中
に細胞を取り出した。次いで取り出した細胞をペレット
にし、10%のFCSを含むHams F12中で2階洗浄し、そし
て2×106細胞/100mmプレートの密度でコーティング無
しのプラスチック組織培養プレート上で培養した。培養
用培地は、1μMのヒドロコルチゾン、10μg/mLのイン
スリン、30nMのチロキシン、5μg/mLのトランスフェリ
ン、25ng/mLの上皮増殖因子、3.75μg/mLの内皮細胞増
殖補充物、10ng〜mLのコレラトキシン、50μg/mLのペニ
シリン、50μg/mLのストレプトマイシン、40μg/mLのト
ブラマイシン、50μg/mLのセフタジジム、および2.5μg
/mLのアムホテリシンBを含むホルモン様に規定したHam
s F12培地であった。培地を36時間で、そしてその後24
時間ごとに新しい培地に置き換えた。4日目に、0.1%
のトリプシンでの処置、続いて10%のFCS/Hams F12の添
加により細胞を採取した。次いで細胞をペレットにし
て、露出ラット気管に接種するために、2×104または
2×106細胞〜30μ1ホルモン性規定培地の濃度にそれ
らを再懸濁した。
II.異種移植片の確立 CO2窒息させた雄Fisher 344ラット(200〜250g)から
ラット気管を採取し、3回の凍結融解により気管を露出
させ、続いてMEMで管腔をすすいだ。次いで、以下のよ
うに露出ラット気管を接種した。
気管支上皮細胞を露出気管の管腔に注入した。次い
で、管の周囲に絹縫合糸を縛ることにより、可撓性プラ
スチック管に気管の両末端を連結した。次いで、100mg/
kgのケタミンおよび20mg/kgのキシラジンの腹腔内注射
により麻酔したnu/nu balb Cの脇腹に、これらの異種移
植片を皮下移植した。末端を移植片の近位および遠位部
に縛り、皮下をくぐらせ、そして首の後ろを通って経皮
的に出ているプラスチック管を介して表面に開いたまま
となるように、移植した気管を縫合した。この開放末端
異種移植片を製造する縫合技術を図1Aに示す。開放末端
異種移植片は、例えば、種々の液体、ガス、または固体
の因子の導入、あるいは、粘液、液体、および移植片の
他の生物学的成分の除去のために、移植片の管腔に容易
にアクセス可能にする。異種移植片をHams F12培地で毎
週洗浄して粘液の蓄積を防いだ。
他の移植片の移植方法は、移植前に両端で塞いだ気管
を連結することである。しかし、気管が適切に洗浄され
ない場合、結局は移植片の歪みを引き起こす、ますます
多量の粘液が蓄積することが見出された。塞いだ異種移
植片の移植はまた、気道内の上皮組織の十分な分化を妨
げた。3〜6週のインキュベーション後、再構成した上
皮は、鱗状または立方体様の上皮の主要部、および偽の
層状化形態(pseudostratified morphology)を含ん
だ。
III.異種移植片の分析 正常気管器組織由来の開放末端異種移植片を製造した
場合、得られた十分に成熟した移植片は、気管の表面全
体に沿って、正常気管支の表面と区別し得ない偽層状化
上皮を生成した。以下のように、電気顕微鏡法により移
植片を分析した。
異種移植片を切除した、それをリン酸緩衝生理食塩水
(PBS)中で簡単にすすぎ、次いで0.1Mカコジル酸ナト
リウム(pH7.4)中の2.5%グルタルアルデヒド、1.5%
パラホルムアルデヒド、0.02%CaCl2中で4℃で一晩固
定した。固定に続いて、この組織を0.1Mカコジル酸ナト
リウム中で繰り返し洗浄し、1%の四酸化オスミウム中
で0℃で1時間固定後処理し、アルコール中で脱水し、
そしてこの組織をエポキシ樹脂中に包埋した。次いで、
Hitachi lla電子顕微鏡で検鏡および撮影する前に、酢
酸ウラニルおよびクエン酸鉛で切片を染色した。
正常肺由来の典型的な異種移植片の電子顕微鏡写真を
図1Bに示す。基底細胞、繊毛細胞、分泌杯細胞、および
非繊毛柱細胞(non−ciliated columnar cell)の層を
含む全細胞型が現れた。
IV.開放末端異種移植片の形態および増殖活性の分析 低密度(2×104細胞)で接種された移植片の光学顕
微鏡分析により、比較的未分化の形態が明らかになっ
た。細胞は鱗状または立方体状の形状であり、しばしば
多重層に層形成された。分裂し、繊毛を含み、またはア
ルシアンブルー/PASに反応するような細胞ななかった。
低密度で接種した移植片を、レトロウイルス感染時での
細胞増殖の全体的な状態を評価するために、BrdUととも
にインキュベートした場合、細胞の40±4%は有糸分裂
活性であった(データは示さない)。これらの研究は、
1週後に、2×104細胞で接種した移植片が迅速に再生
している未分化の上皮を含むことを示している。6週間
マウス中で放置した場合、これらの移植片は活動しなく
なり、十分に分化する。
高密度(2×106細胞)で接種した移植片は、3週間
以内に十分に分化した上皮に発達する。CFTRのCOOH末端
に対して作成されたポリクローナル抗体で染色すること
により、十分に、分化した移植片におけるCFTRの局在
を、正常ヒト気管支におけるそれと比較した。簡単に述
べると、ポリ(1−リジン)コートしたスライド上に6
μmの新たな凍結異種移植片組織を切り出し、アセトン
で20℃で10分間固定してその後風乾した。次いで、PBS
中20%のDS中で切片を30分間ブロックし、そしてアフィ
ニティ精製したウサギポリクローナル抗体(α−1468)
を加えた。この抗体はCFTRの1468−1480残基を認識する
[J.A.Cohnら、「CFTR:高アフィニティ抗体の開発およ
び汗腺における局在」、Biochem.Biophys.Res.Commun.,
181,36−43頁(1991)]。
十分に分化した移植片内の染色パターンは、正常ヒト
気管支サンプルにおいて観察されるパターンと実質上同
じである。低レベルの染色が柱上皮細胞の先端の表面上
で検出され、一方、高レベルの染色が基底細胞および中
間細胞において観察される。要約すると、3週間後、高
密度で接種した正常ヒト気管支上皮細胞から製造した開
放末端異種移植片は、正常の平静なヒト主要気管支幹
(main stem bronchus)に良く似ている上皮を生成す
る。
CF上皮細胞、すなわちCF気道から製造された十分に発
達した開放末端異種移植片を分析した場合、この異種移
植片が由来するCF気管支組織と比較して、豊富な杯細胞
に統計学的に有意な減少を見出した。表Iは、気管支気
道における3つの最も豊富な細型(基底細胞、繊毛細
胞、および杯細胞)の分布を比較している。 表I 基底細胞 繊毛細胞 杯細胞 CF異種移植片 38.0% 37.7% 24.3% CF気管支組織 33.4% 34.7% 32.0% これは、CF患者の気道内での杯細胞増殖症は細菌感染
の二次合併症のようであり、杯細胞の分化および増殖の
調節の一時的な障害ではないことを示唆する。非ヒト動
物のCF気道はそれが由来するCF肺と遺伝学的に同じであ
るので、これらのデータは、どのようにしてこのCF気道
を用いてCFの疾患の進行を含まれる環境要因を研究し得
るかを示す。例えば、細菌、粘液、および他の因子は、
CF気道に導入され得、そして種々の細胞型の特性および
相対数、ならびに気道全体としての機能をシフトするそ
れらの能力について評価され得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 エングルハート,ジョン エフ. アメリカ合衆国 ペンシルバニア 19104―4283,フィラデルフィア,スプ ルース ストリート 3400,ユニバーシ ティ オブ ペンシルバニア スクール オブ メディスン (56)参考文献 Toxicologic Patho logy,Vol.17,No.3 (1989),P.465−473 The Lancet April 27(1985),P.954−956 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01K 67/027 BIOSIS(DIALOG)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】移植されたモデルヒト気道を有する非ヒト
    動物であって、該モデルヒト気道は、ヒト気道上皮細胞
    が接種され、そして該気道の末端の大気への開放を維持
    しながら該細胞を増殖させて、その内腔に沿って十分に
    分化した上皮を生成させたものである、非ヒト動物。
  2. 【請求項2】前記モデルヒト気道が罹患ヒト気道であ
    る、請求項1に記載の非ヒト動物。
  3. 【請求項3】前記モデルヒト気道がヒトCF気道である、
    請求項2に記載の非ヒト動物。
  4. 【請求項4】前記動物が齧歯類である、請求項1に記載
    の非ヒト動物。
  5. 【請求項5】前記動物が、nu/nuマウスである、請求項
    4に記載の非ヒト動物。
  6. 【請求項6】ヒト気道における因子または治療の効果を
    評価するための方法であって、以下の工程: (a)請求項1の記載の非ヒト動物の前記モデルヒト気
    道に該因子を導入する工程、または請求項1に記載の非
    ヒト動物の該モデルヒト気道を該治療に曝す工程;およ
    び、 (b)該モデルヒト気道または該モデルヒト気道内の細
    胞における、該因子または該治療の効果を測定する工
    程、 を包含する、方法。
  7. 【請求項7】前記因子が、毒素、治療剤、環境因子、ま
    たは遺伝子輸送を達成する因子からなる群より選択され
    る、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記モデルヒト気道が罹患ヒト気道であ
    る、請求項6または7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記モデルヒト気道がヒトCF気道である、
    請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】ヒト気道上皮細胞が接種され、そして該
    気道の末端の大気への開放を維持しながら該細胞を増殖
    させて、その内腔に沿って十分に分化した上皮を生成さ
    せたものである、モデルヒト気道。
  11. 【請求項11】前記モデルヒト気道が罹患ヒト気道であ
    る、請求項10に記載のモデルヒト気道。
  12. 【請求項12】前記モデルヒト気道がヒトCF気道であ
    る、請求項11に記載のモデルヒト気道。
  13. 【請求項13】継続的に開放した末端を有し、そしてそ
    の内腔に沿って十分に分化した上皮を維持するモデルヒ
    ト気道を製造するための方法であって、以下の工程: (1)ヒトを含む動物の呼吸器系の単離された気道を露
    出する工程; (2)ヒト呼吸器系の気道由来の細胞を該露出気道に接
    種する工程; (3)該細胞を該露出気道に接種する前または後に、該
    露出気道上に管を連結する工程; (4)該管の末端を該動物の外側に維持し、かつ大気へ
    の開放を維持しながら、得られた該接種気道を非ヒト動
    物に移植する工程;および、 (5)該管の末端を該動物の外側に維持し、かつ大気へ
    の開放を維持しながら、該気道内腔に該細胞を増殖させ
    て上皮を生成させるために、該移植された気道をインキ
    ュベートする工程、 を包含する、方法。
  14. 【請求項14】前記モデルヒト気道が罹患ヒト気道であ
    る、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】前記モデルヒト気道がヒトCF気道であ
    る、請求項13に記載の方法。
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