JP2900580B2 - 活性酸素障害防御剤 - Google Patents

活性酸素障害防御剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、活性酸素による細胞障害に基づく疾病を予
防及び治療せしめる薬剤に関するものである。
(従来の技術) 生体内には多数の活性酸素消去システムがあり、酸化
的なストレスから生体を保護している。それらの防御シ
ステムの乱れから生じた活性酸素が様々な疾患の発現に
関与していることが明らかにされた。特に近年、動脈硬
化の発症機序に活性酸素による血管内皮細胞の障害が深
く関与していることが注目されている。
活性酸素によって血管内皮細胞が障害を受けると基底
膜が露出し、血流中の血小板が活性化され凝集反応が起
こる。凝集した血小板からは血小板由来の血管平滑筋細
胞増殖因子が放出され、中膜に存在し血管の弛緩収縮の
役割を担っていた平滑筋細胞が内膜に移行し、内膜層で
平滑筋細胞が増殖し内膜肥厚が起こり動脈硬化が発症す
る。動脈硬化が発症すると、内皮細胞からは内皮細胞由
来の平滑弛緩因子やプロスタサイクリンが産生され、血
圧の調節、血流の調節が行われる。
上記の動脈硬化の発症を一例として活性酸素による細
胞障害は各種疾患の原因の一部とみなされ、現在までに
も生体内においてこれらの活性酸素を消去する薬剤の検
討が行われてきた。活性酸素の消去や過酸化脂質の分解
などの作用を有する抗酸化性化合物が活性酸素消去剤と
して多方面からのアプローチによって開発されてきた
(福沢健治:ラジカル消去剤,メビオ,5 90〜94,198
8)。細胞質のような水溶性画分で活性酸素を効果的に
消去するのに水溶性のビタミンCなどが知られている
が、細胞膜のような疎水性領域で効果を発揮する脂溶性
物質としてα−トコフェロール誘導体、β−カロチン、
エストロゲン類などが知られている(二木鋭雄:生体内
酸化防止剤,37,893螺合897,1988)。また水溶液中で強
い消去活性を示すビタミンCを疎水性領域で働かせるた
め、この脂溶化物も消去剤として検討されている(Kane
yoshi Katoら:Studies on scavengers of activeoxygen
species,J.Med.Chem.,31,793〜798,1988)。
(発明が解決しようとする課題) 最近の研究では、疾患時の活性酸素の生成部位が細胞
内と細胞外にあることが判明した。前者は細胞内小器
官、特にミトコンドリアなどで電子伝達系から無秩序に
電子が漏れ出して活性酸素が細胞質に出現し細胞内を障
害する。この場合、ラジカル消去剤は細胞膜を通過して
消去活性を示さなくてはならない。しかし、現在までに
検討されて来たスーパーオキサイドディスムタームやカ
タラーゼは分子量が大きく組織内移行が否定的であるこ
とやこれらは酵素であるため内服しても無効で、注射し
てもそのままでは半減期が短く血中持続時間が短いなど
投与方法の問題があった。
また、細胞外からの活性酸素による細胞障害の一例と
して、血管内皮細胞の障害からの保護は血圧の調節ばか
りでなく動脈硬化を予防することにもなることから、血
管内皮細胞の障害を抑制する薬剤の開発が期待されてい
る。
前記α−トコフェロール誘導体、β−カロチン、エス
トロゲン類、脂溶化ビタミンCなどの化合物はしばしば
免疫系に作用したり、血圧や脈拍数などの循環系に影響
を与えたりして毒性を示すので、消去活性を高めるため
ポテンシャルをあまり高くなるように誘導化すると、ま
た毒性を示すという問題点があった。これらの物質の多
くはインヴィトロレベルで充分な消去活性を示しても、
インヴィヴォレベルで全く治療効果を発揮しないことも
知られている。また、これらの生体内抗酸化剤の脂溶化
誘導体は赤血球の変形能に変化を与え溶血現象を起こし
易くする。
本発明の目的は、これらの問題点を解消し、活性酸素
による細胞障害に起因する疾病を治療し、あるいは予防
する薬剤を提供することである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、有効成分が9−シス−オクタデセン酸また
は9−トランス−オクタデセン酸及びこれらを主成分と
してなる活性酸素による細胞障害防御剤である。
一般的に生体内で細胞、例えば血管内皮細胞に障害を
与える物質としては過酸化脂質を含む活性酸素種が知ら
れている。本発明者らは、血管内皮細胞を培養したのち
活性化した白血球による内皮細胞障害を放射性クロミウ
ムの放出反応で調べる実験系を作り、各種脂肪酸類を薬
剤として用いて、血管内皮細胞傷害予防効果を調べたと
ころ、前記9−シス−オクタデセン酸または9−トラン
ス−オクタデセン酸に強い予防効果があることを見出し
本発明を完成した。
これらの脂肪酸は、天然物または合成物、いずれの起
源のものも使用することができ、一般に市販されている
高純度のものなら充分である。
本発明の有効成分を活性酸素障害防御剤として用いる
場合、本有効成分はそれ自体公知の薬理的に許容される
担体、賦形剤、希釈剤などと混合し、公知の方法に従っ
て、医薬組成物、例えば錠剤、カプセル剤、液剤、坐
剤、注射剤として経口的もしくは非経口的に投与するこ
とができる。
また、本発明の有効成分が油脂成分である点から、非
経口投与に次の様な剤型が挙げられる。注射や点滴で
は、水溶性懸濁液、リポソーム製剤やリピットマイクロ
スフェアー製剤等の油性製剤がある。局所適用剤型では
眼内への点眼剤や点眼軟膏があり、また、直腸への脂質
界面活性剤混合ミセルタイプの坐薬がある。
投与量は投与対象、投与経路、症状などによっても異
なるが、経口的に投与する場合、本有効物質として通常
1回量として約1mg/kg体重〜100mg/kg体重、好ましくは
約5mg/kg〜50mg/kg体重を1日1〜3回程度投与する。
また、非経口的に投与する場合、例えば坐剤としては
本有効物質約5mg/kg〜20mg/kg体重を1日1〜2回投与
する。油性製剤の注射剤としては本有効物質約0.1mg/kg
〜20mg/kg体重を1日1〜2回投与することが好まし
い。
また、本発明の有効成分はカルボキシル基が遊離状態
であるため、一般の中性脂質に比べて水溶性が強く界面
活性剤を使用することにより容易に安定な油性製剤に加
工出来る。
(実施例) ウシ血管内皮細胞培養方法 ウシ頚動脈血管5〜10cmを摘出した後、抗生物質(ペ
ニシリン、ストレプトマイシンなど)を添加したPBS
(リン酸緩衝溶液)で軽く洗い、同様の抗生物質含有ME
M(イーグル培地、minimumessential medium)に浸し氷
冷して培養室に持ち帰った。血管はさらに抗生物質含有
MEM培地で数回洗浄した。その後、血管に付着していた
脂肪をきれいに取り去り、ハサミで分岐部を切り、その
分岐部を通る形で血管を縦に切り開いた。平らな固定面
の上に血管を内膜面を上にし、引っ張った形でピン固定
した。#11のメスを用い、内膜面に軽く触れるようにし
て内皮細胞を剥離した。その際、メスを予め20%FBS
(胎児牛血清)含有MEM培地(抗生物質を含有してい
る)に湿らせて、メスの動きをよりスムースにすると共
に平滑筋細胞の侵入を防いだ。メスに付着した内皮細胞
を上記MEM培地10mlに分散させ、800rpmで10分間遠心分
離した。その後、沈渣に上記MEMを加え、ピペットで内
皮細胞が数十個集まった稲穂状になるまで分散し、プラ
スチックシャーレに播き培養した。
血管内皮細胞を用いた活性酸素防御実験法 24穴のマルチウエルに上記の方法で単離し培養したウ
シ頚動脈由来内皮細胞を集密にした。その中に各種被験
薬を5μg/ml添加し、2日間培養して内皮細胞に取り込
ませた。その後51Cr−クロム酸ナトリウムを1ウエル当
り2μCi加えて、さらに18時間培養し、細胞内に51Cr−
クロム酸ナトリウムを取り込ませた。その後、ハンクス
液で2回洗浄し、内皮細胞の10倍量の白血球(ヒト末梢
血よりフィコール(商品名、ファーマシア社製)で分離
した好中球)と12−O−テトラデカノイル−ホルボール
−13−アセテートを10ng/ml加えた。(この物質は白血
球膜に作用したNADPH依存性の五単糖リン酸回路を刺激
して活性酸素の産生を促進し、内皮細胞を傷害する。こ
の時、活性酸素により傷害を受けた細胞から放射能が放
出される。)5〜6時間後に培養液中に放出されてきた
放射能をγ−シンチレーション・カウンターで測定し、
被験薬取り込み状態での放出量とした。内皮細胞内に取
り込まれた51Crの総量は0.1%のトリトンX−100を加え
細胞膜を溶かすことによって、培養液に放出された放射
能を測定し、トリトンX−100添加時での放出量とし
た。
また、白血球及び12−O−テトラデカノイル−ホルボ
ール−13−アセテートを添加しない時の放射能量を無刺
激時放出量とした。
なお、51Crの放出量は、 Y:〔無刺激時放出量〕 で計算した。
51Crの放出量により、活性酸素防御効果を求めること
ができる。
実施例1 前記、血管内皮細胞を用いた活性酸素防御実験法にお
いて、被験薬として、9−シス−オクタデセン酸及び
9−トランスオクタデセン酸を用いて放射能放出量を
測定した。
結果を第1表に示した。
比較例1 前記、血管内皮細胞実験において、被験薬として、 9−シス−テトラデセン酸 9−シス−ヘキサデセン酸 9−シス−イコセン酸 9,12,15−all−シス−オクタデカトリエン酸 5,8,11,14−all−シス−エイコサテトラエン酸 4,7,10,13,16,19−all−シス−ドコサヘキサエン酸 6−シス−オクタデセン酸 11−シス−オクタデセン酸 5,8,11,14,17−all−シス−イコサペンタエン酸 を用いた。また、コントロールとして、被験薬を用い
ずに実験を行った。
結果を第1表に示した。
実施例2 シス−オクタデセン酸の濃度依存性による傷害抑制効果
試験 シス−オクタデセン酸の血管内皮細胞への取込量は0.
1,1,5及び10μg/mlで行った。結果を第2表に示した。
比較例2 血管内皮細胞実験において、被験物質を加えずに培養
したのち、白血球添加時にアスコルビン酸パルミテー
ト、スーパーオキサイドジスムターゼ、マンニトールお
よびビタミンEを内皮細胞に添加し、以降は前記の手順
に従って放射能を測定した。結果を第3表に示す。
ヒドロキシラジカルやスーパーオキサイドなどの活性
酸素を消去する従来の活性酸素消去剤は白血球由来の活
性酸素による細胞傷害を抑制する効果が認められなかっ
た。
実施例3 下記の成分を用いて、通常手段により錠剤を製造し
た。1錠あたりの組成は下記の通りである。
成人1人あたり1日2〜6錠を毎食後投与する。
(発明の効果) 本発明の有効成分は生体内成分であるため著しく毒性
が低く、生体内の生理的有効濃度で活性酸素障害抑制効
果が認められ、生体膜にスムースに取り込まれることか
ら組織移行性にも優れた活性酸素障害防御剤である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有効成分が9−シス−オクタデセン酸また
    は9−トランス−オクタデセン酸を主成分としてなる活
    性酸素障害防御剤。
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