JP2885663B2 - トルクリミッタ - Google Patents

トルクリミッタ

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JP2885663B2 JP7706795A JP7706795A JP2885663B2 JP 2885663 B2 JP2885663 B2 JP 2885663B2 JP 7706795 A JP7706795 A JP 7706795A JP 7706795 A JP7706795 A JP 7706795A JP 2885663 B2 JP2885663 B2 JP 2885663B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、永久磁石と半硬質磁
性体との間に生じるヒステリシストルクによってトルク
を伝達するトルクリミッタに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒステリシストルクを利用したトルクリ
ミッタは、複写機、プリンター等の給紙装置などに用い
られている。
【0003】例えば、図7及び図8は給紙装置の重送防
止機構を示すものであり、図において摩擦ローラ(3
2)は給送ローラ(33)に所定圧で押しつけられてい
る。この摩擦ローラ(32)には、トルクリミッタ(3
4)を介して用紙(35)を戻す方向に常に一定のトル
ク(T)が与えられている。そして、給送ローラ(3
3)と摩擦ローラ(32)との間に2枚以上の用紙(3
5)が案内されたときには2枚目以降の用紙(35)は
1枚目と分離されて用紙の進行方向とは逆の方向に戻さ
れる(図7)。しかし、給送ローラ(33)と摩擦ロー
ラ(32)とが直接接しているか、1枚の用紙を挟んで
接しているときには、摩擦ローラ(32)は給送ローラ
(33)と一緒に用紙を送り出す方向にツレ回りする
(図8)。従って、用紙(35)を一枚ずつ確実に送り
出すためには、トルクリミッタ(34)によって摩擦ロ
ーラ(32)に与えられている逆方向の回転トルク
(T)は、用紙(35)どうしの摩擦力よりは大きい
が、給送ローラ(33)の回転トルクよりは小さくなけ
ればならない。そしてなおかつ、トルクリミッタ(3
4)は、常に一定の安定したトルク(T)を維持し続け
なければならない。
【0004】従来、給紙装置用のヒステリシストルクを
利用したトルクリミッタとしては、図9に示すようなも
のが用いられていた。すなわち、合成樹脂製の、同軸上
で相対的に摺動回転可能な2つの回転体(36)、(3
7)からなり、一方の回転体(36)には円筒状の永久
磁石(38)が固着され、他方の回転体(37)には永
久磁石(38)と間隙をもって対向する円筒状の半硬質
磁性体(39)が固着され、永久磁石(38)と半硬質
磁性体(39)との間に生じるヒステリシストルクによ
り両回転体間でトルクを伝達する構造のトルクリミッタ
(34)である。このタイプのトルクリミッタ(34)
は、2つの回転体(36)および(37)が、摺動部
(40)、(41)においてのみ接触し、トルクを発生
させる永久磁石(38)と半硬質磁性体(39)とは非
接触である。このため、永久磁石(38)および半硬質
磁性体(39)に摩耗がなく、長期に渡って安定したト
ルクの伝達が可能であるとされている。
【0005】上記従来のトルクリミッタ(34)では、
円筒状の永久磁石(38)を固着した方の回転体(3
6)として、ポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂等の
合成樹脂製の回転体(36)を用い、その外周に円筒状
の永久磁石(38)を接着していた。これは、これらの
合成樹脂が、摺動部(40)、(41)の摺動性に優れ
ているためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、高トルク、
高速回転といった厳しい条件で使用した場合、従来のト
ルクリミッタ(34)では、回転体(36)と永久磁石
(38)との接着力が維持できず、トルクリミッタ(3
4)の使用中に永久磁石(38)が回転体(36)から
抜け落ちたり、永久磁石(38)と回転体(36)との
接着面でスリップを生じたりして、トルクリミッタとし
ての機能を果たさなくなってしまうとう問題があった。
【0007】また、従来のトルクリミッタ(34)で
は、使用中に、永久磁石(38)が渦電流で発熱する
と、その熱で永久磁石(38)を固着した回転体(3
6)が膨張してしまい、表面に接着した永久磁石(3
8)が割れてしまうという問題があった。これに対し、
回転体(36)と永久磁石(38)との接着クリアラン
スを大きくとって、回転体(36)の膨張を吸収するこ
とも考えられるが、接着クリアランスを大きくとると、
永久磁石(38)の表面の振れが大きくなり、トルク値
が不安定になるといった問題を生じることになる。
【0008】これらの問題に対し、特開平6−2213
41号公報には、回転体を、寸法安定性および永久磁石
との接着性に優れた金属材料で形成することが提案され
ている。このように回転体を金属材料で形成することに
よって、永久磁石と回転体との接着不良や、永久磁石の
割れの問題に対しては、一定の効果を得ることができ
た。ところが、トルクリミッタ(34)を実際に給紙装
置に使用した状態における、両回転体(36)および
(37)の相対運動を考えたとき、両回転体(36)お
よび(37)は、相対的に休止状態(図7の状態)と回
転状態(図8の状態)とを頻繁に繰り返していることが
わかる。そして、このように休止と回転とを頻繁に繰り
返すような使用条件では、回転体を金属材料で形成した
トルクリミッタではトルク値が不安定になるということ
が判った。
【0009】この発明の目的は、上記問題を解決し、温
度の変化や、高トルク、高速回転、さらには休止と回転
との頻繁な繰り返しといった厳しい条件下での使用にお
いても、永久磁石と回転体との接着不良や永久磁石の割
れを生じず、しかも摺動部の摺動性に優れていて安定し
たトルクを伝達することのできるトルクリミッタを提供
することにある。
【0010】
【発明の構成】本発明者は、前記特開平6−22134
1号公報に記載のトルクリミッタが、休止と回転とを頻
繁に繰り返すような使用条件でトルク値が不安定になる
のは、摺動部の静止摩擦が大きいことに起因すると考
え、永久磁石固着部および摺動部の適切な素材について
研究を重ねた結果、この発明を成し遂げた。この発明
は、上記課題を解決するために以下に述べる内容で構成
される。
【0011】 まず、この発明が対象とするのは、中心
孔にシャフトが挿入される第1回転体と、前記第1回転
体と同軸上で相対的に摺動回転可能な第2回転体と、前
記第1回転体および前記第2回転体のうちの、一方に固
着した円筒状の永久磁石と、他方に固着した円筒状の半
硬質磁性体とからなり、前記永久磁石の外周面または内
周面と前記半硬質磁性体の内周面または外周面とが間隙
をもって対向し、永久磁石と半硬質磁性体との間に生じ
るヒステリシストルクによって前記第1回転体と前記第
2回転体との間でトルクを伝達するタイプのトルクリミ
ッタである。
【0012】ここで、両回転体は、同軸上で相対的に摺
動回転可能に設置できるものであれば、その形状、サイ
ズ及び位置関係は特に限定されない。一方、永久磁石及
び半硬質磁性体は、それぞれ径の異なる円筒体であるこ
とが必須である。この永久磁石と半硬質磁性体とは、一
方を内側、他方を外側として、周面を対向させ、同軸上
に非接触に設置される。このようなタイプのトルクリミ
ッタの好ましい態様として、次の(A)および(B)を
挙げることができる。
【0013】 (A)第1回転体の外周面に永久磁石が
固着し、第2回転体の内周面に半硬質磁性体が固着し、
永久磁石の外周面と半硬質磁性体の内周面とが対向して
いる態様。
【0014】 (B)第1回転体の外周面に半硬質磁性
体が固着し、第2回転体の内周面に永久磁石が固着し、
半硬質磁性体の外周面と永久磁石の内周面とが対向して
いる態様。
【0015】(A)の場合は、内側の永久磁石と外側の
半硬質磁性体との相対回転によってヒステリシストルク
を発生させる。(B)の場合は逆に、内側の半硬質磁性
体と外側の永久磁石との相対回転によってヒステリシス
トルクを発生させる。
【0016】なお、上記(A)、(B)以外でも、例え
ば、各回転体が円盤状であって、その面上に、円筒状永
久磁石または円筒状半硬質磁性体を端部から固着するよ
うな態様であってもよい。
【0017】さて、この発明は、上記のようなトルクリ
ミッタにおいて、永久磁石を固着した方の回転体は、少
なくとも永久磁石固着部が金属材料からなり、かつ少な
くとも摺動部が合成樹脂材料からなり、半硬質磁性体を
固着した方の回転体は、少なくとも摺動部が合成樹脂材
料からなることを特徴とする。
【0018】このように、この発明によるトルクリミッ
タでは、永久磁石を固着する方の回転体の、永久磁石固
着部を金属材料で形成する。金属材料は、合成樹脂材料
に比べて永久磁石との接着性および寸法安定性に優れて
いるため、永久磁石と回転体とを強固に接着することが
できる上、回転体の熱膨張に起因する永久磁石の割れを
防止することができる。そして、永久磁石を固着する方
の回転体と半硬質磁性体を固着する方の回転体の、双方
の摺動部を共に合成樹脂材料で形成するので、摺動部の
摩擦抵抗、特に静止摩擦を小さくでき、優れた摺動性が
得られる。
【0019】次に、この発明によるトルクリミッタを構
成する各構成部材について、更に詳細に説明する。
【0020】〔永久磁石〕永久磁石としては、フェライ
ト磁石や希土類磁石(いずれも焼結磁石及び樹脂磁石を
含む)が用いられるが、トルクリミッタの小型化、高ト
ルク化の点からは希土類磁石を用いるのが望ましい。希
土類磁石としては、Nd−Fe−B系磁石、Sm−Fe
−N系磁石、Sm−Co系磁石などが挙げられる。
【0021】〔永久磁石を固着する回転体〕この発明の
最も重要な構成要素は、永久磁石を固着する方の回転体
である。永久磁石を固着する方の回転体は、上記のとお
り、少なくとも永久磁石固着部が金属材料からなり、か
つ少なくとも摺動部が合成樹脂材料からなるようにする
ことが必須であるが、より詳細には、永久磁石を固着す
る方の回転体としては、次の、のいずれかで構成す
るのが好ましい。
【0022】 摺動部を含む回転体本体が合成樹脂材
料からなり、永久磁石固着部が金属材料からなる構成。
【0023】この場合、回転体本体が合成樹脂材料から
なるが、永久磁石固着部は金属材料によって形成されて
いるため、永久磁石の発熱によって回転体が熱膨張を起
こすような場合でも、永久磁石固着部の寸法は維持さ
れ、永久磁石の割れを防止できる。なお、金属材料によ
って永久磁石との優れた接着性が得られること、および
合成樹脂材料によって優れた摺動性が得られることは前
記のとおりである。
【0024】このような回転体としては、より具体的に
は、次の(イ)〜(ハ)のものが挙げられる。
【0025】(イ)合成樹脂材料からなる回転体本体
の、永久磁石固着部となる部分に金属製の円筒体を圧入
したもの。この場合は、特別な熟練を要さず、圧入治具
によって簡単に目的とする回転体が得られる点で好まし
い。
【0026】(ロ)合成樹脂材料からなる回転体本体
の、永久磁石固着部となる部分に金属材料を溶射したも
の。この場合は、回転体本体の任意の位置に金属被膜を
形成できる点で好ましい。
【0027】(ハ)合成樹脂材料からなる回転体本体
と、金属材料からなる永久磁石固着部とを、回転体本体
の射出成形によって一体成形したもの。この場合は、
(イ)にみられる圧入工程が不要であり、なおかつ回転
体本体と金属材料との強固な結合が得られる点で好まし
い。
【0028】 永久磁石固着部を含む回転体本体が金
属材料からなり、摺動部が合成樹脂材料からなる構成。
【0029】この場合、永久磁石固着部を含む回転体本
体が金属材料からなるため、永久磁石との接着性および
寸法安定性に優れている。また、摺動部が合成樹脂材料
からなるため、摺動性にも優れている。その上、回転体
の本体が金属材料からなるため、トルクリミッタの走行
中に発生するヒステリシス熱や摩擦熱を、熱伝導性の良
い金属材料を通じて外部に放出でき、トルクリミッタの
温度上昇を抑制できるという長所も有している。このた
め、温度上昇による永久磁石の磁力低下や摺動部の摩擦
係数の変化を防止することが可能となる。
【0030】このような回転体としては、より具体的に
は、次の(ニ)〜(ヘ)のものが挙げられる。
【0031】(ニ)金属材料からなる回転体本体の、摺
動部となる部分に合成樹脂製の円筒体または環状体を圧
入したもの。この場合は、特別な熟練を要さず、目的と
する回転体が圧入治具によって簡単に得られる点で好ま
しい。
【0032】(ホ)金属材料からなる回転体本体の、摺
動部となる部分に合成樹脂材料を塗布したもの。この場
合は、厚みの小さな合成樹脂層を形成できる。合成樹脂
層の厚みを小さくすると、回転体本体を形成する金属材
料のもつ寸法安定性、放熱効果といった特長を最大限に
活用することが可能となる点で好ましい。
【0033】(ヘ)金属材料からなる回転体本体と、合
成樹脂材料からなる摺動部とを、摺動部の射出成形によ
って一体成形したもの。この場合は、(ニ)および
(ホ)にみられる特別の工程を必要とせず、なおかつ回
転体本体と合成樹脂材料との強固な結合が得られる点で
好ましい。
【0034】上記合成樹脂材料としては、摺動性、耐熱
性、寸法安定性および強度において優れたものが適して
いる。具体的には、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ふっ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ABS樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、液晶ポリマ
ー、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。こ
の中でも、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂お
よびふっ素樹脂が特に好ましい。なお、この合成樹脂材
料には、摺動性を上げるためにオイル、チタン酸カリウ
ムウイスカー、グラファイト、ふっ素樹脂パウダー等の
充填剤を混入して用いてもよい。
【0035】上記金属材料は、磁性金属、非磁性金属の
いずれであってもかまわない。具体的に例示するなら
ば、アルミニウム合金、亜鉛合金、ステンレス、鉛合
金、銅合金などが挙げられる。
【0036】〔半硬質磁性体〕半硬質磁性体としては、
高い残留磁束密度とある程度(10〜1,0000e)
の保磁力をもち、ヒステリシスが角形である金属材料が
用いられるが、トルクリミッタの小型化、高トルク化の
点からは、Fe−Co系合金、Fe−Cr−Co系合金
等を用いるのが好ましい。なお、半硬質磁性体は、板状
のものをカールすることによって円筒状にしたものが従
来用いられていたが、この発明によるトルクリミッタで
は、それよりも、継ぎ目のないシームレスなものを用い
るのが好ましい。このように、継ぎ目のないシームレス
な円筒状半硬質磁性体を用いることによって、磁力線の
乱れを防止し、トルクの微小変動を抑制することができ
る。また、継ぎ目のないシームレスな円筒状半硬質磁性
体は、真円度や円筒度においても優れているため、永久
磁石と半硬質磁性体との間隙を小さく設定することが可
能になり、トルクリミッタの小型化、高トルク化の観点
からも有利である。
【0037】〔半硬質磁性体を固着する回転体〕半硬質
磁性体を固着する方の回転体は、少なくとも摺動部が合
成樹脂材料からなることが必須である。つまり、摺動部
を含めて全体を合成樹脂材料で形成してもよいし、摺動
部以外の部分を他の材料で形成してもよい。この回転体
を形成する合成樹脂材料としては、永久磁石固着用の回
転体に好適な合成樹脂材料として上記したものが、その
まま当てはまる。また、この回転体の、摺動部以外の部
分を合成樹脂以外の材料で形成する場合は、その部分の
材質は特に限定されない。
【0038】〔その他〕両回転体間の摺動部には、摺動
特性向上と摩耗防止のために、必要に応じて液状オイル
を潤滑油として添加することができる。液状オイルとし
ては、シリコーンオイルなどの合成油、ナフテン系又は
パラフィン系の鉱油、作動油等が挙げられる。さらに、
上記液状オイルと固体潤滑剤との混合物を両回転体間の
摺動部に添加してもかまわない。固体潤滑剤としては、
ふっ素樹脂、二硫化モリブデン、グラファイト、二硫化
タングステン、窒化ほう素、ふっ化黒鉛、メラミンシア
ヌレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、シリコーン樹脂、金属石鹸等をパウダー化したもの
が挙げられる。
【0039】更に、永久磁石及び半硬質磁性体の発錆防
止と回転トルクの向上の目的で、永久磁石と半硬質磁性
体との間隙に、シリコーンオイルなどの合成油、ナフテ
ン系又はパラフィン系の鉱油、作動油等の粘性液状物を
充填してもかまわない。
【0040】
【実施例】次に、この発明の実施例について説明する。
【0041】〔実施例1〕図1はこの発明の実施例1に
よるトルクリミッタ(1)を給紙用摩擦ローラ(2)に
用いた場合の断面図である。図1において、トルクリミ
ッタ(1)は、外周面に円筒状永久磁石(3)を固着し
た第1回転体(4)と、内周面に円筒状半硬質磁性体
(5)を固着した第2回転体(6)とからなっており、
さらに第2回転体(6)は、底部中央にシャフト貫通用
の孔(7)を形成した有底円筒体(6a)と、中央に軸
受孔を形成した蓋体(6b)とからなっている。このト
ルクリミッタ(1)は、第2回転体(6)の有底円筒体
(6a)中に第1回転体(4)を挿入し、次いで蓋体
(6b)を取り付ける手順で組み立てられている。第1
回転体(4)は金属製のシャフト(8)を通して図示し
ない駆動機構と連結している。また、第2回転体(6)
は底部には直径方向に切欠き部(9)が形成してあり、
この切欠き部(9)でゴムローラ(2)端面の凸部と係
合している。
【0042】ここで、円筒状永久磁石(3)と円筒状半
硬質磁性体(5)とは所定の間隙をもって対向してい
る。また、第1回転体(4)と第2回転体(6)とは同
軸上に設置されており、摺動部(10)、(11)での
当接によって半径方向及び軸方向の位置決めがなされて
いて、かつ同軸上で相対的に摺動回転可能となってい
る。なお、(12)は位置決め用のフランジであって、
このフランジ(12)によって、第1回転体(4)に固
着された永久磁石(3)の位置決め、および第1回転体
(4)に対する第2回転体(6)の位置決めがなされて
いる。ここで、金属製のシャフト(8)を通じて第1回
転体(4)に回転力が与えられれば、永久磁石(3)と
半硬質磁性体(5)との間に生じるヒステリシストルク
によって第2回転体(6)へ一定のトルクが伝達され
る。
【0043】図2は、図1における第1回転体(4)の
断面図である。図2に示す第1回転体(4)は、永久磁
石固着部を含む回転体本体(13)が金属材料からな
り、摺動部(10a)、(11a)は合成樹脂材料から
なっている。この第1回転体(4)は、ステンレス製の
回転体本体(13)の摺動部となる部分に、ポリアセタ
ール樹脂製の円筒体(10a)、(11a)を圧入した
ものである。なお、このポリアセタール樹脂は、オイル
が混入された含油ポリアセタール樹脂である。
【0044】第1回転体(4)の外周面には、円筒状の
永久磁石(3)が接着剤により固着されている。この永
久磁石(3)はNd−Fe−B系樹脂磁石で、Nd−F
e−B系磁性粉末とエポキシ樹脂とからなる樹脂磁石粉
末を所定の金型に投入し、圧縮成形した後、加熱して硬
化させ、更に防錆のために表面を樹脂コーティングした
後、着磁ヨークを用いて外周に多極着磁を行なったもの
である。
【0045】第2回転体(6)は、ポリアセタール樹脂
製である。このポリアセタール樹脂は、上記含油ポリア
セタール樹脂である。そして、第2回転体(6)の内周
面には、円筒状の半硬質磁性体(5)が圧入によって固
着されている。この半硬質磁性体(5)は、Fe−Cr
−Co系合金製である。この半硬質磁性体(5)は継ぎ
目のないシームレスな円筒体である。
【0046】なお、摺動部(10a)、(11a)は、
円筒体の圧入によらず、合成樹脂材料のコーティングに
よって形成したものであってもよい。また、摺動部(1
0a)、(11a)の射出成形によって回転体本体(1
3)と一体成形したものであってもよい。
【0047】更に、この実施例において、第1回転体
(4)を、例えば図3に示すものに代えてもかまわな
い。
【0048】図3に示す第1回転体(14)は、摺動部
(15a)、(16a)を含む回転体本体(17)が合
成樹脂材料からなり、永久磁石固着部(18)が金属材
料からなっている。この第1回転体(14)は、回転体
本体(17)の射出成形によって金属製の円筒体(1
8)と金型内で一体成形したものである。この回転体本
体(17)は、上記含油ポリアセタール樹脂製であり、
円筒体(18)はステンレス製である。なお、円筒体
(18)は、あらかじめ成形しておいた回転体本体(1
7)の外周面に後から圧入したものであってもよい。ま
た、回転体(17)の外周の所定位置に金属材料を溶射
したものであってもよい。
【0049】〔実施例2〕図4は、この発明の実施例2
によるトルクリミッタ(19)を給紙用摩擦ローラ
(2)に用いた場合の断面図である。この実施例では、
第一回転体(20)側に半硬質磁性体(21)を固着
し、第2回転体(22)側に永久磁石(23)を固着し
た点が実施例1と異なっている。つまり、図4におい
て、トルクリミッタ(19)は、外周面に円筒状半硬質
磁性体(21)を固着した第1回転体(20)と、内周
面に円筒状永久磁石(23)を固着した第2回転体(2
2)とからなっており、さらに第2回転体(22)は、
底部中央にシャフト貫通用の孔(24)を形成した有底
円筒体(22a)と、中央に軸受孔を形成した蓋体(2
2b)とからなっている。このトルクリミッタ(19)
は、第2回転体(22)の有底円筒体(22a)中に第
1回転体(20)を挿入し、次いで蓋体(22b)を取
り付ける手順で組み立てられている。そして、第1回転
体(20)は金属製のシャフト(8)を通して図示しな
い駆動機構と連結している。また、第2回転体(22)
の底部には直径方向に切欠き部(25)が形成してあ
り、この切欠き部(25)でゴムローラ(2)端面の凸
部と係合している。
【0050】ここで、円筒状永久磁石(23)と円筒状
半硬質磁性体(21)とが所定の間隙をもって対向して
いること、第1回転体(20)と第2回転体(22)と
が同軸上に設置されており、摺動部(26)、(27)
での当接によって半径方向及び軸方向の位置決めがなさ
れていて、同軸上で相対的に摺動回転可能となっている
こと、およびトルクの伝達機構等については実施例1と
同様である。
【0051】第1回転体(20)は、前記含油ポリアセ
タール樹脂製である。また、第1回転体(20)の外周
面には、円筒状の半硬質磁性体(21)が圧入されてい
る。この半硬質磁性体(21)はFe−Cr−Co系合
金製である。また、この半硬質磁性体(21)は継ぎ目
のないシームレスな円筒体である。
【0052】一方、第2回転体(22)の内周面には、
円筒状の永久磁石(23)が接着剤により固着されてい
る。この永久磁石(23)はNd−Fe−B系樹脂磁石
で、Nd−Fe−B系磁性粉末とエポキシ樹脂とからな
る樹脂磁石粉末を所定の金型に投入し、圧縮成形した
後、加熱して硬化させ、更に防錆のために表面を樹脂コ
ーティングした後、着磁ヨークを用いて内周に多極着磁
を行なったものである。
【0053】図5は、図4における第2回転体(22)
の断面図である。図5に示す第2回転体(22)におい
て、永久磁石固着部を有する回転体本体となる有底円筒
体(22a)は、ステンレスで形成されている。そし
て、有底円筒体(22a)の底部には、ポリアセタール
樹脂製のリング(27a)が圧入され、一方の摺動部を
形成している。他方の摺動部(26a)を含む蓋体(2
2b)は、ポリアセタール樹脂製である。リング(27
a)および蓋体(22b)を形成するポリアセタール樹
脂は、前記含油ポリアセタール樹脂である。
【0054】更に、この実施例において、第2回転体
(22)を、例えば図6に示すものに代えてもかまわな
い。
【0055】図6に示す第2回転体(28)は、一方の
摺動部(30a)を有する回転体本体となる有底円筒体
(28a)と他方の摺動部(29a)を有する蓋体(2
8b)とで形成されている。有底円筒体(28a)と蓋
体(28b)とは共に前記含油ポリアセタール樹脂から
なっている。一方、有底円筒体(28a)の内周面に形
成された永久磁石固着部(31)は金属材料からなって
いる。この永久磁石固着部(31)は、上記有底円筒体
(28a)の内周面にステンレス製の円筒体を圧入した
ものである。なお、有底円筒体(28a)と永久磁石固
着部(31)との一体化は、圧入によらないで、有底円
筒体(28a)の射出成形時に金属製の永久磁石固着部
(31)と金型内で一体成形してもよい。
【0056】
【比較試験】上記実施例1および実施例2によるトルク
リミッタについて、以下の通り「耐久走行試験」および
「ヒートサイクル試験」を行なった。なお、比較対象と
して、下記比較例1および比較例2のトルクリミッタを
用いた。
【0057】〔比較例1〕第1回転体(4)全体を前記
含油ポリアセタール樹脂で形成し、それ以外は実施例1
と同様とした。
【0058】〔比較例2〕第1回転体(4)全体をステ
ンレスで形成し、それ以外は実施例1と同様とした。
【0059】各トルクリミッタの主要部の構成を表1に
示す。
【0060】
【表1】
【0061】〔耐久走行試験〕各トルクリミッタについ
て、第2回転体を強制的に静止させながら、第1回転体
のみを次の条件で回転させ、第2回転体に伝わるトルク
を測定した。走行条件 :1000rpm×120ms→637rpm
×720ms→0rPm×360msのサイクルを30
0時間繰り返し続けた。測定方法 :走行開始から30分間、1分毎にトルク値を
測定し、初期値とした。また、走行終了前の30分間、
同様に1分毎にトルク値を測定した。
【0062】測定結果を表1に併記する。表1の渕定結
果から判るように、ポリアセタール樹脂製の回転体に永
久磁石を接着した比較例1のトルクリミッタは、走行試
験の途中で永久磁石が回転体から脱落し、測定不能とな
った。また、ステンレス製の回転体に永久磁石を接着し
た比較例2のトルクリミッタは、永久磁石の脱落はなか
ったが、300時間経過後のトルク値はばらつきが大き
く、トルクが不安定であった。これに対して、実施例の
トルクリミッタでは、永久磁石の脱落はなく、初期のト
ルク値と300時間経過後のトルク値との間にも大きな
変化がなく、300時間経過後のトルク値も非常に安定
していた。
【0063】〔ヒートサイクル試験〕各トルクリミッタ
の永久磁石を固着した方の回転体、すなわち、実記例
1、比較例1および比較例2の第1回転体、並びに実施
例2の第2回転体を炉の中に入れ、炉の温度を次の条件
で変化させて永久磁石の割れの有無を調べた。 温度条件:−10°C×2時間→23°C×2時間→1
00°C×2時間→23°C×2時間のサイクルを10
回繰り返した。測定結果を表1に併記する。
【0064】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、この発明に
よるトルクリミッタは、永久磁石を固着した方の回転体
の、永久磁石固着部を金属材料で形成し、かつ、永久磁
石を固着した方の回転体と半硬質磁性体を固着した方の
回転体の、双方の摺動部を共に合成樹脂材料で形成した
ので、温度の変化や、高トルク、高速回転、さらには休
止と回転との頻繁な繰り返しといった厳しい条件下での
使用においても、永久磁石と回転体との接着不良や永久
磁石の割れを生じず、しかも摺動部の摺動性に優れてい
て長期に渡って安定したトルクを伝達することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1によるトルクリミッタを給
紙用摩擦ローラに用いた状態を示す断面図である。
【図2】この発明の実施例1に使用する第1回転体の断
面図である。
【図3】この発明の実施例1に使用する第1回転体の他
の例を示す断面図である。
【図4】この発明の実施例2によるトルクリミッタを給
紙用摩擦ローラに用いた状態を示す断面図である。
【図5】この発明の実施例2に使用する第2回転体の断
面図である。
【図6】この発明の実施例2に使用する第2回転体の他
の例を示す断面図である。
【図7】給紙装置の重送防止機構を示す図である。
【図8】給紙装置の重送防止機構を示す図である。
【図9】従来のトルクリミッタを給紙用摩擦ローラに用
いた状態を示す断面図である。
【符号の説明】 1,19 トルクリミッタ 2, 給紙用摩擦ローラ 3,23 永久磁石 4,14,20 第1回転体 5,21 半硬質磁性体 6,22,28 第2回転体 8 シャフト 10,11 摺動部 10a,11a,15a,16a (第1回転体の)
摺動部 13,17 (第1回転体の)回転体本体 18 永久磁石固着部 26,27 摺動部 26a,27a,29a,30a (第2回転体の)
摺動部 22a,28a (第2回転体の)回転体本体となる有
底円筒体 31 永久磁石固着部

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心孔にシャフト(8)が挿入される第
    1回転体(4,14,20)と、前記第1回転体と同軸
    上で相対的に摺動回転可能な第2回転体(6,22,2
    8)と、前記第1回転体および前記第2回転体のうち
    の、一方に固着した円筒状の永久磁石(3,23)と、
    他方に固着した円筒状の半硬質磁性体(5,21)とか
    らなり、 前 記永久磁石の外周面または内周面と前記半硬質磁性体
    の内周面または外周面とが間隙をもって対向し、永久磁
    石と半硬質磁性体との間に生じるヒステリシストルクに
    よって前記第1回転体と前記第2回転体との間でトルク
    を伝達するトルクリミッタにおいて、前記第1回転体および前記第2回転体のうちの、 永久磁
    石を固着した方の回転体は、少なくとも永久磁石固着部
    が金属材料からなり、かつ少なくとも摺動部が合成樹脂
    材料からなり、 半硬質磁性体を固着した方の回転体は、少なくとも摺動
    部が合成樹脂材料からなることを特徴とするトルクリミ
    ッタ。
  2. 【請求項2】 前記第1回転体(4,14)の外周面に
    前記永久磁石(3)が固着し、前記第2回転体(6)の
    内周面に前記半硬質磁性体(5)が固着し、前記永久磁
    石の外周面と前記半硬質磁性体の内周面とが対向してい
    る、請求項1に記載のトルクリミッタ。
  3. 【請求項3】 前記第1回転体(20)の外周面に前記
    半硬質磁性体(21)が固着し、前記第2回転体(2
    2,28)の内周面に前記永久磁石(23)が固着し、
    前記半硬質磁性体の外周面と前記永久磁石の内周面とが
    対向している、請求項1に記載のトルクリミッタ。
  4. 【請求項4】 前記第1回転体および前記第2回転体の
    うちの、前記永久磁石を固着した方の回転体は、摺動部
    (15a,16a,29a,30a)を含む回転体本体
    (17,28a)が合成樹脂材料からなり、永久磁石固
    着部(18,31)が金属材料からなる、請求項1〜請
    求項3のいずれかに記載のトルクリミッタ。
  5. 【請求項5】 前記永久磁石を固着した方の回転体は、
    回転体本体の永久磁石固着部となる部分に金属製の円筒
    体を圧入したものである、請求項4に記載のトルクリミ
    ッタ。
  6. 【請求項6】 前記永久磁石を固着した方の回転体は、
    回転体本体の永久磁石固着部となる部分に金属材料を溶
    射したものである、請求項4に記載のトルクリミッタ。
  7. 【請求項7】 前記永久磁石を固着した方の回転体は、
    回転体本体と永久磁石固着部とを回転体本体の射出成形
    によって一体成形したものである、請求項4に記載のト
    ルクリミッタ。
  8. 【請求項8】 前記第1回転体および前記第2回転体の
    うちの、前記永久磁石を固着した方の回転体は、永久磁
    石固着部を含む回転体本体(13,22a)が金属材料
    からなり、摺動部(10a,11a,26a,27a)
    が合成樹脂材料からなる、請求項1〜請求項3のいずれ
    かに記載のトルクリミッタ。
  9. 【請求項9】 前記永久磁石を固着した方の回転体は、
    回転体本体の摺動部となる部分に合成樹脂製の円筒体ま
    たは環状体を圧入したものである、請求項8に記載のト
    ルクリミッタ。
  10. 【請求項10】 前記永久磁石を固着した方の回転体
    は、回転体本体の摺動部となる部分に合成樹脂材料を塗
    布したものである、請求項8に記載のトルクリミッタ。
  11. 【請求項11】 前記永久磁石を固着した方の回転体
    は、回転体本体と摺動部とを摺動部の射出成形によって
    一体成形したものである、請求項8に記載のトルクリミ
    ッタ。
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