JP2906996B2 - 冷間鍛造性及び疲労特性に優れた窒化鋼部材の製造方法 - Google Patents
冷間鍛造性及び疲労特性に優れた窒化鋼部材の製造方法Info
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Description
労強度が要求される歯車等の機械構造部品に適した、冷
間鍛造性及び疲労特性に優れた窒化鋼部材の製造方法に
関する。
面硬化処理方法の一つとしてガス窒化処理がある。この
ガス窒化処理は、同じ表面硬化処理方法である高周波焼
入や浸炭焼入に比べて熱処理歪が小さいため、寸法精度
が要求される機械構造部品の表面硬化処理方法として有
効な手段である。
SACM645や、JIS SCM435等が使用さ
れている。しかし、SACM645は表面硬度がHv1
000程度と硬すぎる上、表面に脆い化合物層が形成さ
れるため、高い疲労強度は得られない。また、SCM4
35も十分な硬化層深さが得られないため、やはり高い
疲労強度は得られない。また、どちらの鋼も素材硬度が
高いことから冷間鍛造性、被削性に劣る等の問題があ
る。
開平4−45244号公報、特開平4−66646号公
報、特開平5−25538号公報等において、Cr−M
o−V鋼を基本とした高疲労強度の窒化用鋼又は軟窒化
鋼が提案されている。一方、冷間加工性を改善するため
に、特開平5−171347号公報にはSiまたはMn
量を規制し、Cr,Vを複合添加した軟窒化鋼が提案さ
れている。
4−45244号公報、特開平4−66646号公報、
特開平5−25538号公報等に開示されている窒化用
鋼又は軟窒化鋼は、Cr,Mo,Vの複合添加により疲
労強度が高まるが、Moを多量に含有しているために素
材硬さが高すぎ、冷間鍛造性及び被削性が著しく劣る。
示されている軟窒化用鋼は、素材硬さがHv200以下
となるため冷間鍛造性は良好であるものの、窒化処理後
の表面硬さが低い上、従来の窒化方法を採用しても大き
な硬化層深さが得られず、疲労強度は十分とはいえな
い。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであっ
て、優れた疲労特性と冷間鍛造性とを兼備した窒化鋼部
材の製造方法を提供することを目的とする。
は、先ず疲労強度に及ぼす化学成分、組成及び窒化条件
の影響を詳細に検討した結果、以下の2つの知見を得る
に至った。第1に、歯車のように応力集中を受ける部品
での疲労強度を高めるためには、窒化処理後の表面硬度
をHv700以上にし、十分な硬化深さを有することが
必要である。表面硬度を高めるためには0.1%以上の
Alの添加が必須であり、さらにCrを複合添加するこ
とにより十分な表面硬度が得られ、Vの添加により大き
な硬化層深さを得ることができる。
生成する化合物層は非常に脆く、その厚さが厚すぎる場
合には容易に剥離し、疲労強度の低下を招く。このよう
な化合物層の生成を抑制する窒化処理方法として従来か
ら2段窒化法が採用されているが、2段窒化法では十分
な硬化層深さが得られず、また疲労強度も十分ではなか
った。これに対し、処理開始温度及び処理終了温度をあ
る特定の温度範囲に規定し、その間を連続的に昇温する
方法を適用すれば、化合物が形成されてもすぐに昇温さ
れて化合物層が消滅しやすく化合物層の生成が抑制さ
れ、また大きな硬化深さが得られるため、著しく疲労強
度が向上される。
めにさらに検討を重ねた結果、C,Si,Mn及びCr
の添加量を調整し、焼きならし後の素材硬さをHv22
0以下にすることで、優れた疲労特性を維持しつつ、必
要な冷間鍛造性を確保し得ることを見出した。
れたものであって、第1に、C:0.10〜0.30w
t%、Si:0.35wt%以下、Mn:1.0wt%
以下、S:0.05wt%以下、Cr:0.5〜1.5
wt%、Al:0.1〜0.5wt%、V:0.1〜
0.5wt%を含有する鋼に対し、処理開始温度が48
0〜550℃、処理終了温度が560〜630℃の範囲
であり、処理開始から処理終了までを連続的に昇温させ
る窒化処理を施すことを特徴とする、冷間鍛造性及び疲
労特性に優れた窒化鋼部材の製造方法を提供するもので
ある。
Si:0.35wt%以下、Mn:1.0wt%以下、
S:0.05wt%以下、Cr:0.5〜1.5wt
%、Al:0.1〜0.5wt%、V:0.1〜0.5
wt%を含有し、さらにNi:1.0wt%以下、C
u:1.0wt%以下、Mo:0.2wt以下の1種ま
たは2種以上を含有する鋼に対し、処理開始温度が48
0〜550℃、処理終了温度が560〜630℃の範囲
であり、処理開始から処理終了までを連続的に昇温させ
る窒化処理を施すことを特徴とする、冷間鍛造性及び疲
労特性に優れた窒化鋼部材の製造方法を提供するもので
ある。
る。先ず化学成分の限定理由について示す。 (1)C:0.10〜0.30wt% Cは強度確保のため必要な元素である。しかし、その量
が0.1wt%未満では芯部強度が低くなり過ぎるため
に十分な硬化層深さが得られず、必要な疲労強度が得ら
れない。一方、0.3wt%を超えると素材強度が高く
なりすぎ靭性が劣化し、さらに切削性ないし冷間鍛造性
も著しく低下する。従ってC量を0.10〜0.30w
t%の範囲とした。
冷間鍛造性を劣化させるため、0.35wt%以下とし
た。
要である。しかし、1.0wt%を超えるとSiと同様
に冷間鍛造性を劣化させるため、1.0wt%以下とし
た。
を超えると硫化物系の介在物が多くなりすぎ、冷間鍛造
時の割れの原因となるばかりでなく、疲労強度の低下に
つながる。従って、その上限を0.05wt%とした。
を増加させる元素である。しかし、その量が0.5wt
%未満ではその効果が小さく、1.5wt%を超えると
硬化層深さが逆に低下し、また素材硬さが高くなりすぎ
冷間鍛造性を劣化させる。従ってCr含有量を0.5〜
1.5wt%とする。
しかし、その量が0.1wt%未満では必要な表面硬さ
が得られず、0.5wt%を超えると硬化層深さに悪影
響を及ぼす。従ってAl量を0.1〜0.5wt%の範
囲とした。
しかし、その量が0.1wt%未満ではその効果が不十
分であり、0.5wt%を超えて添加してもその効果が
飽和すると共にコスト的にも不利になる。従ってV量を
0.1〜0.5wt%の範囲とした。
主目的として、以下のNi,Cu,Moの1種又は2種
以上を含有させることもできる。 (8)Ni:1.0wt%以下 Niは冷間鍛造性を低下させることなく素材の靭性を向
上させる元素である。しかし、1.0wt%を超えて添
加すると硬度が上昇し冷間鍛造性に悪影響を及ぼすだけ
でなく、非常に高価な元素であるためコスト的にも不利
になる。従ってその上限を1.0wt%とした。
を向上させる元素である。しかし、1.0wt%を超え
て添加すると靭性の低下を招くので、その上限を1.0
wt%とした。
層深さを増加させる元素である。しかし、0.2wt%
を超えて添加すると硬度が上昇し、冷間鍛造性が著しく
劣化するため、その上限を0.2wt%とした。
す。 (1)処理開始温度:480〜550℃ 処理開始温度が480℃未満では窒化反応が遅いため有
効な硬化深さが得られず、一方、550℃を超えると化
合物層厚さが大きくなり、疲労強度に悪影響を及ぼす。
従って窒化処理開始温度を480℃〜550℃の範囲と
した。
有効な硬化深さが得られず、一方、630℃を超えると
窒素がより内部まで拡散するため表面硬さが低下し疲労
強度が劣化する。従って窒化処理終了温度を560〜6
30℃の範囲とした。
に昇温 上述したように、処理開始から終了まで連続的に昇温す
ることにより、低温で化合物が形成されてもすぐに昇温
されて化合物層が消滅しやすく、結果として化合物層の
生成が抑制され、また大きな硬化深さが得られるため、
著しく疲労強度が向上されるからである。なお、本発明
では処理開始から処理終了までを連続的に昇温させる限
りその態様は限定されないが、直線的に昇温することが
好ましい。
解により溶製し、熱間圧延により厚さ30mmの板にし
た後、900℃×1時間の焼ならし処理を行い素材とし
た。素材の硬さを測定した後、切欠き係数1.8の切欠
きを有する小野式回転曲げ疲労試験片に加工した。その
後、表1のNo.1〜14の供試材に対して窒化処理を
施した。窒化処理はN2 −NH3 −CO2 雰囲気のガス
窒化炉を用い、図1に示した温度パターンの中で連続的
に昇温する方法(傾斜窒化法)にて行った。なお、窒化
処理は、処理開始温度:510℃、処理終了温度:62
0℃、処理時間:20時間の条件にて行った。
て小野式回転曲げ疲労試験を行い、繰返し数107 回で
の応力値を疲労強度として求めた。また、窒化処理後の
表面硬さ(表面から0.05mm位置の硬さ)及び硬化
層深さ(Hvが420になる距離)の測定も行った。こ
れらの結果を表2に示す。なお、表1及び表2におい
て、供試材No.1〜11は本発明例であり、No.1
2〜21は比較例である。
No.1〜11はいずれも素材硬さがHv220以下で
あり冷間鍛造性に優れ、また窒化処理後の表面硬さがH
v700以上、硬化層深さが0.4mm以上となるため
に高い疲労強度が得られていることが確認された。
発明で規定する範囲よりも低いために硬化層深さが小さ
く疲労強度が低かった。またNo.13はAlが本発明
で規定する範囲よりも低いために表面硬度が低く疲労強
度も低くなった。No.14はAl量が本発明で規定す
る範囲よりも高いために硬化層深さが小さく疲労強度が
低かった。No.15、16はそれぞれCr量、C量が
本発明で規定する範囲よりも低いために硬化層深さが小
さく疲労強度が低かった。また、No.17、18、1
9、20はそれぞれCr量、Mn量、Si量、C量が本
発明で規定する範囲よりも高いため、疲労強度は高い
が、素材硬さが高く冷間鍛造性が劣っていた。さらにN
o.21はS量が本発明で規定する範囲よりも高いた
め、表面硬さ、硬化層深さが適正範囲内であるのにもか
かわらず疲労強度が低かった。
る鋼を用いて実施例1と同様に切欠き係数1.8の切欠
きを有する小野式回転曲げ疲労試験片に加工し、図1に
示す3つの温度パターンを用い、表3に示す条件で処理
時間20時間の窒化処理を施した。そして、これら供試
材について疲労試験を行った。この際の窒化処理後の表
面硬さ、硬化層深さ、化合物層厚さ(表面に形成された
窒化物層の厚さ)、及び疲労強度を併せて表3に示す。
なお、記号A〜Dは本発明例であり、記号E〜Lは本発
明の窒化処理条件から外れる比較例である。
記号A〜Dはいずれも、表面硬さ、表面層深さが大き
く、化合物層厚さが小さいために高い疲労強度を有して
いることが確認された。
採用してはいるが、処理開始温度又は処理終了温度が本
発明の範囲から外れており、表面硬さ、硬化層深さ又は
化合物層厚さのいずれかが不十分であった。
あり、化合物層厚さは小さいが、硬化層深さが小さいた
め、疲労強度が低かった。記号K,Lは最も一般的な一
段の窒化方法を採用したものであり、硬化層深さが十分
ではなく、また化合物層厚さが厚すぎるため、疲労強度
が低かった。
成の鋼材に対し、処理開始温度と処理終了温度とを特定
温度範囲に規定すると共にその間を連続的に昇温するの
で、冷間鍛造性に優れ、かつ高い疲労強度を有する窒化
鋼部材を得ることができる。
ーンを示す図。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.10〜0.30wt%、Si:
0.35wt%以下、Mn:1.0wt%以下、S:
0.05wt%以下、Cr:0.5〜1.5wt%、A
l:0.1〜0.5wt%、V:0.1〜0.5wt%
を含有する鋼に対し、処理開始温度が480〜550
℃、処理終了温度が560〜630℃の範囲であり、処
理開始から処理終了までを連続的に昇温させる窒化処理
を施すことを特徴とする、冷間鍛造性及び疲労特性に優
れた窒化鋼部材の製造方法。 - 【請求項2】 C:0.10〜0.30wt%、Si:
0.35wt%以下、Mn:1.0wt%以下、S:
0.05wt%以下、Cr:0.5〜1.5wt%、A
l:0.1〜0.5wt%、V:0.1〜0.5wt%
を含有し、さらにNi:1.0wt%以下、Cu:1.
0wt%以下、Mo:0.2wt以下の1種または2種
以上を含有する鋼に対し、処理開始温度が480〜55
0℃、処理終了温度が560〜630℃の範囲であり、
処理開始から処理終了までを連続的に昇温させる窒化処
理を施すことを特徴とする、冷間鍛造性及び疲労特性に
優れた窒化鋼部材の製造方法。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP8158894A JP2906996B2 (ja) | 1994-04-20 | 1994-04-20 | 冷間鍛造性及び疲労特性に優れた窒化鋼部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP8158894A JP2906996B2 (ja) | 1994-04-20 | 1994-04-20 | 冷間鍛造性及び疲労特性に優れた窒化鋼部材の製造方法 |
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1994
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