JP2952006B2 - ピストンリング材 - Google Patents

ピストンリング材

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、内燃機関に使用されるピストンリングのう
ち特に自動車エンジンに装着されるセカンドリングとし
て使用される材料に関するものである。
〔従来の技術〕
内燃機関、特に自動車エンジンに使用されるピストン
リングは従来の鋳鉄製から鋼製平線をリング状に加工し
て用いられる、いわゆるスチールピストンリングへと移
行が進んでいる。これはエンジンの高速化、高出力化要
求に対応するためのリングの軽量化や機械的強度向上の
必要性が背景にあり、さらにリング製造工程の大幅短縮
の効果も、その大きな要因となっている。
スチールピストンリングの適用は、高負荷環境にある
トップリングや、オイルリングにおいて先行しており、
その材質としてはSi−Cr鋼、17Crマルテンサイト鋼、あ
るいは特公昭58−46542号、特公昭61−19703号にみられ
るようなマルテンサイト系ステンレス鋼が窒化処理等の
表面処理が施されて使用されている。さらに特開昭61−
60861号、特開昭61−199053号にもCrを含有したピスト
ンリング材が提案されている。
しかし、比較的負荷の少ないセカンドリングについて
は、依然としてFC25のような鋳鉄が適用されている。
ところが、最近ではセカンドリングにも優れた疲労強
度も要求されるようになってきており、上述したFC25ク
ラスの鋳鉄では疲労強度が不十分なために、トップリン
グとは異なる観点からセカンドリング用の新しい鋼が模
索されているのが現状である。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述したように、トップリングとオイルリングにおい
ては、スチール化が進んでいるが、さらにエンジンの高
性能化を図るために、セカンドリングのスチール化の要
求も高まってきている。セカンドリングは摺動部材とし
て耐摩耗性、耐焼付性が要求される。
セカンドリングには、ガソリンエンジン用の比較的緩
やかな条件下で使用されるものと、ディーゼルエンジン
用の比較的厳しい条件下で使用されるものとがあるの
で、両者の条件を共に満足する材料でなければならな
い。比較的緩やかな条件下で使用されるセカンドリング
に対しては、できるだけ合金元素量を少なくし、かつ窒
化処理等の表面処理を施さなくとも使用できるような低
コスト材が望まれている。
したがって、本用途に対しては、比較的低合金系でM3
C型炭化物を富化した鋼が有望と考えられる。
しかしながら、比較的厳しい条件下で使用されるセカ
ンドリングに対しては、さらに耐摩耗性、耐焼付性の向
上に加え、優れた疲労強度が要求されるので上記の低コ
スト材のみの考え方では十分ではない。
本発明は、このようないずれの条件下でも使用できる
ピストンリングのうち、特にセカンドリングに適した材
料を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記の問題点を解決するために種々検
討を重ねた結果、従来のピストンリング材がM3C型炭化
物主体であったのに対して、M3C型炭化物に加え、M7C3
型炭化物を富化させることにより、良好な耐摩耗性、焼
焼付性が得られること、また不純物のうちSとOを低い
水準に規制することにより非金属介在物が低減され、特
別に窒化処理などの表面処理を施さなくても疲労強度が
向上することを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明の第1発明は、重量%でC 0.7〜1.3
%、Si 1.5%以下、Mn 1.5%以下、Cr 3.0〜9.0%を含
み、残部Feおよび不可避不純物からなり、不純物のうち
S 0.003%以下、O 25ppm以下に規制したことを特徴とす
るピストンリング材である。そして第2発明は、重量%
でC 0.7〜1.3%、Si 1.5%以下、Mn 1.5%以下、Cr 3.0
〜9.0%、MoとWの1種または2種をMo+1/2Wで2.5%以
下、残部Feおよび不可避不純物からなり、不純物のうち
S 0.003%以下、O 25ppm以下に規制したことを特徴とす
るピストンリング材である。第3発明は、重量%でC 0.
7〜1.3%、Si 1.5%以下、Mn 1.5%以下、Cr 3.0〜9.0
%、MoとWの1種または2種をMo+1/2Wで2.5%以下、V
1.0%以下、Nb 0.5%以下の1種または2種を含み、残
部Feおよび不可避不純物からなり、不純物のうちS 0.00
3%以下、O 25ppm以下に規制したことを特徴とするピス
トンリング材である。さらに第4発明は第1発明にNi
を、第5発明は第2発明にNiを、第6発明は第3発明に
Niを、それぞれ2.0%以下添加したことを特徴とするピ
ストンリング材である。
〔作用〕
以下に本発明における成分限定理由について述べる。
Cは鉄中に固溶し強度を付与する元素であり、また炭
化物を形成し耐摩耗性に寄与する重要な元素である。こ
の効果を得るためには少なくとも0.7%必要である。し
かしながら、1.3%を越えると平線の加工性やリングの
加工性を困難にするため1.3%を上限とした。
Siは通常脱酸剤として添加されるが、1.5%を越える
と冷間加工性を害するだけでなく、熱伝導率を低下させ
ることにより、摺動による接触面の昇温を助長し、耐焼
付性を害するため1.5%を上限とした。
MnはSiと同様に脱酸剤として添加されるが、1.5%以
上では熱間における加工性を害する。特に本発明のピス
トンリング材用の平線では高い加工率を必要とするため
1.5%を上限とした。
Crは本発明の特徴の1つであるM7C3型炭化物を形成し
耐摩耗性向上に寄与するとともに、基地に固溶して軟化
抵抗を高め、エンジン稼働中の昇温による熱ヘタリに対
して効果がある。また、焼入性を確保し十分な熱処理硬
さを得るためにも必要である。
本発明においては、M7C3型炭化物を形成させるため、
Cr量は最低3.0%必要である。
しかしながら過度に添加すると、炭化物量が多くなり
過ぎて冷間加工性を悪くするとともに、熱伝導率を低下
させることにより耐焼付性を害するので上限を9.0%と
した。
Mo,Wはいずれも炭化物形成元素として同じ作用があ
り、これらの元素を1種または2種添加することにより
耐摩耗性が一層向上する。しかしながら、過度の添加は
炭化物量を増し、加工性、靭性を劣化させる。Wの原子
量はMoの2倍であるので、(Mo+1/2W)の量の上限を2.
5%とした。
V,Nbは、MC型の硬質炭化物形成元素であり、耐摩耗性
の向上に有効である点で等価である。しかしながら、過
度の添加は加工性、靭性を劣化させると共に硬質の炭化
物が、相手(シリンダー)を摩耗させ易い。したがっ
て、Vの上限を1.0%、Nbの上限を0.5%とした。
Niは基地中に固溶し、靭性を付与する作用を有する。
しかしながら、過度の添加は焼なまし硬さの低下を妨げ
るのでその上限を2.0%とした。
S,Oは、通常不純物元素として微量含有される。Sと
Oは主に非金属介在物として鋼中に存在し悪影響を及ぼ
す。特に、ピストンリング材に要求される疲労強度向上
の効果を得るためには、S,Oをかなり低い水準に抑える
必要があることが判明したのでS 0.00%以下、O 25ppm
以下に規制した。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
第1表に、供試材の化学成分を示す。本発明材および
比較材は溶製、鍛伸後、所定の焼入、焼もどし処理(10
25℃焼入、600〜700℃焼もどし)により硬さをHRC40〜5
0に調整した。なお、本発明材1と3は硬さレベルを2
通りに変化させて試験を行なった。従来材FC25は鋳鉄で
ある。
摩耗試験は、往復動摩擦試験機を用いて、FC25鋳鉄を
シリンダを想定した相手材として試験を行ない、摩耗量
を測定して、従来材FC25の値を100として指数で示し
た。
耐焼付性は、ファビリー摩耗試験機により評価した。
この試験は300rpmで回転する試験材を相手材であるVブ
ロックではさみ、荷重を徐々に加えながら、テストピン
のトルク変動で焼付を感知し、この時の焼付荷重を検出
するものである。
試験には相手材にFC25を用い、潤滑油を滴下しながら
試験を行なった。耐焼付性はピストンリングの従来材FC
25の値を100として指数で示した。
疲労強度は、回転曲げ疲労試験により107回の疲労限
を求めた。
第2表に硬さ、摩耗量比、焼付荷重比、疲労限応力を
示す。
本発明材は、従来材FC25に比べると耐摩耗性が大幅に
向上している。これは、本発明材が主としてM7C3型炭化
物を適正量含み、また適正な硬さを有していることによ
る。比較材11,12の耐摩耗性は従来材FC25よりは良好で
あるが、本発明材よりは劣る。これは比較材11の場合、
M3C炭化物を主体とし、M7C3型炭化物を含まないこと、
また比較材12の場合にはC量が少ないため、炭化物量が
不足していることによる。
次に耐焼付性については、本発明材は従来材FC25とほ
ぼ同等あるいはそれ以上の値を示し、実用上十分な耐焼
付性を有している。
さらに、本発明材の疲労強度は従来材FC25より大幅に
高い値を示す。これは本発明材の合金量が適正であるこ
とに加え、不純物量(S,O)を低く規制したことによ
る。比較材13,14は、S,O以外の成分は、本発明材と同一
であるが、S,O量が高いため、疲労強度は本発明材より
劣っている。
以上の結果、本発明材は従来材FC25と同等以上の耐焼
付性とFC25を大幅に上回る耐摩耗性ならびに疲労強度を
有している。
なお、以上の結果は表面を窒化しない状態で得られた
ものであるが、表面に窒化処理を施せば、さらに耐摩耗
性、耐焼付性が向上するので、さらに厳しい条件にも適
用が可能である。
以上の結果、本発明材は従来材FC25と同等以上の耐焼
付性とFC25を上回る耐摩耗性を有していることが明確で
ある。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明材はM7C3型炭化物を適正量
含むことと、O,Sの不純物量をピストンリング材の疲労
強度の向上に有効な量に規制することにより、従来材FC
25と同等以上の耐焼付性ならびにFC25を大幅に上回る耐
摩耗性と疲労強度を有しており、さらに強度も格段に高
いため、セカンドリングを始めとするピストンリングに
用いて、軽量化ならびに性能の向上に大きく寄与するも
のである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−122257(JP,A) 特開 昭63−223147(JP,A) 特開 昭61−60861(JP,A) 特開 昭57−210954(JP,A) 特公 昭64−11100(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/00 302 C22C 38/18 F02F 5/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC 0.7〜1.3%、Si 1.5%以下、Mn
    1.5%以下、Cr 3.0〜9.0%を含み、残部Feおよび不可
    避不純物からなり、不純物のうちS 0.003%以下、O 25p
    pm以下に規制したことを特徴とするピストンリング材。
  2. 【請求項2】重量%でC 0.7〜1.3%、Si 1.5%以下、Mn
    1.5%以下、Cr 3.0〜9.0%、MoとWの1種または2種
    をMo+1/2Wで2.5%以下、残部Feおよび不可避不純物か
    らなり、不純物のうちS 0.003%以下、O 25ppm以下に規
    制したことを特徴とするピストンリング材。
  3. 【請求項3】重量%でC 0.7〜1.3%、Si 1.5%以下、Mn
    1.5%以下、Cr 3.0〜9.0%、MoとWの1種または2種
    をMo+1/2Wで2.5%以下、V 1.0%以下、Nb 0.5%以下の
    1種または2種を含み、残部Feおよび不可避不純物から
    なり、不純物のうちS 0.003%以下、O 25ppm以下に規制
    したことを特徴とするピストンリング材。
  4. 【請求項4】重量%でC 0.7〜1.3%、Si 1.5%以下、Mn
    1.5%以下、Cr 3.0〜9.0%、さらにNi 2.0%以下を含
    み、残部Feおよび不可避不純物からなり、不純物のうち
    S 0.003%以下、O 25ppm以下に規制したことを特徴とす
    るピストンリング材。
  5. 【請求項5】重量%でC 0.7〜1.3%、Si 1.5%以下、Mn
    1.5%以下、Cr 3.0〜9.0%、MoとWの1種または2種
    をMo+1/2Wで2.5%以下、さらにNi 2.0%以下を含み、
    残部Feおよび不可避不純物からなり、不純物のうちS 0.
    003%以下、O 25ppm以下に規制したことを特徴とするピ
    ストンリング材。
  6. 【請求項6】重量%でC 0.7〜1.3%、Si 1.5%以下、Mn
    1.5%以下、Cr 3.0〜9.0%、MoとWの1種または2種
    をMo+1/2Wで2.5%以下、V 1.0%以下、Nb 0.5%以下の
    1種または2種、さらにNi 2.0%以下を含み、残部Feお
    よび不可避不純物からなり、不純物のうちS 0.003%以
    下、O 25ppm以下に規制したことを特徴とするピストン
    リング材。
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