JP2807575B2 - アラビノキシロオリゴ糖 - Google Patents

アラビノキシロオリゴ糖

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JP2807575B2 JP9970991A JP9970991A JP2807575B2 JP 2807575 B2 JP2807575 B2 JP 2807575B2 JP 9970991 A JP9970991 A JP 9970991A JP 9970991 A JP9970991 A JP 9970991A JP 2807575 B2 JP2807575 B2 JP 2807575B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なアラビノキシロオ
リゴ糖に関する。
【0002】
【発明の内容】機能性食品素材の1つとして、近年オリ
ゴ糖が注目されており、種々のオリゴ糖が開発され商品
化されている。
【0003】このような状況下で、本発明者らは小麦フ
スマ由来ヘミセルロースの酵素処理について研究を行っ
てきた。その結果、該ヘミセルロースをエンドキシラナ
ーゼで加水分解処理すると種々のオリゴ糖を含有するオ
リゴ糖混合物を生成すること、そしてそのオリゴ糖混合
物中に4個のキシロース分子と2個のアラビノース分子
が特定位置で結合した新規なアラビノキシロオリゴ糖が
含まれることを発見し、それを単離した。
【0004】したがって、本発明は、下記の式;
【化2】 で表されるアラビノキシロオリゴ糖である。
【0005】上記の式から明らかなように、本発明のア
ラビノキシロオリゴ糖は、6員環構造を有するキシロー
ス分子が4個鎖状に結合して主鎖を形成し、該主鎖の還
元末端から3番目のキシロースに5員環構造を有するア
ラビノース分子が2個隣接して結合した構造を有してい
る。
【0006】本発明のアラビノキシロオリゴ糖は、小麦
フスマ由来のヘミセルロースをエンドキシラナーゼで加
水分解してオリゴ糖混合物を製造し、該オリゴ糖混合物
から上記のアラビノキシロオリゴ糖を単離することによ
り製造できる。その場合にエンドキシラナーゼ処理を施
すフスマ由来ヘミセルロースとしては、水不溶性ヘミセ
ルロース、水溶性で60%エタノール不溶性のヘミセル
ロースおよび水溶性で陰イオン交換体非吸着性のヘミセ
ルロースのうちの少なくとも1つを含むものを使用する
のがよく、60%エタノール可溶性ヘミセルロースに対
してエンドキシラナーゼを作用させても加水分解が円滑
に行われず本発明のアラビノキシロオリゴ糖をも含めて
オリゴ糖が効率よく生成しない。上記水不溶性ヘミセル
ロース、水可溶性で60%エタノール不溶性のヘミセル
ロース(以後、単に「60%エタノール不溶ヘミセルロ
ース」という)および水可溶性で陰イオン交換体非吸着
性のヘミセルロース(以後、「陰イオン交換体非吸着ヘ
ミセルロース」という)としては、いずれのものも使用で
き、その調製法等は特に問わないが、それらのヘミセル
ロースは、例えば以下の方法で調製できる。
【0007】(i) 水不溶性ヘミセルロース: 小麦
フスマをアルカリ水溶液で抽出処理し、次いで該アルカ
リ水溶液を酸で中和し、その際に沈澱した区分を水不溶
性ヘミセルロースとして分離回収する。この場合、温度
約40〜70℃で約0.15〜0.30規定のアルカリ水
溶液を使用して小麦フスマの抽出処理を行った後、それ
を塩酸等で中和した際に沈澱してくる水不溶性ヘミセル
ロースを回収するのがよい。
【0008】 小麦フスマからアルカリ抽出等により
得られたヘミセルロースを一旦固形分として回収し、こ
れを水に溶解させてその水不溶区分を水不溶性ヘミセル
ロースとして分離回収する。この場合、フスマ由来ヘミ
セルロースの約25〜35重量%が水不溶性ヘミセルロ
ースとして回収される。
【0009】(ii) 60%エタノール不溶ヘミセルロー
ス:任意の方法で調製された水溶性ヘミセルロースを6
0%エタノール水溶液に溶解させて、不溶性の区分を分
離回収する。
【0010】(iii) 陰イオン交換体非吸着ヘミセルロー
ス:水溶性ヘミセルロースを緩衝液に溶解した溶液を陰
イオン交換体に通し、その非吸着性の区分を含有する液
を回収し、この液を限外濾過膜で濃縮後、凍結乾燥して
目的とする陰イオン交換体非吸着ヘミセルロースを得
る。この場合、緩衝液としてはpH約7.5〜8.5のト
リス−塩酸緩衝液またはリン酸緩衝液等を使用し、該緩
衝液20mlに対して水溶性ヘミセルロース約150〜2
50mlを溶解させた溶液を、セルロースにジエチルアミ
ノエチル基(以後「DEAE」という)を結合させた陰
イオン交換体に0.5〜1.5ml/分の流速で通し、陰イ
オン交換体の下部から非吸着ヘミセルロースを含有する
液を回収する。
【0011】そして、本発明のアラビノキシロオリゴ糖
を得るに当たっては、まず、例えば上記のようにして調
製された小麦フスマ由来の水不溶性ヘミセルロース、6
0%エタノール不溶ヘミセルロースおよび陰イオン交換
体非吸着ヘミセルロースのうちの少なくとも1つ、また
は小麦フスマをアルカリ等で抽出処理することにより得
られたヘミセルロースをエンドキシラナーゼで加水分解
処理してオリゴ糖混合物を生成させる。
【0012】その際に使用するエンドキシラナーゼは、
別名β−キシラナーゼとも称されるが、エンドキシラナ
ーゼであればいずれのものも使用できる。市販の酵素を
使用する場合、エンドキシラナーゼ単品では入手し難い
ため細胞壁分解酵素等に含まれるエンドキシラナーゼを
使用してもよい。その例としては、ヤクルト社製の“セ
ルラーゼ オノズカ”、盛進製薬社製の“ペクトリアー
ゼY−23”、三光純薬社製の“メイセラーゼ”等に含ま
れるエンドキシラナーゼを挙げることができる。それら
のうちでも特にヤクルト社製の“セルラーゼ オノズ
カ”に含まれるエンドキシラナーゼが酵素活性が高く、
オリゴ糖混合物を高収率で得ることができる点で好まし
い。
【0013】そして、エンドキシラナーゼは、遊離の状
態で使用しても担体に固定化して使用してもよく、更に
エンドキシラナーゼによる加水分解処理は連続法で行っ
てもバッチ法で行ってもよい。エンドキシラナーゼの起
源、その使用量、処理時の温度、圧力、pH、時間等の
諸条件を適宜選んで処理を行う。
【0014】本発明において、エンドキシラナーゼによ
るヘミセルロースの加水分解処理の終了の目安として
は、ヘミセルロース含有水溶液の粘度が当初急激に低下
しその後徐々に低下してゆく適当な時点で酵素を失活さ
せる。
【0015】例えば、上記のヘミセルロースを濃度約20
mg/ml溶液、pH約5〜6の水溶液とし、これに約0.
2units/mlのエンドキシラナーゼを加えて約50℃の
温度で約8時間加水分解処理すると、種々のオリゴ糖含
有する加水分解液を得ることができる。
【0016】上記により製造されたオリゴ糖混合物は、
キシロースのみが結合したキシロオリゴ糖と、キシロー
スとアラビノースとが結合したアラビノ キシロオリゴ
糖との混合物(混合オリゴ糖)であり、通常、キシロオ
リゴ糖とアラビノキシロオリゴ糖とをほぼ同じ割合で含
有している。該混合オリゴ糖は、キシロースまたはキシ
ロースとアラビノースとが2〜6個結合しており、組成
式Xnm(式中、X:キシロース、A:アラビノース、
n:キシロースの結合数、m:アラビノースの結合数で
あり、通常、n=2〜4、m=0〜2)で表わされる混
合物であり、本発明のアラビノキシロオリゴ糖はX42
で示されるオリゴ糖の1種として得られる。
【0017】本発明のアラビノキシロオリゴ糖は、上記
により製造された種々のオリゴ糖や単糖を含有するエン
ドキシラナーゼによる加水分解液を直接そのまま処理し
て単離しても、または該加水分解液から一旦オリゴ糖や
単糖の混合物を分離回収し、それから単離してもよい。
【0018】エンドキシラナーゼによる加水分解液を直
接処理して本発明のアラビノキシロオリゴ糖を単離する
には、例えば次の(a)〜(g)の工程からなる方法が採用
できる。
【0019】アラビノキシロオリゴ糖の単離法 (a) 種々のオリゴ糖等を含有する加水分解液をイオ
ン交換樹脂(例えばオルガノ工業株式会社製のアンバー
ライトMB−3)に通して脱塩する; (b) 脱塩した液を濾過した後、遠心分離する; (c) 上澄液を孔径が0.45μmのミクロフィルターを
使用して濾過した後、エバポレーターにより濃縮して濃
縮液を形成させる; (d) 濃縮液をゲル濾過クロマトグラフィー(例えば、
カラム直径2.6cm、カラム長さ90cm;カラム充填剤
東ソー株式会社製 Toyopearl HW-40s)にかける; (e) 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけ
特定の条件下で分離を行う; (f) 目的とする画分の単一性が確認されるまで(d)〜
(e)の操作を繰り返す; (g) 単一性が確認された段階でその物質の構造決定を
行って、目的物が得られたことを確認する。
【0020】また、エンドキシラナーゼによる加水分解
液からのオリゴ糖混合物の分離回収は、例えば次の〜
の方法により行うことができる。
【0021】 オリゴ糖含有加水分解液をイオン交換
樹脂(例えばアンバーライトMB−3)に通して脱塩し
た後、遠心分離し、その上澄液を孔径0.45μmのミク
ロフィルターで濾過し、次いで活性炭カラムに通して活
性炭吸着区分と非吸着区分とに分け、そして活性炭吸着
区分を70%エタノールで溶離すると、少量の単糖類を
含むオリゴ糖混合物の溶離液が回収されるので、これを
乾燥して少量の単糖類を含むオリゴ糖混合物を得る方
法。
【0022】この方法の場合に、活性炭吸着区分を70
%エタノールで溶離するに先立って該活性炭吸着区分を
5%エタノールで処理して単糖類を予め溶離除去してお
くと、該70%エタノールによる溶離溶液からは単糖類
を含まない高純度のオリゴ糖が得られる。
【0023】 オリゴ糖含有加水分解液を遠心分離し
た後、上澄液を限外濾過膜で処理して得た流出液を乾燥
して、少量の単糖類が含まれるオリゴ糖混合物を回収す
る方法。
【0024】 オリゴ糖含有加水分解液をイオン交換
樹脂(例えばアンバーライトMB−3)に通して脱塩し
た後、遠心分離し、その上澄液をミクロフィルター(孔
径:0.45μm)に通す。濾液をエバポレーターで約5
mlに濃縮しゲル濾過クロマトグラフィー(例えばToyope
arl HW-40S)にかける。溶出液のうち、分子量約200
0以上の高分子画分を除いて、それ以降に現れるオリゴ
糖画分を分取し、凍結乾燥等によって固体のオリゴ糖を
回収する。また、ゲル濾過クロマトグラフィーからの溶
出液を細かく分取することによって、単一のオリゴ糖を
得ることもできる。
【0025】上記方法のうち特にの方法は、原料とし
て水不溶性ヘミセルロース、60%エタノール不溶ヘミ
セルロースおよび陰イオン交換体非吸着ヘミセルロース
を使用した場合に有効であり、純度の高いオリゴ糖を高
収率で得ることができる。
【0026】またの方法は、原料として小麦フスマ由
来のヘミセルロースをそのまま使用した場合に有効であ
り、活性炭処理によりエンドキシラナーゼで加水分解さ
れない高分子量の水溶性ヘミセルロース等が活性炭非吸
着区分として円滑に分離される。
【0027】そして、例えば上記〜の方法によって
分離回収されたオリゴ糖混合物から本発明のアラビノキ
シロオリゴ糖を単離するには、オリゴ糖混合物を水に溶
解して水溶液を形成し、この水溶液を使用して上記した
(c)〜(g)の工程を行えばよい。
【0028】本発明のアラビノキシロオリゴ糖は小麦フ
スマ由来のヘミセルロースから調製されたものであるた
め、その一方の構成単位であるアラビノースは小麦フス
マ由来ヘミセルロース中におけるのと同様にL−アラビ
ノースである。
【0029】本発明のアラビノキシロオリゴ糖は、白色
固体であり、吸湿性が高く、水に対する溶解度も高く、
しかも甘味をほとんど示さないという諸特性を有してお
り、そのような特性に基づいて機能性食品やその他の用
途に有効に利用できる。
【0030】以下に、本発明を例を挙げて具体的に説明
するが本発明はそれらによって限定されない。下記の例
中の%はすべて重量による。
【0031】参考例 1 精選小麦フスマ2kgを50℃の温水20lに分散させ5
分間撹拌する。その後遠心濾過機(田辺鉄工所製)で濾
過して固形分を回収し、得られた固形分3kgを70℃の
0.2N水酸化ナトリウム水溶液20lに入れて90分
間撹拌し溶解させる。放冷後、0.8N塩酸水溶液5l
を撹拌下に徐々に加えて中和する。中和溶液を5,00
0Gで10分間遠心分離し、次いで上澄液と沈澱物を回
収し水不溶性ヘミセルロース(全糖量32.1%、蛋白
質含有量10.0%、その他の成分57.9%)190g
を得た。
【0032】参考例 2 上記参考例1で得た上澄液20lに水20lを加えて希
釈し、その溶液温度を50℃に保ちながら、日東電工製
の管状限外濾過膜NTU 3520(P−18型、膜面積
0.76m2、内径11.5mm)の管内を通し圧力8kg・f/
cm2、流速13l/minの条件下で3時間処理する。この
時、膜透過溶液と同量の水を常に管内に補給し膜処理液
量を一定とする。3時間後に水の供給をとめ、前記と同
様の条件(圧力8kg・f/cm2、流速13l/min)で濃縮
を開始しフラックスの低下を考慮することなく濃縮を行
い、水溶液の糖濃度が約10mg/mlになるまで行う。処
理液をオルガノ社製陽イオン交換樹脂(IR−120
E)500ccに1時間当たりイオン交換樹脂容量の10
倍の流速で溶出し、次いで同社製の陰イオン交換樹脂
(IRA−93)に同流速で流す。イオン交換処理後得
られた水溶液を温度30℃、真空度0.1Torr以下の条
件下で真空凍結乾燥して、水溶性ヘミセルロース約15
0gを得た。
【0033】この水溶性ヘミセルロースの50gを水
0.7lに溶解した溶液にエタノールを加えて、該溶液
のエタノール濃度を60%に調整し、そのまま約20分
間撹拌後静置した。生成した沈澱物を60%エタノール
で洗浄し、凍結真空乾燥して60%エタノール不溶ヘミ
セルロース20gを得た。
【0034】参考例 3上記参考例2で調製した水溶性
ヘミセルロース50gを20ミリモル(mM)のト リス−塩酸緩衝液(pH8.5)5lに溶解し、この液を
陰イオン交換体(DEAE−Sepharose CL-6B:ファル
マシア社製)0.2lを充填したカラムに通して、非吸
着区分を含有する液を回収した。この液を乾燥して陰イ
オン交換体非吸着ヘミセルロース20gを得た。
【0035】実施例 1 上記の参考例1で調製した水不溶性ヘミセルロース0.
5gをリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)50mlに
加えて水不溶性ヘミセルロースの1%溶液を調製した。
【0036】次いで、この溶液を予め50℃に加温した
後、セルラーゼ“オノズカRS”(ヤクルト社製)を6
mg(キシラナーゼとして50units)添加し、同温度に保
って加水分解を4時間行なった。その後煮沸して酵素を
失活させ、溶液の2mlを採取して3000rpmで10分
間遠心分離した。上澄液1mlを管状の限外濾過ユニット
(モルカットII LCC型:膜面積1.3cm2、内径17m
m:日本ミリポア株式会社製)の管内を加圧状態(2kg
/cm2)で通して、得られる流出液を下記の条件下でH
PLC分析を行った。
【0037】HPLC 分析 注入量 : 20μl カラムの種類 : Shodex KS-802 + KS-801 溶離液 : 純水 流 速 : 0.7ml/min 温 度 : 80℃ 検出装置 : 示差屈折計 その結果、図1に示すようなクロマトグラムを得た。図
1のピーク1〜8の各フラクションを酸加水分解してか
ら再度HPLCに供して構成糖の組成を調べた。またフ
ェノール硫酸法により全糖量を調べ、且つソモギーネル
ソン法で還元糖量を調べて各ピークの重合度を調べた。
【0038】その結果を、下記の表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】次に、上記のピーク1の画分を分取して単
一性が確認されるまで上記のゲル濾過クロマトグラフィ
ー処理とHPLC分析を繰返したところ、ゲル濾過クロ
マトグラフィー処理とHPLC分析を2回繰り返した時
点で単一性が確認された。
【0041】ここで該単一性の確認は、化合物サンプル
10mgを1.0mlの純水に溶解して1%溶液を調製し、
これを下記の〜に示したHPLCおよびペーパーク
ロマトグラフィーにかけて行った。
【0042】 HPLC−1 注入液量 : 20μl カラムの種類 : Shodex KS-801(昭和電工株式会社
製) 溶出液 : 純水 流 速 : 0.7ml/min 温 度 : 80℃ 検出装置 : 示差屈折計 原 理 : ゲル濾過+配位子交換 この結果、リテンションタイム7.5分のところに単一
なピークを得た。
【0043】 HPLC−2 注入液量 : 20μl カラムの種類 : Senshu Pack-NH2(株式会社センシュー
科学製) 溶出液 : アセトニトリル:水=65:35 流 速 : 1.0ml/min 温 度 : 室温 検出装置 : 示差屈折計 原 理 : 分配 この結果、リテンションタイム12.6分のところに単
一なピークを得た。
【0044】 ペーパークロマトグラフィー ペーパー : 東洋濾紙 No.50 使用液量 : 1μl 分離液 : ブタノール:ピリジン:水=6:4:4 発色剤 : 硝酸銀 この結果、Rf値0.24付近に単一なスポットを得
た。
【0045】次いで上記において単一性が確認された化
合物を、下記に示した(1)重合度の測定、(2)強酸によ
る完全加水分解、(3)希酸による部分加水分解、(4)メ
チル化分析、および(5)13C−NMR分析法の5つの方
法を使用して構造決定した。
【0046】(1) 重合度の測定:化合物サンプル10m
gを1.0mlの純水に溶解して1%溶液を調製し、この溶
液の全糖量をフェノール硫酸法で求め、また還元糖量を
ソモギーネルソン法で求めたところ、各々9.6mg/ml
および1.6mg/mlであった。そしてこれらの値から該
化合物は6糖類であることがわかった。
【0047】(2) 強酸による完全加水分解:化合物サ
ンプル5mgを2規定のトリフルオロ酢酸1mlに溶解し、
100℃で2時間加水分解した。放冷却後、トリフルオ
ロ酢酸をエバポレーターで除去し、得られた乾燥物に純
水0.5mlを加えて溶解し、上記したHPLC−1の方
法によって分析した。その結果、化合物の構成糖はキシ
ロースとアラビノースのみであり、且つキシロースとア
ラビノースの面積比は約2:1であった。この結果を上
記(1)の結果と合わせると、化合物はキシロース4分子
およびアラビノース2分子からなるオリゴ糖であること
がわかる。
【0048】(3) 希酸による部分加水分解:化合物サ
ンプル5mgを0.1規定の硫酸1mlに溶解し、100℃
で2時間加水分解した後、炭酸バリウムで中和した。次
いで、遠心分離し、その上澄液を孔径0.45μmのミク
ロフィルターに通し、濾液を上記したHPLC−1の方
法で分析したところ、リテンションタイム8.5分のと
ころにキシロテトラオースのピークが現れることを確認
した。このことから、上記(1)および(2)により確認さ
れたキシロース4分子およびアラビノース2分子からな
る該オリゴ糖が、キシロテトラオースにアラビノース2
分子が結合したオリゴ糖であることがわかった。
【0049】(4) メチル化分析:化合物サンプル2mg
を箱守法でメチル化した後、エバポレーターで濃縮乾固
した。生成した乾燥物を88%ギ酸および1規定のトリ
フルオロ酢酸を使用して加水分解した。これをエバポレ
ーターで濃縮乾固した後、水素化ホウ素ナトリウムで還
元し、次いでアセチル化してガスクロマトグラフィー分
析した。その結果、2,3,4−トリメチルキシリトール
モノアセテート、2,3,5−トリメチルアラビニトール
モノアセテート、2,3−ジメチルキシリトールジアセ
テートおよびキシリトールテトラアセテートを得た。
【0050】更に、上記化合物サンプルを水素化ホウ素
ナトリウムで還元して還元サンプルを調製し、この還元
サンプル2mgを使用して、上記と同様にしてメチル化、
加水分解、還元およびガスクロマトグラフィー分析を行
った。その結果、1,2,3−トリメチルキシリトールモ
ノアセテート、2,3,4−トリメチルキシリトールモノ
アセテート、2,3,5−トリメチルアラビニトールモノ
アセテート、2,3−ジメチルキシリトールジアセテー
トおよびキシリトールテトラアセテートを得た。
【0051】以上のことから、還元末端および非還元末
端のキシロースのいずれにもアラビノースが結合してい
ないこと、キシロースの2位および3位にアラビノース
が結合していることがわかった。
【0052】(5) 13C−NMR分析:上記化合物中の
アラビノースが結合したキシロースの位置を決定するた
めに、キシロテトラオースと上記化合物の13C−NMR
スペクトルを測定し、両スペクトルを比較した。
【0053】すなわち、90mgのキシロテトラオースと
30mgの上記化合物の夫々を0.6mlの重水に溶かした
のち、内部標準として、ジオキサンを加えた。これを、
直径5mmの試料管に入れて、NMR分析計(JEOL G
SX−270W;日本電子株式会社製)を用いて、共鳴
周波数67.9MHz、磁場強度6.3T、温度27℃の条
件で分析を行った。
【0054】その結果、キシロテトラオースについて図
2の13C−NMRスペクトルを、上記化合物について図
3の13C−NMRスペクトルを得た。
【0055】この13C−NMRスペクトルについて、キ
シロテトラオースの還元末端から1番目のキシロースの
1位の炭素(−C1と表記する)、同2番目のキシロ
ースの1位の炭素(−C1と表記する)、同3番目の
キシロースの1位の炭素(−C1と表記する)、およ
び同4番目のキシロースの1位の炭素(−C1と表記
する)についてのNMRシグナルと、対応する上記化合
物のキシロースの夫々の1位の炭素についてNMRシグ
ナルとを比較すると表2のとおりである。
【0056】
【表2】
【0057】差の絶対値の大きい順番に並べると、>
>>>になるが、これは、アラビノースが還元末
端から3番目のキシロースに結合していることを示して
いる。
【0058】上記の(1)〜(5)の結果を総合すると、図
1におけるピーク1として単離された化合物は下記の構
造を有する新規なアラビノキシロオリゴ糖であることが
わかった。
【0059】
【化3】
【0060】また、該アラビノキシロオリゴ糖の収率
は、原料として用いた水不溶性ヘミセルロースの重量に
基づいて4%であった。
【0061】実施例2 水不溶性ヘミセルロースの代わりに上記の参考例2で調
製した60%エタノール不溶ヘミセルロースを使用した
以外は実施例1と同様にして処理、分析および構造決定
を行ったところ、実施例1で得たのと同じキシロテトラ
オース主鎖の還元末端から3番目のキシロースにアラビ
ノース分子が2個結合した上記アラビノキシロオリゴ糖
を得た。
【0062】このアラビノキシロオリゴ糖の収率は原料
として用いた60%エタノール不溶ヘミセルロースの重
量に基づいて約3%であった。
【0063】実施例3 水不溶性ヘミセルロースの代わりに上記の参考例3で調
製した陰イオン交換体非吸着ヘミセルロースを使用した
以外は実施例1と同様にして処理、分析および構造決定
を行ったところ、やはり実施例1で得たのと同じキシロ
テトラオース主鎖の還元末端から3番目のキシロースに
アラビノース分子が2個結合したアラビノキシロオリゴ
糖を得た。
【0064】このアラビノキシロオリゴ糖の収率は原料
として用いた陰イオン交換体非吸着ヘミセルロースの重
量に基づいて約3%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造されるオリゴ糖混合物のHLP
C分析により得られる各フラクションのクロマトグラム
を示す図である。
【図2】キシロテトラオースの13C−NMRスペクトル
を示す図である。
【図3】実施例1で製造されるオリゴ糖混合物フラクシ
ョンのうちピーク1の画分を精製して単一性が確認され
た化合物の13C−NMRスペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 椎葉 究 埼玉県川越市下新河岸78番地6 (72)発明者 原 博嘉 埼玉県富士見市東みずほ台2丁目10番地 29 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08B 37/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式; 【化1】 で表されるアラビノキシロオリゴ糖。
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