JP2811707B2 - 白血球除去用繊維及び白血球除去フィルター - Google Patents

白血球除去用繊維及び白血球除去フィルター

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、血液あるいは白血球を含む体液、リンパ液
やそれらの処理液から白血球を除去するためのフィルタ
ーに関し、なかでもヘマトクリット49以上の高ヘマトク
リットの血液や、濃厚赤血球などの高粘性血液に対して
も血球損傷の少い血液適合性に優れ、しかも高い白血球
の除去並びに高い赤血球の回収を安定して発揮し得る白
血球除去フィルターに関するものである。
(従来の技術) 輸血に関しては現在従来の全血輸血から患者の必要に
応じた成分のみの輸血へと移行している。すなわち、従
来の全血輸血や赤血球濃厚液輸血ではこれらを輸血され
た患者に白血球の組織適合性抗原の不適合や、輸血液中
の白血球の作用による発熱、頭痛、吐き気等の副作用を
起こす場合が多い。従って赤血球のみを必要とする一般
の輸血には、余分な成分はできるだけ含まない赤血球の
みを含有する血液の輸血を行う方が良いと教えられる様
になってきた。
全血から白血球を除去する方法としては、遠心法、デ
キストラン硫酸法、フィルター法や洗浄法などがある
が、操作の簡便さや低コストさらには、効率の面からフ
ィルター法を主体に検討が進められている。フィルター
法は、繊維素材や充填方法の検討、とくに繊維径や充填
率で白血球除去性能、分離効率を上げる努力がなされて
おり、その様な例としては例えば特公昭58−54125号公
報に開示された合成繊維、半合成繊維についての検討が
ある。
しかしながら、フィルター法においては全血から約3
×8μm径の赤血球と約10μmの大きさを持つ白血球の
分離を行うものであり、ほぼ同程度の大きさを持つ血球
のうち赤血球は完全に通過させ、白血球を完全に阻止す
る非常にシャープな分離を行なわなければならないた
め、血球分離の条件においてはしばしば赤血球が破れ溶
血が発生する問題をかかえている。白血球の除去能力を
高めるため、直径が3μm以下の極細繊維を用いる技術
が特開昭61−276564号公報に開示されているがこのよう
な極細繊維では処理の対象である血液中のヘマトクリッ
トが高い場合において血液の粘度が高くなり、フィルタ
ーの処理能力が低下するとともにしばしばフィルター繊
維間にめづまりが発生し、ひいては溶血にまで発生する
問題がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、この様な問題点を解決した高ヘマトクリッ
ト値の血液に対しても血液損傷の少い血液適合性に優
れ、しかも高い白血球の除去、並びに高い赤血球の回収
を安定して発揮し得る白血球除去フィルターの提供を目
的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、白血球を除去する繊維間の間隙を特定範囲
かつ均一に揃えることにより血液処理時のめづまりを抑
え、血液粘度の高い高ヘマトクリットの血液においても
安全に処理し得る白血球除去フィルターであって、 (1) 繊維直径が0.3〜10μmである極細繊維の糸径
分布における分布の中心値(分布の最頻度を示す糸の直
径)の90%よりも細い細糸径領域の占める割合が25%以
下である白血球除去用繊維及び (2) フィルターを構成する繊維直径が0.3〜10μm
である極細繊維の糸径分布における分布の中心値(分布
の最頻度を示す糸径)の90%よりも細い細糸径領域が占
める割合が25%以下であり、フィルターを構成する繊維
で形成される下式で示される平均動水半径〔DHT〕が6
μm〔DHL〕が2.5μm以上である耐溶血性に優れる白血
球除去フィルターである。
本発明のフィルターを構成する極細繊維素材は血液を
変質させない合成繊維素材であることが必要で例えばポ
リエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等であるが、
ポリエステルが特に好ましい。
前記極細繊維の繊維直径は0.3〜10μmが好ましく、
かつ糸径分布により特定される。第1図及び第2図で示
されるように、本発明に用いられる極細繊維の糸径分布
は、分布の中心値、(分布の最頻度を示す糸径)の90%
(第1図では1.6×0.9=1.44μm;第2図では1.5×0.9=
1.35μm)よりも細い糸径の糸が占める割合が25%以下
である。白血球除去フィルターに用いられる極細繊維は
メルトブロー紡糸や、フラッシュ紡糸あるいは易割型、
海島型複合繊維があるが、糸径を均一に揃えることは難
しく、通常は正規分布を示し、本発明でいう糸径分布の
中心値の90%よりも細い糸が占める割合は多い。
白血球除去において、血液は繊維間の間隙を流れ、そ
の間に白血球が繊維に接触し吸着除去される。白血球除
去効率は繊維間隙が小さいほど、即ち細い繊維を高嵩密
度に充填するほど高くなるが、一方では前記のように、
めづまりが発生し血液処理速度の低下のみならず溶血を
来たす。溶血を惹起せず、白血球除去効率にも優れるフ
ィルターとするには繊維間隙を適正にすることである。
その繊維間隙は、繊維がからみ合ったものでは糸径と嵩
密度(充填密度)によって決定される。糸径の細い繊維
と太い繊維が共存する場合細い繊維部分は太い繊維部分
に比べ繊維間隙が狭くなり目詰りの原因となる。
糸径分布の中心値の90%よりも細い糸の占める割合が
25%以下であれば繊維間隙が極端に狭い部分が少なく、
繊維間隙は均一となり、溶血が抑制され高ヘマトクリッ
トの血液でも十分に処理しうる。
本発明では更に前記式〔1〕〔2〕で示される平均動
水半径〔DHT〕が6μm以下、〔DHL〕が2μm以下であ
り、平均動水半径〔DHL〕が2μm以下になると溶血が
生じやすくなり、〔DHT〕6μm以上になると白血球除
去効率が低下する。
本発明で特定する繊維はメルトブロー紡糸時のポリマ
ー溶融粘度の適正化すなわち使用するポリマーの重合度
を高め、紡糸温度を低めにすることにより溶融粘度をあ
げること及び紡糸時の空気量をコントロールすることに
よりつくることができる。
(実施例) 本発明における実施例および比較例ではいずれもメル
トブロー法により得られた極細繊維の不織布を用い、抗
凝固剤としてACD(アシッドサイトレートデストロー
ス)液を用いた新鮮牛血液を用い、牛血液の初期処理速
度(濾過速度)を40ml/minを目標に500mlの血液処理を
行った。
尚、白血球除去能としては採取血液を500倍に希釈
し、常法の溶血処理液コールターカウンターにより白血
球数を計数し、[1−(出口白血球数/入口白血球
数)]×100%として除去率を算出した。
また処理血液の溶血の有無は常法0−トリジン比色定
量法により行った。また糸径分布は得られた極細繊維を
走査電子顕微鏡により写真撮影を行い、1種類のサンプ
ルにおいて300点の計測を行うことにより測定を行っ
た。
また、ポリエチレンテレフタレート繊維の比重として
は1.38g/cm3を用いて(平均)動水半径を算出した。
実施例1 極限粘度0.55のポリエチレンテレフタレートを用いて
メルトブロー法により紡糸温度285℃で紡糸した。得ら
れた極細繊維の平均糸径(γT)は1.70μmで、第1図
に示すような糸径分布で細糸領域の占める割合は18%で
あった。
この繊維を用いて第1表に示すような平均動水半径に
なるように充填したフィルターを用いて牛血による白血
球除去性能を評価した。結果を第2表に示す。表から明
らかなように高ヘマトクリット血液においても溶血を惹
起することなく優れた、白血球除去性能を示した。
実施例2 極限粘度の0.58のポリエチレンテレフタレートを用い
てメルトブロー法により紡糸温度285℃で紡糸した。得
られた極細繊維の平均直径は3.76μmで、第3図に示す
ような糸径分布で細糸領域の占める割合は15%であっ
た。
この繊維を用いて第1表に示すような平均動水半径に
なるように充填したフィルターを用いて牛血による白血
球除去性能を評価した。結果を第2表に示す。表から明
らかなように高ヘマトクリット血液においても溶血を惹
起することなく、優れた白血球除去性能を示した。
比較例1 実施例1で用いたと同じ極細繊維10gを採取し充填率
を0.19g/cm3として充填し、実施例と同様の評価を行っ
たところ第2表に示すようにヘマトクリット値40〜60の
血液において溶血及び処理速度の著しい低下を示す問題
点を示した。尚、この場合の細糸径領域部のみかけの平
均動水半径は第1表に示すように1.94μmと小さく2.5
μm以下であった。
比較例2 実施例1で用いたと同じ極細繊維10gを採取し充填率
0.09g/cm3として充填し実施例と同様の評価を行ったと
ころ第2表に示すように白血球除去性能において初期は
良好であるが、経時的に低下を示す問題点を示した。
尚、この場合の平均動水半径〔DHT〕は第1表に示すよ
うに6.04μmと大きく、6μm以上であった。
比較例3 極限粘度0.5のポリエチレンテレフタレートを用いて
メルトブロー法により紡糸温度300℃で紡糸した。
得られた繊維は第2図に示す糸径分布を示し、細糸領
域の割合の多い極細繊維であった。また極細繊維の平均
糸径Tは1.73μmと実施例1とほとんど同じであった
が、糸径の最頻値の90%の値よりも細い細糸径領域部の
占める割合は34%と多く、その細糸径領域部の平均糸径
Lは1.17μmであった。
この極細繊維を10g採取し実施例1と同じく嵩密度0.1
1g/cm3に充填し、同様に牛血液評価を行ったところ、ヘ
マトクリット40では良かったがヘマトクリット49や60の
血液を処理した際、処理速度が経時的に低下するととも
に赤血球が破れ、溶血が発生する問題があった。
比較例4 実施例2で用いたと同じ極細繊維10gを採取し、充填
率を0.33g/cm3として充填し実施例と同様の評価を行っ
たところ第2表に示すようにヘマトクリット49以上の血
液において溶血を示すとともに、全体に処理速度の著し
い低下を示す問題点を示した。尚この場合の細糸径領域
部のみかけの平均動水半径〔DHL〕は2.3μmと小さく2.
5μm以下であった。
比較例5 実施例2で用いたと同じ極細繊維10gを採取し、充填
率を0.18g/cm3として充填し、実施例と同様の評価を行
ったところ第2表に示すように白血球除去性能として初
期は良好であるが経時的に低下する問題点を示した。
尚この場合のみかけの平均動水半径は、第1表に示す
ように6.27μmと大きく6μm以上であった。
(発明の効果) 本発明によるとき、白血球除去効果の低下なくして、
通常の血液処理においても、高ヘマトクリット値の血液
処理においても溶血現象を惹起しない優れた性能の白血
球除去フィルターを提供する。
【図面の簡単な説明】 第1図は、実施例1によって得られた極細繊維の糸径分
布図であり、第2図は比較例3によって得られた極細繊
維の糸径分布図、第3図は実施例2によって得られた糸
径分布図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維直径が0.3〜10μmである極細繊維の
    糸径分布における分布の中心値(分布の最頻度を示す糸
    の直径)の90%よりも細い細糸径領域の占める割合が25
    %以下である白血球除去用繊維。
  2. 【請求項2】フィルターを構成する繊維直径が0.3〜10
    μmである極細繊維の糸径分布における分布の中心値
    (分布の最頻度を示す糸の直径)の90%よりも細い細糸
    領域の占める割合が25%以下であり、フィルターを構成
    する繊維で形成される下式による平均動水半径〔DHT〕
    が6μm以下、〔DHL〕が2.5μm以上である耐溶血性に
    優れる白血球除去フィルター。
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