JP2801635B2 - 高振動減衰能を有する高じん性溶接構造用鋼材 - Google Patents

高振動減衰能を有する高じん性溶接構造用鋼材

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JP2801635B2 JP10448189A JP10448189A JP2801635B2 JP 2801635 B2 JP2801635 B2 JP 2801635B2 JP 10448189 A JP10448189 A JP 10448189A JP 10448189 A JP10448189 A JP 10448189A JP 2801635 B2 JP2801635 B2 JP 2801635B2
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智也 小関
虔一 天野
昭三郎 中野
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川崎製鉄株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、各種機械機器や構造物に用いる鋼材、と
くに振動や騒音を抑制する高い振動減衰特性を有しか
つ、強度、じん性および溶接性の優れた溶接構造用材に
関する。
近年、運輸機関、橋梁および機械工場等の振動または
それらから発生する騒音が問題視され、その改善が強く
要望されている。この振動や騒音低減のため、構造物の
剛性を増大させて共鳴を避けたり、振動絶縁材料、遮音
材料および吸音材料を使用するなど施行面において種々
の工夫がなされている。
しかし、実際の騒音源となる振動は複雑で、これを排
除することは上記の手段のみでは困難である。
(従来の技術) そこで振動の発生源となる機械構造部分等に振動減衰
特性の高い材料を使用し、根本的な改善をはかろうとす
る、いわゆるマテリアル・ダンピング法が注目されてい
る。
ここで合金の制振性能は、一般にその内部摩擦
(Q-1)の大きさで表わすことが多く、これは、歪振幅
1サイクル当りに失われるエネルギーの大きさの指標で
あり、Q-1が大きいほど、振動エネルギーを合金内部の
熱や磁壁移動に変換する割合が大きく高い制振作用を有
する。
制振鋼板としては、例えば特開昭59−52644号公報に
記載されているような、薄肉鋼板に樹脂を挟んだサンド
ウィッチ型鋼板が広く用いられているが、この種の鋼板
は非常に高い減衰性能はもつものの、強度、剛性及び溶
解性に難点があり、機械構造用材には適さない。
また制振性を有する構造材として黒鉛鋳鉄がよく知ら
れているが、加工性、じん性及び溶接性が劣るためその
利用範囲は限定される。
一方合金型の制振材料として、Mn−Cu合金(特開昭57
−181360号公報参照)や低C−低N系で磁壁移動を利用
した強磁性材料および強磁性材料に介在物またはPbなど
を混入した材料(特公昭59−45748号または同59−27377
号各公報参照)等が提案されているが、強度、溶接性ま
たは構造体としたときの信頼性等に難点があり構造物用
として実用化するには至っていない。
(発明が解決しようとする問題点) この発明は、高い振動減衰特性を有し、しかも溶接構
造用材に必要とされる、強度、じん性、加工性および溶
接性に優れた鋼材について提案することを目的とする。
さらにこの発明の目的は、工業的規模での安定製造が
容易となる鋼材を提案することにある。
(問題点を解決するための手段) 発明者らは、鋼材に軟質のオーステナイト相を析出さ
せることにより制振特性が著しく向上することを新たに
知見し、この発明を完成するに至った。
すなわちこの発明は、C:0.01〜0.50wt%を含みかつ下
記式で示されるCeq.が0.70wt%以下の範囲にある鋼材で
あって、さらに体積率が3%以上のオーステナイトを有
することを特徴とする高振動減衰能を有する高じん性溶
接構造用鋼材 である。
なおこの発明は、例えば一般構造用圧延鋼材(JIS G
3101規格のSS41)や溶接構造用圧延鋼材(JIS G3106規
格のSM41)等の引張り強さ41kgf/mm2級の鋼材に有利に
適合する。
(作 用) 次にこの発明の基礎となった実験結果について述べ
る。
C:0.01〜1.00wt%、Si:0.05〜2.50wt%、Mn:0.50〜3.
00wt%、Ni:0〜15.0wt%、Cr:0〜30.0wt%、Cu:0〜3.0w
t%、Mo:0〜5.0wt%、Nb:0〜0.10wt%、V:0〜0.10wt
%、Ti:0〜0.80wt%、Al:0.01〜5.00wt%およびB:0〜0.
08wt%の成分範囲にある種々の成分組成の各鋼スラブを
熱間圧延のままか、熱間圧延後に冷却処理、同様に再加
熱焼入処理または焼もどし処理を施す等、種々の熱履歴
で製造することによってオーステナイト量を変化させた
試料を多数製作し、各試料のQ-1を測定したところ、第
1図に示すようにQ-1はオーステナイト量の増加に比例
して、とくにオーステナイト量3vol%を境にして大きく
なった。
当然、鋼成分、熱処理方法および製造方法によって、
試料のQ-1、さらに強度やじん性などはそれぞれ異なる
が、各試料ともオーステナイトの析出によってQ-1は増
大し、制振性能が向上した。
以上の実験から、一般的な構造用材において、オース
テナイトを体積率で3%以上析出または混入させること
によって高い振動減衰能を付与できることが判明した。
しかも、溶接性や機械的性質はオーステナイト量の増加
によって損われないことも確認できた。
ここで体積率3%以上のオーステナイトを有すること
で振動減衰特性が向上するのは、振動エネルギーが母相
−オーステナイト相界面の粘性流動と軟質相内でのずり
変形で吸収されるためと考えられる。
次にこの発明において成分組成範囲を限定した理由に
ついて述べる。
まずCは残留オーステナイトの安定化に寄与する成分
の1つであり、所望のオーステナイト量、さらには所望
の強度を得るために0.01wt%以上は必要である。しかし
0.50wt%をこえるとじん性および溶接性が劣化するた
め、0.50wt%を上限とする。
また残留オーステナイト量の増加には、上記したCの
ほか、Mn、Cr、Ni、Mo、CuおよびVのオーステナイト安
定化元素を添加することが有利であるが、これら成分の
多量添加は不経済であるばかりでなく、溶接性の劣化を
まねく。
を0.70wt%以下として溶接性を確保することが肝要であ
る。
なおMn、Cr、Ni、Mo、CuおよびVの各成分は、上記し
たCeq.の制限を満足させた上で、次の各範囲にて添加す
ることができる。すなわち Mnは焼入れ性を向上させ、鋼材の強度を確保するのに
0.50wt%以上は必要であるが、3.00wt%を超えるとじん
性と溶接性が低下するので、0.50〜3.00wt%の範囲とす
ることが望ましい。
NiやCrは、焼入れ性や耐食性を高め、かつオーステナ
イトを安定化するため、制振性能を損なわずに強度を上
昇させる効果がある。しかし、多量に添加した場合、じ
ん性、熱間加工性、溶接性および経済性が低下するた
め、Niは15.0wt%、Crは30.0wt%をそれぞれ上限とする
ことが望ましい。
Moは焼入れ性を向上させ鋼材の強度上昇に効果がある
が、多量に添加するとじん性と溶接性が低下するため、
その上限を5.0%とするのが望ましい。
Cuは耐食性や強度を上昇させる効果をもつが、多量に
添加すると鋼塊製造時に表面割れが生じやすくなり、ま
たじん性や溶接性が劣化するため、上限を3.0wt%とす
ることが望ましい。
Vは析出強化により強度を上昇させる効果をもつが、
多すぎるとじん性および溶接性が低下するため、上限を
0.5wt%とすることが望ましい。
さらに上述ののように、オーステナイト量を3vol%以
上にすることによって振動減衰能を向上することができ
るが、残留オーステナイト量が60vol%をこえると引張
り強さ41kgf/mm2以上を確保することが難しくまた、経
済的にも不利な成分系となるので、オーステナイト量の
上限は60vol%とすることが好ましい。ただし製品とし
て要求される諸特性、例えば強度、じん性および溶接性
などを確保した鋼材においては、鋼材の種類によってオ
ーステナイト量に差はあるものの、その上限は各鋼材で
自ずと定まることになる。
なお鋼の成分組成によりオーステナイトを析出させる
製造条件が異なるが、成分としてはCrやNiの添加がオー
ステナイト析出に有利であり、また熱処理としては二相
域加熱や焼もどし等の残留オーステナイトの析出に有利
な条件を選定することが好ましい。
(実施例) 表1に示す成分組成の鋼を常法によって溶製し、さら
に各鋼種毎に下記の条件(A)または(B)の熱処理を
行って厚さ15mmの厚鋼板を得た。
記 (A):熱間圧延後の鋼板を950℃に加熱後、800〜700
℃の各温度に急冷し、1時間保持し、その後400℃まで
急冷し、2時間保持する多段焼入れを行ってオーステナ
イト量を変化した。
(B):熱間圧延まま(商用の一般構造用鋼板−SS41
材) かくして得られた各鋼板のオーステナイト量、引張り
特性、衝撃特性、加工性、溶接性および内部摩擦Q-1
ついて調べた結果を表1に併記する。
同表からわかるように、オーステナイト量が3vol%未
満の鋼板はいずれもQ-1が低く、制振性は悪いことがわ
かる。この発明に従って、オーステナイト量を3vol%以
上析出させた鋼板においては、いずれも優れた振動減衰
能を有し、かつ溶接構造用材料として十分な強度(引張
り強さ41kgf/mm2以上)、じん性、加工性および溶接性
をそなえていることがわかる。
(発明の効果) この発明による鋼材は従来の構造用材料とそん色のな
い十分な強度、じん性、加工性および溶接性を確保した
上で、振動減衰特性を向上させ得るため、機械構造物の
あらゆる個所で従来鋼材の代替が可能となり、構造物全
体の振動そして騒音を確実に低減することができ、工業
上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図はオーステナイト量と内部摩擦Q-1との関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 修三 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭54−123517(JP,A) 特開 昭55−2743(JP,A) 特開 昭56−116861(JP,A) 特開 平3−500305(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01〜0.50wt%を含みかつ下記式で示さ
    れるCeq.が0.70wt%以下の範囲にある鋼材であって、さ
    らに体積率が3%以上のオーステナイトを有することを
    特徴とする高振動減衰能を有する高じん性溶接構造用鋼
    材。
JP10448189A 1989-04-26 1989-04-26 高振動減衰能を有する高じん性溶接構造用鋼材 Expired - Lifetime JP2801635B2 (ja)

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