JP2844005B2 - 鋼管コンクリート構造部材における無耐火被覆の耐火構造 - Google Patents

鋼管コンクリート構造部材における無耐火被覆の耐火構造

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は鋼管コンクリート構造の柱梁等の如き構造部
材における耐火構造に係るものである。
(従来の技術) 鋼管構造の場合、鋼管柱内に水を充填して耐火被覆を
行なわない、水冷鋼管式工法がこれまでに数例報告され
ている。
この水冷鋼管式工法は第16図に示すように、層の上部
に貯水タンク(a)を設置し、各鋼管柱(b)の上部と
同タンク(a)とを上部配管(c)で連結し、各鋼管柱
(b)の下部を下部配管(d)で連結し、柱が炎にさら
されてその部分の水温が上昇しても、対流により炎にさ
らされる部分に冷却水がくるようにして、柱温度が過度
に上昇しないようにしたもので、水が蒸発して減少する
ような場合には、上部の貯水タンクより水を補給しうる
ように構成されている。
従って前記工法を採用する場合にはこのような設備投
資を必要とするが、そのためのコストは耐火被覆を施す
場合よりも一般に低廉であるので、前記水冷鋼管式工法
は利用価値が大であると考えられるが、実施例としては
アメリカのUSスチールビルや、西独デユツセルドルフの
鉄鋼連盟ビル等、外国に数例あるのみで、我国における
実施例は見当らない。
(発明が解決しようとする課題) この理由としては次のようなことが挙げられる。
(i) 下層の柱には大きな水圧が作用するので、下層
の柱は水圧に耐えるように柱の板厚を厚くする必要があ
り、このためコストが増大する。
前記USスチールビルの例をみても、水圧限界により柱
を16層毎に区切り、各層の上部に貯水タンクを設置し
て、各柱の上部と下部と連結している。
(ii) 我国では耐震設計を行なう必要がある。この場
合、地震力はその階の重量にある係数を乗じたものとし
て評価するのが一般的であり、鋼管柱の内部に水を充填
する水冷鋼管式工法を採用する場合には、この水の重量
も地震力を換算する際には取り入れる必要があり、これ
がコストアツプにつながる要因となる。
従って、前記水冷鋼管式工法の場合には、柱の中に水
を入れないで耐火被覆を行う場合よりも柱部材の耐力、
剛性を増大させる必要があり、それがコストアツプにつ
ながり、結果として経済的ではなくなる。
一方、近年、柱部材の耐力、剛性を確保するために、
鋼管の中にコンクリートを充填した鋼管コンクリート部
材が多用されるようになってきている。鋼管コンクリー
ト部材の場合、コンクリートの熱容量が大きいため、一
般の鋼部材の場合より耐火被覆の厚さを減少しても、鋼
管の表面温度は上昇しないことが明らかになっている
が、耐火被覆をなくすまでには一般に認められてはいな
い。
本発明はこのような実情に鑑みて提案されたもので、
その目的とする処は、火災に遭っても鋼管の温度がある
一定温度以上に上昇することなく、強度剛性を低下させ
ない経済性に優れた鋼管コンクリート構造部材における
無耐火被覆の耐火構造を提供する点にある。
(課題を解決するための手段) 前記の目的を達成するため、本発明に係る鋼管コンク
リート構造部材における無耐火被覆の耐火構造は、鋼管
コンクリート構造部材における鋼管内の充填コンクリー
ト部に空隙部を設けるとともに、同空隙部に吸熱材を充
填して構成されている。
請求項2の発明は、前記鋼管内の充填コンクリート充
填部に設けられる吸熱材の充填される空隙部を、同鋼管
に近接して設けた鉄管より構成するとともに、同鉄管と
前記鋼管との間に熱伝導率の高い金属材料を介装したも
のである。
請求項3の発明は前記空隙部に充填される吸熱材とし
て水を用い、前記空隙部と貯水槽及び同空隙部の上部と
下部とを配管で連結した対流水路を設けたものである。
請求項4の発明は、前記請求項3の発明において空隙
部を鋼管の内面近くと中央部分に設けて、下層部におい
て連結した対流水路を設けたものである。
(作用) 本発明においては、鋼管コンクリート構造部材に耐火
被覆材が存在しないため、火災時、火炎を直接受ける鋼
管表面の温度が上昇するが、同鋼管内の充填コンクリー
ト部に設けられた空隙部に充填された吸熱材が熱を吸収
するために、鋼管表面の温度上昇が遅延する。
請求項2の発明は前記鋼管内の充填コンクリート部に
おける空隙部が鉄管より構成され、吸熱材が充填される
同鉄管と鋼管との間に熱伝導率の高い金属材料が介装さ
れたことによって、鋼管と吸熱材による冷却部との接触
面積を大きくして、鋼管の温度降下を促進するものであ
る。
前記項3の発明は、前記空隙部に充填された吸熱材と
して水を使用し、同空隙部と貯水槽及び同空隙部の上部
と下部とを配管で連結した対流水路を設けたことによっ
て、鋼管内部の充填コンクリート中に水道(みずみち)
を設け、鋼管が火炎にさらされた場合、同水道を利用し
て自然に水を対流させ火炎にさらされている部分に冷却
水がくるようにして、鋼管コンクリート構造部材の温度
が過度に高くならないようにするものである。また前記
貯水槽の貯水のスロツシング作用による制振効果が発揮
される。
請求項4の発明は請求項3の発明において、空隙部を
鋼管の内面近くと部材中央部分に設けて下層部において
連結した対流水路を設けたことによって、鋼管コンクリ
ート構造部材の温度の過度の温度上昇より効果的に抑止
するようにしたものである。
(実施例) 以下本発明を図示の実施例について説明する。
第14図及び第15図は従来一般に行なわれている耐火被
覆を施した鋼管コンクリート柱の断面を示し、第14図は
鋼管(p)に円形鋼管を使用した場合を示し、第15図は
鋼管(p)に角形鋼管を使用した場合を示す。図中
(q)は鋼管内の充填コンクリート、(r)は耐火被覆
である。
第1図乃至第4図は耐火被覆を省略した鋼管コンクリ
ート柱部材の断面を示し、第1図及び第2図は夫々円形
鋼管(1)並に角形鋼管(1)内の充填コンクリート
(2)における前記鋼管(1)の内面に接する位置に、
吸熱材としての冷却水を通すための円形断面の空隙部
(3)を設けた場合を示し、第3図及び第4図は夫々円
形鋼管(1)並に角形鋼管(1)内の充填コンクリート
(2)の断面中央部分に前記空隙部(3)を設けた場合
を示す。
前記実施例においては耐火被覆材が存在しないため、
火災時、火炎を直接受けた鋼管(1)の表面の温度は上
昇するが、鋼管(1)内の充填コンクリート部(2)の
空隙部(3)に存在する水が熱を吸収するため、鋼管
(1)の表面の温度上昇は遅延する。
なお吸熱材として水の他にシリカゲル、エトリンガイ
ト等が使用される。
この場合、鋼管(1)に対する空隙部(3)の水の接
触面積が大きいものほど、また空隙面積が大きく空隙部
(3)の水量が多いものほど鋼管コンクリート部材の温
度上昇防止には有効であるが、部材耐力は逆に低下する
という問題がある。即ち、空隙水の接触面積が大きいと
いうことは、鋼管とコンクリートの接触面積が少ないと
いうことである。このため、鋼管と充填コンクリートと
の一体性が低下し、その結果、部材耐力が低下する。ま
た、空隙面積が大きいということは、その分コンクリー
トの断面積が減少していることになるからである。
第5図及び第6図は、床板の形枠として多用されてい
るデツキプレートまたはキーストンプレートなどによる
波形の断面材(4)を用いて角型及び円形鋼管(1)と
の間に空隙部(3)を設け、部材耐力を低下させずに空
隙水の接触面積を大きくした場合の例である。この場
合、空隙部材は波形の断面材(4)で補強されているた
め部材耐力の低下は生じない。
空隙部(3)の水は通常上部に設置された貯水槽より
供給されるので、空隙水の水圧は一般にかなり高くな
る。前記USスチールビルの例では鋼管に水圧が全面的に
かかるため、この水圧限界により柱を16階ごとに区切っ
ている。
第1図及び第2図に示す実施例の場合、水圧の作用す
る部分は部分的であるので、水圧による鋼管の応力は非
常に小さい。また、第3図及び第4図に示すように鋼管
(1)の中心部分に空隙(3)を設ける場合には、充填
コンクリート(2)も水圧を負担することができるの
で、空隙水が鋼管の内面に接している場合よりも、鋼管
にかかる水圧は更に低減するという利点を有している。
しかし、水圧が更に高くなると、別の防止策を考慮す
る必要がでてくる。第7図及び第8図は、この水圧を防
止するために、空隙に鉄管(5)を使った実施例を示し
たもので、第7図では冷却水が通る鉄管(5)と鋼管
(1)との間に鉄や銅とかの熱伝導率の高い金属材料
(6)を設けて鋼管との接触面積を大きくした場合を示
す。
空隙水が沸騰し蒸発してしまうと、鋼管内面も温度上
昇する。このため、空隙水が沸騰し蒸発して鋼管表面が
規定値以上に上昇するような場合には、前掲のUSスチー
ルビルでの実施例に示したように、層の上部に貯水槽を
設置して各柱の上部と下部を連結し、柱が炎にさらされ
てその部分の水温が上昇しても、対流により炎にさらさ
れる部分は常に冷却水がくるようにして柱温度が規定値
以上にならないようにする必要がある。
第1図乃至第4図に示すような断面の場合には、空隙
水が早期に沸騰して蒸発してしまう可能性があるので、
層の上部に貯水槽(a)を設置し、各柱の上部と下部を
上下配管(c)(d)で連結して自然対流を生起せしめ
る対流水路を構築する必要があるが、(第16図参照)第
9図及び第10図に示すように鋼管(1)の内面に近い位
置と部材中央部分に空隙(3)(3′)を設ける場合に
は、層上部の貯水槽と柱の上部を連結して、柱上部に水
を満たしておけば充分である。
即ち、火災の際、柱部材は表面から熱せられるので、
空隙部(3)の水は空隙(3′)部分の水よりも早期に
水温が上昇する。しかし、同じ柱断面内の最下層部分で
空隙(3)と空隙部(3′)を連結させておけば空隙部
内の水は(3′)から(3)へ自然対流し、柱表面に近
い空隙(3)部分には冷却された水がくるからである。
したがって、第9図及び第10図の場合にはUSスチール
ビルで実施したような柱下部の配管が省略でき経済的で
ある。
第11図はこの場合のシステムを模式的に示したもの
で、(7)が上層部分に設置された貯水槽、(8)が梁
部材、(9)が空隙部(3)と空隙部(3′)とを連結
させるための柱の上下層部分に設けられる空隙で、(1
0)が蒸発水を逃がすための通気孔である。
この場合は、層の上部に貯水槽を設置して各柱を連結
し、水の自然対流を利用して柱に加わる熱を吸収するこ
とを対象としているが、鋼管コンクリート柱の場合、鋼
管内部に充填したコンクリート自体の熱容量が高いた
め、1時間程度の火災に耐えれば良いような簡易耐火の
場合には、空隙部分に吸熱性の高い材料、例えばエトリ
ンガイトなどを充填しておけば、貯水槽を設けて水を補
充しなくても柱温度を規定値以下に保つことができ、実
施例はこのような場合も含むものである。
また、前記実施例は柱部材を主対象としているが、同
様な方法により、梁部材に適用することもできる。第12
図及び第13図は本発明を梁部材に適用した場合の断面を
示したもので、第12図が梁部材に角形鋼管(1′)を用
いた場合、第13図は溝形の特殊形の鋼管(1″)を用い
た場合の例である。なお、図中(3)は空隙部、(2)
はコンクリート、(11)は床板である。
(発明の効果) 本発明によれば、鋼管コンクリート構造部材における
鋼管内の充填コンクリート部に空隙部を設け、同空隙部
に吸熱材を充填したことによって、前記鋼管コンクリー
ト構造部材の耐火被覆を省略することができ、経済的で
ある。
また吸熱材として水を使用した場合、同水は前記空隙
部に充填されるため、水圧は部分的にしか作用せず、水
圧によって鋼管に作用する応力は、前記従来の水冷鋼管
式工法の場合に比して大幅に低減し、特に鋼管の中心部
に空隙部を設けた場合は、充填コンクリートも水圧を負
担することができるので、鋼管に作用する水圧は無視し
うる程度の大きさとなる。
また仮に前記USスチールビルのように水圧限界によっ
て柱を区切る場合でも、区切り間隔はUSスチールビルの
場合よりも長くすることができる。
更に本発明によれば充填コンクリートも鉛直力や水平
力を負担し、鋼管の肉厚を薄くすることができる。また
仮に火災によって鋼管の温度が上昇し、鋼管の耐力が低
下するような場合でも、充填コンクリートによって鉛直
荷重を支持することができる。
更にまた前記空隙部は非常に小さくてよく、部材耐力
を低下させる惧れは殆んどなく、また空隙部が小さいた
め、使用水量が従来の水冷鋼管式工法に比して遥かに少
なくて済む。
また前記従来の水冷鋼管式工法では、鋼管の腐蝕防止
のため、水に防蝕剤を添加する必要があるが、本発明の
場合、鋼管に充填されているコンクリートがアルカリ性
で、鋼管を発銹せしめることがないので、水に防蝕剤を
添加する必要はない。
請求項2の発明は、前記鋼管内の充填コンクリート部
に設けた空隙部を同鋼管に近接して設けた鉄管より構成
し、同鉄管と前記鋼管との間に伝導率の高い金属材料を
介装したので、鋼管に水圧がかからないようにすること
ができ、鋼管の肉厚を薄くすることができる。
請求項3の発明は前記空隙部に設けられる吸熱材とし
て水を用い、前記空隙部と貯水槽及び同空隙部の上部と
下部とを配管で連結した対流水路を設けて、火災時に自
然に水を対流させ、火炎にさらされている部分に冷却水
がくるようにして、鋼管コンクリート構造部材の温度が
過度に上昇しないようにしたものである。また前記貯水
槽内の水のスロツシング現象によって建造物の制振効果
を発揮しうるものである。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、空隙部
を鋼管の内面近くと部材中央部分に設けて、下層部にお
いて連結した対流水路を設け、鋼管コンクリート構造部
材の温度の過度の上昇を、更に効果的に抑制しうるよう
にしたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第10図は夫々鋼管コンクリート構造部材にお
ける無耐火被覆の耐火構造を柱部材に適用した場合の各
実施例を示す横断平面図、第11図は本発明の他の実施例
の模式図、第11A図及び第11B図は夫々第11図の矢視A−
A図並に矢視B−B図、第12図及び第13図は夫々本発明
を梁部材に適用した各実施例を示す縦断面図、第14図及
び第15図は夫々従来の鋼管コンクリート構造部材の横断
平面図、第16図は従来の水冷式鋼管工法による鋼管コン
クリート柱の耐火構造を示す斜視図である。 (1)……鋼管、(2)……充填コンクリート、 (3)……空隙部、(5)……鉄管、 (6)……熱伝導率の高い金属材料、 (7)……貯水槽、(9)……空隙、 (10)……通気孔。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼管コンクリート構造部材における鋼管内
    の充填コンクリート部に空隙を設けるとともに、同空隙
    部に吸熱材を充填してなる鋼管コンクリート構造部材に
    おける無耐火被覆の耐火構造。
  2. 【請求項2】前記鋼管内の充填コンクリート部における
    空隙部を、同鋼管に近接して設けた鉄管より構成すると
    ともに、同鉄管と前記鋼管との間に熱伝導率の高い金属
    材料を介装してなる請求項1記載の鋼管コンクリート構
    造部材における無耐火被覆の耐火構造。
  3. 【請求項3】前記空隙部に充填される吸熱材として水を
    用い、前記空隙部と貯水槽及び同空隙部の上部と下部と
    を配管で連結した対流水路を設けてなる請求項1または
    2記載の鋼管コンクリート構造における無耐火被覆の耐
    火構造。
  4. 【請求項4】前記空隙部に充填される吸熱材として水を
    用い、前記空隙部を鋼管の内面近くと部材中央部分に設
    けて下層部において連結した対流水路を設けてなる請求
    項3記載の鋼管コンクリート構造における無耐火被覆の
    耐火構造。
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